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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022128888
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】焼菓子生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 13/80 20170101AFI20220829BHJP
   A21D 2/18 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
A21D13/80
A21D2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027346
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】小倉 稔
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB22
4B032DG02
4B032DK02
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK18
4B032DK32
4B032DK35
4B032DL01
4B032DL04
4B032DL06
4B032DP08
4B032DP23
4B032DP40
(57)【要約】
【課題】外相は硬い食感であるが内相はソフトでしっとりした食感であり、且つ、保存性が良好である焼菓子を提供すること。
【解決手段】油脂及び糊化澱粉類を含有する澱粉類生地に、水性原料を添加してさらに混合後、非糊化澱粉類を添加、混合することを特徴とする焼菓子生地の製造方法。好ましくは、焼菓子生地中の、糊化澱粉類の含有量が非糊化澱粉類の含有量よりも大である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂及び糊化澱粉類を含有する澱粉類生地に、水性原料を添加してさらに混合後、非糊化澱粉類を添加、混合することを特徴とする焼菓子生地の製造方法。
【請求項2】
焼菓子生地中の、糊化澱粉類の含有量が非糊化澱粉類の含有量よりも大であることを特徴とする請求項1に記載の焼菓子生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外相は硬い食感であるが内相はソフトでしっとりした食感であり、且つ、保存性が良好である焼菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
焼菓子にはクッキー、バターケーキ、スポンジケーキなど様々な食感のものがあり、それぞれに適した製造方法で製造される。
【0003】
例えば、硬いサクサクした食感が特徴のクッキーは、ショートニングやマーガリンなどの可塑性油脂に糖類を添加してクリーミングし、ここに卵類を混合、さらに澱粉類を混合して得る、シュガーバッター法により製造されるのが普通である。
【0004】
また、しっとりとしているが歯切れのよい食感のバターケーキも同様の方法で製造される。
【0005】
そして歯切れをよくするためにクリーミング時に糖類に代えて澱粉類を添加してクリーミングし、ここに糖類、卵類を混合するフラワーバッター法も行われる。
【0006】
また、ソフトでふわふわした食感が特徴のスポンジケーキは卵に糖類を添加してホイップし、ここに澱粉類を添加して軽く混合する、後粉法や、メレンゲを別途製造して添加混合する別立法、あるいは起泡剤と共に全原材料を起泡するオールインミックス法などの方法がある。
【0007】
そしてソフト性を増すために油脂を添加することも行われるが、その場合、澱粉類の添加前に油脂を添加する前油法や、澱粉類を添加後に油脂を添加する後油法などがある。
【0008】
しかし、最近ではさまざまな食感に対する嗜好や、健康食品への関心の高まりから、しっとりとした食感のソフトクッキーが求められる場面が増えている。このソフトクッキーは、バターケーキのしとりをクッキーに付与したものとも言うことができ、通常は、上記クッキー生地の製造の際に、保湿性の高い糖類を多く添加し、焼成によって水分の逸失がおきないように工夫した各種の配合や製法で得られる。
【0009】
しかし、このソフトクッキーは水分含量が多い故に保存性が悪く、日持ちが短いのが普通である。また、経日的に澱粉の老化によりしっとりした食感が失われ、硬い食感になったり、ぱさぱさした食感になってしまうことが多かった。
【0010】
この問題に対する解決方法として、表面を硬く焼成して、焼成中や保存中の水分蒸散を抑制する方法をはじめ、レーズンなどの乾燥果実を生地に添加して粉砕混練する方法(例えば特許文献1参照)、生地中で澱粉類に対して相対的にたん白質の配合量を増やして食感のソフト化と共に澱粉の老化をめだたなくする方法(例えば特許文献2参照)、化工澱粉を主体とした生地配合とする方法(例えば特許文献3参照)などの提案がなされた。
【0011】
しかし、単に表面を硬く焼成するだけでは、水分移行によりすぐに通常の焼菓子と同様の老化の問題が発生してしまう問題があり、特許文献1に記載の方法は、果実風味や着色が付与されてしまう問題があり、特許文献2に記載の方法は、しっとりした食感が得られにくいという問題があり、特許文献3に記載の方法は、糊化澱粉含量が少ないため内相のしっとりした食感が乏しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011-229435号公報
【特許文献2】特開2006-081516号公報
【特許文献3】特開2012-165741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、外相は硬い食感であるが内相はソフトでしっとりした食感であり、且つ、保存性が良好である焼菓子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、ソフトクッキー製造時において、澱粉類を2種併用し、その添加方法を工夫することにより、上記の従来技術の問題を解決可能であることを知見した。
【0015】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、油脂及び糊化澱粉類を含有する澱粉類生地に、水性原料を添加してさらに混合後、非糊化澱粉類を添加、混合することを特徴とする焼菓子生地の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保存性が良好であるにもかかわらず、外相は硬い食感であるが内相はソフトでしっとりした食感のソフトクッキーを簡単な方法で安定して製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の焼菓子生地の製造方法について詳細に説明する。
【0018】
本発明の焼菓子生地の製造方法では、まず、油脂及び糊化澱粉類を含有する澱粉類生地を調製する。
【0019】
本発明で用いる澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉、へーゼルナッツ粉、カシュ―ナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、もち米澱粉、じゃがいも澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられる。
【0020】
本発明で使用する糊化澱粉類としては、上記澱粉類のうちの少なくともα化処理したものを言う。中でも本発明では、よりしっとりした食感の焼菓子が得られる点で、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、もち米澱粉、じゃがいも澱粉から得られる糊化澱粉のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
【0021】
本発明で用いる油脂としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0022】
また、上記油脂としては、ショートニング、マーガリン、バターなどの可塑性油脂組成物や、サラダ油、流動ショートニング、溶かしバターなどの流動状~液体の形態であっても、粉末油脂の形態であってもよいが、生地中への練り込みが容易であること、及び、良好な層状構造が得られやすいことから、可塑性油脂組成物であることが好ましい。該可塑性油脂組成物が乳化物である場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。
【0023】
本発明では、上記澱粉類生地における油脂含量は、上記澱粉類100質量部に対し、純油分として15~200質量部、好ましくは50~120質量部である。上記油脂の含有量が15質量部よりも少ないと、ソフトな食感の焼菓子とならないことに加え、老化耐性の低い焼菓子となる。また、上記油脂の含有量が150質量部よりも多いと、生地がべたついて成形が困難となり、また、油脂が生地中に完全に混ざりにくい。
【0024】
なお、上記油脂が乳化物や粉末油脂の形態であるなど、他の成分を含む場合には、上記油脂の含有量とは、それらに含まれる油脂以外の原料を除いた純油分を指す。
【0025】
本発明では、上記澱粉類生地における水分含量は、上記澱粉類100質量部に対し、純水分として5~60質量部、好ましくは15~55質量部である。上記澱粉類100質量部に対し、水の含有量が5質量部よりも少ないと、次に加える水性原料が均質に分散しにくくなり、また、水の含有量が60質量部よりも多いと、澱粉類生地の粘度が上昇しすぎ、次に加える水性原料を分散させること自体が困難になりやすい。
【0026】
なお、本発明においては、上記水分含量は、実際に配合する水分上記天然水や水道水に加え、下記のその他の原料中の水分も含有するものである。
【0027】
本発明においては、上記澱粉類生地は、必要に応じ、その他の原料として以下のものを用いることができる。
【0028】
例えば、イースト、糖類や甘味料、増粘安定剤、β-カロチン・カラメル・紅麹色素などの着色料、トコフェロール・茶抽出物などの酸化防止剤、デキストリン、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・加糖練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳・純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリームなどの乳や乳製品、ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・クリームチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズなどのチーズ類、全卵・卵黄・卵白などの卵類、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウオッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、グリセリン脂肪酸エステル・グリセリン酢酸脂肪酸エステル・グリセリン乳酸脂肪酸エステル・グリセリンコハク酸脂肪酸エステル・グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル・ソルビタン脂肪酸エステル・ショ糖脂肪酸エステル・ショ糖酢酸イソ酪酸エステル・ポリグリセリン脂肪酸エステル・ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル・プロピレングリコール脂肪酸エステル・ステアロイル乳酸カルシウム・ステアロイル乳酸ナトリウム・ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド・レシチンなどの乳化剤、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、生地改良剤、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材、コンソメ・ブイヨンなどの植物及び動物エキス、食品添加物などを挙げることができる。
【0029】
その他の材料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、上記澱粉類100質量部に対して合計で100質量部以下、好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。
【0030】
上記の糖類や甘味料としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、還元水飴、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつなどが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0031】
上記増粘安定剤としては、キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、ペクチン、プルラン、タマリンドシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、ファーセルラン、タラガム、カラヤガム、トラガントガム、ジェランガム、大豆多糖類などが挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0032】
澱粉類生地の製造方法はとくに限定されず、シュガーバッター法、フラワーバッター法、オールインミックス法、後粉法等の一般の焼菓子に使用しうる方法を適宜選択することができるが、好ましくはシュガーバッター法又はフラワーバッター法であることが好ましい。
【0033】
なお、上記澱粉類生地の比重は、好ましくは0.60~1.20、より好ましくは0.80~1.00である。上記範囲とすることにより、次に加える水性原料がより容易に均質に澱粉類生地中に分散させることが可能になる。
【0034】
続いて、上記のようにして得られた澱粉類生地に、水性原料を添加してさらに混合する。
【0035】
上記水性原料としては、水、あるいは、牛乳、全卵、卵黄、卵白、部分脱脂乳、脱脂乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、加工乳、果汁、コーヒー、紅茶等の、水を多く含む食品や食品素材等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では生地の物性の調整が容易である点、及び、基本的に澱粉類生地の風味特性を変化させることなく、すなわち澱粉類生地を焼成した場合とほぼ同様の風味の焼菓子生地を得ることが可能である点で水を使用することが好ましい。
【0036】
混合方法としては特に制限されず、ボール中での混合や、連続ミキサー等を例示できる。混合時間としては特に制限されず、混合が可能な時間であればよいが、この段階での生地粘度の上昇を抑制することができる点でなるべく短時間であることが好ましく、具体的には、好ましくは30秒~10分、より好ましくは1分~3分である。
【0037】
続いて、非糊化澱粉類を添加、混合することによって焼菓子生地を得る。
【0038】
本発明で使用する非糊化澱粉類としては、上記澱粉類のうちのα化処理をしていないものを言う。中でも本発明では、より外相が硬く歯切れの良好な食感の焼菓子が得られる点で、小麦粉類を使用することが好ましく、中でも薄力粉を使用することが好ましい。
【0039】
なお、本発明では、焼菓子生地中の、糊化澱粉類の含有量が非糊化澱粉類の含有量よりも大であることが、内相がソフトでしっとりした食感になる点で好ましい。具体的には、糊化澱粉類100質量部に対し、非糊化澱粉類が10~30質量部であることが好ましく、15~25質量部であることがより好ましい。なお、澱粉類生地に非糊化澱粉を使用した場合は、その含量も計算に入れて算出するものとする。
【0040】
混合方法としては特に制限されず、ボール中での混合や、連続ミキサー等を例示できる。混合時間としては特に制限されず、混合が可能な時間であればよいが、ソフトで歯切れのよい食感の焼菓子を得ることが可能な点でなるべく短時間であることが好ましく、具体的には、好ましくは30秒~10分、より好ましくは1分~3分である。
【0041】
上記本発明の製造方法によって得られた焼菓子生地は、必要に応じ、分割、成形、ホイロ、レスト、ベンチなどの操作をした後、焼成及び/又はフライすることにより、焼菓子とする。
【0042】
焼成する場合の加熱条件は、例えばオーブンを使用する場合、好ましくは150~240℃で4~25分、さらに好ましくは160~200℃で5~20分である。
【0043】
また、フライする場合の加熱条件は、好ましくは180~260℃で1~10分、さらに好ましくは200~250℃で2~5分である。
【0044】
得られた焼菓子は、外相は硬い食感であるが内相はソフトでしっとりした食感であり、且つ、保存性が良好であるという特徴を有する。
【実施例0045】
以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]
マーガリン(エレバール:株式会社ADEKA製)80質量部、上白糖30質量部、及び、食塩0.5質腰部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーに装着し、ビーターを使用し、高速で比重が0.45になるまでクリーミングした。ここで全卵10質量部を投入し、軽く混合後、糊化澱粉類であるマッシュポテト90質量部及び非糊化澱粉類であるローストアーモンドプードル10質量部にベーキングパウダー1質量部を混合し篩った混合粉体を添加し、生地が均質になるまで混合し、比重0.85の、澱粉類生地Aを得た。なお、この澱粉類生地Aに含まれる澱粉類の90質量%が糊化澱粉類であった。続いて、水性原料として水20質量部を添加し、均一になるまで混合し、さらに、非糊化澱粉類として薄力粉20質量部を添加し、生地が均質になるまで混合し、焼菓子生地Aを得た。この焼菓子生地Aを球状に成型(6g)して天板に並べ、固定オーブンで上火180℃、下火160℃で11分間焼成し、焼菓子Aを得た。
得られた焼菓子Aは、外相が硬い食感でありながら、内相はソフトでしっとりした食感であり、袋に入れて1週間後も食感の変化は見られなかった。なお水分活性は0.59であり、保存性は良好であった。
【0047】
[比較例1]
マーガリン(エレバール:株式会社ADEKA製)80質量部、上白糖30質量部、及び、食塩0.5質腰部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーに装着し、ビーターを使用し、高速で比重が0.45になるまでクリーミングした。ここで全卵10質量部及び水10質量部を投入し、軽く混合後、糊化澱粉類であるマッシュポテト90質量部及び非糊化澱粉類であるローストアーモンドプードル10質量部にベーキングパウダー1質量部、さらには薄力粉20質量部を混合し篩った混合粉体を添加し、生地が均質になるまで混合し、焼菓子生地Bを得た。この焼菓子生地Bを球状に成型(6g)して天板に並べ、固定オーブンで上火180℃、下火160℃で11分間焼成し、焼菓子Bを得た。
得られた焼菓子Bは、外相及び内相がソフトでしっとりした食感であるが、やや粉っぽい食感が感じられ、袋に入れて1週間後には食感が硬いものになってしまっていた。
【0048】
[比較例2]
実施例1で得られた澱粉類生地Aをそのまま焼菓子生地Cとした。
この焼菓子生地Cを球状に成型(6g)して天板に並べ、固定オーブンで上火180℃、下火160℃で11分間焼成し、焼菓子Cを得た。
得られた焼菓子Cは、全体的にソフトではあるものの、外相はぱさつき、内相はねちゃついた不良な食感であり、袋に入れて1週間後には食感が硬いものになってしまっていた。
【0049】
[比較例3]
実施例1で使用する薄力粉20質量部をマッシュポテト20質量部に変更した以外は、実施例1と同様の配合及び製法で、焼菓子生地Dを得た。この焼菓子生地Dを球状に成型(6g)して天板に並べ、固定オーブンで上火180℃、下火160℃で11分間焼成し、焼菓子Dを得た。
得られた焼菓子Dは、全体的にぱさついた不良な食感であった。
【0050】
[比較例4]
マーガリン(エレバール:株式会社ADEKA製)80質量部、上白糖30質量部、及び、食塩0.5質腰部をミキサーボウルに投入し、卓上ミキサーに装着し、ビーターを使用し、高速で比重が0.45になるまでクリーミングした。ここで全卵10質量部を投入し、軽く混合後、糊化澱粉類であるマッシュポテト90質量部及び非糊化澱粉類であるローストアーモンドプードル10質量部にベーキングパウダー1質量部、さらには薄力粉20質量部を混合し篩った混合粉体を添加し、生地が均質になるまで混合し、比重0.85の、澱粉類生地Eを得た。続いて、水性原料として水20質量部を添加し、均一になるまで混合し焼菓子生地Eを得た。この焼菓子生地Eを球状に成型(6g)して天板に並べ、固定オーブンで上火180℃、下火160℃で11分間焼成し、焼菓子Eを得た。
得られた焼菓子Eは、全体的にソフトではあるものの、外相は硬く、内相はねちゃついた不良な食感であり、袋に入れて1週間後には食感が硬いものになってしまっていた。