(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129055
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220829BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20220829BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20220829BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 018
F16L57/00 A
B60R16/02 623T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027599
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】月瀬 俊
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA01
3H024AB02
3H024AC03
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE02
5G357DE03
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスWを挟み込むことなく、内部にワイヤーハーネスWを挿通できるプロテクタ1を提供することを目的とする。
【解決手段】底面部11及び一対の対向する側壁部(第1側壁部12、第2側壁部13)を有する断面凹状のプロテクタ本体10と、底面部11に対向するプロテクタ本体10の開口を閉塞するカバー30とが備えられ、内部を挿通するワイヤーハーネスWを保護するプロテクタ1であって、第1側壁部12とカバー30とを枢動可能に連結するカバー枢動部40が設けられ、プロテクタ本体10は、下方から上方へ向けて、第2側壁部13の上端面から突出した突出部14が設けられ、カバー30は、プロテクタ本体10の開口を閉塞した状態において、突出部14が貫通する貫通孔31aが設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び一対の対向する側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
前記一対の側壁部のうち、一方の側壁部と前記カバーとを枢動可能に連結するカバー枢動部が設けられ、
前記プロテクタ本体は、
前記底面部から前記プロテクタ本体の開口へ向かう離間方向へ向けて、他方の側壁部における開口側の端部から突出した突出部が設けられ、
前記カバーは、
前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部が貫通する貫通孔が設けられた
プロテクタ。
【請求項2】
底面部及び一対の対向する側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、
前記プロテクタ本体は、
前記底面部から前記プロテクタ本体の開口へ向かう離間方向へ向けて、前記一対の側壁部における開口側の端部からそれぞれ突出した一組の突出部が設けられ、
前記カバーは、
前記プロテクタ本体とは別体で構成されるとともに、前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部が貫通する貫通孔が設けられた
プロテクタ。
【請求項3】
前記カバーは、
前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部を設けた前記側壁部の外側面に重なり合う延出部が設けられた
請求項1または請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記突出部は、
前記貫通孔を通って露出した部分を、前記離間方向に交差する方向に向かって折曲させる折曲部分が設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記貫通孔を通って露出した前記突出部を保持固定する固定部が設けられ、
該固定部は、
前記突出部を設けた前記側壁部に対向する側壁部の外側面、または前記カバーに設けられた
請求項4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記貫通孔を通って露出した前記突出部を保持固定する固定部が設けられ、
前記突出部は、
可撓性を有する帯状に形成され、
前記固定部は、
前記突出部を設けた前記側壁部の外側面に設けられた
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内部に挿通された電線を保護するようなプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されている電子機器類同士は、車両に配索されている電線を介して電気的に接続されている。この車両に配索されている電線は、配索経路周辺の部材との干渉によって損傷しないように、プロテクタに挿通させて保護している。
【0003】
このようなプロテクタとして、例えば、互いに対向する底面部と一対の側壁部とで断面凹状に構成されたプロテクタ本体の開口から電線を挿入し、開口を塞ぐようにカバーで覆うことにより、内部に挿通された電線を保護するものがある(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、近年、安全性や操作性の向上を目的として、電気的な制御に伴う電気機器類や電子部品が増加しているため、車両に配索される電線も増加している。さらに、電動モーターを駆動力とする電動車では、より多くの電線が用いられている。
【0005】
その一方で、車両の居住性を向上させるために車室空間を確保したいといった要望がある。このため、大型化を抑えたプロテクタの場合、特許文献1のような構造では、プロテクタ本体にカバーを組付けた際、プロテクタ本体とカバーとの間に電線が挟まるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通できるプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、底面部及び一対の対向する側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、前記一対の側壁部のうち、一方の側壁部と前記カバーとを枢動可能に連結するカバー枢動部が設けられ、前記プロテクタ本体は、前記底面部から前記プロテクタ本体の開口へ向かう離間方向へ向けて、他方の側壁部における開口側の端部から突出した突出部が設けられ、前記カバーは、前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部が貫通する貫通孔が設けられたことを特徴とする。
【0009】
上記突出部は、例えば可撓性を有する略帯状で、内部に挿通された電線の長手方向に所定間隔を隔てて複数配置されている、あるいは1つだけ配置されているものをいう。
この発明によれば、プロテクタは、電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通させることができる。
【0010】
具体的には、カバーを枢動させてプロテクタ本体の開口を閉塞する際、プロテクタ本体の突出部がカバーの貫通孔に挿入されるため、突出部が、カバーの枢動を阻害することがない。
【0011】
さらに、他方の側壁部における開口側の端部から突出しているため、突出部は、他方の側壁部とカバーとの間に電線が位置することを阻止できる。このため、プロテクタは、プロテクタ本体の開口をカバーで閉塞する際、他方の側壁部とカバーとの間に電線が挟まれることを、突出部によって阻止できる。
これにより、プロテクタは、電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通させることができる。
【0012】
またこの発明は、底面部及び一対の対向する側壁部を有する断面凹状のプロテクタ本体と、前記底面部に対向する前記プロテクタ本体の開口を閉塞するカバーとが備えられ、内部を挿通する電線を保護するプロテクタであって、前記プロテクタ本体は、前記底面部から前記プロテクタ本体の開口へ向かう離間方向へ向けて、前記一対の側壁部における開口側の端部からそれぞれ突出した一組の突出部が設けられ、前記カバーは、前記プロテクタ本体とは別体で構成されるとともに、前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部が貫通する貫通孔が設けられたことを特徴とする。
【0013】
上記一組の突出部は、例えば可撓性を有する略帯状で、内部に挿通された電線の長手方向に所定間隔を隔てて、一方の側壁部及び他方の側壁部にそれぞれ複数配置されている、あるいは、一方の側壁部及び他方の側壁部にそれぞれ1つだけ配置されているものをいう。
この発明によれば、プロテクタは、電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通させることができる。
【0014】
具体的には、プロテクタ本体にカバーを装着する際、プロテクタ本体の突出部がカバーの貫通孔に挿入されることで、突出部が、プロテクタ本体へのカバーの装着を案内することができる。このため、プロテクタは、プロテクタ本体に対するカバーの位置ズレを抑えて、カバーを容易に装着させることができる。
【0015】
さらに、一対の側壁部の開口側の端部からそれぞれ突出しているため、一組の突出部は、一方の側壁部とカバーとの間、及び他方の側壁部とカバーとの間に電線が位置することを阻止できる。このため、プロテクタは、プロテクタ本体の開口をカバーで閉塞する際、側壁部とカバーとの間に電線が挟まれることを、突出部によって阻止できる。
これにより、プロテクタは、電線を挟み込むことなく、内部に電線を容易に挿通させることができる。
【0016】
この発明の態様として、前記カバーは、前記プロテクタ本体の開口を閉塞した状態において、前記突出部を設けた前記側壁部の外側面に重なり合う延出部が設けられてもよい。
上記延出部は、内部に挿通された電線の長手方向に沿って延びる形状、または電線の長手方向に所定間隔を隔てた位置に複数配置された形状のことをいう。
【0017】
この構成によれば、プロテクタ本体の開口が閉塞された状態において、カバーの延出部がプロテクタ本体の側壁部に重なり合うため、プロテクタは、突出部を設けた側壁部が、対向する側壁部と離間するように変形することを阻止できる。
【0018】
このため、プロテクタは、プロテクタ本体とカバーとの間に隙間が生じることを防止できる。
さらに、プロテクタ本体の開口とカバーとの間に隙間が生じた場合であっても、プロテクタは、プロテクタの内部に異物が侵入することをカバーの延出部によって防止できる。
【0019】
これにより、プロテクタは、内部に挿通された電線が、異物の侵入によって損傷することを抑えられる。加えて、仮にプロテクタ本体の開口とカバーとの間に隙間が生じた場合であっても、プロテクタは、プロテクタ本体の開口を介して電線が外部に飛び出すことをプロテクタ本体の突出部によって阻止することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記突出部は、前記貫通孔を通って露出した部分を、前記離間方向に交差する方向に向かって折曲させる折曲部分が設けられてもよい。
上記折曲部分は、例えば突出部に設けた凹溝、あるいは貫通孔から露出した部分を枢動させるヒンジなどのことをいう。
【0021】
この構成によれば、貫通孔を通って露出した部分を折曲することで、突出部は、離間方向へのカバーの移動を規制することができる。このため、プロテクタは、プロテクタ本体からカバーが離脱することを阻止することができる。
これにより、プロテクタは、内部に挿通された電線が、プロテクタ本体の開口を介して外部に飛び出すことを防止できる。
【0022】
さらに、突出部は、貫通孔から露出した部分を、例えばカバーの表面に沿うように配置することができる。このため、プロテクタは、貫通孔から露出した突出部がプロテクタ周辺の部材に干渉して、意図しない不具合が生じることを防止できる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記貫通孔を通って露出した前記突出部を保持固定する固定部が設けられ、該固定部は、前記突出部を設けた前記側壁部に対向する側壁部の外側面、または前記カバーに設けられてもよい。
【0024】
この構成によれば、カバーがプロテクタ本体に固定されるため、プロテクタは、プロテクタ本体からカバーが離脱することを確実に阻止して、プロテクタ本体の開口が閉塞された状態を安定して維持することができる。
これにより、プロテクタは、内部に挿通された電線がプロテクタ本体の開口を介して外部に飛び出すことをより確実に防止できる。
【0025】
さらに、例えば突出部を設けた側壁部と底面部とが枢動可能に連結されている場合、プロテクタは、突出部を設けた側壁部が枢動箇所を支点に傾倒することを、突出部と固定部との協働によって防止できる。このため、プロテクタは、内部に挿通された電線が、突出部を設けた側壁部との接触によって損傷することを防止できる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記貫通孔を通って露出した前記突出部を保持固定する固定部が設けられ、前記突出部は、可撓性を有する帯状に形成され、前記固定部は、前記突出部を設けた前記側壁部の外側面に設けられてもよい。
【0027】
この構成によれば、カバーがプロテクタ本体に固定されるため、プロテクタは、プロテクタ本体からカバーが離脱することを確実に阻止して、プロテクタ本体の開口が閉塞された状態を安定して維持することができる。
【0028】
さらに、例えば一方の側壁部とカバーとが枢動可能に連結され、突出部が他方の側壁部に設けられた場合、カバーの枢動方向とは逆方向に突出部が湾曲するため、プロテクタは、プロテクタ本体の開口を閉塞したカバーが意図せず枢動することを防止できる。
【0029】
この場合、プロテクタは、プロテクタ本体の開口が閉塞された状態をより安定して維持することができる。
これにより、プロテクタは、内部に挿通された電線がプロテクタ本体の開口を介して外部に飛び出すことをより確実に防止できる。
【0030】
加えて、例えば突出部を設けた側壁部と底面部とが枢動可能に連結されている場合、プロテクタは、突出部を設けた側壁部が枢動箇所を支点に傾倒することを、突出部と固定部との協働によって防止できる。このため、プロテクタは、内部に挿通された電線が、突出部を設けた側壁部との接触によって損傷することを防止できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、電線を挟み込むことなく、内部に電線を挿通できるプロテクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】ワイヤーハーネスを挿通した状態におけるプロテクタの外観を示す外観斜視図。
【
図2】カバーの開閉状態の概略を正面視で説明する説明図。
【
図3】カバーが開いた状態のプロテクタの外観を示す外観斜視図。
【
図5】実施例2におけるプロテクタの概略を正面視で説明する説明図。
【
図6】展開状態におけるプロテクタの外観を示す外観斜視図。
【
図7】実施例3におけるプロテクタの外観を示す外観斜視図。
【
図8】カバーが分離した状態のプロテクタの概略を正面視で説明する説明図。
【
図9】分解状態におけるプロテクタの外観を示す分解斜視図。
【
図11】実施例4におけるプロテクタの概略を正面視で説明する説明図。
【
図12】分解状態におけるプロテクタの外観を示す分解斜視図。
【
図13】実施例5におけるプロテクタの外観を示す外観斜視図。
【
図14】突出部を
図13中のC-C矢視断面で説明する説明図。
【
図15】別の実施形態におけるプロテクタ本体の概略を説明する説明図。
【
図16】別の実施形態におけるプロテクタ本体の概略を説明する説明図。
【
図17】別の実施形態におけるプロテクタ本体の概略を説明する説明図。
【
図18】別の実施形態における突出部をC-C矢視断面で説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0034】
実施例1のプロテクタ1は、ワイヤーハーネスWを挿通可能な内部空間を備えた閉断面形状のプロテクタである。このようなプロテクタ1について、
図1から
図4を用いて説明する。
なお、
図1はワイヤーハーネスWを挿通した状態におけるプロテクタ1の外観斜視図を示している。
【0035】
さらに、
図2はカバー30の開閉状態の概略を正面視で説明する説明図であり、
図2(a)は組付け状態におけるプロテクタ1の正面図を示し、
図2(b)はカバー30が開いた状態におけるプロテクタ1の正面図を示している。
加えて、
図3はカバー30が開いた状態におけるプロテクタ1の外観斜視図を示し、
図4は
図1中のA-A矢視断面図を示している。
【0036】
また、
図1中の上側をプロテクタ1の上方側、
図1中の下側をプロテクタ1の下方側として、図中の矢印Xはプロテクタ1の内部に挿通されたワイヤーハーネスWの長手方向に沿った方向(以降、長手方向Xと呼ぶ)を示し、矢印Yは長手方向Xに平面視直交する方向(以降、短手方向Yと呼ぶ)を示している。
また、図示を明確にするため、複数の電線を束ねて構成されたワイヤーハーネスWの外形を二点鎖線で図示している。
【0037】
実施例1のプロテクタ1は、
図1に示すように、長手方向Xに延びる断面凹状のプロテクタ本体10と、プロテクタ本体10における上方の開口を覆うカバー30と、プロテクタ本体10に対してカバー30を枢動可能にするカバー枢動部40とを備えている。
【0038】
そして、プロテクタ1は、
図2に示すように、プロテクタ本体10にカバー30が固定されることで、正面視略矩形の閉断面形状を形成するとともに、閉断面形状の内部空間にワイヤーハーネスWを収容して、ワイヤーハーネスWを保護している。
【0039】
具体的には、プロテクタ本体10は、
図1及び
図2に示すように、プロテクタ本体10の底部をなす底面部11と、底面部11を挟んで短手方向Yで対向する第1側壁部12及び第2側壁部13とを備えている。
さらに、プロテクタ本体10は、
図1及び
図2に示すように、第2側壁部13の上端面から突出した2つの突出部14と、突出部14を保持固定する2つの固定部15とを備えている。
【0040】
底面部11は、
図2及び
図3に示すように、上下方向に厚みを有するとともに、長手方向Xに長い平面視略矩形の平板状に形成されている。この底面部11は、
図2に示すように、ワイヤーハーネスWの直径に略同じ短手方向Yの長さに形成されている。
【0041】
また、第1側壁部12及び第2側壁部13は、
図2及び
図3に示すように、短手方向Yに厚みを有するとともに、底面部11と略同じ長手方向Xの長さの略平板状に形成されている。この第1側壁部12及び第2側壁部13は、
図2に示すように、ワイヤーハーネスWの直径に略同じ短手方向Yの間隔を隔てて対向配置されている。
【0042】
より詳しくは、第1側壁部12は、
図2に示すように、短手方向Yにおける底面部11の一端から略直角に上方へ向けて延設されている。なお、第2側壁部13に短手方向Yで対向する第1側壁部12の主面を第1側壁部12の内側面とし、内側面に対向する他方の主面を第1側壁部12の外側面とする。
【0043】
一方、第2側壁部13は、
図2に示すように、短手方向Yにおける底面部11の他端から略直角に上方へ向けて延設されている。なお、第1側壁部12に短手方向Yで対向する第2側壁部13の主面を第2側壁部13の内側面とし、内側面に対向する他方の主面を第2側壁部13の外側面とする。
【0044】
また、2つの突出部14は、
図2及び
図3に示すように、可撓性を有する略帯状であって、長手方向Xに所定間隔を隔てて配置されている。
より詳しくは、突出部14は、
図2(b)に示すように、底面部11からプロテクタ本体10の開口へ向かう方向、すなわち下方から上方へ向けて、第2側壁部13の上端面から突出して形成されている。
【0045】
この突出部14は、
図2(a)に示すように、後述するカバー30の貫通孔31aを貫通するとともに、第2側壁部13の外側面13aへ向けて湾曲したのち、後述する固定部15に固定可能な長さで形成されている。
【0046】
さらに、突出部14は、
図4に示すように、短手方向Yに沿った垂直断面において、第2側壁部13の厚みよりも薄肉に形成されている。なお、突出部14は、
図4に示すように、第1側壁部12側の面が、第2側壁部13の内側面13bと略面一になるように形成されている。
【0047】
加えて、突出部14は、後述する固定部15に係合可能に形成されている。例えば、突出部14は、所謂結束バンドと略同じように、その主面に略山型の突起が複数形成されている。
【0048】
また、2つの固定部15は、
図2及び
図3に示すように、突出部14と略同じ長手方向Xの間隔を隔てて、第2側壁部13の外側面13aに形成されている。この固定部15は、上方から下方へ向けた突出部14の挿入を許容し、下方から上方へ向けた突出部14の離脱を阻止するように形成されている。
【0049】
より詳しくは、固定部15は、
図3に示すように、上下方向に貫通した開口を有する平面視略矩形の柱状体であって、第2側壁部13の外側面13aに突設されている。詳細な図示を省略するが、この固定部15の内面は、所謂結束バンドと略同じように、突出部14の突起に係止される係止爪が形成されている。
【0050】
また、カバー30は、
図1及び
図2に示すように、プロテクタ本体10に連結され、プロテクタ本体10における上方の開口を覆う略平板状のカバー本体31と、カバー本体31から延出した延出部32とで構成されている。
カバー本体31は、
図2及び
図3に示すように、上下方向に厚みを有する略平板状であって、底面部11に略同じ大きさに形成されている。
【0051】
このカバー本体31には、
図1、
図2、及び
図4に示すように、プロテクタ本体10の上方の開口を覆った状態において、プロテクタ本体10の突出部14が挿通される貫通孔31aが2つ開口形成されている。
より詳しくは、貫通孔31aは、長手方向Xに長い平面視略矩形の開口であって、突出部14に略同じ長手方向Xの間隔を隔てた位置に2つ形成されている。
【0052】
また、延出部32は、
図2に示すように、カバー本体31がプロテクタ本体10の開口を覆った状態において、第2側壁部13の外側面13aに短手方向Yで重なり合うように形成されている。
【0053】
より詳しくは、延出部32は、第2側壁部13側のカバー本体31の縁端から略直角に下方へ向けて延設した略平板状に形成されている。なお、延出部32は、第2側壁部13の上端近傍に短手方向Yで重なり合う上下方向の長さで延設されている。
【0054】
また、カバー枢動部40は、
図3に示すように、第1側壁部12の上端に設けた軸筒40aと、第1側壁部12側のカバー本体31の縁端に設けた軸筒40bと、第1側壁部12の軸筒40aとカバー30の軸筒40bに挿通される軸体40cとで回転自在に構成されている。
【0055】
次に、上述した構成のプロテクタ1に、ワイヤーハーネスWを収容して挿通状態となるように組付ける工程について簡単に説明する。
まず、作業者または組立装置は、
図2(b)に示すように、カバー30が開いた状態において、プロテクタ本体10の上方の開口を介して、ワイヤーハーネスWを底面部11に載置する。
【0056】
その後、作業者または組立装置は、
図2に示すように、底面部11に対向するようにカバー30を正面視時計回りに枢動させる。この際、作業者または組立装置は、カバー30の貫通孔31aにプロテクタ本体10の突出部14を挿通しながら、カバー30を枢動させる。
【0057】
そして、カバー30がプロテクタ本体10に当接すると、作業者または組立装置は、
図2(a)に示すように、カバー30の貫通孔31aから露出した突出部14を第2側壁部13の外側面13aへ向けて湾曲させる。
【0058】
さらに、作業者または組立装置は、湾曲させた突出部14の先端を、プロテクタ本体10の固定部15に上方から下方へ向けて挿入して、突出部14を固定部15に係合させる。
このようにして、作業者または組立装置は、カバー30をプロテクタ本体10に固定して、プロテクタ1の内部へのワイヤーハーネスWの挿通を完了する。
【0059】
以上のように、実施例1のプロテクタ1は、底面部11及び一対の対向する側壁部(第1側壁部12、第2側壁部13)を有する断面凹状のプロテクタ本体10と、底面部11に対向するプロテクタ本体10の開口を閉塞するカバー30とが備えられ、内部を挿通するワイヤーハーネスWを保護している。
【0060】
このプロテクタ1は、第1側壁部12とカバー30とを枢動可能に連結するカバー枢動部40が設けられたものである。
さらに、プロテクタ本体10は、底面部11からプロテクタ本体10の開口へ向かう離間方向(下方から上方)へ向けて、第2側壁部13の上端面から突出した突出部14が設けられたものである。
【0061】
そして、カバー30は、プロテクタ本体10の開口を閉塞した状態において、突出部14が貫通する貫通孔31aが設けられたものである。
これによれば、プロテクタ1は、ワイヤーハーネスWを挟み込むことなく、内部にワイヤーハーネスWを挿通させることができる。
【0062】
具体的には、カバー30を枢動させてプロテクタ本体10の開口を閉塞する際、プロテクタ本体10の突出部14がカバー30の貫通孔31aに挿入されるため、突出部14が、カバー30の枢動を阻害することがない。
【0063】
さらに、第2側壁部13の上端面から突出しているため、突出部14は、第2側壁部13とカバー30との間にワイヤーハーネスW、あるいはワイヤーハーネスWを構成する電線が位置することを阻止できる。
【0064】
このため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の開口をカバー30で閉塞する際、第2側壁部13とカバー30との間にワイヤーハーネスW、あるいはワイヤーハーネスWを構成する電線が挟まれることを、突出部14によって阻止できる。
これにより、プロテクタ1は、ワイヤーハーネスWを挟み込むことなく、内部にワイヤーハーネスWを挿通させることができる。
【0065】
また、カバー30は、プロテクタ本体10の開口を閉塞した状態において、突出部14を設けた第2側壁部13の外側面13aに重なり合う延出部32が設けられたものである。
この構成によれば、プロテクタ本体10の開口が閉塞された状態において、カバー30の延出部32がプロテクタ本体10の第2側壁部13に重なり合うため、プロテクタ1は、第2側壁部13が対向する第1側壁部12と離間するように変形することを阻止できる。
【0066】
このため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10とカバー30との間に隙間が生じることを防止できる。
さらに、プロテクタ本体10の開口とカバー30との間に隙間が生じた場合であっても、プロテクタ1は、プロテクタ1の内部に異物が侵入することをカバー30の延出部32によって防止できる。
【0067】
これにより、プロテクタ1は、内部に挿通されたワイヤーハーネスWが、異物の侵入によって損傷することを抑えられる。加えて、仮にプロテクタ本体10の開口とカバー30との間に隙間が生じた場合であっても、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の開口を介してワイヤーハーネスWが外部に飛び出すことをプロテクタ本体10の突出部14によって阻止することができる。
【0068】
また、プロテクタ1は、貫通孔31aを通って露出した突出部14を保持固定する固定部15が設けられたものである。さらに、突出部14は、可撓性を有する帯状に形成されている。そして、固定部15は、突出部14を設けた第2側壁部13の外側面13aに設けられたものである。
【0069】
この構成によれば、カバー30がプロテクタ本体10に固定されるため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10からカバー30が離脱することを確実に阻止して、プロテクタ本体10の開口が閉塞された状態を安定して維持することができる。
【0070】
さらに、カバー30の枢動方向とは逆方向に突出部14が湾曲するため、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の開口を閉塞したカバー30が意図せず枢動することを防止できる。
【0071】
この場合、プロテクタ1は、プロテクタ本体10の開口が閉塞された状態をより安定して維持することができる。
これにより、プロテクタ1は、内部に挿通されたワイヤーハーネスWがプロテクタ本体10の開口を介して外部に飛び出すことをより確実に防止できる。
より詳しくは、固定部19は、上下方向に貫通した開口を有する平面視略矩形の柱状体であって、第1側壁部12の外側面12aに突設されている。詳細な図示を省略するが、この固定部19の内面は、所謂結束バンドと略同じように、突出部18の突起に係止される係止爪が形成されている。
以上のような構成のため、実施例2のプロテクタ2は、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。さらに、プロテクタ2は、固定部19が、突出部18を設けた第2側壁部16に対向する第1側壁部12の外側面12aに設けられたものである。
この構成によれば、カバー30がプロテクタ本体10に固定されるため、プロテクタ2は、プロテクタ本体10からカバー30が離脱することを確実に阻止して、プロテクタ本体10の開口が閉塞された状態を安定して維持することができる。
これにより、プロテクタ2は、内部に挿通されたワイヤーハーネスWがプロテクタ本体10の開口を介して外部に飛び出すことをより確実に防止できる。
さらに、プロテクタ2は、突出部18を設けた第2側壁部16が底部枢動部17を支点に傾倒することを、突出部18と固定部19との協働によって防止できる。このため、プロテクタ2は、内部に挿通されたワイヤーハーネスWが、突出部18を設けた第2側壁部16との接触によって損傷することを防止できる。
また、底面部11に対して第2側壁部16が枢動可能なため、プロテクタ2は、プロテクタ本体10の開口をより大きく拡げることができる。このため、プロテクタ2は、プロテクタ本体10の内部へのワイヤーハーネスWの配置をより容易にすることができる。