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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129310
(43)【公開日】2022-09-05
(54)【発明の名称】画像プローブ
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/36 20060101AFI20220829BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20220829BHJP
   G03B 3/00 20210101ALI20220829BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220829BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20220829BHJP
【FI】
G02B21/36
G02B7/28 H
G03B3/00
G02B7/02 Z
G02B7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027997
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄基
(72)【発明者】
【氏名】益田 紀彦
【テーマコード(参考)】
2H044
2H052
2H151
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H044AJ07
2H044BB00
2H052AA14
2H052AC06
2H052AC17
2H052AD29
2H052AD31
2H052AD37
2H052AF14
2H151AA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工装置への着脱作業を容易に実行可能な画像プローブ等の観察装置を提供する。
【解決手段】画像プローブ100は、ワークを撮像する撮像装置140と、撮像装置140にワークの像を結像させる合焦レンズ132と、合焦レンズ132に光を導く対物レンズ131と、撮像装置140及び合焦レンズ132を収容するカバー150と、カバー150に取り付けられた持手部160と、を備える。また、持手部160は、カバー150から離れた位置に設けられた把持部162を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを撮像する撮像装置と、
前記撮像装置に前記ワークの像を結像させる合焦レンズと、
前記合焦レンズに光を導く対物レンズと、
前記撮像装置及び前記合焦レンズを収容するカバーと、
前記カバーに接続され、加工装置に取り付け可能に構成された取付機構と、
前記カバーに取り付けられた持手部と
を備え、
前記持手部は、前記カバーから離れた位置に設けられた把持部を備える
画像プローブ。
【請求項2】
加工装置に取り付け可能に構成され、
前記把持部は、前記画像プローブの前記加工装置に対する取付方向と交差する第1方向において、前記カバーから離れている
請求項1記載の画像プローブ。
【請求項3】
前記把持部は、前記第1方向から見て、前記第1方向と異なる第2方向に延伸し、
前記第2方向と前記取付方向との角度差は、30°以下である
請求項2記載の画像プローブ。
【請求項4】
前記把持部は、前記取付方向及び前記第1方向と垂直な第3方向から見て、前記第1方向と異なる第4方向に延伸し、
前記第4方向と前記取付方向との角度差は、30°以下である
請求項2又は3記載の画像プローブ。
【請求項5】
前記画像プローブの重心位置の前記取付方向における位置を第1位置とすると、
前記把持部は、前記取付方向において、前記第1位置を含む領域にわたって設けられている
請求項2~4のいずれか1項記載の画像プローブ。
【請求項6】
前記把持部の前記カバーと反対側の面の少なくとも一部は、前記把持部を把持した場合に掌に接する凸状の曲面である
請求項1~5のいずれか1項記載の画像プローブ。
【請求項7】
前記把持部の前記カバー側の面の少なくとも一部は、前記把持部を把持した場合にいずれかの指に接する凹状の曲面である
請求項1~6のいずれか1項記載の画像プローブ。
【請求項8】
前記撮像装置に接続された第1電源線及び信号線と、
前記カバーに収容され、又は、前記カバーに取り付けられた照明装置と、
前記照明装置に接続された第2電源線と
を備え、
前記把持部は、前記第1電源線、前記第2電源線及び前記信号線の一部を挿通可能な挿通部を備える
請求項1~7のいずれか1項記載の画像プローブ。
【請求項9】
前記カバーに収容され、又は、前記カバーに取り付けられた照明装置と、
前記カバーに収容され、前記照明装置及び前記撮像装置の少なくとも一方に電力を供給する電力供給手段と
を備える請求項1~7のいずれか1項記載のケーブルレスの画像プローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工機等の加工装置に取付可能な画像プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
放電加工機等の加工装置によってワークを加工した場合、加工後のワークの形状の観察・寸法の測定等のために、加工装置に観察装置を取り付ける場合がある。また、観察・測定の結果、加工が終了していなかった場合、ワークを再度加工するために、加工装置から観察装置を取り外す場合がある。加工と観察・測定を繰り返し行う場合、この着脱作業を繰り返し行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭和57-081032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記着脱作業においては、観察装置を取り落としてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、この様な課題に鑑みなされたものであり、加工装置への着脱作業を容易に実行可能な画像プローブ等の観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の実施形態に係る画像プローブは、ワークを撮像する撮像装置と、撮像装置にワークの像を結像させる合焦レンズと、合焦レンズに光を導く対物レンズと、撮像装置及び合焦レンズを収容するカバーと、カバーに接続され、加工装置に取り付け可能に構成された取付機構と、カバーに取り付けられた持手部と、を備える。また、持手部は、カバーから離れた位置に設けられた把持部を備える。
【0007】
この様な構成によれば、カバー外周面ではなく把持部を把持した状態で、画像プローブの加工装置への着脱作業を実行することが可能である。これにより、画像プローブの取り落としを抑制して、加工装置への着脱作業を容易に実行可能な画像プローブを提供することが可能である。
【0008】
上記画像プローブは、加工装置に取り付け可能に構成されていても良い。また、把持部は、画像プローブの加工装置に対する取付方向と交差する第1方向において、カバーから離れていても良い。
【0009】
この様な場合、上記把持部は、第1方向から見て、第1方向と異なる第2方向に延伸していても良い。また、第2方向と取付方向との角度差は、30°以下であっても良い。
【0010】
また、この様な場合、上記把持部は、取付方向及び第1方向と垂直な第3方向から見て、第1方向と異なる第4方向に延伸していても良い。また、第4方向と取付方向との角度差は、30°以下であっても良い。
【0011】
この様な構成によれば、把持部を把持した状態で画像プローブの姿勢を安定した状態に保つことが容易となり、且つ、この状態で画像プローブを取付方向に移動させることが容易となる。
【0012】
また、画像プローブの重心位置の取付方向における位置を第1位置とすると、把持部は、取付方向において、第1位置を含む領域にわたって設けられていても良い。
【0013】
この様な構成によれば、画像プローブの重心と近い位置に把持部を設けることが可能である。従って、把持部を把持した状態で画像プローブの姿勢を安定した状態に保つことが容易となる。
【0014】
また、把持部のカバーと反対側の面の少なくとも一部は、把持部を把持した場合に掌に接する凸状の曲面であっても良い。
【0015】
また、把持部のカバー側の面の少なくとも一部は、把持部を把持した場合にいずれかの指に接する凹状の曲面であっても良い。
【0016】
また、画像プローブは、撮像装置に接続された第1電源線及び信号線と、カバーに収容され、又は、カバーに取り付けられた照明装置と、照明装置に接続された第2電源線と、を備えていても良い。また、把持部は、第1電源線、第2電源線及び信号線の一部を挿通可能な挿通部を備える。
【0017】
この様な構成によれば、電源線等を一ヶ所からまとめて引き出すことが可能となり、画像プローブの取り扱いが容易となる。これにより、加工装置への着脱作業をより容易に実行可能な画像プローブを提供することが可能となる。
【0018】
また、画像プローブは、カバーに収容され、又は、カバーに取り付けられた照明装置と、カバーに収容され、照明装置及び撮像装置の少なくとも一方に電力を供給する電力供給手段と、を備えるケーブルレスの画像プローブであっても良い。
【発明の効果】
【0019】
この様な構成によれば、加工装置への着脱作業を容易に実行可能な画像プローブを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】放電加工機10の構成を示す模式的な正面図である。
図2】放電加工機10の構成を示す模式的な正面図である。
図3】画像プローブ100の構成を示す模式的な図である。
図4】画像プローブ100の構成を示す模式的な側面図である。
図5】画像プローブ100の構成を示す模式的な正面図である。
図6】画像プローブ100の構成を示す模式的な上面図である。
図7】画像プローブ100及び取付機構16の構成を示す模式的な側面図である。
図8】第2実施形態に係る画像プローブ220の構成を示す模式的な側面図である。
図9】第3実施形態に係る画像プローブ230の構成を示す模式的な側面図である。
図10】第4実施形態に係る画像プローブ240の構成を示す模式的な正面図である。
図11】第5実施形態に係る画像プローブ250の構成を示す模式的な側面図である。
図12】第6実施形態に係る画像プローブ260の構成を示す模式的な上面図である。
図13】第7実施形態に係る画像プローブ270の構成を示す模式的な側面図である。
図14】第8実施形態に係る画像プローブ300の構成を示す模式的な図である。
図15】画像プローブ300の構成を示す模式的な側面図である。
図16】画像プローブ300の構成を示す模式的な正面図である。
図17】画像プローブ300の構成を示す模式的な上面図である。
図18】画像プローブ300及び取付機構16´の構成を示す模式的な側面図である。
図19】第9実施形態に係る画像プローブ400の構成を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明のいくつかの実施形態に係る画像プローブについて説明する。
【0022】
尚、以下の説明において、同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0023】
また、以下の説明では、画像プローブの対物レンズの光軸方向、及び、画像プローブの加工装置に対する取付方向がZ方向と一致する例について説明する。しかしながら、この様な構成はあくまでも説明のための例示であり、具体的な構成等は適宜調整可能である。
【0024】
また、以下の説明では、画像プローブを取り付ける加工装置として、放電加工機を例示する。しかしながら、画像プローブを取り付ける加工装置は、放電加工機でなくても良い。
【0025】
[第1実施形態]
図1及び図2は、放電加工機10の構成を示す模式的な正面図である。図1は、ワーク14の加工中の様子を示している。図2は、ワーク14の観察・測定中の様子を示している。
【0026】
図1に示す様に、放電加工機10は、基台11と、基台11上に設けられた加工槽12と、を備える。加工槽12中には、加工液13と、ワーク14と、が設けられている。また、放電加工機10は、加工電極15を取り付け可能に構成された取付機構16と、取付機構16及び加工槽12のZ方向における位置関係を調整可能なZ軸駆動機構17と、取付機構16及び加工槽12のX方向における位置関係を調整可能なX軸駆動機構18と、取付機構16及び加工槽12のY方向における位置関係を調整可能なY軸駆動機構19と、を備える。
【0027】
図1に示す様に、ワーク14の加工に際しては、取付機構16に加工電極15が取り付けられている。また、ワーク14全体、及び、加工電極15の少なくとも一部が加工液13に浸っている。
【0028】
図2に示す様に、ワーク14の観察・測定に際しては、取付機構16に画像プローブ100が取り付けられている。また、ワーク14の少なくとも上面、及び、画像プローブ100は加工液13に浸っていない。
【0029】
図3は、画像プローブ100の構成を示す模式的な図である。画像プローブ100は、落射照明装置110と、暗視野照明装置120と、光学系130と、撮像装置140と、これらの少なくとも一部を収容するカバー150と、カバー150に取り付けられた持手部160と、を備える。
【0030】
落射照明装置110は、例えば、LED等の照明装置である。落射照明装置110は、例えば、カバー150に収容されていても良い。
【0031】
暗視野照明装置120は、例えば、LED等の照明装置である。暗視野照明装置120は、例えば、環状に構成されたリング照明であっても良い。暗視野照明装置120は、例えば、カバー150に対して着脱可能に構成されていても良い。
【0032】
光学系130は、例えば、ワーク14と対向する対物レンズ131と、対物レンズ131を通して入射した光に基づいてワーク14の像を撮像装置140の撮像面に結像させる合焦レンズ132と、を備える。また、光学系130は、落射照明装置110から照射された光を反射するミラー133と、ミラー133で反射された光を反射し、対物レンズ131を介してワーク14に導くと共に、ワーク14で反射され対物レンズ131を通して入射した光を透過させるハーフミラー134と、を備える。対物レンズ131は、例えば、カバー150に対して着脱可能に構成されていても良い。合焦レンズ132、ミラー133及びハーフミラー134は、例えば、カバー150に収容されていても良い。
【0033】
撮像装置140は、例えば、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等の撮像装置である。撮像装置140は、例えば、カバー150に収容されていても良い。
【0034】
図4は、画像プローブ100の構成を示す模式的な側面図である。図5は、画像プローブ100の構成を示す模式的な正面図である。図6は、画像プローブ100の構成を示す模式的な上面図である。図7は、画像プローブ100及び取付機構16の構成を示す模式的な側面図である。
【0035】
カバー150は、例えば図4に示す様に、本体部151と、本体部151の上端に設けられたクランプ軸152と、を備える。
【0036】
本体部151は、落射照明装置110、合焦レンズ132、ミラー133、ハーフミラー134、及び、撮像装置140を収容する。
【0037】
クランプ軸152は、放電加工機10への自動着脱が可能な取付機構を構成する。クランプ軸152は、Z方向に延伸する略円柱状の形状を有する。クランプ軸152は、半径が比較的小さい凹部153と、この凹部153よりも上方に設けられ、凹部153よりも半径が大きい凸部154と、を備える。
【0038】
尚、図7に例示する取付機構16は、クランプ軸152を収容可能な基部21と、クランプ軸152の凹部153に当接する複数の球22と、球22の径方向における移動を拘束する複数の拘束部材23と、拘束部材23に弾性力を付与するコイルバネ24と、を備える。基部21は、クランプ軸152を収容可能な孔部31を備える。孔部31は、Z方向に延伸する。また、基部21は、球22を径方向に移動可能に収容する孔部32を備える。孔部32は、孔部31と連通し、径方向に延伸する。また、基部21は、拘束部材23をZ方向に移動可能に収容する収容部33を備える。収容部33は、孔部32と連通する。また、基部21は、収容部33と連通する孔部34を備える。
【0039】
画像プローブ100が取付機構16に取り付けられた状態では、拘束部材23のZ方向における位置がコイルバネ24によって固定されている。この状態では、拘束部材23によって球22の径方向における位置が拘束され、且つ、球22がクランプ軸152の凹部153に当接する。
【0040】
画像プローブ100を取付機構16から取り外す場合には、孔部34から空気を注入する。これにより、拘束部材23が下方に押圧され、球22が径方向において移動可能な状態となる。この状態で画像プローブ100を下方に引き抜くことにより、画像プローブ100が取付機構16から取り外される。
【0041】
画像プローブ100を取付機構16に取り付ける場合にも、孔部34から空気を注入する。これにより、拘束部材23が下方に押圧され、球22が径方向において移動可能な状態となる。この状態で画像プローブ100を下方から上方に移動させてクランプ軸152を孔部31に収容し、この状態で孔部34への空気の注入を中止することにより、画像プローブ100が取付機構16に取り付けられる。
【0042】
持手部160は、例えば図4に示す様に、カバー150に接続されY方向に延伸する支持部161と、支持部161に接続されZ方向に延伸する把持部162と、を備える。
【0043】
支持部161は、図示の例では、Y方向に延伸する略四角筒状の形状を備える。ただし、支持部161は、カバー150と把持部162との位置関係を固定するものであれば、どの様な形状を備えていても良い。また、支持部161は、図4に例示する様に、把持部162の上端に接続された部分を備えていても良い。
【0044】
把持部162は、Y方向において、カバー150から離れた位置に設けられている。
【0045】
また、把持部162は、カバー150よりも容易に把持できる様な形状及び大きさを備える。例えば、把持部162は、Z方向に延伸する略四角筒状の形状を備える。また、把持部162のX方向における幅は、カバー150のX方向における幅よりも小さい。また、把持部162のY方向における幅は、カバー150のY方向における幅よりも小さい。
【0046】
また、把持部162は、画像プローブ100の重心点Pの近傍に設けられている。例えば、画像プローブ100の重心点PのZ方向における位置をZとすると、把持部162は、Zを含む範囲において、Z方向に延伸している。
【0047】
また、把持部162は、画像プローブ100等をテーブル等に載置することが容易となる様な形状及び大きさを備える。例えば図4に示す様に、把持部162の下端のZ方向における位置は、画像プローブ100の下面のZ方向における位置よりも上方に設けられている。尚、図示の例では、画像プローブ100の下面と暗視野照明装置120の下面とが一致する。また、暗視野照明装置120の下面は、円環状の形状を有する。また、例えば図6に示す様に、Z方向から見た場合に、画像プローブ100の重心点Pが、暗視野照明装置120の下面の外接円の範囲内に位置している。
【0048】
また、上述の通り、支持部161及び把持部162は、略四角筒状の形状を有する。これら支持部161及び把持部162内部の空間は、挿通部として機能する。即ち、図4には、落射照明装置110の電源線111、暗視野照明装置120の電源線121、撮像装置140の電源線141、及び、撮像装置140の信号線142を図示している。これらの電源線111,121,141及び信号線142は、カバー150内部の空間、支持部161内部の空間、及び、把持部162内部の空間を通って、把持部162の下端に引き出されている。
【0049】
ここで、上述の通り、放電加工機10によってワーク14を加工した場合、加工後のワーク14の形状等を観察・測定するために、放電加工機10の取付機構16から加工電極15を取外し、観察装置を取り付ける場合がある。また、観察・測定の結果、加工が終了していなかった場合には、取付機構16から観察装置を取外し、加工電極15を取り付ける場合がある。加工と観察・測定を繰り返し行う場合、この着脱作業を繰り返し行う場合がある。
【0050】
ここで、上記着脱作業においては、観察装置を取り落としてしまう恐れがある。例えば、観察装置のX方向及びY方向の幅が大きすぎたり、観察装置が重すぎたりする場合、上記着脱作業において観察装置が作業者の手から滑り落ちてしまう恐れがある。また、観察装置から多数の電源線等が引き出されている場合、この電源線等が放電加工機10又はその他の構成に絡まったりしてしまい、この電源線等の張力によって観察装置に意図しない方向の力が加わってしまい、観察装置が作業者の手から滑り落ちてしまう恐れがある。もし観察装置が取り落とされてしまった場合、観察装置が破損してしまう恐れがある。特に、放電加工機10を使用する場合には、観察装置が加工液13中に取り落とされてしまう恐れがある。
【0051】
ここで、第1実施形態に係る画像プローブ100は、撮像装置140等を収容するカバー150と、カバー150に取り付けられた持手部160と、を備える。また、持手部160は、カバー150から離れた位置に設けられた把持部162を備える。
【0052】
この様な構成によれば、カバー150外周面ではなく把持部162を把持した状態で、画像プローブ100の放電加工機10への着脱作業を実行することが可能である。これにより、画像プローブ100の取り落としを抑制して、放電加工機10への着脱作業を容易に実行可能な画像プローブ100を提供することが可能である。
【0053】
また、本実施形態においては、画像プローブ100の放電加工機10に対する取付方向(Z方向)と、把持部162の延伸方向(Z方向)と、が一致する。
【0054】
この様な構成によれば、把持部162を把持した状態で画像プローブ100の姿勢を安定した状態に保つことが容易となり、且つ、この状態で画像プローブ100を取付方向(Z方向)に移動させることが容易となる。
【0055】
また、図4を参照して説明した様に、把持部162は、Z(画像プローブ100の重心点PのZ方向における位置)を含む範囲において、Z方向に延伸している。
【0056】
この様な構成によれば、画像プローブ100の重心と近い位置に把持部162を設けることが可能である。従って、把持部162を把持した状態で画像プローブ100の姿勢を安定した状態に保つことが容易となる。
【0057】
また、画像プローブ100は、落射照明装置110の電源線111、暗視野照明装置120の電源線121、撮像装置140の電源線141、及び、撮像装置140の信号線142の一部を挿通可能な挿通部を備える。
【0058】
この様な構成によれば、落射照明装置110の電源線111、暗視野照明装置120の電源線121、撮像装置140の電源線141、及び、撮像装置140の信号線142を一ヶ所からまとめて引き出すことが可能となり、画像プローブ100の取り扱いが容易となる。これにより、放電加工機10への着脱作業をより容易に実行可能な画像プローブを提供することが可能となる。
【0059】
[その他の実施形態]
以上、本発明の第1実施形態に係る画像プローブ100について説明した。しかしながら、以上の構成はあくまでも例示であり、具体的な構成は適宜調整可能である。
【0060】
例えば、図4及び図5を参照して説明した様に、第1実施形態においては、把持部162の延伸方向(Z方向)が、画像プローブ100の取付方向(Z方向)と一致していた。上述の通り、この様な構成によれば、把持部162を把持した状態で画像プローブ100の姿勢を安定した状態に保つことが容易となり、且つ、この状態で画像プローブ100を取付方向(Z方向)に移動させることが容易となる。
【0061】
しかしながら、把持部の延伸方向と、画像プローブの取付方向と、が厳密に一致しない場合であっても、把持部を把持した状態で画像プローブの姿勢を安定した状態に保ち、且つ、この状態で画像プローブを取付方向に移動させることは可能である。例えば、把持部の延伸方向と、画像プローブの取付方向と、の角度差を、+-30°以内の範囲で傾けても良い。また、把持部の延伸方向は、YZ平面において傾いていても良いし、XZ平面において傾いていても良いし、その他のZ軸方向を含む平面において傾いていても良い。この様な場合には、この様な効果を十分に奏することが可能である。
【0062】
例えば、図8には、第2実施形態に係る画像プローブ220を例示している。画像プローブ220は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ220は、持手部160のかわりに、持手部221を備える。持手部221は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部221は、把持部162のかわりに、把持部222を備える。把持部222は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、図8に例示する様なYZ平面において、支持部161と把持部222との接続部分を中心として、把持部222を時計回りに回転させる方向を正方向、反時計回りに回転させる方向を負方向とした場合に、把持部222の延伸方向は、YZ平面において、画像プローブ220の取付方向(Z方向)に対して、-30°傾いている。
【0063】
また、例えば、図9には、第3実施形態に係る画像プローブ230を例示している。画像プローブ230は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ230は、持手部160のかわりに、持手部231を備える。持手部231は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部231は、把持部162のかわりに、把持部232を備える。把持部232は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、上述の様な方法によって回転方向を規定した場合に、把持部232の延伸方向は、YZ平面において、画像プローブ230の取付方向(Z方向)に対して、+30°傾いている。
【0064】
また、例えば、図10には、第4実施形態に係る画像プローブ240を例示している。画像プローブ240は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ240は、持手部160のかわりに、持手部241を備える。持手部241は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部241は、把持部162のかわりに、把持部242を備える。把持部242は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、図10に例示する様なXZ平面において、支持部161と把持部242との接続部分を中心として、把持部242を時計回りに回転させる方向を正方向、反時計回りに回転させる方向を負方向とした場合に、把持部242の延伸方向は、XZ平面において、画像プローブ240の取付方向(Z方向)に対して、-30°傾いている。
【0065】
尚、図10の例では、支持部161と把持部242とが別部材で構成されており、支持部161に、1つの円に沿って延伸する一対の長孔243が設けられている。長孔243は、把持部242の延伸方向が、XZ平面において、画像プローブ240の取付方向(Z方向)に対して、+-30°の範囲で調整可能となる様に構成されている。
【0066】
また、例えば、図4及び図6を参照して説明した様に、第1実施形態においては、把持部162が、略四角筒状に形成されていた。従って、把持部162の前面(把持部162を-Y方向から把持した場合に、掌に接する部分)及び背面(把持部162を-Y方向から把持した場合に、指に接する部分)が、平坦に形成されていた。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。
【0067】
例えば、図11には、第5実施形態に係る画像プローブ250を例示している。画像プローブ250は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ250は、持手部160のかわりに、持手部251を備える。持手部251は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部251は、把持部162のかわりに、把持部252を備える。把持部252は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、把持部252は、YZ平面において、前面が凸状の曲面であり、背面が凹面状の曲面である。
【0068】
また、例えば、図12には、第6実施形態に係る画像プローブ260を例示している。画像プローブ260は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ260は、持手部160のかわりに、持手部261を備える。持手部261は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部261は、把持部162のかわりに、把持部262を備える。把持部262は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、把持部262は、XY平面において、前面が凸状の曲面である。尚、把持部262の背面は、XY平面において、平坦であっても良いし、凸状の曲面であっても良いし、凹状の曲面であっても良い。
【0069】
また、例えば、図13には、第7実施形態に係る画像プローブ270を例示している。画像プローブ270は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ270は、持手部160のかわりに、持手部271を備える。持手部271は、基本的には持手部160と同様に構成されている。ただし、持手部271は、把持部162のかわりに、把持部272を備える。把持部272は、基本的には把持部162と同様に構成されている。ただし、把持部272の背面には、Z方向に並ぶ4つの曲面273が形成されている。これら4つの曲面273は、YZ平面において凹面状に形成されている。これら4つの曲面273は、それぞれ、把持部272を-Y方向から把持した場合に、人差し指、中指、薬指及び小指に接する。
【0070】
また、例えば、図4を参照して説明した様に、第1実施形態においては、持手部160内部の空間が、電源線111,121,141及び信号線142を通す挿通部として機能していた。しかしながら、この様な構成は例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。
【0071】
例えば、図14図17には、第8実施形態に係る画像プローブ300を例示している。画像プローブ300は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ300は、カバー150に収容された電源装置350と、データ信号入出力端子371及び電源端子372,373と、を備える。
【0072】
本実施形態においては、撮像装置140が、データ信号入出力端子371を介して、放電加工機10との間でデータ信号の入出力を行う。
【0073】
電源装置350は、例えば、電源端子372,373を介して放電加工機10から電力を供給され、この電圧を降圧して、落射照明装置110の駆動に適した電圧、暗視野照明装置120の駆動に適した電圧、及び、撮像装置140の駆動に適した電圧を生成する。また、これらの電圧を、それぞれ、落射照明装置110、暗視野照明装置120、及び、撮像装置140に供給する。電源装置350は、例えば、変圧器を含む。
【0074】
図17の例では、クランプ軸152を中心とする環状の領域に、データ信号入出力端子371、電源端子372,373が配置される。データ信号入出力端子371、電源端子372,373は、例えば図18に例示する様に、画像プローブ300が取付機構16´に取り付けられた状態において、取付機構16´に設けられた電極41,42に接続される。尚、電極42は、例えば、加工電極15(図1)に加工用の電力を供給する電極であっても良い。
【0075】
この様な構成では、撮像装置140と外部とのデータ信号の入出力、並びに、落射照明装置110、暗視野照明装置120及び撮像装置140への電力の供給が、取付機構16´を介して実行される。従って、画像プローブ300をケーブルレスの構成とすることが可能である。従って、例えば図15及び図16に示す様に、持手部160に挿通部を設けなくても良い。
【0076】
また、例えば、図19には、第9実施形態に係る画像プローブ400を例示している。画像プローブ400は、基本的には第1実施形態に係る画像プローブ100と同様に構成されている。ただし、画像プローブ400は、第8実施形態に係る画像プローブ300と同様に、電源装置350を備える。また、画像プローブ400は、データ信号送受信装置401、無線給電の受信装置402、バッテリー403及びスイッチ回路404を備える。これらの構成は、カバー150に収容されている。
【0077】
データ信号送受信装置401は、撮像装置140に接続されている。撮像装置140は、例えば、データ信号送受信装置401を介して、図示しない外部装置との間でデータ信号の入出力を行う。データ信号の入出力は、無線通信によって行われる。
【0078】
無線給電の受信装置402は、スイッチ回路404を介してバッテリー403に接続される。無線給電の受信装置402は、例えば、図示しない外部装置から無線給電によって電力を供給され、この電力によってバッテリー403の充電を行う。
【0079】
バッテリー403は、スイッチ回路404を介して電源装置350及び無線給電の受信装置402に接続されている。電源装置350は、例えば、バッテリー403から電力を供給され、バッテリー403の電圧を調整して、落射照明装置110の駆動に適した電圧、暗視野照明装置120の駆動に適した電圧、及び、撮像装置140の駆動に適した電圧を生成する。
【0080】
この様な構成では、撮像装置140と外部とのデータ信号の入出力、並びに、落射照明装置110、暗視野照明装置120及び撮像装置140への電力の供給が、無線通信及び無線給電によって実行される。従って、画像プローブ400をケーブルレスの構成とすることが可能である。従って、持手部160に挿通部を設けなくても良い。
【符号の説明】
【0081】
100…画像プローブ、110…落射照明装置、111…電源線、120…暗視野照明装置、121…電源線、130…光学系、140…撮像装置、141…電源線、142…信号線、150…カバー、160…持手部、161…支持部、162…把持部、P…重心点、Z…重心位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19