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特開2022-129701両面研磨装置及び研磨布のドレッシング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022129701
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】両面研磨装置及び研磨布のドレッシング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220830BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20220830BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L21/304 622M
B24B53/017 Z
B24B37/08
H01L21/304 621A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028483
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓也
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA08
3C047AA16
3C047AA22
3C047AA34
3C047EE05
3C158AA07
3C158AA19
3C158AC02
3C158CA01
3C158CB01
3C158EA01
3C158EB02
3C158ED00
5F057AA03
5F057AA31
5F057BA12
5F057BB03
5F057CA19
5F057DA02
5F057EB27
5F057FA17
5F057FA36
5F057FA39
5F057GA02
5F057GA28
5F057GB01
5F057GB24
(57)【要約】
【課題】コンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできる両面研磨装置、及びコンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできるドレッシング方法を提供すること。
【解決手段】研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置であって、高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随しており、前記ドレッシング装置は、前記上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構を有するものであることを特徴とする両面研磨装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置であって、
高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随しており、
前記ドレッシング装置は、前記上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構を有するものであることを特徴とする両面研磨装置。
【請求項2】
前記ドレッシング装置が、前記上側及び下側コンディションニングヘッドのそれぞれへの圧力を測定するための圧力センサを更に有し、
前記圧力調整機構は、前記圧力センサによる圧力測定結果に基づき、前記上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置。
【請求項3】
研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置における研磨布のドレッシング方法であって、
前記両面研磨装置として、高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随した装置を用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドを、圧力調整機構を用いてそれぞれ独立した圧力で加圧することで前記研磨布に押し当てながら、該研磨布をドレッシングすることを特徴とするドレッシング方法。
【請求項4】
前記ドレッシング装置として、圧力センサを更に有するものを用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力センサを用いて測定し、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力の測定結果に基づき、前記両面研磨装置の前記上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられた前記アームの走査精度及び定盤の回転精度に合わせて調整して、前記研磨布をドレッシングすることを特徴とする請求項3に記載のドレッシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの両面研磨装置、及び研磨布のドレッシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路線幅の微小化に伴い、その基板である半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」とも称する。)に要求される平坦度はますます厳しくなってきている。このような中で、大直径ウェーハを研磨する際には、従来の片面研磨に代わってより加工精度の優れた両面研磨方式が採用されている。
【0003】
ここで、両面研磨装置において、研磨後の研磨布にはシリコン屑やスラリー液などが染み込んで研磨レートの低下や、ウェーハへのキズの原因となる。そこで研磨終了時に高圧洗浄水を噴射して研磨布内のシリコン屑やスラリー液などを除去している(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、それだけでは研磨布内のシリコン屑やスラリー液などを除去しきれないので、研磨終了後に、ワークおよびキャリアを取り外した後に表面にダイヤモンドが電着されたドレッシングプレートを装置に設置し、サンギアとインターナルギアでドレスプレートを回転させながら上定盤、下定盤を回転させてドレッシングしている。
【0005】
このドレッシングプレートを用いたドレッシング方法は装置の生産性を大きく落とすだけではなく、ドレス前後でのウェーハ平坦度を変化させてしまい、ウェーハ品質も悪化させてしまう。
【0006】
そこで、高圧洗浄水を供給するアームに研磨布をドレッシングする為のコンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置(特許文献2)を用いることで、装置の生産性改善、ウェーハ品質の安定化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-9340号公報
【特許文献2】特開2012-741号公報
【特許文献3】特開2000-237948号公報
【特許文献4】特開2015-30058号公報
【特許文献5】特開2017-64874号公報
【特許文献6】特開平10-217102号公報
【特許文献7】特開2002-52463号公報
【特許文献8】特開2004-142083号公報
【特許文献9】特開2010-82768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、コンディショニングヘッドを用いたドレッシング方法の場合、コンディショニングヘッドが取り付けられたアームの走査精度や、装置の定盤の回転精度に依存して研磨布全体に均一な荷重でドレッシングすることが出来なかった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、コンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできる両面研磨装置、及びコンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできるドレッシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置であって、
高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随しており、
前記ドレッシング装置は、前記上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構を有するものであることを特徴とする両面研磨装置を提供する。
【0011】
本発明の両面研磨装置であれば、圧力調整機構を具備することにより、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制でき、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができる。
【0012】
前記ドレッシング装置が、前記上側及び下側コンディションニングヘッドのそれぞれへの圧力を測定するための圧力センサを更に有し、
前記圧力調整機構は、前記圧力センサによる圧力測定結果に基づき、前記上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を調整するものであることが好ましい。
【0013】
このような両面研磨装置であれば、研磨布全体をより確実に均一な荷重でドレッシングすることができる。
【0014】
また、本発明では、研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置における研磨布のドレッシング方法であって、
前記両面研磨装置として、高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随した装置を用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドを、圧力調整機構を用いてそれぞれ独立した圧力で加圧することで前記研磨布に押し当てながら、該研磨布をドレッシングすることを特徴とするドレッシング方法を提供する。
【0015】
本発明の研磨布のドレッシング方法であれば、圧力調整機構を用いることにより、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制しながら、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができる。
【0016】
前記ドレッシング装置として、圧力センサを更に有するものを用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力センサを用いて測定し、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力の測定結果に基づき、前記両面研磨装置の前記上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられた前記アームの走査精度及び定盤の回転精度に合わせて調整して、前記研磨布をドレッシングすることが好ましい。
【0017】
このような研磨布のドレッシング方法であれば、研磨布全体をより確実に均一な荷重でドレッシングすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の両面研磨装置であれば、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制でき、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができる。
【0019】
また、本発明の研磨布のドレッシング方法であれば、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制しながら、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の両面研磨装置の一例を示す概略斜視図である。
図2図1に示す両面研磨装置の一部の概略平面図である。
図3図1に示す両面研磨装置が有するアーム及びドレッシング装置の概略側面図である。
図4】本発明の両面研磨装置の他の例が有するアーム及びドレッシング装置の概略側面図である。
図5】実施例における、コンディショニングヘッドへの圧力を調整する前の圧力変動を示す図である。
図6】コンディショニングヘッドの面圧ばらつきの要因の一例を説明する概略断面図である。
図7】実施例における、上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を調整した後の圧力変動を示す図である。
図8】コンディショニングヘッドの面圧ばらつきの要因の他の例を説明する概略断面図である。
図9】実施例における、上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を更に調整した後の圧力変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上述のように、コンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできる両面研磨装置、及びコンディショニングヘッドを用いたドレッシングで研磨布全体を均一な荷重でドレッシングできるドレッシング方法の開発が求められていた。
【0022】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、高圧洗浄水を供給するアームにドレッシング装置が付随した両面研磨装置において、上側及び下型コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧できるようにすることで、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制でき、その結果、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0023】
即ち、本発明は、研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置であって、
高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随しており、
前記ドレッシング装置は、前記上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構を有するものであることを特徴とする両面研磨装置である。
【0024】
また、本発明は、研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置における研磨布のドレッシング方法であって、
前記両面研磨装置として、高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随した装置を用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドを、圧力調整機構を用いてそれぞれ独立した圧力で加圧することで前記研磨布に押し当てながら、該研磨布をドレッシングすることを特徴とするドレッシング方法である。
【0025】
なお、上記特許文献1及び2以外にも、例えば特許文献3~9においても様々なドレッシング装置やドレッシング方法が提案されているが、いずれの文献にも、高圧洗浄水を供給するアームにドレッシング装置が付随した両面研磨装置において、上側及び下型コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧できるようにすることは記載も示唆もされていない。
【0026】
以下、本発明について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の両面研磨装置の一例を示す概略斜視図である。
図1に示すように、両面研磨装置1は、上下に相対向して設けられた上定盤2と下定盤3とを備えており、上下定盤2及び3には、それぞれ研磨布4a及び4bが貼付されている。キャリア5には半導体ウェーハ(例えば、シリコンウェーハ)を保持するための保持孔6が設けられ、キャリア5が上下定盤2及び3の間に挟まれるようになっている。また、上下定盤2及び3は、それぞれ上下回転軸7及び8によって回転する。
【0028】
両面研磨装置1では、高圧洗浄水を供給するアーム(洗浄アーム)9に、ドレッシング装置10が付随している。アーム9は、旋回軸9aに接続されている。
【0029】
図2は、両面研磨装置1とドレッシング装置10の関係について示している。具体的には、図1の上下定盤2及び3の間から下定盤3側を見た概略平面図である。上下定盤2及び3はそれぞれ回転しており、ドレッシング装置10はアーム9が旋回軸9aを軸として旋回することで、上下定盤2及び3の内から外、または外から内に研磨布4a及び4bのドレッシング(シーズニング)を実施する機構となっている。
【0030】
図3に、図1に示す両面研磨装置1が有するアーム9及びドレッシング装置10の概略側面図を示す。アーム9は、図3にあるように、先端に高圧洗浄水供給装置13を備え、高圧洗浄水噴出口13aから高圧ジェット水が上下に噴出するようになっている。
【0031】
アーム9には、研磨布4aをドレッシングするための上側コンディショニングヘッド(上定盤側ドレス面)11a、及び研磨布4bをドレッシングするための下側コンディショニングヘッド(下定盤側ドレス面)11bが取り付けられている。
【0032】
ドレッシング装置10は、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構12a及び12bを有している。図1図3に示す両面研磨装置1では、ドレッシング装置10が、圧力調整機構12a及び12bとしてのエアバッグを有しており、これらエアバッグによる荷重制御が可能なドレッサーとなっている。もちろん、圧力調整機構は、これには限定されず、上側と下側とでそれぞれ独立して圧力を調整できるものであればよい。
【0033】
次に、本発明のドレッシング方法は、上記のような、本発明の両面研磨装置を用いて行うことができる。研磨布4a及び4bの研磨面のドレッシングを行う際には、図1に示すように、ドレッシング装置10が、上定盤2と下定盤3との間に配置される。上下定盤2及び3を回転させ、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bを圧力調整機構12a及び12bを用いてそれぞれ独立した圧力で加圧することで、研磨布4a及び4bに押し当てながら、研磨布4a及び4bをドレッシングする。
【0034】
図1に示す両面研磨装置では、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bを圧力調整機構12a及び12bを用いてそれぞれ独立した圧力で加圧できるので、アーム9の走査精度及び定盤の回転精度を原因とした、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bの研磨布4a及び4bそれぞれへの面圧のばらつきを抑制しながら、研磨布4a及び4bをドレッシングすることができる。
【0035】
本発明の両面研磨装置及びドレッシング方法は、様々な変形が可能である。
図4は、本発明の両面研磨装置の他の例が有するアーム及びドレッシング装置の概略側面図である。
【0036】
図4に示すドレッシング装置10は、図3に示すドレッシング装置10から、面圧測定機構としての圧力センサ(ロードセル)14を内蔵させ、ドレッシング(シーズニング)中の上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bへの面圧を測定し、モニタリング制御できるように変更したものである。
【0037】
この例では、圧力センサ14によって圧力測定を行い、圧力調整機構12a及び12bにより、圧力測定結果に基づいて、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bへの圧力を、調整するものとしている。
【0038】
このような両面研磨装置では、圧力を測定しながら上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bを走査することで、荷重のばらつきを評価できる。この測定結果(評価結果)に基づいて、圧力調整機構12a及び12bにより調整される圧力条件を最適化したレシピを作成し、このレシピに基づいて研磨布4a及び4bのドレッシングを行なうことができる。その結果、ドレッシング装置10を用いたドレッシングで研磨布4a及び4b全体をより確実に均一な荷重でドレッシングすることができる。
【実施例0039】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
(実施例)
実施例では、図4に示すドレッシング装置を用いたこと以外は図1に示した両面研磨装置1と同様の両面研磨装置を用いて、以下の手順で研磨布のドレッシングを行った。
【0041】
上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bに一定の1kgの圧力を加えて上定盤2と下定盤3を回転させながらドレッシング装置を定盤内側から外側にかけて走査した際に、図5のような圧力変動(面圧ばらつき)が見られる。この圧力変動は2つの要因からばらついていると考えられる。1つはドレッシング装置10を動かすアーム9の走査精度である。図5に示すように、定盤の内側から外側にかけて、下定盤3の圧力が低下し、上定盤2の圧力が上昇する傾向にある。図6に示すように、これはアーム9の位置が内側から外側に行くにしたがって徐々に上に位置が変わってしまっているものと考えられる。これに対して、図7に示すように、定盤の位置に応じて、圧力調整機構12a及び12bを用いて、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bへの圧力(エア圧力)をそれぞれ独立して調節して、上下の面圧を変更することで、研磨布4a及び4bに対する面圧のばらつきが改善された。
【0042】
次に、周期的な圧力の変動が見られるが、これは、図8に示すように、上下定盤2及び3の回転精度に起因したものと考えられる。今回、上定盤2の回転周期での変動が見られた為、上定盤2が傾いて回転している可能性がある。圧力調整機構12a及び12bを用いて、この傾きを調整するように上定盤2の回転角度に応じて、上側及び下側コンディショニングヘッド11a及び11bへの圧力をそれぞれ独立して調節した結果、図9のように面圧のばらつきを低減することが出来た。
【0043】
これらの結果、実施例では、研磨布4a及び4b全体を均一な荷重でドレッシングすることができた。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0045】
1…両面研磨装置、 2…上定盤、 3…下定盤、 4a及び4b…研磨布、 5…キャリア、 6…保持孔、 7…上回転軸、 8…下回転軸、 9…アーム、 9a…旋回軸、 10…ドレッシング装置、 11a…上側ドレッシングヘッド、 11b…下側ドレッシングヘッド、 12a及び12b…圧力調整機構、 13…高圧洗浄水供給装置、 13a…高圧洗浄水噴出口、 14…圧力センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置であって、
高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随しており、
前記ドレッシング装置は、前記上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧することができる圧力調整機構を有するものであることを特徴とする両面研磨装置。
【請求項2】
前記ドレッシング装置が、前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を測定するための圧力センサを更に有し、
前記圧力調整機構は、前記圧力センサによる圧力測定結果に基づき、前記上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置。
【請求項3】
研磨布及び研磨スラリーを用いて半導体ウェーハを両面研磨する装置における研磨布のドレッシング方法であって、
前記両面研磨装置として、高圧洗浄水を供給するアームに、前記研磨布をドレッシングする為の上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられたドレッシング装置が付随した装置を用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドを、圧力調整機構を用いてそれぞれ独立した圧力で加圧することで前記研磨布に押し当てながら、該研磨布をドレッシングすることを特徴とするドレッシング方法。
【請求項4】
前記ドレッシング装置として、圧力センサを更に有するものを用い、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力センサを用いて測定し、
前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を、前記圧力の測定結果に基づき、前記両面研磨装置の前記上側及び下側コンディショニングヘッドが取り付けられた前記アームの走査精度及び定盤の回転精度に合わせて調整して、前記研磨布をドレッシングすることを特徴とする請求項3に記載のドレッシング方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記ドレッシング装置が、前記上側及び下側コンディショニングヘッドのそれぞれへの圧力を測定するための圧力センサを更に有し、
前記圧力調整機構は、前記圧力センサによる圧力測定結果に基づき、前記上側及び下側コンディショニングヘッドへの圧力を調整するものであることが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、高圧洗浄水を供給するアームにドレッシング装置が付随した両面研磨装置において、上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧できるようにすることで、アームの走査精度及び装置の定盤の回転精度に依存した面圧のばらつきを抑制でき、その結果、研磨布全体を均一な荷重でドレッシングすることができることを見出し、本発明を完成させた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
なお、上記特許文献1及び2以外にも、例えば特許文献3~9においても様々なドレッシング装置やドレッシング方法が提案されているが、いずれの文献にも、高圧洗浄水を供給するアームにドレッシング装置が付随した両面研磨装置において、上側及び下側コンディショニングヘッドをそれぞれ独立した圧力で加圧できるようにすることは記載も示唆もされていない。