(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130041
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】粉体の流動評価装置及び粉体の流動評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 11/00 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
G01N11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021028986
(22)【出願日】2021-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 安延
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流れのある液体中における粉体の流動性を評価可能な簡便な評価装置及び評価方法を提供する。
【解決手段】透明な前面パネル1、背面パネル及び外周フレームにより形成された槽の内部を、抜去可能な仕切板3によって前面パネル1側から見て左右方向に第1槽と第2槽との2つに分割してなり、槽の下方に液体流入口4が、槽の上方に液体流出口5が設けられてなる粉体の流動評価装置及びそれを用いた粉体の流動評価方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な前面パネル、背面パネル及び外周フレームにより形成された槽の内部を、抜去可能な仕切板によって前面パネル側から見て左右方向に第1槽と第2槽との2つに分割してなり、前記槽の下方に液体流入口が、前記槽の上方に液体流出口が設けられてなる粉体の流動評価装置。
【請求項2】
前記液体流入口の上流に、液体流入口に流入する液体の流量を測定可能な流量計を備える請求項1に記載の粉体の流動評価装置。
【請求項3】
前記液体流出口から流出した液体を回収可能な液体回収槽が設けられている請求項1又は2に記載の粉体の流動評価装置。
【請求項4】
前記外周フレームが、少なくとも第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームを備え、該下面フレームに前記液体流入口が設けられている請求項1~3のいずれかに記載の粉体の流動評価装置。
【請求項5】
前記前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームにより、上方が開放された略直方体状の空間が形成され、前記液体流出口が、前記前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム及び第2側面フレームにより形成される開口部である請求項4に記載の粉体の流動評価装置。
【請求項6】
前記下面フレームから液体流出口までの距離が、前記第1側面フレームと第2側面フレームとの距離の1~10倍である請求項5に記載の粉体の流動評価装置。
【請求項7】
前記前面パネルと背面パネルとの距離が、前記第1側面フレームと第2側面フレームとの距離の0.02~1倍である請求項5又は6に記載の粉体の流動評価装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の粉体の流動評価装置を用い、第1槽又は第2槽に試料粉体を流し込む第1工程と、液体を前記液体流入口から一定の流量で流入させつつ前記液体流出口から流出させて液体の流通を開始する第2工程と、前記仕切板を抜去する第3工程と、液体の流通下において流動した後の試料粉体の表面の傾斜角度を前記前面パネル越しに観察して測定する第4工程とを含む粉体の流動評価方法。
【請求項9】
前記液体が水である請求項8に記載の粉体の流動評価方法。
【請求項10】
前記流体の流量を変更し、前記第1工程~第4工程を複数回繰り返す請求項8又は9に記載の粉体の流動評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の流動評価装置及び粉体の流動評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体製品においては、流動性が品質管理の一項目となる場合がある。流動性に関わる因子は多く、例えば粒子形状、比重、粒子径等が挙げられ、これらの各因子が複雑に影響することで粉体の流動性は変化する。最も一般的に知られている粉体の流動性の評価としては安息角や粒子の球形度が挙げられる。
例えば特許文献1には、粉体を円筒状の容器に収容し、容器を回転させることで試料粉体の安息角が求められる粉体物性測定装置が開示されている。また、特許文献2には、測定が容易な注入法による安息角に基づいて、傾斜法による安息角を換算する安息角測定装置が開示されている。さらに、特許文献3には、地表近くの低応力でも安息角を正確に測定することができる安息角測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-235027
【特許文献2】特開2008-26232
【特許文献3】特開2013-3836
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉体の流動性を評価する方法としては、安息角の測定方法が知られているが、これは流れの無い気体中における粉体自体の流動性を評価するものであった。しかしながら、移動層などの流れのある液体中において粉体が流動する際の流動性については、簡便な評価方法が知られていない。
そこで本発明は、流れのある液体中における粉体の流動性を評価可能な簡便な評価装置及び評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、液体を流通可能とした槽を仕切板により分割可能に構成された評価装置を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本実施形態は、下記[1]~[10]を提供する。
[1] 透明な前面パネル、背面パネル及び外周フレームにより形成された槽の内部を、抜去可能な仕切板によって前面パネル側から見て左右方向に第1槽と第2槽との2つに分割してなり、前記槽の下方に液体流入口が、前記槽の上方に液体流出口が設けられてなる粉体の流動評価装置。
[2] 前記液体流入口の上流に、液体流入口に流入する液体の流量を測定可能な流量計を備える[1]に記載の粉体の流動評価装置。
[3] 前記液体流出口から流出した液体を回収可能な液体回収槽が設けられている[1]又は[2]に記載の粉体の流動評価装置。
[4] 前記外周フレームが、少なくとも第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームを備え、該下面フレームに前記液体流入口が設けられている[1]~[3]のいずれかに記載の粉体の流動評価装置。
[5] 前記前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームにより、上方が開放された略直方体状の空間が形成され、前記液体流出口が、前記前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム及び第2側面フレームにより形成される開口部である[4]に記載の粉体の流動評価装置。
[6] 前記下面フレームから液体流出口までの距離が、前記第1側面フレームと第2側面フレームとの距離の1~10倍である[5]に記載の粉体の流動評価装置。
[7] 前記前面パネルと背面パネルとの距離が、前記第1側面フレームと第2側面フレームとの距離の0.02~1倍である[5]又は[6]に記載の粉体の流動評価装置。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の粉体の流動評価装置を用い、第1槽又は第2槽に試料粉体を流し込む第1工程と、液体を前記液体流入口から一定の流量で流入させつつ前記液体流出口から流出させて液体の流通を開始する第2工程と、前記仕切板を抜去する第3工程と、液体の流通下において流動した後の試料粉体の表面の傾斜角度を前記前面パネル越しに観察して測定する第4工程とを含む粉体の流動評価方法。
[9] 前記液体が水である[8]に記載の粉体の流動評価方法。
[10] 前記流体の流量を変更し、前記第1工程~第4工程を複数回繰り返す[8]又は[9]に記載の粉体の流動評価方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の評価装置及び評価方法によれば、流れのある液体中における粉体の流動性を簡便に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】試料粉体を第1槽又は第2槽に流し込んだ状態の流動評価装置を示す模式図である。
【
図2】試料粉体が、液体の流通下において流動した後の状態の流動評価装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔流動評価装置〕
本実施形態の流動評価装置は、透明な前面パネル、背面パネル及び外周フレームにより形成された槽の内部を、抜去可能な仕切板によって前面パネル側から見て左右方向に第1槽と第2槽との2つに分割してなり、前記槽の下方に液体流入口が、前記槽の上方に液体流出口が設けられてなるものである。
【0010】
本実施形態の流動評価装置の一例について、
図1及び
図2を用いて具体的に説明する。
図1に示す実施態様の流動評価装置は、前面パネル1と、第1側面フレーム2a、第2側面フレーム2b及び下面フレーム2cからなる外周フレームと、背面パネル(図示せず)からなる槽を、仕切板3によって第1槽と第2槽の二つに分割可能に構成されている。そして、当該第1槽及び第2槽の一方に試料粉体8を入れた状態で、下面フレーム2cに設けられた液体流入口4より所定の液体を供給し、槽内を液体で満たしてゆく。槽内を完全に満たした液体は、液体流出口5より流出し、液体回収槽7に保持された後、液体回収槽に別途設けられた排出口より排出される。
このようにして槽内を下方から上方に向けて、一定の流速で液体が流通している状態を維持しつつ、仕切板3をゆっくりと引き抜いていくと、第1槽又は第2槽に入れられていた試料粉体8は他方の槽側に流れ込み、最終的に
図2に示すように粉体層の表面が傾斜した状態となる。
このようにして形成された粉体層表層の傾斜角(以下、「流動安息角」と呼ぶことがある。)を測定することで、所定の液体が所定の流量において流通している状態における、試料粉体の流動性を表す指標とすることができ、傾斜角が大きいほど流動性が低く、傾斜角が小さいほど流動性は高いと言える。
【0011】
(前面パネル)
前記前面パネルは、槽を構成した際に液体や粉体を保持可能なものであって、かつ、前面側より内部の測定対象粉体を観察可能とするため、流動安息角が問題無く測定可能な程度に透明なものが用いられ、具体的にはガラス板やプラスチック板が挙げられ、当該プラスチック板としてはアクリル板やポリカーボネート板、塩化ビニル板が挙げられる。
【0012】
(背面パネル)
前記背面パネルは、槽を構成した際に液体や粉体を保持可能なものであれば特に限定されないが、前面パネルとは異なり、透明な部材であっても不透明な部材であってもよい。具体的にはガラス板やプラスチック板を背面パネルとして用いることができ、当該プラスチック板としてはアクリル板やポリカーボネート板、塩化ビニル板が挙げられる。
【0013】
(外周フレーム)
前記外周フレームは、前面パネル及び背面パネルとともに槽を構成可能な部材であれば特に限定されず、棒状であっても板状であってもよい。具体的には、ガラス製又はプラスチック製のものを外周フレームとして用いることができる。
外周フレームは、U字状や半円状の1部材であってもよいが、複数部材により構成することもでき、特に第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームの3部材から構成されていることが好ましい。
【0014】
(槽)
本実施態様の流動評価装置においては、前記前面パネル、背面パネル及び外周フレームを組み合わせて上方が開放された槽が形成される。
上述のように、外周フレームが第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームの3部材から構成されている場合には、前記前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム、第2側面フレーム及び下面フレームの5部材により形成される槽は、その内部の空間が、上方が開放された略直方体状となるように構成された略直方体槽となる。ここで、当該略直方体状とは、略長方体状であっても略立方体状であってもよい。
槽の上方は開放されていてもよいが、さらに天面フレームを備えるものであってもよい。
【0015】
また、槽の内部には、仕切板が嵌合可能となるように、前面パネル及び背面パネルの中央近傍に、上下方向に亘ってスリットやレール等の嵌合手段が設けられている。当該嵌合手段は、仕切板との組合せにより、第1槽又は第2槽に測定対象粉体を流し入れた際に、他方の槽に粉体が漏れ出さない程度の嵌合具合となるものであればよい。
【0016】
以下、前記略直方体槽の内寸法の比率について説明する。ここで、第1側面フレームから第2側面フレームまでの距離を幅、下面フレームから液体流出口までの距離を高さ、前面パネルから背面パネルまでの距離を奥行とする。
前記高さは、前記幅の1~10倍とすることが好ましく、1.2~5倍とすることがより好ましい。高さを幅の1倍以上とすることで、45℃程度の流動安息角まで対応となり、また10倍以下とすることで、試料粉体や液体の使用量を抑えることができる。
また、前記奥行は、前記幅の0.02~1倍とすることが好ましく、0.05~0.5倍とすることがより好ましい。さらに、前記奥行は、目安として試料粉体の粒子径の5倍以上とすることが好ましい。
【0017】
(仕切板)
前記仕切板は、上記槽の内部を、前面パネル側から見て左右方向に第1槽と第2槽に分割するものであり、透明な部材であっても不透明な部材であってもよい。具体的にはガラス板やプラスチック板を背面パネルとして用いることができ、当該プラスチック板としてはアクリル板やポリカーボネート板、塩化ビニル板が挙げられる。
【0018】
(液体流入口)
前記液体流入口は、槽の下方に設けられるが、上述の下面フレームに設けた貫通孔を液体流入口として用いることが好ましい。
また、粉体層全体に亘って液体を均一に供給可能とする観点から、槽の大きさや想定される液体の流速を考慮しつつ、複数個の液体流入口を設けたり、各液体流入口の近傍に分散板等を設けたりしてもよい。
【0019】
(流量計)
本実施態様の流動評価装置は、前述の液体流入口の上流に、液体流入口に流入する液体の流量を測定可能な流量計を備えていてもよい。液体流入口が複数個設けられている場合には、各液体流入口に流量計を設けることが好ましい。
【0020】
(液体流出口)
前記液体流出口は、槽の上方に設けられ、前記前面パネル、背面パネル及び外周フレームにより形成される開口部をそのまま液体流出口として用いると、槽上方における液体の流れに乱れが生じにくく、試料粉体の表層を乱しにくいため好ましい。前述の略直方体槽を備える態様においては、前面パネル、背面パネル、第1側面フレーム及び第2側面フレームにより形成される開口部をそのまま液体流出口として用いることが好ましい。
一方、槽の上方が天面フレームで覆われている場合には、当該天面フレームに設けた貫通孔を液体流出口として用いることができるが、槽上方における液体の流れが乱れにくくするために、複数個の液体流出口を設けたり、各液体流出口の近傍に分散板等を設けたりしてもよい。
【0021】
(液体回収槽)
本実施態様の流動評価装置は、前述の液体流出口から流出した液体を回収可能な液体回収槽を備えていてもよい。
液体回収槽は、液体流出口から流出した液体を回収し、一次的に保持するものであるため、想定される流量に対して十分な容積のものとする必要がある。
また、液体回収槽には、系外に液体を排出するために排出口が設けられる。
排出口から排出された液体は、ポンプなどを用いて循環させて、再度液体流入口より本実施態様の流動評価装置に流入させてもよい。
【0022】
〔流動評価方法〕
本実施態様の粉体の流動評価方法は、上記の粉体の流動評価装置を用い、第1槽又は第2槽に測定対象粉体を流し込む第1工程と、液体を前記液体流入口から一定の流量で流入させつつ前記液体流出口から流出させて液体の流通を開始する第2工程と、前記仕切板を抜去する第3工程と、液体の流通下において流動した後の測定対象粉体の表面の傾斜角度を前記前面パネル越しに観察して測定する第4工程とを含む。
以下、各工程について具体的に説明する。
【0023】
(第1工程)
上記第1工程においては、上記の粉体の流動評価装置を用い、仕切板が装着された状態で、第1槽及び第2槽のいずれか一方のみに、測定対象となる粉体を流し込み、
図1に示す状態とする。
【0024】
(第2工程)
上記第2工程においては、上記第1工程を経て第1槽及び第2槽のいずれか一方のみに測定対象粉体が保持されている状態のまま、槽下方に設けられた液体流入口より液体を流入させていく。そのまま槽全体に液体を充満させ、さらに槽上方の液体流出口より液体が流出しても、引き続き液体の流入を継続する。このようにして、液体流入口から液体流出口まで、液体が一定の流量で継続的に流通している状態を維持する。
【0025】
(第3工程)
上記第3工程においては、上述の液体が一定の流量で継続的に流通している状態を維持したまま、仕切板を抜去することで、第1槽と第2槽とを一つの槽とする。これによって、第1槽又は第2槽に保持されていた測定対象粉体が、液体の流通による影響を受けつつ他方の槽側に流れ込んでいく。仕切板を抜去する際には、仕切板の操作により粉体が流動しないよう、ゆっくりと操作を行う。
【0026】
(第4工程)
上記第4工程においては、液体の流通下において流動した後の測定対象粉体の表面の傾斜角度を前記前面パネル越しに観察して測定する。
第3工程の実施後に測定対象粉体が流動した結果、
図2に示すように測定対象粉体の表層は傾斜した状態となるが、これを前面パネル側から観察し、測定対象粉体の表層と水平面とがなす角度を測定して、この傾斜角を流動安息角とし、当該液体、当該流量或いは流速及び当該粉体の組合せにおける粉体の流動性の指標として用いる。
上記流動安息角の測定においては、測定対象粉体の表層が成す傾斜を、表面パネル上の直線とみなす操作が必要となるが、これは例えば前面パネル側から定規等を当てるなどして近似線を設定すればよい。
【0027】
(液体)
本実施態様の粉体の流動評価方法において用いられる液体は特に限定されないが、水を用いることが簡便である。
【0028】
本実施態様の粉体の流動評価方法においては、前記第1工程~第4工程を、流体の流量を変更して複数回行うことで、測定対象粉体の流動性と液体の流量との相関性を評価することができる。
【0029】
(用途)
本実施態様の粉体の流動評価方法は、移動層を用いた各種処理装置のシミュレーションに適用できる。
例えば、活性汚泥処理装置、培養槽、流動床触媒反応装置等においては、装置内の視認が不可であり、従って、処理装置内において処理に用いられる粉体の流動性等の挙動を確認することができない。
そこで、本実施態様の粉体の流動評価方法により流動安息角のデータを取得することで、使用された特定の液体中における特定の流量或いは流速における当該粉体の流動性の指標として用いることができる。従って、本実施態様の粉体の流動評価方法において用いた液体及びその流量或いは流速、並びに試料粉体が、実際の処理装置において用いるものと同一である場合には、実際の処理装置内における粉体の挙動をそのまま推察することが可能となる。
【0030】
〔流動性の解析〕
しかしながら、評価に供した粉体を実際に使用する場面においては、粘度が極めて高い、さらには比重が異なる液体に投入することがあり、そういった場合には、水を用いた本実施態様の粉体の流動評価方法により取得した流動安息角と液体の流速との組合せをそのまま適用できなくなってしまう。
そこで、流動安息角と正規化流量(液体の流量/最小流動化流量)との組合せを解析し、実際に使用する場面における指標とすることができる。例えば、本実施態様の粉体の流動評価方法において、液体の流量が2050mL/分における測定対象粉体の流動安息角が27°であり、かつその最小流動化流量が3420mL/分であった場合、正規化流量は0.6となる。従って、当該粉体は、実際に使用する場面において接触する液体が全く異なる粘度や比重を有するものであったとしても、正規化流量が0.6である場合の流動安息角は27°に近いものであろうと推察できる。
従って、前述のように前記第1工程~第4工程を、流体の流量を変更して複数回行うことで、流動安息角と正規化流量との組合せを調査し、必要に応じてグラフにまとめることで、測定対象粉体の各正規化流量における流動性を評価することができる。
尚、上記推察において、各種流量に代えて槽内の流速を用いて同様の評価を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:前面パネル
2a:第1側面フレーム
2b:第2側面フレーム
2c:下面フレーム
4:液体流入口
5:液体流出口
6:流量計
7:液体回収槽
8:試料粉体