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特開2022-130569少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130569
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/90 20060101AFI20220830BHJP
   C07C 211/36 20060101ALI20220830BHJP
   C07B 63/02 20060101ALN20220830BHJP
   C07B 63/04 20060101ALN20220830BHJP
【FI】
C07C209/90
C07C211/36
C07B63/02 D
C07B63/04
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103466
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2019528681の分割
【原出願日】2017-11-27
(31)【優先権主張番号】16201152.2
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー イェグリ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エアンスト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー パンチェンコ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヘトヒェ
(72)【発明者】
【氏名】ビェアン ルドルフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水が組成物(ZE)に添加されることによる方法である。組成物(ZE)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び任意に水を含有する。少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水を組成物(ZE)に添加することにより、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する組成物(ZP)が得られる。本発明のさらなる対象は、組成物(ZP)並びに例えばエポキシ樹脂用の硬化剤を製造するための、それらの使用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法であって、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水を、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)並びに任意に水を含有する組成物(ZE)に添加して、組成物(ZP)を得ることを含み、ここで、組成物(ZP)が、少なくとも1種の還元剤(R)、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及びさらに、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する、前記方法。
【請求項2】
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)が、一般式(I)、(II)又は(III)
【化1】
による化合物のうちの1種から選択されており、上記式中、
、R’、R、R’、R、R’、R及びR’は、互いに独立して、H及びC~C-アルキルから選択されており、ここで、少なくとも1つの基R、R’、R、R’、R、R’、R又はR’がC~C-アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)が、1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン又は1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンから選択されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
組成物(ZE)が、組成物(ZE)の全質量に対して、少なくとも85質量%、好ましくは少なくとも90質量%及び特に好ましくは少なくとも95質量%の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の還元剤(R)が、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム又は水素化アルミニウムカリウムから選択されており;
好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)が、水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
組成物(ZP)が、組成物(ZP)の全質量に対して、0.005~0.2質量%、好ましくは0.007~0.15質量%及び特に好ましくは0.01~0.1質量%の少なくとも1種の還元剤(R)を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加が固体として、溶液(L)で又は懸濁液(S)で行われることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
混合物(G)が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウムから選択されている少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶液(L)が、次の成分:
a)少なくとも1種の還元剤(R) 5~20質量%、
b)少なくとも1種の塩基性化合物(B) 10~65質量%、及び
c)水 15~85質量%
を含有し、ここで、成分a)、b)及びc)の質量割合は、全部で100質量%になることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
最初に、組成物(ZE)の蒸留を実施して、より高沸点の副生物を除去し、かつ少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び任意に水を含有する蒸留した組成物(DZE)を得て、その後、少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水を、蒸留した組成物(DZE)に添加して、組成物(ZP)を得て、ここで、組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
i)前記蒸留が、70~180℃の範囲、好ましくは80~170℃の範囲及び特に好ましくは90~160℃の範囲の温度で行われ、及び/又は
ii)前記蒸留が、0.1~500mbarの範囲、好ましくは0.5~300mbarの範囲及び特に好ましくは1~100mbarの範囲の圧力で行われる
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
i)組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部が、すでに組成物(ZE)中に含まれており、ここで、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、0.05~1質量%、好ましくは0.08~0.8質量%及び特に好ましくは0.1~0.5質量%の含水率を有する、及び/又は
ii)前記方法が、さらに水の添加を含む、及び/又は
iii)組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部が、少なくとも1種の還元剤(R)と一緒に添加される
ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(ZP)が、組成物(ZP)の全質量に対して、0.05~3質量%、好ましくは0.10~2質量%及び特に好ましくは0.15~1.5質量%の水を含有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
組成物(ZP)中の水の少なくとも1種の還元剤(R)に対する質量比が、100:1~1:1、好ましくは50:1~2:1及び特に好ましくは30:1~4:1であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法により製造された、組成物(ZP)。
【請求項16】
界面活性剤、医薬品、植物保護製品、安定剤、光安定剤、ポリマー、イソシアネート、エポキシ樹脂用の硬化剤、ポリウレタン用の触媒、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間生成物用の触媒、可塑剤、腐食抑制剤、合成樹脂、イオン交換体、繊維助剤、染料、加硫促進剤、乳化剤を製造するため及び/又は尿素及びポリ尿素の製造用の出発物質としての、請求項15に記載の組成物(ZP)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水が組成物(ZE)に添加されることによる、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法に関する。組成物(ZE)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び任意に水を含有する。少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水を組成物(ZE)に添加することにより、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する組成物(ZP)が得られる。本発明のさらなる対象は、組成物(ZP)並びに例えばエポキシ樹脂用の硬化剤を製造するためのその使用である。
【0002】
脂環式ジアミン、例えばアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンは、対応する芳香族ジアミンに比べて、通例、より良好な光安定性、UV安定性及び耐候性を有し、そのために、これらは、多様な製品、例えばコーティング材料にとって重要な出発化合物である。多くの脂環式アミンは、純品で通常は無色の液体であるが、しかしこれらは、例えば金属又は金属化合物又はその製造方法からの副生物の不純物に由来する、不純物に基づき、しばしば、時間が経つにつれて変色する傾向がある。変色する傾向により、脂環式アミンの使用分野は限定されており、そのために、そのような材料を相応して精製し、かつその変色をできるだけ長い期間にわたって防止するか又はできるだけ低く維持することが望ましい。着色性不純物の形成は、アミンの各製造方法において及び各アミン製品において異なる結果となるので、一部のアミンの脱色並びに色安定化は、自動的に他のアミンにも適してはいない。
【0003】
したがって、従来技術において、アミンを短期間脱色するか又はそれらの色安定性を長期間改善する、一部には極めて異なるアプローチが開示されている:
そして例えば、米国特許第3922306号明細書(US 3,922,306)には、脂肪族アミンの脱色方法が開示されており、該方法において、脂肪族アミン及び水素化ホウ素アルカリ金属が50~70℃に数時間加熱され、続いて互いに分離される。米国特許第3922306号明細書によれば、対応する脱色は、他の還元剤、例えば亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ヒドラジン又はホスフィン酸を用いて達成することができなかった。
【0004】
米国特許第7169268号明細書(US 7,169,268)には、第三級アミンがエチレンジアミン又はエチレンアミン誘導体の存在下で蒸留されることによる、色安定な第三級アミンを製造する方法が開示されている。蒸留した第三級アミンは、対応する未処理の第三級アミンほど急速に変色しないが、しかし米国特許第7169268号明細書における色安定性調査は、空気中で短い時間の後にも該アミンの変色が増加することを示す。より長期間の色安定性は、該第三級アミンを不活性ガス雰囲気中で貯蔵することによって達成することができる。
【0005】
米国特許第4731165号明細書(US 4,731,165)には、トリエチレンテトラミンの脱色方法が開示されており、該方法によれば、トリエチレンテトラミンは、スルホン酸系イオン交換体樹脂で触媒的に精製される。該イオン交換体樹脂でのトリエチレンテトラミンの精製は、減圧及び高められた温度下で行われ、該精製工程に続いて、該イオン交換体樹脂は、トリエチレンテトラミンから蒸留によって分離される。該方法は、米国特許第4731165号明細書によれば、他のポリアルキレンポリアミンの精製にも適しているが、しかし、該アミンのより長期間の色安定性に関する記載を含んでいない。
【0006】
米国特許第5362914号明細書(US 5,362,914)には、ポリエチレンポリアミンの変色を低下させる連続的方法が記載されており、該方法の場合に、ポリエチレンポリアミンは、コバルト、銅及びクロムを含有する触媒の存在下で水素雰囲気中で、高められた温度及び高められた圧力で水素化される。該ポリエチレンポリアミンは、該水素化前に蒸留してよく、又は粗生成物として使用してよく、該水素化に続いて、さらなる蒸留工程が行われる。米国特許第5362914号明細書に記載された方法は、確かにポリエチレンポリアミンの脱色に適しているが、こうして得られたポリエチレンポリアミンも空気中で変色する傾向があり、かつ米国特許第5362914号明細書によれば、窒素雰囲気下で貯蔵すべきである。
【0007】
ポリエチレンポリアミンを脱色する選択的な方法は、米国特許第4609436号明細書(US 4,609,436)に開示されており、該方法において、ポリエチレンポリアミンを塩素含有炭化水素と混合し、かつ高められた温度で撹拌する。該塩素含有炭化水素での該ポリエチレンポリアミンの処理に続いて、蒸留が行われ、該蒸留において該ポリエチレンポリアミンが該塩素含有炭化水素から分離される。
【0008】
米国特許第6774264号明細書(US 6,774,264)には、N,N-ジアルキルアルカノールアミンの色安定性を、パラジウム触媒の存在下で無水条件下での対応するアミンの水素化により改善する方法が開示されている。該水素化は、米国特許第6774264号明細書において、主に、N,N-ジアルキルアルカノールアミンの製造中に生じている不飽和副生物の除去のために行われる。
【0009】
米国特許第5847221号明細書(US 5,847,221)には、アルカノールアミン又はアルキレンアミンを脱色する方法が開示されており、該方法の場合に、対応するアミンを、ポリマーの固体酸触媒で、少量の水の存在下で高められた温度及び高められた圧力で数時間処理して、該アミン及び共役二重結合を有する化合物のそれぞれの製造方法からの金属触媒残留物を除去するか又は分解する。該脱色工程に続いて、蒸留工程を行ってよい。
【0010】
米国特許第5359139号明細書(US 5,359,139)には、第三級アミンを処理する方法が開示されており、該方法において、第三級アミンをアスコルビン酸と混合し、続いてアスコルビン酸を蒸留により該第三級アミンから再び分離する。それにより、こうして処理された第三級アミンにおいて、酸性条件下での該第三級アミンの変色は最も広範囲に回避することができる。
【0011】
前述の方法が、多様なアミンを直ちに精製することができることを記載している一方で、長期間色安定なアミンを有する組成物は、通例、特定の安定剤の使用により得ることができる。
【0012】
そして、例えば、米国特許第4602108号明細書(US 4,602,108)には、安定剤としてニトリロトリスメチレンホスホン酸、8-ヒドロキシキノリン又はエチレンジアミン四酢酸などの適した安定剤による、線状又は分岐状の脂肪族アミンの色安定化が開示されている。該安定剤は、その際に脂肪族アミンに微溶性ないし難溶性に過ぎない。
【0013】
国際公開第2011/084865号(WO 2011/084865)には、酸化感受性アミン並びに酸化防止剤を含有する組成物が開示されている。該酸化防止剤は、その際に、ラジカルスカベンジャー、例えばフェニルイミダゾール又はグルタミン又は抗酸化剤、例えばアスコルビン酸であってよい。該酸化防止剤の使用は、とりわけ、国際公開第2011/084865号に記載された酸化感受性アミンの場合に空気中での貯蔵中にしばしば形成されるホルムアルデヒド及びジメチルホルムアミドの形成を防止するとされている。
【0014】
“Color-Stabilized DYTEK(登録商標) DCH-99 amine Adducts for Epoxy Curing, Invista, March 14, 2012”には、水素化ホウ素ナトリウム、水、ベンジルアルコール、トリエチルアミン並びにエポキシ樹脂からなる安定剤系を含有する1,2-ジアミノシクロヘキサンを安定化させて、空気中での貯蔵中の該アミンの変色を低下させることが開示されている。付加的な量の水素化ホウ素ナトリウム及び水が、その色安定性を高める。該安定剤系の質量割合は、その際に、該1,2-ジアミノシクロヘキサンの質量割合よりも明らかに大きい。
【0015】
本発明の課題は、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法を提供することである。
【0016】
この課題は、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水を、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)並びに任意に水を含有する組成物(ZE)に添加して、組成物(ZP)を得ることを含む、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法によって解決され、ここで、組成物(ZP)が、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する。
【0017】
驚くべきことに、空気中での貯蔵の際の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの変色が、その貯蔵前に少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水が添加される場合に、明らかに低下させることができることが見出された。
【0018】
安定化された少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの熱応力下並びに空気中でのより長い貯蔵中に、安定化されていない少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの場合よりも、明らかによりわずかの深色化を生じる。
【0019】
理論に縛られてはいないが、少なくとも1種の還元剤(R)は、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン又は任意に組成物(ZE)中に含まれているその他のアミンの縮合生成物並びにそれらの着色性後続生成物の形成を防止することができ、該後続生成物は、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの空気中での貯蔵により時間が経つにつれて生じうる。
【0020】
そのうえ、本発明による方法は、対応する製造方法からの残留物として少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン中に含まれていてよい水の除去を必要とせず、このことは、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンから水を除去する煩雑な分離方法を不要にする。
【0021】
本発明の範囲内で、用語“(色)安定性”、“(色)安定化”又は“(色)安定”は、アミン又はアミン含有組成物の色数がより長い期間にわたって変わらずに低いままであるか又は比較的わずかに上昇することを意味する。該色数の決定は、化合物の色品質が入射光の透過率の測定によって決定される長期貯蔵試験によって行われる。このためには、既知の層厚を有するキュベット中の特定の濃度の溶液に、定義された波長の光線を通過させる。通過した光エネルギーのパーセンテージは、所定の波長で定義された色数を与える。弱く着色した溶液に慣用であるのは、APHAによる白金-コバルトカラースケールによるハーゼン色数の決定である。APHAによる白金-コバルトカラースケールによるハーゼン色数の決定は、通例、DIN EN ISO 6271に従って行われる。
【0022】
本発明の範囲内で、用語“縮合生成物”は、水、アンモニア、二酸化炭素、ハロゲン化水素又はアルコールの脱離下の反応において生じる、全ての化合物を含む。
【0023】
本発明は、以下に詳細に説明される。
【0024】
本発明は、少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法に関する。
【0025】
本発明による方法において、少なくとも1種の還元剤(R)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを成分(A)として含有する組成物(ZE)に添加される。
【0026】
該組成物(ZE)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)を含有する混合物である。少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は任意の量で、組成物(ZE)中に含まれていてよい。したがって、組成物(ZE)に関する以下の記載の全てが、少なくとも1種の還元剤(R)の添加前の対応する混合物に関する。
【0027】
組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、好ましくは少なくとも69質量%、より好ましくは少なくとも90質量%及び特に好ましくは少なくとも94質量%の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)を含有する。
【0028】
さらなる実施態様において、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、好ましくは少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%及び特に好ましくは少なくとも95質量%の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)を含有する。
【0029】
本発明の範囲内で、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、2つのアミノ基並びに少なくとも1つ以上のアルキル置換基を有するシクロヘキサン環を有する化合物であると理解される。
【0030】
アルキル置換されたジアミノシクロヘキサンは、当業者に原則的に公知であり、かつ当業者に公知のあらゆる方法により製造することができる。アルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの製造に適した方法は、例えば、アルキル置換されたジアミノベンゼン誘導体の金属触媒された水素化を含み、これは例えば国際公開第2009/090179号(WO 2009/090179)及び国際公開第2009/153123号(WO 2009/153123)に開示されている。
【0031】
好ましくは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換された1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、殊に少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換された1,3-ジアミノシクロヘキサンである。
【0032】
好ましくは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、一般式(I)、(II)又は(III)
【化1】
による化合物のうちの1種から選択されており、上記式中、
、R’、R、R’、R、R’、R及びR’は、互いに独立して、H及びC~C-アルキルから選択されており、ここで、少なくとも1つの基R、R’、R、R’、R、R’、R又はR’は、C~C-アルキルである。
【0033】
本発明の範囲内で、例えば一般式(I)、(II)及び(III)において基Rに使用されるような、呼称C~C-アルキルは、この置換基が、炭素原子1~4個を有するアルキル基であることを意味する。該アルキル基は、線状並びに分岐状であってよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル並びにそれらの分岐状異性体である。
【0034】
好ましくは、R、R’、R、R’、R、R’、R及びR’は、互いに独立して、H又はメチルから選択されている。
【0035】
好ましくは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、一般式(I)を有し、ここで、R、R’、R、R’、R、R’、R及びR’は互いに独立して、H又はC~C-アルキルから選択されており、ここで、正確に1つの基R、R’、R、R’、R、R’、R又はR’は、C~C-アルキルである。
【0036】
特に好ましくは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン又は1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンから選択されている。
【0037】
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、正確に1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン並びに異なる2種以上の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンの混合物であってよい。
【0038】
好ましい実施態様において、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンの混合物である。この混合物中の1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンの質量割合は、その際に、原則的に任意であってよい。好ましくは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、この好ましい実施態様において、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の全質量に対して、50~95質量%の1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン及び5~50質量%の1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンを含有する。
【0039】
さらに好ましい実施態様において、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)は、1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン又は1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサンから選択されている。
【0040】
さらにまた、組成物(ZE)は、任意に水を含有していてよい。原則的に、該水は、任意の方法で組成物(ZE)へ供給されていてよい。該水は、例えば、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の製造方法からの残留物であってよい。
【0041】
好ましくは、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、少なくとも0.05質量%、好ましくは少なくとも0.08質量%及び特に好ましくは少なくとも0.1質量%の含水率を有する。
【0042】
さらに、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下及び特に好ましくは0.5質量%以下の含水率を有する。
【0043】
好ましい実施態様において、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、0.05~1質量%、好ましくは0.08~0.8質量%及び特に好ましくは0.1~0.5質量%の含水率を有する。
【0044】
組成物(ZE)は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)並びに任意に水に加えて、さらなる化合物を含有していてよい。
【0045】
さらなる化合物は、好ましくは、対応する少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)のそれぞれの製造方法からの残留物である。これらの残留物は、例えば、非置換の又は少なくともモノアルキル置換されたアミノシクロヘキサン、水素化触媒の金属及び金属化合物による不純物、より高沸点の副生物又は溶剤残留物、例えばイソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ジメトキシエタン、ジオキサン又はテトラヒドロフランを含む。
【0046】
より高沸点の副生物とは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)よりも高い沸点を有する成分のことをいい、ここで、より高沸点の副生物の沸点は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の標準沸点よりも、好ましくは少なくとも2℃、特に好ましくは少なくとも4℃及び極めて特に好ましくは少なくとも6℃だけ高い。呼称“標準沸点”は、本発明の範囲内で、1.013barの常圧での沸点であると理解される。
【0047】
2種以上の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)が組成物(ZE)中に存在する場合には、各々のより高沸点の副生物の沸点は、2種以上の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の最も高い沸点よりも高い。
【0048】
より高沸点の副生物は、好ましくは100~500g/mol、より好ましくは120~370g/mol及び特に好ましくは150~300g/molの範囲の分子量を有する。
【0049】
より高沸点の副生物は、好ましくは、少なくとも1つのシクロヘキサンフラグメント(基)、より好ましくは2つのシクロヘキサンフラグメント(基)、又は少なくとも1つのシクロヘキサンフラグメント(基)及び少なくとも1つの芳香族フラグメント(基)を含有する。
【0050】
これらは、例えば、非置換の又は少なくともモノアルキル置換された芳香族アミン並びに少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の2以上の分子の縮合生成物としてアンモニアの脱離下に生じうる第二級アミン、例えばN-(3-アミノ-4-メチルシクロヘキシル)-4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン及びそれらの異性体を含む。さらに、より高沸点の副生物は、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)と、組成物(ZE)中に含まれているアミノ基を有するその他の化合物、例えば非置換の又は少なくともモノアルキル置換された芳香族アミン又は任意に非置換の又は少なくともモノアルキル置換されたモノアミノシクロヘキサンとの縮合生成物も含む。
【0051】
さらに、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の空気中での貯蔵の際に、時間が経つにつれて酸化反応により、組成物(ZE)中の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の変色に寄与しうる、より高沸点の副生物が生じうる。これらは、例えばイミノ化合物並びにオレフィン性不飽和化合物を含み、これらは前述の縮合生成物の酸化により生じうる。
【0052】
対応する化合物は、例えば、酸化された縮合生成物、例えばN-(3-イミノ-4-メチルシクロヘキシル)-4-メチルシクロヘキサ-1-エン-1-アミン及びそれらの異性体並びに少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)と組成物(ZE)中に含まれているアミノ基を有するその他の化合物との酸化された縮合生成物を含む。
【0053】
好ましくは、より高沸点の副生物は、非置換の又は少なくともモノアルキル置換された芳香族アミン又は第二級アミン、イミン及び/又はオレフィン性不飽和化合物から選択されており、これらは、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)と、任意に組成物(ZE)中に含まれているさらなるアミンとの縮合反応並びに任意に酸化反応により生じる。
【0054】
特に好ましくは、より高沸点の副生物は、N1-(3-アミノ-4-メチルシクロヘキシル)-4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン又はN-(3-イミノ-4-メチルシクロヘキシル)-4-メチルシクロヘキサ-1-エン-1-アミン並びにそれらの異性体から選択されている。
【0055】
一実施態様において、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A) 95~99.999質量%、
より高沸点の化合物 0.001~5質量%
を含有し、ここで、組成物(ZE)中の全ての成分の合計は100質量%になる。
【0056】
さらなる実施態様において、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A) 94~99.949質量%、
水 0.05~1質量%、
より高沸点の化合物 0.001~5質量%
を含有し、ここで、組成物(ZE)中の全ての成分の合計は100質量%になる。
【0057】
好ましくは、組成物(ZE)中に含まれている、さらなる化合物が除去されてから、少なくとも1種の還元剤(R)の添加が行われる(下記参照)。
【0058】
本発明による方法において、組成物(ZE)に、少なくとも1種の還元剤(R)が添加されて、組成物(ZP)が得られる。
【0059】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加は、その際に、当業者に公知の全ての方法により行ってよく、好ましくは撹拌しながら行われる。
【0060】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加は、原則的に、任意の温度で行うことができる。好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)の添加は、低温で、好ましくは5~60℃の範囲及び特に好ましくは10~40℃の範囲内で、行われる。
【0061】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加の期間は、原則的に極めて幅広い期間内に行うことができる。少なくとも1種の還元剤(R)の添加の期間は、好ましくは10分~8時間の範囲内、特に好ましくは15分~5時間の範囲内及び特に好ましくは20分~3時間の範囲内である。当業者は、少なくとも1種の還元剤(R)の添加の期間を相応して選択して、組成物(ZP)の均質溶液を得る。
【0062】
組成物(ZP)は、少なくとも1種の還元剤(R)、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び付加的に、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する混合物である。したがって、組成物(ZP)に関する全ての記載は、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水の添加後の混合物に関する。
【0063】
少なくとも1種の還元剤(R)は、正確に1種の還元剤並びに異なる2種以上の還元剤の混合物を含有していてよい。少なくとも1種の還元剤(R)は、好ましくは、ヒドリドイオンを含有する少なくとも1つの成分を含有する。
【0064】
好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)は、ヒドリドイオンを含有する少なくとも1種のホウ素又はアルミニウムの化合物を含有する。対応する化合物は、当業者に原則的に公知である。
【0065】
特に好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)は、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム又は水素化アルミニウムカリウムから選択されている。極めて特に好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)は、水素化ホウ素ナトリウムである。
【0066】
組成物(ZP)中に、少なくとも1種の還元剤(R)は、原則的に、安定剤に慣用で当業者に公知の任意の量で含まれていてよい。組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して、好ましくは0.005~0.2質量%の少なくとも1種の還元剤(R)を含有する。好ましくは、組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して、0.007~0.15質量%及び特に好ましくは0.01~0.1質量%の少なくとも1種の還元剤(R)を含有する。
【0067】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加は、固体として、溶液(L)で又は懸濁液(S)で行うことができる。少なくとも1種の還元剤(R)の添加が、溶液(L)で又は懸濁液(S)で行われる場合には、溶液(L)又は懸濁液(S)は、原則的に任意のあらゆる溶剤を含有していてよい。好ましくは、溶液(L)又は懸濁液(S)は、溶剤として水、アミン、エーテル又はアルコールを含有し、特に好ましくは、溶液(L)又は懸濁液(S)は溶剤として水を含有する。
【0068】
少なくとも1種の還元剤(R)は、組成物(ZP)中に、好ましくは完全に溶解して存在する。このことは、組成物(ZP)が、好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)の固体粒子を含有しないことを意味する。したがって、少なくとも1種の還元剤(R)は、好ましくは、ろ過により組成物(ZP)から除去することができない。
【0069】
それに類似して、少なくとも1種の還元剤(R)と、組成物(ZP)中に任意に含まれている、より高沸点の副生物又は酸化剤、例えば酸素、好ましくは大気酸素との反応生成物は、組成物(ZP)中に、好ましくは完全に溶解して存在する。このことは、組成物(ZP)が好ましくは、少なくとも1種の還元剤(R)の前述の反応生成物の固体粒子も含有しないことを意味する。したがって、少なくとも1種の還元剤(R)の前述の反応生成物も、好ましくは、ろ過により組成物(ZP)から除去することができない。
【0070】
一実施態様において、少なくとも1種の還元剤(R)は、溶液(L)で添加され、ここで、溶液(L)は、好ましくは少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有する。さらなる実施態様において、少なくとも1種の還元剤(R)は、懸濁液(S)で添加され、ここで、懸濁液(S)は、好ましくは少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有する。溶液(L)についての以下の好ましいことの全てが、懸濁液(S)に相応して当てはまる。
【0071】
溶液(L)は、正確に1種の塩基性化合物(B)又は異なる2種以上の塩基性化合物(B)の混合物を含有していてよい。
【0072】
溶液(L)中の少なくとも1種の塩基性化合物(B)の量は、本発明による方法にとって決定的ではない。好ましくは、溶液(L)は、溶液(L)の全質量に対して、0.1~75質量%の少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有する。好ましくは、溶液(L)は、溶液(L)の全質量に対して、5~70質量%及び特に好ましくは10~65質量%の少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有する。
【0073】
少なくとも1種の塩基性化合物(B)は、原則的に、当業者に公知のあらゆる塩基性化合物であってよい。好ましくは、少なくとも1種の塩基性化合物(B)は、塩基性のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物である。特に好ましくは、少なくとも1種の塩基性化合物(B)は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウムから選択されている。極めて特に好ましくは、少なくとも1種の塩基性化合物(B)は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は炭酸ナトリウムから選択されている。
【0074】
好ましい実施態様において、混合物(G)は、次の成分:
a)少なくとも1種の還元剤(R) 5~20質量%、
b)少なくとも1種の塩基性化合物(B) 10~65質量%、及び
c)水 15~85質量%
を含有し、ここで、成分a)、b)及びc)の質量割合は、全部で100質量%になる。
【0075】
上記ですでに述べたように、とりわけ、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の空気中での貯蔵の際に時間が経つにつれて、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の変色に寄与している、より高沸点の副生物が生じうる。
【0076】
したがって、好ましい実施態様において、最初に、組成物(ZE)の蒸留を実施して、より高沸点の副生物を除去し、かつ少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び任意に水を含有する蒸留した組成物(DZE)を得て、その後、少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水を、蒸留した組成物(DZE)に添加して、組成物(ZP)を得て、ここで、組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する。
【0077】
完全を期すために、この実施態様において、少なくとも1種の還元剤(R)を、蒸留した組成物(DZE)に添加し、かつ組成物(ZE)に添加しないことが注記される。
【0078】
該蒸留は、当業者に公知で、それぞれの実施態様に関して技術的に適切であると評価されるあらゆる方法によって行うことができる。
【0079】
該蒸留は、例えば、とりわけロータリーエバポレーター上で、蒸留塔中で、クーゲルロール蒸留又は短行程蒸留により、行うことができる。
【0080】
該蒸留は、1つの蒸留技術又は異なる蒸留技術の組み合わせによる複数の工程においても行うことができ、かつ連続的に又は不連続に行うことができる。
【0081】
該蒸留は、原則的に空気中で又は酸素を排除して行うことができる。該蒸留中の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)又は組成物(ZE)中に含まれているさらなる化合物による望ましくない酸化反応を回避するために、該蒸留は好ましくは酸素を排除して行われる。“酸素を排除して”は、本発明の範囲内で、該蒸留装置中の酸素の体積割合が、該蒸留装置の全体積に対して、0.1体積%未満、好ましくは0.1体積%未満及び特に好ましくは0.01体積%未満であることを意味する。
【0082】
該蒸留は原則的に、任意の温度で行うことができる。好ましくは、該蒸留は、70~180℃の範囲、好ましくは80~170℃の範囲及び特に好ましくは90~160℃の範囲の温度で行われる。
【0083】
該蒸留は原則的に、任意の圧力で行うことができる。好ましくは、該蒸留は、0.1~500mbarの範囲、好ましくは0.5~300mbarの範囲及び特に好ましくは1~100mbarの範囲の圧力で行われる。
【0084】
好ましい実施態様において、該蒸留は、70~180℃の範囲、好ましくは80~170℃の範囲及び特に好ましくは90~160℃の範囲の温度及び0.1~500mbarの範囲、好ましくは0.5~300mbarの範囲及び特に好ましくは1~100mbarの範囲の圧力で行われる。
【0085】
本発明による方法により得られる組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を含有する。
【0086】
好ましい実施態様において、組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して、好ましくは0.05~3質量%、より好ましくは0.10~2質量%及び特に好ましくは0.15~1.5質量%の水を含有する。
【0087】
原則的に、該水は、任意の方法で組成物(ZP)に供給されていてよい。
【0088】
一実施態様において、組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部はすでに組成物(ZE)中に含まれており、ここで、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、好ましくは0.05~1質量%、より好ましくは0.08~0.8質量%及び特に好ましくは0.1~0.5質量%の含水率を有する。上記ですでに述べたように、該水は、例えば、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)の製造方法からの残留物であってよい。
【0089】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加前に、蒸留が行われる場合には、組成物(ZE)中に含まれている水は、好ましくは完全に除去されない。組成物(ZE)が、組成物(ZE)の全質量に対して、0.05~1質量%、好ましくは0.08~0.8質量%及び特に好ましくは0.1~0.5質量%の含水率を有する場合には、特に好ましくは該蒸留により水の除去は全く行われない。
【0090】
組成物(ZE)が、組成物(ZE)の全質量に対して1質量%超の含水率を有する場合には、該蒸留により、蒸留した組成物(DZE)が、組成物(DZE)の全質量に対して、1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下及び特に好ましくは0.5質量%の水を含有するまでの量の水が好ましくは除去される。
【0091】
さらなる実施態様において、本発明による方法は、付加的に水の添加を含む。この水の添加はその際に、当業者に公知の全ての方法によって行うことができ、かつ好ましくは撹拌しながら行われる。
【0092】
水の添加は、少なくとも1種の還元剤(R)と一緒に、又は少なくとも1種の還元剤(R)の添加の前又は後にも行うことができる。
【0093】
添加される水は、原則的に任意の水、例えば脱塩水又は1回以上蒸留した水であってよい。
【0094】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加が、溶剤として水を含有する溶液(L)で、又は溶剤として水を含有する懸濁液(S)で、行われる場合には、水の付加的な添加を原則的に放棄することができる。しかし、好ましくは、水の添加は、少なくとも1種の還元剤(R)が、溶液(L)で又は懸濁液(S)で添加された場合にも行われる。
【0095】
さらなる実施態様において、組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部はすでに組成物(ZE)中に含まれており、かつ本発明による方法は、付加的に水の添加を含む。
【0096】
組成物(ZP)中の水の少なくとも1種の還元剤(R)に対する質量比は、好ましくは少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1及び特に好ましくは少なくとも4:1である。
【0097】
さらに、組成物(ZP)中の水の少なくとも1種の還元剤(R)に対する質量比は、好ましくは多くとも100:1、より好ましくは多くとも50:1及び特に好ましくは多くとも30:1である。
【0098】
好ましい実施態様において、組成物(ZP)中の水の少なくとも1種の還元剤(R)に対する質量比は、好ましくは100:1~1:1、より好ましくは50:1~2:1及び特に好ましくは30:1~4:1である。
【0099】
該水は、組成物(ZP)中で好ましくは完全に混合されて存在する。このことは、組成物(ZP)が、好ましくは別個の水相を有していないことを意味する。したがって、組成物(ZP)中に含まれている水は、好ましくは相分離により組成物(ZP)から除去することができない。
【0100】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により製造される組成物(ZP)である。
【0101】
組成物(ZP)は、好ましくは、次の成分を含有する:
少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン 96.8~99.945質量%、
少なくとも1種の還元剤(R) 0.005~0.2質量%及び
水 0.05~3質量%。
【0102】
本発明による方法により安定化される少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンは、界面活性剤、医薬品及び植物保護製品、安定剤、光安定剤、ポリマー、イソシアネート、エポキシ樹脂用の硬化剤、ポリウレタン用、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間生成物用の触媒、可塑剤、腐食抑制剤、合成樹脂、イオン交換体、繊維助剤、染料、加硫促進剤、乳化剤を製造するための合成構成単位として及び/又は尿素及びポリ尿素を製造するための出発物質として、使用することができる。
【0103】
したがって、本発明のさらなる対象は、界面活性剤、医薬品及び植物保護製品、安定剤、光安定剤、ポリマー、イソシアネート、エポキシ樹脂用の硬化剤、ポリウレタン用、第四級アンモニウム化合物を製造するための中間生成物用の触媒、可塑剤、腐食抑制剤、合成樹脂、イオン交換体、繊維助剤、染料、加硫促進剤、乳化剤を製造するため及び/又は尿素及びポリ尿素を製造するための出発物質としての、組成物(ZP)の使用でもある。
【0104】
殊に、1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-4-メチル-シクロヘキサンは、ポリアミド用のモノマー構成単位として、エポキシ樹脂用の硬化剤として又は対応するイソシアネートの製造用の出発製品として、使用することができる。
【0105】
次の例は、本発明をさらに説明するものであるが、本発明をそれらに限定するものではない。
【0106】
以下の例におけるAPHAによるハーゼン色数の決定は、DIN EN ISO 6271に従って行われ、かつLange社の比色計(LICO 400)中で実施される。該ハーゼン色数の決定は、プラスチック製のLange LZM 130 50mm使い捨てキュベット中で行われる。測定される試料はそれぞれ、60gの質量を有する。
【0107】
例1
1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサンの混合物並びに水0.15質量%を含有する未蒸留の組成物(ZE)の試料を、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、水素化ホウ素ナトリウム及び任意に水と混合して、組成物(ZP)を得て、かつ乾燥器中で80℃で貯蔵する(第1表中の実験1及び2参照)。
【0108】
同じように、組成物(ZE)895gを、1mbar及び104℃(頂部温度)で蒸留管を経て蒸留する。水約0.15質量%を含有する蒸留した組成物(DZE)805gが得られる。この蒸留した組成物(DZE)の試料を、同様に、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、水素化ホウ素ナトリウム及び任意に水と混合して、組成物(ZP)を得て、かつ乾燥器中で80℃で貯蔵する(第1表中の実験3~9参照)。
【0109】
参考として、未蒸留で、水素化ホウ素ナトリウムと混合されていない試料(V1)並びに蒸留し、水素化ホウ素ナトリウムと混合されていない試料(V2)を貯蔵し、かつ測定する。全ての試料を、定期的に開け、通気し、かつ1測定あたり約6gをその色数決定のために取り出す。
【0110】
対応する実験データは、第1表に示されている。その縦列中で、それぞれ最上列に挙げられた時間に対するハーゼン色数が記入されている。
【0111】
第1表
【表1】
【0112】
第1表に挙げられた実験データは、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水が使用される場合(実験1~9)には、組成物(ZP)のハーゼン色数を長期間明らかにより低く維持することができることを示している。組成物(ZE)が、最初に蒸留され、続いて少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水が添加された場合(実験3~9参照)には、そのハーゼン色数は、未蒸留の安定化された組成物(ZP)の場合(実験1及び2参照)よりも、より長い期間にわたってより低い。
【0113】
例2
1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサンの混合物並びに水0.15質量%を含有する未蒸留の組成物(ZE)の試料を、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、水素化ホウ素ナトリウムもしくはBorol(商標)(水酸化ナトリウムの14モル水溶液中の水素化ホウ素ナトリウム12.5質量%、Dow Chemicalsから購入可能)及び任意に水と混合して、組成物(ZP)を得て、かつ乾燥器中で80℃で貯蔵する(第2表中の実験1及び2参照)。
【0114】
同じように、組成物(ZE)860gを1mbar及び104℃(頂部温度)で蒸留管を経て蒸留した。水約0.15質量%を含有する蒸留した組成物(DZE)730gが得られる。この蒸留した組成物(DZE)の試料を、同様に、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、水素化ホウ素ナトリウムもしくはBorol及び任意に水と混合して、組成物(ZP)を得て、かつ乾燥器中で80℃で貯蔵する(第2表中の実験3~7参照)。
【0115】
参考として、蒸留し、かつ還元剤(R)と混合されていない試料(実験V3)を貯蔵し、かつ測定する。未蒸留の組成物(ZE)は、例1からの未蒸留の組成物(ZE)と同一であるので、未蒸留で還元剤(R)と混合されていない試料の参考測定は、例1からの実験V1に相当する。全ての試料を、定期的に開け、通気し、かつ1測定あたり約6gをその色数決定のために取り出す。
【0116】
実験1~5において、Borol(商標)を還元剤(R)として使用し、かつ実験6及び7において、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤(R)として使用する。以下の第2表における少なくとも1種の還元剤(R)の質量割合についての記載は、常に水素化ホウ素ナトリウムの使用される量に関する。例えばBorol(商標)が還元剤(R)として使用される場合には、呼称“0.02質量%”は、0.02質量%の水素化ホウ素ナトリウムがBorol(商標)を用いて添加されるまで、特定の量のBorol(商標)が使用されることを意味する。
【0117】
対応する実験データは、第2表に示されている。その縦列中で、それぞれ最上列に挙げられた時間に対するハーゼン色数が記入されている。
【0118】
第2表
【表2】
【0119】
第2表に挙げられた実験データは、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水が使用される場合(実験1~7)には、組成物(ZP)のハーゼン色数を長期間明らかにより低く維持することができることを示している。組成物(ZE)が、最初に蒸留され、続いて、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水が添加される場合(実験3~7参照)には、そのハーゼン色数は、未蒸留の安定化される組成物(ZP)の場合(実験1及び2参照)よりも、より長い期間にわたってより低い。
【0120】
例3
1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサンの混合物99.76質量%及びさらなる化合物0.24質量%を含有する未蒸留の組成物(ZE)449gを、70mbar及び136℃(頂部温度)で蒸留する。第1留分51gが得られ、かつ分離され、続いて、蒸留した組成物(DZE)343gが得られる。蒸留した組成物(DZE)は、その際に水を含有していない。
【0121】
この蒸留した組成物(DZE)の試料を、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、還元剤(R)と混合し、かつ乾燥器中で80℃で貯蔵する。
【0122】
参考として、蒸留し、かつ還元剤(R)と混合されていない試料(実験V1)を貯蔵し、かつ測定する。全ての試料を、定期的に開け、通気し、かつ1測定あたり約6gをその色数決定のために取り出す。
【0123】
実験V2において、Borol(商標)(水酸化ナトリウムの14モル水溶液中の水素化ホウ素ナトリウム12.5質量%、Dow Chemicalsから購入可能)を還元剤(R)として使用し、かつ実験V3において、水素化ホウ素ナトリウムを還元剤(R)として使用する。以下の第3表中の少なくとも1種の還元剤(R)の質量割合についての記載は、常に水素化ホウ素ナトリウムの使用される量に関する。Borol(商標)が還元剤(R)として使用される場合には、例えば呼称“0.1質量%”は、0.1質量%の水素化ホウ素ナトリウムがBorol(商標)を用いて添加されるまで、特定の量のBorol(商標)が使用されることを意味する。Borol(商標)を使用する場合に、該試料の含水率は、常に0.1質量%未満である。
【0124】
対応する実験データは、第3表に示されている。その縦列中で、それぞれ最上列に挙げられた時間に対するハーゼン色数が記入されている。
【0125】
第3表
【表3】
【0126】
第3表に挙げられた実験データは、長期間低いハーゼン色数のためには、少なくとも1種の還元剤(R)に加えて、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水が、組成物(ZP)中に存在していなければならないことを示している。
【0127】
例4
1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサン及び1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサンの混合物並びに水0.15質量%を含有する未蒸留の組成物(ZE)の試料を、250mLねじ口ガラスびん中に充填し、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウム原液と混合して、組成物(ZP)を得て、かつ乾燥器中で60℃で貯蔵する(第4表中の実験1及び2参照)。
【0128】
参考として、未蒸留で、水素化ホウ素ナトリウムと混合されていない試料(V1)を貯蔵し、かつ測定する。全ての試料を、定期的に開け、通気し、かつ1測定あたり約6gをその色数決定のために取り出す。
【0129】
該水素化ホウ素ナトリウム原液は、次のようにして製造される:バブルカウンターを備えた100mL撹拌フラスコ中に、窒素下にNaBH粉末2gを装入し、続いて組成物(ZE)18gをそれに添加する。1時間の撹拌後に、該NaBHは、数個の結晶を除いてほぼ完全に溶解している。その上澄み溶液を、NaBH原液として使用する。
【0130】
対応する実験データは、第4表に示されている。その縦列中で、それぞれ最上列に挙げられた時間に対するハーゼン色数が記入されている。
【0131】
第4表
【表4】
【0132】
第4表に挙げられた実験データは、水素化ホウ素ナトリウム又は水素化ホウ素ナトリウム原液が使用される場合(実験1及び2)には、組成物(ZP)のハーゼン色数20を長期間明らかにより低く維持することができることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサンを安定化する方法であって、少なくとも1種の還元剤(R)並びに任意に水を、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)並びに任意に水を含有する組成物(ZE)であって、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)が、1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン又は1,3-ジアミノ-2-メチルシクロヘキサンから選択されており、かつ最初に、組成物(ZE)の蒸留を実施して、より高沸点の副生物を除去し、かつ少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及び任意に水を含有する蒸留した組成物(DZE)を得て、その後、少なくとも1種の還元剤(R)及び任意に水を、蒸留した組成物(DZE)に添加して、組成物(ZP)を得て、ここで、組成物(ZP)は、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する、組成物(ZE)に添加して、組成物(ZP)を得ることを含み、ここで、組成物(ZP)が、少なくとも1種の還元剤(R)、少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)及びさらに、組成物(ZP)の全質量に対して少なくとも0.05質量%の水を有する、前記方法。
【請求項2】
組成物(ZE)が、組成物(ZE)の全質量に対して、少なくとも85質量%の少なくとも1種の少なくともモノアルキル置換されたジアミノシクロヘキサン(A)を含有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の還元剤(R)が、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム又は水素化アルミニウムカリウムから選択されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
組成物(ZP)が、組成物(ZP)の全質量に対して、0.005~0.2質量%の少なくとも1種の還元剤(R)を含有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種の還元剤(R)の添加が固体として、溶液(L)で又は懸濁液(S)で行われることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
溶液(L)又は懸濁液(S)が、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウムから選択されている少なくとも1種の塩基性化合物(B)を含有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項7】
溶液(L)が、次の成分:
a)少なくとも1種の還元剤(R) 5~20質量%、
b)少なくとも1種の塩基性化合物(B) 10~65質量%、及び
c)水 15~85質量%
を含有し、ここで、成分a)、b)及びc)の質量割合は、全部で100質量%になることを特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【請求項8】
i)前記蒸留が、70~180℃の範囲の温度で行われ、及び/又は
ii)前記蒸留が、0.1~500mbarの範囲の圧力で行われる
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項9】
i)組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部が、すでに組成物(ZE)中に含まれており、ここで、組成物(ZE)は、組成物(ZE)の全質量に対して、0.05~1質量%の含水率を有する、及び/又は
ii)前記方法が、さらに水の添加を含む、及び/又は
iii)組成物(ZP)中に含まれている水の少なくとも一部が、少なくとも1種の還元剤(R)と一緒に添加される
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
組成物(ZP)が、組成物(ZP)の全質量に対して、0.05~3質量%の水を含有することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
組成物(ZP)中の水の少なくとも1種の還元剤(R)に対する質量比が、100:1~1:1であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法
【外国語明細書】