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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130570
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】水性防水コーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20220830BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20220830BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220830BHJP
   C09D 125/08 20060101ALI20220830BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20220830BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20220830BHJP
   C09D 191/06 20060101ALI20220830BHJP
   D21H 19/12 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/02
C09D7/63
C09D125/08
C09D133/02
C09D133/04
C09D191/06
D21H19/12
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022103477
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2018563034の分割
【原出願日】2017-06-02
(31)【優先権主張番号】62/345,149
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー エイ. ディーター
(72)【発明者】
【氏名】フランク ラインホルト
(72)【発明者】
【氏名】アミルプヤン サルダシュティ
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー シーチャラン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多相ポリマー結合剤、前記多相ポリマー結合剤を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む基材、および前記多相ポリマー結合剤を製造するためのプロセスを提供する。
【解決手段】約65重量%~約100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、0重量%~約25重量%の疎水性エマルションと、0重量%~約10重量%の界面活性剤と、を含む、多相ポリマー結合剤が記載されている。ポリマー結合剤は、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相ポリマー結合剤であって、
約65重量%~約100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、
0重量%~約25重量%の疎水性エマルションと、
0重量%~約10重量%の界面活性剤と、を含み、
前記ポリマー結合剤が、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する、多相ポリマー結合剤。
【請求項2】
前記水性ポリマー分散液が、約80重量%~約95重量%の量で存在する、請求項1に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項3】
前記疎水性エマルションが、約5重量%~約10重量%の量で存在する、請求項1または請求項2に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項4】
前記界面活性剤が、約1重量%~約3重量%の量で存在する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項5】
前記水性ポリマー分散液が、約1重量%~約60重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、約40重量%~約95重量%の量で存在する酸不含有コポリマーと、を含む、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項6】
前記水性ポリマー分散液が、約35重量%~約45重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、約55重量%~約65重量%の量で存在する酸不含有コポリマーと、を含む、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項7】
前記酸高含有コポリマーが、約5重量%~約25重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約70重量%までの量のスチレンと、約10重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む、請求項5または請求項6に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項8】
前記酸高含有コポリマーが、約5重量%~約15重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約20重量%~約40重量%の量のスチレンと、約45重量%~約65重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む、請求項7に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項9】
前記酸不含有コポリマーが、約50重量%までの量のスチレンと、約50重量%~100重量%未満の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む、請求項5または請求項6に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項10】
前記酸不含有コポリマーが、15重量%~約40重量%の量のスチレンと、約65重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む、請求項9に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項11】
前記疎水性エマルションが、ワックスエマルションである、請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項12】
前記ワックスエマルションが、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、微晶質ワックス類、フッ素化ワックス類、エチレンおよびプロピレンコポリマーワックス類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む、請求項11に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項13】
前記界面活性剤が、アニオン性または非イオン性である、請求項1~12のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項14】
前記界面活性剤が、1つ以上のアルキルスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルベンゼンスルフェート類、ホスフェート類、ホスフィネート類、脂肪カルボキシレート類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項15】
前記界面活性剤が、1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類を含む、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項16】
前記界面活性剤が、1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類を含む、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項17】
前記界面活性剤が、1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類および1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類を含む、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項18】
前記界面活性剤が、
約12~約18個の炭素のアルキル鎖長を有する1つ以上の脂肪アルコールと、
約10~約80モルのエチレンオキシド単位のエトキシル化度と、を含む、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項19】
基材であって、請求項1~18のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤を含む少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む、基材。
【請求項20】
前記基材が、紙または板紙である、請求項19に記載の基材。
【請求項21】
請求項1~18のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤の製造方法。
【請求項22】
酸不含有コポリマーが、酸高含有コポリマーの存在下で調製される、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記水性ポリマー分散液が、フリーラジカルエマルション重合プロセスを使用して調製される、請求項21または請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記疎水性エマルションが、前記フリーラジカルエマルション重合プロセス中に前記水性ポリマー分散液中に存在する、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
添加剤が、前記フリーラジカルエマルション重合プロセス中に前記水性ポリマー分散液中に存在する、請求項23に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/3458,149号の利益を主張し、その各々の内容が任意および全ての目的でその全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、概して防水コーティングに関する。より具体的には、本技術は、ポリマーベースの耐水性熱シールラッカーに関する。
【0003】
背景技術
発明の概要
一態様では、多相ポリマー結合剤であって、約65重量%~約100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、0重量%~約25重量%の疎水性エマルションと、0重量%~約10重量%の界面活性剤と、を含有し、ポリマー結合剤が、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する、多相ポリマー結合剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約80重量%~約95重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、約5重量%~約10重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約1重量%~約3重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約5重量%~約60重量%の量で存在する酸高含有(acid-rich)コポリマーと、約40重量%~約95重量%の量で存在する酸不含有(acid-free)コポリマーと、を含有する。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約35重量%~約45重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、約55重量%~約65重量%の量で存在する酸不含有コポリマーと、を含有する。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマーは、約5重量%~約25重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約70重量%までの量のスチレンと、約10重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマーは、約5重量%~約15重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約20重量%~約40重量%の量のスチレンと、約45重量%~約65重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含有する。いくつかの実施形態では、酸不含有コポリマーは、約50重量%までの量のスチレンと、約50重量%~100重量%未満の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含有する。いくつかの実施形態では、酸不含有コポリマーは、約15重量%~約40重量%の量のスチレンと、約65重量%~約90重量%未満の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含有する。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、ワックスエマルションである。いくつかの実施形態では、ワックスエマルションは、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、微晶質ワックス類、フッ素化ワックス類、エチレンおよびプロピレンコポリマーワックス類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性または非イオン性である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のアルキルスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルベンゼンスルフェート類、ホスフェート類、ホスフィネート類、脂肪カルボキシレート類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類と、1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類と、を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約12~約18個の炭素のアルキル鎖長を有する1つ以上の脂肪アルコール類と、約10~約80モルのエチレンオキシド単位のエトキシル化度と、を含有する。
【0004】
別の態様では、本明細書に記載の多相ポリマー結合剤を含有する少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む基材が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、基材は、紙または板紙である。
【0005】
別の態様では、本明細書に記載の多相ポリマー結合剤を製造するためのプロセスが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、フリーラジカルエマルション重合法を使用して調製される。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、フリーラジカルエマルション重合プロセス中に存在する。いくつかの実施形態では、添加剤は、フリーラジカルエマルション重合プロセス中に水性ポリマー分散液中に添加される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】例示的なポリマー結合剤の吸水率依存性対ポリマー極性を示す。ポリマー結合剤の詳細を、表2および3に示す。
図2】例示的なポリマー結合剤に対する、吸水率依存性対疎水性エマルション添加剤の量を示す。
図3】例示的なポリマー結合剤に対する、吸水率依存性対疎水性エマルション添加剤の量を示す。
図4】疎水性エマルションを含有する例示的ポリマー結合剤のオーバープリント性を示す。
図5】吸水率依存性対例示的な結合剤を用いたコーティング膜厚を示す。
図6】例示的な結合剤に対する、耐ブロッキング性対シェル相硬度を示す図である。F-Bブロックは、コーティングされた(F)およびコーティングされていない(B)紙ストックの間の耐ブロッキング性を示す。R値は、シェル硬度が、85%のデータ変動を表すことを示す。
図7】例示的な結合剤に対する、耐ブロッキング性対シェル相硬度を示す図である。F―Fブロックは、コーティングされた(F)紙ストック間の耐ブロッキング性を示す。R値は、シェル硬度が、70%のデータ変動を表すことを示す。
図8】コーティングされた紙ストックの脱繊維化/再パルプ化性を識別するためのVSI(Voith Speck Index)チャートを示す。
図9】(a)再パルプ化されたブランク紙からのハンドシート、および(b)再パルプ化されたコーティングされた紙カップストックからのハンドシートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの改変および変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法、配合物、および装置は、前述の記載から当業者には明らかであろう。そのような改変および変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲とともに、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、または組成物に限定されず、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0008】
本明細書で使用される際、一般に、「置換された」は、その中に含まれる水素原子への1つ以上の結合が、非水素または非炭素原子への結合によって置き換えられた、以下に定義される有機基(例えば、アルキル基)を指す。置換基は、炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)への1つ以上の結合が、二重または三重結合を含む1つ以上の結合によってヘテロ原子に置き換えられた基も含む。したがって、別段の指定がない限り、置換基は、1つ以上の置換基で置換される。いくつかの実施形態では、置換基は、1、2、3、4、5または6個の置換基で置換されている。置換基の例には、ハロゲン類(すなわち、F、Cl、Br、およびI)、ヒドロキシル類、アルコキシ、アルケノキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ基およびヘテロシクリルアルコキシ基類、カルボニル類(オキソ)、カルボキシル類、エステル類、エーテル類、ウレタン類、ヒドロキシルアミン類、アルコキシアミン類、アラルコキサミン類、チオール類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルホニル類、スルホンアミド類、アミン類、N-オキシド類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、ヒドラゾン類、アジ化物類、アミド類、尿素類、エナミン類、イミド類、イソシアネート類、イソチオシアネート類、シアネート類、チオシアン酸塩類、イミン類、ニトロ基類、ニトリル類(すなわち、CN)等が挙げられる。
【0009】
アルキル基は、本明細書で使用される際、1~20個の炭素原子、典型的には1~12個の炭素原子、またはいくつかの実施形態では1~8,1~6または1~4個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖アルキル基を含む。いくつかの実施形態では、アルキル基は、12~18個の炭素を有する直鎖および/または分岐鎖アルキル基を含む。アルキル基にはさらに、3~8環員を有するシクロアルキル基が含まれる。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル基のような1~8個の炭素原子を有するものが含まれる。分岐鎖アルキル基の例には、これらに限定されないが、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2-ジメチルプロピル基が含まれる。いくつかの実施形態では、分岐鎖アルキル基は、少なくとも8個の炭素を有する。シクロアルキル基は、本明細書で使用される際、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基などの環状アルキル基であり、架橋シクロアルキル基も含む。代表的な置換アルキル基は、置換されていなくても、置換されていてもよい。
【0010】
一態様では、熱および/または圧力による活性化の際に接着特性を実証する、スチレン-アクリルコポリマーベースの耐水性紙コーティングが本明細書に開示される。そのようなコーティングは、耐水性の熱シールラッカーと呼ぶことができる。活性化の前に、コーティングは、それ自体またはコーティングされていない紙に付着せず、これは、完成した物品を形成する前にコーティングされた紙を取り扱うかつ貯蔵するのに不可欠な特性である。この特性は、耐ブロッキング性と呼ばれる。シールは、(i)2枚のコーティングされた紙ストック、または(ii)1枚のコーティングされた紙ストックおよび1枚のコーティングされていない紙ストックが一緒にされ、熱および圧力に曝されたときに形成される。高温で接着剤シールを形成する能力は、熱シール性と呼ばれる。シールは、使用条件によって規定されるような高温に曝された場合には開放されない。この性質は、ホットタック強度と呼ばれる。耐水性は、標準化された条件下(例えば、相対湿度50%で25℃)で特定の時間に測定された、水の拡散を防ぐ/妨げるコーティングされた紙の能力である。
【0011】
再パルプ化性は、その後の紙シート形成のために再湿潤および繊維化の操作を受けるコーティングされた紙の能力である。リサイクル性は、処理された紙および板紙を新しい紙および板紙に加工する能力である。リサイクル性試験のいくつかの実施形態では、約70%の未処理バージンパルプが30%以下の処理パルプと混合される。シートを作製し、リサイクルしていないバージンパルプのシートと比較する
【0012】
一般に、熱シール性および耐ブロッキング性、熱シール性およびホットタック強度、ならびに耐水性およびリサイクル性は、相反する特性セットと考えられる。例えば、熱シール性をもたらすポリマー特性は、一般に、耐ブロッキング性およびホットタック強度を低下させる。例えば、熱シール性(例えば、ポリマーの柔軟性)に必要な構造変化は、耐ブロッキング性およびシール強度に悪影響を与える。同様に、リサイクル性は耐水性を犠牲にする。紙のリサイクル性に悪影響を及ぼさない耐水性の熱シールラッカーの開発は、紙の無駄を低減することによって環境に良い影響を与える可能性がある。本明細書に記載の多相ポリマー結合剤は、これらの相反する性質のセットに対する解決策を提供する。最先端技術は、紙のリサイクル性および再パルプ化性を除いて、これらの要件の多くを満たす共押出ポリエチレンコーティングである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の紙コーティングは、水性ポリマー分散液、任意の疎水性エマルション、および任意の界面活性剤を含む多相ポリマー結合剤である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の紙コーティングは、多相ポリマー結合剤であって、水性ポリマー分散液と、任意の疎水性エマルションと、任意の界面活性剤と、を含有し、ポリマー結合剤が、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する、多相ポリマー結合剤である。いくつかの実施形態では、耐ブロッキング性は、50℃および60psiで24時間測定され、ここで、ポリマー結合剤は、コーティング-紙(フェースツーバック、F―B)、またはコーティング-コーティング(フェースツーフェース、F―F)で層状化されている2枚のシートの各々の上にコーティングされる。
【0014】
いくつかの実施形態では、多相ポリマー結合剤は、約65重量%~約100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、0重量%~約25重量%の疎水性エマルションと、0重量%~約10重量%の界面活性剤と、を含有し、ポリマー結合剤が、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、多相ポリマー結合剤は、約65重量%~約100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、0重量%~約25重量%の疎水性エマルションと、0重量%~約10重量%の界面活性剤と、を含有し、ポリマー結合剤が、乾燥したときに、約5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度、および基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を有する。
【0016】
多相ポリマー結合剤は、高Tgカルボン酸官能性スチレン-アクリルコポリマー相および低Tg疎水性スチレン-アクリルコポリマー相を含有するポリマー分散液を含む。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤、すなわち過硫酸アンモニウム(APS)およびアニオン的に帯電した表面活性剤(界面活性剤)、すなわちラウリル硫酸ナトリウムの存在下でエマルション重合を用いて高Tgカルボン酸相を調製する。いくつかの実施形態では、高Tgカルボン酸相は、フリーラジカル溶液重合を使用して調製され、単離され、水中に分散されて防水ポリマー配合物を調製する。いくつかの実施形態では、低Tgの疎水性相は、ポリマー分散液にコロイド安定性を提供するために、高Tgカルボン酸官能性相の存在下で調製される。いくつかの実施形態において、低Tgの疎水性相は、ポリマー分散液にコロイド安定性を提供するために、高Tgカルボン酸官能性相の存在下でフリーラジカルエマルション重合によって調製される。さらなる実施形態では、疎水性エマルション(例えば、ワックス分散液)が重合プロセス中に存在する。なおさらなる実施形態では、ポリマー分散安定性および乾燥したコーティングの物理的特性を高めるために、重合プロセス中に界面活性剤が添加される。いくつかの実施形態では、高Tgカルボン酸相(すなわち、酸高含有相)および低Tg疎水性相(すなわち、酸不含有相)を別々に調製し、ブレンドしてポリマー分散液を形成する。
【0017】
本明細書に開示される多相ポリマー結合剤は、水性ポリマー分散液を含有する。いくつかの実施形態において、水性ポリマー分散液のポリマーは、酸高含有ポリマーおよび酸不含有ポリマーを含有する。いくつかの実施形態において、水性ポリマー分散液のポリマーは、シェルおよびコアを含有する。いくつかの実施形態では、シェルは、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーを含有し、コアは、酸不含有(例えば、疎水性の)スチレン-アクリルコポリマーを含有する。いくつかの実施形態では、シェルは、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーからなり、コアは、酸不含有(例えば、疎水性の)スチレン-アクリルコポリマーからなる。
【0018】
いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約5重量%~約60重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、約40重量%~約95重量%の量で存在する酸不含有コポリマーと、を含有する。これは、約5重量%の酸高含有コポリマーおよび約95重量%の酸不含有コポリマー、約10重量%の酸高含有コポリマーおよび約90重量%の酸不含有コポリマー、約15重量%の酸高含有コポリマーおよび約85重量%の酸不含有コポリマー、約20重量%の酸高含有コポリマーおよび約80重量%の酸不含有コポリマー、約25重量%の酸高含有コポリマーおよび約75重量%の酸不含有コポリマー、約30重量%の酸高含有コポリマーと約70重量%の酸不含有コポリマー、約35重量%の酸高含有コポリマーおよび約65重量%の酸不含有コポリマー、約40重量%の酸高含有コポリマーおよび約60重量%の酸不含有コポリマー、約45重量%の酸高含有コポリマーおよび約55重量%の酸不含有コポリマー、約50重量%の酸高含有コポリマーおよび約50重量%の酸不含有コポリマー、約55重量%の酸高含有コポリマーおよび約45重量%の酸不含有コポリマー、または約60重量%の酸高含有コポリマーおよび約40重量%の酸不含有コポリマーを含む。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約35重量%~約45重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、約55重量%~約65重量%の量で存在する酸不含有コポリマーと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約0.5:9.5~6:4の酸高含有コポリマー対酸不含有コポリマーの重量比で、酸高含有コポリマーおよび酸不含有コポリマーを含有する。これは、約3:7~約3:2、約2:3~約7:3、3:7~約6:4、または約3.5:6.5~4.5:5.5の重量比を含む。いくつかの実施形態において、酸高含有コポリマー対酸不含有コポリマーの重量比は、少なくとも3:7である。これは、少なくとも2:3、3.5:6.5、4.5:5.5または1:1の重量比を含む。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマー対酸不含有コポリマーの重量比は、約0.5:9.5、1:9、2:8、3:7、3.5:6.5、2:3、4.5:5.5、1:1、5.5:4.5、3:2、6.5:3.5または7:3であり、その中に増分比を含む。
【0020】
酸高含有スチレン-アクリルコポリマーは、カルボン酸官能性スチレン-アクリルコポリマーであってもよい。本明細書で使用される際、「カルボン酸官能性」は、化合物中に少なくとも1つのカルボン酸基が存在することを意味する。カルボン酸官能性モノマーは、重合プロセスに耐え、コポリマーにそのような官能性を保持させる少なくとも1つのカルボン酸官能性を有するモノマーである。いくつかの実施形態では、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーは、カルボン酸官能性モノマー類、スチレンモノマー類および(メタ)アクリレートモノマー類を含む。いくつかの実施形態では、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーは、カルボン酸官能性モノマー類、スチレンおよび(メタ)アクリレートモノマー類を含む。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマーは、約1重量%~約25重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約70重量%までの量のスチレンと、約10重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマーは、約5重量%~約25重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約70重量%までの量のスチレンと、約10重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含有する。いくつかの実施形態では、酸高含有コポリマーは、約5重量%~約15重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、約20重量%~約40重量%の量のスチレンと、約45重量%~約65重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む。
【0021】
例示的なカルボン酸官能性モノマー類は、これらに限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸およびフマル酸を含む。「カルボン酸官能性モノマー類」という用語はまた、上に列挙したカルボン酸官能性モノマー類の無水物誘導体も含む。カルボン酸官能性モノマー類は、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の異なるカルボン酸官能性モノマー類を含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、酸高含有相は、1つ以上の他の不飽和モノマー類を含む。例示的な他の不飽和モノマー類には、これらに限定されないが、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、およびより長い炭素鎖長を有するビニルエーテル類)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニルおよびバーサチック酸に基づくエステル類)および1,3-アルケン類(例えば、ブタジエン)が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、酸高含有相は、分子量、分岐および/またはゲル形成を制御するための1つ以上の連鎖移動剤を含む。例示的な連鎖移動剤には、これらに限定されないが、イソオクチルメルカプトプロピオネート(IOMPA)、ブチルメルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシルメルカプトプロピオネート、第3級ドデシルメルカプタンおよびチオグリセロールが含まれる。
【0024】
酸高含有スチレン-アクリルコポリマー類は、高いガラス転移温度(T)を示す。いくつかの実施形態では、Tは、少なくとも約55℃である。これは、少なくとも約60℃のT、少なくとも約65℃のT、少なくとも約70℃のT、少なくとも約75℃のT、少なくとも約80℃のT、少なくとも約85℃のT、少なくとも約90℃のT、少なくとも約95℃のT、少なくとも約100℃のT、少なくとも約105℃のT、少なくとも約110℃のT、少なくとも約115℃のT、少なくとも約120℃のTg、または少なくとも約125℃のTを含む。いくつかの実施形態では、Tは、約55℃~130℃である。これは、約55℃~約125℃、約60℃~約125℃、約65℃~約125℃、約70℃~約125℃、約75℃~約125℃、約80℃~約125℃、約85℃~約125℃、約60℃~約120℃、約70℃~約120℃、約75℃~約120℃、約80℃~約120℃、約55℃~約110℃、約60℃~約110℃、約65℃~約110℃、約70℃~約110℃、約75℃~約110℃、約80℃~約110℃、約55℃~約100℃、約60℃~約100℃、約65℃~約100℃、約70℃~約100℃、約75℃~約100℃、約55℃~約90℃、約60℃~約90℃、約65℃~約90℃、約70℃~約90℃、約75℃~約90℃、約75℃~約90℃、約55℃~約85℃、約60℃~約85℃、約65℃~約85℃、または約70℃~約85℃、のTgを含む。いくつかの実施形態では、Tは、約55、60、65、70、75、80、85、90,95、100、105、110、115、120、125、または130℃であり、その中に増分を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーシェルは、フリーラジカル開始剤およびアニオン的に帯電した表面活性剤の存在下でエマルション重合を使用して調製される。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤は、アンモニウムペルスルフェート(APS)、カリウムペルオキシジスルフィド、ナトリウムペルオキシジスルフィド、アンモニウムペルオキシジスルフィド、または水溶性および油溶性置換アゾニトリルである。いくつかの実施形態では、アニオン的に帯電した表面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、酸高含有スチレン-アクリルコポリマーシェルは、レドックス開始重合を用いて調製される。例示的な酸化剤としては、これらに限定されないが、ペルオキシジ硫酸塩および有機過酸化物が挙げられる。例示的な還元剤は、これらに限定されないが、アスコルビン酸、イソ-アスコルビン酸およびエリスロベートナトリウム、および例えばホルムアルデヒドスルホキシドナトリウムのような硫黄ベースの還元剤、亜硫酸ナトリウムおよび他の官能性スルホネート誘導体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、シェルは、フリーラジカル溶液重合を使用して調製され、単離され、水中に分散されて防水ポリマー配合物を調製する。いくつかの実施形態では、フリーラジカル溶液重合は、高温度継続プロセスである。
【0027】
酸不含有スチレン-アクリルコポリマー類は、カルボン酸官能性スチレン-アクリルコポリマーでもなく、カルボン酸官能モノマー類も含まない。いくつかの実施形態では、酸不含有コポリマー類は、約50重量%までの量のスチレンと、約50重量%~100重量%未満の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む。いくつかの実施形態では、酸不含有コポリマーは、15重量%~約40重量%の量のスチレンと、約65重量%~約90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類を含む。
【0028】
酸不含有スチレン-アクリルコポリマーは、低いガラス転移温度(T)を示す。いくつかの実施形態では、Tは、約-40℃~40℃である。これは、約-30℃~約40℃、約-20℃~約40℃、約-10℃~約40℃、約0℃~約40℃、-40℃~約30℃、-30℃~約30℃、約-20℃~約30℃、約-10℃~約30℃、約0℃~約30℃、-40℃~約20℃、-30℃~約20℃、約-20℃~約20℃、約-10℃~約20℃、約0℃~約20℃、-40℃~約10℃、-30℃~約10℃、約-20℃~約10℃、約-10℃~約10℃、約0℃~約10℃、-40℃~約0℃、-30℃~約0℃、約-20℃~約0℃、または約-10℃~約0℃のTgを含む。いくつかの実施形態では、Tは、約-40、-39、-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、-30、-29、-28、-27、-26、-25、-24、-23、-22、-21、-20、-19、-18、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40℃であり、その中に増分を含む。
【0029】
スチレン-アクリルコポリマーに使用するのに好適なスチレン系モノマー類には、エチレン部分に結合した置換または非置換フェニル基を有するものが含まれる。スチレン系モノマー類には、これらに限定されないが、スチレンおよびα-メチルスチレン、およびそれらの組み合わせが含まれる。好適なスチレン系モノマー類としては、これらに限定されないが、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、o-クロロスチレン、ビニルピリジン、およびこれらの種の混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、スチレンモノマー類は、スチレンおよびα-メチルスチレンを含む。いくつかの実施形態では、スチレンモノマーは、スチレンである。
【0030】
いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレートモノマー類は、アルキル(メタ)アクリレートモノマー類である。C―Cアルキル(メタ)アクリレート類とC―C12アルキル(メタ)アクリレート類との混合物を使用してもよい。C―Cアルキル(メタ)アクリレート類は、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート)、n-ブチル(メタ)アクリレート)、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、および任意の2つ以上の任意の混合物などの化合物を含む。C―C12アルキル(メタ)アクリレート類は、例えば、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート)、デシル(メタ)アクリレート)、ウンデカ(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、任意の2つ以上のこのような化合物の混合物、およびそれらの様々なアルキル異性体のうちの任意のものなどの化合物を含む。例えば、「ペンチル」(メタ)アクリレートのアルキル異性体としては、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、sec-ペンチルなどが挙げられる。
【0031】
いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約65重量%~100重量%以下の量の多相ポリマー結合剤中に存在する。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約65重量%~100重量%未満の量の多相ポリマー結合剤中に存在する。これは、量が、約65重量%~約99重量%;約65重量%~約95重量%;約65重量%~約90重量%;約65重量%~約85重量%;約65重量%~約80重量%;約70重量%~約99重量%;約70重量%~約95重量%;約70重量%~約90重量%;約70重量%~約85重量%;約70重量%~約80重量%;約75重量%~約99重量%;約75重量%~約95重量%;約75重量%~約90重量%;約75重量%~約85重量%;約75重量%~約80重量%;約80重量%~約99重量%;約80重量%~約95重量%;約80重量%~約90重量%;約80重量%~約85重量%;約85重量%~約99重量%;約85重量%~約95重量%;または約85重量%~約90重量%である場合を含む。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、約65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99重量%の量で多相ポリマー結合剤中に存在し、この中には増分を含む。
【0032】
本明細書に記載の多相ポリマー結合剤は、疎水性エマルションを含有してもよい。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、多相ポリマー結合剤中に0重量%~約25重量%の量で存在する。これは、量が、0重量%~約20重量%、0重量%~約15重量%、0重量%~約10重量%、0重量%~約5重量%、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%である場合を含む。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25重量%の量で多相ポリマー結合剤中に存在し、この中には増分を含む。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25重量%の量で多相ポリマー結合剤中に存在し、この中には増分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、ポリマー固形分に基づいて少なくとも1%であるこれは、ポリマー固形分に基づいて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25%を含み、その中に増分を含む。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、約15~約60重量%の固形分を有し得る。他の実施形態では、疎水性エマルションは、約25~40重量%の固形分を有し得る。非限定的な例として、約15~約60重量%の固形分を有する樹脂溶液の場合、pHは約中性~9.5の範囲であり得、35~6,000cpsのBrookfield粘度を有することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、ワックス分散液を含む。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションはワックス分散液またはワックスエマルションである。いくつかの実施形態では、ワックスエマルションは、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、微晶質ワックス類、フッ素化ワックス類、エチレンおよびプロピレンコポリマーワックス類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含有する。例示的な疎水性エマルションは、これらに限定されないが、パラフィン/ポリエチレンワックスエマルション類、アニオン性パラフィン/ポリエチレンワックスエマルション類、パラフィンワックスエマルション類、エトキシル化パラフィンワックスエマルション類、および界面活性剤で分散されたパラフィンワックスエマルション類を含む。例示的な疎水性エマルション類は、これらに限定されないが、JONCRYL(登録商標)Wax120、PETROLITE(商標)D-800、MICHEM(登録商標)62330、PETROLITE(商標)D-1038、JONCRYL(登録商標)Wax26、UNITHOX(商標)D-300、UNITHOX(商標)D-550、およびUNITHOX(商標)75を含む。
【0035】
本明細書に記載の多相ポリマー結合剤は、界面活性剤を含有してもよい。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性または非イオン性である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上の脂肪アルコールアルコキシレート類を含有する。くつかの実施形態では、1つ以上の脂肪アルコールアルコキシレート類は、脂肪アルコールエトキシレート類、脂肪アルコールプロポキシレート類、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー類を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類を含有する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約12~約18個の炭素のアルキル鎖長を有する1つ以上の脂肪アルコールと、約10~約80モルのエチレンオキシド単位のエトキシル化度と、を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、1つ以上アルキルスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルベンゼンスルフェート類、ホスフェート類、ホスフィネート類、脂肪カルボキシレート類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、多相ポリマー結合剤中に0重量%~約10重量%の量で存在する。これは、量が、0重量%~約9重量%、0重量%~約8重量%、0重量%~約7重量%、0重量%~約6重量%、0重量%~約5重量%、0重量%~約4重量%、0重量%~約3重量%、0重量%~約2重量%、0重量%~約1重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約9重量%、約1重量%~約8重量%、約1重量%~約7重量%、約1重量%~約6重量%、約1重量%~約5重量%、約1重量%~約4重量%、約1重量%~約3重量%、約1重量%~約2重量%、約2重量%~約10重量%、約2重量%~約9重量%、約2重量%~約8重量%、約2重量%~約7重量%、約2重量%~約6重量%、約2重量%~約5重量%、約2重量%~約4重量%、約2重量%~約3重量%、約3重量%~約10重量%、約3重量%~約9重量%、約3重量%~約8重量%、約3重量%~約7重量%、約3重量%~約6重量%、約3重量%~約5重量%、約3重量%~約4重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約9重量%、約5重量%~約8重量%、約5重量%~約7重量%、または約5重量%~約6重量%である場合を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量%の量で、多相ポリマー結合剤中に存在し、その中に増分が含まれる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10重量%の量で、多相ポリマー結合剤中に存在し、その中に増分が含まれる。
【0037】
樹脂溶液は、約15重量%~約60重量%の固体含量、7.0~9.5のpH、および35~6,000cpsのBrookfield粘度を有することができる。これは、約30重量%~約40重量%の固体含量、8.0~9.0のpH、および2,500~4,000cpsのBrookfield粘度を含むことができる。
【0038】
本明細書に記載の多相ポリマー結合剤は、これらに限定されないが、他の水性樹脂溶液、レオロジー改質剤、湿潤剤、消泡剤、および充填剤などの他の材料を含有することができる。例示的な他の水性樹脂溶液には、0~約20重量%または0を超え~約20重量%の量で配合することができるカルボン酸高含有コポリマー類が含まれる。そのようなカルボン酸高含有コポリマー類は、カルボン酸官能性モノマー類のコポリマー類、スチレン、および(メタ)アクリレートモノマー類を含むことができる。例えば、カルボン酸高含有コポリマー類は、5~25重量%のカルボン酸官能性モノマー類、約70重量%までのスチレン、および10~90重量%の(メタ)アクリレートモノマー類を含むことができる。例示的なレオロジー改質剤は、これらに限定されないが、疎水変性エトキシル化ウレタン類、疎水変性ポリエーテル類、アルカリ膨潤性エマルション類、疎水変性されたアルカリ膨潤性エマルション類、粘土類、およびヒュームドシリカを含む。レオロジー改質剤は、0~約2重量%または0を超え~約2重量%の配合物中で使用することができる。例示的な湿潤剤としては、限定されないが、アルコキシル化界面活性剤(すなわち、第1級ヒドロキシル基で終結する二官能性ブロックコポリマー界面活性剤またはポリエチレングリコール類および/またはプロピレングリコール類)シリコーン界面活性剤、スルホコハク酸塩界面活性剤、および星型アルコキシル化ポリマー類を含む。湿潤剤は、0~約4重量%または0を超え~約4重量%の配合物中で使用することができる。例示的な消泡剤には、これらに限定されないが、油系消泡剤(すなわち、鉱油、植物油、または白色油類)、シリコン系消泡剤(すなわち、ポリジメチルシロキサン類およびその誘導体)、水性エマルションベースの消泡剤、油に基づく水性消泡剤エマルション類、ポリマーおよび有機変性シリコーン類、ポリエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール類、ならびに星型ポリマー類を含む。消泡剤は、0~約0.5重量%または0を超え~約0.5重量%の配合物中で使用することができる。例示的な充填剤は、これらに限定されないが、ヒュームドシリカ、粘土材料(すなわち、剥離または非剥離カオリン、タルク、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよびサポナイト)、炭酸カルシウム、天然マイカ、ならびにそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。充填剤は、0~約40重量%または0を超え~約40重量%の配合物中で使用することができる。
【0039】
基材上にコーティングし、乾燥させると、本明細書に記載のポリマー結合剤は、約5g/m/20分未満の吸水を提供する。これは、約4.5g/m/20分未満の吸水率、約4g/m/20分未満の吸水率、約3.5g/m/20分未満の吸水率、約3g/m/20分未満の吸水率、約2.5g/m/20分未満の吸水率、約2g/m/20分未満の吸水率、または約1g/m/20分未満の吸水率を含む。いくつかの実施形態では、吸水率は、約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.3、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0g/m/20分であり、その中に増分を含む。いくつかの実施形態では、吸水率は、約0.5~約5.0g/m/20分である。これは、水の摂取約0.5~約4.5g/m/20分、約0.5~約4.0g/m/20分、約0.5~約3.5g/m/20分、約0.5~約3.0g/m/20分、約0.5~約2.5g/m/20分、約0.5~約2.0g/m/20分、約1.0~約5.0g/m/20分、約1.0~約4.5g/m/20分、約1.0~約4.0g/m/20分、約1.0~約3.5g/m/20分、約1.0~約3.0g/m/20分、または約1.0~約2.5g/m/20分、を含む。
【0040】
基材上にコーティングし、乾燥させると、本明細書に記載のポリマー結合剤は、約-15℃~約90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度を提供する。これは、約-15℃~25℃で測定したとき、約200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、または600N/mのシール強度が含まれ、その中に増分が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー結合剤は、180度剥離試験によって測定して、約-15℃~25℃で、約200N/m~約600N/mのシール強度を提供する。これは、180度剥離試験によって測定したとき、約-15℃~25℃で約200N/m~約500N/m、約200N/m~約400N/m、約250N/m~約600N/m、または約250N/m~約500N/mのシール強度を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー結合剤は、180度剥離試験によって測定したとき、約90℃で、約200N/m~約450N/mのシール強度を提供する。これは、180度剥離試験によって測定したとき、約90℃で、約200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、または450N/mのシール強度が含まれ、その中に増分が含まれる。いくつかの実施形態では、ポリマー結合剤は、約25℃または約90℃で測定したとき、少なくとも約200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度を提供する。
【0041】
基材上にコーティングし、乾燥させると、本明細書に記載のポリマー結合剤は、基材に損傷を与えないのに十分な耐ブロッキング性を提供する。本明細書で使用される際、「十分な耐ブロッキング性」は、実施例8に記載された評価システムにおいて3以上のスコアを指す。いくつかの実施形態では、十分な耐ブロッキング性は、実施例8に記載された評価システムに従って4以上の評価を指す。いくつかの実施形態では、十分な耐ブロッキング性は、実施例8に記載された評価システムに従って5以上の評価を指す。いくつかの実施形態では、基材の損傷は、裸眼によって評価される。いくつかの実施形態では、「基材の損傷がない」とは、裸眼によって観察されたときに基材の損傷がないことを指す。
【0042】
基材上にコーティングし、乾燥させた後、インク配合物でトップコーティングすると、疎水性エマルションを含有する本明細書に記載のポリマー結合剤は、疎水性エマルションを含まない比較ポリマー結合剤と比較して色濃度の50%以下の低下を提供する。これは、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.5%以下の色濃度の低下を含み、その中に増分を含む。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションを含有するポリマー結合剤は、疎水性エマルションのない比較ポリマー結合剤と比較して、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2または0.1%の色濃度の減少を提供し、その中に増分を含む。色濃度は、印刷基材に適用されたインクの量に関連する。
【0043】
基材上にコーティングし、乾燥させると、本明細書に記載のポリマー結合剤は、少なくとも約8g/mの最終コーティング重量を提供する。これには、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18または19g/mが含まれる。いくつかの実施形態では、最終コーティング重量は、約10~約20g/mである。
【0044】
基材上にコーティングし、乾燥させると、本明細書に記載のポリマー結合剤は、少なくとも約8ミクロンの最終コーティング厚さを提供する。これには、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、または19ミクロンが含まれる。いくつかの実施形態では、最終コーティング厚さは、約10~約20ミクロンである。
【0045】
別の態様では、本明細書で開示される多相ポリマー結合剤を含む少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含有する基材が本明細書で提供される。別の態様では、本明細書で開示される多相ポリマー結合剤を含む少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含有する基材が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、基材は、本明細書で開示される多相ポリマー結合剤を含む1つ以上の層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含有する。いくつかの実施形態では、基材は、紙または板紙である。いくつかの実施形態では、基材は、紙である。いくつかの実施形態では、基材は、板紙である。
【0046】
別の態様では、本明細書に開示された多相ポリマー結合剤を製造するためのプロセスが本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、水性多相重合法を使用して調製される。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、フリーラジカルエマルション重合法を使用して調製される。いくつかの実施形態では、疎水性エマルションは、フリーラジカルエマルション重合プロセスの前または間に水性ポリマー分散液に添加される。いくつかの実施形態では、添加剤は、フリーラジカルエマルション重合プロセス中に水性ポリマー分散液中に添加される。いくつかの実施形態では、酸不含有コポリマーは、酸高含有コポリマーの存在下で調製される。いくつかの実施形態では、水性ポリマー分散液は、分散または懸濁重合を使用して調製される。
【0047】
全ての刊行物、特許出願、発行された特許、および本明細書で参照される他の文書は、各々の個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が、その全体が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別的に示されるように参照によって本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲で除外される。
【0048】
このように一般的に記載された本実施形態は、以下の実施例を参照することにより一層容易に理解され、それは、説明のために提供され、本技術をいかようにも限定することを意図しない。
【実施例0049】
実施例1.例示的な酸高含有コポリマーの調製。
【0050】
モノマー類をまず適切な量で秤量し、溶媒と混合して透明な溶液を形成した(表1)。フリーラジカル開始剤を混合物に添加し、溶液全体が透明になるまで混合した。次いで、この溶液を、所望の温度で操作される連続撹拌タンク反応器に供給し、生成物を連続的に回収して、反応器内に適切な滞留時間を維持した。反応器からの生成物を高温および真空下で作動する蒸発器に連続的に充填して、未反応のモノマーおよび溶媒を樹脂生成物から除去した。次いで、樹脂生成物を分子量、ガラス転移温度および酸価について分析した。ポリマーの組成は、供給材料中のモノマー類の組成と同一であると仮定することによって、または反応器に供給される個々のモノマー類の質量バランスによって、推定された。極性は、計算されたポリマー組成から計算された。
【表1】
【0051】
実施例2.酸高含有スチレン、アクリルポリマーから水性溶液を作製する例示的な手順。
【0052】
脱イオン水(554.4g)および樹脂A(表1、240.4g)を1L反応器に充填した。アンモニア溶液(28%水溶液、55.3g)を室温で撹拌しながら反応器に添加した。反応器を85℃の温度に加熱し、5時間撹拌した。次いで、溶液を室温まで冷却し、濾過して樹脂溶液D(表2に示す)を生成した。樹脂溶液EおよびFは、それぞれ表1の樹脂BおよびCを使用して同様に作製した。
【表2】
【0053】
実施例3.酸高含有スチレン、アクリルポリマーを使用するエマルション重合。
【0054】
脱イオン水(88.27g)、樹脂溶液D(表2、286.81g)、および水酸化アンモニウム(1.46g)を、1L反応器に充填し、撹拌しながら82℃に加熱した。過硫酸アンモニウム(2.06g)に水(11.15g)を添加した。メチルメタクリレート(52.79g)、2-エチルヘキシルアクリレート(77.13g)、およびブチルアクリレート(120.33g)の溶液を、90分かけて反応器にゆっくりと供給した。水(2.78g)を添加し、反応を82℃で30分間保持した。第三ブチル過酸化物(1.23g)を反応器に添加し、5分間保持した。エリソルビン酸ナトリウム(0.53g)および水(15.81g)の溶液を30分間かけて反応器に供給した。反応器に水を添加した(2.92g)。水酸化アンモニウム(1.34g)および水(35.40g)の溶液を添加した。水(2.78g)を添加し、反応を82℃で30分間保持した。第三ブチル過酸化物(1.23g)を反応器に添加し、5分間保持した。反応器を室温に冷却し、濾過し、エマルションGとして単離した(表3)。エマルションHを、70重量%の樹脂溶液Dおよび30重量%の樹脂溶液Eを使用して調製した。エマルションIを、70重量%の樹脂溶液Dおよび30重量%の樹脂溶液Fを使用して調製した。これらのエマルション類の特性データを表3に示す。
【表3】
【0055】
実施例4.例示的な多相ポリマー結合剤の調製。
【0056】
脱イオン水(468.5g)および30%活性ラウリル硫酸ナトリウム(10.0g)を1.5リットルの反応器に充填し、撹拌しながら82℃に加熱した。過硫酸アンモニウム(2.0g)に水(8.0g)を添加し、5分間保持した。水(4.2g)を加え、スチレン(62.0g)、メタクリル酸メチル(72.0g)、メタクリル酸(18.0g)およびメルカプトプロピオン酸イソオクチル(8.0g)の溶液を反応器に60分かけてゆっくりと供給した。水(10.4g)を添加し、反応を82℃で20分間保持した。2-エチルヘキシルアクリレート(72.0g)、アクリル酸ブチル(12.0g)、スチレン(48.0g)、およびメタクリル酸イソブチル(108.0)の溶液を、60分かけてゆっくりと供給し、水10.4gを添加した。33%のモノマー供給物が添加されたとき、28%アンモニア溶液(5.80g)および水(6.50g)を添加した。水(4.2g)を添加した。66%のモノマーが添加されたとき、28%アンモニウム溶液(5.80g)および水(6.50g)を添加した。水(20.9g)を添加した。反応を82℃で45分間保持した後、50℃に冷却した。殺生物剤(2.0g)および水(27.1g)溶液を添加した。殺生物剤(2.0g)および水(27.1g)溶液を添加した。水(11.8g)を添加した。反応物を室温に冷却し、濾過し、多相ポリマー結合剤I.D. No.1として単離した。このポリマー結合剤および類似のポリマー結合剤のさらなる詳細を、表4に示す。
【表4】
【0057】
実施例5.多相ポリマー分散液の吸水率の評価
【0058】
例示的なポリマー結合剤の耐水性を、Cobb試験を用いて測定した。Cobb試験は、紙の基材にどれだけの水が吸収されるかを測定する。コーティングされたサンプルから100cmの面積を切り取り、秤量し、Cobb試験装置で固定した。DI水(50mL)をセットアップに添加し、タイマーを20分間セットした。試験が完了したら、水を注ぎ出し、サンプルされたものをCobb装置から緩めた。サンプルは、叩いて乾燥し、再度秤量した。得られたデータ出力(表5に示す)は、20分の時間期間(g/m/20分)にわたるコーティングの平方メートル当たり吸収された水のグラムとして表された。図1は、全ポリマー極性による吸水率を示す。2~3g/m/20分の間の吸水率が達成された。
【表5】
実施例6.疎水性エマルション添加剤を含有する多相ポリマー分散液の吸水率の評価
【0059】
疎水性エマルション添加剤を含有する例示的なポリマー結合剤の耐水性を、Cobb試験を使用して測定した。例示的な吸水率データは、(a)酸高含有相:10.8重量%のMMA、34.0重量%のスチレン、39.0重量%のiBMA、11.2重量%のMAA、5重量%のIOMPAと、(b)酸不含有相:30.0重量%の2-EHA、20.0重量%のスチレン、30.0重量%のnBA、20重量%のiBMAと、(c)疎水性エマルション添加剤と、を含有する、ポリマー結合剤について、図2および3に示されている。このデータは、疎水性エマルション添加剤のタイプに対する吸水率依存性を実証している。例えば、JONCRYL(登録商標)Wax120(パラフィン/ポリエチレンワックスエマルション)、PETROLITE(商標)D-800(エトキシル化炭化水素界面活性剤を用いて分散されたパラフィンワックスエマルション)、およびMICHEM(登録商標)62330(アニオン性パラフィン/ポリエチレンエマルション)は、最も向上した耐水性を提供した。付加的に、データは、疎水性エマルション添加剤の量が重要であることを示した。PETROLITE(商標)D-1038、JONCRYL(登録商標)Wax26、UNITHOX(商標)D-300、UNITHOX(商標)D-550およびUNITHOX(商標)750の場合、添加量が増加するにつれて吸水率が増加した。しかしながら、MICHEM(登録商標)62330またはPETROLITE(商標)D-800が10重量%までの量で使用されたとき、吸収率が減少した。JONCRYL(登録商標)Wax120の場合、最大の性能向上が5重量%~10重量%の間で見出された。
【0060】
さらなる試験は、疎水性エマルション添加剤が配合物中にどのように組み込まれたかが、ポリマー結合剤の安定性にとって重要であることを示唆した。例えば、JONCRYL(登録商標)Wax120を、初期反応器充填中の重合プロセスに、酸高含有相と酸不含有相との重合の間、酸不含有重合後、周囲温度以上で冷却前または冷却中、または反応器非充填または生成物濾過後の添加物として添加した。
【0061】
実施例7.オーバープリント性の評価
【0062】
疎水性エマルション添加剤のタイプは、オーバープリント性に影響を及ぼすことが見出された。オーバープリント性は、疎水的変性配合物(ポリマー固形分に基づいて10%の疎水性エマルション添加剤;(a)酸高含有相:10.8重量%のMMA、34.0重量%のスチレン、39.0重量%のiBMA、11.2重量%のMAA、5重量%のIOMPA;および(b)酸不含有相:30.0重量%の2-EHA、20.0重量%のスチレン、30.0重量%のnBA、20重量%のiBMAを含有するポリマー結合剤)を、ワイヤ巻線ロッド、アニロックスハンドプルーファー、またはミニGeigerプレスを使用して、指定された紙ストックに適用することによって判定した。次いで、インク配合物(41.0%の顔料分散液BFD1121Blue、10.0重量%のJONCRYL(登録商標)60、44.0の重量%JONCRYL(登録商標)89および5.0重量%のJONCRYL(登録商標)ワックス26)を4.5BCM容積のアニロックスローラーを使用して、コーティングされた紙の上に適用した。次いで、色強度(色濃度)を色濃度計で測定した。色濃度は、より多くのインクが転写されて疎水性コーティングに付着するほど、色強度が大きくなるという点で、オーバープリント性に直接関係する。例示的データを図4に示す。
【0063】
図4は、疎水性エマルション添加剤のタイプが、オーバープリント性に重大な影響を及ぼすことを実証している。オーバープリント性は、目標の吸水率、耐ブロッキング性および熱シール強度と共に所望のフィルム厚さを達成することができるように、複数のコーティング層が適用されることを可能にするので、重要な特性である。目標コーティング厚さは、10<x<20ミクロン(図5に示すように)であり、1つのコーティング層でフレキソ印刷技術またはグラビア印刷技術を使用して達成することができない厚さであると判定された。
【0064】
実施例8.耐ブロッキング性の評価
【0065】
耐ブロッキング性試験を実施して、ポリマー結合剤の耐性を、加圧下および高温下でそれ自体およびコーティングされていない紙に付着させるように判定した。この試験は、標準的な温度、圧力および時間に供されたときにコーティングされた基材が受ける粘着性および損傷の程度を測定する。コーティング紙ストックのロールは、紙の均一性に応じて60psiまでの内部圧力を達成することができる。熱帯条件(30℃および95%相対湿度)下で保管または輸送された場合、コーティングされた紙の層は互いに粘着し、最悪の場合、紙またはコーティングが著しく損傷する可能性がある。耐ブロッキング性試験は、50℃、60psiで24時間実施された。サンプルを1×3インチに切断し、2枚のシートをブロック試験装置中で、コーティング-紙(フェースツーバック、F-B)またはコーティング-コーティング(フェースツーフェース、F-F)で層状化した。次いで、層の上にばねを載置して、サンプルにある程度の圧力をかける。装置全体を、50℃で24時間湿潤可能なオーブンに載置した。ブロック試験が完了したら、サンプルを取り出し、サンプルの粘着性および損傷をモニターした。評価システムは、表6に記載されている。ポリマー結合剤組成を、表4に示す。例示的な耐ブロッキング性データを、表7および図6および7に示す。このデータは、酸高含有ポリマー硬度に対する耐ブロッキング性の依存性を示す。
【表6】
【表7】
【0066】
実施例9.熱シール強度および耐ブロッキング性の評価
【0067】
半自動熱シーラーを使用して、特定の温度、圧力、およびシール時間(例えば、1秒滞留時間、40psi、125~250℃)でASTM F2029に従ってサンプルをシールした。サンプルを1×4インチに切断し、コーティング-紙でシールした。Instron試験機を使用して、熱シールされたサンプルについての改変ASTM D3330試験方法に従って180°剥離試験を実施した。シール強度、破損モード、およびホットタック性能(高温で測定)を測定した。コーティングされたサンプルを、制御された温度および湿度(CTH)室内で24時間コンディショニングし、結果的に-15℃、25℃、および90℃で試験した。報告された剥離強度(またはシール強度)(N/mm)は、試験条件下で達成された最大強度であった。破損モードは、接着剤(コーティングと紙の分離、シールなし)または基材(紙の引き裂き)とすることができる。
【0068】
表8は、(a)MMA47%、2-EHA5%、STY36%、MAA12%(分子量は0.5~5.0%のイソオクチルメルカプトプロピオネートを用いて制御された)の酸高含有相、(b)BA30%、2-EHA30%、STY20%、iBMA20%の酸不含有相、および(c)固形分基準で10重量%のMICHEM(登録商標)62330)からなる、多相ポリマー結合剤の特性詳細、コーティング耐ブロッキング性、および熱シール強度データを示す。表8のデータは、耐ブロッキング性へのDISPONIL(登録商標)AFX1080の負の影響を示している(I.D.No.17対18)が、室温(I.D. No.17対18)および高温(I.D.20対21)での熱シール強度への正の影響を示す。酸高含有相分子量は、正の耐ブロッキング性への影響(I.D.No.17対20)があるが、負の室温熱シール強度への影響(I.D.No.17対20)があることが見出された。同様の傾向が、酸高含有相含量および耐ブロッキング性ならびに室温熱シール強度について見出された(I.D. No.18対19)。ポリマー分散組成物および加工添加剤の量を最適化することにより、25℃および90℃でのブロック耐性、熱シール性および熱シール強度の非常に良好なバランスを得ることができた。例えば、40重量%のシェル相、1~3重量%のDISPONIL(登録商標)AFX4070、および45,000~60,000のシェル相分子量および100℃~120℃のTgは、典型的な熱シール温度(150℃~250℃)で25℃と90℃で優れた耐ブロッキング性と熱シール強度を提供した。これらのレベルからの偏差は、性能を大きく低減した。
【0069】
付加的に、加工添加剤の構造を変更し、その極性を変えることにより、この特性のバランスに影響を与える。例えば、40~10モルのエチレンオキシド単位のエトキシル化度を低減すると、耐ブロッキング性は増加するが、25℃での熱シール強度は低減する。
【表8】
【0070】
実施例10.コーティングされた物品のリサイクル性/再パルプ化性評価
【0071】
実験室スケールの再パルプ化装置を使用した再パルプ化性評価を行って、特定のコーティングされた紙コップストック(300グラム)のリサイクル性/再パルプ化性を識別した。評価は、#0ロッドを用いた自動巻線式コーティング器を用いて種々の疎水性に改質した配合物を適用することからなった。ロッドコーティングは、巻線バーおよび自動制御コーティング器を利用した。板紙上のフィルムコーティング重量は、溝の大きさ(10~20グラム/平方メートル(gsm))によって制御された。コーティング重量は、12~16gsmの間で変化した。コーティングされたサンプルを、標準実験室条件(72°F±5°F、50%±5%R.H.)で一晩コンディショニングした。次いで、コーティングされたサンプルを、冷たい水道水および4リットルの多段階の実験用ブレンダーを使用して再パルプ化性について試験した。ブレンドを、特定の時間期間(1~6分)および異なるブレンド速度で行った。2つの方法を使用してコーティングされた紙の脱繊維化挙動を測定した。第1の方法では、パルプの一部を1リットルのメスシリンダーに添加し、その外観をVoith Speck Index(VSI)チャート(図8)と比較した。第2の方法では、75gsmのハンドシートを作製し、写真を顕微鏡下で撮影し、VSIチャートと比較して、脱繊維化の程度を確立した。VSI評価は、スペックルおよび大きな繊維/コーティングの量に依存した。図9は、それぞれコーティングされていないブランクおよびコーティングされた紙ストックからのパルプから製造されたハンドシートの写真を示す。示されているように、再パルプ化の2分後に低いスペックル数を有する2枚のハンドシート間に有意差はなく、コーティングが紙ストックのリサイクル性または再パルプ化性に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0072】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュ(Markush)グループに関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュ(Markush)グループのメンバーの任意の個々のメンバーまたはサブグループの観点から記載されることを認識するであろう。
【0073】
当業者には理解されるように、任意のおよび全ての目的のために、特に書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、その可能な部分範囲および部分範囲の組み合わせをも包含する。全ての列挙された範囲は、十分に記述されており、同じ範囲を少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解できると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で述べられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1などに容易に分解することができる。当業者であれば理解するであろうように、「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「を超える(greater than)」、「より小さい(less than)」などの全ての文言は列挙された数字を含み、上で述べられるようにその後部分範囲に分解される範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は各々の個々の部材を含む。したがって、例えば、1~3個のセルを有する基は、1、2、または3個のセルを有する基を指す。同様に、1~5個のセルを有する基は、1、2、3,4、または5個のセルを有する基を指す。
【0074】
本発明(特に添付の特許請求の範囲の文脈において)を説明する文脈における用語「1つ(a)」および「1つ(an)」および「その(the)」ならびに同様の指示対象の使用は、本明細書に示されているか、または文脈と明らかに矛盾していなければ、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、範囲内の各々の別個の値を個々に参照する簡略方法として役立つことを意図しており、各々の個別値は、本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で他に指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または例示的な文言(例えば、「~など(such as)」)の使用は、単に本発明をよりよく示すことを意図しており、別段の請求がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる文言も、本発明の実施に不可欠な非請求の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0075】
本明細書で使用される際、「約(about)」は当業者に理解され、使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約(about)」はその特定の用語のプラスまたはマイナス10%を意味する。
【0076】
様々な態様および実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様および実施形態も、当業者には明らかである。本明細書に開示された様々な態様および実施形態は、例示のためのものであり、制限することを意図せず、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の請求項によって示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相ポリマー結合剤であって、
5重量%~100重量%の量で存在する水性ポリマー分散液と、
0重量%~25重量%の疎水性エマルションと、
0重量%~10重量%の界面活性剤と、を含み、
前記ポリマー結合剤が、乾燥したときに、5g/m/20分未満の吸水率、25℃または90℃で測定したとき、少なくとも200ニュートン/メートル(N/m)のシール強度を有し、前記水性ポリマー分散液が、1重量%~60重量%の量で存在する酸高含有コポリマーと、40重量%~95重量%の量で存在する酸不含有コポリマーを含み、前記酸高含有コポリマーが、5重量%~25重量%の量のカルボン酸官能性モノマー類と、70重量%までの量のスチレンと、10重量%~90重量%の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含み、前記酸不含有コポリマーが、50重量%までの量のスチレンと、50重量%~100重量%未満の量の(メタ)アクリレートモノマー類と、を含む、多相ポリマー結合剤。
【請求項2】
前記水性ポリマー分散液が、80重量%~95重量%の量で存在する、請求項1に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項3】
前記疎水性エマルションが、5重量%~10重量%の量で存在する、請求項1または請求項2に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項4】
前記界面活性剤が、1重量%~3重量%の量で存在する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項5】
前記疎水性エマルションが、ワックスエマルションである、請求項1~のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項6】
前記ワックスエマルションが、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、微晶質ワックス類、フッ素化ワックス類、エチレンおよびプロピレンコポリマーワックス類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む、請求項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項7】
前記界面活性剤が、アニオン性または非イオン性である、請求項1~のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項8】
前記界面活性剤が、1つ以上のアルキルスルホネート類、アルキルベンゼンスルホネート類、アルキルスルフェート類、アルキルベンゼンスルフェート類、ホスフェート類、ホスフィネート類、脂肪カルボキシレート類、またはそれらの2つ以上の任意の組み合わせ
1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類;
1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類;
1つ以上のアルキルスルホコハク酸エトキシレート類および1つ以上の脂肪アルコールエトキシレート類;又は
12~18個の炭素のアルキル鎖長を有する1つ以上の脂肪アルコールと、
10~80モルのエチレンオキシド単位のエトキシル化度と
を含む、請求項1~のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤。
【請求項9】
基材であって、請求項1~のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤を含む少なくとも1つの層でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む、基材。
【請求項10】
請求項1~のうちのいずれか1項に記載の多相ポリマー結合剤の製造方法。
【請求項11】
酸不含有コポリマーが、酸高含有コポリマーの存在下で調製される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記水性ポリマー分散液が、フリーラジカルエマルション重合プロセスを使用して調製される、請求項10または請求項11に記載の製造方法。
【外国語明細書】