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特開2022-13061磁気ディスク用基板及び当該磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスク
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  • 特開-磁気ディスク用基板及び当該磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013061
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】磁気ディスク用基板及び当該磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスク
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/73 20060101AFI20220111BHJP
   G11B 5/82 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G11B5/73
G11B5/82
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020115353
(22)【出願日】2020-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155572
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 恵視
(72)【発明者】
【氏名】北脇高太郎
(72)【発明者】
【氏名】畠山英之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷航
(72)【発明者】
【氏名】坂本遼
【テーマコード(参考)】
5D006
【Fターム(参考)】
5D006CB04
5D006CB07
5D006DA03
5D006FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐衝撃性と省エネルギー性に優れた磁気ディスク用基板及び当該磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクを提供する。
【解決手段】磁気ディスク用基板において、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板。
【請求項2】
前記(f×ρ/t)が4000以上である、請求項1に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項3】
前記(f×ρ/t)が4200以上である、請求項1に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項4】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~11.0gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項5】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~10.5gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項6】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~8.7gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性と省エネルギー性に優れた磁気ディスク用基板及び当該磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの記憶装置に用いられる磁気ディスクは、良好なめっき性を有すると共に、機械的特性や加工性に優れた磁気ディスク用基板を用いて製造されている。この磁気ディスク用基板は、アルミニウム合金を基本としたアルミニウム合金基板や、ガラスを基本としたガラス基板等から製造されている。アルミニウム合金基板としては、例えば、JIS5086アルミニウム合金(Mg:3.5~4.5mass%、Fe:0.50mass%以下、Si:0.40mass%以下、Mn:0.20~0.70mass%、Cr:0.05~0.25mass%、Cu:0.10mass%以下、Ti:0.15mass%以下及びZn:0.25mass%以下、残部Al及び不可避的不純物)からなるものが知られている。
【0003】
一般的な磁気ディスクの製造においては、まず、円環状の磁気ディスク用基板を作製し、この磁気ディスク用基板の表面に磁性体を付着させることにより行われている。例えば、前記したJIS5086合金からなるアルミニウム合金製磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクは、以下の製造工程により製造される。
【0004】
まず、所定の化学成分としたアルミニウム合金素材を鋳造し、その鋳塊を熱間圧延し、次いで冷間圧延を施し、磁気ディスクとして必要な厚さを有する圧延材を作製する。この圧延材には、必要に応じて冷間圧延の途中等に焼鈍を施すことが好ましい。次に、この圧延材を円環状に打抜いて、円環状のアルミニウム合金板とする。そして、ここまでの製造工程により生じた歪み等を除去するため、円環状アルミニウム合金板を積層し、上下の両面から加圧しつつ焼鈍を施して平坦化する加圧焼鈍を行う。これにより円環状のアルミニウム合金のディスクブランクが作製される。
【0005】
このようにして作製されたアルミニウム合金のディスクブランクに、前処理として切削加工、研削加工、脱脂、エッチング及びジンケート処理(Zn置換処理)を施す。次いで、下地処理として硬質非磁性金属であるNi-Pを無電解めっきし、該めっき表面をポリッシング(研磨)することで、磁気ディスク用のアルミニウム合金基板が製造される。
【0006】
そして、このようにして製造された磁気ディスク用のアルミニウム合金基板に磁性体をスパッタリングすることで、アルミニウム合金製の磁気ディスクが製造される。
【0007】
なお、磁気ディスク用基板としては、アルミニウム合金基板以外にガラス基板等も用いられている。
【0008】
ところで、近年においては、マルチメディア等のニーズから、HDD等の磁気ディスク装置に対する大容量化及び高密度化の要求が高まっている。更なる大容量化のため、記憶装置に搭載される磁気ディスクの枚数は増加傾向にあり、それに伴って磁気ディスクの薄肉化も要求されている。
【0009】
しかしながら、磁気ディスク用基板を薄肉化すると剛性が低下してしまう問題がある。剛性が低下すると、基板が変形し難い程度を示す耐衝撃性が低下してしまうため、基板には耐衝撃性の向上が求められている。また、基板の枚数が増加すると磁気ディスク装置として使用する際の消費電力が大きくなり過ぎるため、省エネルギー性(以下、単に「省エネ性」と記す)も求められている。
【0010】
このような実情から、近年では高い剛性を有する磁気ディスク用基板が強く望まれ、検討がなされている。例えば、特許文献1では、アルミニウム合金基板の剛性向上に寄与するSi成分を多く含有させて、剛性を向上させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2016/068293号公報
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示されるSi含有量を増加して剛性のみを向上させる方法では、耐衝撃性の低下を大幅に抑制することはできず、目標とする良好な耐衝撃性は得られていないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性と省エネ性に優れた磁気ディスク用基板及びこの磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、磁気ディスク用基板について、その耐衝撃性と省エネ性と基板の各種特性等との関係について鋭意検討した結果、基板の共振周波数(f)と密度(ρ)と板厚(t)の関係、ならびに、基板の重量が耐衝撃性と省エネ性に大きな影響を与えることを見出した。そして、このような共振周波数(f)と密度(ρ)と板厚(t)の関係、ならびに、重量が所定範囲にある基板において、耐衝撃性が向上し省エネ性も優れることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
本発明は請求項1において、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板とした。
【0016】
本発明は請求項2では請求項1において、前記(f×ρ/t)が4000以上であるものとした。
【0017】
本発明は請求項3では請求項1において、前記(f×ρ/t)が4200以上であるものとした。
【0018】
本発明は請求項4では請求項1~3のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~11.0gであるものとした。
【0019】
本発明は請求項5では請求項1~3のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~10.5gであるものとした。
【0020】
本発明は請求項6では請求項1~3のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~8.7gであるものとした。
【0021】
本発明は請求項7において、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスクとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、耐衝撃性と省エネ性に優れた磁気ディスク用基板及びこの磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る磁気ディスク用基板としてアルミニウム合金基板の製造方法を示すフロー図を示す。
図2】本発明に係る磁気ディスク用基板としてガラス基板の製造方法を示すフロー図を示す。
図3】(f×ρ/t)と耐衝撃性の関係を示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は磁気ディスク用基板(以下、磁気ディスク用基板を単に「基板」と記す場合がある)に関し、更に、この磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を設けた磁気ディスクに関する。以下に、これらを詳細に説明する。
【0025】
1.磁気ディスク用基板
本発明に係る磁気ディスク用基板では、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(cm)として、(f×ρ/t)を3800以上に規定することによって優れた耐衝撃性が得られる。更に、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量を6.0~11.0gに規定することにより、耐衝撃性を更に向上させるとともに省エネ性の向上も図ることができる。なお、(f×ρ/t)の単位は[(Hz)・(g/cm)・(mm-1)]である。
【0026】
1-1.(f×ρ/t)
本発明者らの検討によれば、基板のf×ρ/tを大きくすることによって基板の耐衝撃性を向上させる効果が発揮される。磁気ディスク装置の落下時等において基板が振動するが、その際の周波数は落下時の加速度等によって変化し500~1500Hz程度である。基板のfが大きいことで共振し難くなり、これによって基板の変形が抑制されて耐衝撃性の低下を抑制することができる。fが小さい基板は、磁気ディスク装置の落下時等に加わる力が小さい場合でも基板が共振し易いためこれによって基板の変形が大きくなり、他の部材との衝突等における耐衝撃性が低下する。なお、fの値はtによって変化するので、規格化のためfをtで除したものを用いる。
【0027】
次に、ρについては従来、小さい方が良好な耐衝撃性が得られるとされてきた。図3は、本発明者らが明らかにした(f×ρ/t)と耐衝撃性の関係を示すグラフであり、プロットした4点は、tとfがほぼ同じでρを大きく変化させたものである。図において縦軸は、落下衝撃時の加速度(G)が30~50G、作用時間が2msecとなるように高さを変えて、初速度0m/sで基板を鉛直方向に自然落下させ、地面に衝突した際の外周部の基板のたわみ(変位)を測定し、加速度と変位(μm)のデータ(12点)から算出した変位/加速度である。なお、基板の内周部をブロックに固定した状態で、ブロックが地面に衝突するように試験を行った。
【0028】
図3から、(f×ρ/t)が大きい、即ち、ρが大きい方が変位が小さいことが分かる。ρが小さな基板では、浮力の影響を受け易く振動時間も長くなるため変位し易くなる。磁気ディスクを搭載した磁気ディスク装置が落下等する場合、図3に示す変位が大きい基板を用いた磁気ディスクでは他部材(他の磁気ディスクやヘッドの退避場所であるランプロードなど)と衝突する回数が増えて傷付きなどによる損傷が増える。本発明では、このような損傷に耐える特性を耐衝撃性とする。耐衝撃性の低下を回避するには、基板の(f×ρ/t)を3800以上に規定する必要がある。(f×ρ/t)は好ましくは4000以上であり、より好ましくは4200以上である。なお、基板の(f×ρ/t)の上限は特に限定されるものではないが、基板の材質や組成、ならびに、製造条件によって自ずと決まるものであり、本発明においては5500程度とするのが好ましい。
【0029】
1-2.重量
本発明においては上記耐衝撃性を向上させるには、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量も重要であり、6.0~11.0gとするのが好ましい。これによって、上記耐衝撃性を更に向上させることができる。基板の耐衝撃性は、磁気ディスクの落下時等に基板に力が加わって振動が生じたときに、基板の他部材との衝突が避けられることで向上する。基板の重量が重いほど基板の振動の収束に要する時間が短時間となるので、他の部材との接触の機会が低減され接触による傷付きなどの耐衝撃性が抑制される。しかしながら、基板の重量が重過ぎると、磁気ディスクに用いる際の消費電力が大き過ぎて省エネ性に欠けることになる。具体的には、磁気ディスクを回転させるためのスピンドルモータの消費電力が大きくなることで省エネ性に欠けることになる。消費電力は動力と関係があり、回転数(rpm)とトルク(N・m)と係数の積で表すことができる。基板重量が重くなるとトルクが大きくなるため動力が大きくなり、消費電力も大きくなる。
【0030】
本発明者らは、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~11.0gの場合に耐衝撃性及び省エネ性に優れることを見出した。この重量が6.0g未満では、耐衝撃性の抑制効果が十分に得られず、11.0gを超えると消費電力が大き過ぎて省エネ性に欠ける。本発明においては、この重量を6.00~11.0gとするのが好ましく、6.0~10.5gとするのがより好ましく、6.0~8.7gとするのが更に好ましい。
【0031】
1-3.材質
本発明に係る磁気ディスク用基板の材質としては、アルミニウム合金などの金属材料とすることができる。また、材質としてガラス材料を用いることもできる。以下において、アルミニウム合金で構成した磁気ディスク用基板(以下、「磁気ディスク用アルミニウム合金基板」と記す)、ならびに、ガラス材料で構成した磁気ディスク用基板(以下、「磁気ディスク用ガラス基板」と記す)について説明する。
【0032】
1-3-1.磁気ディスク用アルミニウム合金基板
本発明に係る磁気ディスク用基板は、アルミニウム合金で構成することができる。以下、本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の合金組成及びその製造方法について、それぞれの詳細を説明する。
【0033】
(a)合金組成
本発明に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板に用いるアルミニウム合金は、共振周波数や密度を向上させることができるFe、Mn、Ni、Mg等の元素を含有することが好ましい。
【0034】
具体的には、Fe:8.5mass%(以下、単に「%」と記す)以下、Mn:2.5%以下、Ni:6.5%以下及びMg:4.5%以下の1種又は2種以上を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなることを特徴とする。更に、Zn:0.7%以下、Cu:1.0%以下、Cr:0.30%以下、Zr:0.20%以下、Be:0.0015%以下、Sr:0.1%以下、Na:0.1%以下及びP:0.1%以下の1種又は2種以上を更に含有してもよい。
【0035】
Fe:
Feは、主として第二相粒子(Al-Fe系金属間化合物等)として、一部はマトリックスに固溶して存在し、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を発揮する。固溶Fe量が増加することで、固溶FeとAlとの相互作用により良好なfが得られる。また、FeはAlよりもρが大きいため、Fe含有量が増加するとρが大きくなる。アルミニウム合金中のFe含有量が8.5%以下であることによって、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を一層高めることができる。また、基板重量の大幅な増加を抑制することができる。その結果、耐衝撃性と省エネ性に優れた基板を得ることができる。そのため、アルミニウム合金中のFe含有量は、8.5%以下の範囲が好ましい。更に好ましくは1.8%以下である。下限は0.1%とするのが好ましく、0.2%とするのがより好ましい。
【0036】
Mn:
Mnは、主として第二相粒子(Al-Mn系金属間化合物等)として、一部はマトリックスに固溶して存在し、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を発揮する。固溶Mn量が増加することで、固溶MnとAlとの相互作用により良好なfが得られる。また、MnはAlよりもρが大きいため、Mn含有量が増加するとρが大きくなる。アルミニウム合金中のMn含有量が2.5%以下であることによって、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を一層高めることができる。また、基板重量の大幅な増加を抑制することができる。その結果、耐衝撃性と省エネ性に優れた基板を得ることができる。そのため、アルミニウム合金中のMn含有量は、2.5%以下の範囲が好ましい。更に好ましくは1.8%以下である。下限は0.1%とするのが好ましく、0.2%とするのがより好ましい。
【0037】
Ni:
Niは、主として第二相粒子(Al-Ni系金属間化合物等)として、一部はマトリックスに固溶して存在し、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を発揮する。固溶Ni量が増加することで、固溶NiとAlとの相互作用により良好なfが得られる。また、NiはAlよりもρが大きいため、Ni含有量が増加するとρが大きくなる。アルミニウム合金中のNi含有量が6.5%以下であることによって、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を一層高めることができる。また、基板重量の大幅な増加を抑制することができる。その結果、耐衝撃性と省エネ性に優れた基板を得ることができる。そのため、アルミニウム合金中のNi含有量は、6.5%以下の範囲が好ましい。更に好ましくは5.5%以下である。下限は0.1%とするのが好ましく、0.2%とするのがより好ましい。
【0038】
Mg:
Mgは、主としてマトリックスに固溶して存在し、一部は第二相粒子(Mg-Si系金属間化合物等)として存在する。MgはAlよりもρが小さいため、Mg含有量が増加すると基板の重量は減少するが、省エネ性の観点ではその効果を発揮する。一方、Mg含有量が4.5%を超えると、固溶MgとAlの相互作用によりfが低下する。そのため、アルミニウム合金中のMg含有量は、4.5%以下が好ましく。より好ましくは、2.5%以下で、更に好ましくは、1.0%以下である。下限は0.1%とするのが好ましく、0.2%とするのがより好ましい。
【0039】
Zn、Cu、Cr、Zr、Be、Sr、Na及びP:
これらの各元素についても、それぞれ上記の含有範囲添加することで、金属間化合物等として、或いは、マトリックスに固溶して存在し、アルミニウム合金基板のfとρを増加させる効果を発揮する。また、固溶量が増加することで、固溶したものとAlとの相互作用により良好なfが得られる。
【0040】
不可避不純物等のその他の元素
アルミニウム合金には、上述した必須成分及び選択成分以外の不可避的不純物となる元素が含まれていてもよい。これらの元素としては、Si、Ti、V、Gaなどが挙げられ、その含有量は、各元素について0.10%以下、合計で0.30%以下であれば本発明の作用効果を損なわない。
【0041】
(b)製造方法
以下に、本実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造工程の各工程及びプロセス条件を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る磁気ディスク用アルミニウム合金基板、ならびに、これを用いた磁気ディスクの製造方法を説明するフロー図である。図1において、アルミニウム合金成分の調整工程(ステップS101)~冷間圧延・打ち抜き加工(ステップS105)は、溶解鋳造でアルミニウム合金素材を製造し、これをアルミニウム合金板とし更に円環状に加工するまでの工程である。次いで、加圧平坦化工程(ステップS106)によって、アルミニウム合金のディスクブランクが製造される。更に、製造したディスクブランクに対して切削加工・研削加工(ステップS107)及び加熱処理(ステップS108)を含む前処理を行い、次いで、ジンケート処理(ステップS109)、Ni-Pめっき処理(ステップS110)及び表面研磨(ステップS111)を行って、磁気ディスク用アルミニウム合金基板が製造される。表面研磨(ステップS111)後の磁気ディスク用アルミニウム合金基板に、磁性体の付着工程(ステップS112)を施すことによって磁気ディスクが製造される。以下、図1のフローに従って各工程の内容を詳細に説明する。なお、切削加工・研削加工(ステップS107)後の基板を磁気ディスク用アルミニウム合金基板としても良い。Ni-Pめっき処理を実施しないことで、めっきの拘束がなくなりfを向上させることができる。
【0042】
まず、上述の成分組成を有するアルミニウム合金素材の溶湯を、常法に従って加熱・溶融することによって調製する(ステップS101)。次に、調製されたアルミニウム合金素材の溶湯を、半連続鋳造(DC鋳造)法や金型鋳造法、連続鋳造(CC鋳造)法等により鋳造して、アルミニウム合金素材を鋳造する(ステップS102)。DC鋳造法及びCC鋳造法における、アルミニウム合金素材の製造条件等は、以下の通りである。
【0043】
DC鋳造法においては、スパウトを通して注がれた溶湯が、ボトムブロックと、水冷されたモールドの壁、ならびに、インゴット(鋳塊)の外周部に直接吐出される冷却水で熱を奪われ、凝固し、アルミニウム合金の鋳塊として下方に引き出される。金型鋳造法においては、鋳鉄等で作られた中空の金型に注がれた溶湯が、金型の壁に熱を奪われ、凝固し、鋳塊が出来上がる。
【0044】
一方、CC鋳造法では、一対のロール(又は、ベルトキャスタ、ブロックキャスタ)の間に鋳造ノズルを通して溶湯を供給し、ロールからの抜熱でアルミニウム合金の薄板を直接鋳造する。
【0045】
DC鋳造法とCC鋳造法との大きな相違点は、鋳造時の冷却速度にある。冷却速度が大きいCC鋳造法では、第二相粒子のサイズがDC鋳造に比べて小さいのが特徴である。金型鋳造法の冷却速度は、DC鋳造法よりも速くなる傾向がある。いずれの鋳造法においても、鋳造時の冷却速度は0.1℃/s以上とするのが好ましい。鋳造時の冷却速度を0.1℃/s以上とすることによって、Fe等の固溶量が増加し、fが向上する。鋳造時の冷却速度が0.1℃/s未満では、Fe等の固溶量が少なくなり、fが低下する虞がある。
【0046】
アルミニウム合金鋳塊については、必要に応じて均質化処理を実施する(ステップS103)。均質化処理を行う場合は、280~420℃又は500~620℃で0.5~30時間の加熱処理を行うことが好ましく、300~350℃又は510~600℃で1~24時間の加熱処理を行うことがより好ましい。均質化処理時の加熱温度が280℃未満又は加熱時間が0.5時間未満の場合は、均質化処理が不十分で、アルミニウム合金基板毎のfのバラツキが大きくなる虞がある。均質化処理時の加熱温度が420℃を超えて500℃未満の場合、Fe等の固溶量が少なくなり、fが低下する虞がある。均質化処理時の加熱温度が620℃を超えると、アルミニウム合金鋳塊に溶融が発生する虞がある。均質化処理時の加熱時間が30時間を超えてもその効果は飽和し、それ以上の顕著な改善効果が得られない。
【0047】
次に、必要に応じて均質化処理を施した、或いは、均質化処理を施していないアルミニウム合金鋳塊(DC鋳造、金型鋳造)を熱間圧延し板材とする(ステップS104)。熱間圧延するに当たっては、特にその条件は限定されるものではないが、熱間圧延開始温度を好ましくは300~420℃又は500~600℃とし、熱間圧延終了温度を好ましくは230~400℃とする。
【0048】
次に、熱間圧延した圧延板、又は、CC鋳造法で鋳造した鋳造板を冷間圧延して1.3mmから0.45mm程度の冷間圧延板とする(ステップS105)。冷間圧延によって所要の製品板厚に仕上げる。冷間圧延の条件は特に限定されるものではなく、必要な製品板強度や板厚に応じて定めれば良く、圧延率を10~95%とするのが好ましい。冷間圧延の前、或いは、冷間圧延の途中において、冷間圧延加工性を確保するために焼鈍処理を施してもよい。焼鈍処理を実施する場合には、例えばバッチ式の加熱ならば、300~420℃で0.1~10時間の条件で行うことが好ましく、連続式の加熱ならば、500~600℃で0~60秒間保持の条件で行うことが好ましい。ここで、保持時間が0秒とは、所望の保持温度に到達後直ちに冷却することを意味する。
【0049】
そして、冷間圧延により得られたアルミニウム合金板を円環状に打ち抜き(ステップS105)、円環状アルミニウム合金板とする。円環状アルミニウム合金板は、加圧平坦化処理(ステップS106)によってディスクブランクとする。加圧平坦化処理では、大気中で、例えば200~420℃で0.5~10時間の加圧焼鈍が行われ、平坦化したブランクが作製される。
【0050】
ディスクブランクには、ジンケート処理等の前に、切削加工・研削加工(ステップS107)と加熱処理(ステップS108)を含む前処理が実施される。加熱処理では、例えば130~280℃の範囲で0.5~10.0時間保持する。この加熱処理により、転位の減少を抑制することが可能となり、フラッタリング特性や耐衝撃性を向上させることができる。加熱処理温度が280℃を超える場合、又は、加熱処理時間が10.0時間を超える場合は転位が減少し、その結果、フラッタリング特性や耐衝撃性が低下する虞がある。一方、加熱処理温度が130℃未満の場合、又は、加熱処理時間が0.5時間未満の場合は、加工により導入された歪の除去が不十分となり、その結果、経時変化により基板の平坦度が悪化して磁気ディスク用アルミニウム合金基板としての使用が困難となる虞がある。以上の理由により、切削・研削した後のブランクの加熱処理は、130~280℃の範囲において0.5~10.0時間保持を行うことが好ましい。
【0051】
なお、基板の重量を調整するため、切削加工時に、基板の内周部や外周部の削り代を適宜変更してもよい。
【0052】
次に、ディスクブランク表面を脱脂、エッチングして、ジンケート処理(Zn置換処理)を施す(ステップS109)。ジンケート処理では、ディスクブランク表面にジンケート皮膜が形成される。ジンケート処理は、市販のジンケート処理液を用いることができ、温度10~35℃、処理時間0.1~5分、濃度100~500mL/Lの条件での処理が好ましい。ジンケート処理は、少なくとも1回行われ、2回以上行っても良い。ジンケート処理を複数回行うことで、微細なZnを析出させて均一なジンケート皮膜を形成することができる。ジンケート処理を2回以上行う場合、その合間にZn剥離処理を行っても良い。Zn剥離処理は、HNO溶液を用い、温度15~40℃、処理時間10~120秒、濃度:10~60%の条件での処理が好ましい。また、2回目以降のジンケート処理は、最初のジンケート処理と同様の条件で実施することが好ましい。
【0053】
更に、ジンケート処理したディスクブランク表面に、磁性体付着の下地処理として無電解Ni-Pめっき処理(ステップS110)を施す。無電解Ni-Pめっき処理工程は、市販のめっき液等を用い、温度80~95℃、処理時間30~180分、Ni濃度3~10g/Lの条件でめっき処理を行うことが好ましい。
【0054】
Ni-Pめっき皮膜の厚さを厚くすると、ρが増加する傾向となって耐衝撃性を向上させることができることから、Ni-Pめっき皮膜の厚さは7μm以上が好ましく、18μm以上が更に好ましい。
【0055】
無電解Ni-Pめっき処理後のめっき表面に、平滑化のための表面研磨を行う(ステップS111)。この研磨工程では、研磨砥粒の径を調整した複数段階での研磨を行うことが好ましい。例えば、粒径が0.1~1.0μmの大径研磨砥粒を含む研磨液と硬質又は軟質の研磨パッドとを用いて主表面を粗研磨する。次に、粒径が0.01~0.1μm程度の小径研磨砥粒を含む研磨液と軟質研磨パッドを用い表面の仕上げ精密研磨を行う。以上説明した工程によって、磁気ディスク用アルミニウム合金基板が製造される。なお、省エネ性と耐衝撃性の観点から、前記切削加工・研削加工(ステップS107)後の基板を磁気ディスク用アルミニウム合金基板としても良い。
【0056】
1-3-2.磁気ディスク用ガラス基板
本発明に係る磁気ディスク用基板は、ガラス材料で構成することもできる。以下、本発明に係る磁気ディスク用のガラス基板について、適用されるガラス材料と基板の製造方法について、それぞれの詳細を説明する。
【0057】
(ガラス材料)
磁気ディスク用基板に用いられるガラスとしては、SiO:55~75%を主成分とし、Al:0.3~25%及びCaO:0~20%を添加したガラスが好ましい。更に、LiO:0.01~6%、NaO:0.7~12%、KO:0~8%、MgO:0~7%、ZrO:0~10%及びTiO:0~1%の1種又は2種以上を添加したガラスが好ましい。
【0058】
SiOの含有量が55~75%であることで、ガラス基板のfを増加させる効果を発揮する。ガラス中のSiO含有量は55~75%の範囲が好ましく、更に好ましくは60~75%である。Alの含有量が、0.3~25%であることで、ガラス基板のρを増加させる効果を発揮する。ガラス中のAlの含有量は、0.3~25%の範囲が好ましく、更に好ましくは1.0~25%である。CaOの含有量が、0~20%であることで、ガラス基板のfとρを増加させる効果を発揮する。ガラス中のCaOの含有量は、0~20%の範囲が好ましく、更に好ましくは1~20%である。
【0059】
なお、上記ガラスには、粘性を低下させ、溶解性と清澄性を高めるB(アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラスに必須成分として含有される)、高温粘性を低下させ、溶解及び清澄性、成形性を向上すると共に、ヤング率の向上効果を有するSrOやBaO、イオン交換性能を向上させると共に低温粘性を低下させず高温粘性を低下させるZnO、清澄性とイオン交換性能を向上させるSnO、着色剤であるFeなどの他、清澄剤としてAsやSbを含んでもいても良い。また、微量元素として、La、P、Ce、Sb、Hf、Rb、Yなどの酸化物を含んでも良い。これらの成分については15%以下含有されていてもよい。
【0060】
(d)製造方法
次に、本実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板、ならびに、これを用いた磁気ディスクの製造方法の一例を示すフロー図である。
【0061】
まず、原材料となるガラス板を製造する(ステップS201)。次いで、ステップS201で製造したガラス板をコアリング・成形して、このガラス板からドーナツ状のガラス基板を成形する(ステップS202)。
【0062】
次に、成形したガラス基板の内外周端面にチャンファ面を形成する(ステップS203)。チャンファ面を形成したガラス基板の内外周端面を研磨した後、表面研磨を行う。この研磨工程は、粗研磨(ステップS204)と精密研磨(ステップS205)で構成される。粗研磨(ステップS204)の工程では、粒径が0.1~1.0μmの大径研磨砥粒を含む研磨液と硬質又は軟質の研磨パッドとを用いて主表面を粗研磨する。これに次ぐ精密研磨(ステップS205)の工程では、粒径が0.01~0.1μm程度の小径研磨砥粒を含む研磨液と軟質研磨パッドとを用いて、粗研磨したガラス基板の主表面を更に精密研磨する。以上説明した工程により、本発明に係る磁気ディスク用のガラス基板が製造される。なお、基板の重量を調整するため、内外周端面研磨時に、研磨代を適宜変更してもよい。
【0063】
以下、各工程について具体的に説明する。まず、ステップS201のガラス板の製造については、例えば溶融ガラスを原料としたフロート法、ダウンドロー法、ダイレクトプレス法などの公知の製造方法を用いることができる。また、フロート法等を用いて製造した母材ガラス板を加熱して軟化し、所望の厚さに延伸するリドロー法を用いれば、厚さのばらつきが小さいガラス板を比較的容易に製造できるので好ましい。
【0064】
また、ガラス板の材料としては、アモルファスガラスや結晶化ガラスなどのガラスセラミックスを用いることができる。成形性や加工性、製品の表面粗さの観点からアモルファスガラスを用いることが好ましく、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることが好ましい。なお、研磨加工の途中で、硝酸ナトリウム溶液や硝酸カリウム溶液による化学強化処理を行っても良い。
【0065】
次に、ステップS202のドーナツ状ガラス基板とするコアリング・成形については、ステップS201において準備したガラス板から、コアリング工程、内外周の端面研磨工程によって円環状のガラス基板を成形する。成形したガラス基板は、2面の主表面を有し、中央部に円孔が形成された円環状のガラス基板である。更に、ステップS203のチャンファ面成形が施される。
【0066】
次に、ステップS204の粗研磨の工程においては、市販のバッチ式の両面同時研磨機を用いて実施することができる。この両面同時研磨機は、鋳鉄製の上定盤及び下定盤と、複数のガラス基板を上定盤と下定盤との間に保持するキャリアと、上定盤及び下定盤とガラス基板との接触面に取り付けられた、硬質のポリウレタン等からなる研磨パッドとを備える。なお、ここで硬質とは、日本ゴム協会標準規格(準拠規格:SRIS0101)に定める測定方法によって測定された硬度(アスカーC)が85以上のものとする。
【0067】
この両面同時研磨機は、キャリアによって上定盤と下定盤との間に複数のガラス基板を保持し、上定盤と下定盤とによって各ガラス基板を所定の加工圧力で挟圧することにより、各ガラス基板は上下から一括して研磨パッドによって挟圧される。次に、研磨パッドと各ガラス基板との間に研磨液を所定の供給量で供給しながら、上定盤と下定盤とを互いに異なる向きに回転させる。これによって、ガラス基板は研磨パッドの表面を摺動し、両表面を同時に研磨する。なお、研磨液として、粒径が0.1~1.0μmの酸化セリウムからなる研磨砥粒を含むものを用いることが好ましい。
【0068】
次に、ステップS205の精密研磨の工程について説明する。この工程では、両面同時研磨機の研磨パッドを、例えば発泡ウレタンからなるより軟質の精密研磨用の研磨パッドに取り替え、粒径が0.01~0.10μmと小さいコロイダルシリカからなる研磨砥粒を含む研磨液を供給しながら、上記研磨パットを用いてガラス基板を研磨する。なお、ここで軟質とは硬度が60~80のものとする。これによって、ガラス基板の主表面が鏡面に研磨され、磁気ディスク用ガラス基板が製造される。
【0069】
研磨等で、表面を削る場合、片面当たり厚さの30%以上、好ましくは40%以上削ることが好ましい。これにより、ガラス基板表面に大きな残留応力が発生し、fを向上させることができる。例えば、研磨前の厚さが5mmのガラス板では、片面当たり1.5mm以上削ることが好ましく、2mm以上削ることが更に好ましい。上限は特に設けないが、削り量が多過ぎると生産性が低下するため、上限は片面当たり厚さの45%程度とする。
【0070】
2.磁気ディスク
2-1.アルミニウム合金製
上記磁気ディスク用アルミニウム合金基板に対して、スパッタリングによって磁性体を付着させる(ステップS112)。これにより、アルミニウム合金製の磁気ディスクが製造される。
【0071】
2-1.ガラス製
上記磁気ディスク用ガラス基板の研磨面に対して、スパッタリングによって磁性体を付着させる(ステップS206)。これにより、ガラス製の磁気ディスクが製造される。
【0072】
3.磁気ディス装置
上述のようにして作製したアルミニウム合金製の磁気ディスクの10枚以上を筐体内に搭載して、アルミニウム合金製磁気ディスクを搭載した磁気ディスク装置が製造される。また、上述のようにして作製したガラス製の磁気ディスクの10枚以上を筐体内に搭載して、ガラス製磁気ディスクを搭載した磁気ディスク装置が製造される。
【0073】
なお、磁気ディスク装置内に搭載される磁気ディスクの枚数は10枚以上とし、好ましくは11枚、より好ましくは12枚である。この枚数の上限は特に限定されるものではないが、枚数が多過ぎると搭載しきれないため12枚程度とするのが好ましい。
【実施例0074】
以下に、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例では、磁気ディスク用基板として、複数のアルミニウム合金基板及びガラス基板を用いてその特性評価を行った。
【0075】
A.磁気ディスク用アルミニウム合金基板の製造
まず、表1のNo.1~8に示す各合金素材を常法に従って溶解し、アルミニウム合金成分を調整してアルミニウム合金溶湯を溶製した(ステップS101)。
【0076】
【表1】
【0077】
次に、アルミニウム合金溶湯を表2に示す条件で鋳造を行い、表2に示す厚さの鋳塊を作製した(ステップS102)。次に、No.7以外の鋳塊の表面の面削を行い、鋳塊の表面に存在する偏析層を除去した。
【0078】
【表2】
【0079】
次に、表2に示す条件で鋳塊に均質化処理を行った(ステップS103)。その後、No.7以外は鋳塊に熱間圧延を行って熱間圧延板を作製した(ステップS104)。得られた熱間圧延板又はCC鋳塊に冷間圧延を行い、厚さ1mm以下のアルミニウム合金板を作製し、これを外径98mm、内径24mmの円環状に打抜き、円環状のアルミニウム合金板を作製した(ステップS105)。
【0080】
このようにして作製した円環状のアルミニウム合金板を表2に示す温度で3時間加圧焼鈍(加圧平坦化処理)して、ディスクブランクとした(ステップS106)。次に、各ディスクブランクについて、端面加工(切削加工)を行って外径97mm、内径25mmとし、更にグラインディング加工(研削加工)を行った(ステップS107)。No.1及び7以外についてはこの段階で工程を終え、No.1及び7のディスクブランクについては、更に300℃で0.5時間の加熱処理を実施した(ステップS108)。その後、AD-68F(商品名、上村工業製)により60℃で5分の脱脂処理を行った後、AD-107F(商品名、上村工業製)により65℃で1分の酸エッチング処理を行い、更に30%HNO水溶液(室温)で20秒間デスマット処理を行った。
【0081】
このようにして表面状態を整えた後に、ディスクブランクをAD-301F-3X(商品名、上村工業製)の20℃のジンケート処理液に0.5分間浸漬して表面にジンケート処理を施した(ステップS109)。なお、ジンケート処理は同じ処理を合計2回行い、1回目と2回目のジンケート処理の間に室温の30%HNO水溶液に20秒間浸漬して表面剥離処理を行った。次いで、ジンケート処理した表面に、90℃前後の無電解Ni-Pめっき処理液(ニムデンHDX(商品名、上村工業製))を用いて、表2に示すめっき厚となるようにNi-P無電解めっきを実施した(ステップS110)。
【0082】
更に、得られためっき面を平均粒径800nmのアルミナスラリー及び発泡ウレタン製研磨パッドを用いて粗研磨する。粗研磨の加工量は片面当たり厚さ0.2μmとする。次いで、コロイダルシリカ及び発泡ウレタン製研磨パッドを用いて、仕上げ精密研磨(ポリッシュ加工)を行う(ステップS111)。なお、ポリッシュ加工においては、発泡ウレタン製研磨パッドと、粒径が70~90nmで平均粒径が80nmのコロイダルシリカに水を加えて遊離砥粒とした研磨液とを用いて、片面当たり厚さ0.1μmだけ研磨する。以上のようにして、No.1と7についてのみ、Ni-Pめっき処理層を設けて表面研磨した磁気ディスク用アルミニウム合金基板(外径97mm、内径25mm、板厚0.5mm)を作製した。このようにして作製した基板を用いて、重量測定用の試料とした。
【0083】
一方、No.1と7以外については、ステップS106の加圧平坦化処理したディスクブランクについて端面加工(切削加工)と研削加工を行って、Ni-Pめっき処理層を設けていない磁気ディスク用アルミニウム合金基板(外径97mm、内径25mm、板厚0.5mm)を作製した。このようにして作製した基板を用いて、重量測定用の試料とした。
【0084】
B.磁気ディスク用ガラス基板
ガラス板の材料には、表3のNo.9~12に示す各成分組成のものを用いて、表4に示す方法で、ガラス板を作製した。なお、No.10は、板厚が5mmで、No.9、11、12の板厚は1mm以下とした。No.10では、表面を4.2mm(片面2.1mmずつ)削り厚さを1mm以下とした(ステップS201)。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
板厚1mm以下の上記で製造したガラス板をコアリングしてドーナツ状のガラス基板を成形し、更に内外周にチャンファ面を形成し、外径が97mm、円孔の内径が25mmのガラス基板を製造する(ステップS202~203)。
【0088】
次に、これらのガラス基板に対して、両面同時研磨機を用いて、上述した製造方法に従った粗研磨工程(ステップS204)及び精密研磨工程(ステップS205)を行う。
【0089】
ここで、粗研磨工程(ステップS204)においては、ウレタン研磨パッドと、粒径が0.1~0.4μmで平均粒径が0.19μmの酸化セリウム研磨砥粒に水を加えて遊離砥粒とした研磨液とを用いて、上述の特性を有するガラス基板の両面を粗研磨する。
【0090】
次の精密研磨工程(ステップS205)においては、発泡ウレタン研磨パッドと、粒径が70~90nmで平均粒径が80nmのコロイダルシリカに水を加えて遊離砥粒とした研磨液とを用いて、粗研磨したガラス基板を片面当たり厚さ1μmだけ精密研磨する。このようにして、磁気ディスク用ガラス基板(外径97mm、内径25mm、板厚0.5mm)を作製し、重量測定用の試料とする。
【0091】
C.製造した磁気ディスク用基板の特性評価
上記のステップS106後のディスクブランクやステップS110後のアルミニウム合金基板、ステップS201後のガラス板について、以下の方法により、重量とf×ρ/tの評価を行った。なお、ステップS112後のアルミニウム合金製磁気ディスク及びステップS206後のガラス製磁気ディスクを用い、重量及びf×ρ/tを評価することも可能である。
【0092】
f×ρ/t
請求項1~3で規定するf×ρ/tに関するものである。60mm×8mmのサンプルを採取し、共振法により共振周波数を測定した。また、別個のサンプルのサイズ(縦、横、厚さ)と重量を測定し密度を算出した。そして、基板の厚さを基にf×ρ/tを算出した。なお、共振周波数の測定は、日本テクノプラス株式会社製のJE-RT型の測定装置を用いて室温で行った。なお、透明なガラスを測定する場合は、導通がとれるようになるまでカーボンスプレーを吹きかけてから測定を行う。カーボン膜の厚みは1μm程度であれば問題ない。
【0093】
重量
請求項4~6で規定する重量に関するものである。上記の板厚0.5mm(外径97mm、円孔の内径25mm)の磁気ディスク用基板について電子天秤により重量を測定する。なお、各材料の密度やめっき密度から重量を算出することも可能である。
【0094】
本実施例で製造した磁気ディスク用基板に対する各特性の評価結果を表2、4に示す。
【0095】
表2、4に示すように、実施例1~7及び9~11ではいずれも、所定のf×ρ/tを得ることができた。
【0096】
これに対して表2、4に示すように、比較例8、12では、基板のf×ρ/tが小さ過ぎた。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明により、耐衝撃性と省エネ性に優れる磁気ディスク用基板、ならびに、この磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクが得られる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe:8.5mass%以下、Mn:2.5mass%以下、Ni:6.5mass%以下及びMg:4.5mass%以下の1種又は2種以上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板。
【請求項2】
前記アルミニウム合金が、Zn:0.7mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.20mass%以下、Be:0.0015mass%以下、Sr:0.1mass%以下、Na:0.1mass%以下及びP:0.1mass%以下の1種又は2種以上を更に含有する、請求項1に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項3】
SiO :55~75mass%を主成分とし、Al :0.3~25mass%及びCaO:0~20massを添加したガラス材料からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm )とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板。
【請求項4】
前記ガラス材料が、Li O:0.01~6mass%、Na O:0.7~12mass%、K O:0~8mass%、MgO:0~7mass%、ZrO :0~10mass%及びTiO :0~1mass%の1種又は2種以上を更に含有する、請求項3に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項5】
前記ガラス材料が、B 、SrO、BaO、ZnO、SnO 、Fe 、As 及びSb の1種又は2種以上をそれぞれ15%以下更に含有する、請求項3又は4に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項6】
前記(f×ρ/t)が4000以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項7】
前記(f×ρ/t)が4200以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項8】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~11.0gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項9】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~10.5gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項10】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~8.7gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は請求項1において、Fe:8.5mass%以下、Mn:2.5mass%以下、Ni:6.5mass%以下及びMg:4.5mass%以下の1種又は2種以上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板とした。
本発明は請求項2では請求項1において、前記アルミニウム合金が、Zn:0.7mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.20mass%以下、Be:0.0015mass%以下、Sr:0.1mass%以下、Na:0.1mass%以下及びP:0.1mass%以下の1種又は2種以上を更に含有するものとした。
本発明の他の態様では、請求項3において、SiO :55~75mass%を主成分とし、Al :0.3~25mass%及びCaO:0~20massを添加したガラス材料からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm )とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であることを特徴とする磁気ディスク用基板とした。
更に本発明は請求項4では請求項3において、前記ガラス材料が、Li O:0.01~6mass%、Na O:0.7~12mass%、K O:0~8mass%、MgO:0~7mass%、ZrO :0~10mass%及びTiO :0~1mass%の1種又は2種以上を更に含有するものとした。
更にまた本発明は請求項5では請求項3又は4において、前記ガラス材料が、B 、SrO、BaO、ZnO、SnO 、Fe 、As 及びSb の1種又は2種以上をそれぞれ15%以下更に含有するものとした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明は請求項では請求項1~5のいずれか一項において、前記(f×ρ/t)が4000以上であるものとした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明は請求項では請求項1~5のいずれか一項において、前記(f×ρ/t)が4200以上であるものとした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~11.0gであるものとした。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~10.5gであるものとした。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明は請求項10では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~8.7gであるものとした。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明は請求項11において、請求項1~10のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスクとした。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
1.磁気ディスク用基板
本発明に係る磁気ディスク用基板では、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)を3800以上に規定することによって優れた耐衝撃性が得られる。更に、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量を6.0~11.0gに規定することにより、耐衝撃性を更に向上させるとともに省エネ性の向上も図ることができる。なお、(f×ρ/t)の単位は[(Hz)・(g/cm)・(mm-1)]である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
f×ρ/t
請求項1、3、6、7で規定するf×ρ/tに関するものである。60mm×8mmのサンプルを採取し、共振法により共振周波数を測定した。また、別個のサンプルのサイズ(縦、横、厚さ)と重量を測定し密度を算出した。そして、基板の厚さを基にf×ρ/tを算出した。なお、共振周波数の測定は、日本テクノプラス株式会社製のJE-RT型の測定装置を用いて室温で行った。なお、透明なガラスを測定する場合は、導通がとれるようになるまでカーボンスプレーを吹きかけてから測定を行う。カーボン膜の厚みは1μm程度であれば問題ない。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
重量
請求項10で規定する重量に関するものである。上記の板厚0.5mm(外径97mm、円孔の内径25mm)の磁気ディスク用基板について電子天秤により重量を測定する。なお、各材料の密度やめっき密度から重量を算出することも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe:8.5mass%以下、Mn:2.5mass%以下、Ni:6.5mass%以下及びMg:4.5mass%以下の1種又は2種以上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であり、前記アルミニウム合金が、Zn:0.7mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.20mass%以下及びBe:0.0015mass%以下の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする磁気ディスク用基板。
【請求項2】
SiO:55~75mass%を主成分とし、Al:0.3~25mass%及びCaO:0~20massを添加したガラス材料からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であり、前記ガラス材料が、Na O:0.7~12mass%、K O:0~8mass%及びMgO:0~7mass%の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする磁気ディスク用基板。
【請求項3】
前記ガラス材料が、B 、BaO、SnO 及びFe 1種又は2種以上をそれぞれ15%以下更に含有する、請求項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項4】
前記(f×ρ/t)が4000以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項5】
前記(f×ρ/t)が4200以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項6】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~11.0gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項7】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~10.5gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項8】
磁気ディスク1枚当たりにおける重量が6.0~8.7gである、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は請求項1において、Fe:8.5mass%以下、Mn:2.5mass%以下、Ni:6.5mass%以下及びMg:4.5mass%以下の1種又は2種以上を含有し、残部Al及び不可避不純物からなるアルミニウム合金からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であり、前記アルミニウム合金が、Zn:0.7mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Cr:0.30mass%以下、Zr:0.20mass%以下及びBe:0.0015mass%以下の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする磁気ディスク用基板とした
発明の他の態様では、請求項において、SiO:55~75mass%を主成分とし、Al:0.3~25mass%及びCaO:0~20massを添加したガラス材料からなり、共振周波数をf(Hz)とし、密度をρ(g/cm)とし、板厚をt(mm)として、(f×ρ/t)が3800以上であり、前記ガラス材料が、Na O:0.7~12mass%、K O:0~8mass%及びMgO:0~7mass%の1種又は2種以上を更に含有することを特徴とする磁気ディスク用基板とした
更に本発明は請求項では請求項において、前記ガラス材料が、B 、BaO、SnO 及びFe の1種又は2種以上をそれぞれ15%以下更に含有するものとした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、前記(f×ρ/t)が4000以上であるものとした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、前記(f×ρ/t)が4200以上であるものとした。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~11.0gであるものとした。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~10.5gであるものとした。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明は請求項では請求項1~のいずれか一項において、磁気ディスク1枚当たりにおける磁気ディスク用基板の重量が6.0~8.7gであるものとした。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明は請求項において、請求項1~のいずれか一項に記載の磁気ディスク用基板の表面に磁性体層を有することを特徴とする磁気ディスクとした。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
f×ρ/t
請求項1、2、4、5で規定するf×ρ/tに関するものである。60mm×8mmのサンプルを採取し、共振法により共振周波数を測定した。また、別個のサンプルのサイズ(縦、横、厚さ)と重量を測定し密度を算出した。そして、基板の厚さを基にf×ρ/tを算出した。なお、共振周波数の測定は、日本テクノプラス株式会社製のJE-RT型の測定装置を用いて室温で行った。なお、透明なガラスを測定する場合は、導通がとれるようになるまでカーボンスプレーを吹きかけてから測定を行う。カーボン膜の厚みは1μm程度であれば問題ない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
重量
請求項で規定する重量に関するものである。上記の板厚0.5mm(外径97mm、円孔の内径25mm)の磁気ディスク用基板について電子天秤により重量を測定する。なお、各材料の密度やめっき密度から重量を算出することも可能である。