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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022130711
(43)【公開日】2022-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220830BHJP
   H01L 27/11521 20170101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H01L27/11521
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022108916
(22)【出願日】2022-07-06
(62)【分割の表示】P 2017196649の分割
【原出願日】2017-10-10
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(57)【要約】
【課題】結晶欠陥の発生を抑制するとともにゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生を抑制し、書き込み効率を向上させることが可能な半導体装置の製造方法および半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板の上にゲート絶縁膜を介してフローティングゲート用の導電体膜を成膜する工程と、素子分離絶縁膜を形成する領域の導電体膜をエッチングして開口部を形成する工程と、開口部に露出する導電体膜の側面を覆う被覆絶縁膜を成膜する工程と、導電体膜が被覆絶縁膜で覆われた状態で開口部から半導体基板をエッチングして素子分離溝を形成する工程と、素子分離溝を酸化してライナー膜を成膜する工程と、素子分離溝を絶縁物で埋め込み素子分離絶縁膜を形成する工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上にゲート絶縁膜を介してフローティングゲート用の導電体膜を成膜する工程と、
素子分離絶縁膜を形成する領域の前記導電体膜をエッチングして開口部を形成する工程と、
前記開口部に露出する前記導電体膜の側面に接し、1層からなる被覆絶縁膜を成膜する工程と、
前記導電体膜が前記被覆絶縁膜で覆われた状態で前記開口部から前記半導体基板をエッチングして素子分離溝を形成する工程と、
前記素子分離溝を熱酸化してライナー膜を成膜する工程と、
前記被覆絶縁膜に接すると共に前記素子分離溝を絶縁物で埋め込み前記素子分離絶縁膜を形成する工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記被覆絶縁膜を成膜する工程は、化学気相成長により酸化膜を成膜する工程であり、
前記素子分離溝を形成する工程は、前記開口部の前記ゲート絶縁膜上に形成された前記酸化膜とともに前記半導体基板をエッチングして前記素子分離溝を形成する工程であり、
前記ライナー膜を成膜する工程は、前記ゲート絶縁膜を介して前記酸化膜に連なるように前記ライナー膜を成膜する工程である
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記被覆絶縁膜を成膜する工程は、化学気相成長により窒化膜を成膜する工程であり、
前記素子分離溝を形成する工程は、前記開口部の前記ゲート絶縁膜上に形成された前記窒化膜とともに前記半導体基板をエッチングして前記素子分離溝を形成する工程であり、
前記ライナー膜を生成する工程は、前記ゲート絶縁膜を介して前記窒化膜に連なるように前記ライナー膜を成膜する工程であり、
前記ライナー膜を成膜する工程の後に残留する前記被覆絶縁膜を除去する工程をさらに含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板の上にゲート絶縁膜を介してフローティングゲート用の導電体膜を成膜する工程と、
素子分離絶縁膜を形成する領域の前記ゲート絶縁膜、前記導電体膜および前記半導体基板をエッチングして素子分離溝を形成する工程と、
エッチングされた前記導電体膜の側面を含む前記素子分離溝に接し、1層からなる被覆絶縁膜を化学気相成長により成膜する工程と、
前記素子分離溝の底部の前記被覆絶縁膜をエッチングで除去する工程と、
前記素子分離溝の底部を熱酸化してライナー膜を成膜する工程と、
残留する前記被覆絶縁膜をエッチングにより除去する工程と、
前記素子分離溝を絶縁物で埋め込み前記素子分離絶縁膜を形成する工程と、を含む
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記被覆絶縁膜がNSG膜である
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置、特にシリコン(Si)を用いた半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、STI(Shallow Trench Isolation)プロセスを併用して、フラッシュ(不揮発性)メモリにおけるフローティングゲートのビットライン(以下、「BL」)方向をパターニングするSi半導体製品が増加の傾向にある。
【0003】
不揮発性メモリの製造方法として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に係る不揮発性メモリの製造方法は、基板上の第1絶縁膜の上にフローティングゲート用の第1導電体膜を形成した後、基板において第1方向に延伸する素子分離絶縁膜を形成する工程と、第1導電体膜と素子分離絶縁膜との上に、第1方向に直角な第2方向に延伸する開口部を有する窒化膜を形成した後、開口部の側面の各々にサイドウォール状のスペーサ絶縁膜を形成する工程と、スペーサ絶縁膜の間に第2導電体膜を形成した後、第2導電体膜の上に第2絶縁膜を形成する工程と、窒化膜を除去して素子分離絶縁膜の上面を露出し、素子分離絶縁膜の上面を第1導電体膜の上面よりも低くなるようにエッチングする工程と、第2絶縁膜とスペーサ絶縁膜とをマスクにして第1導電体膜を選択的に除去してフローティングゲートを形成する工程とを具備している。特許文献1に開示された不揮発性メモリはいわゆるスプリットゲート型不揮発性メモリであり、第1素子分離絶縁膜2と第2素子分離絶縁膜3との間に、2つメモリセルである第1スプリットゲート型不揮発性メモリセルと第2スプリットゲート型不揮発性メモリセルとが面対称に構成されている。
【0004】
図6に示す比較例に係る半導体装置(フラッシュメモリ)の製造方法を参照して、スプリットゲート型不揮発性メモリを構成する2つの素子分離絶縁膜に挟まれた領域に形成されるフローティングゲートの製造方法についてより具体的に説明する。図6は一方の素子分離絶縁膜とその周囲の層の部分の製造方法を示している。なお、上記「BL方向」は図6(f)の符号D1で示す方向であり、素子分離絶縁膜128の延伸方向と同じ方向である。
【0005】
まず、Siの半導体基板120とフローティングゲート間の絶縁膜となるフローティングゲートカップリング酸化膜(以下、「FGカップリング酸化膜」)121、フローティングゲートとなるフローティングゲートポリシリコン膜(以下、「FGポリシリコン膜」)122、およびトレンチ(溝)をエッチングする際にハードマスクとなるトレンチSiN膜(窒化シリコン膜)123を、酸化処理、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)処理により成膜する。その後、露光、エッチング技術により開口部124を形成してフローティングゲートをパターニングする(図6(a))。
【0006】
次に、STIプロセス処理による結晶欠陥の発生を抑制するため、熱処理によりライナー酸化膜125を形成する(図6(b))。次に、CVD処理により開口部124をNSG(Non doped Silicate Glass)膜126で埋め込み(図6(c))、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理によりFGポリシリコン膜122より高い位置にあるNSG膜126を研磨する(図6(d))。
【0007】
次に、トレンチSiN膜123を除去してフローティングゲートのBL方向D1をパターニングすることにより、素子分離絶縁膜128が形成される(図6(e)、(f)。(f)は(e)の斜視図)。その後、露光処理、エッチング処理、熱処理により、ワードライン、ソースライン、ビットコンタクト(図示省略)を形成することにより、フラッシュメモリセル素子を搭載した半導体装置が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-88143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の比較例に係る半導体装置の製造方法におけるフローティングゲート製造工程には問題点が存在する。以下、BL方向D1と直交する方向の断面を示す図7を参照して該問題点について説明する。図7は、2つの素子分離絶縁膜128aと素子分離絶縁膜128bとの間に挟まれた領域に形成されたフローティングゲート(FGポリシリコン膜122)を示しており、(a)が正常な場合のフローティングゲート130Aを、(b)が前記問題が発生し、異常状態となっている場合のフローティングゲート130Bを各々示している。
【0010】
正常な場合のフローティングゲート130Aは、図7(a)に示すように、半導体基板120の主面に垂直な方向の変形のない平坦な層(主面と略平行な層)として形成される。しかしながら、図6(b)に示す製造工程において、結晶欠陥抑制のためにライナー酸化膜125を熱酸化処理により形成した際、FGカップリング酸化膜121と半導体基板120の界面が酸化され、図7(b)に示すように、フローティングゲート130Bが拉げる(基板面に垂直な方向の変形が発生する)場合がある。このような拉げが発生すると、フラッシュメモリセルの書込み特性、消去特性の劣化を引き起こす場合がある。すなわち拉げの発生により、蓄積された電子によるセル電流の抑制効果が低下し、書き込み効率の劣化が引き起こされる場合がある。また、実効ゲート幅が狭くなることにより、消去後の電流の低下が発生する場合がある。特許文献1はこのような課題について検討したものではない。
【0011】
上記問題の解決方法としては、図6(b)のライナー酸化工程において、FGカップリング酸化膜121と半導体基板120との界面が酸化されないように条件出しして酸化処理することが一般的である。しかしながら、本解決方法では最適条件を見出す必要があるため、開発期間が長くなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、結晶欠陥の発生を抑制するとともにゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生を抑制し、書き込み効率を向上させることが可能な半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の上にゲート絶縁膜を介してフローティングゲート用の導電体膜を成膜する工程と、素子分離絶縁膜を形成する領域の前記導電体膜をエッチングして開口部を形成する工程と、前記開口部に露出する前記導電体膜の側面に接し、1層からなる被覆絶縁膜を成膜する工程と、前記導電体膜が前記被覆絶縁膜で覆われた状態で前記開口部から前記半導体基板をエッチングして素子分離溝を形成する工程と、前記素子分離溝を熱酸化してライナー膜を成膜する工程と、前記被覆絶縁膜に接すると共に前記素子分離溝を絶縁物で埋め込み前記素子分離絶縁膜を形成する工程と、を含むものである。
【0014】
他の態様の本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の上にゲート絶縁膜を介してフローティングゲート用の導電体膜を成膜する工程と、素子分離絶縁膜を形成する領域の前記ゲート絶縁膜、前記導電体膜および前記半導体基板をエッチングして素子分離溝を形成する工程と、エッチングされた前記導電体膜の側面を含む前記素子分離溝に接し、1層からなる被覆絶縁膜を化学気相成長により成膜する工程と、前記素子分離溝の底部の前記被覆絶縁膜をエッチングで除去する工程と、前記素子分離溝の底部を熱酸化してライナー膜を成膜する工程と、残留する前記被覆絶縁膜をエッチングにより除去する工程と、前記素子分離溝を絶縁物で埋め込み前記素子分離絶縁膜を形成する工程と、を含むものである。
【0015】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板に設けられた溝に絶縁物が充填されて構成されるとともに前記半導体基板の予め定められた方向に延伸する素子分離絶縁膜と、前記素子分離絶縁膜と接して前記半導体基板の主面上に設けられたゲート絶縁膜と、前記素子分離絶縁膜と接して前記ゲート絶縁膜上に設けられたフローティングゲートと、前記主面内に形成されたソース領域、および前記ソース領域に接続されるとともに前記フローティングゲートに隣接して配置されたソース配線を備えたソースラインと、前記主面内に形成されたドレイン領域、および前記ドレイン領域に接続されたコンタクト部を備えたコンタクト部と、前記半導体基板上に形成された第1の絶縁膜、および第2の絶縁膜を介し前記フローティングゲートに隣接して前記第1の絶縁膜上に設けられたコントロールゲートを備えたワードラインと、を含み、前記素子分離絶縁膜は、前記溝の側壁に設けられたライナー膜と、前記絶縁物と接して前記フローティングゲートの端面と前記絶縁物との間に設けられた酸化膜と、を有し、前記フローティングゲートの表面は、前記主面と略平行であるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、結晶欠陥の発生を抑制するとともにゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生を抑制し、書き込み効率を向上させることが可能な半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図3】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図4】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図5】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図6】比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7】比較例に係る半導体装置の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係る半導体装置をフラッシュメモリ(不揮発性メモリ)に適用した形態を例示して説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法および半導体装置について説明する。図1は本実施の形態に係る半導体装置のBL方向D1の断面、図2はBL方向に直交する方向の断面を各々示している。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係るフラッシュメモリ100は、2つの素子分離絶縁膜の間に形成された、互いに面対称に対向して配置されたメモリセル111aおよびメモリセル111bからなる対を複数含んで構成されている。メモリセル111aと111bとは、ソース配線101およびソース105を共用している。メモリセル111aと111bとは向きが異なる以外同様の構成であるので、以下メモリセル111aを例示して説明する。
【0021】
図1に示すように、半導体基板11の主面112上に形成されたメモリセル111aは、ソース105、ソース配線101、ゲート絶縁膜109a、フローティングゲート108a、スペーサ102a、コントロールゲート103a、サイドウォール104a、ドレイン106a、およびコンタクト部107aを含んで構成されている。半導体基板11は、一例としてSi基板を用いている。
【0022】
ソース105は半導体基板11に不純物を拡散させて形成されている。ソース配線101はソース105に接続され、フラッシュメモリ100のソースラインを構成している。
フローティングゲート108aは半導体基板11上に形成されたゲート絶縁膜109a上に設けられている。フローティングゲート108a上にはスペーサ102aが形成されている。
【0023】
コントロールゲート103aは、トンネル絶縁膜110aを介して半導体基板11上に形成され、ワードラインを構成している。コントロールゲート103aは、トンネル絶縁膜110aを介して、ゲート絶縁膜109a、フローティングゲート108a、およびスペーサ102aに隣接して配置されている。サイドウォール104aは、コントロールゲート103aに隣接して形成されている。ドレイン106aは半導体基板11に不純物を拡散させて形成されている。ドレイン106aおよびドレイン106aに接続されたコンタクト部107aによりビットコンタクトが構成されている。
【0024】
以上のように構成されたフラッシュメモリ100では、半導体基板11に発生したチャネルホットエレクトロンが、フローティングゲート108a注入されることで、書き込みが行われる。また、フローティングゲート108aからトンネル絶縁膜110aを介してコントロールゲート103aに電子を引き抜くことでデータの消去が行われる。さらに、コントロールゲート103aに読み出し用の電圧を印加することで、メモリセル111aの状態(オン、オフ)を検出している。
【0025】
次に、図1のA-A線に沿ったフラッシュメモリ100の断面を示す図2を参照して、本実施の形態に係るフラッシュメモリ100の製造方法について説明する。図2は、フラッシュメモリ100におけるフローティングゲートの形成方法を示すものであり、2つの素子分離絶縁膜の一方の素子分離絶縁膜とその周囲の層の部分を図示している。本実施の形態に係る製造方法では、STIパターン形成時において、FGカップリング酸化膜を削る前にFGポリシリコン膜の側壁に酸化膜を形成し、フィールド領域の酸化膜および半導体基板の一部を除去した後にライナー酸化膜を形成している。以下、図2を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、より詳細に説明する。
【0026】
まず、半導体基板11の表面にカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、ハードマスクであるSiN膜14を成膜し、露光処理、エッチング処理を用いて、フィールド領域のFGポリシリコン膜13、SiN膜14を削り、開口部15を形成する(図2(a)、TR(トレンチ)1エッチング工程)。カップリング酸化膜12は本発明に係る「ゲート酸化膜」の一例、FGポリシリコン膜13は本発明に係る「導電体膜」の一例である。
【0027】
次に、CVDを用いて、カップリング酸化膜12上、FGポリシリコン膜13およびSiN膜14の側壁に酸化膜16を形成する(図2(b)、側壁酸化膜CVD工程)。酸化膜16は本発明に係る「被覆絶縁膜」の一例である。
【0028】
次に、エッチング処理を用いて、フィールド領域の酸化膜16、カップリング酸化膜12を除去する(図2(c)、TR2エッチング工程)。
【0029】
次に、エッチング処理を用いてフィールド領域の半導体基板11を削り、トレンチ17を形成する(図2(d)、TR3エッチング工程)。トレンチ17は本発明に係る「素子分離溝」に相当する。
【0030】
次に、酸化処理を行ってライナー酸化膜26を形成する(図2(e)、ライナー酸化工程)。
【0031】
次に、例えばCVDによりトレンチ17をNSG膜19で埋め込み(図2(f)、STI埋め込みNSG工程)、CMP処理によりFGポリシリコン膜13より高い位置にあるNSG膜19を研磨する(図2(g)、TR-CMP工程)。
【0032】
次に、FGポリシリコン膜13上のSiN膜14を除去し、素子分離絶縁膜27を形成する(図2(h)、TR-SiN除去工程)。本工程により、フローティングゲートのBL方向D1のパターニングが行われる。すなわち、FGポリシリコン膜13が2つの素子分離絶縁膜27の間に形成されたフローティングゲート108aとなる。その後、露光処理、エッチング処理、熱処理により、ワードライン、ソースライン、ビットコンタクト(図示省略)を形成することにより、フラッシュメモリセル素子を搭載した本実施の形態に係る半導体装置(フラッシュメモリ)が製造される。
【0033】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置によれば、結晶欠陥抑制のためのライナー酸化膜26を形成する前に、FGポリシリコン膜13の側壁に酸化膜16を形成することによって、ライナー酸化膜26の形成によるFGポリシリコン膜13の拉げ(基板面に垂直な方向の変形)の発生を抑制することができる。このことにより、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、ゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生が抑制された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することが可能となった。
【0034】
[第2の実施の形態]
図3を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態においてフローティングゲートの形成方法を変えたものであり、半導体装置としてのフラッシュメモリの構成はフラッシュメモリ100と同様なので、必要な場合は図1を参照することとし、詳細な説明を省略する。図3は、フラッシュメモリ100におけるフローティングゲートの形成方法を示すものであり、2つの素子分離絶縁膜の一方の素子分離絶縁膜とその周囲の層の部分を図示している。
【0035】
本実施の形態に係る製造方法では、STIパターン形成時に、カップリング酸化膜を削る前にFGポリシリコン膜の側壁にSiN膜を形成し、フィールド領域のSiN膜、酸化膜、半導体基板を除去した後にライナー酸化膜を形成している。
【0036】
まず、半導体基板11の表面にカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、ハードマスクであるSiN膜14を成膜し、露光条件処理、エッチング処理を用いて、フィールド領域のFGポリシリコン膜13、SiN膜14を削り、開口部15を形成する(図3(a)、TR1エッチング工程)。
【0037】
次に、CVDを用いてカップリング酸化膜12上、FGポリシリコン膜13およびSiN膜14の側壁にSiN膜20を形成する(図3(b)、側壁SiN膜CVD工程)。SiN膜20は本発明に係る「被覆絶縁膜」の一例である。
【0038】
次に、エッチング処理を用いて、フィールド領域のFGカップリング酸化膜12上のSiN膜20を除去し(図3(c)、TR2エッチング工程)、続けてカップリング酸化膜12を除去する(図3(d)、TR3エッチング工程)。
【0039】
次に、エッチング処理を用いてフィールド領域のSi基板を削りトレンチ17を形成する(図3(e)、TR3エッチング工程)。
【0040】
次に、酸化処理を行ってライナー酸化膜18を形成する(図3(f)、ライナー酸化工程)。
【0041】
次に、FGポリシリコン膜13およびSiN膜14の側壁のSiN膜20を除去する(図3(g)、側壁SiN膜除去工程)。
【0042】
次に、例えばCVDによりトレンチ17をNSG膜19で埋め込んだ後(図3(h)、STI埋め込みNSG工程)、CMP処理によりFGポリシリコン膜13より高い位置にあるNSG膜19を研磨する(図3(i)、TR-CMP工程)。
【0043】
次に、FGポリシリコン膜13上のSiN膜14を除去し、素子分離絶縁膜27を形成する(図3(j)、TR-SiN除去工程)。本工程により、フローティングゲートのBL方向D1のパターニングが行われる。すなわち、FGポリシリコン膜13が2つの素子分離絶縁膜27の間に形成されたフローティングゲート108aとなる。その後、露光処理、エッチング処理、熱処理により、ワードライン、ソースライン、ビットコンタクト(図示省略)を形成することにより、フラッシュメモリセル素子を搭載した本実施の形態に係る半導体装置(フラッシュメモリ)が製造される。
【0044】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置によれば、結晶欠陥抑制のためのライナー酸化膜18を形成する前に、FGポリシリコン膜13の側壁にSiN膜20を形成することによって、ライナー酸化膜18の形成によるFGポリシリコン膜13の拉げ(基板面に垂直な方向の変形)の発生を抑制することができる。このことにより、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、ゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生が抑制された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することが可能となった。
【0045】
[第3の実施の形態]
図4を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態においてフローティングゲートの形成方法を変えたものであり、半導体装置としてのフラッシュメモリの構成はフラッシュメモリ100と同様なので、必要な場合は図1を参照することとし、詳細な説明を省略する。図4は、フラッシュメモリ100におけるフローティングゲートの形成方法を示すものであり、2つの素子分離絶縁膜の一方の素子分離絶縁膜とその周囲の層の部分を図示している。
【0046】
本実施の形態に係る製造方法では、STIパターン形成時、ライナー酸化を実施する前に、側壁SiN膜を成膜し、トレンチ底部の側壁SiN膜を除去した後にライナー酸化膜を形成している。
【0047】
まず、半導体基板11の表面にカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、ハードマスクであるSiN膜14を成膜し、露光処理、エッチング処理を用いて、フィールド領域のカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、SiN膜14、および半導体基板11を削り、トレンチ21を形成する(図4(a)、TR1エッチング工程)。トレンチ21は本発明に係る「素子分離溝」に相当する。
【0048】
次に、CVDを用いて、カップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、およびSiN膜14の側壁、並びにトレンチ21の底部、側壁にSiN膜22を形成する(図4(b)、側壁SiN膜CVD工程)。SiN膜22は本発明に係る「被覆絶縁膜」の一例である。
【0049】
次に、エッチング処理を用いて、トレンチ21の底部のSiN膜22を除去する(図4(c)、TR2エッチング工程)。
【0050】
次に、酸化処理を行ってライナー酸化膜23を形成する(図4(d)、ライナー酸化工程)。
【0051】
次に、カップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、およびSiN膜14の側壁、のSiN膜22を除去する(図4(e)、側壁SiN膜除去工程)。
【0052】
次に、例えばCVDによりトレンチ21をNSG膜19で埋め込み(図4(f)、STI埋め込みNSG工程)、CMP処理によりFGポリシリコン膜13より高い位置にあるNSG膜19を研磨する(図4(g)、TR-CMP工程)。
【0053】
次に、FGポリシリコン膜13上のSiN膜14を除去し、素子分離絶縁膜27を形成する(図4(h)、TR-SiN除去工程)。本工程により、フローティングゲートのBL方向D1のパターニングが行われる。すなわち、FGポリシリコン膜13が2つの素子分離絶縁膜27の間に形成されたフローティングゲート108aとなる。その後、露光処理、エッチング処理、熱処理により、ワードライン、ソースライン、ビットコンタクト(図示省略)を形成することにより、フラッシュメモリセル素子を搭載した本実施の形態に係る半導体装置(フラッシュメモリ)が製造される。
【0054】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置によれば、結晶欠陥抑制のためのライナー酸化膜23を形成する前に、FGポリシリコン膜13の側壁にSiN膜22を形成することによって、ライナー酸化膜23の形成によるFGポリシリコン膜13の拉げ(基板面に垂直な方向の変形)の発生を抑制することができる。このことにより、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、ゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生が抑制された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することが可能となった。
【0055】
[第4の実施の形態]
図5を参照して、本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態においてフローティングゲートの形成方法を変えたものであり、半導体装置としてのフラッシュメモリの構成はフラッシュメモリ100と同様なので、必要な場合は図1を参照することとし、詳細な説明を省略する。図5は、フラッシュメモリ100におけるフローティングゲートの形成方法を示すものであり、2つの素子分離絶縁膜の一方の素子分離絶縁膜とその周囲の層の部分を図示している。
【0056】
本実施の形態に係る製造方法では、STIパターン形成時、ライナー酸化を実施する前に、側壁NSG膜を成膜し、トレンチ底部の側壁NSG膜を除去した後にライナー酸化膜を形成している。
【0057】
まず、半導体基板11の表面にカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、ハードマスクであるSiN膜14を成膜し、露光処理、エッチング処理を用いて、フィールド領域のカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、SiN膜14、および半導体基板11を削り、トレンチ21を形成する(図5(a)、TR1エッチング工程)。
【0058】
次に、CVDを用いてカップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、およびSiN膜14の側壁にNSG膜24を形成する(図5(b)、側壁NSG膜CVD工程)。NSG膜24は本発明に係る「被覆絶縁膜」の一例である。
【0059】
次に、エッチング処理を用いて、トレンチ21の底部のNSG膜24を除去する(図5(c)、TR2エッチング工程)。
【0060】
次に、酸化処理を行ってライナー酸化膜25を形成する(図5(d)、ライナー酸化工程)。
【0061】
次に、カップリング酸化膜12、FGポリシリコン膜13、SiN膜14、およびトレンチ21の側壁のNSG膜24を除去する(図5(e)、側壁NSG膜除去工程)。
【0062】
次に、例えばCVDによりトレンチ21をNSG膜19で埋め込み(図5(f)、STI埋め込みNSG工程)、CMP処理によりFGポリシリコン膜13より高い位置にあるNSG膜19を研磨する(図5(g)、TR-CMP工程)。
【0063】
次に、FGポリシリコン膜13上のSiN膜14を除去し、素子分離絶縁膜27を形成する(図5(h)、TR-SiN除去工程)。本工程により、フローティングゲートのBL方向D1のパターニングが行われる。すなわち、FGポリシリコン膜13が2つの素子分離絶縁膜27の間に形成されたフローティングゲート108aとなる。その後、露光処理、エッチング処理、熱処理により、ワードライン、ソースライン、ビットコンタクト(図示省略)を形成することにより、フラッシュメモリセル素子を搭載した本実施の形態に係る半導体装置(フラッシュメモリ)が製造される。
【0064】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法、および半導体装置によれば、結晶欠陥抑制のためのライナー酸化膜25を形成する前に、FGポリシリコン膜13の側壁にNSG膜24を形成することによって、ライナー酸化膜25の形成によるFGポリシリコン膜13の拉げ(基板面に垂直な方向の変形)の発生を抑制することができる。このことにより、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、ゲート部材の成膜時における基板面に垂直な方向の変形の発生が抑制された半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することが可能となった。
【0065】
なお、上記した本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法は一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、工程の省略、追加、改変、使用する材料の変更等を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0066】
11 半導体基板
12 カップリング酸化膜
13 FGポリシリコン膜
14 SiN膜
15 開口部
16 酸化膜
17 トレンチ
18 ライナー酸化膜
19 NSG膜
20 SiN膜
21 トレンチ
22 SiN膜
23 ライナー酸化膜
24 NSG膜
25、26 ライナー酸化膜
27 素子分離絶縁膜
100 フラッシュメモリ
101 ソース配線
102a、102b スペーサ
103a、103b コントロールゲート
104a、104b サイドウォール
105 ソース
106a、106b ドレイン
107a、107b トコンタクト部
108a、108b フローティングゲート
109a、109b ゲート絶縁膜
110a、110b トンネル絶縁膜
111a、111b メモリセル
112 主面
120 半導体基板
121 FGカップリング酸化膜
122 FGポリシリコン膜
123 トレンチSiN膜
124 開口部
125 ライナー酸化膜
126 NSG膜
128、128a、128b 素子分離絶縁膜
130A、130B フローティングゲート
D1 BL方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7