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特開2022-131969放射線画像撮影システム、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022131969
(43)【公開日】2022-09-07
(54)【発明の名称】放射線画像撮影システム、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220831BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/00 390A
A61B6/02 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031247
(22)【出願日】2021-02-26
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 弘毅
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA13
4C093DA06
4C093EA06
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093ED21
4C093FC13
4C093FF37
4C093FF48
(57)【要約】
【課題】複数枚の投影画像を再構成して得られる断層画像における再構成領域に補正用マーカの画像を写り込まないようにすることができる放射線画像撮影システム、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム1は、トモシンセシス撮影により得られる複数の投影画像84の少なくとも1枚に写し込まれるマーカ像89を得るための補正用のマーカであって、放射線照射部28において放射線Rの照射経路内に設けられ、かつ、複数の投影画像84に写る領域のうち複数の投影画像84から断層画像を再構成する際に使われる領域を再構成領域85としたときに、投影画像84における再構成領域85以外の領域にマーカ像89が写し込まれる位置に配置されている補正用マーカ26と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点から放射線を発生する放射線管と、前記放射線管に対応して設けられ、放射線の照射野を限定する照射野限定器とを含む放射線照射部と、
前記放射線照射部から照射され被写体を透過した放射線を受けて被写体の投影画像を検出する放射線検出器と、
照射角度が異なる複数の照射位置から前記被写体に向けて放射線を照射させトモシンセシス撮影の制御を行う撮影制御装置と、
前記トモシンセシス撮影により得られる前記複数の投影画像の少なくとも1枚に写し込まれるマーカ像を得るための補正用のマーカであって、前記放射線照射部において前記放射線の照射経路内に設けられ、かつ、前記複数の投影画像に写る領域のうち前記複数の投影画像から断層画像を再構成する際に使われる領域を再構成領域としたときに、前記投影画像における前記再構成領域以外の領域に前記マーカ像が写し込まれる位置に配置されている補正用マーカと、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記補正用マーカは、前記複数の照射位置のうち、照射角度範囲の両端に対応する2つの照射位置から照射される前記放射線の照射経路内に配置される、
請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記複数の照射位置のうち、それぞれの照射位置で得られた投影画像から断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る全体断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影が可能であり、
前記補正用マーカは、前記第1の照射角度範囲のうち前記全体撮影用照射角度範囲外の外側照射位置であり、前記被写体の一部のみが写る部分断層画像が得られる外側照射位置から照射される前記放射線の照射経路内に配置される、
請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記放射線照射部は、前記放射線管を複数有する
請求項3に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記補正用マーカは、前記外側照射位置に配置される前記放射線管に対応して設けられた前記照射野限定器のうちの少なくとも1つに設けられている
請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線照射部は、前記複数の照射位置を移動可能である
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記補正用マーカは、前記放射線照射部が少なくとも前記外側照射位置にある場合に前記照射経路内に進入し、かつ、前記放射線照射部が前記外側照射位置以外にある場合は前記照射経路外に退避可能である
請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記複数の投影画像を用いて断層画像を再構成する画像処理装置を備える
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記補正用マーカは、前記焦点の位置の左右方向の位置ずれを検出するための第1の補正用マーカと、前記焦点の位置の前記左右方向と交差する方向の位置ずれを検出するための第2の補正用マーカとを含む
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサを含み、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
前記投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する
画像処理装置。
【請求項11】
前記位置ずれ量に基づいて、前記複数の投影画像から断層画像を再構成する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
少なくとも1つのプロセッサを含み、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
前記投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記複数の投影画像から断層画像を再構成する
画像処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記複数の投影画像のうち、全体撮影用照射角度範囲よりも外側の照射位置からの投影による投影画像を含む複数の投影画像から前記被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を再構成し、
前記複数の投影画像のうち、前記全体撮影用照射角度範囲よりも内側の照射位置からの投影による複数の投影画像から前記被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を再構成し、
前記全体撮影用照射角度範囲は、前記複数の照射位置のうち、それぞれの照射位置で得られた投影画像から断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る全体断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である
請求項11または請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
取得した前記複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項15】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
取得した前記複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記複数の投影画像から断層画像を再構成する
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項16】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
取得した前記複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項17】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、
取得した前記複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、前記マーカ像の基準の位置とに基づいて、前記複数の投影画像から断層画像を再構成する
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線画像撮影システム、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を発生する放射線管を有し、照射角度が異なる複数の照射位置の各々から被写体に向けて放射線を照射して照射位置が異なる複数枚の被写体の投影画像を撮影する、いわゆるトモシンセシス撮影が知られている。また、トモシンセシス撮影では、複数枚の投影画像を再構成して複数枚の断層画像を生成する。
【0003】
複数の投影画像の再構成を行う場合、各投影画像を撮影した際の放射線管の焦点の位置が計算に必要となる。再構成を正確に行うためには、放射線管の焦点の位置をできるだけ正確に把握することが必要となるが、機械部品の劣化及び変形等により放射線管の焦点の位置は経時によって変化する。特許文献1には、撮影台又は被写体に補正用マーカを設けることにより投影画像に被写体とともに補正用マーカを写し込み、投影画像に写る補正用マーカのマーカ像から、放射線管の焦点の位置が設計上の値からどの程度すれているかを示す焦点の位置ずれ量を導出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-200233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術では、投影画像において被写体に重ねて補正用マーカが写り込むため、複数の投影画像を再構成して得られた断層画像の被写体の領域に補正用マーカが写り込む場合があった。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、複数枚の投影画像を再構成して得られる断層画像における再構成領域に補正用マーカの画像を写り込まないようにすることができる放射線画像撮影システム、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の放射線画像撮影システムは、焦点から放射線を発生する放射線管と、放射線管に対応して設けられ、放射線の照射野を限定する照射野限定器とを含む放射線照射部と、放射線照射部から照射され被写体を透過した放射線を受けて被写体の投影画像を検出する放射線検出器と、照射角度が異なる複数の照射位置から被写体に向けて放射線を照射させトモシンセシス撮影の制御を行う撮影制御装置と、トモシンセシス撮影により得られる複数の投影画像の少なくとも1枚に写し込まれるマーカ像を得るための補正用のマーカであって、放射線照射部において放射線の照射経路内に設けられ、かつ、複数の投影画像に写る領域のうち複数の投影画像から断層画像を再構成する際に使われる領域を再構成領域としたときに、投影画像における再構成領域以外の領域にマーカ像が写し込まれる位置に配置されている補正用マーカと、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様の放射線画像撮影システムにおいて、補正用マーカは、複数の照射位置のうち、照射角度範囲の両端に対応する2つの照射位置から照射される放射線の照射経路内に配置される。
【0009】
本開示の第3の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様または第2の態様の放射線画像撮影システムにおいて、複数の照射位置のうち、それぞれの照射位置で得られた投影画像から断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る全体断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である全体撮影用照射角度範囲よりも広い第1の照射角度範囲のトモシンセシス撮影が可能であり、補正用マーカは、第1の照射角度範囲のうち全体撮影用照射角度範囲外の外側照射位置であり、被写体の一部のみが写る部分断層画像が得られる外側照射位置から照射される放射線の照射経路内に配置される。
【0010】
本開示の第4の態様の放射線画像撮影システムは、第3の態様の放射線画像撮影システムにおいて、放射線照射部は、放射線管を複数有する。
【0011】
本開示の第5の態様の放射線画像撮影システムは、第4の態様の放射線画像撮影システムにおいて、補正用マーカは、外側照射位置に配置される放射線管に対応して設けられた放射線限定器のうちの少なくとも1つに設けられている。
【0012】
本開示の第6の態様の放射線画像撮影システムは、第3の態様から第5の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、放射線照射部は、複数の照射位置を移動可能である。
【0013】
本開示の第7の態様の放射線画像撮影システムは、第6の態様の放射線画像撮影システムにおいて、補正用マーカは、放射線照射部が少なくとも外側照射位置にある場合に照射経路内に進入し、かつ、放射線照射部が外側照射位置以外にある場合は照射経路外に退避可能である。
【0014】
本開示の第8の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第7の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、複数の投影画像を用いて断層画像を再構成する画像処理装置を備える。
【0015】
本開示の第9の態様の放射線画像撮影システムは、第1の態様から第8の態様のいずれか1態様の放射線画像撮影システムにおいて、補正用マーカは、焦点の位置の左右方向の位置ずれを検出するための第1の補正用マーカと、焦点の位置の左右方向と交差する方向の位置ずれを検出するための第2の補正用マーカとを含む。
【0016】
また、上記目的を達成するために本開示の第10の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを含み、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する。
【0017】
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第10の態様の画像処理装置において、位置ずれ量に基づいて、複数の投影画像から断層画像を再構成する。
【0018】
また、上記目的を達成するために本開示の第12の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを含み、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、複数の投影画像から断層画像を再構成する。
【0019】
本開示の第13の態様の画像処理装置は、第11の態様または第12の態様の画像処理装置において、プロセッサは、複数の投影画像のうち、全体撮影用照射角度範囲よりも外側の照射位置からの投影による投影画像を含む複数の投影画像から被写体の一部が写る複数の第1の断層画像を再構成し、複数の投影画像のうち、全体撮影用照射角度範囲よりも内側の照射位置からの投影による複数の投影画像から被写体の全体が写る複数の第2の断層画像を再構成し、全体撮影用照射角度範囲は、複数の照射位置のうち、それぞれの照射位置で得られた投影画像から断層画像を再構成した場合に被写体の全体が写る全体断層画像を得ることが可能な照射角度範囲である。
【0020】
また、上記目的を達成するために本開示の第14の態様の画像処理方法は、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、取得した複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する処理をコンピュータが実行する方法である。
【0021】
また、上記目的を達成するために本開示の第15の態様の画像処理方法は、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、取得した複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、複数の投影画像から断層画像を再構成する処理をコンピュータが実行する方法である。
【0022】
また、上記目的を達成するために本開示の第16の態様の画像処理プログラムは、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、取得した複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、トモシンセシス撮影に用いられる放射線管の焦点の位置ずれ量を導出する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0023】
また、上記目的を達成するために本開示の第17の態様の画像処理プログラムは、本開示の放射線画像撮影システムからトモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像を取得し、取得した複数の投影画像に含まれる投影画像に写し込まれるマーカ像の位置と、マーカ像の基準の位置とに基づいて、複数の投影画像から断層画像を再構成する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、複数枚の投影画像を再構成して得られる断層画像における再構成領域に補正用マーカの画像を写り込まないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態の放射線画像撮影システムにおける全体の構成の一例を概略的に表した構成図である。
図2】実施形態の放射線照射部を、被検者側から見た正面図の一例である。
図3】線源収容部に収容された状態の放射線源の一例を示す斜視図である。
図4】実施形態のコリメータの構成の一例を表す斜視図である。
図5】実施形態のマンモグラフィ装置におけるトモシンセシス撮影の一例を説明するための図である。
図6A】コリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図6B】コリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図7】実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図である。
図8】実施形態のコンソールの機能の一例を表す機能ブロック図である。
図9A】位置ずれ量導出部における位置ずれ量の導出を説明するための図である。
図9B】位置ずれ量導出部における位置ずれ量の導出を説明するための図である。
図10】トモシンセシス撮影の流れの一例を表すフローチャートである。
図11】コンソールによる画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
図12A】第1の断層画像及び第2の断層画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図12B】第1の合成2次元画像及び第2の断層画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図12C】第1の断層画像及び第2の合成2次元画像が表示部に表示された状態の一例を示す図である。
図13】変形例のマンモグラフィ装置の一例を表す側面図である。
図14】変形例のマンモグラフィ装置におけるトモシンセシス撮影の一例を説明するための図である。
図15】変形例のコリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図16A】変形例のコリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図16B】変形例のコリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図16C】変形例のコリメータに設けられる補正用のマーカを、撮影台側から見た一例を示す平面図である。
図17】変形例のマンモグラフィ装置の機能の一例を表す機能ブロック図である。
図18】変形例のマンモグラフィ装置による照射制御処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0027】
まず、本実施形態の放射線画像撮影システムにおける、全体の構成の一例について説明する。図1には、本実施形態の放射線画像撮影システム1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。図1に示すように、本実施形態の放射線画像撮影システム1は、マンモグラフィ装置10及びコンソール12を備える。
【0028】
まず、本実施形態のマンモグラフィ装置10について説明する。図1には、本実施形態のマンモグラフィ装置10の外観の一例を表す側面図が示されている。なお、図1は、被検者の左側からマンモグラフィ装置10を見た場合の外観の一例を示している。なお、本実施形態のマンモグラフィ装置10が、本開示の撮影制御装置の一例である。
【0029】
本実施形態のマンモグラフィ装置10は、コンソール12の制御に応じて動作し、被検者の乳房を被写体として、乳房に放射線R(例えば、X線)を照射して乳房の放射線画像を撮影する装置である。なお、マンモグラフィ装置10は、被検者が起立している状態(立位状態)のみならず、被検者が椅子(車椅子を含む)等に座った状態(座位状態)において、被検者の乳房を撮影する装置であってもよい。
【0030】
放射線検出器20は、被写体である乳房を通過した放射線Rを検出する。詳細には、放射線検出器20は、被検者の乳房及び撮影台24内に進入して放射線検出器20の検出面20Aに到達した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。以下では、放射線源29から放射線Rを照射して、放射線検出器20により放射線画像を生成する一連の動作を「撮影」という場合がある。本実施形態の放射線検出器20の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。
【0031】
図1に示すように、放射線検出器20は、撮影台24の内部に配置されている。本実施形態のマンモグラフィ装置10では、撮影を行う場合、撮影台24の撮影面24A上には、被検者の乳房がユーザによってポジショニングされる。
【0032】
撮影を行う際に乳房を圧迫するために用いられる圧迫板38は、アーム部33に設けられた圧迫ユニット36に取り付けられる。詳細には、圧迫ユニット36には、圧迫板38を撮影台24に近づく方向または離れる方向(以下、「上下方向」という)に移動する圧迫板駆動部(図示省略)が設けられている。圧迫板38の支持部39は、圧迫板駆動部に着脱可能に取り付けられ、圧迫板駆動部により上下方向に移動し、撮影台24との間で被検者の乳房を圧迫する。本実施形態の圧迫板38が、本開示の圧迫部材の一例である。
【0033】
図1に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、撮影台24と、放射線照射部28と、アーム部33と、基台34と、軸部35と、を備えている。アーム部33は、基台34によって、上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持される。これにより、アーム部33は、被検者の乳房の位置に応じて高さ調節が可能となっている。また、アーム部33には、放射線照射部28の放射線源29を収容する線源収容部30が配置されている。線源収容部30は、アーム部33により、撮影台24と一体的に支持される。アーム部33は、基台34に対して、放射線照射部28の放射線源29と放射線検出器20との相対的な位置関係を保持したまま変位可能である。
【0034】
図2には、本実施形態の放射線照射部28を、被検者側から見た正面図の一例を示す。なお、図2では、基台34の記載を省略している。また、図3には、線源収容部30に収容された状態の放射線源29の一例の斜視図を示す。
【0035】
図2及び図3に示すように、放射線照射部28は、焦点から放射線Rを発生する複数の放射線管27~27(j=2、3、・・・、図2及び図3では最大値は9)と、放射線管27に対応して設けられ、放射線Rの照射野を限定するコリメータ25~25(j=2、3、・・・、図2及び図3では最大値は9)とを有する放射線源29を含む。放射線源29は、被写体に向けて複数の放射線管27のそれぞれから選択的に放射線Rを照射する。なお、放射線源29が備える放射線管27及びコリメータ25の数は本実施形態に限定されない。また、本実施形態では、放射線管27~27、およびコリメータ25~25の各々について区別せずに総称する場合、個々を表す符号「1~9」を省略し「放射線管27」及び「コリメータ25」という。
【0036】
図2及び図3に示すように、複数の放射線管27はハウジング32に収容され、X軸方向に1列に配列された状態で線源収容部30に収容されている。ここで、1列とは、放射線検出器20の検出面20Aと直行するZ軸方向から複数の放射線管27を平面視した場合の配列状態を意味する。また、図2に示すように放射線管27の各々は、放射線検出器20の検出面20Aに対する放射線Rの照射角度が異なる照射位置に各々配置されている。
【0037】
本実施形態の放射線管27は、一例として冷陰極型の陰極と、固定陽極型の陽極(いずれも図示省略)とを有する。具体的には、陰極は、導電体の表面に電界を印加した場合に生じる電界放出現象を利用して電子線を放出する電界放出型の陰極である。また、陽極は、陰極から放出された電子が衝突するターゲットであり、回転陽極型のように円板状の陽極を回転させる回転構造を持たないものである。
【0038】
また、コリメータ25は、放射線管27毎に設けられており、対応する放射線管27から照射される放射線Rの照射野を限定する機能を有する。本実施形態のコリメータ25が、本開示の照射野限定器の一例である。
【0039】
図2に示すようにコリメータ25は、放射線管27と、撮影台24との間に設けられている。図4には、本実施形態のコリメータ25の構成の一例を表す斜視図が示されている。図4に示すように、一例として本実施形態のコリメータ25は、4枚のブレード25A、25B、25C、及び25Dを含んでいる。各ブレード25A~25Dは、鉛やタングステン等の放射線Rを遮蔽する材料が用いられた、平面視矩形状の板状部材である。コリメータ25では、ブレード25Aとブレード25Bとの一側面同士が対向し、かつブレード25Cとブレード25Dとの一側面同士が対向する。また、コリメータ25では、各ブレード25A~25Dの対向する各々の側面により、平面視矩形状の開口部100が形成される。
【0040】
ブレード25A~25Dの各々は、モータ等を含む駆動部(図示省略)に応じて移動する。ブレード25A及びブレード25Bは図4のy方向に移動可能であるのに対し、ブレード25C及びブレード25Dは上記y方向とは交差する方向である図4のx方向に移動可能である。なお、本実施形態のコリメータ25では、各ブレード25A~25Dの移動可能な範囲が、対向配置されているブレード同士の先端部が接触する状態、すなわち、開口部100が全閉状態とされている状態から、開口部100が平面視矩形状を保ち、かつ最大の面積となる状態までの範囲とされている。照射野102の大きさは、開口部100の形状及び大きさ(面積)に応じた形状及び大きさ(面積)となる。
【0041】
また、本実施形態の放射線源29は、放射線管27及び27に対応して、補正用のマーカ26及び26が各々設けられている。補正用のマーカ26及び26については詳細を後述する。
【0042】
本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線画像の撮影について、乳房に対して、撮影方向が頭尾方向である、CC(Cranio-Cauda)撮影、撮影方向が内外斜位方向であるMLO(Medio-Lateral Oblique)撮影、及びトモシンセシス撮影を行うことができる。
【0043】
CC撮影を行う場合は、撮影面24Aがマンモグラフィ装置10の上側(被検者の頭側)を向いた状態に調整される。また、放射線源29の放射線管27の位置が、撮影台24の撮影面24Aと対向する照射位置に調整される。これにより、被検者の頭側から足側に向かって、放射線管27から乳房へ放射線Rが照射されて、CC撮影が行われる。
【0044】
一方、MLO撮影を行う場合は、CC撮影を行う場合に対して撮影面24Aを、例えば45度以上90度未満の範囲内の予め定められた角度まで回転された状態に撮影台24の位置が調整される。具体的には、左の乳房を撮影する場合は、撮影面24Aを右側に傾斜させた状態とし、右の乳房を撮影する場合は、撮影面24Aを左側に傾斜させた状態とする。これにより、被検者の胴体の中心側から外側へ向かって(被検者の乳房同士の間から腕側に向けて)、放射線管27から乳房へ放射線Rが照射されて、MLO撮影が行われる。
【0045】
また、本実施形態のマンモグラフィ装置10では、放射線画像の撮影について、いわゆるトモシンセシス撮影を行うことができる。図5には、トモシンセシス撮影の一例を説明するための図を示す。なお、図5では、圧迫板38の図示を省略している。上述したように放射線源29の放射線管27の各々は、予め定められた照射位置80に配置されている。換言すると、図5に示した例では、放射線管27~27は、放射線検出器20の検出面20Aに対する放射線Rの照射角度が異なる照射位置80~80に各々配置されている。各照射位置80~80において、コンソール12の指示により放射線源29から放射線Rが乳房Wに向けて順次、照射され、放射線検出器20により投影画像が撮影される。放射線画像撮影システム1では、放射線管27~27から放射線Rを順次照射させて、投影画像84~84の撮影を順次行う。図5の例では、9枚の投影画像84が得られる。なお、本実施形態では、投影画像及び後述する断層画像等の種類によらず放射線画像について総称する場合、単に「放射線画像」という。
【0046】
なお、図5に示すように、放射線Rの照射角度とは、放射線検出器20の検出面20Aの法線CLと、放射線軸RCとがなす角度αのことをいう。すなわち、放射線Rの照射角度とは、放射線検出器20の検出面20Aに対する放射線軸RCの入射角度のことをいう。放射線軸RCは、各照射位置80における放射線源29の放射線管27の焦点と検出面20Aの中心等予め設定された位置とを結ぶ軸をいう。また、ここでは、放射線検出器20の検出面20Aは、撮影面24Aに略平行な面とする。以下では、図2に示すように、トモシンセシス撮影における照射角度を異ならせる所定範囲を「照射角度範囲」という。
【0047】
また、図5には、照射位置80、80、80、80、80の各々における放射線管27により得られる投影画像84、84、84、84、84の各々に含まれる被写体の領域82、82、82、82、82が示されている。被写体の領域82は、コリメータ25により限定される照射野102に相当する。具体的には、被写体の領域82は、放射線検出器20の検出面20Aにおける放射線Rの照射野102に対応する。なお、本実施形態では、照射位置80、被写体の領域82、投影画像84、及び断層画像86の各々について、個々を区別する場合は、符号に、個々を表す符号「1~9」を付して表記する。また、以下では簡略化のため、ある照射位置80に配置された放射線管27により照射された放射線Rにより得られる投影画像84について、単に「照射位置80で得られる投影画像84」と表現する。
【0048】
照射角度が0度となる法線CLに沿った照射位置80で得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82は、被写体である乳房Wの全体像の撮影が可能な範囲及び大きさを有する。
【0049】
角度αが大きくなるほど、換言すると放射線検出器20の検出面20Aに斜入する放射線Rの照射角度が大きくなるほど、放射線Rの射入の影響が大きくなり、放射線Rの照射野102は狭くなる。そのため、図5に示すように、角度αが大きくなると投影画像84に含まれる被写体の領域82が狭くなる。換言すると、照射角度が比較的大きい照射位置80に放射線源29が位置する場合は、放射線Rの斜入の影響が大きくなるため、得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82は、被写体の領域82に比べて狭くなる。図5に示した例では、照射角度が最も大きくなる照射位置80で得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82、及び照射位置80で得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82は、いずれも被写体の領域82に比べて狭い。具体的には、被写体の領域82及び被写体の領域82は、撮影の際に放射線源29が位置する側の領域が欠けた形状となっている。このように、投影画像84に含まれる被写体の領域82は、照射位置80に応じて大きさ等が異なる。
【0050】
トモシンセシス撮影により得られた複数の投影画像84を用いて断層画像86を再構成する場合、再構成する際に使われる再構成領域は、各投影画像84における被写体の領域82に依存する。具体的には、再構成領域は、断層画像86の生成に用いる全ての投影画像84に含まれる被写体の領域82のうち、共通する部分の領域(以下、「部分領域」という)に限定される。
【0051】
図5に示すように照射角度が比較的小さい照射位置80の場合、放射線源29から照射された放射線Rが放射線検出器20の検出面20Aに斜入しても、被写体の領域82と同等の形状及び大きさの被写体の領域82が得られる。複数の照射位置80の各々において得られる投影画像84に含まれる被写体の領域82を被写体の領域82と同等とした場合、部分領域83、すなわち再構成領域85も被写体の領域82と同等となる。なお、この場合、各投影画像84に含まれる被写体の領域82全体が部分領域83とみなせるため、厳密には「部分」とは言えないが、説明の便宜上「部分」と称している。再構成領域85が被写体の領域82と同等である場合、断層画像86は、被写体の全体が写った画像となる。なお、断層画像86に写る「被写体の全体」とは、例えば、乳房等の撮影対象物において照射角度αが0度の照射位置から放射線が照射された際に放射線検出器20に写る部分のことをいう。また、被写体に放射線Rが投影される面についてであり、例えば乳房全体等を言うのではなく、少なくともユーザにより読影等のために所望とされる被写体の領域全体のことをいい、例えば、読影等に要さない被写体の端部等が欠けている場合も含む。
【0052】
このように、断層画像86における再構成領域85を、被写体の領域82と同等とすることができる投影画像84が得られる照射位置80の範囲である照射角度範囲を、全体撮影用照射角度範囲ARという(図5参照)。すなわち、全体撮影用照射角度範囲ARとは、複数の照射位置80のうち、それぞれで得られた投影画像84を用いて断層画像86を生成した場合に被写体の全体が写る断層画像86を得ることが可能な照射角度範囲のことをいう。厳密には、全体撮影用照射角度範囲ARとは、被写体の全体が写る断層画像86を得ることが可能な最大の照射角度範囲のことをいう。
【0053】
照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82よりも狭くなるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0054】
図5には、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲として第1の照射角度範囲ARが示されている。照射角度範囲が第1の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第1の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に比して小さくなる。
【0055】
第1の断層画像86では、再構成領域85が、被写体が写ることが可能な領域である。そのため、第1の断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。例えば、図5には、被写体である乳房Wの一部が写る第1の断層画像86が示されている。
【0056】
断層画像86の分解能は、照射角度範囲に依存し、照射角度範囲が広くなるほど、断層画像86の分解能は高くなる。そのため、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて生成された第1の断層画像86は、高分解能な画像となる。本実施形態の第1の断層画像86が、本開示の部分断層画像の一例である。
【0057】
一方、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82と同等となるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0058】
図5には、全体撮影用照射角度範囲AR以下の照射角度範囲として第2の照射角度範囲ARが示されている。照射角度範囲が第2の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第2の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82と同等である。
【0059】
第2の断層画像86では、再構成領域85が、被写体が写ることが可能な領域である。そのため、第2の断層画像86は、被写体の全体が写った画像となる。例えば、図5には、被写体である乳房Wの全体が写る第2の断層画像86が示されている。
【0060】
断層画像86の分解能は、照射角度範囲に依存し、照射角度範囲が狭くなるほど、断層画像86の分解能は低くなる。そのため、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて生成された第2の断層画像86は、第1の断層画像86に比べて分解能が低い画像となる。本実施形態の第2の断層画像86が、本開示の全体断層画像の一例である。
【0061】
このように、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、各照射位置80で得られる投影画像84を用いて生成された断層画像86は、被写体の全体が写った断層画像となる。また、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い場合、各照射位置80で得られる投影画像84を用いて生成された断層画像86は、被写体の一部が写った断層画像となるものの、高分解能な画像となる。
【0062】
また、図5に示すように、放射線管27に対応して設けられたコリメータ25には、補正用のマーカ26が設けられている。図6Aには、コリメータ25に設けられる補正用のマーカ26を、撮影台24側から見た一例を表す平面図が示されている。図6Aに示すように、補正用のマーカ26は、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26を含む。補正用のマーカ26は、コリメータ25の開口部100を通過した放射線Rの照射経路内に設けられている。具体的には、第1の補正用マーカ26は、一部が開口部100内に突出した状態でブレード25Bに設けられている。また、第2の補正用マーカ26は、一部が開口部100内に突出した状態でブレード25Dに設けられている。そのため、図5に示すように、照射位置80で得られる投影画像84には、第1の補正用マーカ26によるマーカ像89、及び第2の補正用マーカ26によるマーカ像89が写し込まれる。また、マーカ像89及び89は、第1の断層画像86において、再構成領域85以外の領域に写し込まれる。
【0063】
さらに、図5に示すように、放射線管27に対応して設けられたコリメータ25には、補正用のマーカ26が設けられている。図6Bには、コリメータ25に設けられる補正用のマーカ26を、撮影台24側から見た一例を表す平面図が示されている。図6Bに示すように、補正用のマーカ26は、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26を含む。補正用のマーカ26は、コリメータ25の開口部100を通過した放射線Rの照射経路内に設けられている。具体的には、第1の補正用マーカ26は、一部が開口部100内に突出した状態でブレード25Bに設けられている。また、第2の補正用マーカ26は、一部が開口部100内に突出した状態でブレード25Cに設けられている。そのため、図5に示すように、照射位置80で得られる投影画像84には、第1の補正用マーカ26によるマーカ像89、及び第2の補正用マーカ26によるマーカ像89が写し込まれる。また、マーカ像89及び89は、第1の断層画像86において、再構成領域85以外の領域に写し込まれる。
【0064】
第1の補正用マーカ26及び26は、放射線管27の焦点の位置について、左右方向の位置ずれを検出するために用いられマーカである。また、第2の補正用マーカ26及び26は、放射線管27の焦点の位置について、左右方向と交差する方向の位置ずれを検出するために用いられるマーカである。なお、「左右方向」とは、マンモグラフィ装置10に対する被検者の左右に対応する方向をいい、本実施形態では、X軸方向のことをいう。また、「左右方向と交差する方向」とは、マンモグラフィ装置10において被検者の胸壁側と反胸壁側とを結ぶ方向をいい、本実施形態では、Y軸方向のことをいう。以下では、左右方向と交差する方向を「交差方向」という。
【0065】
また、図7には、実施形態のマンモグラフィ装置及びコンソールの構成の一例を表したブロック図が示されている。図7に示すように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、制御部40、記憶部42、I/F(Interface)部44、及び操作部46をさらに備えている。制御部40、記憶部42、I/F部44、及び操作部46はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0066】
制御部40は、コンソール12の制御に応じて、マンモグラフィ装置10の全体の動作を制御する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)40A、ROM(Read Only Memory)40B、及びRAM(Random Access Memory)40Cを備える。ROM40Bには、CPU40Aで実行される、放射線画像の撮影に関する制御を行うための撮影プログラム41等を含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM40Cは、各種データを一時的に記憶する。
【0067】
記憶部42には、放射線検出器20により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。記憶部42の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。I/F部44は、無線通信または有線通信により、コンソール12との間で各種情報の通信を行う。マンモグラフィ装置10で放射線検出器20により撮影された放射線画像の画像データは、I/F部44を介してコンソール12に無線通信または有線通信によって送信される。
【0068】
本実施形態の制御部40、記憶部42、及びI/F部44の各々は撮影台24内部に設けられている。
【0069】
また、操作部46は、例えば、マンモグラフィ装置10の撮影台24等に複数のスイッチとして設けられている。なお、操作部46は、タッチパネル式のスイッチとして設けられていてもよいし、医師及び技師等のユーザが足で操作するフットスイッチとして設けられていてもよい。
【0070】
一方、本実施形態のコンソール12は、無線通信LAN(Local Area Network)等を介してRIS(Radiology Information System)等から取得した撮影オーダ及び各種情報と、操作部56等によりユーザにより行われた指示等とを用いて、マンモグラフィ装置10の制御を行う機能を有している。
【0071】
本実施形態のコンソール12は、一例として、サーバーコンピュータである。図7に示すように、コンソール12は、制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58を備えている。制御部50、記憶部52、I/F部54、操作部56、及び表示部58はシステムバスやコントロールバス等のバス59を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0072】
本実施形態の制御部50は、コンソール12の全体の動作を制御する。制御部50は、CPU50A、ROM50B、及びRAM50Cを備える。ROM50Bには、CPU50Aで実行される、撮影制御プログラム51A及び画像生成プログラム51Bを含む各種のプログラム等が予め記憶されている。RAM50Cは、各種データを一時的に記憶する。本実施形態ではCPU50Aが、本開示のプロセッサの一例であり、コンソール12が、本開示の画像処理装置の一例である。また、本実施形態の画像生成プログラム51Bが、本開示の画像処理プログラムの一例である。
【0073】
記憶部52には、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。また、本実施形態の記憶部52は、マーカ基準位置情報53が記憶された状態とされている。マーカ基準位置情報53は、投影画像84に写り込むマーカ像89~89の基準の位置を表す情報である。具体的には、マーカ基準位置情報53は、放射線管27の焦点位置が、設計上の位置等の予め定められた位置にある場合に、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26により、投影画像84に写り込むマーカ像89及び89の位置を含む。また、マーカ基準位置情報53は、放射線管27の焦点位置が、設計上の位置等の予め定められた位置にある場合に、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26により、投影画像84に写り込むマーカ像89及び89の位置を含む。記憶部52の具体例としては、HDDやSSD等が挙げられる。
【0074】
操作部56は、放射線Rの照射指示を含む放射線画像の撮影等に関する指示や各種情報等をユーザが入力するために用いられる。操作部56は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。表示部58は、各種情報を表示する。なお、操作部56と表示部58とを一体化してタッチパネルディスプレイとしてもよい。
【0075】
I/F部54は、無線通信または有線通信により、マンモグラフィ装置10、RIS、及びPACS(Picture Archiving and Communication Systems)との間で各種情報の通信を行う。本実施形態の放射線画像撮影システム1では、マンモグラフィ装置10で撮影された放射線画像の画像データは、コンソール12が、I/F部54を介して無線通信または有線通信によりマンモグラフィ装置10から受信する。
【0076】
本実施形態のコンソール12は、トモシンセシス撮影において得られた投影画像から断層画像を生成する機能を有する。図8には、本実施形態のコンソール12における、照射角度範囲を制御する機能及び断層画像を生成する機能に係る構成の一例の機能ブロック図を示す。図8に示すようにコンソール12は、情報取得部60、画像取得部64、位置ずれ量導出部65、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74を備える。一例として本実施形態のコンソール12は、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されている画像生成プログラム51Bを実行することにより、CPU50Aが情報取得部60、画像取得部64、位置ずれ量導出部65、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74として機能する。
【0077】
情報取得部60は、上述した全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する機能を有する。上述したように全体撮影用照射角度範囲ARとは、被写体の全体が写る断層画像86を生成することが可能な投影画像84を得ることができる照射角度範囲である。全体撮影用照射角度範囲ARは、被写体の厚み及び被写体の面積に依存する。「被写体の厚み」とは、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の厚みのことをいう。本実施形態において「被写体の厚み」とは、撮影台24の撮影面24Aから圧迫板38の乳房を圧迫する圧迫面までの距離のことをいう。また、「被写体の面積」とは、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房における放射線Rが照射される面積のことをいう。本実施形態において「被写体の面積」とは、撮影台24の撮影面24Aに接する乳房の面積、または圧迫板38に接する乳房の面積のことをいう。
【0078】
ところで、乳房が大きい場合、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の面積が比較的大きくなり、厚みが比較的厚くなる。一方、乳房が地小さい場合、圧迫板38により圧迫状態とされた乳房の面積が比較的小さくなり、厚みが比較的薄くなる。そのため、一例として本実施形態では、乳房の大きさに応じて全体撮影用照射角度範囲ARが定められている。具体的には、「大」、「中」、及び「小」等の乳房の大きさと、全体撮影用照射角度範囲ARとが対応付けられた照射角度範囲対応関係情報が予め得られている。情報取得部60は、照射角度範囲対応関係情報を参照して全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。
【0079】
まず、情報取得部60は、ユーザが操作部56により入力した「大」、「中」、及び「小」等の乳房の大きさを表す情報を取得する。情報取得部60は、全体撮影用情報を参照して乳房の大きさに対応する全体撮影用照射角度範囲ARを表す全体撮影用情報を取得する。そして、情報取得部60は、取得した全体撮影用情報を画像取得部64、及び第2の断層画像生成部70に出力する。
【0080】
画像取得部64は、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲のトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84を含む投影画像群を取得する機能を有する。具体的には本実施形態の画像取得部64は、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い照射角度範囲として、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~84を取得する。画像取得部64は、取得した投影画像84~84を表す画像データを位置ずれ量導出部65に出力する。
【0081】
位置ずれ量導出部65は、投影画像84に写し込まれるマーカ像89の位置と、マーカ像89の基準の位置とに基づいて、トモシンセシス撮影に用いられる放射線管27の焦点の位置ずれ量を導出する機能を有する。
【0082】
本実施形態の位置ずれ量導出部65は、マーカ基準位置情報53から取得したマーカ像89の基準の位置と投影画像84に写り込むマーカ像89の位置との位置ずれ量を導出する。図9Aには、投影画像84に写り込むマーカ像89と、マーカ像89の基準の位置を表す基準画像90とが示されている。なお、説明の便宜上、マーカ像89、89、89、89各々の基準位置を、基準画像90、90、90、90として、投影画像84または84上に図示しているが、基準画像90、90、90、90の各々は、投影画像84または84に写り込んではいない。位置ずれ量導出部65は、マーカ像89と、基準画像90との位置ずれ量Laを導出する。また、位置ずれ量導出部65は、マーカ基準位置情報53から取得したマーカ像89の基準の位置と投影画像84に写り込むマーカ像89の位置との位置ずれ量を導出する。図9Bには、投影画像84における、マーカ像89と、マーカ像89の基準の位置を表す基準画像90とが示されている。位置ずれ量導出部65は、マーカ像89と、基準画像90との位置ずれ量Lcを導出する。さらに、位置ずれ量導出部65は、導出した位置ずれ量La及びLcに基づいて、放射線管27の焦点の左右方向の位置ずれ量を導出する。
【0083】
放射線管27の焦点位置は、例えば、設計上の位置等の予め定められた位置から変化する場合がある。例えば、放射線照射部28の線源収容部30を支持するアーム部33が歪む等により変形した場合、放射線管27の焦点の位置が予め定められた位置から変化する。このようにアーム部33が歪む場合、アーム部33の歪みに応じて、一体的に、放射線照射部28が有する複数の放射線管27の焦点に位置ずれが生じる。すなわち、複数の放射線管27のうち、少なくとも1つ以上の放射線管27について位置ずれ量が導出できると、その他の放射線管27の位置ずれ量を推定することができる。
【0084】
そこで、本実施形態では、照射角度範囲の両端部の照射位置80における放射線管27の焦点の位置ずれ量に、放射線照射部28が有する全ての放射線管27における焦点の位置ずれ量が対応付けられている。具体的には、本実施形態では、放射線管27における焦点の位置ずれ量Laと、放射線管27における焦点の位置ずれ量Lcと、放射線管27~27各々の焦点の左右方向の位置ずれ量との対応関係を表す、左右方向の位置ずれ量対応関係情報が予め得られている。左右方向の位置ずれ量対応関係情報は、例えば、記憶部52等に記憶されている。位置ずれ量導出部65は、導出した位置ずれ量La及びLcに対応付けられている放射線管27~27各々の左右方向の位置ずれ量を、左右方向の位置ずれ量対応関係情報を参照して導出する。
【0085】
また、本実施形態の位置ずれ量導出部65は、マーカ基準位置情報53から取得したマーカ像89の基準の位置と投影画像84に写り込むマーカ像89の位置との位置ずれ量を導出する。図9Aには、投影画像84に写り込むマーカ像89と、マーカ像89の基準の位置を表す基準画像90とが示されている。位置ずれ量導出部65は、マーカ像89と、基準画像90との位置ずれ量Lbを導出する。また、位置ずれ量導出部65は、マーカ基準位置情報53から取得したマーカ像89の基準の位置と投影画像84に写り込むマーカ像89の位置との位置ずれ量を導出する。図9Bには、投影画像84における、マーカ像89と、マーカ像89の基準の位置を表す基準画像90とが示されている。位置ずれ量導出部65は、マーカ像89と、基準画像90との位置ずれ量Ldを導出する。さらに、位置ずれ量導出部65は、導出した位置ずれ量Lb及びLdに基づいて、放射線管27の焦点の交差方向の位置ずれ量を導出する。
【0086】
上述した左右方向の位置ずれ量の導出と同様に、本実施形態では、照射角度範囲の両端部の照射位置80における放射線管27の焦点の位置ずれ量に、放射線照射部28が有する全ての放射線管27における焦点の位置ずれ量が対応付けられている。具体的には、本実施形態では、放射線管27における焦点の位置ずれ量Lbと、放射線管27における焦点の位置ずれ量Ldと、放射線管27~27各々の焦点の交差方向の位置ずれ量との対応関係を表す、交差方向の位置ずれ量対応関係情報が予め得られている。交差方向の位置ずれ量対応関係情報は、例えば、記憶部52等に記憶されている。位置ずれ量導出部65は、導出した位置ずれ量Lb及びLdに対応付けられている放射線管27~27各々の交差方向の位置ずれ量を、交差方向の位置ずれ量対応関係情報を参照して導出する。
【0087】
位置ずれ量導出部65は、導出した各放射線管27の左右方向の位置ずれ量と、交差方向の位置ずれ量とを第1の断層画像生成部66及び第2の断層画像生成部70に出力する。
【0088】
第1の断層画像生成部66は、投影画像84に写し込まれるマーカ像89の位置と、マーカ像89の基準の位置とに基づいて、取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像86を生成する機能を有する。
【0089】
具体的には、第1の断層画像生成部66は、上記位置ずれ量導出部65により導出された左右方向及び交差方向の位置ずれ量に基づいて、放射線管27~27各々の焦点位置を補正する。そして、第1の断層画像生成部66は、放射線管27~27各々における補正された焦点位置を用いて、投影画像84~84から第1の断層画像86を再構成する。なお、第1の断層画像生成部66が複数の第1の断層画像86を生成する方法は特に限定されず、公知の手法を用いることができる。例えば、FBP(Filter Back Projection)法や逐次近似再構成法等の逆投影法により再構成を行ってもよく、公知の技術を適用することができる。第1の断層画像生成部66が生成する断層画像86のスライス厚(以下、「第1のスライス厚」という)は特に限定されない。なお、断層画像が高分解能であるほど、スライス厚を薄くことができる。そのため、本実施形態では、第1のスライス厚を、第2の断層画像86のスライス厚(以下、「第2のスライス厚」という)よりも薄くしている。具体的には、第1のスライス厚は、例えば、関心物の大きさ、放射線画像の画質、生成における演算処理の処理負荷、及びユーザからの指示等に応じて定めることができる。第1の断層画像生成部66は、生成した複数の第1の断層画像86を表す画像データを、第1の合成2次元画像生成部68及び表示制御部74に出力する。
【0090】
第1の合成2次元画像生成部68は、複数の第1の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像を生成する機能を有する。第1の合成2次元画像生成部68は、生成した第1の合成2次元画像を表す画像データを表示制御部74に出力する。
【0091】
なお、第1の合成2次元画像生成部68が、第1の合成2次元画像を生成する方法は特に限定されず、公知の手法を用いることができる。一例として、本実施形態の第1の合成2次元画像生成部68は、米国特許第8983156号明細書に記載の手法を用いている。米国特許第8983156合名最初には、断層画像から検出された関心物(ROI:Region Of Interest)を2次元画像にブレンド(合成)して合成2次元画像を生成することにより、断層画像から検出された病変等が反映された合成2次元画像を生成する技術が記載されている。なお、断層画像から関心物を検出する方法も特に限定されず、例えば、公知のコンピュータ支援画像診断(CAD: Computer Aided Diagnosis、以下CADという)のアルゴリズムを用いて、断層画像から関心物を表す特定構造を抽出する方法が挙げられる。CADによるアルゴリズムにおいては、断層画像における画素が関心物であることを表す確率(例えば、尤度)を導出し、その確率が予め定められた閾値以上の場合に、その画素を関心物の画像を構成する画素として検出することが好ましい。また例えば、関心物を抽出するためのフィルタによるフィルタリング処理等によって、断層画像から関心物を抽出する手法を用いてもよい。
【0092】
なお、第1の合成2次元画像生成部68が第1の合成2次元画像を生成する方法としては、例えば、特開2014-128716号公報には、複数の断層画像、または複数の断層画像の少なくとも1つ及び複数の投影画像の少なくとも1つを乳房における断層面が並ぶ深さ方向に投影する、または最小値投影法を用いることにより、合成2次元画像を生成する手法を用いてもよい。また例えば、特許第6208731号公報には、複数の断層画像または複数の断層画像の少なくとも1つ及び複数の投影画像の少なくとも1つを、フィルタ補正逆投影法、最尤再構成法、反復再構成法、代数的方法を使用する再構成法、及び三次元再構成法等のいずれかの方法により再構成することにより合成2次元画像を生成する手法を用いてもよい。
【0093】
一方、第2の断層画像生成部70は、投影画像84に写し込まれるマーカ像89の位置と、マーカ像89の基準の位置とに基づいて、取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像86を生成する機能を有する。具体的には、第2の断層画像生成部70は、上記位置ずれ量導出部65により導出された左右方向及び交差方向の位置ずれ量に基づいて、放射線管27~27各々の焦点位置を補正する。また、第2の断層画像生成部70は、情報取得部60から入力された全体撮影用情報に応じた全体撮影用照射角度範囲AR以下の照射角度範囲である第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~84を取得する。そして、第2の断層画像生成部70は、各放射線管27~27各々における補正された焦点位置を用いて、投影画像84~84から第2の断層画像86を再構成する。
【0094】
第2の断層画像86の第2のスライス厚は特に限定されないが本実施形態では、上述したように、第1のスライス厚よりも厚い。具体的な第2のスライス厚は、例えば、関心物の大きさ、放射線画像の画質、生成における演算処理の処理負荷、及びユーザからの指示等に応じて定めることができる。なお、第2の断層画像生成部70が複数の第2の断層画像86を生成する方法は特に限定されず、例えば、第1の断層画像生成部66が第1の断層画像86を生成する方法と同様の方法を適用すればよい。第2の断層画像生成部70は、生成した複数の第2の断層画像86を表す画像データを、第2の合成2次元画像生成部72及び表示制御部74に出力する。
【0095】
第2の合成2次元画像生成部72は、複数の第2の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成する機能を有する。第2の合成2次元画像生成部72は、生成した第2の合成2次元画像を表す画像データを表示制御部74に出力する。なお、第2の合成2次元画像生成部72が第2の合成2次元画像を生成する方法は特に限定されず、例えば、第1の合成2次元画像生成部68が第1の合成2次元画像を生成する方法と同様の方法を適用すればよい。
【0096】
表示制御部74は、第1の断層画像86、第2の断層画像86、第1の合成2次元画像、及び第2の合成2次元画像の少なくとも一つを表示部58に表示させる機能を有する。表示制御部74によるこれらの画像の表示形態については、詳細を後述する。
【0097】
次に、トモシンセシス撮影におけるコンソール12の作用について図面を参照して説明する。コンソール12は、マンモグラフィ装置10によりトモシンセシス撮影を行った(図10、ステップS10)後、トモシンセシス撮影により得られた投影画像群を用いて、各種の放射線画像を生成し、表示部58等に表示させる(図10、ステップS12参照)。
【0098】
図10のステップS10に示したトモシンセシス撮影を行う場合、まず、ユーザは、マンモグラフィ装置10の撮影台24に被写体となる乳房をポジショニングし、圧迫板38により乳房を圧迫する。乳房の圧迫が完了すると、ユーザは、コンソール12の操作部56等に含まれる照射ボタンを用い、放射線Rの照射を指示する。マンモグラフィ装置10では、放射線Rの照射を指示されると、放射線管27~27の各々から、乳房に向けて放射線Rを順次照射し、放射線検出器20により、投影画像84~84を順次、取得する。放射線検出器20により取得された投影画像84~84各々を表す画像データは、コンソール12に出力される。
【0099】
マンモグラフィ装置10によるトモシンセシス撮影が終了すると、図10のステップS12に示した、コンソール12による各種の放射線画像の生成及び表示が行われる。各種の放射線画像の生成及び表示におけるコンソール12の作用について説明する。
【0100】
上述したように本実施形態のマンモグラフィ装置10は、トモシンセシス撮影が終了すると、撮影された投影画像群の画像データをコンソール12に出力する。コンソール12は、マンモグラフィ装置10から入力された投影画像群の画像データを記憶部52に記憶させる。
【0101】
記憶部52に投影画像群の画像データを記憶させた後、コンソール12は、図11に示した画像処理を実行する。図11には、本実施形態のコンソール12による画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本実施形態のコンソール12は、一例として、制御部50のCPU50Aが、ROM50Bに記憶されている画像生成プログラム51Bを実行することにより、図11に一例を示した画像処理を実行する。
【0102】
図11のステップS200で画像取得部64は、投影画像群を取得する。上述したように、本実施形態の画像取得部64は、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた投影画像84~84を投影画像群として取得する。
【0103】
次のステップS202で位置ずれ量導出部65は、各放射線管27の焦点の位置ずれ量を導出する。上述したように、本実施形態の位置ずれ量導出部65は、投影画像84に写り込む第1の補正用マーカ26のマーカ像89と、第1の補正用マーカ26の基準の位置と、投影画像84に写り込む第1の補正用マーカ26のマーカ像89と、第1の補正用マーカ26の基準位置とに基づいて、各放射線管27の左右方向の位置ずれ量を導出する。また、位置ずれ量導出部65は、投影画像84に写り込む第2の補正用マーカ26のマーカ像89と、第2の補正用マーカ26の基準の位置と、投影画像84に写り込む第2の補正用マーカ26のマーカ像89と、第2の補正用マーカ26の基準位置とに基づいて、各放射線管27の交差方向の位置ずれ量を導出する。
【0104】
次のステップS204で第1の断層画像生成部66は、上記ステップS202で導出した位置ずれ量に基づいて、第1の断層画像86を生成する。上述したように、本実施形態の第1の断層画像生成部66は、上記ステップS200で取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84から、位置ずれ量を補正した各放射線管27~27の焦点位置を用いて被写体の一部が写る複数の第1の断層画像86を、第1のスライス厚で生成する。
【0105】
次のステップS206で第1の合成2次元画像生成部68は、第1の合成2次元画像を生成する。上述したように、本実施形態の第1の合成2次元画像生成部68は、上記ステップS204で生成した複数の第1の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第1の合成2次元画像を生成する。
【0106】
次のステップS208で第2の断層画像生成部70は、上記ステップS202で導出した位置ずれ量に基づいて、第2の断層画像86を生成する。上述したように、本実施形態の第2の断層画像生成部70は、上記ステップS200で取得した投影画像群に含まれる投影画像のうちの、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~84から、位置ずれ量を補正した各放射線管27~27の焦点位置を用いて被写体の全体が写る複数の第2の断層画像86を、第2のスライス厚で生成する。
【0107】
次のステップS210で第2の合成2次元画像生成部72は、第2の合成2次元画像を生成する。上述したように、本実施形態の第2の合成2次元画像生成部72は、上記ステップS208で生成した複数の第2の断層画像86のうちの少なくとも一部を合成した第2の合成2次元画像を生成する。
【0108】
次のステップS212で表示制御部74は、各種の放射線画像を表示させる。具体的には、上記ステップS204で生成した第1の断層画像86、上記ステップS206で生成した第1の合成2次元画像、上記ステップS208で生成した複数の第2の断層画像86、及び上記ステップS210で生成した第2の合成2次元画像を表示部58に表示させる制御を行う。
【0109】
一例として本実施形態の表示制御部74は、まず、表示部58に、第1の断層画像86及び第2の断層画像86を並べて表示させる。図12Aには、第1の断層画像86及び第2の断層画像86が表示部58に表示された状態の一例を示す。図12Aに示すように、表示部58には、1枚の第1の断層画像86、及びスライダバー91が表示される。ユーザが操作部56を操作してスライダバー91のバーをスライダに沿って移動させると、バーの位置に応じた高さの第1の断層画像86が表示部58に表示される。第1の断層画像86の再構成に用いた投影画像84及び84には、マーカ像89、89、89、89が写り込んでいる。そのため、図12Aに示したように、第1の断層画像86には、マーカ像89、89、89、89が写り込んでいる。マーカ像89、89、89、89dは全ての第1の断層画像86に写り込んでいる。そのため、スライダバー91のバーの位置が変化しても、表示部58に表示される第1の断層画像86には、マーカ像89、89、89、89が写り込んでいる。
【0110】
また、表示部58には、1枚の第2の断層画像86、及びスライダバー91が表示される。ユーザが操作部56を操作してスライダバー91のバーをスライダに沿って移動させると、バーの位置に応じた高さの第2の断層画像86が表示部58に表示される。第2の断層画像86の再構成に用いた投影画像84~84には、マーカ像89、89、89、89は写り込んでいない。そのため、図12Aに示したように、第2の断層画像86には、マーカ像89、89、89、89は写り込んでいない。なお、本実施形態の表示制御部74は、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の断層面を揃える制御を行う。換言すると、表示制御部74は、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の高さを揃える制御を行う。そのため、ユーザがスライダバー91及びスライダバー91のいずれか一方を操作して表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86のいずれか一方の高さを変更した場合、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の他方の高さも変更される。なお、本実施形態と異なり、表示部58に表示される第1の断層画像86及び第2の断層画像86の断層面を異ならせる形態であってもよいし、断層面を揃えるか否かについてユーザによる切替が可能であってもよい。
【0111】
また、図12Aに示すように、本実施形態の表示制御部74は、第1の断層画像86を表示する場合、第1の断層画像86上に、第1の断層画像86における再構成領域85を示す再構成領域情報87を重畳させて表示させる。このように、第1の断層画像86上に再構成領域85を表す再構成領域情報87を表示させることにより、ユーザは、第1の断層画像86及び第2の断層画像86の対比が行い易くなる。
【0112】
また、図12Aに示すように、本実施形態の表示制御部74は、切替ボタン92、92を表示部58に表示させる。表示制御部74は、ユーザが操作部56を用いて行った切替ボタン92の操作を受け付けた場合、表示部58に表示される放射線画像を、第1の断層画像86及び第1の合成2次元画像88のうちの一方から他方に切り替える制御を行う。図12Aに示した状態において切替ボタン92をユーザが操作した場合、図12Bに示すように表示部58には、第1の断層画像86に代えて第1の合成2次元画像88を表示部58に表示させる。図12Bに示すように、第1の合成2次元画像88の生成に用いた第1の断層画像86には、マーカ像89、89、89、89が写り込んでいる。そのため、図12Bに示したように、第1の合成2次元画像88には、マーカ像89、89、89、89が写り込んでいる。
【0113】
一方、表示制御部74は、ユーザが操作部56を用いて行った切替ボタン92の操作を受け付けた場合、表示部58に表示される放射線画像を、第2の断層画像86及び第2の合成2次元画像88のうちの一方から他方に切り替える制御を行う。図12Aに示した状態において切替ボタン92をユーザが操作した場合、図12Cに示すように表示部58には、第2の断層画像86に代えて第2の合成2次元画像88を表示部58に表示させる。第2の合成2次元画像88の再構成に用いた第2の断層画像86には、マーカ像89、89、89、89は写り込んでいない。そのため、図12Cに示したように、第2の合成2次元画像88には、マーカ像89、89、89、89は写り込んでいない。また、図12Cに示した例では、第2の合成2次元画像88上に再構成領域情報87を表示させた形態を示している。このように、第2の合成2次元画像88上にも再構成領域情報87を表示させることにより、ユーザは、第1の断層画像86または第1の合成2次元画像88と、第2の合成2次元画像88との対比が行い易くなる。
【0114】
このようにしてステップS212の処理が終了すると、図11に示した画像処理が終了する。
【0115】
(変形例1)
上記では、マンモグラフィ装置10が、複数の照射位置80毎に設けられた複数の放射線管27を備えた形態について説明した。これに対して、本変形例では、マンモグラフィ装置10が照射位置80よりも少ない数の放射線管27を備えた形態について説明する。この場合の一例として、本変形例では、マンモグラフィ装置10が1つの放射線管27を備える形態について説明する。
【0116】
図13には、本変形例のマンモグラフィ装置10の一例を表す側面図が示されている。図13に示すように、本変形例のマンモグラフィ装置10は、圧迫ユニット36と撮影台24とが一体化されており、軸部35により、アーム部33及び圧迫ユニット36が基台34に保持される。アーム部33は、軸部35によって基台34に対して回転をすることが可能である。軸部35は、基台34に対して固定されており、軸部35とアーム部33とが一体となって回転する。
【0117】
軸部35及び圧迫ユニット36にそれぞれギアが設けられ、このギア同士の噛合状態と非噛合状態とを切替えることにより、撮影台24の圧迫ユニット36と軸部35とが連結されて一体に回転する状態と、軸部35が撮影台24と分離されて空転する状態とに切り替えることができる。なお、軸部35の動力の伝達・非伝達の切り替えは、上記ギアに限らず、種々の機械要素を用いることができる。
【0118】
アーム部33と撮影台24は、軸部35を回転軸として、別々に、基台34に対して相対的に回転可能となっている。本変形例では、基台34、アーム部33、及び撮影台24の圧迫ユニット36にそれぞれ係合部(図示省略)が設けられ、この係合部の状態を切替えることにより、アーム部33、及び撮影台24の圧迫ユニット36の各々が基台34に連結される。軸部35に連結されたアーム部33、及び撮影台24の一方または両方が、軸部35を中心に一体に回転する。
【0119】
図13に示すように本変形例のマンモグラフィ装置10の放射線照射部28は、1組の放射線管27と、放射線管27に対応して設けられたコリメータ25とを有する放射線源29を含む。また、コリメータ25には、補正用のマーカ26が設けられている。
【0120】
図13に示した本変形例のマンモグラフィ装置10においてトモシンセシス撮影を行う場合、放射線管27、コリメータ25、及び補正用のマーカ26は、アーム部33の回転により順次、照射角度が異なる複数の照射位置の各々に移動される。図14には、本変形例のマンモグラフィ装置10によるトモシンセシス撮影の一例を説明するための図を示す。なお、図14では、圧迫板38の図示を省略している。本変形例では、図14に示すように放射線管27は、予め定められた角度θずつ照射角度が異なる照射位置80(k=1、2、・・・、図14では最大値は13)に移動される。各照射位置80において、コンソール12の指示により放射線源29から放射線Rが乳房Wに向けて照射され、放射線検出器20により放射線画像が撮影される。放射線画像撮影システム1では、放射線源29を照射位置80の各々に移動させて、各照射位置80で放射線画像の撮影を行うトモシンセシス撮影を行った場合、図14の例では13枚の放射線画像が得られる。
【0121】
照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲ARよりも広い第1の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~8013の各々において得られる投影画像84~8413に含まれる被写体の領域82~8213に共通する部分領域83が第1の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~8413に含まれる被写体の領域82~8213に比して小さくなる。従って、本変形例においても、第1の断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。例えば、図14には、被写体である乳房Wの一部が写る第1の断層画像86が示されている。
【0122】
第1の照射角度範囲ARは、全体撮影用照射角度範囲ARよりも広いため、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影で得られた複数の投影画像84~8413を用いて生成された第1の断層画像86は、高分解能な画像となる。
【0123】
一方、照射角度範囲が全体撮影用照射角度範囲AR以下の場合、断層画像86における再構成領域85が被写体の領域82と同等となるため、断層画像86は、被写体の一部が写った画像となる。
【0124】
また、照射角度範囲が第2の照射角度範囲ARの場合、照射位置80~80の各々において得られる投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82に共通する部分領域83が第2の断層画像86を生成する際の再構成領域85に対応する。部分領域83、すなわち再構成領域85は、投影画像84~84に含まれる被写体の領域82~82と同等である。そのため、本形態においても、第2の断層画像86は、被写体の全体が写った画像となる。例えば、図14には、被写体である乳房Wの全体が写る第2の断層画像86が示されている。
【0125】
また、図15に示すように、放射線管27に対応して設けられたコリメータ25には、補正用のマーカ26が設けられている。図15には、コリメータ25に設けられる補正用のマーカ26を、撮影台24側から見た一例を表す平面図が示されている。図15に示すように、補正用のマーカ26は、第1の補正用マーカ26及び26と、第2の補正用マーカ26及び26と、を含む。補正用のマーカ26は、コリメータ25の開口部100を通過した放射線Rの照射経路内への侵入、及び照射経路外への退避が可能に設けられている。具体的には、第1の補正用マーカ26は、ブレード25Bに設けられており、マーカ移動機構104により、開口部100内への侵入及び開口部100外への退避が可能な状態とされている。図15には、第1の補正用マーカ26が、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入した状態が示されている。第2の補正用マーカ26は、ブレード25Dに設けられており、マーカ移動機構104により、開口部100内への侵入及び開口部100外への退避が可能な状態とされている。図15には、第2の補正用マーカ26が、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入した状態が示されている。第1の補正用マーカ26は、ブレード25Bに設けられており、マーカ移動機構104により、開口部100内への侵入及び開口部100外への退避が可能な状態とされている。図15には、第1の補正用マーカ26が、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入した状態が示されている。また、第2の補正用マーカ26は、ブレード25Cに設けられており、マーカ移動機構104により、開口部100内への侵入及び開口部100外への退避が可能な状態とされている。図15には、第2の補正用マーカ26が、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入した状態が示されている。
【0126】
補正用のマーカ26が放射線Rの照射経路内に侵入している場合、換言すると、補正用のマーカ26が、開口部100内に侵入している場合、投影画像84に補正用のマーカ26によるマーカ像89が写り込む。そのため、図15に示したように、補正用のマーカ26を開口部100内に侵入した状態のまま、放射線照射部28を各照射位置80に移動させた場合、投影画像84に補正用のマーカ26によるマーカ像89が写り込んでしまう。例えば、図14に示した例では、全体撮影用照射角度範囲ARに対応する照射位置80~80では、補正用のマーカ26が開口部100内に侵入した状態である場合、投影画像84~84には、マーカ像89が写り込む。そこで本変形例の補正用のマーカ26は、放射線照射部28、具体的には放射線管27が少なくとも全体撮影用照射角度範囲AR外の照射位置80にある場合に照射経路内に進入し、かつ、放射線管27が全体撮影用照射角度範囲AR外の照射位置80以外にある場合は、照射経路外に退避可能としている。
【0127】
すなわち本変形例において補正用のマーカ26は、各照射位置80において放射線Rの照射経路内に侵入または照射経路外へ退避することにより、投影画像84における再構成領域85以外の領域にマーカ像89が写し込まれる状態とされている。具体的には、照射位置80に放射線管27が位置する場合、図16Aに示すように、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26が、各々マーカ移動機構104及び104により、開口部100内に侵入した状態とされている。また、図16Aに示すように、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26が、各々マーカ移動機構104及び104により、開口部100外へ退避した状態とされている。これにより、図14に示すように、照射位置80で得られる投影画像84には、第1の補正用マーカ26によるマーカ像89、及び第2の補正用マーカ26によるマーカ像89が写し込まれる。
【0128】
また、図16Bに示すように、照射位置8013に放射線管27が位置する場合、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26が、各々マーカ移動機構104及び104により、開口部100外へ退避した状態とされている。また、図16Bに示すように、第1の補正用マーカ26及び第2の補正用マーカ26が、各々マーカ移動機構104及び104により、開口部100内に侵入した状態とされている。これにより、図14に示すように、照射位置8013で得られる投影画像8413には、第1の補正用マーカ26によるマーカ像89、及び第2の補正用マーカ26によるマーカ像89が写し込まれる。
【0129】
また、図16Cに示すように、照射位置80~8012に放射線管27が位置する場合、第1の補正用マーカ26、26及び第2の補正用マーカ26及び26が、各々マーカ移動機構104、104に、104、及び104により、開口部100外へ退避した状態とされている。これにより、図14に示すように、照射位置80~8012で得られる投影画像84~8412には、マーカ像89~89のいずれも写り込まない。
【0130】
上記により、第1の断層画像86では、再構成領域85以外の領域に、マーカ像89~89が写し込まれる。また、第2の断層画像86では、いずれのマーカ像89~89のいずれも写り込まない。
【0131】
なお、マーカ移動機構104は、補正用のマーカ26を放射線Rの照射経路内に侵入させ、また照射経路外へ退避させることが可能であれば、具体的な構成は特に限定されない。例えば、マーカ移動機構104として、ソレノイドを適用することができる。
【0132】
このように、本変形例のマンモグラフィ装置10では、放射線管27が照射位置80に応じて、補正用のマーカ26を照射経路内に侵入または照射経路外へ退避させる制御が行われる。そのため、本変形例のマンモグラフィ装置10は、トモシンセシス撮影において、補正用のマーカ26の照射経路内への侵入または退避を制御する機能を有する。図17には、本変形例のマンモグラフィ装置10における、補正用のマーカ26の照射経路内への侵入または退避を制御する機能にかかる構成の一例の機能ブロック図を示す。図17に示すように、本変形例のマンモグラフィ装置10は、線源移動制御部76及びマーカ位置制御部78を備える。一例として本変形例のマンモグラフィ装置10は、制御部40のCPU40AがROM40Bに記憶されている撮影プログラム41を実行することにより、CPU40Aが線源移動制御部76及びマーカ位置制御部78として機能する。
【0133】
線源移動制御部76は、放射線源29を各照射位置80に移動させることにより、放射線管27を各照射位置80に移動させ、移動させた照射位置80において放射線Rを放射線管27から照射させる機能を有する。線源移動制御部76は、上述したようにトモシンセシス撮影を行う場合に、放射線源29の放射線管27を複数の照射位置80の各々に移動させる機能を有する。具体的には、線源移動制御部76は、撮影台24に対してアーム部33を回転させることにより複数の照射位置80の各々に放射線源29を移動させる。本変形例の線源移動制御部76は、アーム部33内部に設けられている。
【0134】
マーカ位置制御部78は、補正用のマーカ26を、放射線Rの照射経路内に侵入する位置と、照射経路外に退避する位置とのいずれとするかの制御を行う機能を有する。具体的には、線源移動制御部76は、補正用のマーカ26~26の各々について、照射位置80に応じて上述したようにマーカ移動機構104~104により、開口部100に侵入する位置と、開口部100から退避する位置とのいずれとするかの制御を行う。
【0135】
次に、トモシンセシス撮影におけるマンモグラフィ装置10の作用について図面を参照して説明する。マンモグラフィ装置10は、図10のステップS10においてトモシンセシス撮影を行う場合、図18に示した照射制御処理を実行する。図18には、本変形例のマンモグラフィ装置10による照射制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本変形例のマンモグラフィ装置10は、一例として、制御部40のCPU4Aが、ROM40Bに記憶されている撮影プログラム41を実行することにより、図18に一例を示した照射制御処理を実行する。なお、トモシンセシス撮影を開始した際には、補正用のマーカ26は、放射線Rの照射経路外へ退避した位置とされている。
【0136】
図18のステップS100で線源移動制御部76は、トモシンセシス撮影における最初の照射位置80に放射線管27を移動させる。図14に示した例では、照射位置80に射線管27を移動させる。
【0137】
次のステップS102でマーカ位置制御部78は、最初の照射位置80用の補正用のマーカ26を放射線Rの照射経路内に侵入する位置とさせる制御を行う。上述したようにマーカ位置制御部78は、図16Aに示したように、第1の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入する位置とさせる制御を行う。また、マーカ位置制御部78は、図16Aに示したように、第2の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入する位置とさせる制御を行う。
【0138】
次のステップS104で線源移動制御部76は、照射指示を受け付けたか否かを判定する。上述したように操作部56によりユーザが行った放射線Rの照射指示を受け付けるまでステップSの判定が否定判定となる。一方、照射指示を受け付けた場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。
【0139】
ステップS106で線源移動制御部76は、放射線管27から放射線Rを照射させる制御を行う。これにより、投影画像84が撮影される。上述したように本変形例では、マーカ像89及び89が写し込まれた投影画像84が撮影される。
【0140】
次のステップS108でマーカ位置制御部78は、最初の照射位置80用の補正用のマーカ26を放射線Rの照射経路外へ退避する位置とさせる制御を行う。上述したようにマーカ位置制御部78は、第1の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100外へ退避する位置とさせる制御を行う。また、マーカ位置制御部78は、第2の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100外へ退避する位置とさせる制御を行う。
【0141】
次のステップS110で線源移動制御部76は、次の照射位置80へ放射線管27を移動させる制御を行う。
【0142】
次のステップS112で線源移動制御部76は、放射線管27から放射線Rを照射させる制御を行う。これにより、投影画像84が撮影される。この場合、全ての補正用のマーカ26が放射線Rの照射経路外へ退避する位置とされているため、得られる投影画像84には、マーカ像89が写し込まれていない。
【0143】
次のステップS114で線源移動制御部76は、照射位置80が最後から1つ前の照射位置80であったか否かを判定する。本変形例では、線源移動制御部76は、照射位置80が照射位置8012であったか否かを判定する照射位置8012ではなかった場合、換言すると照射位置80が照射位置80~8011のいずれかであった場合、ステップS114の判定が否定判定となり、ステップS110に戻り、ステップS110及びS112を繰り返す。一方、照射位置80が照射位置8012であった場合、ステップS114の判定が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。
【0144】
ステップS116で線源移動制御部76は、トモシンセシス撮影における最後の照射位置80に放射線管27を移動させる。図14に示した例では、照射位置8013に射線管27を移動させる。
【0145】
次のステップS118でマーカ位置制御部78は、最後の照射位置80用の補正用のマーカ26を放射線Rの照射経路内に侵入する位置とさせる制御を行う。上述したようにマーカ位置制御部78は、図16Bに示したように、第1の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入する位置とさせる制御を行う。また、マーカ位置制御部78は、図16Bに示したように、第2の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100内に侵入する位置とさせる制御を行う。
【0146】
次のステップS120で線源移動制御部76は、放射線管27から放射線Rを照射させる制御を行う。これにより、投影画像84が撮影される。上述したように本変形例では、マーカ像89及び89が写し込まれた投影画像8413が撮影される。
【0147】
次のステップS122でマーカ位置制御部78は、最後の照射位置80用の補正用のマーカ26を放射線Rの照射経路外へ退避する位置とさせる制御を行う。上述したようにマーカ位置制御部78は、第1の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100外へ退避する位置とさせる制御を行う。また、マーカ位置制御部78は、第2の補正用マーカ26を、マーカ移動機構104により、開口部100外へ退避する位置とさせる制御を行う。ステップS122の処理が終了すると、図18に示した照射制御処理を終了する。
【0148】
このようにして、撮影された投影画像84~8413を用いてコンソール12では、上述したように、第1の断層画像86、第2の断層画像86、第1の合成2次元画像88、及び第2の合成2次元画像88が生成される。
【0149】
従って、本変形例の放射線照射部28を移動させることにより放射線管27を各照射位置80に移動させるマンモグラフィ装置10においても、補正用のマーカ26が投影画像84に写し込まれるマーカ像89の位置と、マーカ像89の基準位置とに基づいて、各照射位置80における放射線管27の焦点の位置を補正することができる。
【0150】
以上説明したように、上記形態の放射線画像撮影システム1は、焦点から放射線Rを発生する放射線管27と、放射線管27に対応して設けられ、放射線Rの照射野102を限定するコリメータ25とを含む放射線照射部28と、放射線照射部28から照射され被写体を透過した放射線Rを受けて被写体の投影画像84を検出する放射線検出器20と、照射角度が異なる複数の照射位置80から放射線照射部28により被写体に向けて放射線Rを照射させトモシンセシス撮影の制御を行うマンモグラフィ装置10を備える。また、放射線画像撮影システム1は、トモシンセシス撮影により得られる複数の投影画像84の少なくとも1枚に写し込まれるマーカ像89を得るための補正用のマーカであって、放射線照射部28において放射線Rの照射経路内に設けられ、かつ、複数の投影画像84に写る領域のうち複数の投影画像84から断層画像を再構成する際に使われる領域を再構成領域85としたときに、投影画像84における再構成領域85以外の領域にマーカ像89が写し込まれる位置に配置されている補正用マーカ26と、を備える。
【0151】
このように上記携帯の放射線画像撮影システム1では、補正用のマーカ26によるマーカ像89が、投影画像84における再構成領域85以外の領域に写し込まれる。したがって、投影画像84を再構成して得られる断層画像では、再構成領域外の位置にマーカ像89が写し込まれる。従って、上記形態の放射線画像撮影システム1によれば、複数枚の投影画像84を再構成して得られる断層画像における再構成領域に補正用のマーカ26のマーカ像89を写し込まないようにすることができる。再構成領域85は、被写体の診断等、ユーザによる読影に用いられる領域である。上記形態の放射線画像撮影システム1によれば、再構成領域にマーカ像89が写し込まれていないため、断層画像にマーカ像89が写し込まれていても、ユーザによる読影の邪魔にならないようにすることができる。
【0152】
また、上記形態では、1回のトモシンセシス撮影により、第1の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影と、第2の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影を行うことができる。そのため、第1の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影と、第2の照射角度範囲ARによるトモシンセシス撮影とを別々に行う形態、すなわちトモシンセシス撮影を2回行う形態によりも、2つのトモシンセシス撮影が終了するまでの時間を短くすることができる。また、撮影が終了するまでの時間を抑制することにより、被写体の体動を抑制することができる。
【0153】
なお、本実施形態において「1回のトモシンセシス撮影」とは、少なくとも、乳房を圧迫板38により圧迫したままで行われるトモシンセシス撮影のことをいう。そのため、乳房を圧迫板38により圧迫した状態で第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影を行った後、乳房を圧迫板38により圧迫したままで、第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影を行う場合も含む。または、「1回のトモシンセシス撮影」とは、撮影メニュー等により、開始位置として定められた照射位置80における投影画像84の撮影の開始から、終了位置として定められた照射位置80における投影画像84の撮影が終了するまでに行われたトモシンセシス撮影のことをいう。
【0154】
また、上記形態では、第1の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影により得られた投影画像84~84を第2の照射角度範囲ARのトモシンセシス撮影により得られた投影画像84~84として用いている。このように、上記形態のコンソール12では、1つの投影画像84を第1の断層画像86及び第2の断層画像86の生成に用いるため、トモシンセシス撮影全体における投影画像84の撮影回数を少なくすることができ、2種類のトモシンセシス撮影が終了するまでのトモシンセシス撮影全体に係る時間を短くすることができる。
【0155】
なお、上記形態では、第1の照射角度範囲ARの両端の照射位置80において得られる投影画像84に補正用のマーカ26のマーカ像89が写し込まれる形態について説明したが、マーカ像89が写し込まれる投影画像84は、上記形態に限定されず、投影画像84における再構成領域85外にマーカ像89が写し込まれればよい。例えば、第1の照射角度範囲ARの両端の一方の照射位置80において得られる投影画像84に補正用のマーカ26のマーカ像89が写し込まれる形態であってもよい。また、全体撮影用照射角度範囲AR外の外側照射位置80のいずれかにより得られる投影画像84に補正用のマーカ26のマーカ像89が写し込まれる形態であればよい。
【0156】
また、上記形態では、第1の断層画像86及び第2の断層画像86の2種類の断層画像を生成する形態について説明したが、第1の断層画像86及び第2の断層画像86のいずれか一方を生成する形態であってもよい。なお、第2の断層画像86のみを生成する形態の場合、第2の照射角度範囲AR内の各照射位置80において得られる投影画像84には、補正用のマーカ26によるマーカ像89が写し込まれない。そのため、全体撮影用照射角度範囲AR外の外照射位置80のいずれか1か所以上の照射位置80において補正用のマーカ26によるマーカ像89が写し込まれた投影画像84を得ておく。そして、第2の断層画像生成部70は、補正用のマーカ26によるマーカ像89が写し込まれた投影画像84により、第2の照射角度範囲AR内の各照射位置80における放射線管27の焦点の位置ずれ量に基づいて、投影画像84から第2の断層画像86を生成する。なお、この際、マーカ像89が写し込まれた投影画像84は、再構成に用いないことで、第2の断層画像86には、マーカ像89が写し込まれていない状態とすることができる。なお、補正用のマーカ26によるマーカ像89が写し込まれた投影画像84を撮影する場合、読影に用いるのではなく、投影画像84におけるマーカ像89の位置を特定できればよいため、他の投影画像84に比べて、照射する放射線Rの線量を低減することができる。
【0157】
なお、上記形態では、コンソール12が、放射線管27の焦点の位置ずれ量を導出し、導出した位置ずれ量に基づいて第1の断層画像86及び第2の断層画像86を生成する形態について説明したが、位置ずれ量を導出せずに、投影画像84に写し込まれたマーカ像89の位置と、マーカ像89の基準の位置とに基づいて第1の断層画像86及び第2の断層画像86を生成する形態としてもよい。例えば、マーカ像89と基準画像90との位置ずれ量La~Ldに対し、各照射位置80における放射線管27の焦点位置の補正係数が予め対応付けられている場合、導出した位置ずれ量La~Ldに対応する補正係数を用いて補正された放射線管27の焦点位置に基づいて、第1の断層画像86及び第2の断層画像86を生成する形態としてもよい。
【0158】
また、上記形態では、コリメータ25のブレード25B~25Dに補正用のマーカ26を設ける形態について説明したが、補正用のマーカ26を設ける位置は、放射線管27から照射される放射線Rの照射経路内であれば上記形態に限定されない。
【0159】
また、上記形態では、コンソール12が本開示の画像処理装置の一例である形態について説明したが、コンソール12以外の装置が本開示の画像処理装置の機能を備えていてもよい。換言すると、情報取得部60、画像取得部64、位置ずれ量導出部65、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、及び表示制御部74の機能の一部または全部をコンソール12以外の、例えばマンモグラフィ装置10や、外部の装置等が備えていてもよい。また、マンモグラフィ装置10の線源移動制御部76及びマーカ位置制御部78の機能の一部または全部をマンモグラフィ装置10以外の、例えば、コンソール12や、外部の装置等が備えていてもよい。
【0160】
また、上記形態では、本開示の被写体の一例として乳房を適用し、本開示の放射線画像撮影装置の一例として、マンモグラフィ装置10を適用した形態について説明したが、被写体は乳房に限定されず、また放射線画像撮影装置はマンモグラフィ装置に限定されない。例えば、被写体は胸部や腹部等であってもよいし、放射線画像撮影装置はマンモグラフィ装置以外の放射線画像撮影装置を適用する形態であってもよい。
【0161】
また、上記形態において、例えば、情報取得部60、画像取得部64、位置ずれ量導出部65、第1の断層画像生成部66、第1の合成2次元画像生成部68、第2の断層画像生成部70、第2の合成2次元画像生成部72、表示制御部74、線源移動制御部76、及びマーカ位置制御部78といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0162】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0163】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0164】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0165】
また、上記各形態では、撮影プログラム41がROM40Bに予め記憶(インストール)されており、また撮影制御プログラム51A及び画像生成プログラム51BがROM50Bに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。撮影プログラム41、撮影制御プログラム51A、画像生成プログラム51Bの各々は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、撮影プログラム41、撮影制御プログラム51A、画像生成プログラム51Bの各々は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0166】
1 放射線画像撮影システム
10 マンモグラフィ装置
12 コンソール
20 放射線検出器、20A 検出面
24 撮影台、24A 撮影面
25~25 コリメータ、25A~25D ブレード
26、26、26 補正用のマーカ、26、26 第1の補正用マーカ、26、26 第2の補正用マーカ
27~27 放射線管
28 放射線照射部
29 放射線源
30 線源収容部
32 ハウジング
33 アーム部
34 基台
35 軸部
36 圧迫ユニット
38 圧迫板
39 支持部
40A、50A CPU、40B、50B ROM、40C、50C RAM
41 撮影プログラム
42、52 記憶部
44、54 I/F部
46、56 操作部
47 線源移動部
49、59 バス
51A 撮影制御プログラム、51B 画像生成プログラム
53 マーカ基準位置情報
58 表示部
60 情報取得部
64 画像取得部
65 位置ずれ量導出部
66 第1の断層画像生成部
68 第1の合成2次元画像生成部
70 第2の断層画像生成部
72 第2の合成2次元画像生成部
74 表示制御部
76 線源移動制御部
78 マーカ位置制御部
80~80 照射位置
82、82、82、82、82 被写体の領域
83、83 部分領域
84、84、84、84、84 投影画像
85 85 再構成領域
86 第1の断層画像、86 第2の断層画像
87 再構成領域情報
88 第1の合成2次元画像、88 第2の合成2次元画像
89~89 マーカ像
90a~90d 基準画像
91、91 スライダバー
92、92 切替ボタン
100 開口部
102 照射野
AR 第1の照射角度範囲、AR 第2の照射角度範囲、AR 全体撮影用照射角度範囲
CL 法線
La~Ld 位置ずれ量
R 放射線
RC 放射線軸
W 乳房
x、y 方向、X、Y、Z 軸
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18