(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022132813
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】保護パッチ供給装置
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20220906BHJP
A61D 9/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A01K13/00 D
A61D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021031488
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003182
【氏名又は名称】株式会社トクヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(72)【発明者】
【氏名】潮田 会美
(72)【発明者】
【氏名】乾 洋治
(57)【要約】
【課題】保護パッチを1枚ずつ送り出し、粘着層から剥離シートを剥離して、保護パッチ貼着補助具の所要位置に供給することができる、新規且つ有用な保護パッチ供給装置を提供する。
【解決手段】保護パッチ供給装置は、複数枚の保護パッチが剥離シートを排出開口に向けた状態で積層されて収容されるカートリッジと、排出開口から排出された先頭の1枚の保護パッチを、後続の保護パッチから分離して該カートリッジから搬送開始位置に送り出す送出機構と、搬送開始位置に送り出された保護パッチを保護パッチ貼着補助具まで搬送する搬送機構と、保護パッチが搬送開始位置から保護パッチ貼着補助具まで搬送される間に、粘着層から剥離シートを剥離して剥離シート排出口に導く剥離機構と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面には粘着層が配設されている弾性シート、該弾性シートの他面に剥離自在に積層された保護シート、及び該粘着層を覆う剥離シートから構成され、該保護シートの幅は該弾性シート、該粘着層及び該剥離シートの幅よりも大きく、該保護シートの両側縁部は該弾性シート、該粘着層及び該剥離シートの両側縁を超えて幅方向に延出している、家畜の乳頭口を保護するための複数枚の保護パッチが、該剥離シートを排出開口に向けた状態で積層されて収容されるカートリッジと、
該排出開口から排出された先頭の1枚の保護パッチを、後続の保護パッチから分離して該カートリッジから搬送開始位置に送り出す送出機構と、
該搬送開始位置に送り出された保護パッチを保護パッチ貼着補助具まで搬送する搬送機構と、
保護パッチが該搬送開始位置から該保護パッチ貼着補助具まで搬送される間に、該粘着層から該剥離シートを剥離して剥離シート排出口に導く剥離機構と、
を含むことを特徴とする保護パッチ供給装置。
【請求項2】
該カートリッジは、前面に該排出開口が規定されているハウジング、前後方向に移動自在に該ハウジングに収容された押圧部材、及び該ハウジングに収容されている複数枚の保護パッチを該排出開口を通して外方に弾性的に偏倚する作動状態と該排出開口から後方に退去した非作動状態とに該押圧部材を選択的に設定する押圧部材設定機構を含み、
該送出機構は、該カートリッジの該排出開口に対向する受取位置と該受取位置から搬送方向下流側に所定距離離隔した送出位置との間を移動自在に装着された送出部材、及び該送出部材を該受取位置と該送出位置との間を往復移動する送出部材駆動機構を含み、
該押圧部材が該作動状態に設定されると、該ハウジング内の先頭の保護パッチが該受取位置に位置している該送出部材に押圧され、該送出部材が該受取位置から該送出位置に移動されると、先頭の保護パッチが後続の保護パッチから分離されて該搬送開始位置に送り出される、
請求項1記載の保護パッチ供給装置。
【請求項3】
該押圧部材設定機構は、該ハウジングと該押圧部材の後面との間に配設され弾性偏倚部材、及び該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用によって該押圧部材が複数枚の保護パッチを介して該送出部材に押圧されるのを許容する非拘束位置と該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用に抗して該押圧部材を強制的に後方に後退する拘束位置との間を移動自在に配設された切替部材を含む、請求項2記載の保護パッチ供給装置。
【請求項4】
該押圧部材の前面には横断面形状が円形である円形凹部が形成されており、該円形凹部の底面の外周縁部には周方向に間隔をおいて形成され、前方への突出高さが周方向所定方向に向って漸次増大する複数個の弧状カムが形成されており、
該切替部材は、該円形凹部の該底壁の中心部に形成された開口及び該ハウジングの後壁に形成された開口を通して該ハウジングの該後壁から後方に延出する軸部と該軸部の前端部に形成された円板形状のフランジとを含み、該軸部の中心軸線を中心として回転自在であり、該フランジの後面には該弧状カムに対応して周方向に間隔をおいて形成され後方に突出する複数個の突起が形成されており、
該切替部材の該軸部の、該ハウジングの該後壁を超えて突出する後端部には操作片が連結され、該操作片作を介して該切替部材が回転されて該拘束位置に移動されると、該突起が該弧状カムに乗り上げて該押圧部材を後方に強制移動して該被作動状態にし、該操作片作を介して該切替部材が回転されて該非拘束位置に移動されると、該突起が該弧状カムから離脱して該押圧部材の後方への強制が解除されて該押圧部材が該作動状態にされる、請求項3記載の保護パッチ供給装置。
【請求項5】
該押圧部材の前面及び該送出部材の対向面は、搬送方向上流側及び下流側に向って漸次後方に変位する曲面又は幅方向両側に向って漸次後方に変位する曲面である、請求項1から4までのいずれかに記載の保護パッチ供給装置。
【請求項6】
該送出部材駆動機構は、第一の位置と第二の位置との間を旋回自在に装着された操作部材と、該操作部材と該送出部材とを駆動連結する複数個のリンクと、該操作部を該第一の位置に弾性的に偏倚する弾性偏倚部材とを含み、該操作部材が該第一の位置にあるときには該送出部材は該受取位置に位置し、該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用に抗して該操作部材が該第二の位置に移動されると該送出部材が該送出位置に移動される、請求項1から5までのいずれかに記載の保護パッチ供給機構。
【請求項7】
該搬送機構は、該搬送開始位置から所定位置まで少なくとも該保護シートの該両側縁部を案内する搬送案内面を規定する静止案内部材と一対の無端搬送ベルトと無端搬送ベルト駆動手段とを含み、該一対の搬送ベルトの各々の走行経路は、夫々、保護シートの両側縁部を案内する該搬送案内面に対向して走行する作動走行経路を含み、保護パッチが該搬送開始位置に送り出されると、保護シートの両側部が該搬送案内面と該一対の搬送ベルトの各々との間に把持され、該無端搬送ベルト駆動手段によって該一対の搬送ベルトが駆動されると保護パッチが該搬送開始位置から該保護パッチ貼着補助具まで搬送される、請求項1から6までのいずれかに記載の保護パッチ供給装置。
【請求項8】
該一対の搬送ベルトの各々は1個の被駆動ベルト車と複数個の案内ベルト車に巻き掛けられており、該搬送ベルト駆動手段は該被駆動ベルト車に駆動連結された伝動車と、第一の位置と第二の位置との間を旋回自在に装着され且つ一方向クラッチを介して該伝動車に駆動連結された操作部材を含み、該操作部材が該第一の位置から該第二の位置に旋回動されると該一方向クラッチ及び該伝動車を介して該被駆動ベルト車が駆動され、該一対の搬送ベルトが駆動される、請求項7記載の保護パッチ供給装置。
【請求項9】
該保護シートの該両側縁部を案内する搬送案内面は、70度乃至110度の変更角度で搬送方向が急激に変更される搬送方向急激変更領域を含み、該剥離機構は該搬送方向急激変更領域の下流側において該搬送案内面に近接する先端縁を有する剥離助長案内部材を含み、保護パッチが該搬送方向急激変換領域を通して搬送されることによって剥離シートの下流端部が粘着層から剥離され、剥離シートは該剥離助長案内部材の表面に案内されて進行することによって粘着層からの剥離シートの剥離が助長され、該剥離シート排出口に案内される、請求項1から8までのいずれかに記載の保護パッチ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護パッチ供給装置、更に詳しくは片面には粘着層が配設されている弾性シート、弾性シートの他面に剥離自在に積層された保護シート、及び粘着層を覆う剥離シートから構成された、家畜の乳頭口を保護するための保護パッチを、1枚ずつ送り出し、剥離シートを粘着層から剥離して、保護パッチ貼着補助具に供給するための保護パッチ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、家畜が乳房炎に罹患するのを予防するために家畜の乳頭における乳頭口を含む領域に貼着する保護パッチが開示されている。かかる保護パッチは、片面には粘着層が配設されている弾性シート、弾性シートの他面に剥離自在に積層された保護シート、及び粘着層を覆う剥離シートから構成されている。保護シートの幅は弾性シート、粘着層及び剥離シートの幅よりも大きく、保護シートの両側縁部は弾性シート、粘着層及び剥離シートの両側縁を超えて幅方向に延出している。かような保護パッチを家畜の乳頭に貼着する一様式においては、最初に剥離シートを半分だけ粘着層から剥離し、次いで露呈された粘着層を乳頭の片側面に貼着し、次に剥離シートを粘着層から完全に剥離して新たに露呈された粘着層を乳頭の他面側に貼着し、しかる後に保護パッチの全体を手で包み込んで乳頭を握って乳頭に保護パッチの全体を貼着し、そして弾性シートから保護シート剥離する。
【0003】
而して、上記のとおりの保護パッチを上述したとおりの様式に従って家畜の乳頭に所要とおりに貼着することは、弾性シートが薄くて著しく柔軟であると共に粘着層の密着性が良好である等に起因して、必ずしも容易ではなく且つ比較的煩雑である。かかる事実に鑑みて、下記特許文献2には上記のとおりの保護パッチのための保護パッチ貼着補助具が開示されている。この保護パッチ貼着補助具は、基端部が相互に旋回自在に連結されている一対の操作片と、一対の操作片の自由端部間に配設された弾性部材とを具備する。かような保護パッチ貼着補助具を使用すれば、保護パッチ貼着補助具を使用しない場合に比べて、上記のとおりの保護パッチを家畜の乳頭に容易且つ迅速に貼着することができる。しかしながら、保護パッチ貼着保持具を使用して保護パッチを乳頭の貼着する際には、未だ手動で保護パッチの剥離シートを粘着層から剥離し、しかる後に剥離シートが剥離された保護パッチを保護パッチ貼着補助具の弾性部材上の所要位置に配置することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表特許WO2017/150203
【特許文献2】特開2020-130012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上記のとおりの保護パッチを1枚ずつ送り出し、粘着層から剥離シートを剥離して、例えば上記のとおりの形態である保護パッチ貼着補助具の所要位置に供給することができる、新規且つ有用な保護パッチ供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する保護パッチ供給装置として、
片面には粘着層が配設されている弾性シート、該弾性シートの他面に剥離自在に積層された保護シート、及び該粘着層を覆う剥離シートから構成され、該保護シートの幅は該弾性シート、該粘着層及び該剥離シートの幅よりも大きく、該保護シートの両側縁部は該弾性シート、該粘着層及び該剥離シートの両側縁を超えて幅方向に延出している、家畜の乳頭口を保護するための複数枚の保護パッチが、該剥離シートを排出開口に向けた状態で積層されて収容されるカートリッジと、
該排出開口から排出された先頭の1枚の保護パッチを、後続の保護パッチから分離して該カートリッジから搬送開始位置に送り出す送出機構と、
該搬送開始位置に送り出された保護パッチを保護パッチ貼着補助具まで搬送する搬送機構と、
保護パッチが該搬送開始位置から該保護パッチ貼着補助具まで搬送される間に、該粘着層から該剥離シートを剥離して剥離シート排出口に導く剥離機構と、
を含むことを特徴とする保護パッチ供給装置が提供される。
【0007】
好ましくは、該カートリッジは、前面に該排出開口が規定されているハウジング、前後方向に移動自在に該ハウジングに収容された押圧部材、及び該ハウジングに収容されている複数枚の保護パッチを該排出開口を通して外方に弾性的に偏倚する作動状態と該排出開口から後方に退去した非作動状態とに該押圧部材を選択的に設定する押圧部材設定機構を含み、
該送出機構は、該カートリッジの該排出開口に対向する受取位置と該受取位置から搬送方向下流側に所定距離離隔した送出位置との間を移動自在に装着された送出部材、及び該送出部材を該受取位置と該送出位置との間を往復移動する送出部材駆動機構を含み、
該押圧部材が該作動状態に設定されると、該ハウジング内の先頭の保護パッチが該受取位置に位置している該送出部材に押圧され、該送出部材が該受取位置から該送出位置に移動されると、先頭の保護パッチが後続の保護パッチから分離されて該搬送開始位置に送り出される。
該押圧部材設定機構は、該ハウジングと該押圧部材の後面との間に配設され弾性偏倚部材、及び該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用によって該押圧部材が複数枚の保護パッチを介して該送出部材に押圧されるのを許容する非拘束位置と該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用に抗して該押圧部材を強制的に後方に後退する拘束位置との間を移動自在に配設された切替部材を含むのが好ましい。
該押圧部材の前面には横断面形状が円形である円形凹部が形成されており、該円形凹部の底面の外周縁部には周方向に間隔をおいて形成され、前方への突出高さが周方向所定方向に向って漸次増大する複数個の弧状カムが形成されており、
該切替部材は、該円形凹部の該底壁の中心部に形成された開口及び該ハウジングの後壁に形成された開口を通して該ハウジングの該後壁から後方に延出する軸部と該軸部の前端部に形成された円板形状のフランジとを含み、該軸部の中心軸線を中心として回転自在であり、該フランジの後面には該弧状カムに対応して周方向に間隔をおいて形成され後方に突出する複数個の突起が形成されており、
該切替部材の該軸部の、該ハウジングの該後壁を超えて突出する後端部には操作片が連結され、該操作片を介して該切替部材が回転されて該拘束位置に移動されると、該突起が該弧状カムに乗り上げて該押圧部材を後方に強制移動して該被作動状態にし、該操作片を介して該切替部材が回転されて該非拘束位置に移動されると、該突起が該弧状カムから離脱して該押圧部材の後方への強制が解除されて該押圧部材が該作動状態にされるのが好適である。
好ましくは、該押圧部材の前面及び該送出部材の対向面は、搬送方向上流側及び下流側に向って漸次後方に変位する曲面又は幅方向両側に向って漸次後方に変位する曲面である。
該送出部材駆動機構は、第一の位置と第二の位置との間を旋回自在に装着された操作部材と、該操作部材と該送出部材とを駆動連結する複数個のリンクと、該操作部を該第一の位置に弾性的に偏倚する弾性偏倚部材とを含み、該操作部材が該第一の位置にあるときには該送出部材は該受取位置に位置し、該弾性偏倚部材の弾性偏倚作用に抗して該操作部材が該第二の位置に移動されると該送出部材が該送出位置に移動されるのが好都合である。
該搬送機構は、該搬送開始位置から所定位置まで少なくとも該保護シートの該両側縁部を案内する搬送案内面を規定する静止案内部材と一対の無端搬送ベルトと無端搬送ベルト駆動手段とを含み、該一対の搬送ベルトの各々の走行経路は、夫々、保護シートの両側縁部を案内する該搬送案内面に対向して走行する作動走行経路を含み、保護パッチが該搬送開始位置に送り出されると、保護シートの両側部が該搬送案内面と該一対の搬送ベルトの各々との間に把持され、該無端搬送ベルト駆動機構によって該一対の搬送ベルトが駆動されると保護パッチが該搬送開始位置から該保護パッチ貼着補助具まで搬送されるのが望ましい。
該一対の搬送ベルトの各々は1個の被駆動ベルト車と複数個の案内ベルト車に巻き掛けられており、該搬送ベルト駆動手段は該被駆動ベルト車に駆動連結された伝動車と、第一の位置と第二の位置との間を旋回自在に装着され且つ一方向クラッチを介して該伝動車に駆動連結された操作部材を含み、該操作部材が該第一の位置から該第二の位置に旋回動されると該一方向クラッチ及び該伝動車を介して該被駆動ベルト車が駆動され、該一対の搬送ベルトが駆動されるのが好都合である。
好ましくは、該保護シートの該両側縁部を案内する搬送案内面は、70度乃至110度の変更角度で搬送方向が急激に変更される搬送方向急激変更領域を含み、該剥離機構は該搬送方向急激変更領域の下流側において該搬送案内面に近接する先端縁を有する剥離助長案内部材を含み、保護パッチが該搬送方向急激変換領域を通して搬送されることによって剥離シートの下流端部が粘着層から剥離され、剥離シートは該剥離助長案内部材の表面に案内されて進行することによって粘着層からの剥離シートの剥離が助長され、該剥離シート排出口に案内される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の保護パッチ供給装置によれば、保護パッチに直接的に処理操作を施す必要なくして、保護パッチを1枚ずつ送り出し、粘着層から剥離シートを剥離して、例えば上記のとおりの形態である保護パッチ貼着補助具の所要位置に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の保護パッチ供給装置によって供給される保護パッチの典型例を示す斜面図。
【
図3】本発明に従って構成された保護パッチ供給装置の好適実施態様を示す斜面図。
【
図4】
図3に図示する保護パッチ供給装置におけるカートリッジの分解斜面図。
【
図5】
図3に図示する保護パッチ供給装置におけるカートリッジを
図4とは異なった方向から見た分解斜面図。
【
図6】
図3に図示する保護パッチ供給装置における送出機構を示す分解斜面図。
【
図7】
図3に図示する保護パッチ供給装置における送出機構を
図6とは異なった方から見た分解斜面図。
【
図8】
図3に図示する保護パッチ供給手段における搬送機構及び剥離機構を示す斜面図。
【
図9】保護パッチの粘着層から剥離シートが剥離される様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された保護パッチ供給装置の好適実施形態及びこの好適実施形態によって供給される保護パッチの典型例を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0011】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明に従って構成された保護パッチ供給装置によって供給される保護パッチの典型例について説明する。全体を番号2で示す図示の保護パッチは矩形状の弾性シート4を含んでいる。この弾性シート4の片面即ち表面上にはその全体に渡って(従って矩形状である)粘着層6が配設されており、他面即ち裏面上には矩形状である保護シート8が剥離自在に積層されている。更に、粘着層6はその全体渡って(従って矩形状である)剥離シート10によって覆われている。
図1を参照することによって明確に理解されるとおり、保護シート8の幅は弾性シート4、粘着層6及び剥離シート10の幅よりも大きく、保護シート8の両側縁部8a及び8bは弾性シート4、粘着層6及び剥離シート10の両側縁を超えて幅方向に延出している。更に、保護シート8の長手方向長さも弾性シート4、粘着層6及び剥離シート10の長手方向長さをよりも大きく、保護シート8の前端部8c及び後端部8dは、夫々、弾性シート4、粘着層6及び剥離シート10の前端及び後端を超えて延出している。
【0012】
図示の保護パッチ2においては弾性シート4は矩形状であるが、例えば長手方向中央部の両側部に略半円形状の切欠が形成された形状等の他の適宜の形状の弾性シートを使用することもできる。保護パッチ2自体の詳細については、上記特許文献1の記載を引用し、本明細書においては説明を省略する。
【0013】
図3を参照して説明を続けると、本発明に従って構成された図示の保護パッチ供給装置12は、適宜の合成樹脂から形成することができる全体を番号14で示す枠体、並びにこの枠体14に装備されたカートリッジ16、送出機構18、搬送機構20及び剥離機構22を含んでいる。
【0014】
図4及び
図5にはカートリッジ16が図示されている。図示の実施形態におけるカートリッジ16は、ハウジング24、押圧部材26、切替部材28及び操作片30を含んでいる。ハウジング24、押圧部材26、切替部材28及び操作片30は適宜の合成樹脂から形成することができる。
【0015】
ハウジング24は、
図4及び
図5を参照することによって明確に理解されるとおり、矩形状の後壁24a、上端壁24b、下端壁24c、片側壁24d及び他側壁24eを有し、全体として中空直方体形状である。後壁24aの中心部には円形の開口32が形成されており、後壁24aの前面(即ち内面)には開口32の周縁から前方向に突出する円筒形筒部34が形成されている。ハウジング24の前面は全体に渡って開口されており、排出開口36が規定されている。後壁24aの後面即ち内面の四角部の各々には円形凹部35が形成されている。片側壁24dの前端は上端壁24b、下端壁24c及び他側壁24eの前端より幾分後退されており、片側壁24dの前端部には細長長方形状の挿入開口38(
図3も参照されたい)が規定されている。
【0016】
図4と共に
図5を参照して説明を続けると、押圧部材26は四角部が円弧状であるが全体として矩形状である前壁26a、上端壁26b、下端壁26c、片側壁26d及び他側壁26eを有し、全体として中空直方体形状である。押圧部材26の前面、即ち前壁26aの外面は、保護パッチ2の搬送方向上流側及び下流側に向って(
図5において上方及び下方に向って)若干後方に変位する曲面又は幅方向両側に向って若干後方に変位する曲面であるのが好都合である(
図4及び
図5においては、便宜上押圧部材26の前壁26aの前面を平坦に図示している)。押圧部材26の後面は開放されている。
図5を参照することによって明確に理解されるとおり、前壁26aの中央部には横断面形状が円形である円形凹部40が形成されている。この円形凹部40の底壁42の中心部には開口44が形成されていると共に、開口44の周縁から前方に突出する円筒形筒部45が形成されている。更に、円形凹部40の底壁42の外周縁部には周方向に間隔をおいて複数個、図示の場合は2個、の弧状カム46(
図5に一方の弧状カム46のみを図示している)が形成されている。かかる弧状カム46は前方への突出高さが周方向所定方向(前方から見て時計方向)に向って漸次増大するカム表面を有する。前壁26aには、更に円形凹部40の上方及び下方に円形開口48も形成されている。
図4に図示するとおり、前壁26aの後面(内面)四角部には、弧状壁を付設することによって横断面形状が円形である有底受入穴部50が規定されている。これらの受入穴部50の各々には弾性偏倚部材を構成する圧縮コイルばね52の前部が収納される。上記のとおりの押圧部材26は、
図3に図示するとおり、ハウジング24内に収納され、上記圧縮コイルばね52の後端部はハウジング24の後壁26aの内面に形成されている上記円形凹部35内に位置付けられる。
【0017】
切替部材28は、前後方向に延在する軸部28a及びこの軸部28aの前端部に形成された円板形状のフランジ28bを有する。軸部28aは、比較的大経の円柱状前部28a-1と比較的小径の円柱状中間部28a-2と、四角筒状後端部28a-3を有する。四角筒状後端部28a-3には軸線方向に延びる一対のスリット54が形成されている。フランジ28bの後面の外周縁部には上記弧状カム46に対応して周方向に間隔をおいて複数個、図示の場合は2個、の突起56が形成されている。かような切替部材28は、その軸部28aを上記円形凹部40の底壁42に形成されている円筒形筒部45及び開口44円並びに上記ハウジング24の後壁24aに形成されている円筒形筒部34及び開口32に挿通することによって、軸部28aの中心軸線を中心として回転自在に押圧部材26及びハウジング24に組み合わせられる。軸部28aの円柱状前部28a-1の外径は円筒形筒部45の内径に対応し、円柱状中間部28a-2の外径は円筒形筒部34の内径に対応する。一方、四角筒状後端部28a-3の対角線長さは円筒形筒部34及び開口32の内径よりも若干大きく、四角筒状後端部28a-3は弾性変形されて円筒形筒部34及び開口32に挿通される。四角筒状後端部28a-3に形成されている一対のスリット54は四角筒状後端部28a-3の弾性変形を助長する。ハウジング24の後壁24aを超えて後方に突出する、軸部28aの四角筒状後端部28a-3には、操作片30が連結される。細長ロッド形状である操作片30の先端部には、四角筒状後端部28a-3の外径よりも若干小さい四角形状の開口60が形成されており、かかる開口60に四角筒状後端部28a-3を弾性的に変形して挿通することによって軸部28aの四角筒状後端部28a-3に操作片30が連結される。
【0018】
上述した弧状カム46、圧縮コイルばね52及び切替部材28は、協働して押圧部材26を作動状態と被作動状態に選択的に設定する押圧部材設定機構を構成する。かかる押圧部材設定機構の作動について、
図3乃至
図5を参照して説明すると、操作片30を手動操作して切替部材28を
図4において半時計方向に
図5において時計方向に回転して
図4に図示する拘束位置に移動すると、切替部材28のフランジ28baに形成されている突起56が円形凹部40の底壁42の形成されている弧状カム46に乗り上げ、圧縮コイルばね52の弾性偏倚作用に抗して押圧部材26を後方に強制し、押圧部材26はその前面がハウジング24の片側面に規定されている挿入開口38よりも後方の
図3に破線で示す位置に強制されて非作動状態にされ、挿入開口38が開放される。従って、挿入開口38を通してハウジング24内に複数枚の保護パッチ2を挿入することができる。一方、操作片30を手動操作して切替部材28を
図4において時計方向に
図5において半時計方向に例えば45度程度回転して被拘束位置に移動すると、切替部材28のフランジ28baに形成されている突起56が円形凹部40の底壁42の形成されている弧状カム46から離脱して、押圧部材26の非作動状態への拘束が解除され、押圧部材26は圧縮コイルばね52の弾性偏倚作用によって前方に弾性的に偏倚される作動状態になる(後に更に言及する如く、押圧部材26が作動状態にされると、押圧部材26は複数枚の保護パッチ2を前方に弾性的に偏倚し、先頭の保護パッチ2を送出機構18の送出部材に押圧する)。
【0019】
図3と共に
図6及び
図7を参照して説明すると、送出機構18は、適宜の合成樹脂から形成することができる受部材62及び送出部材64を含んでいる。受部材62は締結ねじの如き適宜の固定手段によって枠体14に固定され、送出部材64は受部材62に装着される。受部材62は全体として矩形板形状であり、T字形状の比較的大きな開口66が形成されている。
図7に明確に図示するとおり、受部材62の上端縁部63は
図7において後方に変位されており、受部材62の上端には主部の厚さに対応した厚さの開口68が規定されている。
図6を参照することによって明確に理解されるとおり、開口66の幅狭領域(即ちT字の縦線部)の両側には、夫々、板厚を低減することによって規定された矩形状の凹部70が形成されている。送出部材64も全体として矩形状である。送出部材64の対向面(
図6において露呈している面)72は、上記押圧部材26の前面、即ち前壁26aの外面に対応して、保護パッチ2の搬送方向上流側及び下流側に向って(
図6において上方及び下方に向って)若干後方(押圧部材26の前面に向う方向)に変位する曲面又は幅方向両側に向って若干後方(押圧部材26の前面に向う方向)に変位する曲面であるのが好都合である(
図6においては便宜上送出部材64の対向面72を平坦に図示している)。送出部材64の上端部には幅方向両側に突出する突出部74が形成されている。
図7を参照することによって明確に理解されるとおり、送出部材64の他面(
図7において露呈している面)には、幅方向に間隔を置いて一対の突条76が形成されている。かかる突条76の上端部の突出量は比較的小さく、上端部以外の突出量は比較的大きい。一対の突条76の各々の下端部に支持突起76-bが形成されており、かかる支持突起76b間には軸部材78が固定されている。
図6及び
図7に二点鎖線で図示するとおり、送出部材64の一対の突条76間の部位を受部材62の開口66の幅狭領域(即ちT字の縦線部)内に位置させ、送出部材64の一対の突条76よりも幅方向外側の部分を受部材62の凹部70に位置させて、受部材62に送出部材64が保護パッチ2の搬送方向に移動自在に装着されている。送出部材64が
図6及び
図7に二点鎖線Aで図示する受取位置に位置すると、一対の突起76の下端縁が受部材62の開口66の下端縁に当接すると共に送出部材64の突出部74が開口66の幅広領域((即ちT字の横線部)の下端縁に当接し、これによって送出部材64の更に下方への移動が阻止される。一方、後に更に言及する如く、送出部材64が次に説明する送出部材駆動機構によって駆動されると、送出部材64は
図6及び
図7に二点鎖線Bで示す送出位置に移動される。送出部材64が二点鎖線Aで示す受取位置から二点鎖線Bで示す送出位置まで移動する際には、送出部材64の上端部は受部材62の上端に規定されている上記開口68を通って上方に移動する。
【0020】
図7を参照して説明を続けると、送出機構は18、更に、送出部材駆動機構80を備えている(
図6においては送出部材駆動機構80の図示を省略している)。図示の実施形態における送出部材駆動機構80は操作部材82を含んでいる。この操作部材82は、円筒形状の装着部82a、この装着部82aから延出する操作ロッド部82b及び連結リンク部82cを有する。装着部82aは枠体14の軸部84(
図3)に旋回自在に装着されている。操作部材82の連結リンク部82cは複数個のリンクを含む伝動手段を介して上記送出部材64に駆動連結されている。伝動手段は、片端が上記送出部材64に配設されている軸部材78に旋回自在に連結されたリンク86、片端がリンク86の他端に旋回自在に連結されたリンク88、及び複合リンク90を含んでいる。複合リンク90は装着部90a、装着部90aから延出し延出端がリンク88に旋回自在に連結された出力リンク部90b、及び装着部90aから延出する入力リンク部90cを有する。入力リンク部90cの先端部は両者間に受入間隙を規定する一対の突起が形成されている。一対の突起間には、上記操作部材80の連結リング82cの球状先端部が収容され、これによって操作部材80が複合リンク90に駆動連結されている。複合リンク90の装着部90aには弦巻ばね92(
図3も参照されたい)が装着されており、この弦巻ばね92の一方の突出端部は枠体14の一部に係止され、他方の突出端部は複合リンク90の出力リンク部90bに係止されている。弾性偏倚部材を構成する弦巻ばね92は複合リンク90の出力リンク部90bを
図7において下方に弾性的に偏倚し、これによって上記送出部材64を二点鎖線Aで示す受取位置に弾性的に偏倚し、操作部材80を実線で示す第一の位置に偏倚する。操作部材82の操作ロッド部82bを把持して、弦巻ばね92の弾性偏倚作用に抗して操作ロッド部802を
図7に二点鎖線で示す第二の位置まで旋回すると、上記送出部材64が二点鎖線Bで示す送出位置に移動される(操作ロッド部82を
図7に二点鎖線で示す第二の位置まで旋回すると、操作ロッド部82の屈折領域が後述する無端搬送ベルト駆動機構116の静止部材130の上端部に当接し、更なる旋回が阻止される)。操作ロッド部82に加えていた力を解除すると、弦巻ばね92の弾性偏倚作用によって操作部材80は実線で示す第一の位置に戻される。送出部材駆動機構80における操作部材82、リンク86及び88並びに複合リンク90は適宜の合成樹脂から形成することができる。
【0021】
次に、
図3と共に
図8を参照して、搬送機構20及び剥離機構22について説明する。図示の実施形態における搬送機構20は、適宜の合成樹脂から形成することができる静止案内部材94を含んでいる。表面が搬送案内表面を規定する静止案内部材94は、締結ねじの如き適宜の固定手段によって枠体14に固定されている。図示の静止案内部材94の搬送案内面は、搬送開始位置から所要位置(即ち、後述する保護パッチ貼着補助具140に隣接する位置)まで延在しており、上流領域94a、搬送方向急激変更領域94b及び下流領域94cを有する。搬送案内部材の上流領域94aはその上流端部を除いて実質上真直に延在している。上流領域94aの上流端部は上流端に向って保護パッチ2の搬送経路から離隔する方向に傾斜している。搬送案内面の下流領域94cはその全体が真直に延在している。搬送方向急激変更領域94bを介して連続している上流領域94aと下流領域94cとは70乃至110度、特に80乃至100度である角度をなしているのが好ましい。静止案内部材94の幅は搬送すべき保護パッチ2における保護シート8の幅に対応しており、保護シート8の両側縁部が静止案内部材94の搬送案内面の両側縁によって案内される。静止案内部材94の搬送案内面は幅方向全体に存在するのが望ましいが、所望ならば幅方向両側縁部以外の部位を適宜に省略することもできる。
【0022】
図3と共に
図8を参照して説明を続けると、搬送機構20は一対の搬送ベルト機構96A及び96Bを備えている。枠体14(
図8においては図示を省略している)の上端部には幅方向に延在する軸部材98が回転自在に装着されている。軸部材98の片端部には被駆動歯付ベルト車100Aが固定され、他端部には被駆動歯付ベルト車100Bが固定されている。
【0023】
枠体14(
図8においては図示を省略している)の片側面には歯付案内ベルト車102A、104A、106A及び108A並びに案内ベルト車110Aが回転自在に装着されている。そして、上記被駆動歯付ベルト車110Aと共に、歯付案内ベルト車102A、104A、106A及び108A並びに案内ベルト車110Aに、適宜の合成ゴムから形成することができる歯付無端搬送ベルト112Aが巻き掛けられている。
図8と共に
図3を参照することによって明確に理解される如く、歯付無端搬送ベルト112Aの走行経路は、上記搬送案内部材94の搬送案内表面の片側縁部に対向して且つ当接又は近接して走行する作動走行経路114Aを含んでいる。枠体14(
図8においては図示を省略している)の他面側には歯付案内ベルト車102B、104B、106B及び108B並びに案内ベルト車118Bが回転自在に装着されている。そして、上記被駆動歯付ベルト車110Bと共に、歯付案内ベルト車104B、106B、108B及び110B並びに案内ベルト車110Bに、適宜の合成ゴムから形成することができる歯付無端搬送ベルト112Bが巻き掛けられている。
図8と共に
図3を参照することによって明確に理解される如く、歯付無端搬送ベルト112Bの走行経路は、上記搬送案内部材94の搬送案内表面の他側縁部に対向して且つ当接又は近接して走行する作動走行経路114Bを含んでいる。所望ならば、上述した歯付無端搬送ベルト及び歯付駆動ベルト車及び歯付案内ベルト車に代えて歯を備えていない無端搬送ベルト、駆動ベルト車、及び案内ベルト車を使用することもできる。
【0024】
図3と共に
図8を参照して説明を続けると、搬送機構20は上記歯付無端搬送ベルト110A及び110Bを駆動する無端搬送ベルト駆動機構116を含んでいる。この無端搬送ベルト駆動機構116は、片端部に上記被駆動歯付ベルト車100Aが固定され他端部に上記被駆動歯付ベルト車110Bが固定された上記軸部材98の中間部に固定された歯付ベルト車118を含んでいる。この歯付ベルト車118は上記歯付無端搬送ベルト112A及び112Bに動力を伝達するする伝動車を構成する。枠体14の下方には歯付ベルト車120が回転自在に装着されており、歯付ベルト車118と歯付ベルト車120には歯付無端ベルト122が巻き掛けられている。歯付ベルト車120の片側面には傘歯車124が一体に形成されている。一方、枠体14に固定された軸部材126には、操作部材128の上端部が旋回自在に装着されると共に、静止部材130の上端が固定されている。操作部材128と静止部材130との間には圧縮コイルばね132から構成された弾性偏倚部材が介在されている。操作部材128は圧縮コイルばね132の弾性偏倚作用によって実線で示す第一の位置に弾性的に偏倚されている。上記軸部材126には、操作部材128の上端部に内蔵された一方向クラッチ133を介して操作部材128に駆動連結された傘歯車134も装着されている。この傘歯車134は上記傘歯車124に係合されている。
【0025】
上記のとおりの無端搬送ベルト駆動機構116の作用を説明すると次のとおりである。操作部材128及び静止部材130に指を掛けて、圧縮コイルばね132の弾性偏倚作用に抗して操作部材128を二点鎖線で示す第二の位置に旋回すると、上記一方向クラッチ133を介して傘歯車134が回転される。傘歯車134の回転は傘歯車124を介して歯付ベルト車120、歯付ベルト車118及び歯付無端ベルト122に伝動される。次いで、軸部材98及び被駆動歯付ベルト車110Aを介して歯付無端搬送ベルト112Aに伝動されて歯付無端搬送ベルト112Aが矢印Mで示す方向に駆動されると共に、軸部材98及び被駆動歯付ベルト車110Bを介して歯付無端搬送ベルト112Bに伝動されて歯付無端ベルト112Bが矢印Mで示す方向に駆動される。操作部材128に加えていた力を解除すると、圧縮コイルばね132の弾性偏倚作用によって操作部材128が実線で示す第一の位置に復帰される。操作部材128と傘歯車134との間には一方向クラッチ133が介在されているので、操作部材128の第二の位置から第一の位置への旋回動が傘歯車134に伝動されることはない。
【0026】
図3と共に
図9を参照して説明を続けると、上記静止案内部材94の搬送方向急激変更領域94bの下流側(
図3及び
図8において上方)には、平坦な矩形状表面を有する剥離助長案内部材136が配設されている。この剥離助長案内部材136の先端縁は静止案内部材94の搬送方向急激変更領域94bの下流側において搬送案内面に近接する。剥離助長案内部材136の上方には剥離シート排出口138が規定されている。後の説明から理解される如く、剥離助長案内部材136は静止案内部材94の搬送案内面における搬送方向急激変更領域94bと協働して剥離機構22を構成する。
【0027】
図3に二点鎖線で示す如く、静止案内部材94の下流側には、保護パッチ貼着補助具140が配設されている。締結ボルトの如き適宜の連結手段によって所要部位を枠体14に連結することができる保護パッチ貼着補助具140は、例えば上記特許文献2に開示されているとおりの形態でよい(この場合には、一対の操作片の一方を枠体14に連結して弾性部材の表面を静止案内部材94の案内表面の下流端に近接して位置させることができる)。
【0028】
次に、上述したとおりの保護パッチ供給装置12の使用様式について説明する。
図3と共に
図4及び
図5を参照して説明すると、最初に、カートリッジ16において、操作片30を手動操作して切替部材28を拘束位置に移動し、これによって押圧部材26を
図3に二点鎖線で示す位置に強制して被作用状態にして、ハウジング24の挿入開口38を解放する。そして、開放された挿入開口38を通して積層状態の複数枚の保護パッチ2(
図1及び
図2)を、剥離シート10を排出開口36に向けた状態でハウジング24内に収容する。しかる後に、操作片30を手動操作して切替部材28を被拘束位置に移動して作動状態にする。かくすると、圧縮コイルばね52の弾性偏倚作用によって押圧部材26が前方に弾性的に偏倚され、先頭の保護パッチ2が送出機構18における
図7に二点鎖線Aで示す受取位置に位置している送出部材64に押圧される。
【0029】
主として
図3と共に
図5乃至
図7を参照して説明を続けると、次に、送出機構18における操作部材82を弦巻ばね92の弾性偏倚作用に抗して
図7に二点鎖線で示す第一の位置から
図7に実線で示す第二の位置まで旋回して、送出部材64を
図7に二点鎖線Aで示す受取位置から
図7に二点鎖線Bで示す送出位置に移動する。かくすると、先頭の保護パッチ2が後続の保護パッチ2から分離されて搬送開始位置に送出され、保護パッチ2の保護シート8の両側縁部8a及び8bの先端部分が、夫々、静止案内部材94の搬送案内面と歯付無端搬送ベルト112A及び112Bとの間に把持される。本発明者等の実験によれば、上述したとおり、押圧部材26の前面、即ち前壁26aの外面、及び送出部材64の対向面が、保護パッチ2の搬送方向上流側及び下流側に向って(
図6において上方及び下方に向って)若干後方(押圧部材26の前面に向う方向)に変位する曲面又は幅方向両側に向って若干後方(押圧部材26の前面に向う方向)に変位する曲面である場合には、先頭の保護パッチ2が後続の保護パッチ2から良好に分離される。また、静止案内部材94の搬送案内面の上流領域64aの上流端部は上流に向って保護パッチ2の搬送経路から離隔する方向に傾斜している故に、保護パッチ2の保護シート8の両側縁部8a及び8bは静止案内部材94の搬送案内面と歯付無端搬送ベルト112A及び112Bとの間に充分円滑に進入される。先頭の保護パッチ2を搬送開始位置に送出した後に、送出部材64は弦巻ばね92の弾性偏倚作用によって
図7に二点鎖線Aで示す受取位置に戻される。
【0030】
図3と共に
図8を参照して説明を続けると、送出機構18によって保護パッチ2が搬送開始位置まで搬送された後においては、無端搬送ベルト駆動機構116の操作部材128を圧縮コイルばね132の弾性偏倚作用に抗して実線で示す第一の位置から二点鎖線で示す第二の位置に旋回して、歯付無端搬送ベルト112A及び112Bを矢印Mで示す方向に駆動し、かくして保護パッチ2を静止案内部材94の案内表面に沿って前進させる。操作部材128の第一の位置から第二の位置への旋回は、保護パッチ2が保護パッチ貼着補助具140の所要部位まで搬送されるまで繰り返し遂行する。
【0031】
保護パッチ2が静止案内部材94の搬送方向急激変更領域94bを通過する際には、
図9に模式的に図示する如く、搬送方向が急激に変更されることに起因して、保護パッチ2における剥離シート10がその前端縁から順次に粘着層6から剥離され、保護パッチ2の保護シート8、弾性シート4及び粘着層6は搬送案内面の搬送方向急激変更領域94bから下流領域94cに向けて搬送されるが、剥離シート10は粘着層6から剥離されながら上方に移動し、剥離助長案内部材136の表面に沿って進行し、粘着層6から全体が剥離されて剥離シート排出口138を通して排出される。一方、粘着シート10が剥離され、搬送案内面の下流領域94cに沿って搬送される保護パッチ2は、搬送案内部材94の搬送案内面と歯付無端搬送ベルト112A及び112Bとの間から排出されて、歯付搬送保護パッチ貼着補助具140の所要部位に供給される。しかる後においては、保護パッチ貼着搬送補助具140を適宜の操作することによって保護パッチ2を家畜の乳頭の所要領域に貼着することができる。
【符号の説明】
【0032】
2:保護パッチ
4:弾性シート
6:粘着層
8:保護シート
10:剥離シート
12:保護パッチ供給装置
14:枠体
16:カートリッジ
18:送出機構
20:搬送機構
22:剥離機構
24:ハウジング
26:押圧部材
28:切替部材
28a:軸部
28b:フランジ
30:操作片
36:排出開口
38:挿入開口
40:円形凹部
46:弧状カム
52:圧縮コイルばね
56:突起
62:受部材
64:送出部材
80:送出部材駆動機構
82:操作部材
94:静止案内部材
94a:搬送案内面の上流領域
94b:搬送案内面の搬送方向急激変更領域
94c:搬送案内面の下流領域
96A:搬送ベルト機構
96B:搬送ベルト機構
100A:被駆動歯付ベルト車
100B:被駆動歯付ベルト車
112A:歯付無端搬送ベルト
112B:歯付無端搬送ベルト
116:無端搬送ベルト駆動機構
118:歯付ベルト車(伝動車)
128:操作部材
136:剥離助長案内部材
138:剥離シート排出口
140:保護パッチ貼着補助具