IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日清食品ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133196
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】チーズ風シーズニングオイル
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20220906BHJP
   A23L 27/21 20160101ALI20220906BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20220906BHJP
【FI】
A23D9/00 504
A23L27/21 Z
A23L27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032162
(22)【出願日】2021-03-01
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】那須 元太郎
(72)【発明者】
【氏名】内藤 厚憲
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇幸
【テーマコード(参考)】
4B026
4B047
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG01
4B026DG02
4B026DG03
4B026DH05
4B026DL03
4B026DL04
4B026DL06
4B026DP01
4B026DP03
4B047LB04
4B047LB09
4B047LF08
4B047LF10
4B047LG10
4B047LG15
4B047LG19
4B047LG22
4B047LG39
4B047LP05
4B047LP16
(57)【要約】
【課題】チーズそのものやチーズの原料となる牛乳等の動物性原料を使用しない場合であってもチーズ風味を付与又は増強するチーズ風シーズニングオイルを開発することを課題とする。
【解決手段】
糖類、アミノ酸としてロイシン、メチオニン、フェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸、カシューナッツ及び植物油を混合して加熱することでチーズ風味を付与又は増強可能なチーズ風シーズニングオイルを製造する。さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを混合して加熱することが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類、アミノ酸としてメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸、カシューナッツ及び植物油を混合して加熱するチーズ風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項2】
さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを混合して加熱する請求項1に記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項3】
前記糖類がグルコースである請求項1又は2に記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項4】
前記アミノ酸がメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも2種のアミノ酸である請求項1~3のいずれかに記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項5】
前記野菜エキスが、豆乳パウダー及びマッシュルームエキスの少なくともいずれか一種を含む請求項2~4のいずれかに記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の製造方法より製造されるチーズ風シーズニングオイル。
【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により製造されるチーズ風シーズニングオイルを含有する食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の食品に添加して、当該食品に対してチーズ風味を付与することができるシーズニングオイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工食品等の食品においては、特定の風味を付加したり、増強したりするために香料や香味油(シーズニングオイル)が使用される場合が多い。このような加工食品等の食品に対してその風味を増強するための香味油(シーズニングオイル)は種々のタイプの技術が開示されている。
例えば、以下の先行技術文献1には、食用油脂と、野菜と、単糖とを加熱することにより、風味の力価が強く、良好な風味のバランスを有する香味油の製造方法について開示されている。また、以下の先行技術文献2には、長ネギを香味材として利用した香味油に関し、特に食感と香味を楽しむことが可能な香味油について開示されている。
【0003】
しかし、上記のいずれについてもチーズ風味を付与又は増強するシーズニングオイルに関するものではない。一方、チーズ風味を付与するシーズニングオイルについては特に開示されているものはない。
チーズ風味は畜肉系原料においても代表的な風味の一つであり、種々の食品(加工食品、スープ類等)の有用な風味である。すなわち、チーズ風味は加工食品を含め種々の食品において汎用される風味である。
【0004】
このようなチーズ風味について、チーズそのものやチーズの原料となる牛乳を使用せずに、チーズ風味を付与又は増強することができるシーズニングオイルが開発されれば、畜肉原料である牛乳が不足する場合やコストの問題を回避することができる。
また、加工食品がチーズ原料を使用する場合、当該原料の有するチーズ風味を付加又は増強させることができれば、一層、加工食品の分野の発展に寄与することが可能となる。
さらに、ベジタリアンに対して牛乳が不使用のチーズ風味の加工食品を提供することも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-201905
【特許文献2】特開2012-39902
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の発明者らはチーズ自体を利用せずに、チーズ風味を付与又は増強することが可能なチーズ風シーズニングオイルを開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々の原料を用いて実験を繰り返し実施した。本発明者らの鋭意研究の
結果、驚くべきことに糖類、アミノ酸としてロイシン、メチオニン、フェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸、カシューナッツ及び植物油を混合して加熱することでチーズ風味を付与又は増強可能なチーズ風シーズニングオイルを製造できることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本願第一の発明は、
“糖類、アミノ酸としてメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸、カシューナッツ及び植物油を混合して加熱するチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”である。
【0008】
次に、本発明においては、さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを混合して加熱すると一層チーズ風味の付加又は増強が可能であることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
“さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを混合して加熱する請求項1に記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0009】
次に、本発明においては、糖類がグルコースであることが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
“前記糖類がグルコースである請求項1又は2に記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0010】
次に、本発明においては、前記アミノ酸がメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも2種のアミノ酸であることが好ましい。
すなわち、本願第四の発明は、
“前記アミノ酸がメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも2種のアミノ酸である請求項1~3のいずれかに記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0011】
次に、本発明においては、前記野菜エキスが、豆乳パウダー及びマッシュルームエキスから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
すなわち、本願第五の発明は、
“前記野菜エキスが、豆乳パウダー及びマッシュルームエキスの少なくともいずれか一種を含む請求項2~4のいずれかに記載のチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”、である。
【0012】
さらに、本出願人は、請求項1~5のいずれかに記載のチーズ風シーズニングオイルを含有する食品も意図している。
すなわち、本願第六の発明は、
“請求項1~5のいずれかに記載の製造方法より製造されるチーズ風シーズニングオイル。”、である。
【0013】
さらに、本出願人は、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により製造されるチーズ風シーズニングオイルを含有する食品も意図している。
すなわち、本願第七の発明は、
“請求項1~5のいずれかに記載の製造方法により製造されるチーズ風シーズニングオイルを含有する食品。”、である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシーズニングオイルを利用することで、加工食品を始めとする各種食品にチーズ風味を付与することができる。また、当該加工食品がチーズ原料を使用する場合、当該チーズ原料が本来有するチーズ風味増強させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施の形態に準じて詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
本願発明は、“糖類、アミノ酸としてメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸、カシューナッツ及び植物油を混合して加熱するチーズ風シーズニングオイルの製造方法。”等に関するものである。以下に本発明の内容を詳細に説明する。
【0016】
─糖類─
本発明においては糖類として種々を利用することができるが、単糖が好ましく、特にグルコースが好ましい。グルコースは六単糖であり、代表的な糖の一種である。
本発明において混合・加熱時の糖の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0017】
─アミノ酸─
本発明においては、アミノ酸として、メチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸を利用する。また、アミノ酸についてはメチオニン、ロイシン及びフェニルアラニン以外のアミノ酸を有していてもよいことは勿論である。
また、好ましくは、メチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも2種のアミノ酸を利用する。さらに、最も好ましくは、メチオニン、ロイシン及びフェニルアラニンの全てのアミノ酸を利用する。
【0018】
〇メチオニン(アミノ酸)
本発明おいてはアミノ酸としてメチオニンを利用することができる。メチオニンは天然に存在するアミノ酸の一種である。側鎖に硫黄を含んだ疎水性のアミノ酸である。本発明にいうメチオニンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0019】
〇ロイシン(アミノ酸)
本発明おいてはアミノ酸としてロイシンを利用することができる。ロイシンは天然に存在するアミノ酸の一種である。側鎖がイソブチル基を有し、疎水性アミノ酸である。本発明にいうロイシンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0020】
〇フェニルアラニン(アミノ酸)
本発明においてはアミノ酸としてフェニルアラニンを利用することができる。フェニルアラニンは天然に存在するアミノ酸の一種であり、芳香族アミノ酸である。側鎖にベンジル基を有し、疎水性のアミノ酸である。本発明にいうロイシンとは、その塩も含まれるものとする。塩の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0021】
─アミノ酸の配合量─
尚、本発明において混合・加熱時の各アミノ酸の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、各アミノ酸の総合計含量として0.05~0.5重量部程度含有されている状態が好ましい。
さらに、各アミノ酸の配合比については特に限定されるものではないが、概ねロイシンは、全成分の混合時の100重量部において0.05~1.0重量部、メチオニンは0.01~0.1重量部、フェニルアラニンは0.01~0.1重量部が好適である。
【0022】
─カシューナッツ─
本発明においては、カシューナッツを利用する。カシューは中南米原産のウルシ科の常緑木であり、その種子はカシューナッツとされている。食用に汎用される。本発明においては、当該カシューナッツを利用するが、当該カシューナッツ自体を粉砕等して利用することができる。また、カシューナッツより抽出されたカシューナッツ油を利用することもできる。さらに、カシューナッツを水等の液状物と混合したものでも使用可能である。
カシューナッツの含有量は、カシューナッツ自体の粉砕物の場合、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.1~20重量部程度含有されている状態が好ましい。
また、カシューナッツオイルの場合、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.05~10重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0023】
─植物油─
本発明においては、植物油を利用する。植物油としては、種々のオイルを利用することができる。具体的には、植物油脂としては、パーム油、菜種油、米油、コーン油、オリーブ油、白絞油、ひまわり油等が挙げられる。これらのうち、特にパーム油が好ましい。但し、これらに限定されるものではないことは勿論である。
尚、本発明においては、植物油脂以外の例えば、動物油脂を含んでいてもよい。動物油脂としては、豚脂、牛脂、鶏油等の種々のオイルを含有していてもよい。
【0024】
─植物蛋白加水分解物─
本発明においては、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを利用する。ここで植物
蛋白加水分解物とは、大豆等の植物蛋白質を塩酸分解法、酵素分解法、熱水抽出法等の製
法によって分解したものをいう。うま味をもたらす目的で種々の加工食品に利用される場
合がある。
尚、本発明において混合・加熱時の植物蛋白加水分解物の含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部に対して、0.01~1重量部程度が好ましい。
【0025】
─野菜エキス─
本発明においては、前記のカシューナッツや植物蛋白加水分解物以外に、野菜エキスを利用することが好ましい。ここで野菜エキスとは、野菜や果実又はその種子を破砕・搾汁したり、水やエタノール等の溶媒で抽出した等して得る方法の他、当該野菜や果実又はその種子を乾燥して粉砕したものも当然含まれる。
【0026】
また、必要に応じて加熱処理・酵素処理等を行うこともできる。野菜や果実又はその種子の多種多様な有効成分を含んでいる。特に本発明においては豆乳パウダーやマッシュルームエキスを好適に利用することができる。
尚、本発明において混合・加熱時の野菜エキスの含有量は特に限定されるものではないが、概ね全成分の混合時の100重量部において、0.01~1重量部程度含有されている状態が好ましい。
【0027】
─他の成分─
本発明においては、上記の各成分以外に他の成分を含んでいてもよいことは勿論である。例えば、上記のアミノ酸以外のアミノ酸、イノシン酸、グアニル酸等の核酸系調味料、加熱時の反応を促進する炭酸水素ナトリウム、金属類としてピロリン酸第二鉄、亜鉛酵母等が挙げられる。
さらに、使用する食用オイルに対して、該食用オイルの劣化を防止する観点から、トコロフェロール、アスコルビン酸モノパルミテート等の抗酸化剤等を含有させることができる。
また、本発明のシーズニングオイルは所定の液体又は粉末スープの製造原料としてもよいことは勿論である。例えば、濃縮液体スープに添加しておくことで当該スープにチーズ風味を付与したり、増強することが可能となる。
【0028】
─水─
本発明において各成分の混合・加熱時においては必要に応じて水を加えてもよい。
【0029】
─加熱─
本発明においては、前記各成分を混合して加熱する。具体的な加熱方法としては、オートクレープや直火も可能である。また、加熱ニーダを利用することも可能である。
加熱温度としては、特に限定されないが、概ね90℃~160℃位の温度範囲が一般的
である。特に100℃~150℃位の温度範囲がより好ましい。さらに、好ましくは、1
20℃~140℃程度である。
加熱時間としては、低温度であれば長く、高温度であれば短くすることが好ましい。具
体的には、上記温度まで加熱し達温後1分~60分程度の加熱を行う。上述のようにオートクレープ等によって所定時間加熱することによって製造する。
【0030】
─本発明のシーズニングオイルを添加する対象食品─
本発明のシーズニングオイルは、各種食品に添加して当該食品にチーズ風味を付与又は増強することができる。特に加工食品に対して好適に利用することができる。より具体的には、即席麺(即席カップめん、即席袋めん)やカップライス等の即席食品に好適に利用することができる。例えば、即席麺やカップライスの液体スープに利用したり、又は添付オイルとして利用することができる。例えば、スープの浮き油として用いることができる。これらを即席麺や即席スープの構成原料として利用することができる。
【0031】
本発明で得られたチーズ風シーズニングオイルの利用方法については、特に限定されず、例えば、これに香辛料や醤油や味噌のフレーバを加えたもの調味油として用いる方法が挙げられる。
また、即席麺やカップライス以外にも肉まんやシュウマイ、餃子等の惣菜系統に練り込んで風味付与に用いることもできる。これらの用途は適宜設定することができる。
【0032】
尚、本発明のシーズニングオイルを使用する対象食品については、種々の原料を使用することができ、植物性の原料のみを使用する食品の場合に適用できるとともに牛、豚、鶏、魚等の動物性の原料を使用する食品の場合でも可能であることは勿論である。
【実施例0033】
以下の本発明の実施例について説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
[試験例1]糖類、アミノ酸の本発明のチーズ風味に対する寄与度
糖の有無、アミノ酸の種類の違いによるチーズ風味に対する影響を検討した。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表1に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、市販のオートクレープ機(アルプ株式会社製、型式MCS-3032L)にて135℃で、2分加熱することによって各試験区のサンプル(シーズニングオイル)を調製した。尚、表1におけるカシューナッツミンスとは、ローストしたカシューナッツを粉状となる程度まで、粉砕した粉砕物をいう。
【0034】
各試験区のサンプルについて官能評価を実施した。得られたサンプル(シーズニングオイル)についてそのチーズ風の香りを熟練のパネラー5名で評価することによって官能評価を行った。
官能評価はチーズ様の香り(チーズ風味)の強弱を比較し、0~9までの10段階で評価した(0:チーズ風味無し ⇔ 9:チーズ風味強い)。官能評価の結果を表1の下段に示す。
【0035】
【表1】
本発明のチーズ風味付与剤においては、糖やアミノ酸が無いとチーズ風味を付与することはできないことがわかった。また、アミノ酸はメチオニン、ロイシン、フェニルアラニンのうち、二種類利用することが好ましく。最も好ましくは三種類利用することであることがわかった。
【0036】
[試験例2]さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを利用した場合
本発明において試験例1の場合に利用した素材に加えて、さらに、植物蛋白加水分解物及び/又は野菜エキスを利用した場合の効果について調べた。さらに、カシューナッツを使用しない場合も調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
【0037】
各試験区の配合(重量比)は表3に記載したものである。また、各試験区に示した配合(重量比)を混合した後、市販のオートクレープ機(アルプ株式会社製、型式MCS-3032L)にて135℃で、2分加熱することによって各試験区のサンプル(シーズニングオイル)を調製した。各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表2の下欄に示す。
【0038】
【表2】
植物蛋白加水分解物や野菜エキス(豆乳パウダー、マッシュルームエキス)を追加することで、チーズ風味が増強することがわかった。また、カシューナッツを利用しない場合、チーズ風味は低下した。
【0039】
[試験例3]油脂の種類の割合を変えた場合
本発明において油脂として、パーム油とヤシ油の割合を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表3に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表3の下欄に示す。
【0040】
【表3】
ヤシ油と比較するとパーム油がより好ましいことはわかった。一方、ヤシ油でもチーズ風味を呈することは可能である。
【0041】
[試験例4]加熱温度・時間の条件を変えた場合
本発明において加熱温度・時間の条件を変えた場合の効果の変動について調べた。各試験区の配合(重量比)及び加熱温度・時間の条件は表4に記載したものである。また、各試験区の官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表4の下欄に示す。
【0042】
【表4】
120℃~140℃程度の加熱条件が好ましいことがわかった。
【0043】
[試験例5]糖類を変化させた場合
本発明において糖類の種類を変えた場合の効果の変動について調べた。各試験区の配合(重量比)及び加熱温度・時間の条件は表5に記載したものである。また、各試験区の官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表5の下欄に示す。
【0044】
【表5】
糖類は種々が使用可能であるが、グルコースが好ましいことがわかった。
【0045】
[試験例6]カシューナッツを他のナッツ類に変えた場合
本発明においてカシューナッツを他のナッツ類に変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表6に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表6の下欄に示す。
【0046】
【表6】
カシューナッツ以外の他のナッツ類でもチーズ風味を呈したが、カシューナッツが好ましいことがわかった。
【0047】
[試験例7]カシューナッツの使用量を変えた場合
本発明においてカシューナッツの使用量を変えた場合の効果の変動について調べた。尚、各成分については市販の素材を利用した。
各試験区の配合(重量比)は表7に記載したものである。また、各試験区の加熱条件及び各試験区のサンプルについて官能評価については試験例1の場合と同様である。結果を表7の下欄に示す。
【0048】
【表7】

カシューナッツミンス(カシューナッツの粉砕物)の場合、各種原料100重量部当たり、0.2~5重量部程度が好ましいことがわかった。