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特開2022-133218軸受カバー、カップリングガード、および機械装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133218
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】軸受カバー、カップリングガード、および機械装置
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/84 20060101AFI20220906BHJP
   F04D 29/056 20060101ALI20220906BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20220906BHJP
   F04D 29/043 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F16D3/84 A
F04D29/056 Z
F04D29/046 Z
F04D29/043 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021072444
(22)【出願日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021031411
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】姜 世▲ゴ▼
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】ラナ エプシャ
(72)【発明者】
【氏名】川畑 潤也
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA20
3H130AB40
3H130AB60
3H130AC30
3H130BA98E
3H130BA98G
3H130BA98Z
3H130DJ03X
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業者による作業の容易性の観点から望まれる特徴を有する軸受カバーを提供する。
【解決手段】軸受カバー20は、回転軸7が貫通可能な貫通孔22が形成され、かつ軸受フレーム3aの開口側端部6が接続可能な中心側部位20aと、中心側部位20aに接続され、中心側部位20aの半径方向外側に延びる外側部位20bを有しており、外側部位20bに形成され、かつガード部材21と締結するための締結具40が挿入可能な締結孔50を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーであって、
前記軸受カバーは、前記軸受カバーに取り付け可能なガード部材と締結するための締結具が挿入可能な締結孔を備えており、
前記締結孔は、前記回転軸の軸線方向と平方に延びている、軸受カバー。
【請求項2】
前記軸受カバーは、環状の円盤形状を有している、請求項1に記載の軸受カバー。
【請求項3】
前記軸受カバーは、
前記回転軸が貫通可能な貫通孔が形成され、かつ前記軸受フレームの開口側端部が接続可能な中心側部位と、
前記中心側部位に接続され、前記中心側部位の半径方向外側に延びる外側部位と、を備えており、
前記締結孔は、前記外側部位に形成されている、請求項1または請求項2に記載の軸受カバー。
【請求項4】
原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードであって、
前記カップリングガードは、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の軸受カバーと、
前記軸受カバーに取り付けられたガード部材と、を備えており、
前記ガード部材は、互いに接続可能な分割構造を有している、カップリングガード。
【請求項5】
前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している、請求項4に記載のカップリングガード。
【請求項6】
前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している、請求項4または請求項5に記載のカップリングガード。
【請求項7】
前記ガード部材は、前記カップリングガードの内部の異物の排出を許容するドレン構造を有している、請求項4~請求項6のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項8】
前記ガード部材は、前記軸受カバーとは反対側に配置された閉止カバーを備えている、請求項4~請求項7のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項9】
前記ガード部材は、
前記軸受カバーに固定された上側固定ガードおよび下側固定ガードと、
前記上側固定ガードおよび前記下側固定ガードに接続された上側移動ガードおよび下側移動ガードと、を備えており、
前記下側固定ガードおよび前記下側移動ガードは、前記上側固定ガードおよび前記上側移動ガードとは独立して、互いに接続可能である、請求項4~請求項8のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項10】
駆動軸を有する原動機と、
回転軸を有する回転機械と、
前記駆動軸および前記駆動軸を連結するカップリングと、
前記カップリングを覆う請求項4~請求項9のいずれか一項に記載のカップリングガードと、を備えている、機械装置。
【請求項11】
回転機械の回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーであって、
前記軸受カバーは、前記軸受カバーに取り付け可能なガード部材の挿入孔に挿入可能な突起部を有しており、
前記突起部は、前記回転軸の軸線方向と垂直に延びている、軸受カバー。
【請求項12】
前記突起部は、前記軸受カバーの円周方向に沿って配置された複数の突起部であり、
前記複数の突起部の少なくとも1つは、前記挿入孔に引っかかる切り欠き部を有している、請求項11に記載の軸受カバー。
【請求項13】
原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードであって、
前記カップリングガードは、
請求項11または請求項12に記載の軸受カバーと、
前記軸受カバーに取り付けられたガード部材と、を備えている、カップリングガード。
【請求項14】
前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している、請求項13に記載のカップリングガード。
【請求項15】
前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している、請求項13または請求項14に記載のカップリングガード。
【請求項16】
前記ガード部材は、
前記軸受カバーに取り付けられた第1ガードと、
前記第1ガードに接続された第2ガードと、を備えている、請求項13~請求項15のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項17】
前記第1ガードおよび前記第2ガードは、同一構造を有しており、
前記第1ガードおよび前記第2ガードのそれぞれは、1枚の板材から構成されている、請求項16に記載のカップリングガード。
【請求項18】
原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードであって、
前記カップリングガードは、
前記回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーに取り付けられたガードカバーと、
前記ガードカバーに取り付けられたガード部材と、を備えており、
前記ガードカバーは、前記ガード部材の挿入孔に挿入可能な突起部を有しており、
前記突起部は、前記回転軸の軸線方向と垂直に延びている、カップリングガード。
【請求項19】
前記突起部は、前記軸受カバーの円周方向に沿って配置された複数の突起部であり、
前記複数の突起部の少なくとも1つは、前記挿入孔に引っかかる切り欠き部を有している、請求項18に記載のカップリングガード。
【請求項20】
前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している、請求項18または請求項19に記載のカップリングガード。
【請求項21】
前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している、請求項18~請求項20のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項22】
前記ガード部材は、
前記ガードカバーに取り付けられた第1ガードと、
前記第1ガードに接続された第2ガードと、を備えている、請求項18~請求項21のいずれか一項に記載のカップリングガード。
【請求項23】
前記第1ガードおよび前記第2ガードは、同一構造を有しており、
前記第1ガードおよび前記第2ガードのそれぞれは、1枚の板材から構成されている、請求項22に記載のカップリングガード。
【請求項24】
駆動軸を有する原動機と、
回転軸を有する回転機械と、
前記駆動軸および前記駆動軸を連結するカップリングと、
前記カップリングを覆う請求項13~請求項23のいずれか一項に記載のカップリングガードと、を備えている、機械装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受カバー、カップリングガード、および機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械の回転軸を、カップリング(軸継手)を介して原動機の駆動軸に連結して、駆動軸を回転させることにより、回転軸を回転させる機械装置が知られている。このような機械装置は、例えば、ポンプ装置である。ポンプ装置は、原動機であるモータと、回転機械であるポンプと、を備えている。
【0003】
モータの駆動軸は、ポンプの回転軸にカップリングを介して連結される。ポンプ装置では、モータの駆動軸のトルクがカップリングを介してポンプの回転軸に伝達され、これにより、回転軸に固定された羽根車が回転される。高速回転するカップリング、ポンプの回転軸の露出部分、およびモータの駆動軸の露出部分に人間が接触しないように、カップリングを覆うカップリングガードが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-091188号公報
【特許文献2】特開2019-86122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カップリングガードは、作業者の安全性を向上させるために、密閉的にカップリングを覆っており、その構成要素の一部として軸受カバーを備えている。作業者による作業の容易性やコストの低減などの観点から、カップリングガード(および軸受カバー)は、少なくとも、以下に示すような特徴を有することが望ましい。
(1)コストを低減することができ、および/またはカップリングガードの分解性および組立性を向上させることができる構造
(2)カップリングガードの内部を容易に視認することができる構造
(3)カップリングを覆うガード部材を支持する脚部材を不要とし、ガード部材の長さを自在に調整することができる構造
【0006】
そこで、本発明は、作業者による作業の容易性の観点から望まれる特徴(すなわち、上述した(1)~(3)のうちの少なくとも1つ)を有する軸受カバーおよびカップリングガードを提供することを目的とする。
【0007】
上述した特徴を有するカップリングガードは、ポンプ装置だけでなく、カップリングを介して回転機械の回転軸を原動機の駆動軸に連結させるすべての機械装置に適用可能である。そこで、本発明は、上述した特徴を有するカップリングガードを備えた機械装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、回転機械の回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーが提供される。前記軸受カバーは、前記軸受カバーに取り付け可能なガード部材と締結するための締結具が挿入可能な締結孔を備えており、前記締結孔は、前記回転軸の軸線方向と平方に延びている。
【0009】
一態様では、前記軸受カバーは、環状の円盤形状を有している。
一態様では、前記軸受カバーは、前記回転軸が貫通可能な貫通孔が形成され、かつ前記軸受フレームの開口側端部が接続可能な中心側部位と、前記中心側部位に接続され、前記中心側部位の半径方向外側に延びる外側部位と、を備えており、前記締結孔は、前記外側部位に形成されている。
【0010】
一態様では、原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードが提供される。前記カップリングガードは、上記軸受カバーと、前記軸受カバーに取り付けられたガード部材と、を備えており、前記ガード部材は、互いに接続可能な分割構造を有している。
【0011】
一態様では、前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している。
一態様では、前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している。
一態様では、前記ガード部材は、前記カップリングガードの内部の異物の排出を許容するドレン構造を有している。
【0012】
一態様では、前記ガード部材は、前記軸受カバーとは反対側に配置された閉止カバーを備えている。
一態様では、前記ガード部材は、前記軸受カバーに固定された上側固定ガードおよび下側固定ガードと、前記上側固定ガードおよび前記下側固定ガードに接続された上側移動ガードおよび下側移動ガードと、を備えており、前記下側固定ガードおよび前記下側移動ガードは、前記上側固定ガードおよび前記上側移動ガードとは独立して、互いに接続可能である。
【0013】
一態様では、駆動軸を有する原動機と、回転軸を有する回転機械と、前記駆動軸および前記駆動軸を連結するカップリングと、前記カップリングを覆う上記カップリングガードと、を備えている、機械装置が提供される。
【0014】
一態様では、回転機械の回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーが提供される。前記軸受カバーは、前記軸受カバーに取り付け可能なガード部材の挿入孔に挿入可能な突起部を有しており、前記突起部は、前記回転軸の軸線方向と垂直に延びている。
【0015】
一態様では、前記突起部は、前記軸受カバーの円周方向に沿って配置された複数の突起部であり、前記複数の突起部の少なくとも1つは、前記挿入孔に引っかかる切り欠き部を有している。
【0016】
一態様では、原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードが提供される。前記カップリングガードは、上記軸受カバーと、前記軸受カバーに取り付けられたガード部材と、を備えている。
【0017】
一態様では、前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している。
一態様では、前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している。
一態様では、前記ガード部材は、前記軸受カバーに取り付けられた第1ガードと、前記第1ガードに接続された第2ガードと、を備えている。
【0018】
一態様では、前記第1ガードおよび前記第2ガードは、同一構造を有しており、前記第1ガードおよび前記第2ガードのそれぞれは、1枚の板材から構成されている。
【0019】
一態様では、原動機の駆動軸および回転機械の回転軸を連結するカップリングを覆うためのカップリングガードが提供される。前記カップリングガードは、前記回転軸を支持する軸受が収容された軸受フレームの開口を覆う軸受カバーに取り付けられたガードカバーと、前記ガードカバーに取り付けられたガード部材と、を備えており、前記ガードカバーは、前記ガード部材の挿入孔に挿入可能な突起部を有しており、前記突起部は、前記回転軸の軸線方向と垂直に延びている。
【0020】
一態様では、前記突起部は、前記軸受カバーの円周方向に沿って配置された複数の突起部であり、前記複数の突起部の少なくとも1つは、前記挿入孔に引っかかる切り欠き部を有している。
一態様では、前記ガード部材は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している。
一態様では、前記ガード部材は、前記カップリングを視認可能な視認構造を有している。
【0021】
一態様では、前記ガード部材は、前記ガードカバーに取り付けられた第1ガードと、前記第1ガードに接続された第2ガードと、を備えている。
一態様では、前記第1ガードおよび前記第2ガードは、同一構造を有しており、前記第1ガードおよび前記第2ガードのそれぞれは、1枚の板材から構成されている。
【0022】
一態様では、駆動軸を有する原動機と、回転軸を有する回転機械と、前記駆動軸および前記駆動軸を連結するカップリングと、前記カップリングを覆う上記カップリングガードと、を備えている、機械装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
軸受カバーは、容易に加工可能なシンプルな構造を有しているため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】カップリングガードの一実施形態を備えたポンプ装置を示す図である。
図2】カップリングガードの一実施形態を示す斜視図である。
図3】軸受カバーを示す鉛直断面図である。
図4】軸受カバーを示す斜視図である。
図5】ガード部材を回転軸の軸線方向から見た図である。
図6】ガード部材の上側固定ガードを示す斜視図である。
図7】ガード部材の下側固定ガードを示す斜視図である。
図8】ガード部材の上側移動ガードを示す斜視図である。
図9】ガード部材の下側移動ガードを示す斜視図である。
図10】互いに組み合わせられた固定ガードおよび移動ガードを示す図である。
図11】ガード部材を上から見た図である。
図12】ガード部材を下から見た図である。
図13】ガード部材の閉止カバーを示す図である。
図14】メンテナンス実行時におけるカップリングガードを示す図である。
図15】カップリングガードの他の実施形態を示す図である。
図16】軸受カバーの他の実施形態を示す断面図である。
図17】軸受カバーの他の実施形態を示す斜視図である。
図18】ガード部材の他の実施形態を示す図である。
図19】第1ガードを軸受カバーに巻き付ける様子を示す図である。
図20】軸受カバーに巻き付けられた第1ガードを示す図である。
図21】突起部に形成された切り欠き部を示す図である。
図22】切り欠き部の拡大図である。
図23図21に示す実施形態において、第1ガードを軸受カバーに巻き付ける様子を示す図である。
図24】第1ガードの一部を覆う第2ガードを示す図である。
図25】ガード部材の視認構造を示す図である。
図26】第1ガードおよび第2ガードの組み合わせの一例を示す図である。
図27】軸受カバーに取り付けられたガードカバーを示す図である。
図28】ガードカバーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一または対応する構成要素には同一の符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0026】
図1は、カップリングガードの一実施形態を備えたポンプ装置を示す図である。ポンプ装置100は、原動機であるモータ2と、回転機械であるポンプ3と、を備えた機械装置である。モータ2およびポンプ3は、ベース8上に固定されている。
【0027】
モータ2の駆動軸5はポンプ3に向かって延びており、ポンプ3の回転軸7はモータ2に向かって延びている。モータ2の駆動軸5は、カップリング(軸継手)10を介してポンプ3の回転軸7に連結される。
【0028】
カップリング10は、モータ2の駆動軸5の半径方向外側に延び、かつ駆動軸5と同心状に配置された駆動軸側フランジ11と、ポンプ3の回転軸7の半径方向外側に延び、かつ回転軸7と同心状に配置された回転軸側フランジ12と、を備えている。駆動軸側フランジ11は駆動軸5に固定されており、回転軸側フランジ12は回転軸7に固定されている。
【0029】
これらフランジ11,12は複数の連結具15によって互いに連結されており、この連結によって駆動軸5は回転軸7に連結される。モータ2が駆動されると、モータ2の駆動軸5のトルクがカップリング10を介してポンプ3の回転軸7に伝達され、結果として、回転軸7に固定された羽根車4は回転する。
【0030】
図1では、2つの連結具15が描かれているが、連結具15の数は本実施形態には限定されない。複数の連結具15は、カップリング10の周方向に沿って等間隔に配置されている。連結具15は、ボルトとナットとの組み合わせである。連結具15の一例として、筒状の弾性部材(図示しない)が装着されたカップリングボルトとナットとの組み合わせである。このような連結具(カップリングボルトとナットとの組み合わせ)は、フランジ形撓み軸継手に適用可能である。
【0031】
図1に示すように、回転軸7はポンプ3の構成部材である軸受16に支持されている。この軸受16は軸受フレーム3a内に収容されている。羽根車4は軸受フレーム3aに隣接して配置された羽根車ケーシング3bに収容されている。軸受フレーム3aは羽根車ケーシング3bに接続されている。これら軸受フレーム3aおよび羽根車ケーシング3bは総称してポンプケーシングと呼ばれる。
【0032】
本実施形態では、ポンプ3の回転軸7の中心軸線は、モータ2の駆動軸5の中心軸線と一直線に並んでいる。ポンプ3の回転軸7と、モータ2の駆動軸5の共通の中心軸線は、符号CLが付された二点鎖線で描かれている。
【0033】
カップリング10、モータ2の駆動軸5の露出部分、およびポンプ3の回転軸7の露出部分は、カップリングガード1によって覆われる。以下、カップリングガード1の構造について説明する。
【0034】
図2は、カップリングガードの一実施形態を示す斜視図である。カップリングガード1は、軸受フレーム3aの開口を覆う軸受カバー20と、軸受カバー20に取り付けられたガード部材21と、を備えている。
【0035】
軸受カバー20は図示しない固定手段により軸受フレーム3aに固定される。軸受カバー20は、その軸受フレーム3aへの固定によって、軸受フレーム3aの開口側端部6(図1参照)を閉塞することができる。さらに、軸受カバー20は、ガード部材21のポンプ側開口(すなわち、回転機械側開口)を閉塞することができる。
【0036】
図3は、軸受カバーを示す鉛直断面図である。図4は、軸受カバーを示す斜視図である。軸受カバー20は、その中央に形成された貫通孔22を有する環状の円盤形状を有している。軸受カバー20は、回転軸7が貫通可能な貫通孔22が形成され、かつ軸受フレーム3aの開口側端部6が接続可能な中心側部位20aと、中心側部位20aに接続され、中心側部位20aの半径方向外側に延びる外側部位20bと、を備えている。
【0037】
中心側部位20aおよび外側部位20bは一体的に構成されている。軸受カバー20は、軸線CL方向と垂直に延びている。中心側部位20aは外側部位20bよりもポンプ3側に向かって突出する形状を有している。外側部位20bは軸受フレーム3aの開口側端部6の外側に位置している。軸受カバー20の、軸受フレーム3aとの接触部位には、表面加工を施す場合がある。中心側部位20aを突出させることにより、軸受カバー20の表面加工を施すべき部位は明確になるため、軸受カバー20の表面全体に表面加工を施す必要はない。結果として、軸受カバー20の加工面積を低減することができる。
【0038】
軸受カバー20は、外側部位20bに形成され、かつガード部材21と締結するための締結具40が挿入可能な締結孔50を備えている。締結孔50は、軸線CL方向と平行に延びており、軸受フレーム3aの外側に配置されている。図4に示す実施形態では、軸受カバー20は、軸受カバー20の円周方向に沿って等間隔に配置された4つの締結孔50を有している。このような構造により、ガード部材21は強固に軸受カバー20に取り付けられる。しかしながら、締結孔50の数は本実施形態には限定されない。
【0039】
図5は、ガード部材を回転軸の軸線方向から見た図である。ガード部材21は、互いに接続可能な分割構造を有している。より具体的には、ガード部材21は、締結孔50が挿入可能な連結孔41を有する張り出し部42A,42B(すなわち、上側張り出し部42Aおよび下側張り出し部42B)と、張り出し部42A,42Bのそれぞれに接続された固定ガード45A,45B(すなわち、上側固定ガード45Aおよび下側固定ガード45B)と、を備えている。
【0040】
固定ガード45A,45Bのそれぞれは、円弧形状を有しており、軸線CL方向と平行に延びている。固定ガード45A,45Bは、カップリング10を挟むように、組み合わせ可能である。固定ガード45A,45Bを組み合わせることにより、固定ガード45A,45Bは、全体として円筒形状を有する。
【0041】
張り出し部42A,42Bのそれぞれは、固定ガード45A,45Bの形状に沿って、円弧形状を有しており、軸線CL方向と垂直に延びている。固定ガード45A,45Bを組み合わせることにより、張り出し部42A,42Bは、環状形状を有する。軸受カバー20の中心側部位20aは、組み合わせられた張り出し部42A,42Bに取り囲まれる。
【0042】
軸受カバー20および張り出し部42A,42Bは、互いに平行に延びている。したがって、軸受カバー20および張り出し部42A,42Bは、連結孔41および締結孔50が一直線上に並ぶように(すなわち、一致するように)、配置可能である。
【0043】
作業者は、連結孔41および締結孔50を一致させた状態で、連結孔41および締結孔50に締結具40を挿入することにより、ガード部材21を軸受カバー20に取り付けることができる。連結孔41および締結孔50は、軸受フレーム3aの開口側端部6の外側に配置されている(図3参照)。したがって、作業者は、軸受フレーム3aに阻害されることなく、スムーズにガード部材21を軸受カバー20に取り付けることができる。
【0044】
本実施形態によれば、軸受カバー20は、軸線CL方向と垂直な方向に延びる円盤状のシンプルな構造を有している。さらに、軸受カバー20は、互いに平行に延びる貫通孔22および締結孔50を有している。このような構造により、軸受カバー20の製造工程を単純化することができ、軸受カバー20を容易に加工することができる。さらに、本実施形態によれば、軸受カバー20の製造コストを低減することができる。
【0045】
図6は、ガード部材の上側固定ガードを示す斜視図である。図7は、ガード部材の下側固定ガードを示す斜視図である。図6に示すように、固定ガード45Aは、その両端から外側に延びる連結フランジ46,46を有している。同様に、図7に示すように、固定ガード45Bは、その両端から外側に延びる連結フランジ47,47を有している。連結フランジ46および連結フランジ47は互いに連結可能である。
【0046】
図2に示す実施形態では、ガード部材21は、その長手方向(すなわち、軸線CL方向)の長さを調整可能な長さ調整構造を有している。以下、長さ調整構造について、図面を参照して説明する。
【0047】
図8は、ガード部材の上側移動ガードを示す斜視図である。図9は、ガード部材の下側移動ガードを示す斜視図である。図8および図9に示すように、ガード部材21は、固定ガード45A,45Bに対して相対的に移動可能な移動ガード55A,55B(すなわち、上側移動ガード55Aおよび下側移動ガード55B)を備えている。本実施形態では、移動ガード55A,55Bは長さ調整構造に相当する。
【0048】
移動ガード55A,55Bのそれぞれは、固定ガード45A,45Bと同様に、円弧形状を有している。カップリング10を挟むように、移動ガード55A,55Bを組み合わせることにより、移動ガード55A,55Bは、その全体として円筒形状を有する。
【0049】
図8に示すように、移動ガード55Aは、その両端から外側に延びる連結フランジ56,56を有している。同様に、図9に示すように、移動ガード55Bは、その両端から外側に延びる連結フランジ57,57を有している。連結フランジ56および連結フランジ57は互いに連結可能である。
【0050】
図10は、互いに組み合わせられた固定ガードおよび移動ガードを示す図である。図10に示すように、移動ガード55A,55Bは、その組み合わせにより、固定ガード45A,45Bの一部を覆うことが可能である。本実施形態では、移動ガード55A,55Bは、固定ガード45A,45Bを覆うように配置されるが、一実施形態では、移動ガード55A,55Bは、固定ガード45A,45Bに覆われるように配置されてもよい。
【0051】
固定ガード45A,45Bを軸受カバー20に固定した状態で、移動ガード55A,55Bを組み合わせることにより、移動ガード55A,55Bは、固定ガード45A,45Bの一部を覆うように固定ガード45A,45Bに接続される。結果として、固定ガード45A,45Bの連結フランジ46,47は移動ガード55A,55Bの連結フランジ56,57に挟まれる。
【0052】
図6に示すように、連結フランジ46,46のそれぞれは、軸線CL方向に延びる長孔46aを有している。図7に示すように、連結フランジ47,47のそれぞれは、軸線CL方向に延びる長孔47aを有している。図8に示すように、連結フランジ56,56のそれぞれは、軸線CL方向に延びる長孔56aを有している。図9に示すように、連結フランジ57,57のそれぞれは、軸線CL方向に延びる長孔57aを有している。
【0053】
図11は、ガード部材を上から見た図である。図12は、ガード部材を下から見た図である。図11および図12に示すように、移動ガード55A,55Bが固定ガード45A,45Bの一部を覆うと、長孔46aの一部、長孔47aの一部、長孔56aの一部、および長孔57aの一部は、一致する(すなわち、一直線上に並ぶ)。
【0054】
この状態で、作業者は、締結具60を長孔46a,47a,56a,57aに挿入して、連結フランジ46,47,56,57を締結することにより、固定ガード45A,45Bおよび移動ガード55A,55Bは、カップリング10を取り囲むように、互いに接続される。
【0055】
本実施形態では、締結具60を緩めることにより、移動ガード55A,55Bは、固定ガード45A,45Bに対して、軸線CL方向に相対的に移動可能である。このような構成により、ガード部材21とモータ2のポンプ側端面との間の距離を調整することができる。モータ2とポンプ3との間の距離に応じて、カップリングガード1(より具体的には、ガード部材21)の長さを調整することができるため、作業者がモータ2の駆動軸5に接触することを確実に防止することができる。カップリングガード1はポンプ3に接続されているため、作業者がポンプ3の回転軸7に接触することはない。
【0056】
モータ2の種類によっては、駆動軸5の長さが異なる場合がある。ガード部材21は、その全体の長さを調整する構造を有している。したがって、カップリングガード1は、様々な種類のモータ2に対応することができる。
【0057】
本実施形態によれば、ガード部材21は、軸受フレーム3aに固定された軸受カバー20に支持されているため、ガード部材21を支持する脚部材は不要である。したがって、ベース8の形状が変更されたとしてもカップリングガード1の形状を変更する必要はなく、カップリングガード1の汎用性を向上させることができる。さらに、脚部材は不要であるため、ベース8に脚部材を固定するための加工を不要とすることができ、また、ベース8に形成されたベース孔に対応する孔を有する脚部材を製造するといった加工を不要とすることができる。
【0058】
ガード部材21は、カップリング10を視認可能な視認構造を有している。より具体的には、ガード部材21の上側固定ガード45Aは、互いに隣接して配置された複数の覗きスリット70を有しており、作業者は、これら複数の覗きスリット70を通じて、カップリング10を視認可能である。本実施形態では、覗きスリット70は、上側固定ガード45Aの最上部に形成されている。
【0059】
図11に示す実施形態では、3つの覗きスリット70が設けられているが、覗きスリット70の数は本実施形態には限定されない。作業者がカップリング10を視認可能であれば、単一の覗きスリット70が設けられてもよい。一実施形態では、上側固定ガード45Aは、覗きスリット70の代わりに開閉可能な開閉窓を有してもよい。覗きスリット70を設けることにより、作業者は、カップリングガード1を分解することなく、カップリング10を視認することができる。結果として、作業者は、必要に応じて、適切にカップリング10のメンテナンスを行うことができる。
【0060】
ガード部材21は、カップリングガード1の内部の異物の排出を許容するドレン構造を有している。より具体的には、ガード部材21の下側固定ガード45Bは、互いに隣接して配置された複数の排出スリット72を有している。排出スリット72は、下側固定ガード45Bの最下部に形成されている。カップリングガード1内の異物は、排出スリット72を通じて、外部(本実施形態では、ベース8)に排出される。
【0061】
図12に示す実施形態では、3つの排出スリット72が設けられているが、排出スリット72の数は本実施形態には限定されない。カップリングガード1内の異物の排出が可能であれば、単一の排出スリット72が設けられてもよい。一実施形態では、下側固定ガード45Bは、排出スリット72の代わりに開閉可能な排出口を有してもよい。この異物の一例として、連結具15の弾性部材の屑を挙げることができる。
【0062】
排出スリット72を設けることにより、作業者は、カップリングガード1を分解することなく、連結具15の状態を把握することができる。例えば、連結具15の弾性部材の屑が排出される場合、作業者は、カップリング10のメンテナンスが必要であると判断することができ、必要に応じて、カップリング10のメンテナンスを行うことができる。
【0063】
図13は、ガード部材の閉止カバーを示す図である。図13に示すように、ガード部材21は、移動ガード55A,55Bに形成された閉止カバー80を備えてもよい。閉止カバー80は、モータ2のポンプ側端面側に配置されている。閉止カバー80は、上側移動ガード55Aに接続された上側円弧壁80aと、下側移動ガード55Bに接続された下側円弧壁80bと、を備えている。
【0064】
上側円弧壁80aは、溶接などの手段により上側移動ガード55Aに固定されている。同様に、下側円弧壁80bは、溶接などの手段により下側移動ガード55Bに固定されている。このような構成を有することにより、ガード部材21とは別個で閉止カバー80を設ける必要はなく、部品点数を減らすことができる。結果として、カップリングガード1の製造コストを低減することができる。
【0065】
閉止カバー80は、モータ2の駆動軸5が貫通可能な貫通孔81を有している。閉止カバー80を設けることにより、カップリングガード1内に位置する駆動軸5、回転軸7、およびカップリング10に人間の指が接触することをより確実に防止することができる。
【0066】
図14は、メンテナンス実行時におけるカップリングガードを示す図である。図14に示すように、作業者は、上側固定ガード45Aおよび上側移動ガード55Aを取り外した状態で、カップリング10のメンテナンスを実行することができる。メンテナンスの一例として、連結具15の交換作業や駆動軸5および回転軸7の芯出しを行うための芯出し作業などの作業を挙げることができる。
【0067】
下側固定ガード45Bおよび下側移動ガード55Bは、固定具90によって、上側固定ガード45Aおよび上側移動ガード55Aとは独立して、互いに接続可能である。下側固定ガード45Bは、その最下部に形成された長孔91を有している。同様に、下側移動ガード55Bは、その最下部に形成された長孔92を有している。これら長孔91,92は、軸線CL方向と平行に延びている。
【0068】
作業者は、下側固定ガード45Bの長孔91および下側移動ガード55Bの長孔92を一致させた状態で、固定具90を長孔91,92に挿入して、締め付けることにより、下側固定ガード45Bおよび下側移動ガード55Bは互いに締結される。図14に示すように、下側固定ガード45Bは、締結具40によって軸受カバー20に固定されている。したがって、互いに締結された下側固定ガード45Bおよび下側移動ガード55Bは、軸受カバー20に支持される。
【0069】
このような構成により、作業者は、カップリング10のメンテナンスを行う場合には、上側固定ガード45Aおよび上側移動ガード55Aを取り外すだけの簡単な方法で、容易にカップリング10にアクセスすることができる。下側固定ガード45Bおよび下側移動ガード55Bは、受け皿としての役割を果たすことができるため、作業者が誤って、連結具15を落下させたとしても、下側固定ガード45Bおよび下側移動ガード55Bは、連結具15を受け止めることができる。
【0070】
図14に示すように、軸受カバー20は、軸線CL方向に対して垂直に延びる円盤形状を有しており、作業者によるカップリング10へのアクセスを阻害する部位(例えば、軸線CL方向に延びる部位)を有していない。したがって、作業者は、軸受カバー20に阻害されることなく、カップリング10のメンテナンスを行うことができる。図14に示す実施形態では、中心側部位20aおよび外側部位20bは、同一平面内に位置しているが、軸受カバー20は、このような円盤形状を有してもよい。
【0071】
上側固定ガード45Aおよび下側固定ガード45Bを比較すると、下側固定ガード45Bは、上側固定ガード45Aに対して長孔91を有しているが、下側固定ガード45Bの他の構造は上側固定ガード45Aと同一である。したがって、上側固定ガード45Aおよび下側固定ガード45Bは、同一の成形プレス型によって製造することができる。
【0072】
同様に、下側移動ガード55Bは、上側移動ガード55Aに対して長孔92を有しているが、下側移動ガード55Bの他の構造は、上側移動ガード55Aと同一である。したがって、上側移動ガード55Aおよび下側移動ガード55Bは、同一の成形プレス型によって製造することができる。
【0073】
このように、上側固定ガード45Aおよび下側固定ガード45Bは同一の成形プレス型によって製造することができ、下側固定ガード45Bは、上側固定ガード45Aに長孔91を形成するだけの簡単な方法によって、製造可能である。同様に、上側移動ガード55Aおよび下側移動ガード55Bは同一の成形プレス型によって製造することができ、下側移動ガード55Bは、上側移動ガード55Aに長孔92を形成するだけの簡単な方法によって、製造可能である。
【0074】
したがって、ガード部材21の製造コストを低減することができ、結果として、カップリングガード1の全体の製造コストを低減することができる。さらに、本実施形態よれば、カップリングガード1は、比較的少ない部品点数(すなわち、1つの軸受カバー20、2つの固定ガード45A,45B、および2つの移動ガード55A,55B)から構成されている。したがって、カップリングガード1の全体の製造コストを低減することができる。
【0075】
図15は、カップリングガードの他の実施形態を示す図である。図15において、特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同一であるので、その重複する説明を省略する。図15に示す実施形態では、機械装置としてのポンプ装置100は、上述した実施形態に係るカップリングガード1とは異なる構造を有するカップリングガード201を備えている。
【0076】
図16は、軸受カバーの他の実施形態を示す断面図である。図17は、軸受カバーの他の実施形態を示す斜視図である。図16および図17に示すように、環状の円盤形状を有する軸受カバー220は、その外周面220aに形成された複数の突起部223を有している。これら複数の突起部223は、軸線CL方向と垂直に延びており、軸受カバー220の円周方向に沿って等間隔に配置されている。言い換えれば、複数の突起部223は、軸受カバー220の半径方向外側に向かって延びている。
【0077】
一実施形態では、複数の突起部223は、軸受カバー220の円周方向に沿って不等間隔に配置されてもよい。本実施形態では、3つの突起部223が形成されているが、突起部223の数は本実施形態には限定されない。一実施形態では、少なくとも1つの突起部223が形成されてもよい。
【0078】
図18は、ガード部材の他の実施形態を示す図である。図18に示すように、カップリングガード201は、軸受カバー220に取り付けられたガード部材221を備えている。図18に示すように、ガード部材221は、円筒形状を有する第1ガード225Aと、円筒形状を有し、かつ第1ガード225Aに接続された第2ガード225Bと、を備えている。図18に示す実施形態では、第2ガード225Bは、第1ガード225Aの少なくとも一部を覆っている。一実施形態では、第1ガード225Aが第2ガード225Bの少なくとも一部を覆ってもよい。
【0079】
第1ガード225Aおよび第2ガード225Bは、同一構造を有している。したがって、1種類のガードを製造することにより、第1ガード225Aおよび第2ガード225Bの両方に対応することができる。結果として、ガード部材221の部品点数を削減することができ、在庫の数も低減することができる。
【0080】
第1ガード225Aおよび第2ガード225Bは同一の構造を有しているため、以下、第1ガード225Aの構造について、説明する。第1ガード225Aは、折り曲げ可能な一枚の板材から構成されており、軸受カバー220に巻き付けられている。第1ガード225Aを軸受カバー220に巻き付けることにより、第1ガード225Aは円筒形状を有する。図16および図18に示すように、ガード部材221の第1ガード225A(および第2ガード225B)は、軸受カバー220の突起部223が挿入可能な挿入孔224を有している。挿入孔224の数は、突起部223の数に対応している。本実施形態では、3つの挿入孔224が円筒形状の第1ガード225Aの円周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0081】
図19は、第1ガードを軸受カバーに巻き付ける様子を示す図である。図19に示すように、作業者は、まず、第1ガード225Aの挿入孔224(より具体的には、第1ガード225Aの巻き始めにおける挿入孔224)に軸受カバー220の突起部223(より具体的には、第1ガード225Aの巻き始めにおける挿入孔224に対応する突起部223)を挿入する。この状態で、作業者は、第1ガード225Aを軸受カバー220の円周方向に移動させて(図19の矢印参照)、すべての突起部223をすべての挿入孔224に挿入する。
【0082】
図20は、軸受カバーに巻き付けられた第1ガードを示す図である。図20に示すように、第1ガード225Aは、その両端226に形成された2つの連結部227を有している。連結部227のそれぞれは、締結具228(例えば、ボルトおよびナットの組み合わせ)が挿入可能な貫通孔(図示しない)を有している。作業者は、これら貫通孔に締結具228を挿入することによって、連結部227同士を締結する。
【0083】
このように、作業者は、突起部223を挿入孔224に挿入し、かつ連結部227同士を締結具228によって締結することにより、ガード部材221(より具体的には、第1ガード225A)を軸受カバー220に取り付ける。挿入孔224に挿入された突起部223は、軸受カバー220の回転方向の移動を制限し、かつ軸受カバー220の軸線CL方向の移動を制限する。
【0084】
本実施形態によれば、カップリングガード201は、突起部223を挿入孔224に挿入することにより、ガード部材221を軸受カバー220に取り付ける簡単な構造を有している。したがって、カップリングガード201の全体の部品点数を減らすことができ、結果として、カップリングガード201のコストを低減することができる。さらには、カップリングガード201の分解性および組立性を向上させることができる。
【0085】
図21は、突起部に形成された切り欠き部を示す図である。図22は、切り欠き部の拡大図である。上述したように、第1ガード225A(および第2ガード225B)は、折り曲げ可能な一枚の板材から構成されている。したがって、第1ガード225Aを軸受カバー220に巻き付けるとき、第1ガード225Aは、その復元力により反発してしまうおそれがある。この場合、作業者は、一方の手で、突起部223を挿入孔224に挿入した状態を維持したまま、他方の手で、第1ガード225Aを軸受カバー220に巻き付けなければならない。
【0086】
図21に示す実施形態では、第1ガード225Aの巻き付け作業を容易にするために、複数の突起部223の少なくとも1つは、挿入孔224に引っかかる切り欠き部230を有している。図21に示す実施形態では、切り欠き部230は、第1ガード225Aの巻き方向(図21の矢印RL参照)において、巻き始めの位置に配置された突起部223に形成されている。
【0087】
より具体的には、図22に示すように、突起部223は、第1角部223aと、巻き方向RLにおいて、第1角部223aの後ろ側に配置された第2角部223bと、を有している。切り欠き部230は、第2角部223bの前側に配置された第1角部223aに形成されている。一実施形態では、切り欠き部230は、第1角部223aのみならず、第2角部223bに形成されてもよい。他の実施形態では、切り欠き部230は、第2角部223bにのみ形成されてもよい。
【0088】
図23は、図21に示す実施形態において、第1ガードを軸受カバーに巻き付ける様子を示す図である。図23に示すように、切り欠き部230を有する突起部223を挿入孔224に挿入することにより、第1ガード225Aは突起部223の切り欠き部230に引っかかる。したがって、第1ガード225Aに反発力が作用しても、第1ガード225Aは、容易には、軸受カバー220から離脱しない。結果として、作業者は、第1ガード225Aの巻き付け作業を容易に、かつ安全に行うことができる。
【0089】
図24は、第1ガードの一部を覆う第2ガードを示す図である。図24に示すように、第1ガード225Aと同一構造を有する第2ガード225Bは、第1ガード225Aの一部を覆っている。第2ガード225Bは、第1ガード225Aと同様に、2つの連結部227を有している。したがって、作業者は、第2ガード225Bの連結部227が第1ガード225Aの連結部227を挟み込むように、第2ガード225Bを第1ガード225Aに巻き付けて、第1ガード225Aの一部を覆う。
【0090】
図24に示すように、第1ガード225Aの連結部227のそれぞれは、軸線CL方向と平行に延びる長孔235を有している。同様に、第2ガード225Bの連結部227のそれぞれは、軸線CL方向と平行に延びる長孔235を有している。作業者は、第1ガード225Aの一部を第2ガード225Bで覆った状態で、第2ガード225Bの連結部227同士を締結具(例えば、ボルトおよびナットの組み合わせ)229によって締結する。このとき、作業者は、締結具229を第1ガード225Aの連結部227に形成された長孔235に挿入する。このような構成により、第1ガード225Aおよび第2ガード225Bは、互いに接続される。
【0091】
図24に示すように、作業者は、第2ガード225Bの連結部227に形成された長孔235に締結具(例えば、ボルトおよびナットの組み合わせ)236を挿入して、第2ガード225Bの連結部227同士を締結する。このように、作業者は、締結具228,229,236によって、第1ガード225Aおよび第2ガード225Bを締結することにより、ガード部材221を組み立てる。
【0092】
作業者は、締結具229を緩めることにより、第2ガード225Bは、第1ガード225Aに対して、軸線CL方向に相対的に移動可能である。このように、本実施形態においても、ガード部材221は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造を有している。本実施形態においても、モータ2とポンプ3との間の距離に応じて、カップリングガード201(より具体的には、ガード部材221)の長さを調整することができるため、作業者がモータ2の駆動軸5に接触することを確実に防止することができる。
【0093】
図25は、ガード部材の視認構造を示す図である。図25に示すように、ガード部材221は、カップリング10を視認可能な視認構造としての複数のスリット240を有している。スリット240は、第1ガード225Aおよび第2ガード225Bのそれぞれに形成されている。作業者は、複数のスリット240を通じて、カップリング10を視認可能である。カップリング10を視認可能であれば、スリット240の数は本実施形態には限定されない。少なくとも1つのスリット240が形成されてもよい。
【0094】
図25に示す実施形態では、複数のスリット240は、第1ガード225A(および第2ガード225B)の下半分に配置されている。このような配置により、ポンプ装置100を屋外に配置したとしても、雨などの液体の、カップリングガード201の内部への浸入を防止することができる。さらに、連結具15の弾性部材の屑はスリット240を通じて、外部に排出される。したがって、作業者は、カップリングガード201を分解することなく、連結具15の状態を把握することができる。本実施形態においても、ガード部材221は、ドレン構造を有している。
【0095】
ポンプ装置100は、屋内に配置される場合もある。したがって、一実施形態では、複数のスリット240は、第1ガード225A(および第2ガード225B)の上半分に配置してもよい。一実施形態では、複数のスリット240は、第1ガード225A(および第2ガード225B)の全体(すなわち、上半分および下半分)に配置されてもよい。
【0096】
図25に示す実施形態では、軸線CLと垂直に延びる仮想的な中心線ALによって、第1ガード225Aを鉛直方向に二等分した場合、各スリット240は、第1ガード225A(および第2ガード225B)の中心からずれた位置に配置されている。より具体的には、各スリット240は、第1ガード225Aの、軸線CL方向における一端部241よりも第1ガード225Aの、軸線CL方向における他端部242に近接して配置されている。
【0097】
言い換えれば、第1ガード225A(および第2ガード225B)は、各スリット240と一端部241との間に形成された領域AR1と、各スリット240と他端部242との間に形成された領域AR2と、を有している。領域AR1は領域AR2よりも大きく、挿入孔224は領域AR1に配置されている。
【0098】
図26は、第1ガードおよび第2ガードの組み合わせの一例を示す図である。図26に示すように、作業者は、第2ガード225Bの領域AR1がモータ側に位置するように第2ガード225Bを配置してもよい。このような配置により、第2ガード225Bの領域AR2は、カップリングガード201の中心側に位置する。
【0099】
図26に示すように、カップリング10は、カップリングガード201の中心側に配置されている。したがって、第2ガード225Bの領域AR2をカップリングガード201の中心側に位置させることにより、カップリング10の大部分は、各スリット240を通じて外部に露出する。したがって、カップリング10の視認領域を拡大することができ、作業者は、カップリング10の状態をより確実に確認することができる。
【0100】
図27は、軸受カバーに取り付けられたガードカバーを示す図である。図28は、ガードカバーの正面図である。本実施形態において、ガード部材221の第1ガード225Aおよび第2ガード225Bは、上述した実施形態に係るガード225A,225Bの構造と同一の構造を有しているため、ガード225A,225Bの構造の説明を省略する。
【0101】
図27および図28に示す実施形態では、ポンプ装置100は、軸受フレーム3aの開口を覆う軸受カバー250を備えている。軸受カバー250は、軸受フレーム3aの外側に張り出しておらず、締結具265によって、軸受フレーム3aの開口を覆っている。
【0102】
カップリングガード201は、軸受カバー250に取り付けられたガードカバー260と、ガード部材221と、を備えている。図27に示す実施形態においても、ガードカバー260は、ガード部材221の挿入孔224に挿入可能な突起部263を有しており、突起部263は、回転軸7の軸線CL方向と垂直に延びている。図示しないが、本実施形態においても、複数の突起部263の少なくとも1つは、挿入孔224に引っかかる切り欠き部を有してもよい。
【0103】
図27に示すように、軸受カバー250およびガードカバー260は、締結具(例えば、ねじ)265によって、軸受フレーム3aに締結されている。図27に示す実施形態では、軸受カバー250を軸受フレーム3aに締結するための締結具265によって、軸受カバー250とともにガードカバー260を軸受フレーム3aに締結することができる。本実施形態では、ガードカバー260を軸受カバー250に締結するための構成(例えば、ボルトおよびナット)を省略することができ、かつポンプ装置100の組立工数を削減することができる。
【0104】
図28に示すように、ガードカバー260は、その中央に形成された貫通孔270と、締結具265が挿入可能な複数の締結孔266と、を有している。貫通孔270は、軸受カバー250の貫通孔22と一直線上に並んでおり、回転軸7は、貫通孔22,270を貫通して延びている。
【0105】
図28に示す実施形態では、ガードカバー260は、4つの締結孔266を有しているが、締結孔266の数は、本実施形態には限定されない。締結孔266の数は、軸受カバー250に形成された、締結具265を挿入するための締結孔(図示しない)の数に対応している。
【0106】
図27に示すように、ガード部材221は、その長手方向の長さを調整可能な長さ調整構造としての長孔235(より具体的には、第2ガード225Bに設けられた長孔235)を有している。さらに、ガード部材221は、カップリング10を視認可能な視認構造としてのスリット240を有している。
【0107】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 カップリングガード
2 モータ
3 ポンプ
3a 軸受フレーム
3b 羽根車ケーシング
4 羽根車
5 駆動軸
6 開口側端部
7 回転軸
8 ベース
10 カップリング
11 駆動軸側フランジ
12 回転軸側フランジ
15 連結具
16 軸受
20 軸受カバー
20a 中心側部位
20b 外側部位
21 ガード部材
22 貫通孔
40 締結具
41 連結孔
42A 上側張り出し部
42B 下側張り出し部
45A 上側固定ガード
45B 下側固定ガード
46 連結フランジ
46a 長孔
47 連結フランジ
47a 長孔
50 締結孔
55A 上側移動ガード
55B 下側移動ガード
56 連結フランジ
56a 長孔
57 連結フランジ
57a 長孔
60 締結具
70 除きスリット
72 排出スリット
80 閉止カバー
81 貫通孔
90 固定具
91 長孔
92 長孔
100 ポンプ装置
201 カップリングガード
220 軸受カバー
220a 外周面
221 ガード部材
223 突起部
223a 第1角部
223b 第2角部
224 挿入孔
225A 第1ガード
225B 第2ガード
226 両端
227 連結部
228 締結具
229 締結具
230 切り欠き部
235 長孔
236 締結具
240 スリット
241 一端部
242 他端部
250 軸受カバー
260 ガードカバー
263 突起部
265 締結具
266 締結孔
270 貫通孔
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