(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133226
(43)【公開日】2022-09-13
(54)【発明の名称】物理量検出装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/22 20060101AFI20220906BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20220906BHJP
【FI】
G01K7/22 J
G01K1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021129787
(22)【出願日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】P 2021031380
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福地 圭介
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CL07
(57)【要約】
【課題】物理量を検出する物理量センサを検出対象の電線と共にモールド材に埋め込む場合に比較して製造コストを低減することが可能な物理量検出装置を提供する。
【解決手段】物理量検出装置1は、第1乃至第3の電線61~63を挟んで配置される第1及び第2のリテーナ2,3と、第1及び第2のリテーナ2,3によって第1乃至第3の電線61~63に対して固定される温度センサ4とを備える。第1及び第2のリテーナ2,3は、互いに係止されることにより第1乃至第3の電線61~63に対して固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を挟んで配置される第1及び第2のリテーナと、前記第1及び第2のリテーナによって前記電線に対して固定される物理量センサとを備え、前記物理量センサによって前記電線の物理量を検出する物理量検出装置であって、
前記第1及び第2のリテーナが互いに係止されることにより前記電線に対して固定される、
物理量検出装置。
【請求項2】
前記物理量センサが前記第1のリテーナと前記電線との間に配置されている、
請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のリテーナの間に、スペーサを介して並列する複数の前記電線が配置され、
前記第1及び第2のリテーナの少なくとも何れかが前記スペーサに係合する、
請求項1又は2に記載の物理量検出装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のリテーナのうち一方のリテーナが他方のリテーナに向かって延びる複数のアームを有し、前記複数のアームのそれぞれの先端部が前記他方のリテーナに係合している、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の物理量検出装置。
【請求項5】
前記物理量センサを保持する保持空間が形成されたセンサホルダをさらに備え、
前記センサホルダが前記第1のリテーナと前記電線との間に配置されている、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の物理量検出装置。
【請求項6】
前記センサホルダは、前記保持空間が前記第1のリテーナに向かって開口する開口部を有しており、
前記開口部が前記第1のリテーナによって閉塞されている、
請求項5に記載の物理量検出装置。
【請求項7】
前記センサホルダにおける前記電線との対向面には、前記電線の外周面に沿うように窪んだ凹面が形成されている、
請求項5又は6に記載の物理量検出装置。
【請求項8】
前記物理量センサは、前記物理量を電気信号に変換する検出部と、前記電気信号を伝送する信号線路と、前記検出部を収容するケース部材とを有し、
前記センサホルダには、前記信号線路を前記保持空間から導出する導出窓、及び前記導出窓から前記ケース部材が抜け出すことを防ぐ係止突起が設けられている、
請求項5乃至7の何れか1項に記載の物理量検出装置。
【請求項9】
前記ケース部材が前記保持空間における前記電線側の内面に向かって弾性的に押し付けられている、
請求項8に記載の物理量検出装置。
【請求項10】
前記第1のリテーナに前記物理量センサを保持する保持空間が形成されており、
前記保持空間が前記電線に向かって開口している、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の物理量検出装置。
【請求項11】
前記物理量センサは、前記物理量を電気信号に変換する検出部と、前記電気信号を伝送する信号線路と、前記検出部を収容するケース部材とを有し、
前記第1のリテーナには、前記信号線路を前記保持空間から導出する導出窓、及び前記導出窓から前記ケース部材が抜け出すことを防ぐ係止突起が設けられている、
請求項10に記載の物理量検出装置。
【請求項12】
前記ケース部材が前記電線に向かって弾性的に押し付けられている、
請求項11に記載の物理量検出装置。
【請求項13】
前記第1のリテーナに前記物理量センサを保持する保持空間が形成されている、
請求項1に記載の物理量検出装置。
【請求項14】
前記保持空間は、前記電線とは反対側に向かって開口する開口部を有しており、
前記開口部が前記第1のリテーナに取り付けられる蓋部材によって閉塞されている、
請求項13に記載の物理量検出装置。
【請求項15】
前記第1のリテーナは、前記電線と前記物理量センサとの間に介在する介在壁部を有し、
前記介在壁部における前記電線との対向面に、前記電線の外周面に沿うように窪んだ凹面が形成されている、
請求項14に記載の物理量検出装置。
【請求項16】
前記蓋部材に、前記物理量センサを前記介在壁部に向かって押し付ける弾性部が設けられている、
請求項15に記載の物理量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の物理量を検出する物理量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機や発電機などの回転電機の過熱による損傷を防ぐため、温度センサによって回転電機の温度を検出することが行われている。特許文献1に記載の回転電機は、サーミスタ等の温度検出素子を内蔵した温度センサが回転電機の中性線と共にモールド材に埋め込まれた埋込型の温度検出部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の回転電機の製造時には、温度センサを回転電機の中性線と共に金型内に配置し、金型のキャビティに溶融樹脂を注入してモールド材を成形するインサート成形工程が必要となる。この工程は、インサート成形ではない射出成形によって樹脂部品を製造する場合に比較して工数が多く、コストが嵩むため、製造コスト低減の妨げとなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、物理量を検出する物理量センサを検出対象の電線と共にモールド材に埋め込む場合に比較して、製造コストを低減することが可能な物理量検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、電線を挟んで配置される第1及び第2のリテーナと、前記第1及び第2のリテーナによって前記電線に対して固定される物理量センサとを備え、前記物理量センサによって前記電線の物理量を検出する物理量検出装置であって、前記第1及び第2のリテーナが互いに係止されることにより前記電線に対して固定される、物理量検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る物理量検出装置によれば、物理量を検出する物理量センサを検出対象の電線と共にモールド材に埋め込む場合に比較して、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る物理量検出装置を異なる方向から見た斜視図である。
【
図2】
図1(a)に示す方向から見た物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図3】
図1(b)に示す方向から見た物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図4】第1乃至第3の電線と、第1乃至第3の電線の間に配置される第1及び第2のスペーサを示す斜視図である。
【
図7】(a)乃至(c)は、物理量検出装置の組み立て手順を示す説明図である。
【
図8】(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係る第1のリテーナを示す斜視図である。
【
図9】第2の形態に係る物理量検出装置の断面図である。
【
図10】第3の実施の形態に係る物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図11】第3の実施の形態に係る物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図12】第3の形態に係る物理量検出装置の断面図である。
【
図13】第4の実施の形態に係る第1のリテーナを示す斜視図である。
【
図14】第4の形態に係る物理量検出装置の断面図である。
【
図15】第5の実施の形態に係る物理量検出装置を示す斜視図である。
【
図16】第5の実施の形態に係る物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図17】第5の実施の形態に係る物理量検出装置の分解斜視図である。
【
図18】第5の実施の形態に係る物理量検出装置の第1乃至第3の電線及びスペーサを示す斜視図である。
【
図19】第5の実施の形態に係る物理量検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を
図1乃至
図7を参照して説明する。
【0010】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る物理量検出装置を異なる方向から見た斜視図である。
図2は、
図1(a)に示す方向から見た物理量検出装置の分解斜視図である。
図3は、
図1(b)に示す方向から見た物理量検出装置の分解斜視図である。
図4は、第1乃至第3の電線と、第1乃至第3の電線の間に配置される第1及び第2のスペーサを示す斜視図である。
図5は、温度センサの内部を示す斜視図である。
図6は、物理量検出装置の断面図である。
【0011】
この物理量検出装置1は、第1乃至第3の電線61~63を検出対象とし、第1乃至第3の電線61~63の物理量を検出する。本実施の形態では、この物理量として第1乃至第3の電線61~63の温度を検出する場合について説明するが、これに限らず、例えば第1乃至第3の電線61~63を流れる電流によって発生する磁界の強度を検出するようにしてもよい。
【0012】
第1乃至第3の電線61~63は、回転電機の三相巻線のそれぞれに接続される。回転電機は、例えば三相交流電流によってステータに発生する磁界によってロータを回転させるモータ、あるいはロータの回転によって三相交流電流を発生させるジェネレータ(発電機)、もしくはモータ及びジェネレータの機能を併せ持つモータ・ジェネレータである。
【0013】
第1乃至第3の電線61~63は、
図6に断面で示すように、銅などの良導電性からなる導体611,621,631がエナメルなどの絶縁性樹脂からなる被覆層612,622,632に被覆された絶縁被覆電線である。なお、本実施の形態では、第1乃至第3の電線61~63が断面円形状の丸単線であるが、これに限らず、第1乃至第3の電線61~63が例えば断面矩形状の平角電線であってもよい。
【0014】
第1乃至第3の電線61~63は、樹脂製の第1及び第2のスペーサ71,72を介して並列している。第1のスペーサ71は、第1の電線61と第2の電線62との間に配置され、第2のスペーサ72は、第2の電線62と第3の電線63との間に配置されている。
【0015】
図4に示すように、第1のスペーサ71は、第1及び第2の電線61,62と平行に延在する平板状の板部711と、板部711の長手方向に離間して設けられた一対の保持部712,713とを一体に有している。一対の保持部712,713には、第1の電線61の一部を収容する凹部712a,713a、及び第2の電線62の一部を収容する凹部712b,713bがそれぞれ形成されている。
【0016】
同様に、第2のスペーサ72は、第2及び第3の電線62,63と平行に延在する平板状の板部721と、板部721の長手方向に離間して設けられた一対の保持部722,723とを一体に有している。一対の保持部722,723には、第2の電線62の一部を収容する凹部722a,723a、及び第3の電線63の一部を収容する凹部722b,723bがそれぞれ形成されている。
【0017】
また、第1のスペーサ71は、第1の電線61と第2の電線62の並び方向に対して垂直な方向に沿って板部711から突出した係合突起714,715を有している。同様に、第2のスペーサ72は、第2の電線62と第3の電線63の並び方向に対して垂直な方向に沿って板部721から突出した係合突起724を有している。
【0018】
第1のスペーサ71には、一対の保持部712,713の間に二つの係合突起714,715が設けられている。第2のスペーサ72には、一対の保持部722,723の間に一つの係合突起724が設けられている。これらの係合突起714,715,724は、次に述べる物理量検出装置1の第2のリテーナ3との相対的な位置決め及び固定のために用いられる。
【0019】
物理量検出装置1は、第1乃至第3の電線61~63を挟んで配置される第1及び第2のリテーナ2,3と、第1及び第2のリテーナ2,3によって第1乃至第3の電線61~63に対して固定される物理量センサとしての温度センサ4と、温度センサ4を保持する保持空間50が形成されたセンサホルダ5とを有している。第1乃至第3の電線61~63は、第1のリテーナ2と第2のリテーナ3との間に互いに平行に配置されている。第1及び第2のリテーナ2,3ならびにセンサホルダ5は、インサート成形ではない射出成形によって形成された単体の樹脂部品である。なお、センサホルダ5の樹脂材料としては、温度の検出精度向上のため、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性が高いものを用いることが好ましく、熱伝導率が3W/m・K以上のものを用いることがより好ましい。
【0020】
物理量検出装置1は、温度センサ4によって第1乃至第3の電線61~63の温度を検出する。温度センサ4は、
図5及び
図6に示すように、物理量(本実施の形態では温度)を電気信号に変換する検出部としてのサーミスタ41と、サーミスタ41を収容するケース部材42と、ケース部材42に収容された保持部材43と、ケース部材42から引き出された一対の信号線441,442とを有している。
【0021】
ケース部材42は、射出成形された樹脂からなる有底筒状の成形体である。ケース部材42の内部には、充填剤46が充填されている。充填剤46は、例えばエポキシ樹脂である。以下、ケース部材42及びその内部に収容された部分(サーミスタ41、保持部材43、充填剤46、ならびに信号線441,442の一部)を温度センサ4の本体部40という。
【0022】
サーミスタ41は、温度によって電気抵抗が変化する検出素子としての金属酸化物焼結体411(
図6参照)と、金属酸化物焼結体411に接続された一対のリード線412,413と、金属酸化物焼結体411を封止する封止材414とを有している。封止材414は、例えばガラス封止材であり、楕円球状に形成されている。
【0023】
一対のリード線412,413は、それぞれの一端部が封止材414の中で金属酸化物焼結体411に接続されている。一対のリード線412,413のそれぞれの他端部は、封止材414の外で一対の信号線441,442に接続されている。信号線441,442は、例えば複数の素線が撚り合わされた撚り線からなる芯線441a,442aを樹脂からなる絶縁体441b,442bに覆ってなる絶縁電線である。
【0024】
一対のリード線412,413及び一対の信号線441,442は、サーミスタ41が出力する電気信号を伝送する信号線路451,452を構成する。信号線路451,452は、この電気信号を例えば回転電機を制御する制御装置に伝送する。制御装置は、検出された温度が所定値よりも高いとき、回転電機に流れる電流を抑制し、回転電機の過熱による損傷の発生を防止する。
【0025】
センサホルダ5には、
図3に示すように、信号線441,442を保持空間50から導出する導出窓501、及び導出窓501から温度センサ4のケース部材42が抜け出すことを防ぐ一対の係止突起51,52が設けられている。本実施の形態では、導出窓501が一対の係止突起51,52の間に設けられている。信号線441,442は、第1乃至第3の電線61~63の並び方向に沿って導出窓501から導出されている。
【0026】
また、センサホルダ5は、第1のリテーナ2に向かって保持空間50が開口する開口部502を有しており、この開口部502が第1のリテーナ2によって閉塞されている。温度センサ4のケース部材42は、第1のリテーナ2によって開口部502から抜け出さないように、センサホルダ5の保持空間50に保持されている。
【0027】
センサホルダ5は、第1乃至第3の電線61~63に対向する対向壁53と、保持空間50を挟んで第1乃至第3の電線61~63の軸方向と平行に向かい合う一対の側壁54,55と、保持空間50を導出窓501とは反対側で閉塞する底壁56とを一体に有している。温度センサ4のケース部材42は、対向壁53及び一対の側壁54,55に三方向から囲まれている。
【0028】
一対の係止突起51,52は、一対の側壁54,55のそれぞれの端部に設けられている。底壁56には、第1乃至第3の電線61~63の並び方向に対して垂直な方向に沿って突出した係合突起57が設けられている。係合突起57は、底壁56における第1のリテーナ2との対向面56aに立設されている。
【0029】
第1のリテーナ2の外壁21には、係合突起57が係合する係合凹部210が形成されている。センサホルダ5は、係合突起57が係合凹部210に係合することにより、第1のリテーナ2に対する第1乃至第3の電線61~63の並び方向への相対移動が規制される。
【0030】
センサホルダ5の対向壁53における第1乃至第3の電線61~63との対向面53aには、第1乃至第3の電線61~63のそれぞれの外周面に沿うように窪んだ凹面530a,530b,530cが形成されている。第1乃至第3の電線61~63の軸方向から見た凹面530a,530b,530cの曲率は、第1乃至第3の電線61~63の外周面の曲率と同じか、もしくは第1乃至第3の電線61~63の外周面の曲率よりも僅かに大きく形成されている。この凹面530a,530b,530cを有するセンサホルダ5の形状により、第1乃至第3の電線61~63の熱がセンサホルダ5を経て温度センサ4に伝達されやすくなっている。
【0031】
また、対向壁53には、第1のスペーサ71の板部711が係合する第1の係合溝531、及び第2のスペーサ72の板部721が係合する第2の係合溝532が形成されている。第1のスペーサ71の板部711は、一対の保持部712,713の間で第1の係合溝531に係合する。第2のスペーサ72の板部721は、一対の保持部722,723の間で第2の係合溝532に係合する。
【0032】
温度センサ4及びセンサホルダ5は、第1のリテーナ2と第1乃至第3の電線61~63との間に配置されている。温度センサ4は、第1及び第2のリテーナ2,3が互いに係止されることにより、第1乃至第3の電線61~63に対して固定される。
【0033】
第1のリテーナ2は、センサホルダ5における保持空間50の開口部502を閉塞する外壁21と、センサホルダ5の一対の側壁54,55にそれぞれ対向する一対の横壁22,23と、第1乃至第3の電線61~63を越えて一対の横壁22,23のそれぞれから第2のリテーナ3に向かって延びる複数のアーム241~244と、複数のアーム241~244のそれぞれの先端部に設けられた係合突起251~254とを一体に有している。
【0034】
本実施の形態では、第1のリテーナ2が四つのアーム241~244を有しており、このうち二つのアーム241,243が一対の横壁22,23のうち一方の横壁22から第2のリテーナ3側に延びている。他の二つのアーム242,244は、一対の横壁22,23のうち他方の横壁23から第2のリテーナ3側に延びている。
【0035】
第2のリテーナ3は、第1乃至第3の電線61~63の並び方向に長い略長方形状であり、長手方向の両端部に複数の係合凹部311~314が形成されている。これらの係合凹部311~314には、第1のリテーナ2の係合突起251~254がそれぞれ係合する。この係合凹部311~314と係合突起251~254との係合により、第1のリテーナ2と第2のリテーナ3とが第1乃至第3の電線61~63及び温度センサ4を挟んで互いに係止され、第1乃至第3の電線61~63に対して固定される。
【0036】
また、第2のリテーナ3には、第1のスペーサ71の係合突起714,715及び第2のスペーサ72の係合突起724がそれぞれ係合する係合凹部321~323が形成されている。第2のリテーナ3は、係合凹部321~323に第1及び第2のスペーサ71,72の係合突起714,715,724が係合することで、第1乃至第3の電線61~63と相対的に位置決めされている。
【0037】
図7(a)乃至(c)は、物理量検出装置1の組み立て手順を示す説明図である。物理量検出装置1は、
図7(a)乃至(c)に示す第1乃至第3ステップによって組み立てられる。第1ステップでは、
図7(a)に示すように、センサホルダ5の開口部502から保持空間50に温度センサ4の本体部40を収容する。第2ステップでは、
図7(b)に示すように、温度センサ4の本体部40を収容したセンサホルダ5を第1のリテーナ2の一対の横壁22,23の間に配置し、センサホルダ5の係合突起57を第1のリテーナ2の係合凹部210に係合させる。これにより、第1のリテーナ2、温度センサ4、及びセンサホルダ5からなる組立体10(
図7(c)参照)が構成される。
【0038】
第3ステップでは、
図7(c)に示すように、第2のリテーナ3の係合凹部321~323に第1及び第2のスペーサ71,72の係合突起714,715,724を係合させると共に、組立体10と第2のリテーナ3との間に第1乃至第3の電線61~63を挟み、第1のリテーナ2の係合突起251~254を第2のリテーナ3の係合凹部311~314に係合させる。これにより、物理量検出装置1が組み立てられる。
【0039】
以上説明した本発明の第1の実施の形態によれば、インサート成形工程を要することなく物理量検出装置1を製造することができるので、製造コストを低減することが可能となる。また、センサホルダ5における保持空間50の大きさ等を市販されている汎用の温度センサ4に合わせることで、市販の温度センサ4(センサメーカの標準品)を用いてさらなる低コスト化を図ることも可能となる。なお、第1の実施の形態を次のように変形しても同様の効果が得られる。
【0040】
第1の実施の形態では、第1のリテーナ2が四つのアーム241~244を有し、これらのアーム241~244の先端部に設けられた係合突起251~254が第2のリテーナ3の係合凹部311~314にそれぞれ係合する場合について説明したが、これとは逆に、第2のリテーナに複数のアームを設け、これらのアームの先端部に設けられた係合突起を第1のリテーナに形成された係合凹部に係合させることにより、第1のリテーナと第2のリテーナを互いに係止させてもよい。
【0041】
また、第1の実施の形態では、第1及び第2のスペーサ71,72の係合突起714,715,724が第2のリテーナ3の係合凹部321~323に係合する場合について説明したが、第1及び第2のスペーサの少なくとも何れかに設けられた係合突起を第1のリテーナ又はセンサホルダ5に形成された係合凹部に係合させてもよい。この場合、第2のリテーナ3と第1及び第2のスペーサ71,72とは、必ずしも係合しなくてもよい。
【0042】
またさらに、第1の実施の形態における係合突起と係合凹部との関係は、互いに逆でもよい。例えば、第1のリテーナのアームの先端部に係合凹部が形成され、この係合凹部に第2のリテーナに設けた係合突起を係合させてもよい。第1のリテーナ2とセンサホルダ5との係合、及び第2のリテーナ3と第1及び第2のスペーサ71,72との係合の関係についても同様である。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る物理量検出装置1Aについて、
図8及び
図9を参照して説明する。
【0044】
図8(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係る第1のリテーナ2Aを示す斜視図である。
図9は、第2の形態に係る物理量検出装置1Aの断面図である。
図8及び
図9において、第1の実施の形態において説明したものと共通する構成要素については、
図1乃至
図7に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0045】
本実施の形態に係る物理量検出装置1Aは、温度センサ4のケース部材42が保持空間50における第1乃至第3の電線61~63側の内面、具体的にはセンサホルダ5の対向壁53における保持空間50側の内面53bに向かって弾性的に押し付けられている構成が、第1の実施の形態とは異なっている。
【0046】
本実施の形態では、第1のリテーナ2Aの外壁21に、温度センサ4のケース部材42を押し付ける弾性部211が設けられている。弾性部211は、外壁21の一部が保持空間50側に突出した舌片状の部分である。温度センサ4のケース部材42は、弾性部211が当接する当接面42aとは反対側の側面42bが、センサホルダ5の対向壁53の内面53b側に隙間なく接触している。これにより、第1乃至第3の電線61~63の熱が、センサホルダ5からケース部材42に伝達されやすくなっている。
【0047】
この第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態の効果と同様の効果が得られると共に、第1乃至第3の電線61~63の熱が温度センサ4のケース部材42に伝達されやすくなっているため、第1乃至第3の電線61~63の温度の検出精度を高めることができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る物理量検出装置1Bについて、
図10乃至
図12を参照して説明する。
【0049】
図10及び
図11は、第3の実施の形態に係る物理量検出装置1Bの分解斜視図である。
図12は、第3の形態に係る物理量検出装置1Bの断面図である。
図10乃至
図12において、第1の実施の形態において説明したものと共通する構成要素については、
図1乃至
図7に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0050】
本実施の形態に係る物理量検出装置1Bは、センサホルダ5を有しておらず、第1のリテーナ2Bに温度センサ4を保持する保持空間20が形成されている。保持空間20は、第1乃至第3の電線61~63に向かって開口しており、温度センサ4のケース部材42が第1乃至第3の電線61~63に対向している。
【0051】
第1のリテーナ2Bには、温度センサ4の信号線441,442を保持空間20から導出する導出窓201が形成されている。また、第1のリテーナ2Bは、導出窓201からケース部材42が抜け出すことを防ぐ係止突起26,27、及び係止突起26,27とは反対側の端部に設けられた底壁28を有している。
【0052】
この第3の実施の形態によっても、第1の実施の形態の効果と同様の効果が得られると共に、センサホルダ5が不要となるので、さらなる低コスト化を図ることができる。また、第1乃至第3の電線61~63の熱が温度センサ4のケース部材42に伝達されやすいため、第1乃至第3の電線61~63の温度の検出精度をさらに高めることができる。
【0053】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態に係る物理量検出装置1Cについて、
図13及び
図14を参照して説明する。
【0054】
図13は、第4の実施の形態に係る第1のリテーナ2Cを示す斜視図である。
図14は、第4の形態に係る物理量検出装置1Cの断面図である。
図13及び
図14において、第1乃至第3の実施の形態において説明したものと共通する構成要素については、
図1乃至
図12に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0055】
本実施の形態に係る物理量検出装置1Cは、温度センサ4のケース部材42が第1乃至第3の電線61~63に向かって弾性的に押し付けられている構成が、第3の実施の形態とは異なっている。
【0056】
本実施の形態では、第1のリテーナ2Cの外壁21に、温度センサ4のケース部材42を第1乃至第3の電線61~63側に押し付ける弾性部211が設けられている。弾性部211は、第2の実施の形態と同様に、外壁21の一部が保持空間50側に突出した舌片状の部分である。温度センサ4のケース部材42は、弾性部211が当接する当接面42aとは反対側の側面42bが、第1乃至第3の電線61~63に接触している。これにより、第1乃至第3の電線61~63の熱がケース部材42に伝達されやすくなっている。
【0057】
この第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態に比較してさらに第1乃至第3の電線61~63の熱が温度センサ4のケース部材42に伝達されやすくなっているため、第1乃至第3の電線61~63の温度の検出精度をより一層高めることができる。
【0058】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態に係る物理量検出装置1Dについて、
図15乃至
図19を参照して説明する。
【0059】
図15は、本発明の第5の実施の形態に係る物理量検出装置1Dを示す斜視図である。
図16及び
図17は、物理量検出装置1Dの分解斜視図である。
図18は、第1乃至第3の電線61~63と、第1乃至第3の電線61~63の間に配置されるスペーサ7Dを示す斜視図である。
図19は、物理量検出装置の断面図である。
図15乃至
図19において、第1の実施の形態において説明したものと共通する構成要素については、
図1乃至
図7に付したものと同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0060】
物理量検出装置1Dは、第1乃至第3の電線61~63を挟んで配置される第1のリテーナ8及び第2のリテーナ3Dと、第1のリテーナ8に係止される蓋部材9と、温度センサ4とを備えている。第1の電線61と第2の電線62との間、及び第2の電線62と第3の電線63との間には、それぞれスペーサ7Dが配置されている。第1のリテーナ8、蓋部材9、第2のリテーナ3D、及びスペーサ7Dは、射出成形された樹脂からなる。
【0061】
第2のリテーナ3Dは、第1乃至第3の電線61~63の並び方向の一側で第1のリテーナ8に当接する第1の当接面33aと、第1乃至第3の電線61~63の並び方向の他側で第1のリテーナ8に当接する第2の当接面33bとを有している。第1の当接面33aには、第1乃至第4の嵌合孔331~334が形成され、第2の当接面33bには、第5乃至第8の嵌合孔335~338が形成されている。
【0062】
第2のリテーナ3Dにおける第1乃至第3の電線61~63との対向面34aには、第1乃至第3の電線61~63のそれぞれの外周面に沿うように窪んだ凹面340a,340b,340cが形成されている。第1の電線61に対応する凹面340aと第2の電線62に対応する凹面340bとの間、及び第2の電線62に対応する凹面340bと第3の電線63に対応する凹面340cとの間には、一対のスペーサ7Dのそれぞれの第2の連結部77(後述)に係合する第1及び第2の係合溝341,342が形成されている。
【0063】
スペーサ7Dは、第1乃至第3の電線61~63の何れかを収容する断面半円状の凹溝70がそれぞれ形成された第1乃至第3の電線支持部73~75と、第1乃至第3の電線支持部73~75を第1乃至第3の電線61~63の長手方向に連結する板状の第1及び第2の連結部76,77とを一体に有している。第1の電線支持部73には、第1及び第2のアンカー部731,732が設けられ、第2の電線支持部74には、第3のアンカー部741が設けられている。また、第3の電線支持部75には、第4乃至第6のアンカー部751~753が設けられている。第1乃至第6のアンカー部731,732,741,751,752,753は、第1乃至第3の電線61~63の並び方向及び長手方向に対して垂直な方向に突出して設けられた突起である。
【0064】
一対のスペーサ7D及び第1乃至第3の電線61~63は、第1及び第2の固定部材78,79によって互いに固定されている。第1の固定部材78は、第1のアンカー部731と第2のアンカー部732との間に設けられ、一対のスペーサ7Dの第1の電線支持部73を第1乃至第3の電線61~63と共に囲んでいる。第2の固定部材79は、第5のアンカー部752と第6のアンカー部753との間に設けられ、一対のスペーサ7Dの第3の電線支持部75を第1乃至第3の電線61~63と共に囲んでいる。第1及び第2の固定部材78,79は、例えばモールド成形されたモールド材であるが、第1及び第2の固定部材78,79のそれぞれを複数の樹脂部材の組み合わせによって構成してもよい。
【0065】
第1のリテーナ8には、温度センサ4を保持する保持空間80が形成されている。保持空間80は、第1乃至第3の電線61~63とは反対側に向かって開口する開口部800を有しており、この開口部800が蓋部材9によって閉塞されている。第1のリテーナ8は、第1乃至第3の電線61~63と温度センサ4との間に介在する介在壁部81と、第1乃至第3の電線61~63の並び方向における介在壁部81の両側に設けられた第1及び第2の側壁部82,83と、保持空間80を挟んで対向する第1及び第2の突設壁部84,85と、第1及び第2の突設壁部84,85の間に設けられた底壁部86とを一体に有している。
【0066】
第1及び第2の突設壁部84,85は、第1乃至第3の電線61~63の並び方向における介在壁部81の両端部から、第1乃至第3の電線61~63の並び方向及び長手方向に対して垂直な方向に突出して設けられている。なお、第1のリテーナ8の樹脂材料としては、温度の検出精度向上のため、熱伝導率が1W/m・K以上の熱伝導性が高いものを用いることが好ましく、熱伝導率が3W/m・K以上のものを用いることがより好ましい。
【0067】
また、第1のリテーナ8は、第2のリテーナ3Dの第1の当接面33aに当接する第1の当接面8aと、第2のリテーナ3Dの第2の当接面33bに当接する第2の当接面8bとを有している。第1及び第2の当接面8a,8bには、第2のリテーナ3Dの第1乃至第8の嵌合孔331~338にそれぞれ嵌合される第1乃至第8の嵌合突起871~878が設けられている。第1のリテーナ8及び第2のリテーナ3Dは、第1乃至第8の嵌合突起871~878が第2のリテーナ3Dの第1乃至第8の嵌合孔331~338に嵌合されて互いに係止されることにより、第1乃至第3の電線61~63に対して固定される。
【0068】
なお、第1のリテーナ8と第2のリテーナ3Dとの係止構造としては、第1のリテーナ8に形成された複数の嵌合孔に第2のリテーナ3Dの複数の嵌合突起が嵌合される構造でもよく、あるいはスナップフィット構造でもよい。
【0069】
介在壁部81における第1乃至第3の電線61~63との対向面81aには、第1乃至第3の電線61~63のそれぞれの外周面に沿うように窪んだ凹面810a,810b,810cが形成されている。第1の電線61に対応する凹面810aと第2の電線62に対応する凹面810bとの間、及び第2の電線62に対応する凹面810bと第3の電線63に対応する凹面810cとの間には、一対のスペーサ7Dのそれぞれの第2の連結部77に係合する第1及び第2の係合溝811,812が形成されている。
【0070】
蓋部材9は、第1のリテーナ8の保持空間80の開口部800を閉塞する閉塞壁91と、第1のリテーナ8の第1及び第2の突設壁部84,85に対向する第1乃至第4のアーム92~95と、第1乃至第4のアーム92~95のそれぞれの先端部に設けられた第1乃至第4の係合突起96~99とを一体に有している。第1乃至第4のアーム92~95は、第1及び第2の突設壁部84,85と温度センサ4との間に配置される。より具体的には、第1及び第3のアーム92,94が第1の突設壁部84と温度センサ4のケース部材42との間に配置され、第2及び第4のアーム93,95が第2の突設壁部85と温度センサ4のケース部材42との間に配置される。
【0071】
蓋部材9は、第1及び第3の係合突起96,98が第1の突設壁部84に形成された係合凹部841,842に係合し、第2及び第4の係合突起97,99が第2の突設壁部85に形成された係合凹部851,852に係合することで、第1のリテーナ8に取り付けられる。
【0072】
蓋部材9の閉塞壁91には、温度センサ4のケース部材42を介在壁部81に向かって押し付ける弾性部911が設けられている。弾性部911は、閉塞壁91の一部が保持空間80側に突出した舌片状の部分である。温度センサ4のケース部材42は、
図19に示すように、弾性部911が当接する当接面42aとは反対側の側面42bが介在壁部81に隙間なく接触している。これにより、第1乃至第3の電線61~63の熱が介在壁部81からケース部材42に伝達されやすくなっている。
【0073】
また、蓋部材9の閉塞壁91には、温度センサ4のケース部材42を係止して、温度センサ4の本体部40が第1乃至第3の電線61~63の並び方向に沿って保持空間80から抜け出すことを防ぐ係止突起912が設けられている。係止突起912は、一対の信号線441,442に対向し、第1のリテーナ8の介在壁部81に向かって突出するように設けられている。温度センサ4は、蓋部材9によって第1のリテーナ8の保持空間80から抜け止めされ、第1のリテーナ8及び第2のリテーナ3Dによって第1乃至第3の電線61~63に対して固定される。
【0074】
この第5の実施の形態によっても、第1の実施の形態の効果と同様の効果が得られると共に、第1乃至第3の電線61~63の熱が温度センサ4のケース部材42に伝達されやすくなっているため、第1乃至第3の電線61~63の温度の検出精度を高めることができる。
【0075】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0076】
[1]電線(61~63)を挟んで配置される第1及び第2のリテーナ(2,2A,2B,2D,3,3D)と、第1及び第2のリテーナ(2,2A,2B,2D,3,3D)によって前記電線(61~63)に対して固定される物理量センサ(温度センサ4)とを備え、前記物理量センサ(4)によって前記電線(61~63)の物理量を検出する物理量検出装置(1,1A~1D)であって、前記第1及び第2のリテーナ(2,2A,2B,2D,3,3D)が互いに係止されることにより前記電線(61~63)に対して固定される、物理量検出装置(1,1A~1D)。
【0077】
[2]前記物理量センサ(4)が前記第1のリテーナ(2,2A,2B)と前記電線(61~63)との間に配置される、上記[1]に記載の物理量検出装置(1,1A~1C)。
【0078】
[3]前記第1及び第2のリテーナ(2,3)の間に、スペーサ(71,72)を介して並列する複数の前記電線(61~63)が配置され、前記第1及び第2のリテーナ(2,3)の少なくとも何れかが前記スペーサ(71,72)に係合する、上記[1]に記載の物理量検出装置(1,1A~1C)。
【0079】
[4]前記第1及び第2のリテーナ(2,3)のうち一方のリテーナ(2)が他方のリテーナ(3)に向かって延びる複数のアーム(241~244)を有し、前記複数のアーム(241~244)のそれぞれの先端部が前記他方のリテーナ(3)に係合している、上記[1]又は[2]に記載の物理量検出装置(1,1A~1C)。
【0080】
[5]前記物理量センサ(4)を保持する保持空間(50)が形成されたセンサホルダ(5)をさらに備え、前記センサホルダ(5)が前記第1のリテーナ(2)と前記電線(61~63)との間に配置されている、上記[1]乃至[3]の何れかに1つに記載の物理量検出装置(1,1A)。
【0081】
[6]前記センサホルダ(5)は、前記保持空間(50)が前記第1のリテーナ(2)に向かって開口する開口部(502)を有しており、前記開口部(502)が前記第1のリテーナ(2)によって閉塞されている、上記[4]に記載の物理量検出装置(1,1A)。
【0082】
[7]前記センサホルダ(5)における前記電線(61~63)との対向面(53a)には、前記電線(61~63)の外周面に沿うように窪んだ凹面(53b,53c,53d)が形成されている、上記[4]又は[5]に記載の物理量検出装置(1,1A)。
【0083】
[8]前記物理量センサ(4)は、前記物理量を電気信号に変換する検出部(サーミスタ41)と、前記電気信号を伝送する信号線路(451,452)と、前記検出部(41)を収容するケース部材(42)とを有し、前記センサホルダ(5)には、前記信号線路(451,452)を前記保持空間(50)から導出する導出窓(501)、及び前記導出窓(501)から前記ケース部材(42)が抜け出すことを防ぐ係止突起(51,52)が設けられている、上記[4]乃至[6]の何れか1つに記載の物理量検出装置(1,1A)。
【0084】
[9]前記ケース部材(42)が前記保持空間(50)における前記電線(61~63)側の内面(53b)に向かって弾性的に押し付けられている、上記[7]に記載の物理量検出装置(1A)。
【0085】
[10]前記第1のリテーナ(2)に前記物理量センサ(4)を保持する保持空間(20)が形成されており、前記保持空間(20)が前記電線(61~63)に向かって開口している、上記[1]乃至[3]の何れかに1つ記載の物理量検出装置(1B,1C)。
【0086】
[11]前記物理量センサ(4)は、前記物理量を電気信号に変換する検出部(41)と、前記電気信号を伝送する信号線路(451,452)と、前記検出部(41)を収容するケース部材(42)とを有し、前記第1のリテーナ(2)には、前記信号線路(451,452)を前記保持空間(20)から導出する導出窓(201)、及び前記導出窓(201)から前記ケース部材(20)が抜け出すことを防ぐ係止突起(26,27)が設けられている、上記[9]に記載の物理量検出装置(1B,1C)。
【0087】
[12]前記ケース部材(42)が前記電線(61~63)に向かって弾性的に押し付けられている、上記[10]に記載の物理量検出装置(1C)。
【0088】
[13]前記第1のリテーナ(8)に前記物理量センサ(4)を保持する保持空間(80)が形成されている、上記[1]に記載の物理量検出装置(1D)。
【0089】
[14]前記保持空間(80)は、前記電線(61~63)とは反対側に向かって開口する開口部(800)を有しており、前記開口部(800)が前記第1のリテーナ(8)に取り付けられる蓋部材(9)によって閉塞されている、上記[13]に記載の物理量検出装置(1D)。
【0090】
[15]前記第1のリテーナ(8)は、前記電線(61~63)と前記物理量センサ(4)との間に介在する介在壁部(81)を有し、前記介在壁部(81)における前記電線(61~63)との対向面(81a)に、前記電線(61~63)の外周面に沿うように窪んだ凹面(810a,810b,810c)が形成されている、上記[14]に記載の物理量検出装置(1D)。
【0091】
[16]前記蓋部材(9)に、前記物理量センサ(4)を前記介在壁部(81)に向かって押し付ける弾性部(911)が設けられている、上記[15]に記載の物理量検出装置(1D)。
【0092】
以上、本発明の第1乃至第4実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0093】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、第2及び第4の実施の形態では、第1のリテーナ2の外壁21に弾性部211が設けられた場合について説明したが、これに限らず、例えばゴムやばね等の弾性体によって弾性部を形成してもよい。また、物理量の検出対象の電線は、3本に限らず、1本又は2本、もしくは4本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1,1A~1D…物理量検出装置
2,2A~2C,8…第1のリテーナ
20…保持空間
201…導出窓
241~244…アーム
3,3D…第2のリテーナ
4…温度センサ(物理量センサ)
41…サーミスタ(検出部)
451,452…信号線路
5…センサホルダ
50,80…保持空間
501…導出窓
51,52…係止突起
53…対向壁
53a…対向面
53b…内面
530a,530b,530c…凹面
61~63…第1乃至第3の電線
71…第1のスペーサ
72…第2のスペーサ
81…介在壁部
81a…対向面
810a,810b,810c…凹面