(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133612
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】送信装置及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04L 13/00 20060101AFI20220907BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20220907BHJP
H04J 3/08 20060101ALI20220907BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20220907BHJP
H04N 21/2385 20110101ALI20220907BHJP
【FI】
H04L13/00 303B
H04L27/26 100
H04J3/08 B
H04N21/24
H04N21/2385
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032384
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小泉 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】楠 知也
(72)【発明者】
【氏名】横畑 和典
(72)【発明者】
【氏名】筋誡 久
【テーマコード(参考)】
5C164
5K028
5K034
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164GA01
5C164SB22P
5C164SB23S
5C164SB41P
5C164TA05S
5C164TA08S
5C164TA14S
5C164UB23S
5C164YA21
5C164YA24
5K028DD07
5K028EE03
5K028KK32
5K034AA01
5K034DD01
5K034EE03
5K034HH01
5K034JJ11
(57)【要約】
【課題】IPをベースとした通信伝送路に対して親和性の高いものとし、2種類の周波数帯域を含む複数の放送伝送路を利用してTLVパケット形式でリオーダリングを考慮してデータ分割しバルク伝送する送信装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】本発明の送信装置11は、信号源装置10から大容量のデータを入力してTLVパケット形式の信号に変換し、2種類の周波数帯域の放送伝送路用に共通の誤り訂正符号を用いる基本分割スロットに、必要に応じてIPネットワーク19経由用の基本分割スロットを加えて分割フレームを構成し、各伝送路用の基本分割スロットの先頭に信号順序を一意に明示するための識別情報を付与し、受信装置17へ当該データを分割伝送する。本発明の受信装置17は、送信装置11によってバルク伝送された当該データを受信する際に当該識別情報に基づき当該分割フレームを再構成してその有効データを連結して復元し外部出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放送伝送路を利用してTLV(Type Length Value)パケット形式で所定のデータをバルク伝送する送信装置であって、
信号源装置からバルク伝送の対象となる所定のデータを入力し、TLVパケット形式の信号に変換するTLV信号生成手段と、
当該バルク伝送に用いる2種類の周波数帯域を含む複数の放送伝送路に対して共通する誤り訂正符号を適用する独立した伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定め、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートのうち、第1周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レートに基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが前記複数の放送伝送路における第1周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、前記複数の放送伝送路における第2周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レート及び前記第1周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レートの比に基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、前記第1周波数帯域及び第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、IP(Internet Protocol)ネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成し、該分割フレームを基準に前記TLVパケット形式の信号に変換された所定のデータを分割伝送するよう、当該複数の放送伝送路における各送信機、並びに当該通信伝送路への接続を制御する分割フレーム生成手段と、を備え、
前記分割フレーム生成手段は、前記第1周波数帯域の放送伝送路、前記第2周波数帯域の放送伝送路、及び通信伝送路に割り当てる前記分割フレームを構成する各伝送路用の基本分割スロットの先頭に、前記分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報を付与する手段と、前記第1周波数帯域の放送伝送路と前記第2周波数帯域の放送伝送路の両方に対し前記TLVパケット形式の信号を過不足なく入力するために、共通する誤り訂正符号としてLDPC符号を用い、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節する手段と、を有することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記分割フレーム生成手段は、当該分割フレームを構成する、前記第1周波数帯域の放送伝送路、前記第2周波数帯域の放送伝送路、及び通信伝送路の各伝送路に割り当てる前記分割フレームを構成する各基本分割先頭スロットに対し、その先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケットを各基本分割スロット内の他のTLVパケットとは区別するようTLVヘッダ内の設定で定め、いずれの分割フレームにおける、各伝送路を経由した、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを受信側で識別できるようにして当該分割フレームを構成することを特徴とする、請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記分割フレーム生成手段は、各基本分割スロットの先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定の初期値からインクリメントして割り当て、所定範囲内で当該インクリメントを繰り返すことにより前記識別情報を形成して、各基本分割スロット内に付与する手段を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記第1周波数帯域の放送伝送路を12GHz帯衛星伝送路とし、前記第2周波数帯域の放送伝送路を21GHz帯衛星伝送路とし、
前記分割フレーム生成手段は、当該分割フレームを構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロットを形成し、当該分割フレームにおける先頭の基本分割スロットは前記第1周波数帯域の放送伝送路用のデータを割り当て、2番目の基本分割スロット以降に前記第2周波数帯域の放送伝送路用のデータを割り当て、前記第1周波数帯域及び前記第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大レートを超える残りのデータに関して、前記IPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットに割り当てるように構成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項5】
前記分割フレーム生成手段は、TLVパケット形式で前記所定のデータを分割してバルク伝送する際に、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数を変更可能とし、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を受信側に通知する手段を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項6】
前記分割フレーム生成手段により構成した分割フレームがIPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを含む際に、該所定数の基本分割スロットに対して、当該IPネットワークと整合するIPベースのパケットに分割し、且つ分割した各IPベースのパケットに対しパケットの信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号を付与して、受信装置向けに伝送するIPカプセル化手段を更に備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の送信装置によってバルク伝送された当該所定のデータを受信する受信装置であって、
当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経てバルク伝送されたTLVパケット形式の信号を受信して対応する基本分割スロットを再構成するとともに、IPネットワークの通信伝送路経由で伝送されたIPベースのパケットに対してはIPデカプセル化を施し、該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づいて信号順序を整列した後、TLV信号を抽出して当該所定数の基本分割スロットを再構成し、前記識別情報に基づいて、該送信装置で生成した分割フレームを再構成するよう並び替えを行う分割フレーム再構成手段と、
当該再構成した分割フレームに基づく各基本分割スロットの有効データについて連結し、前記信号源装置から送出されたものと同じ信号形式の所定のデータを復元し、外部出力する出力信号生成手段と、を備え、
前記分割フレーム再構成手段は、前記第1周波数帯域の放送伝送路と前記第2周波数帯域の放送伝送路の両方を経由して前記TLVパケット形式の信号を受信する場合に、前記第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な情報ビットレートと前記第1周波数帯域の放送伝送路の最大ビットレートとの比により算出される基本分割スロット数に基づき、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節して、当該所定数の基本分割スロットからなる分割フレームを再構成することを特徴とする受信装置。
【請求項8】
前記分割フレーム再構成手段は、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経て受信したTLVパケット形式の信号のうちTLVヘッダ内の設定情報を基に先頭TLVパケットを判別して、いずれの分割フレームにおける、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを識別して基本分割フレーム間のTLVヘッダを判別し、該送信装置で生成した分割フレームを再構成するよう並び替えを行うことを特徴とする、請求項7に記載の受信装置。
【請求項9】
前記識別情報は、各基本分割スロットの先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定の初期値からインクリメントして割り当て、所定範囲内で当該インクリメントを繰り返すことにより形成されて、各基本分割スロット内に付与されており、
前記分割フレーム再構成手段は、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経て受信したTLVパケット形式の信号のうち、前記識別情報として付与された先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を基に、当該分割フレームを再構成するよう並び替えを行うことを特徴とする、請求項7又は8に記載の受信装置。
【請求項10】
前記分割フレーム再構成手段は、当該分割フレームを再構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロット、並びに当該複数の放送伝送路用に合わせて当該通信伝送路用の基本分割スロットを形成することを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項11】
前記分割フレーム再構成手段は、該送信装置から事前通知された、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を基に、当該再構成する分割フレームの構造を識別する手段を有することを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星放送及び地上放送並びに固定通信及び移動通信の技術分野に関するものであり、特に、デジタルデータの時分割多重伝送に係る送信装置及び受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル伝送方式では、各サービスで利用可能な周波数帯域幅において、より多くの情報が伝送可能なよう、多値変調方式がよく用いられる。周波数利用効率を高めるには、変調信号1シンボル当たりに割り当てるビット数(変調次数)を高めるのが有効であるが、周波数1Hzあたりに伝送可能な情報速度の上限値と信号対雑音比の関係はシャノン限界で制限される。衛星伝送路を用いた情報の伝送形態の一例として、衛星デジタル放送が挙げられる。
【0003】
現在利用されている衛星デジタル放送では、誤り訂正符号を用いた受信装置における情報訂正が行われている。パリティビットと呼ばれる冗長信号を送るべき情報に付加することで信号の冗長度(符号化率)を制御し、雑音に対する耐性を上げることが可能である。誤り訂正符号と変調方式は密接に関わっており、信号対雑音比に対する周波数利用効率の理論的な上限値はシャノン限界と呼ばれる。シャノン限界に迫る性能を有する強力な誤り訂正符号の一つとしてLDPC(Low Density Parity Check)符号が1962年にギャラガーによって提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
LDPC符号は、非常に疎な検査行列H(検査行列の要素が0と1からなり、且つ1の数が非常に少ない)により定義される線形符号である。
【0005】
LDPC符号は符号長を大きくし、適切な検査行列を用いることによりシャノン限界に迫る伝送特性が得られる強力な誤り訂正符号であり、現在又は次世代の放送サービスである4K・8Kスーパーハイビジョン衛星放送の伝送方式を規定するARIB STD-B44(以下、高度衛星放送方式(ISDB-S3)と呼ぶ。例えば、非特許文献2参照)においてもLDPC符号が採用されている。多値変調とLDPC符号をはじめとする強力な誤り訂正符号を組み合わせることで、より高い周波数利用効率の伝送が可能となってきている。
【0006】
高度衛星放送方式(ISDB-S3)を例にした場合、本方式におけるLDPC符号の符号長は、前方向誤り訂正方式(FEC:Forward Error Correction)フレームで構成され、44880ビットであり、BPSK限界(信号点配置をBPSKとした場合の信号対雑音比に対する周波数利用効率の理論的な上限値)から約1dB以内の性能を有することが示されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0007】
尚、高度衛星放送方式(ISDB-S3)においては、LDPC符号化率として、41/120(≒1/3)、49/120(≒2/5)、61/120(≒1/2)、73/120(≒3/5)、81/120(≒2/3)、89/120(≒3/4)、93/120(≒7/9)、97/120(≒4/5)、101/120(≒5/6)、105/120(≒7/8)、及び、109/120(≒9/10)の11種類が定められている。
【0008】
ところで、昨今、現行の衛星・地上放送による2Kサービスや、衛星放送による4K・8Kスーパーハイビジョンに加え、新たに地上放送による4K・8Kスーパーハイビジョンの提供が期待されている。しかしながら、衛星放送で使用される12GHz帯に着目すると、利用可能な周波数はひっ迫しており、4K・8Kサービスを超える次世代コンテンツの伝送にむけては十分な周波数帯域幅を確保することが困難な状況にある。
【0009】
また、ISDB-S3には12GHz帯の帯域が割り当てられているが、衛星放送で利用可能な他の帯域として、21GHz帯が挙げられる。21GHz帯は衛星放送用に600MHzの帯域幅が割り当てられており、大容量伝送の実現に向けて有望な伝送帯域である。
【0010】
しかしながら、21GHz帯は12GHz帯と比較して、降雨減衰による影響がより大きくなることから、十分な所要C/Nマージンを確保するためには、上述のLDPC符号をはじめとする強力な誤り訂正符号の適用や、変調多値数を下げるなど、伝送方式に関する技術的解決が必要となる。また、21GHz帯放送衛星を利用した伝送実績があり、且つ、ISDB-S3と誤り訂正符号を同一とする伝送方式として、21GHz帯広帯域伝送方式が挙げられる(例えば、非特許文献4,5参照)。
【0011】
そこで、十分な帯域幅が確保できない状況において、大容量伝送を帯域毎に分割して伝送するバルク伝送という技術がある(例えば、特許文献1参照)。通信分野においてもデータを分割送信する技術が知られており、キャリアアグリーションとして実現されている(例えば、非特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】R. G Gallager, “Low Density Parity Check Codes,” in Research Monograph series Cambridge, MIT Press, 1963
【非特許文献2】“高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(ISDB-S3) 標準規格 ARIB STD-B44 2.1版”、[online]、平成28年3月25日改定、ARIB、[令和2年12月5日検索]、インターネット〈URL:https://www.arib.or.jp/kikaku/kikaku_hoso/std-b44.html〉
【非特許文献3】鈴木他, “高度BSデジタル放送用LDPC符号の設計”、映像情報メディア学会誌、一般社団法人映像情報メディア学会、映像情報メディア vol.62、No.12、2008年12月1日、pp.1997-2004
【非特許文献4】Y.Suzuki et al., BCH and LDPC Coded Wide-band Modem for 21-GHz Band Satellite Broadcasting System, IEEE Radio & Wireless Week 2015(IEEE RWW 2015), MO1D-2, pp.4-6
【非特許文献5】鈴木他, “B-SAT4a衛星を利用した21GHz帯広帯域衛星伝送実験”、電子情報通信学会技術報告、一般社団法人電子情報通信学会、信学技報 SAT2018-76(2019-02)、pp.109-114
【非特許文献6】“第659回:キャリアアグリゲーションとは”、[online]、[令和2年12月5日検索]、インターネット〈URL:https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/keyword/645492.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、十分な帯域幅が確保できない状況において、大容量伝送を帯域毎に分割して伝送するバルク伝送という技術が知られている。
【0015】
また、昨今は放送と通信の融合に伴い、電波の垣根を越えた伝送形態の多様化が進んでおり、特にIP(Internet Protocol)をベースとした通信伝送方式における通信伝送路と放送伝送路とを利用してデータ伝送する伝送システムの構築が進んでいる。第5世代移動通信システム(5G)を始めとした次世代通信ネットワークも、放送伝送路(特に、衛星伝送路)との融合が有効であり、今後、放送伝送方式は、IPをベースとした通信伝送方式との共通化への要望が更に加速することが想定される。
【0016】
例えば12GHz帯における衛星放送用周波数のひっ迫した状況下で、大容量伝送を可能とするバルク伝送の放送技術は、12GHz帯と21GHz帯の両方の帯域を用いることで、伝送容量を拡大することが可能となるが、この実現のためには、より効率の良い伝送システムが要望される。また、IPをベースとした通信伝送方式に対しても親和性の高いものが要望される。即ち、今後、データ伝送に関して十分な帯域幅が確保できない状況において、複数の放送伝送路を利用して大容量データを帯域(周波数割り当て)毎に分割してバルク伝送するとともに、IPをベースとした通信伝送方式における通信伝送路へと融合し、容易に伝送データを転換又は結合できる技法が望まれる。従って、少なくとも、4K・8K衛星放送で利用される高度衛星放送方式(ISDB-S3)では、今後、さらなる伝送容量を拡大可能な21GHz帯との同時利用や、IPをベースとした通信伝送路に対して親和性の高いものとし、複数の放送伝送路を利用して大容量データを帯域(周波数割り当て)毎に分割してバルク伝送するよう制御するための送信装置及び受信装置が必要である。
【0017】
また、バルク伝送を実現する上での制御に関する技術的課題は、分割した各種信号を伝送する際に、信号伝達の過程で信号が前後に入れ替わるリオーダリングが発生する。特に、IPネットワークでは信号伝達順序は保証されないため、リオーダリングは度々発生する。
【0018】
よって、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、2種類の周波数帯域を含む複数の放送伝送路(実施形態の例では12GHz帯と21GHz帯の衛星放送伝送路)の両方の帯域を利用することで伝送容量拡大を可能としつつ、IPをベースとした通信伝送路に対して親和性の高いものとし、複数の放送伝送路を利用してTLV(Type Length Value)パケット形式で所定のデータを分割してバルク伝送するために、リオーダリング等の信号順序の入れ替えの発生に対しても受信側で適切に信号順序を元の並びに戻すことを可能とする送信装置及び受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の送信装置は、複数の放送伝送路を利用してTLV(Type Length Value)パケット形式で所定のデータをバルク伝送する送信装置であって、信号源装置からバルク伝送の対象となる所定のデータを入力し、TLVパケット形式の信号に変換するTLV信号生成手段と、当該バルク伝送に用いる2種類の周波数帯域を含む複数の放送伝送路に対して共通する誤り訂正符号を適用する独立した伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定め、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートのうち、第1周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レートに基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが前記複数の放送伝送路における第1周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、前記複数の放送伝送路における第2周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レート及び前記第1周波数帯域の放送伝送路の最大伝送レートの比に基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、前記第1周波数帯域及び第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、IP(Internet Protocol)ネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成し、該分割フレームを基準に前記TLVパケット形式の信号に変換された所定のデータを分割伝送するよう、当該複数の放送伝送路における各送信機、並びに当該通信伝送路への接続を制御する分割フレーム生成手段と、を備え、前記分割フレーム生成手段は、前記第1周波数帯域の放送伝送路、前記第2周波数帯域の放送伝送路、及び通信伝送路に割り当てる前記分割フレームを構成する各伝送路用の基本分割スロットの先頭に、前記分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報を付与する手段と、前記第1周波数帯域の放送伝送路と前記第2周波数帯域の放送伝送路の両方に対し前記TLVパケット形式の信号を過不足なく入力するために、共通する誤り訂正符号としてLDPC符号を用い、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節する手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の送信装置において、前記分割フレーム生成手段は、当該分割フレームを構成する、前記第1周波数帯域の放送伝送路、前記第2周波数帯域の放送伝送路、及び通信伝送路の各伝送路に割り当てる前記分割フレームを構成する各基本分割先頭スロットに対し、その先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケットを各基本分割スロット内の他のTLVパケットとは区別するようTLVヘッダ内の設定で定め、いずれの分割フレームにおける、各伝送路を経由した、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを受信側で識別できるようにして当該分割フレームを構成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の送信装置において、前記分割フレーム生成手段は、各基本分割スロットの先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定の初期値からインクリメントして割り当て、所定範囲内で当該インクリメントを繰り返すことにより前記識別情報を形成して、各基本分割スロット内に付与する手段を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の送信装置において、前記第1周波数帯域の放送伝送路を12GHz帯衛星伝送路とし、前記第2周波数帯域の放送伝送路を21GHz帯衛星伝送路とし、前記分割フレーム生成手段は、当該分割フレームを構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロットを形成し、当該分割フレームにおける先頭の基本分割スロットは前記第1周波数帯域の放送伝送路用のデータを割り当て、2番目の基本分割スロット以降に前記第2周波数帯域の放送伝送路用のデータを割り当て、前記第1周波数帯域及び前記第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な最大レートを超える残りのデータに関して、前記IPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットに割り当てるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の送信装置において、前記分割フレーム生成手段は、TLVパケット形式で前記所定のデータを分割してバルク伝送する際に、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数を変更可能とし、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を受信側に通知する手段を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の送信装置において、前記分割フレーム生成手段により構成した分割フレームがIPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを含む際に、該所定数の基本分割スロットに対して、当該IPネットワークと整合するIPベースのパケットに分割し、且つ分割した各IPベースのパケットに対しパケットの信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号を付与して、受信装置向けに伝送するIPカプセル化手段を更に備えることを特徴とする。
【0025】
更に、本発明の受信装置は、本発明の送信装置によってバルク伝送された当該所定のデータを受信する受信装置であって、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経てバルク伝送されたTLVパケット形式の信号を受信して対応する基本分割スロットを再構成するとともに、IPネットワークの通信伝送路経由で伝送されたIPベースのパケットに対してはIPデカプセル化を施し、該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づいて信号順序を整列した後、TLV信号を抽出して当該所定数の基本分割スロットを再構成し、前記識別情報に基づいて、該送信装置で生成した分割フレームを再構成するよう並び替えを行う分割フレーム再構成手段と、当該再構成した分割フレームに基づく各基本分割スロットの有効データについて連結し、前記信号源装置から送出されたものと同じ信号形式の所定のデータを復元し、外部出力する出力信号生成手段と、を備え、前記分割フレーム再構成手段は、前記第1周波数帯域の放送伝送路と前記第2周波数帯域の放送伝送路の両方を経由して前記TLVパケット形式の信号を受信する場合に、前記第2周波数帯域の放送伝送路で伝送可能な情報ビットレートと前記第1周波数帯域の放送伝送路の最大ビットレートとの比により算出される基本分割スロット数に基づき、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節して、当該所定数の基本分割スロットからなる分割フレームを再構成することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の受信装置において、前記分割フレーム再構成手段は、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経て受信したTLVパケット形式の信号のうちTLVヘッダ内の設定情報を基に先頭TLVパケットを判別して、いずれの分割フレームにおける、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを識別して基本分割フレーム間のTLVヘッダを判別し、該送信装置で生成した分割フレームを再構成するよう並び替えを行うことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の受信装置において、前記識別情報は、各基本分割スロットの先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定の初期値からインクリメントして割り当て、所定範囲内で当該インクリメントを繰り返すことにより形成されて、各基本分割スロット内に付与されており、前記分割フレーム再構成手段は、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経て受信したTLVパケット形式の信号のうち、前記識別情報として付与された先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を基に、当該分割フレームを再構成するよう並び替えを行うことを特徴とする。
【0028】
また、本発明の受信装置において、前記分割フレーム再構成手段は、当該分割フレームを再構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロット、並びに当該複数の放送伝送路用に合わせて当該通信伝送路用の基本分割スロットを形成することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の受信装置において、前記分割フレーム再構成手段は、該送信装置から事前通知された、当該分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を基に、当該再構成する分割フレームの構造を識別する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、放送伝送路の周波数がひっ迫する環境においても、2種類の周波数帯域を含む複数の放送伝送路(実施形態の例では12GHz帯と21GHz帯の衛星放送伝送路)を利用する信号伝送とすることで、データ伝送に係る全体の伝送容量を高めるとともに、IPとの親和性の高い伝送システムを実現することが可能となる。特に、送信装置及び受信装置間のデータ伝送同期を容易、且つ安定化して、利用する放送伝送路及び通信伝送路に対する接続容易性(接続タイミングの同期容易性)を向上させることができ、リオーダリング等の信号順序の入れ替えの発生に対しても、受信装置は適切に信号順序を元の並びに戻すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による一実施例の送信装置及び受信装置を備える伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明による一実施例の送信装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明による一実施例の送信装置で用いるTLVパケットの構成図である。
【
図4】本発明による一実施例の送信装置で用いる分割フレームの構成図である。
【
図5】本発明による一実施例の送信装置で用いる分割フレームに係る先頭TLVパケットの構成図である。
【
図6】本発明による一実施例の送信装置において、分割フレームを構成する各基本分割スロット内に、分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報として、先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定範囲でインクリメント付与する例を示す図である。
【
図7】本発明による一実施例のISDB-S3の変調方式、LDPC符号化率、基本分割スロットのペイロードサイズ、及び挿入するヌル(NULL(ISDB-S3))長の関係を例示する図である。
【
図8】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機における伝送シンボルフレーム構成例を示す図である。
【
図9】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機の誤り訂正符号を例示する図である。
【
図10】本発明に係るLDPC符号化率とTLVパケットペイロード長(k)との関係を例示する図である。
【
図11】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機における変調方式QPSK、シンボルレート250Mbaud、位相基準バースト信号長4における符号化率毎の情報ビットレート(I
21GHz)、基本分割スロットのスロット数(n-2)及び誤り訂正符号パケット数(LDPCパケット数P
21GHz)の関係を例示する図である。
【
図12】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率1/2の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図13】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率3/5の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図14】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率2/3の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図15】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率3/4の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図16】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率4/5の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図17】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率5/6の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図18】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率7/8の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図19】本発明に係る21GHz帯広帯域送信機に入力される、LDPC符号化率9/10の基本分割スロットのパケット割り当て構成例を示す図である。
【
図20】本発明に係るISDB-S3送信機がサポートする符号化変調方式として16APSK(LDPC符号化率:7/9)に設定し、21GHz帯広帯域送信機12‐2がサポートする符号化変調方式としてQPSK(LDPC符号化率:2/3)における基本分割スロットの構成例を示す図である。
【
図21】本発明による一実施例の送信装置において、分割フレーム内にIPネットワーク経由の伝送を利用する基本分割スロットを含むときに、IPベースのパケットの分割伝送のために付与されるIPシーケンス番号を含むパケット構造を示す図である。
【
図22】本発明による一実施例の受信装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明による一実施例の送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1を詳細に説明する。
【0033】
(伝送システム)
図1は、本発明による一実施例の送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す伝送システム1の例では、信号源装置10、送信装置11、12GHz帯放送衛星14‐1経由の信号伝送を想定したISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯放送衛星14‐2経由の信号伝送を想定した広帯域伝送送信装置12‐2、ISDB-S3用送信アンテナ13‐1、21GHz帯広帯域伝送用送信アンテナ13‐2、12GHz帯放送衛星14‐1、21GHz帯放送衛星14‐2、12GHz帯受信アンテナ15‐1、21GHz帯受信アンテナ15‐2、ISDB-S3用受信機16‐1、21GHz帯広帯域伝送用受信機16‐2、受信装置17、表示装置18、及びIPネットワーク19を備えるように構成される。
【0034】
本実施例に係る伝送システム1におけるISDB-S3送信機12‐1、及びこれにそれぞれ対応するISDB-S3受信機16‐1の各々は、高度衛星放送方式(ISDB-S3)に準拠した装置であり、ISDB-S3でサポートされる符号化変調方式(LDPC符号、及び現行規格上で最大多値変調32APSK)でデータ伝送可能としている。また、ISDB-S3の伝送系統で用いるISDB-S3用送信アンテナ13‐1、12GHz帯放送衛星14‐1及び12GHz帯受信アンテナ15‐1は、すべて12GHz帯の利用を想定した送受信系統で構成される。つまり、ISDB-S3送信機12‐1は、12GHz帯の利用下で、ISDB-S3方式に基づき、伝送するデータに対し所定のLDPC符号化率に従うLDPC符号化処理を施し(BCH符号を付加することもある)、所定の変調方式に従うマッピングを施した変調信号を生成し、12GHz帯放送衛星14‐1に向けてアップリンクする。12GHz帯放送衛星14‐1は、当該変調信号を12GHz帯受信アンテナ15‐1に向けてダウンリンクする。ISDB-S3用受信機16‐1は12GHz帯受信アンテナ15‐1を介して当該変調信号を受信してISDB-S3送信機12‐1の符号化変調方式に対応する復調・復号処理を施し、ISDB-S3送信機12‐1から伝送される当該データを復元する。尚、複数台のISDB-S3受信機16‐1の機能を有する1台の受信機を構成してもよい。
【0035】
同様に、本実施例に係る伝送システム1における21GHz帯広帯域送信機12‐2、及びこれにそれぞれ対応する21GHz帯広帯域受信機16‐2の各々は、ISDB-S3とは異なる広帯域伝送方式(例えば、非特許文献4,5参照)に準拠した装置である。この広帯域伝送方式では、21GHz帯の600MHzの帯域割当を想定し、一例として、2チャンネルに分割して、1チャンネルあたりのシンボルレートを250Mbaudとするなど、より高速なシンボルレートで動作可能とするよう、ISDB-S3と比較して、誤り訂正符号であるLDPC符号及びBCH符号は共通であるものの、簡素な伝送シンボルフレーム構成で信号伝送するものとなっている(後述する
図8参照)。
図8に示す例では、21GHz帯における降雨減衰対策として、選択可能な最大多値変調は8PSKであり、さらに同期補強対策として、位相基準バースト信号の長さを主信号187シンボルあたり最大16シンボルまで設定することを可能としている。また、21GHz帯広帯域伝送の伝送系統で用いる21GHz帯送信アンテナ13‐2、21GHz帯放送衛星14‐2及び21GHz帯受信アンテナ15‐2は、すべて21GHz帯の利用を想定した送受信系統で構成される。つまり、21GHz帯広帯域送信機12‐2は、21GHz帯の利用のもと、21GHz帯広帯域伝送方式に基づき、伝送するデータに対し所定のLDPC符号化率に従うLDPC符号化処理を施し(BCH符号を付加することもある)、所定の変調方式に従うマッピングを施した変調信号を生成し、21GHz帯放送衛星14‐2に向けてアップリンクする。21GHz帯放送衛星14‐2は、当該変調信号を21GHz帯受信アンテナ15‐2に向けてダウンリンクする。21GHz帯広帯域受信機16‐2は21GHz帯受信アンテナ15‐2を介して当該変調信号を受信して21GHz帯広帯域送信機12‐2の符号化変調方式に対応する復調・復号処理を施し、21GHz帯広帯域送信機12‐2から伝送される当該データを復元する。尚、複数台の21GHz帯広帯域受信機16‐2の機能を有する1台の受信機を構成してもよい。
【0036】
つまり、例えば、M(Mは1以上の整数)台のISDB-S3送信機12‐1、M台のISDB-S3用送信アンテナ13‐1、12GHz帯放送衛星14‐1、M台の12GHz帯受信アンテナ15‐1、M台のISDB-S3受信機16‐1、N(Nは1以上の整数)台の21GHz帯広帯域送信機12‐2、N台の21GHz帯送信アンテナ13‐2、21GHz帯放送衛星14‐2、N台の21GHz帯受信アンテナ15‐2、N台の21GHz帯広帯域受信機16‐2は、所謂、Multi-Input Multi-Output(MIMO)又はMulti-Input Single-Output(MISO)の放送伝送システムと同様に、複数(M+N個)の放送伝送路を構成している。IPネットワーク19は、IPをベースとした通信伝送方式における通信伝送路を構成している。例えば、IPネットワーク19は、IPv4又はIPv6等のインターネットプロトコルで構成された一般的な通信伝送路とすることができる。尚、本例では、放送伝送路として、複数の衛星伝送路を用いる例を説明するが、これに限定するものではなく、次世代の複数の地上伝送路を用いたものとしてもよい。
【0037】
そして、送信装置11は、複数の放送伝送路(本例では、12GHz帯及び21GHz帯衛星伝送路)と、必要であればIPネットワーク19による通信伝送路を利用して、信号源装置10から取得する大容量データを受信装置17に向けてバルク伝送するよう、M台のISDB-S3送信機12‐1及びN台の21GHz帯送信装置12‐2を制御する。
【0038】
図1に示す信号源装置10は、本伝送システム1で伝送するデータを送信装置11に対して送出する装置であり、送信装置11がIPネットワーク19による通信伝送路をも利用できるようになっている。即ち、信号源装置10は、ISDB-S3で規定される、ISDB-S3送信機12‐1で伝送可能な最大伝送レート(32APSK(9/10)において146.6735Mbpsの情報ビットレート)よりも高い伝送レートであっても、更には、21GHz帯広帯域伝送方式における21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送可能な最大伝送レート(シンボルレート250Mbaud、8PSK(9/10)において633.2bpsの情報ビットレート)よりも高い伝送レートであっても、送信装置11に対してデータを送出することができるようになっている。尚、本願明細書中、“変調方式(LDPC符号化率)”のように表記して説明することもあり、例えば32APSK(9/10)は、変調方式が32APSKでありLDPC符号化率が9/10であることを意味している。また、本願明細書中、単に「符号化率」と称するときは、「LDPC符号化率」をいう。
【0039】
以後、代表的に、12GHz帯の利用を想定したISDB-S3送信機12‐1、及び、21GH帯の利用を想定した21GHz帯広帯域送信機12‐2について、それぞれ1系統を利用した伝送系統を想定して説明する。ただし、12GHz帯及び21GHz帯のそれぞれについて複数の伝送系統を構築することで、伝送容量をさらに拡大することが可能である点に留意する。以後に説明する例において、送信装置11は、信号源装置10からISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々で伝送可能な最大伝送レートを超えるI
allの情報ビットレートのデータを入力し、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯送信装置12‐2、及びIPネットワーク19に対して、
図4を参照して後述する分割フレームに基づいて当該データを分配して出力する。具体的には、送信装置11は、ISDB-S3送信機12‐1に対しては情報ビットレートI
ISDB-S3で、21GHz帯送信機12‐2に対しては情報ビットレートI
21GHzで分配し、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯送信装置12‐2の両方で伝送可能な最大伝送レートを超える残りのデータに関して、IPネットワーク19に対しては情報ビットレートI
IPで、信号源装置10から取得する大容量データを分配して出力する。
【0040】
信号源装置10から取得する大容量データの情報ビットレートがIallの場合、そのIallと送信装置11による分配後の情報ビットレートIISDB-S3,I21GHz,IIPとの間には、情報ビットレートの計測範囲を送信すべき映像、音声等の実データ(ヘッダを除くペイロード)に限定した場合、以下の式(1)が成立する。
【0041】
【0042】
ここで、送信装置11は、信号源装置10から取得する大容量データを伝送するにあたり、12GHz帯衛星伝送路として利用するISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯衛星伝送路として利用する21GHz帯広帯域送信機12‐2を予め決定しておりISDB-3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々で設定される変調方式、LDPC符号化率及び21GHz帯広帯域伝送に関してはさらにシンボルレートによって伝送可能な最大値が定まるため、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信装置12‐2の各々から、当該変調方式及びLDPC符号化率及びシンボルレートを指定するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報(TMCCISDB-S3,TMCC21GHz)を取得することで、当該情報ビットレートIISDB-S3,I21GHzを定めることができる。尚、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2が固定の符号化変調方式及びシンボルレートを用いるものとして予め定めているときは、TMCC情報を取得することなく、当該情報ビットレートIISDB-S3,I21GHzを定めることができる。
【0043】
そして、送信装置11は、信号源装置10から取得する大容量データの情報ビットレートIallがIPネットワーク19を利用することなくISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2のみで伝送可能である時、その範囲内で当該大容量データを分配する。
【0044】
ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2は、それぞれに分配された当該情報ビットレートIISDB-S3,I21GHzの各データに関してそれぞれの符号化変調方式に基づく変調信号を生成して、それぞれの12GHz帯送信アンテナ13‐1を介して12GHz帯放送衛星14‐1に、21GHz帯送信アンテナ13‐2を介して21GHz帯放送衛星14‐2アップリンクする。
【0045】
12GHz帯放送衛星14‐1にアップリンクされたISDB-S3送信機12‐1からの各変調信号は、当該放送衛星14‐1がカバーするサービスエリアにおける12GHz帯受信アンテナ15に向けて、一斉にダウンリンクする。同様に、21GHz帯放送衛星14‐2にアップリンクされた21GHz帯送信機12‐2からの各変調信号は、当該放送衛星14‐2がカバーするサービスエリアにおける21GHz帯受信アンテナ15‐2に向けて、一斉にダウンリンクする。
【0046】
ISDB-S3受信機16‐1は、12GHz帯受信アンテナ15‐1を介してISDB-S3送信機12‐1からの対応する変調信号を受信して、ISDB-S3送信機12‐1おける符号化変調方式に対応する復調・復号処理を施し、ISDB-S3送信機12‐1から伝送される各データを復元し、TMCC情報(TMCCISDB-S3)とともに受信装置17に送出する。同様に、21GHz帯広帯域受信機16‐2は、21GHz帯受信アンテナ15‐2を介して21GHz帯広帯域送信機12‐2からの対応する変調信号を受信して、21GHz帯広帯域送信機12‐2おける符号化変調方式及びシンボルレートに対応する復調・復号処理を施し、21GHz帯広帯域送信機12‐2から伝送される各データを復元し、TMCC情報(TMCC21GHz)とともに受信装置17に送出する。
【0047】
受信装置17は、本例ではISDB-S3受信機16‐1から得られるTMCC情報(TMCC
ISDB-S3)及び、21GHz帯広帯域受信機16‐2から得られるTMCC情報(TMCC
21GHz)を基に、当該送信機12‐1、12‐2から伝送される当該情報ビットレートI
ISDB-S3,I
21GHzの各データについて
図4を参照して後述する分割フレームを再構成する。また、受信装置17は、送信装置11からIPネットワーク19を経て送出される分配後の一部データ(情報ビットレートI
IPのデータ)があるときは、そのデータをも受信して、
図4を参照して後述する分割フレームを再構成する。
【0048】
そして、受信装置17は、ISDB-S3受信機16‐1、21GHz帯広帯域受信装置16‐2及びIPネットワーク19を経由して伝送された分割データ(情報ビットレートIISDB-S3,I21GHz,IIPのデータ)の全てを受信し、再構成した当該分割フレームにおける各基本分割スロットの有効データについて各基本分割スロットの昇順に連結し、信号源装置10から送出されたものと同じ信号形式の大容量データ(情報ビットレートIallで伝送されたものとしたときと等価なデータ)を復元し、表示装置18に適した出力信号を生成して表示装置18に出力する。
【0049】
表示装置18は、受信装置17を介して、信号源装置10から送出された大容量データを再生する。尚、表示装置18の代わりに、大容量データを記録媒体に記録する記録装置としてもよい。
【0050】
また、送信装置11と信号源装置10との間、及び送信装置11とISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯送信機12‐2との間の接続は、専用線による直接的な通信形態としてもよいし、IPベースのローカルエリアネットワークを介した接続としてもよい。同様に、受信装置11と表示装置18との間、及び受信装置11とISDB-S3受信機16‐1及び21GHz帯受信機16‐2との間の接続は、専用線による直接的な通信形態としてもよいし、IPベースのローカルエリアネットワークを介した接続としてもよい。
【0051】
以下、より具体的に、本発明に係る一実施例の送信装置11について詳細に説明する。
【0052】
(送信装置)
図2は、本発明による一実施例の送信装置11の概略構成を示すブロック図である。この送信装置11は、TLV信号生成部111、分割フレーム生成部112、及びIPカプセル化部113、を備える。
【0053】
TLV信号生成部111は、信号源装置10から、情報ビットレートIallの大容量データ(映像及び音声等を含む)を入力し、TLVパケット形式の信号(例えば、ARIB STD-B32,第3分冊,P.20,3.5,TLVパケット参照)に変換(格納)して分割フレーム生成部112に出力する。
【0054】
例えば、信号源装置10は、情報ビットレートIallの大容量データとして、IPベースの可変長信号(以下、「IP信号」と称する。)でTLV信号生成部111に送出する例を説明する。このようなIP信号は、例えばイーサネット(登録商標)のフレームに格納されたIPパケットであってもよい。
【0055】
TLV信号生成部111は、IP信号の形式で入力される場合、信号源装置10から得られる可変長のIPパケットのパケット長を判別し、
図3に示すようにTLVパケット形式の信号に準拠した4バイト長のTLVヘッダを生成し、TLVパケットペイロードの部分に付与する。通常、TLVヘッダは、パケットタイプフィールド(“0x7F”を示す1バイトと、タイプ(Type)を示す1バイト)と、パケット長さフィールド(length)を示す2バイトから構成される。
【0056】
ここで、
図3ではTLVパケットペイロード内にIPパケットを格納するよう変換する例を示しているが、TLV信号生成部111は、TLVパケットペイロード内に格納するために信号源装置10から取得する情報ビットレートI
allの大容量データとして、イーサネット(登録商標)のフレームに格納されたものや、IPパケットの形式のもの、或いは、純粋な映像及び音声等のRAWデータであってもよい。TLV信号生成部111は、任意の信号形式(ヘッダを有するものであれば
図3に示すようにそのまま格納)で信号源装置10から取得する大容量データを、TLVヘッダを付与したTLV信号に変換することで、後述する分割フレーム生成部112の入力信号としてTLVパケット形式の信号に限定することが可能となる。
【0057】
例えば、情報ビットレートI
allの大容量データは、
図3に示すように、IPパケットとして構成され、そのIPパケット内には、IPヘッダ及びIPパケットペイロードの他、他のヘッダ情報(例えばUDP(User Datagram Protocol)ヘッダ等)が付与されたものでもよく、更にそのIPパケットペイロード内では、MMTPヘッダとMMTPパケットペイロードからなるMMTPパケットを構成するMMT信号を構成したものであってもよい。このように、情報ビットレートI
allの大容量データが、ヘッダを有するものであれば
図3に示すようにそのままTLVパケットペイロードに格納する。これにより本伝送システム1を経由した後でもIPベースの信号伝送に悪影響を及ぼすことがなく親和性の高いものすることができる。
【0058】
ところで、本発明に係る送信装置11は、以下に説明するように、分割フレーム生成部112を備えることで、IPベースの信号伝送に親和性の高いものするだけでなく、ISDB-S3形式及び21GHz帯広帯域伝送方式のフレーム構造とも親和性が良くなるようにしている。
【0059】
分割フレーム生成部112は、当該バルク伝送に用いる2種類の周波数帯域(ISDB-S3とする12GHz帯衛星伝送路、及び21GHz帯衛星伝送路)を含む複数の放送伝送路に対して共通する誤り訂正符号(LDPC符号)を適用する独立した伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定める。そして、分割フレーム生成部112は、伝送対象の所定のデータの伝送に要する情報ビットレートのうち、12GHz帯衛星伝送路の最大伝送レートに基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該所定のデータの伝送に要する情報ビットレートが12GHz帯衛星伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、21GHz帯衛星伝送路の最大伝送レート及び12GHz帯衛星伝送路の最大伝送レートの比に基づく基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、12GHz帯及び21GHz帯衛星伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更に、IPネットワーク19の通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成する。
【0060】
そして、分割フレーム生成部112は、構成した分割フレームを基準にTLVパケット形式の信号に変換された所定のデータを分割伝送するよう、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2、並びに当該IPネットワーク19の通信伝送路への接続を制御する。
【0061】
ここで、本例では、2種類の周波数帯域として第1周波数帯域の放送伝送路を12GHz帯衛星伝送路とし、第2周波数帯域の放送伝送路を21GHz帯衛星伝送路としており、分割フレーム生成部112は、当該分割フレームを構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロットを形成し、当該分割フレームにおける先頭の基本分割スロットは12GHz帯衛星伝送路用のデータを割り当て、2番目の基本分割スロット以降に21GHz帯衛星伝送路用のデータを割り当て、12GHz帯及び21GHz帯衛星伝送路で伝送可能な最大レートを超える残りのデータに関して、IPネットワーク19の通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットに割り当てるように構成されている。
【0062】
具体的な例として、分割フレーム生成部112は、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2への分配に係る情報ビットレートを調整するための分割フレーム(
図4参照)を構成して、この分割フレームに基づき、TLV信号生成部111から入力されるTLV信号を後続するISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2へ分割し、当該TLV信号がISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送可能な最大伝送レートを超える情報ビットレートI
allのときはIPネットワーク19へも分割して分配する。
【0063】
送信装置11は、信号源装置10から取得する大容量データを伝送するにあたり、衛星伝送路として利用するISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2を予め決定しており、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々で設定される変調方式及びLDPC符号化率によって伝送可能な最大値が定まるため、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々から、当該変調方式及びLDPC符号化率を指定するTMCC情報(TMCCISDB-S3,TMCC21GHz)を取得することで、当該情報ビットレートIISDB-S3,I21GHzを定めることができる。尚、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2が固定の符号化変調方式を用いるものとして予め定めているときは、TMCC情報を取得することなく、当該情報ビットレートIISDB-S3,I21GHzを定めることができる。ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送可能な最大伝送レートを超える残りのデータに関して、IPネットワーク19に対しては情報ビットレートIIPで、信号源装置10から取得する大容量データを分配する。
【0064】
図4に示すように、分割フレーム生成部112によって生成される分割フレームは、横幅がフレーム長、縦幅が分割スロット数に相当し、この分割フレームは複数の基本分割スロットから構成される。各基本分割スロットは、そのフレーム長がISDB-S3の伝送フレーム長(ISDB-S3の120スロット分)に対応したものとなっており、ISDB-S3送信機12‐1と容易に同期が取れ(ISDB-S3の伝送フレーム120スロットと同期が取れ)、且つISDB-S3がサポートする最大伝送レート時の符号化変調方式(ISDB-S3の例では、32APSK(LDPC符号化率:9/10))を収容可能とする設定となっている。即ち、ISDB-S3の仕様に基づき、各基本分割スロットの伝送フレーム長を、120×40392ビット=4847040ビット(605880バイト)に設定する。
【0065】
また、
図4に示すように、先頭の基本分割スロット#1は、ISDB-3送信装置12‐1へ優先的に割り当て、2番目の基本分割スロット#2以降は、21GHz帯広帯域伝送装置12‐2へ割り当てる。ISDB-S3送信装置12‐1及び21GHz帯広帯域送信装置12‐2で伝送可能な最大レートを超える残りのデータに関しては、最終番目の基本分割スロット#nをIPネットワークに割り当てる。よって、基本分割スロット#1のうち、基本分割スロット#1に含まれるNULL(ISDB-S3)を除く、ISDB-S3送信機12‐1に入力可能な領域をI
ISDB-S3として割り当てる。続いて、基本分割スロット#2~#n-1のうち、基本分割スロット#n-1に含まれるNULL(21GHz)を除く、21GHz帯広帯域送信機12‐2に入力可能な領域をI
21GHzとして割り当てる。尚、21GHz帯広帯域送信機12‐2用に収容可能な基本分割スロット数(n-2)は、21GHz帯広帯域送信機12‐2に設定する変調方式、符号化率、及びシンボルレートにより一意に定まる。また、NULL(ISDB-S3)及びNULL(21GHz)は、それぞれISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2が定める変調方式、符号化率及びシンボルレートによって一意に定まる調整ビットの役割を有するスタッフビットである。続いて、最終番目の基本分割スロット#nを適用する場合は、基本分割スロット#nに含まれるNULL(IP)を除く領域がI
IPとして割り当てられる。NULL(IP)は、基本分割スロット間の同期合成を容易とするための調整ビットの役割を有するスタッフビットである。
【0066】
そして、分割フレーム生成部112に入力されたTLV信号は、4バイトのTLVヘッダ及び可変長のTLVパケットペイロードが順次、基本分割スロット#1から昇順に基本分割スロット#nまで収容される。ここで、基本分割スロット#1内のTLV信号はISDB-S3送信機12‐1用であり、基本分割スロット#2~#n-1内のTLV信号は21GHz帯広帯域送信機12‐2用であり、基本分割スロット#n内のTLV信号はIPネットワーク19経由で伝送するためのものである。ただし、基本分割スロット#1、#n-1の後段にはそれぞれNULL(ISDB-S3)、NULL(21GHz)を挿入するため、基本分割スロット#2及び#nの先頭位置には、必ず先頭TLVヘッダを挿入する。これにより、12GHz帯伝送、21GHz帯伝送及びIP伝送といった複数の伝送路間における分割伝送時におけるフレーム内の分割スロットの同期合成が容易となる。
【0067】
以上の理由から、各基本分割スロット内うち、ISDB-S3送信機12‐1に入力される基本分割スロット#1、21GHz帯広帯域送信機12‐2に入力される基本分割スロットの先頭スロットに相当する基本分割スロット#2、及びIPネットワークに入力される基本分割スロット#nに関しては、TLV信号を構成する各TLVパケットにおけるTLVヘッダ先頭1バイトの“0x7F”は当該放送伝送路におけるTLVパケットの先頭位置を判別するパターンとして使用される。
【0068】
そこで、基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭に配置されるTLVパケット(先頭TLVパケット)は、
図5に示すように、基本分割スロット内におけるTLV信号の先頭位置を明示するものとなっている。
図5は、本発明による一実施例の送信装置11で用いる分割フレームに係る先頭TLVパケットの構成図である。基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭位置におけるパケットタイプフィールドとして、既存のTLV信号形式では未定義領域である“0x04-0xFD”から、各分割フレームにおける各基本分割スロットの先頭TLVパケットを示す識別パターンを設定する。よって、
図4及び
図5に示す先頭TLVパケットは、デフォルト設定される他のTLVパケットとは異なるパケットタイプフィールドの値を設定し、いずれの分割フレームにおける、基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭を示すTLVパケットであるかを受信装置17側で識別できるようにする。
【0069】
特に、本実施例の送信装置11における分割フレーム生成部112は、第1周波数帯域の放送伝送路(ISDB-S3とする12GHz帯衛星伝送路)、第2周波数帯域の放送伝送路(21GHz帯衛星伝送路)、及び通信伝送路(IPネットワーク19)に割り当てる分割フレームを構成する各伝送路用の基本分割スロットの先頭に、その分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報を付与する手段と、その12GHz帯衛星伝送路と21GHz帯衛星伝送路の両方に対しTLVパケット形式の信号を過不足なく入力するために、共通する誤り訂正符号としてLDPC符号を用い、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節する手段と、を有している。
【0070】
図6は、本発明による一実施例の送信装置11において、分割フレームを構成する各基本分割スロットのうち、基本分割スロット#1、#2及び#nにおいて、分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報として、先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を所定範囲でインクリメント付与する例を示す図である。
図6に示すように、分割フレーム生成部112は、基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値を“0x04”(初期値)からインクリメントして割り当て、“0x04”-“0xFD”の範囲内で当該インクリメントを繰り返すようにして、当該識別情報を各基本分割スロット内に付与する。
【0071】
より具体的には、
図6に示す左端の分割フレームにおいて、基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドに“0x04”を付与した場合、次の分割フレームの当該位置に対しては“0x05”を、その次の分割フレームの当該位置に対しては“0x06”を同様に付与する。つまり、分割フレーム毎に、1ずつインクリメントした値を基本分割スロット#1、#2及び#nの先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドに付与し、“0xFD”が付与された分割フレームの次の分割フレームに対しては“0x04”を付与するようにして繰り返す。これにより、受信装置17における分割フレームの受信順序が、送信装置11側の送信順序と入れ替わりが生じるような場合でも、基本分割フレーム間の前後関係が識別可能となる。また、受信装置17側で、正しい順序の分割フレームに並び替えることができ、尚且つ、分割フレームと基本分割スロットとの紐づけが可能となる。
【0072】
前述の通り、
図4に示すように、基本分割スロット#1は、ISDB-S3送信機12‐1から取得するTMCC情報(TMCC
ISDB-S3)に基づき、情報ビットレートが調整された残りの領域を埋めるために、基本分割スロット#1の後方からヌル(NULL(ISDB-S3))が挿入される。このヌルは、分割フレームにおける各TLVパケットの単位を明確にするために、可変長のヌルTLVパケット(“0xFF”を基本単位とする可変長パケット)としてもよいが、放送伝送路上では実際に伝送されない。
【0073】
ISDB-S3がサポートする変調方式・LDPC符号化率の組合せは、55種類あり、限定するものではないが、例えばISDB-S3送信機12‐1において単一の変調方式・LDPC符号による符号化変調方式でデータ伝送を行うと定めた場合、
図7に示すように、上記ヌル(NULL(ISDB-S3))長も55種類となる。
図7は、ISDB-S3の変調方式、LDPC符号化率、基本分割スロットのペイロードサイズ、及び挿入するヌルTLVパケット長(NULL(ISDB-S3))の関係を例示する図である。
【0074】
続いて、
図4に示すように、基本分割スロット#2から#n-1の割当に際して、21GHz帯広帯域送信機12‐2から取得するTMCC情報(TMCC
21GHz)に基づき、情報ビットレート(I
21GHz)を取得し、21GHz帯広帯域送信機12‐2に割り当てる基本分割スロット数(n-2)を定める。ここで、21GHz帯広帯域送信機12‐2における伝送シンボルフレーム構成を
図8に示す。
図8より、先頭26シンボルのヘッダ以降、主信号187シンボル毎にXシンボルの位相基準バースト信号を繰り返す構成となっている。主信号シンボル長はQPSKの場合、22,440シンボル、8PSKの場合、14,960シンボルであることから、44,880ビットの誤り訂正符号を変調する上で整合が取れたシンボル長となっている。また、21GHz帯広帯域送信機12‐2の誤り訂正符号はISDB-S3と共通であり、
図9に示す通り、誤り訂正符号長は44,880ビットである。ISDB-S3送信装置12‐1と21GHz帯広帯域送信機12‐2は、伝送フレーム構成は異なるが、誤り訂正符号長が同一であることから、ISDB-S3の伝送フレームを基本とする基本分割スロットとも多くの変調方式、符号化率の組み合わせにおいて、過不足なくパケット整合を取ることが可能である。よって、
図8に示す伝送シンボルフレーム構成から、情報ビットレートI
21GHzは、QPSKの場合には式(2)により、8PSKの場合には式(3)により求まる。式(2)、(3)において、Rsはシンボルレート、Xは位相基準バースト信号長、k/44,880は符号化率に相当する(TLVパケットペイロード長kについては、
図10参照)。
【0075】
【0076】
【0077】
式(2)、(3)に従い、情報ビットレートI21GHzは、21GHz帯広帯域送信機12‐2で指定する、変調方式、符号化率、シンボルレート及び位相基準バースト信号長により一意に定まる。
【0078】
続いて、式(4)に基づき、基本分割スロット数(n-2)を求める。尚、Max(IISDB-S3)はISDB-S3の最大伝送ビットレート(146.6735Mbps)に相当する。また、ceil()は、()内の値の小数点以下を切り上げる関数である。
【0079】
【0080】
図8に示す伝送シンボルフレーム構成の一例として、変調方式8PSK、シンボルレート275Mbaud、符号化率9/10、位相基準バースト信号長X=12の場合、I
21GHz=696.5Mbpsであり、この場合、n-2=5スロットとなる。尚、ISDB-S3送信機12‐1に割り当てる基本分割スロット#1は、32APSK(9/10)120スロットを基準とする。つまり、本分割フレームの構成単位である605880バイト=4847040ビットは、符号化率9/10におけるk=40392ビットとの関係性において、4847040=120×40392の関係性が成立することから、
図9におけるLDPC符号を1パケットとした場合のパケット数としては120パケットに相当する。以上に基づき、21GHz帯広帯域送信機12‐2用に割り当てられた基本分割スロットに収容可能な誤り訂正符号パケット数(LDPCパケット数)P
21GHzを式(5)により求める。ここで、round()は、()内の値の小数点以下を最も近い整数に丸める関数である。
【0081】
【0082】
また、
図8に示す伝送シンボルフレーム構成の一例として、変調方式QPSK、シンボルレート250Mbaud、位相基準バースト信号長4における符号化率毎のI
21GHz、n-2及びP
21GHzを
図11に示す。本例においては、全ての符号化率において、P
21GHz=360となるが、符号化率の増大に伴いI
21GHzが増加するため、基本分割スロット数は漸増する。また、本例における、
図8による伝送シンボルフレーム適用時の伝送シンボル長(シンボル時間)、つまりシンボルレート250MbaudにおけるLDPCパケット360パケット伝送時の21GHz帯送信機12‐2の伝送シンボル時間は約33msecとなり、これはISDS-B3送信機12‐1に接続する基本分割スロット#1の伝送シンボル時間と一致するため、本伝送シンボルフレーム構成を適用した場合、12GHz帯と21GHz帯の送受信装置間の伝送時間を同一とすることが可能となる。
【0083】
図11に基づく、21GHz帯広帯域送信機12‐2に入力される、LDPC符号化率毎(1/2~9/10)の基本分割スロットのパケット割り当て構成を、それぞれ
図12から
図19に示している。尚、
図15、
図17及び
図18にそれぞれ示す符号化率3/4、5/6及び7/8においては、k(TLVパケットペイロード長)が605880バイト(基本分割スロット長)の整数倍とならないため、各基本分割スロットの後段にNULL(21GHz)が挿入される。この際、各基本分割スロット内でTLVパケットを詰める、又は分割するような調整を行うことで、各基本分割スロット内のNULL(21GHz)をより減らす割り当てとすることも可能であるが、このような調整は処理が煩雑化するだけでなく、これらの調整した各基本分割スロット内のいずれかのTLVパケットに誤り訂正不能な伝送エラーが生じた場合に、調整した他のTLVパケットまで誤り訂正不能なエラー伝搬が発生する恐れがあることから、
図15、
図17及び
図18にそれぞれ示す符号化率3/4、5/6及び7/8においては、NULL(21GHz)は基本分割スロット毎に挿入することが望ましい。そして、基本的には、21GHz帯広帯域送信機12‐2に接続する最終の基本分割スロット(#n-2)において、情報ビットレートが調整された残りの領域を埋めるために、後方からヌル(NULL(21GHz))が挿入される。ただし、
図13及び
図19にそれぞれ示す符号化率3/5及び9/10の例のように、k(TLVパケットペイロード長)が605880バイト(基本分割スロット長)の整数倍となるときは、NULL(21GHz)の挿入は必要ない。このヌルは、分割フレームにおける各TLVパケットの単位を明確にするために、可変長のヌルTLVパケット(“0xFF”を基本単位とする可変長パケット)としてもよいが、放送伝送路上では実際に伝送されない。
【0084】
また、
図4から理解されるように、通信伝送路(IPネットワーク19)経由でデータ分割して伝送する場合も放送伝送路でデータ分割して伝送する場合と同様に、1つの分割フレーム内で先頭TLVパケットを持つ基本分割スロットを構成している。このため、1つの分割フレームに対し、別途、フレームヘッダを設けることなく、受信装置17側では、各先頭TLVパケットにより各分割フレームを再構成できるようにしており、放送伝送路及び通信伝送路のいずれに対しても親和性の高い態様で、伝送効率も高いものとしている。通信伝送路における基本分割スロット#nも同様に、情報ビットレートが調整された残りの領域を埋めるために、後方からヌル(NULL(IP))が挿入される。このヌルは、分割フレームにおける各TLVパケットの単位を明確にするために、可変長のヌルTLVパケット(“0xFF”を基本単位とする可変長パケット)としてもよいが、通信伝送路上では実際に伝送されない。
【0085】
このようにして、分割フレーム生成部112は、
図2に示す例ではTMCC情報に基づき適時、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2への分配に係る情報ビットレートを調整するための分割フレーム(
図4参照)を構成して、この分割フレームに基づき、TLV信号生成部111から入力されるTLV信号を後続するISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2へ分割し、当該TLV信号がISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送可能な最大伝送レートを超える情報ビットレートI
allのときはIPネットワーク19へも分割して分配する。
【0086】
そして、分割フレーム生成部112は、大容量データを分割フレーム単位で、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2及びIPネットワーク19へ分配するよう動作するため、クロック同期で分配動作させる際に安定化するとともに、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々における伝送フレーム(ISDB-S3及び21GHz帯広帯域伝送シンボルフレーム(
図8参照))で収容可能なペイロードサイズが基本分割スロットのペイロードサイズと一致するため、容易にISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2に対し接続可能となる。
【0087】
また、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々における符号化変調方式が個々に異なり、可変とする場合でも、分割フレーム生成部112は、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々から取得したTMCC情報に基づき、対応する各基本分割スロットのペイロードサイズを設定することができるため、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々に対する情報ビットレートが一定となるよう制御することができる。換言すると、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々のTMCC情報に基づき、基本分割スロットの情報ビットレートが定まることになる。
【0088】
一例として、
図20は、ISDB-S3送信機12‐1がサポートする符号化変調方式として16APSK(LDPC符号化率:7/9)に設定し、21GHz帯広帯域送信機12‐2がサポートする符号化変調方式としてQPSK(LDPC符号化率:2/3)における基本分割スロットの構成例である。
図20に示す例では、基本分割スロットあたり、#1において99.9552Mbps、#2から#4において325.9Mbps伝送することが可能である。尚、基本分割スロット内のヌル(又はヌルTLVパケット)は、送信装置11とISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の接続容易性やクロック同期管理を容易とするためのパディング的な機能であることから、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2から放送伝送路上で実際に伝送されることはない。
【0089】
尚、
図2に示すように、分割フレーム生成部112は、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2及びIPネットワーク19へのデータの分配数をTMCC情報に応じて可変とするとき(即ち、1分割フレームを構成する基本分割スロットの総数を可変とするとき)には、スロット分割数(本例ではn)及び各送信機に対応する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1、2~n-1、n)の情報について、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々に通知して、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々におけるTMCC情報(TMCC
ISDB-S3,TMCC
21GHz)を用いてISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2から受信装置17に向けて伝送させるよう構成するのが好適である。これにより、詳細に後述する受信装置17が1分割フレームを容易に再構成することができるようになる。
【0090】
利用するISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の全てに通知するスロット分割数の情報は、
図4に示す分割フレームにおける基本分割スロットの総数(n)の情報に相当する。ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々に通知する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1、2~n-1、n)は、
図4に示す各基本分割スロットを識別する固有番号に相当する。
【0091】
図2に示す例では、分割フレーム生成部112は、スロット分割数(本例ではn)及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1、2~n-1、n)の情報をISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々から取得したTMCC情報の拡張領域に埋め込んで返信することで通知する。ISDB-S3はTMCC情報の拡張領域として3614ビット利用可能であり、スロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を独立して送信するために十分な空き領域を有する。また、21GHz帯広帯域送信機12‐2においても、
図8に示す通り、位相基準バースト信号にTMCC情報を多重することが可能である。ただし、これらのスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報はローカルエリアネットワーク経由で分割フレーム生成部112からISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々に通知する形態でもよいし、各基本分割スロット内に埋め込んでもよい。
【0092】
例えば、
図3に示すようにTLVパケットペイロード内にMMT信号形式でデータを伝送するよう定めているときは、MMTPヘッダ内にスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を埋め込んでもよい。MMTの場合、MMTPヘッダ内に拡張領域が確保されており、それらを利用してスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を通知することも可能である。このように、MMTなど、固有のヘッダ情報を有する信号形式を格納するよう定めているときは、当該ヘッダ情報の空き領域を利用して通知する。また、スロット分割数を頻繁に変更することは想定しにくいため、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の周波数割り当てなど固有の情報について伝送時刻でスケジューリングしたスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を送受(送信装置11及び受信装置17)間で予め定めて既知としておくか、又は当該大容量データの伝送前に送信装置11から受信装置17へ事前通知することも可能である。
【0093】
図2に示すIPカプセル化部113は、情報ビットレートI
IPで、信号源装置10から取得する大容量データを分配伝送する際に、
図4に示す基本分割スロット♯nにおけるTLV信号についてIPv4又はIPv6等のインターネットプロトコルに従うヘッダ情報を付加しIPカプセル化を施してIPベースの信号(IPパケットやイーサネット(登録商標)フレーム等)を形成してIPネットワーク19に出力し、IPネットワーク19経由で受信装置17向けに伝送する。
【0094】
特に、分割フレーム生成部112により構成した分割フレームがIPネットワーク19の通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを含む際に、IPカプセル化部113は、この所定数の基本分割スロットに対して、当該IPネットワーク19と整合するIPベースのパケットに分割し、且つ分割した各IPベースのパケットに対しパケットの信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号を付与して、受信装置17向けに伝送する手段を有している。
【0095】
図21は、本発明による一実施例の送信装置11において、分割フレーム内にIPネットワーク経由の伝送を利用する基本分割スロットを含むときに、IPベースのパケットの分割伝送のために付与されるIPシーケンス番号を含むパケット構造を示す図である。
図21に示すように、IPカプセル化部113は、IPネットワーク上では、IPベースのパケットの入れ替わり(リオーダリング)が発生することから、IPペイロード領域に16ビットのIPシーケンス番号(IPSN)を付与して受信装置17向けに伝送する。このIPシーケンス番号を受信装置17側で利用することで、受信装置17は、入れ替わりが生じたIPベースのパケットを適切な順序に並び替えることが可能となる。
【0096】
受信装置17では、当該ヘッダ情報を基に受信したIPベースの信号を順番に並び替えた後、当該
図4に示す基本分割スロット♯nにおけるTLV信号を抽出することになる。ただし、上述したように、送信装置11は、信号源装置10からISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送可能な最大伝送レートを超える情報ビットレートI
allのデータを受信装置17に向けて伝送するときにのみIPネットワーク19への伝送を利用する。尚、
図4に示す基本分割スロット♯nは、1スロット分に限らず複数スロットとしてもよいが、本実施例では主として伝送時刻の安定性の高い放送伝送路を用いる構成としているため、1スロット分としている。また、送信装置11から放送伝送路と通信伝送路を用いて大容量データを受信装置17へ分割伝送する上では、受信装置17側での当該分割スロットの再構成(各基本分割スロット内のTLVパケットの連結)の容易性の観点から、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2で伝送するための基本分割スロットのサイズと整合する同サイズとしている。
【0097】
上述したように、
図2に示す実施例の送信装置11は、分割フレーム生成部112により、スロット分割数及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号(本例では1、2~n-1、n)の情報について、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々に通知して、ISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2の各々におけるTMCC情報(TMCC
ISDB-S3,TMCC
21GHz)を用いてISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2から受信装置17に向けて伝送させるよう構成するのが好適である。このため、以下、
図2に示す送信装置11に対応する本発明に係る一実施例の受信装置17について詳細に説明する。
【0098】
(受信装置)
図22は、本発明による一実施例の受信装置17の概略構成を示すブロック図である。この受信装置17は、分割フレーム再構成部171、IPデカプセル化部172、及び出力信号生成部173、を備える。
【0099】
分割フレーム再構成部171はISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2にそれぞれ対応するISDB-S3受信機16‐1及び21GHz帯広帯域受信機16‐2から得られるTMCC情報(TMCC
ISDB-S3,TMCC
21GHz)を基に分割フレームの構造(基本分割スロットのスロット分割数等)を識別し、且つ各基本分割スロットを構成する先頭TLVパケットをTLVヘッダ内の設定情報を基に判別して並び替えを行い、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2及びIPネットワーク19から伝送される当該情報ビットレートI
ISDB-S3,I
21GHz,I
IPの各データについて各基本分割スロット内の後方でヌル(又はヌルTLVパケット)を挿入して
図4を参照して上述した分割フレームを再構成する。尚、本例では、
図4に示す分割フレームを再構成するためのスロット分割数及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号の情報が、TMCC情報(TMCC
ISDB-S3,TMCC
21GHz)を用いて伝送されている。ただし、複数の放送伝送路で用いられる符号化変調方式が予め既知である場合、且つISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2及びIPネットワーク19へのデータの分配数が可変でなく固定の場合や、送受間で予め既知であるようにスケジューリング又は事前通知されているときは、分割フレーム再構成部171は、当該TMCC情報(TMCC
ISDB-S3,TMCC
21GHz)を参照する必要なく、予め固定フレーム長である分割フレームを再構成することができる。
【0100】
また、分割フレーム再構成部171は、12GHz帯衛星伝送路と21GHz帯衛星伝送路の両方を経由してISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2から伝送されたTLVパケット形式の信号を受信する場合に、21GHz帯衛星伝送路で伝送可能な情報ビットレートと12GHz帯衛星伝送路の最大ビットレートとの比により算出される基本分割スロット数に基づき、LDPC符号の符号化率に応じて各基本分割スロットに収容可能なTLVパケット数、基本分割スロットの分割数及びNULL長を調節して、当該所定数の基本分割スロットからなる分割フレームを再構成する。
【0101】
つまり、分割フレーム再構成部171は、上述した
図5に示す先頭TLVパケットをTLVヘッダ内の設定で判別し、且つ分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報(上記の実施例では、先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値による)を判定することで、他のTLVヘッダと区別して各基本分割スロットの先頭位置及び分割フレーム間の適切な信号順序を把握することが可能である。そして、分割フレーム再構成部171は、
図4に示す分割フレームを再構成するためのスロット分割数及び各送信機12に対応する基本分割スロットを示す固有番号の情報から、各基本分割スロットに対応する情報ビットレートでTLVパケット配置を決定し、所定量のヌル(又はヌルTLVパケット)を各基本分割スロットの後方に挿入することで、
図4に示す分割フレームを再構成する。これにより、実際には放送伝送路及び通信伝送路では伝送されないヌル(又はヌルTLVパケット)を用いて分割フレームを正確に復元することで、各分割フレームにおける各基本分割スロット間の処理速度を一定に保ち処理を安定化させることが可能となり、放送伝送路及び通信伝送路における伝送遅延を補償することが可能となる。また、先頭TLVパケットにより各基本分割スロットの先頭位置を把握することが可能であるため、別途、フレームヘッダを設けることなく、受信装置17側では、各先頭TLVパケットにより各分割フレームを再構成することができ、放送伝送路及び通信伝送路のいずれに対しても親和性の高い態様で、伝送効率も高いものとなる。
【0102】
IPデカプセル化部172は、送信装置11からIPネットワーク19を経て送出される分配後の一部データ(情報ビットレートI
IPのデータ)があるときは、そのデータをもIPベースのパケットで受信してIPデカプセル化を施し、該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づいて信号順序を整列した後、当該
図4に示す基本分割スロット♯nにおけるTLV信号を抽出して、当該基本分割スロット♯nを再構成し、分割フレーム再構成部171に出力する。
【0103】
これにより、分割フレーム再構成部171は、送信装置11からIPネットワーク19を経て送出される分配後の一部データ(情報ビットレートI
IPのデータ)があるときは、そのデータをも受信して、上述した識別情報(上記の実施例では、先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値による)に基づいて、
図4を参照して上述した当該分割フレームを再構成するよう並び替えを行う。
【0104】
出力信号生成部173は、分割フレーム再構成部171によって再構成した当該分割フレームにおける基本分割スロット#1から基本分割スロット#nまでのデータについて各基本分割スロットの昇順に、TLVヘッダ(先頭TLVヘッダを含む)及びヌルを削除した上で連結し(即ち、有効データについて連結し)、信号源装置10から送出されたものと同じ信号形式の大容量データ(情報ビットレートIallで伝送されたものとしたときと等価なデータ)を復元し、表示装置18に適した出力信号を生成して表示装置18に出力する。尚、表示装置18の代わりに、大容量データを記録媒体に記録する記録装置としてもよい。
【0105】
以上のように、本発明に係る送信装置11及び受信装置17を備える伝送システム1は、TLVパケット形式で大容量データを分割してバルク伝送するよう構成される。そして、送信装置11は、当該バルク伝送に用いる複数の放送伝送路に対して共通する伝送方式に準拠したフレーム長の分割フレームを定める。特に、送信装置11は、当該大容量データの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路の最大伝送レート内に収まるときは当該複数の放送伝送路に応じた数の基本分割スロットで当該分割フレームを構成し、当該大容量データの伝送に要する情報ビットレートが当該複数の放送伝送路で伝送可能な最大伝送レートを超えるときは更にIPネットワーク19の通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを加えて当該分割フレームを構成する。そして、送信装置11は、この分割フレームを基準に当該TLVパケット形式の信号に変換された大容量データを分割伝送するよう、当該複数の放送伝送路におけるISDB-S3送信機12‐1及び21GHz帯広帯域送信機12‐2、並びに当該通信伝送路(IPネットワーク19)への接続を制御するものとなっている。また、送信装置11は、分割フレームを構成する各基本分割スロット内に、分割フレームの信号順序を一意に明示するための識別情報(上記の実施例では、先頭TLVパケット内のパケットタイプフィールドの数値による)を付与する。これにより、当該大容量データの伝送に係る情報ビットレートを安定化せしめ、送信装置11及び受信装置17間のデータ伝送同期を容易、且つ安定化して、利用する放送伝送路及び通信伝送路に対する接続容易性(接続タイミングの同期容易性)を向上させることができ、リオーダリング等の信号順序の入れ替えの発生に対しても、受信装置17は適切に信号順序を元の並びに戻すことが可能となる。特に、12GHz帯放送伝送路の伝送方式をISDB-S3方式としているので、分割フレームを構成する基本分割スロットを、ISDB-S3の120スロット分に対応したフレーム長としている。
【0106】
更に、本発明に係る送信装置11は、当該分割フレームを構成する、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2及び通信伝送路に入力する各基本分割先頭スロットおいて、その先頭のTLVパケットを示す先頭TLVパケットを各基本分割スロット内の他のTLVパケットとは区別するようTLVヘッダ内の設定で定め、いずれの分割フレームにおける、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを受信装置17側で識別できるようにして分割フレームを構成する。そして、本発明に係る受信装置17においては、当該複数の放送伝送路、並びに当該通信伝送路を経て受信したTLVパケット形式の信号のうちTLVヘッダ内の設定情報を基に先頭TLVパケットを判別して、いずれの分割フレームにおける、いずれの基本分割スロットの先頭を示すTLVパケットであるかを識別して分割フレームを再構成する。これにより、別途、フレームヘッダを設けることなく、受信装置17側では、各先頭TLVパケットにより各分割フレームを再構成することができ、放送伝送路及び通信伝送路のいずれに対しても親和性の高い態様で、伝送効率も高いものとなる。
【0107】
また、本発明に係る送信装置11及び受信装置17は、当該分割フレームを構成又は再構成する際に、当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式に基づきそれぞれ対応する情報ビットレートを算出し、各基本分割スロットを構成する当該分割フレームのフレーム長が一定値になるよう各放送伝送路における情報ビットレートに応じて割り当てたデータの後段にヌルを挿入して当該複数の放送伝送路用の基本分割スロット、並びに当該複数の放送伝送路用に合わせて当該通信伝送路用の基本分割スロットを形成する。当該複数の放送伝送路の各々の符号化変調方式については当該複数の放送伝送路の各々の伝送制御に用いるTMCC情報から把握する構成とすることができる。これにより、12GHz帯放送伝送路に用いる伝送方式をISDB-S3とし、21GHz帯放送伝送の伝送形式もこのISDB-S3に準じた形式としているので、55種類の符号化変調方式が存在し、従来技法であればデータ分割の際にその55種類の符号化変調方式に応じて独立してクロック同期制御を行う必要が生じていたところ、本発明に係る送信装置11及び受信装置17では、そのような独立したクロック同期制御を行う必要がなくなり、各分割フレームにおける各基本分割スロット間の処理速度を一定に保ち処理を安定化させることが可能となり、放送伝送路及び通信伝送路における伝送遅延を補償することが可能となる。
【0108】
また、本発明に係る送信装置11は、TLVパケット形式で大容量データを分割してバルク伝送する際に、分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数を変更可能とし、分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を受信装置17に通知する手段を有する。尚、スロット分割数を頻繁に変更することは想定しにくいため、各送信機12の周波数割り当てなど固有の情報について伝送時刻でスケジューリングしたスロット分割数及び基本分割スロットの固有番号の情報を送受(送信装置11及び受信装置17)間で予め定めて既知としておくことも可能であるが、当該大容量データの伝送前に送信装置11から受信装置17へ事前通知する構成が有効である。
【0109】
加えて、本発明に係る送信装置11は、分割フレームを構成する基本分割スロットのスロット分割数及び各基本分割スロットの固有番号の情報を当該複数の放送伝送路の各々の伝送制御に用いるTMCC情報内に埋め込んで受信装置17に通知するのが好適である。即ち、当該情報は、各基本分割スロット内に埋め込むことや、各基本分割スロット内のTLVパケットに格納される所定信号形式(MMT等)のヘッダ情報内に埋め込むことも可能であるが、TMCC情報内に埋め込んで受信装置17に通知する構成の方が利便性の高いものとなる。
【0110】
また、本発明に係る送信装置11は、当該分割フレームを構成する際に、IPネットワークの通信伝送路経由で伝送するための所定数の基本分割スロットを含むものとするときに、この所定数の基本分割スロットに対して、当該IPネットワーク19と整合するIPベースのパケットに分割し、且つ分割したパケットの信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号を付与して、受信装置17向けに伝送する。そして、本発明に係る受信装置17は、IPネットワークの通信伝送路経由で伝送された当該所定数の基本分割スロットに関する分割されたIPベースの各パケットを受信したときは、デカプセル化を施し、該パケット内に付与される信号順序を一意に明示するためのIPシーケンス番号に基づいて信号順序を整列した後、TLV信号を抽出して当該所定数の基本分割スロットを再構成する。これにより、IPベースの各パケットにリオーダリング等の信号順序の入れ替えの発生に対しても、受信装置17は適切に信号順序を元の並びに戻すことが可能となる。
【0111】
上述した実施例に関して、送信装置11又は受信装置17として機能するコンピュータを構成させ、送信装置11又は受信装置17の各手段を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。具体的には、各手段を制御するための制御部をコンピュータ内の中央演算処理装置(CPU)で構成でき、且つ、各手段を動作させるのに必要となるプログラムを適宜記憶する記憶部を少なくとも1つのメモリで構成させることができる。即ち、そのようなコンピュータに、CPUによって該プログラムを実行させることにより、上述した各手段の有する機能を実現させることができる。更に、各手段の有する機能を実現させるためのプログラムを、前述の記憶部(メモリ)の所定の領域に格納させることができる。そのような記憶部は、装置内部のRAM又はROMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。また、そのようなプログラムは、コンピュータで利用されるOS上のソフトウェア(ROM又は外部記憶装置に格納される)の一部で構成させることができる。更に、そのようなコンピュータに、各手段として機能させるためのプログラムは、コンピュータが読取り可能な記録媒体に記録することができる。また、上述した各手段をハードウェア又はソフトウェアの一部として構成させ、各々を組み合わせて実現させることもできる。
【0112】
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、上述した実施例では、ISDB-S3方式の伝送方式の衛星伝送路を放送伝送路として利用する形態を説明したが、例えばISDB-S3方式と伝送フレーム構成がほぼ同様とすることが予定されている次世代の4K・8K等の地上伝送路を放送伝送路として利用する形態とすることも可能である。また、上述した実施例では、送信装置11と、ISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2とを別個に備える形態を説明したが、送信装置11内にISDB-S3送信機12‐1、21GHz帯広帯域送信機12‐2を複数包含するよう設けたものであってもよい。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0113】
以上、特定の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施例では、主として衛星伝送路を放送伝送路として用いる例を説明したが、地上伝送路を放送伝送路として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明によれば、放送伝送路の周波数がひっ迫する環境においても、データ伝送に係る全体の伝送容量を高め、IPとの親和性の高い伝送システムを実現することが可能となるので、複数種類のデジタル変調方式を用いて大容量データを分割し時分割多重する伝送システムの用途に有用である。
【符号の説明】
【0115】
1 伝送システム
10 信号源装置
11 送信装置
12‐1 ISDB-S3送信機
12‐2 21GHz帯広帯域送信機
13‐1 ISDB-S3用送信アンテナ
13‐2 21GHz帯送信アンテナ
14‐1 12GHz帯放送衛星
14‐2 21GHz帯放送衛星
15‐1 12GHz帯受信アンテナ
15‐2 21GHz帯受信アンテナ
16‐1 ISDB-S3受信機
16‐2 21GHz帯広帯域受信機
17 受信装置
18 表示装置
19 IPネットワーク
111 TLV信号生成部
112 分割フレーム生成部
113 IPカプセル化部
171 分割フレーム再構成部
172 IPデカプセル化部
173 出力信号生成部