(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022133696
(43)【公開日】2022-09-14
(54)【発明の名称】生体音検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 7/04 20060101AFI20220907BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220907BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
A61B7/04 G
A61B5/00 101R
A61B5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032534
(22)【出願日】2021-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177493
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 修
(72)【発明者】
【氏名】竹本 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大輔
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA20
4C038VB09
4C038VB32
4C038VC20
4C117XA01
4C117XB01
4C117XC11
4C117XD10
4C117XE24
4C117XE28
4C117XE29
4C117XE30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】生体情報を収集することができ、かつ装着性に優れた生体音検出装置を提供する。
【解決手段】支持アーム1に容量型のマイクロフォン2Aを備える。この容量型のマイクロフォン2Aは、集音部の開口に湾曲した凸形状の振動膜を備え、振動膜が振動することで生じる集音部内の圧力変化から生体音を生体音信号に変換する。湾曲した凸形状の振動膜は、使用者の頸部に接触した状態で、その形状を保持している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頸部に装着可能な支持アームと、該支持アームに配置され前記頸部に接触して該頸部から得られる生体音を生体音信号に変換するマイクロフォンと、前記生体音信号を出力する生体音信号出力部とを備えた生体音検出装置において、
前記マイクロフォンは、集音部の開口に湾曲した凸形状の振動膜を備え、該振動膜が振動することで生じる前記集音部内の圧力変化から前記生体音を前記生体音信号に変換する容量型マイクロフォンからなり、
前記振動膜は、前記使用者の頸部に接触した状態で、前記湾曲した凸形状を保持することを特徴とする生体音検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の生体音検出装置において、
前記振動膜が前記使用者の頸部に接触して生じる前記振動膜の変形は、前記容量型マイクロフォンが動作可能な変形であることを特徴とする生体音検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の頸部に装着可能な生体音検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の頸部に装着して生体音を収集する生体音検出装置は、支持アームに配置されたマイクロフォンにより生体音を生体音信号に変換し、生体音信号出力部から有線あるいは無線通信により出力する。この種の生体音検出装置は特許文献1に記載されている。
【0003】
例えばC字状の支持アームを備えた生体音検出装置10を
図3に示す。
図3に示す生体音検出装置10は、使用者の頸部に装着させた状態を示しており、頸部の前側(声帯の近傍)に当接する支持アーム1内に2個のマイクロフォン2を配置している。支持アーム1は、使用者の肩の上に乗せた状態でマイクロフォン2を頸部に押圧するように装着される。
【0004】
マイクロフォン2を容量型マイクロフォンとする場合には、
図4に示すように、集音部3の開口部を覆うように振動膜4が形成され、振動膜4の振動が集音部3内の圧力変化となり、この圧力変化を容量型トランスデューサ5で検知することで、生体音を生体音信号に変換する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで
図3および
図4に示す生体音検出装置では、使用者の頸部と平面状の振動膜4とが確実に接触しないと、容量型トランスデューサ5による生体音の検知が難しくなる。具体的には、使用者の頸部と振動膜4との間に隙間が生じたり、振動膜4の一部としか頸部が接触していない場合には、生体音の検知ができなかったり、検知される生体音の信号レベルが小さくなってしまう。このような不具合を解消するため、支持アーム1が使用者の頸部を強く押圧するように構成すると、装着性が悪くなってしまう。本発明はこのような実状に鑑み、生体情報を収集することができ、かつ装着性に優れた生体音検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、使用者の頸部に装着可能な支持アームと、該支持アームに配置され前記頸部に接触して該頸部から得られる生体音を生体音信号に変換するマイクロフォンと、前記生体音信号を出力する生体音信号出力部とを備えた生体音検出装置において、前記マイクロフォンは、集音部の開口に湾曲した凸形状の振動膜を備え、該振動膜が振動することで生じる前記集音部内の圧力変化から前記生体音を前記生体音信号に変換する容量型マイクロフォンからなり、前記振動膜は、前記使用者の頸部に接触した状態で、前記湾曲した凸形状を保持することを特徴とする。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の生体音検出装置において、前記振動膜が前記使用者の頸部に接触して生じる前記振動膜の変形は、前記容量型マイクロフォンが動作可能な変形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の生体音検出装置は、振動膜を湾曲した凸形状とし、支持アーム1の表面から突出した構造とすることで、振動膜が頸部に確実に接触しながら、支持アーム1が使用者の頸部を押圧する必要はなく装着性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例の生体音検出装置の説明図である。
【
図2】本発明の実施例の生体音検出装置のマイクロフォンの説明図である。
【
図4】従来の生体音検出装置のマイクロフォンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の生体音検出装置は使用者の頸部に装着され、使用者の生体音は容量型トランスデューサ5を備えるマイクロフォン2Aで生体音信号に変換して出力する。ここで生体音検出装置の装着状態は、湾曲した凸形状の振動膜4Aが使用者の頸部に接触する状態とする。ここで支持アーム1は、支持アーム1から突出する振動膜4Aが頸部に接触する程度の圧力を頸部に加えれば足り、支持アーム1が頸部を押圧する必要はない。このように支持アーム1が使用者の頸部を強く押圧することがないため、非常に装着性に優れた生体音検出装置となる。以下、本発明の生体音検出装置について詳細に説明する。
【実施例0012】
本発明の実施例について説明する。
図1は本実施例の生体音検出装置10Aを使用者の頸部に装着した状態の説明図である。また
図2は、本実施例のマイクロフォン2Aの説明図である。
図1に示すように本実施例の生体音検出装置10Aは、着脱が容易となるように一部が開口したC字状の支持アーム1を備えている。また、支持アーム1に一対の突起部6を備えている。この突起部6は必ずしも必須ではないが、突起部6を備えることで使用者の頸部に安定して装着することが可能となる。突起部6は、
図1に示すような形状の他、例えば装着時に使用者の頸部に接触する部分とこれを支持する部分とを固着しない構造とし、頸部の形状に沿って接触部の接触角度が変わるように構成すると、より安定した装着が可能となり好ましい。
【0013】
支持アーム1は、着脱を容易にするため開口寸法が広がるように変形可能とするのが好ましい。また支持アーム1は中空構造とすることで、内部に生体音を検知して生体音信号に変換するマイクロフォン2Aの信号処理部や、外部に生体音信号を出力する生体音信号出力部等を配置することができる。当然ながら信号処理部や生体音信号出力部等は、マイクロフォンとワイヤで接続した装置(生体音検出装置の使用者がポケット等に入れて身に着ける装置)内に配置してもよい。
【0014】
本実施例のマイクロフォン2Aは、
図2に示すように振動膜4Aが湾曲した凸形状となっている点で、
図4で説明した従来の生体音検出装置の振動膜4と相違している。この湾曲した凸形状の振動膜4Aは、使用者の頸部に接触した状態でもその形状を保つように構成してする。あるいは変形する場合であっても、その変形はわずかとなるように材料と形状を選定する。
【0015】
これは、振動膜4Aを頸部に接触させる際、振動膜4Aの変形により容量型トランスデューサ5が破損したり、集音部3内の急激な圧力変化により不要な雑音の発生を防止したりすることを防止するためである。
【0016】
また振動膜4Aを凸形状とすることで、この凸形状の振動膜4Aが使用者の頸部に深く入り込み、使用者の動きによって支持アーム1がずれることもなくなり好ましい。また支持アーム1が頸部に接触する圧力を軽減することができ、装着性に優れた構造となる。なお環境雑音の入力を抑制するため、振動膜4Aとその周囲の支持アーム1の表面が頸部に接触するように圧力を調整するのが好ましい。
【0017】
使用者の頸部に接触した振動膜4Aは、頸部からの生体音(音声、呼吸音、心拍音等)により振動する。この振動膜4Aの振動は、集音部3内の圧力を変化させ、この圧力変化に応じて容量型トランスデューサ5から生体音信号を出力される。この生体音信号は、図示しない信号処理部や生体音信号出力部によって、外部へ送信されて生体音を検知することが可能となる。
【0018】
例えば音声を検知する生体音検出装置とすると、生体音検出装置を装着した人とのコミュニケーション装置として使用することができる。また呼吸音や心拍音を検知する生体音検出装置とすると、厳しい環境下で働く作業者の見守り装置として使用することができる。
【0019】
本発明の生体音検出装置は、容量型トランスデューサ5を備えたマイクロフォン2Aを備える構成に限定されず、支持アーム1に別の検出装置(体温や周囲温度を測定する温度センサ、湿度センサ、照度センサ、紫外線センサ等を組み合わせて使用することで、多様な生体音検出装置を構成することが可能となる。
【0020】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。例えば、支持アーム1の形状、振動膜4Aの湾曲した凸形状等は、適宜変更可能である。