(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022134990
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】形状測定方法及び形状測定機
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220908BHJP
G06T 3/40 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G01B11/24 F
G06T3/40 720
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034538
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】川上 哲司
【テーマコード(参考)】
2F065
5B057
【Fターム(参考)】
2F065AA47
2F065AA54
2F065BB02
2F065BB18
2F065CC19
2F065DD03
2F065FF10
2F065FF52
2F065GG04
2F065GG24
2F065HH03
2F065HH04
2F065JJ01
2F065JJ03
2F065MM03
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065UU05
2F065UU06
5B057CA13
5B057CA16
5B057CB13
5B057CB16
5B057CC01
5B057CD03
5B057CE02
5B057CE08
5B057CE10
(57)【要約】
【課題】スティッチング処理により形状測定データのつなぎ合わせを行う場合に、スティッチング処理誤差を補正した合成データを生成可能な形状測定方法及び形状測定機を提供する。
【解決手段】複数の形状測定データを、スティッチング処理によりつなぎ合わせて第1合成データを生成する第1合成データ生成ステップと、データ取得ステップで取得された複数の形状測定データを、パッチング処理によりつなぎ合わせて第2合成データを生成する第2合成データ生成ステップと、第1合成データと第2合成データとの差分データを生成する差分データ生成ステップと、差分データから、スティッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を演算する第1誤差演算ステップと、第1合成データから第1誤差を減算する補正データ演算ステップと、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定面の形状を非接触で測定する測定装置に対して、前記被測定面を前記測定装置の測定光軸に垂直な方向に相対移動させながら、前記測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データであって且つ連続する前後の前記形状測定データの測定範囲が一部重複している複数の形状測定データを取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得された複数の形状測定データを、スティッチング処理によりつなぎ合わせて第1合成データを生成する第1合成データ生成ステップと、
前記データ取得ステップで取得された複数の形状測定データを、パッチング処理によりつなぎ合わせて第2合成データを生成する第2合成データ生成ステップと、
前記第1合成データと前記第2合成データとの差分データを生成する差分データ生成ステップと、
前記差分データから、前記スティッチング処理による前記形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を演算する第1誤差演算ステップと、
前記第1合成データから前記第1誤差を減算して前記第1合成データの補正データを演算する補正データ演算ステップと、
を有する形状測定方法。
【請求項2】
前記第1誤差演算ステップが、
前記差分データに対してノイズ除去処理を行うノイズ除去ステップと、
前記パッチング処理による前記形状測定データのつなぎ合わせで発生し且つ前記ノイズ除去処理では除去されない第2誤差を前記差分データから減算する減算処理を行う減算処理ステップと、
を有する請求項1に記載の形状測定方法。
【請求項3】
前記第2誤差を予め取得する第2誤差取得ステップを有し、
前記第1誤差演算ステップでは、前記第2誤差取得ステップで取得した前記第2誤差に基づき、前記減算処理を行う請求項2に記載の形状測定方法。
【請求項4】
前記減算処理ステップでは、前記ノイズ除去処理された前記差分データに対して前記減算処理を行う請求項2又は3に記載の形状測定方法。
【請求項5】
前記ノイズ除去処理が、前記測定範囲の2倍以上の長さの波長成分を前記差分データから取り出すフィルタ処理である請求項2から4のいずれか1項に記載の形状測定方法。
【請求項6】
前記データ取得ステップでは、前記被測定面が載置されたステージを前記垂直な方向に移動させながら、前記測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データを取得し、
前記ステージの移動中に前記ステージのたわみが発生し、
前記ステージのたわみ角度に応じて、前記測定範囲内に含まれる前記被測定面の観察点が前記測定光軸の光軸方向に変位し、
前記第2誤差が、前記ステージの位置ごとの前記たわみ角度に応じた、前記ステージの位置ごとの前記観察点の前記光軸方向の変位を示す請求項2から5のいずれか1項に記載の形状測定方法。
【請求項7】
被測定面の形状を非接触で測定する測定装置に対して、前記被測定面を前記測定装置の測定光軸に垂直な方向に相対移動させながら、前記測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データであって且つ連続する前後の前記形状測定データの測定範囲が一部重複している複数の形状測定データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得した複数の形状測定データを、スティッチング処理によりつなぎ合わせて第1合成データを生成する第1合成データ生成部と、
前記データ取得部が取得した複数の形状測定データを、パッチング処理によりつなぎ合わせて第2合成データを生成する第2合成データ生成部と、
前記第1合成データと前記第2合成データとの差分データを生成する差分データ生成部と、
前記差分データから、前記スティッチング処理による前記形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を演算する第1誤差演算部と、
前記第1合成データから前記第1誤差を減算して、前記第1合成データの補正データを演算する補正データ演算部と、
を備える形状測定機。
【請求項8】
前記第1誤差演算部が、
前記差分データに対してノイズ除去処理を行うノイズ除去部と、
前記パッチング処理による前記形状測定データのつなぎ合わせで発生し且つ前記ノイズ除去処理では除去されない第2誤差を前記差分データから減算する減算処理を行う減算処理部と、
を備える請求項7に記載の形状測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定面の形状を非接触で測定する形状測定方法及び形状測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを保持するチャックとして、エンボス加工が施されたウェーハ保持面(被測定面)を有し、このウェーハ保持面に電気的な力でウェーハを保持する静電チャックが知られている(特許文献1参照)。このような静電チャックでは、ウェーハ保持面に多数形成されているエンボスの上面の真直度が一定基準を満たすことが要求されている。このため、静電チャックの製造メーカ或いは半導体の製造設備では、各エンボスの上面の真直度の測定を行う。具体的には、各種被測定面の形状を測定可能な測定装置を用いてウェーハ保持面の形状を測定し、この形状測定結果からエンボスの上面の測定結果のみを抜き出すことで真直度の測定を行う。
【0003】
例えば、測定装置が特許文献2に記載の表面粗さ測定機のような接触式である場合、測定装置の触針を静電チャックのウェーハ保持面に接触させた状態で、触針をウェーハ保持面に沿って移動させる。これにより、複数のエンボスの上面を横断するように触針がウェーハ保持面を走査することで、各エンボスの上面の真直度測定結果が得られる。
【0004】
また、測定装置が白色干渉顕微鏡及びレーザ共焦点顕微鏡等のような非接触式である場合には、測定装置の測定範囲(観察視野)に制限がある。このため、測定装置及びウェーハ保持面の一方を他方に対して、測定装置の測定光軸に垂直な方向に相対移動させながら測定装置によるウェーハ保持面の形状測定を連続的に行って、複数の形状測定データを得る。そして、各形状測定データをスティッチング処理によりつなぎ合わせることで、真直度の評価が可能な長さの合成データを生成する(非特許文献1参照)。これにより、合成データに基づき、各エンボスの上面の真直度測定結果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-14515号公報
【特許文献2】特許第6458335号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】近似参照形状を用いたスティッチ・アルゴリズムの開発:根岸真人など、精密工学会誌, 81, 6(2015) 555.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、エンボスは、その直径が200μmから1mmで且つその高さが10μm~20μm程度の微小突起である。このため、上記特許文献2に記載の接触式の測定装置では、エンボスの上面に触針を十分に接触させられない場合もあり、各エンボスの上面の真直度測定が困難である。
【0008】
一方、非接触式の測定装置では、エンボスのような微細な形状でも問題なく測定することができる。しかしながら、上記非特許文献1に記載のスティッチング処理で各形状測定データをつなぎ合わせた場合に、そのつなぎ合わせ部分に誤差成分(スティッチング処理誤差)が発生するため、合成データから各エンボスの上面の正確な真直度測定結果が得られないおそれがある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、スティッチング処理により形状測定データのつなぎ合わせを行う場合に、スティッチング処理誤差を補正した合成データを生成可能な形状測定方法及び形状測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するための形状測定方法は、被測定面の形状を非接触で測定する測定装置に対して、被測定面を測定装置の測定光軸に垂直な方向に相対移動させながら、測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データであって且つ連続する前後の形状測定データの測定範囲が一部重複している複数の形状測定データを取得するデータ取得ステップと、データ取得ステップで取得された複数の形状測定データを、スティッチング処理によりつなぎ合わせて第1合成データを生成する第1合成データ生成ステップと、データ取得ステップで取得された複数の形状測定データを、パッチング処理によりつなぎ合わせて第2合成データを生成する第2合成データ生成ステップと、第1合成データと第2合成データとの差分データを生成する差分データ生成ステップと、差分データから、スティッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を演算する第1誤差演算ステップと、第1合成データから第1誤差を減算して第1合成データの補正データを演算する補正データ演算ステップと、を有する。
【0011】
この形状測定方法によれば、スティッチング処理で生成された第1合成データとパッチング処理で生成された第2合成データとの差分データから、スティッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を求めることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る形状測定方法において、第1誤差演算ステップが、差分データに対してノイズ除去処理を行うノイズ除去ステップと、パッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生し且つノイズ除去処理では除去されない第2誤差を差分データから減算する減算処理を行う減算処理ステップと、を有する。これにより、第1誤差を求めることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る形状測定方法において、第2誤差を予め取得する第2誤差取得ステップを有し、第1誤差演算ステップでは、第2誤差取得ステップで取得した第2誤差に基づき、減算処理を行う。これにより、第1誤差を求めることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る形状測定方法において、減算処理ステップでは、ノイズ除去処理された差分データに対して減算処理を行う。
【0015】
本発明の他の態様に係る形状測定方法において、ノイズ除去処理が、測定範囲の2倍以上の長さの波長成分を差分データから取り出すフィルタ処理である。
【0016】
本発明の他の態様に係る形状測定方法において、データ取得ステップでは、被測定面が載置されたステージを垂直な方向に移動させながら、測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データを取得し、ステージの移動中にステージのたわみが発生し、ステージのたわみ角度に応じて、測定範囲内に含まれる被測定面の観察点が測定光軸の光軸方向に変位し、第2誤差が、ステージの位置ごとのたわみ角度に応じた、ステージの位置ごとの観察点の光軸方向の変位を示す。
【0017】
本発明の目的を達成するための形状測定機は、被測定面の形状を非接触で測定する測定装置に対して、被測定面を測定装置の測定光軸に垂直な方向に相対移動させながら、測定装置により連続的に測定された複数の形状測定データであって且つ連続する前後の形状測定データの測定範囲が一部重複している複数の形状測定データを取得するデータ取得部と、データ取得部が取得した複数の形状測定データを、スティッチング処理によりつなぎ合わせて第1合成データを生成する第1合成データ生成部と、データ取得部が取得した複数の形状測定データを、パッチング処理によりつなぎ合わせて第2合成データを生成する第2合成データ生成部と、第1合成データと第2合成データとの差分データを生成する差分データ生成部と、差分データから、スティッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生する第1誤差を演算する第1誤差演算部と、第1合成データから第1誤差を減算して、第1合成データの補正データを演算する補正データ演算部と、を備える。
【0018】
本発明の他の態様に係る形状測定機において、第1誤差演算部が、差分データに対してノイズ除去処理を行うノイズ除去部と、パッチング処理による形状測定データのつなぎ合わせで発生し且つノイズ除去処理では除去されない第2誤差を差分データから減算する減算処理を行う減算処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、スティッチング処理により形状測定データのつなぎ合わせを行う場合に、スティッチング処理誤差を補正した合成データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】各種被測定物の被測定面の形状を測定する形状測定機の概略図である。
【
図2】形状測定機の測定対象である静電チャックの上面図である。
【
図3】静電チャックのウェーハ保持面のX方向に沿った断面拡大図である。
【
図5】測定制御部による形状測定データの測定制御を説明するための説明図である。
【
図6】形状測定機による真直度測定処理の流れを示したフローチャートである。
【
図7】
図6のステップS3の処理で生成される合成形状測定データの一例を示したグラフである。
【
図8】
図6のステップS4の処理で生成される合成形状測定データの一例を示したグラフである。
【
図9】移動ステージのX方向位置ごとのたわみを説明するための説明図である。
【
図10】移動ステージのたわみ角度に応じた、測定範囲内のウェーハ保持面の観察点のZ方向の変位を説明するための説明図である。
【
図11】合成形状測定データに含まれるZ方向位置誤差を説明するための説明図である。
【
図12】
図6のステップS5の処理での差分データの生成処理を説明するための説明図である。
【
図13】
図6のステップS6の処理で実行されるノイズ除去処理を説明するための説明図である。
【
図14】
図6のステップS8の処理で実行される減算処理を説明するための説明図である。
【
図15】
図6のステップS9の処理で実行される合成形状測定データの補正処理と、ステップS10の処理で実行される真直度演算処理と、を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[形状測定機の構成]
図1は、各種被測定物の被測定面の形状を測定する形状測定機10の概略図である。
図2は、形状測定機10の測定対象である静電チャックWの上面図である。
図3は、静電チャックWのウェーハ保持面Wa(本発明の被測定面に相当)のX方向に沿った断面拡大図である。なお、図中の互いに直交するXYZ方向のうちでXY方向は水平方向に平行な方向であり、Z方向は高さ方向(上下方向)である。
【0022】
図1から
図3に示すように、静電チャックWのウェーハ保持面Waには、エンボス加工が施されており、多数のエンボス9が形成されている。形状測定機10は、ウェーハ保持面Waの形状測定を行い、その形状測定結果に基づき各エンボス9の上面の真直度の測定(以下、単に真直度測定と略す)を行う。なお、
図3中(他の図も同様)では、エンボス9を明確にするため、その形状、直径、高さ、及び間隔を一部誇張している。
【0023】
形状測定機10は、本発明の形状測定方法を実行するものであり、基台12と、リニアガイド機構14と、移動ステージ16と、測定装置18と、制御装置20と、を備える。
【0024】
基台12は、XY方向に平行な上面、換言すると後述の測定装置18の測定光軸OAに垂直な上面を有している。
【0025】
リニアガイド機構14は、後述の測定装置18に対して静電チャックW(ウェーハ保持面Wa)をX方向に相対移動させる。このリニアガイド機構14は、レール14aとブロック14bとアクチュエータ14cとを備える。
【0026】
レール14aは、基台12の上面に1又は複数設けられており、X方向に延びている。なお、レール14aが複数設けられていてもよい。ブロック14bは、レール14aによりX方向に移動自在に保持されている。このブロック14bには、移動ステージ16が取り付けられている。
【0027】
アクチュエータ14cは、例えばモータ駆動機構などが用いられる。このアクチュエータ14cは、後述の制御装置20の制御の下、ブロック14bをX方向に沿って移動させることで、移動ステージ16(静電チャックW)をX方向に移動させる。
【0028】
また図示は省略するが、リニアガイド機構14にはブロック14bのX方向位置、すなわち移動ステージ16のX方向位置を検出する検出センサが設けられている。この検出センサは、移動ステージ16のX方向位置を示すステージ位置情報を制御装置20に逐次出力する。
【0029】
移動ステージ16は、XY方向に平行(測定光軸OAの光軸方向に垂直)な上面を有しており、ブロック14bに取り付けられている。この移動ステージ16の上面には、静電チャックWが載置される。移動ステージ16がリニアガイド機構14によりX方向に移動されることで、後述の測定装置18に対して静電チャックWがX方向に相対移動される。
【0030】
測定装置18は、基台12及び移動ステージ16のZ方向上方側に配置されており、Z方向に平行な測定光軸OAを有する。この測定装置18は、例えば垂直走査型の白色干渉顕微鏡及びレーザ共焦点顕微鏡などが用いられ、ウェーハ保持面Waの形状を非接触で測定して、ウェーハ保持面Waの形状を示す形状測定データDを制御装置20へ出力する。なお、形状測定データDには、例えば白色干渉顕微鏡により検出される干渉信号等のようなウェーハ保持面Waの形状の演算に用いられるデータも含まれる。
【0031】
測定装置18が1回の測定でウェーハ保持面Waの形状を測定可能な測定範囲R(観察視野、視野範囲)は、ウェーハ保持面Waよりも小さい。このため、測定装置18は、リニアガイド機構14により移動ステージ16(静電チャックW)がX方向に移動される間、測定範囲R内のウェーハ保持面Waの形状測定を連続的に行う。これにより、ウェーハ保持面Wa内で真直度測定に必要な長さの領域である真直度測定領域の形状を示す複数の形状測定データDが得られる。
【0032】
図4は、制御装置20の機能ブロック図である。
図4及び既述の
図1に示すように、制御装置20は、リニアガイド機構14及び測定装置18の動作を統括的に制御する共に、詳しくは後述するが、測定装置18から入力される複数の形状測定データDに基づき、真直度測定領域の合成形状測定データDS(
図7参照)の演算及びその補正と、各エンボス9の上面の真直度の演算と、を行う。この制御装置20には、リニアガイド機構14及び測定装置18の他に、記憶部22、操作部24、及び表示部26が接続されている。
【0033】
記憶部22には、制御プログラム(図示は省略)の他に、詳しくは後述するが、パッチング処理による各形状測定データDのつなぎ合わせにより発生する計算誤差であるZ方向位置誤差E2(
図9参照)が予め記憶されている。
【0034】
操作部24は、真直度測定等の各種測定の測定開始操作、及び形状測定機10の各部の設定操作等の形状測定機10の各種操作に用いられる。表示部26は、各種設定画面、及び真直度測定等の各種測定の測定結果等を表示する。
【0035】
[制御装置の機能]
制御装置20は、例えばパーソナルコンピュータのような演算装置により構成され、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置20の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0036】
制御装置20は、記憶部22から読み出した制御プログラムを実行することで、測定制御部30、データ取得部32、及び演算処理部33として機能する。
【0037】
図5は、測定制御部30による形状測定データDの測定制御を説明するための説明図である。
図5に示すように、測定制御部30は、操作部24での測定開始操作に応じてリニアガイド機構14を駆動して、移動ステージ16及び静電チャックWをX方向に移動させる。
【0038】
また同時に測定制御部30は、移動ステージ16がX方向に所定距離移動されるごとに、測定装置18によるウェーハ保持面Waの形状測定を実行させる。これにより、測定装置18が、ウェーハ保持面Waの真直度測定領域内で測定範囲RをX方向に相対移動(走査)させながら、測定範囲R内のウェーハ保持面Waの形状測定を連続して行う。この際に測定制御部30は、連続する測定の前後で測定装置18の測定範囲Rが一部重複するように(図中の斜線領域参照)、測定装置18による形状測定のタイミング及び移動ステージ16の移動速度を調整している。その結果、連続する前後の形状測定データDの測定範囲Rが一部重複するため、前後の形状測定データD同士を双方の重複領域でつなぎ合わせることができる。
【0039】
図4に戻って、データ取得部32は、不図示の通信インタフェースを介して、測定装置18に対して有線接続或いは無線接続されている。データ取得部32は、測定装置18がウェーハ保持面Waの形状測定を行うごとに、測定装置18から形状測定データDを取得すると共に、リニアガイド機構14から移動ステージ16のステージ位置情報を取得する。これにより、真直度測定領域内の形状を示す複数の形状測定データDと、各形状測定データDの測定時のステージ位置情報と、が得られる。
【0040】
演算処理部33は、データ取得部32が取得した各形状測定データD及び形状測定データDごとの位置情報に基づき、(1)スティッチング処理による真直度測定領域の合成形状測定データDS(
図7参照)の生成と、(2)スティッチング処理で発生するスティッチング処理誤差E1(
図14参照)の演算と、(3)スティッチング処理誤差E1を用いた合成形状測定データDSの補正と、(4)各エンボス9の上面の真直度の演算と、を行う。
【0041】
また、演算処理部33は、上記(2)のスティッチング処理誤差E1(
図14参照)を、後述の
図12に示すように、スティッチング処理により生成される合成形状測定データDSと、パッチング処理により生成される真直度測定領域の合成形状測定データDPと、の差分データΔDに基づき演算する。このため、上記(2)の演算では、(2-1)パッチング処理による合成形状測定データDPの生成と、(2-2)合成形状測定データDP,DSの差分データΔDの演算と、(2-3)差分データΔDからのスティッチング処理誤差E1の演算と、を行う。
【0042】
上記(1)~(4)の処理を行うため、演算処理部33は、スティッチング処理部34、パッチング処理部36、差分データ生成部38、Z方向位置誤差取得部40、スティッチング処理誤差演算部42、補正データ演算部44、及び真直度演算部46として機能する。また、スティッチング処理誤差演算部42は、ノイズ除去部42aと減算処理部42bとして機能する。
【0043】
スティッチング処理部34は上記(1)の処理を行う。パッチング処理部36、差分データ生成部38、Z方向位置誤差取得部40、及びスティッチング処理誤差演算部42は上記(2)の処理を行う。具体的にはパッチング処理部36が上記(2-1)の処理を行い、差分データ生成部38が上記(2-2)の処理を行い、Z方向位置誤差取得部40及びスティッチング処理誤差演算部42(ノイズ除去部42a、減算処理部42b)が上記(2-3)の処理を行う。また、補正データ演算部44は上記(3)の処理を行い、真直度演算部46は上記(4)の処理を行う。
【0044】
[本実施形態の作用]
図6は、本発明の形状測定方法に係る形状測定機10による真直度測定処理の流れを示したフローチャートである。
【0045】
図6に示すように、移動ステージ16上に静電チャックWが載置された後、オペレータが操作部24にて真直度測定の測定開始操作を行うと、制御装置20の各部が作動する。最初に測定制御部30が、リニアガイド機構14及び測定装置18を制御して、既述の
図5に示したように真直度測定領域内の形状測定データDの連続測定を実行すると共に(ステップS1)、データ取得部32が各形状測定データDと、各形状測定データDの測定時のステージ位置情報とを取得する(ステップS2)。なお、ステップS2は、本発明のデータ取得ステップに相当する。
【0046】
図7は、
図6のステップS3の処理[上記(1)の処理]で生成される合成形状測定データDSの一例を示したグラフである。
図6のステップS3及び
図7に示すように、スティッチング処理部34は、データ取得部32が取得した各形状測定データDをスティッチング処理によりつなぎ合わせて真直度測定領域の合成形状測定データDSを生成する。なお、スティッチング処理部34は本発明の第1合成データ生成部に相当し、合成形状測定データDSは本発明の第1合成データに相当し、ステップS3は本発明の第1合成データ生成ステップに相当する。
【0047】
具体的にはスティッチング処理部34は、データ取得部32が取得した各形状測定データDの測定時のステージ位置情報に基づき、各形状測定データDの中で連続する前後の形状測定データD同士の重複領域を判別する。そして、スティッチング処理部34は、前後の形状測定データDごとに、その重複領域のデータに対して公知のベストフィット法を用いた処理を施した後、前後の形状測定データDの重複領域同士を滑らかにつなぎ合わせるための回転量[Y軸周りのピッチング角度及びX軸周りのローリング角度]を算出する。
【0048】
次いで、スティッチング処理部34は、前後の形状測定データDごとに、前後の形状測定データDを先に求めた回転量に基づき回転させる回転補正を行った後、前後の形状測定データDの重複領域同士を、Z方向において両者の重複領域の平均高さでつなぎ合わせる。この際に前後の形状測定データDの重複領域は、2つのデータのうちで信号強度の高い方を採用する。これにより、合成形状測定データDSが生成される。
【0049】
このようなスティッチング処理では、前後の形状測定データDの重複領域に違いがある場合、例えば前後の形状測定データDの重複領域のいずれか一方にノイズ成分が含まる場合、上述の回転量の算出に計算誤差が含まれてしまう。このため、前後の形状測定データDのつなぎ合わせを行った場合、そのつなぎ合わせ部分(重複領域)にうねり成分のような誤差成分であるスティッチング処理誤差E1(本発明の第1誤差に相当、
図14参照)が含まれてしまう。
【0050】
そこで本実施形態では、スティッチング処理誤差E1を後述のステップS4からステップS8の処理[上記(2)の処理]を経て演算した後、後述のステップS9の処理[上記(3)の処理]においてスティッチング処理誤差E1に基づいた合成形状測定データDSの補正を行う。
【0051】
図8は、
図6のステップS4の処理[上記(2-1)の処理]で生成される合成形状測定データDPの一例を示したグラフである。
図6のステップS4及び
図8に示すように、パッチング処理部36は、データ取得部32が取得した各形状測定データDをパッチング処理によりつなぎ合わせて真直度測定領域の合成形状測定データDPを生成する。なお、パッチング処理部36は、本発明の第2合成データ生成部に相当し、合成形状測定データDPは本発明の第2合成データに相当し、ステップS4は本発明の第2合成データ生成ステップに相当する。
【0052】
具体的にはパッチング処理部36は、上述のスティッチング処理と同様に各形状測定データDの測定時のステージ位置情報に基づき、各形状測定データDの中で連続する前後の形状測定データD同士の重複領域を判別する。次いで、パッチング処理部36は、前後の形状測定データDごとに、前後の形状測定データDの重複領域をXY方向においては重複領域内の共通のXY座標同士でつなぎ合わせ、且つZ方向においてはXY座標ごとに2つの重複領域の平均高さでつなぎ合わせる。そして、パッチング処理部36は、前後の形状測定データDごとに、前後の形状測定データDの重複領域に両者の平均値により作られる面データを埋め込む。これにより、合成形状測定データDPが生成される。
【0053】
このような合成形状測定データDPには、X方向に移動中の移動ステージ16のたわみに起因するZ方向位置誤差E2(
図11参照)が含まれる。
【0054】
図9は、移動ステージ16のX方向位置ごとのたわみを説明するための説明図である。
【0055】
図9に示すように、形状測定データDの連続測定中に移動ステージ16がX方向に移動すると、その移動開始から移動終了までの間において、移動ステージ16上の静電チャックWの重心位置Gが変化する。このため、移動ステージ16に加わる負荷モーメントが変化することで、移動ステージ16にたわみ(ピッチング及びローリング)が発生する。これにより、移動ステージ16のX方向位置ごとに、移動ステージ16のたわみ角度(ピッチング角度及びローリング角度)が変化する。その結果、移動ステージ16のX方向位置ごとに、測定範囲R内のウェーハ保持面Waの観察点P(
図10参照)がZ方向、すなわち測定光軸OAに平行な方向に変化する。
【0056】
図10は、移動ステージ16のたわみ角度に応じた、測定範囲R内のウェーハ保持面Waの観察点P(測定点ともいう)のZ方向の変位を説明するための説明図である。なお、
図10中の符号Cはブロック14b(移動ステージ16)のX方向の中心位置を示す。また、
図10中ではアクチュエータ14c(
図1参照)の図示は省略している。
【0057】
図10に示すように、ブロック14bのX方向の長さを「B」とし、このブロック14bから測定光軸OA(観察点P)までのX方向の距離を「x」とし、移動ステージ16のたわみ角度(ピッチング角度等)を「i」とした場合、観察点Pは、たわみ角度iが0度の場合の観察点P0と比較して、変位値ΔZ[ΔZ=(x+B/2)×sin(i)]だけZ方向に変位する。このΔZは、移動ステージ16のX方向位置ごとに変化する。
【0058】
図11は、合成形状測定データDPに含まれるZ方向位置誤差E2を説明するための説明図である。
図11に示すように、形状測定データDの連続測定中には移動ステージ16のX方向位置ごとに観察点PのZ方向の変位値ΔZが変化するが、パッチング処理では、各形状測定データDのつなぎ合わせ時に上述のスティッチング処理のような補正を行わない。このため、合成形状測定データDPには、移動ステージ16のX方向位置ごとの変位値ΔZに相当する「Z方向位置誤差E2」が含まれる。
【0059】
ここで、移動ステージ16のX方向位置ごとのたわみ角度i(ピッチング角度等)は公知の算出式、或いは実験、シミュレーション等で求められる。このため、移動ステージ16のX方向位置ごとに、距離x及びたわみ角度iを上記変位値ΔZの算出式に代入することで、Z方向位置誤差E2を予め求めることが可能である。そして、本実施形態では、Z方向位置誤差E2が記憶部22内に予め記憶されている。
【0060】
また、合成形状測定データDPには、Z方向位置誤差E2以外の計算誤差も含まれる。既述の通り、パッチング処理では上述のスティッチング処理のような補正を行わないため、前後の形状測定データDのつなぎ合わせ部分(重複領域)において、短波長(高周波)の誤差成分である段差誤差が発生する。このため、合成形状測定データDPには、Z方向位置誤差E2と段差誤差とが含まれる。
【0061】
なお、本実施形態では、ステップS3のスティッチング処理による合成形状測定データDSの生成後にステップS4のパッチング処理による合成形状測定データDPの生成を行っているが、順番を逆にしたり或いは同時に実行したりしてもよい。
【0062】
図12は、
図6のステップS5の処理[上記(2-2)の処理]での差分データΔDの生成を説明するための説明図である。
図6のステップS5及び
図12の符号XIIAに示すように、差分データ生成部38は、つなぎ合わせ方法が異なる2種類の合成形状測定データDS,DPの一方から他方を減算する処理を行う。これにより、差分データ生成部38は、
図12の符号XIIBに示すように、合成形状測定データDS,DPの差分データΔDを演算する。なお、ステップS5は本発明の差分データ生成ステップに相当する。
【0063】
このように合成形状測定データDS,DPの差分を演算することにより、差分データΔDからウェーハ保持面Wa(各エンボス9)の形状成分が除去される。このため、差分データΔDには、スティッチング処理で発生するスティッチング処理誤差E1(
図14参照)と、パッチング処理で発生するZ方向位置誤差E2及び段差誤差と、X方向位置誤差と、が含まれる。なお、X方向位置誤差は、合成形状測定データDS,DP内のエンボス9等の形状成分のX座標値が同一ではないこと、すなわちX座標値に誤差があることが原因となって、差分データΔDの演算により発生する短波長(高周波)の誤差成分である。
【0064】
次いで、スティッチング処理誤差演算部42(ノイズ除去部42a及び減算処理部42b)が、差分データΔDからスティッチング処理誤差E1(
図14参照)を演算するステップS6からステップS8の処理[上記(2-3)の処理]を開始する。このため、ステップS6からステップS8は本発明の第1誤差演算ステップに相当し、スティッチング処理誤差演算部42は本発明の第1誤差演算部に相当する。
【0065】
図13は、
図6のステップS6の処理で実行されるノイズ除去処理を説明するための説明図である。
図13の符号XIIIAに示すように、差分データΔDにおいては、形状測定データDのつなぎ間隔に応じて発生する長波長(低周波)の信号成分であるスティッチング処理誤差E1(
図14参照)及びZ方向位置誤差E2が主となり、短波長(高周波)の信号成分である段差誤差及びX方向位置誤差がノイズ成分として現れる。
【0066】
そこで、
図6のステップS6及び
図13の符号XIIIBに示すように、ノイズ除去部42aは、差分データΔDに対してノイズ除去処理を施すことで、差分データΔDからノイズ成分(段差誤差及びX方向位置誤差)を除去する(本発明のノイズ除去ステップに相当)。既述の通りスティッチング処理誤差E1(
図14参照)は、形状測定データDのつなぎ間隔に応じて発生する。このため、スティッチング処理誤差E1は、測定装置18の1回の測定範囲Rの2倍以上の長さの波長の信号とみなせる。従って、ノイズ除去部42aは、ノイズ除去処理として、測定範囲Rの2倍以上(例えば3倍)の長さの波長成分を差分データΔDから取り出すフィルタ処理を行う。これにより、スティッチング処理誤差E1及びZ方向位置誤差E2を含む差分データΔD1が生成される。
【0067】
図6のステップS7に示すように、Z方向位置誤差取得部40は、記憶部22内からZ方向位置誤差E2を取得して、スティッチング処理誤差演算部42の減算処理部42bへ出力する(本発明の第2誤差取得ステップに相当)。なお、本実施形態では、Z方向位置誤差取得部40が記憶部22からZ方向位置誤差E2を取得しているが、形状測定機10の外部(例えばインターネット上のサーバ)から取得してもよい。また、ステップS7のタイミングは、後述のS8よりも前であれば特に限定はされない。
【0068】
図14は、
図6のステップS8の処理で実行される減算処理を説明するための説明図である。
図6のステップS8及び
図14に示すように、減算処理部42bは、差分データΔD1(符号XIVA参照)からZ方向位置誤差E2(符号XIVB参照)を減算する減算処理を行う(本発明の減算処理ステップに相当)。これにより、差分データΔD1からZ方向位置誤差E2から除去されることで、最終的にスティッチング処理誤差E1(符号XIVC参照)が演算される。
【0069】
なお、本実施形態では、差分データΔDに対してノイズ除去処理(ステップS6)を行ってから減算処理(ステップS8)を行っているが、先に減算処理を行ってからノイズ除去処理を行ってもよい。
【0070】
図15は、
図6のステップS9の処理[上記(3)の処理]で実行される合成形状測定データDSの補正処理と、ステップS10の処理[上記(4)の処理]で実行される真直度演算処理と、を説明するための説明図である。なお、
図15中の符号STは、合成形状測定データDS及び補正データDS1からそれぞれ求められる各エンボス9の上面の真直度測定データである。
【0071】
図6のステップS9及び
図15の符号XVAに示すように、補正データ演算部44は、既述のステップS3で生成された合成形状測定データDSから、ステップS8で演算されたスティッチング処理誤差E1を減算することで、合成形状測定データDSを補正した補正データDS1を演算する。これにより、
図15の符号XVBに示すように、スティッチング処理誤差E1を除いたウェーハ保持面Wa(真直度測定領域)の形状測定結果である補正データDS1が得られる。なお、ステップS9は、本発明の補正データ演算ステップに相当する。
【0072】
次いで、
図6のステップS10及び
図15の符号XVBに示すように、真直度演算部46が、補正データDS1内に含まれる各エンボス9の上面をつなぎ合わせることで、各エンボス9の上面の真直度測定データSTを演算する。なお、真直度演算部46が、補正データDS1から真直度測定データSTを演算する代わりに、補正前の合成形状測定データDSから真直度測定データSTを演算する処理と、この真直度測定データSTからスティッチング処理誤差E1を引く処理とを実行してもよい。
【0073】
以上のように本実施形態では、スティッチング処理で生成された合成形状測定データDSとパッチング処理で生成された合成形状測定データDPとの差分データΔDからスティッチング処理誤差E1を演算することで、このスティッチング処理誤差E1に基づき合成形状測定データDSを補正することができる。これにより、スティッチング処理誤差E1を除いた補正データDS1(補正済みの合成形状測定データDS)が得られる。その結果、各エンボス9の上面の真直度測定をより高精度に行うことができる。
[その他]
上記実施形態では、リニアガイド機構14により測定装置18とウェーハ保持面Wa(移動ステージ16)とをX方向に相対移動させているが、各種の相対移動機構を用いて測定装置18とウェーハ保持面WaとをX方向に相対移動させてもよい。この場合、ステップS7では、パッチング処理による形状測定データDのつなぎ合わせで発生する誤差(本発明の第2誤差)であって且つステップS6のノイズ除去処理では除去されない誤差を予め取得する。そして、ステップS8では、この取得した誤差に基づき差分データΔD1に対する減算処理を行う。
【0074】
上記実施形態では、エンボス加工が施された静電チャックWのウェーハ保持面Waの形状測定及び各エンボス9の上面の真直度測定を行う場合を例に挙げて説明したが、各種被測定物の各種被測定面の各種形状を測定する場合に本発明を適用可能である。
【0075】
上記実施形態の形状測定機10は基台12とリニアガイド機構14と移動ステージ16と測定装置18と制御装置20とを備えるが、本発明の形状測定機には、制御装置20(ソフトウェア、プログラムを含む)のみで構成されているもの、すなわち外部の測定装置・測定機で測定された各形状測定データDを取得して解析する解析装置(プログラム等)も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
9 エンボス
10 形状測定機
12 基台
14 リニアガイド機構
14a レール
14b ブロック
14c アクチュエータ
16 移動ステージ
18 測定装置
20 制御装置
22 記憶部
24 操作部
26 表示部
30 測定制御部
32 データ取得部
33 演算処理部
34 スティッチング処理部
36 パッチング処理部
38 差分データ生成部
40 Z方向位置誤差取得部
42 スティッチング処理誤差演算部
42a ノイズ除去部
42b 減算処理部
44 補正データ演算部
46 真直度演算部
D 形状測定データ
DP 合成形状測定データ
DS 合成形状測定データ
DS1 補正データ
E1 スティッチング処理誤差
E2 Z方向位置誤差
G 重心位置
OA 測定光軸
P,P0 観察点
R 測定範囲
ST 真直度測定データ
W 静電チャック
Wa ウェーハ保持面