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特開2022-135565接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム
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  • 特開-接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム 図1
  • 特開-接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム 図2
  • 特開-接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135565
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20220908BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20220908BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220908BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L21/52 E
C09J7/00
C09J7/38
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035469
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】田澤 強
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 奏美
(72)【発明者】
【氏名】谷口 紘平
(72)【発明者】
【氏名】平 理子
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5F047
【Fターム(参考)】
4J004AA13
4J004AB01
4J004AB05
4J004CA04
4J004CC02
4J004CE01
4J004FA08
4J040EC001
4J040HD30
4J040HD36
4J040JA09
4J040JB02
4J040JB09
4J040KA03
4J040KA16
4J040KA17
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA01
4J040NA20
5F047AA17
5F047BA34
5F047BA35
5F047BA40
5F047BB03
5F047BB19
(57)【要約】
【課題】厚さ20μm以下の接着フィルムを評価対象とすることができ且つ半導体装置の製造プロセスにおいて半導体チップの反りに起因する剥離の問題に対処するのに有用な接着フィルムの評価方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る評価方法は加熱されたプローブでタック試験を行う工程を含み、評価対象の接着フィルムの厚さが20μm以下である。このタック試験は、例えば、接着フィルムの試料を支持するステージと、ステージに対して上下方向に移動自在であり且つ温度設定が可能なプローブとを備える装置を使用し、ステージと試料の間にポリイミドフィルムを介在させた状態で行われる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造プロセスにおいて使用される接着フィルムの評価方法であって、
加熱されたプローブでタック試験を行う工程を含み、
評価対象の接着フィルムの厚さが20μm以下である、接着フィルムの評価方法。
【請求項2】
前記接着フィルムの試料を支持するステージと、前記ステージに対して上下方向に移動自在であり且つ温度設定が可能なプローブとを備える装置を使用し、
前記ステージと前記試料の間に樹脂フィルムを介在させた状態で、前記タック試験を行う、請求項1に記載の接着フィルムの評価方法。
【請求項3】
前記接着フィルムが以下の条件1,2の両方を満たすとき、当該接着フィルムを良と判定する、請求項1又は2に記載の接着フィルムの評価方法。
(条件1)プローブ温度を100℃に設定した前記タック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
(条件2)プローブ温度を120℃に設定した前記タック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
【請求項4】
厚さ20μm以下の接着フィルムを含む積層フィルムを準備する工程と、
ウェハの表面に前記接着フィルムが接するように、前記ウェハに前記積層フィルムを貼り付ける工程と、
前記ウェハ及び前記接着フィルムを個片化することによって接着剤片付きチップを作製する工程と、
基板又は他のチップの表面上に前記接着剤片付きチップを接着する工程と、
を含み、
前記接着フィルムが、請求項3に記載の評価方法において良と判定される接着フィルムである、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体装置の製造プロセスにおいて使用される接着フィルムであって、
厚さが20μm以下であり、
請求項3に記載の評価方法において、良と判定される、接着フィルム。
【請求項6】
基材フィルムと、
厚さ20μm以下の接着剤層と、
粘着剤層と、
をこの順序で備え、
前記接着剤層が、請求項3に記載の評価方法において良と判定される接着フィルムで構成されている、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造プロセスにおいて使用される接着フィルム及びその評価方法、並びに、半導体装置の製造方法及びダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置は以下の工程を経て製造される。まず、ダイシング用粘着シートに半導体ウェハを貼り付け、その状態で半導体ウェハを半導体チップに個片化する(ダイシング工程)。その後、ピックアップ工程、圧着工程及びダイボンディング工程等が実施される。
【0003】
特許文献1は、ダイシング工程において半導体ウェハを固定する機能と、ダイボンディング工程において半導体チップを基板と接着させる機能とを併せ持つダイシングダイボンドフィルムを開示している。ダイシング工程において、半導体ウェハ及び接着剤層を個片化することで、接着剤片付きチップが得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-216273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、図8に示すように、比較的薄いチップC1~C4を基板30上に接着剤層Aを介して多段に配置した場合、チップC1~C4の反り応力に起因して一段目のチップC1と、二段目のチップC2との間で剥離が生じやすい。特許文献1は、ダイボンドフィルムの熱硬化前の150℃での引張貯蔵弾性率を所定の範囲することによってチップの反りに起因する問題を解決できるとしている。
【0006】
しかし、接着フィルム(ダイボンドフィルム)の薄膜化の進展に伴って、半導体製造プロセスにおける種々の課題に従来の指標では対応できないことが増えている。本発明者らの検討によると、接着フィルムの引張貯蔵弾性率、ずり粘度、ダイシェア等の物性は、必ずしもプロセス評価結果との相関が見られない。そこで、本発明者らは、チップの反りに起因する半導体パッケージ内における剥離の発生を抑制するのに有用な接着フィルムの評価方法を新たに開発することにした。
【0007】
本開示は、厚さ20μm以下の接着フィルムを評価対象とすることができ且つ半導体装置の製造プロセスにおいてチップの反りに起因する剥離の問題に対処するのに有用な接着フィルムの評価方法を提供する。また、本開示は、上記剥離の発生を十分に抑制できる接着フィルム及びこれを用いた半導体装置の製造方法、並びに、上記接着フィルムを含むダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面は、半導体装置の製造プロセスにおいて使用される接着フィルムの評価方法に関する。この評価方法は、加熱されたプローブでタック試験を行う工程を含み、評価対象の接着フィルムの厚さが20μm以下である。
【0009】
本発明者らは、半導体パッケージの断面を電子顕微鏡で観察した結果、半導体パッケージ内において生じる剥離のモードは、主に、接着フィルムの凝集破壊ではなく、接着フィルムとチップの界面における剥離であることを見出した。このことから、本発明者らは、チップを圧着してから短時間のうちに剥離が生じていると推察し、接着フィルムの瞬間的な粘着力(タッキネス)を捉える必要があるとの認識に至った。この認識に基づき、タック試験によって接着フィルムを評価することに想到した。なお、プローブを用いたタック試験はASTM D-2979(Standard Test Method for Pressure-Sensitive Tack of Adhesives Using an Inverted Probe Machine)に記載の方法に準拠して実施することができる。
【0010】
上記タック試験は、接着フィルムの試料を支持するステージと、ステージに対して上下方向に移動自在であり且つ温度設定が可能なプローブと備える装置を使用して実施することができる。バラツキの少ないデータを取得する観点から、ステージと試料の間に樹脂フィルムを介在させた状態でタック試験を行うことが好ましい。薄い接着フィルムが評価対象であるため、ステージとプローブの面が厳密に水平でないと、プローブの面が試料を片押しする状態となりやすく、これではバラツキの少ないデータを効率的に取得することが難しい。樹脂フィルムを使用することで、プローブの面が試料を片押しする状態を回避することができる。なお、樹脂フィルムの例として、ポリイミドフィルムが挙げられる。ポリイミドフィルムは、適度な弾性を有するとともに耐熱性を有する。
【0011】
上記評価方法の結果と、実際に作製した半導体パッケージにおける剥離の有無の相関から、接着フィルムが以下の条件1,2の両方を満たすとき、当該接着フィルムを良と判定することができる。
(条件1)プローブ温度を100℃に設定したタック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
(条件2)プローブ温度を120℃に設定したタック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
【0012】
本開示の一側面は半導体装置の製造方法に関する。この製造方法は、厚さ20μm以下の接着フィルムを含む積層フィルムを準備する工程と、ウェハの表面に接着フィルムが接するように、ウェハに積層フィルムを貼り付ける工程と、ウェハ及び接着フィルムを個片化することによって接着剤片付きチップを作製する工程と、基板又は他のチップの表面上に接着剤片付きチップを接着する工程とを含み、接着フィルムが、上記評価方法において良と判定される接着フィルムである。この方法によれば、内部において剥離が生じにくく、信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0013】
本開示の一側面は半導体装置の製造プロセスにおいて使用される接着フィルムに関する。この接着フィルムは、厚さが20μm以下であり、上記評価方法において良と判定されるものである。本開示の一側面はダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。このフィルムは、基材フィルムと、厚さ20μm以下の接着剤層と、粘着剤層とをこの順序で備え、接着剤層が上記評価方法において良と判定される接着フィルムで構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、厚さ20μm以下の接着フィルムを評価対象とすることができ且つ半導体装置の製造プロセスにおいて半導体チップの反りに起因する剥離の問題に対処するのに有用な接着フィルムの評価方法が提供される。また、本開示によれば、上記剥離の発生を十分に抑制できる接着フィルム及びこれを用いた半導体装置の製造方法、並びに、上記接着フィルムを含むダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1はタック試験を実施するための装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2(a)は、本開示に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を模式的に示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB-B線に沿った模式断面図である。
図3図3は本開示に係る半導体装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4図4は接着剤片付きチップの一例を模式的に示す断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、図4に示す接着剤片付きチップを作製する過程を模式的に示す断面図である。
図6図6(a)~図6(c)は、図4に示す接着剤片付きチップを作製する過程を模式的に示す断面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は図3に示す半導体装置を製造する過程を模式的に示す断面図である。
図8図8は一段目のチップと二段目のチップとの間に剥離が生じている構造体を模式的に示す断面図である。
図9図9は半導体装置の製造プロセスにおける剥離を再現するため、実施例及び比較例において作製した構造体を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリル共重合体等の他の類似表現についても同様である。
【0017】
本明細書の記載及び請求項において「左」、「右」、「正面」、「裏面」、「上」、「下」、「上方」、「下方」等の用語が利用されている場合、これらは、説明を意図したものであり、必ずしも永久にこの相対位置である、という意味ではない。また、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
【0018】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0019】
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0020】
<接着フィルムの評価方法>
本実施形態に係る接着フィルムの評価方法は、加熱されたプローブでタック試験を行う工程を含む。評価対象の接着フィルムは、半導体装置の製造プロセスにおいて使用されるものである。接着フィルムの厚さは20μm以下であり、18μm以下、15μm以下、12μm以下、又は10μm以下であってもよい。接着フィルムの厚さの下限は、特に制限されないが、例えば、1μm又は5μmであってよい。接着フィルムの厚さが20μm以下であることで半導体装置の薄化型を実現でき、他方、1μm以上であることで十分な接着強度を確保しやすい。
【0021】
図1はタック試験を実施するための装置の一例を模式的に示す断面図である。この図に示す装置10は、ステージ1と、プローブ2と、押さえ治具3とを備える。ステージ1上の試料S(接着フィルム)にプローブ2を押し付け、引き離す過程での粘着力を測定する。プローブ2は、ステージ1に対して上下方向に移動自在であり且つ温度設定が可能である。プローブ2の先端部はステンレス鋼製であり、円柱状の形状を有する。プローブ2の先端面は十分に平坦であり且つ平滑である。押さえ治具3は、ステージ上の試料Sがプローブ2に貼り付いて上方に移動しないように試料Sを押さえるためのものである。プローブ2に加わる荷重を電気信号に変換することで、試料の粘着力のデータを得ることができる。タック試験は、市販の装置(例えば、タッキング試験機TAC1000(商品名)、株式会社レスカ製)を使用して実施することができる。
【0022】
タック試験の条件は以下の範囲とすればよい。
・ステージ1の温度:20~25℃(室温)
・プローブ2の温度:80~140℃
・プローブ2の進入速度:0.5~2.0mm/秒
・加圧力:0.05~0.2MPa
・加圧時間:0.5~5秒
・プローブ2の引き離し速度:0.5~5.0mm/秒
【0023】
バラツキの少ないデータを取得する観点から、図1に示すように、ステージ1と試料Sの間にポリイミドフィルム5(樹脂フィルム)を介在させた状態でタック試験を行うことが好ましい。ポリイミドフィルム5の厚さは、例えば、50~200μm又は100~150μmであればよい。ポリイミドフィルム5の引張弾性率は、例えば、2.5~4.5GPaである。この引張弾性率はASTM D-882に記載の方法に準拠して測定される値を意味する。ポリイミドフィルム5の耐熱温度は、例えば、250~320℃である。なお、ここではポリイミドフィルム5を使用する場合を例示したが、他の樹脂フィルムを使用してもよい。樹脂フィルムはポリイミドフィルムと同程度の弾性と、プローブ設定温度以上の耐熱性を有するものであればよく、その具体例として、アラミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
【0024】
タック試験による評価方法の結果と、実際に作製した半導体パッケージにおける剥離の有無の相関から、接着フィルムが以下の条件1,2の両方を満たすとき、当該接着フィルムを良と判定することができる。
(条件1)プローブ温度を100℃に設定したタック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
(条件2)プローブ温度を120℃に設定したタック試験において、タックが2.5N/5mmφ以上であること。
【0025】
接着フィルムが条件1,2を満たすか否かを判断する場合、タック試験は以下の条件で実施される。
・ステージ1の温度:25℃
・プローブ2の温度:100℃又は120℃
・プローブ2の進入速度:1.0mm/秒
・加圧力:0.1MPa
・加圧時間:1.0秒
・プローブ2の引き離し速度:1.0mm/秒
・プローブ2の先端面:直径5mmの円形
【0026】
プローブ温度を100℃に設定したタック試験において、上記のとおり、タックは2.5N/5mmφ以上(条件1)であるが、この値は3.0N/5mmφ以上であってもよい。この値の上限値は、例えば、6.0N/5mmφである。プローブ温度を120℃に設定したタック試験において、上記のとおり、タックは2.5N/5mmφ以上(条件2)であるが、この値は3.0N/5mmφ以上であってもよい。この値の上限値は、例えば、6.0N/5mmφである。
【0027】
<ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム>
条件1,2の両方を満たす接着剤フィルムは、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に適用し得る。図2(a)は、本実施形態に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを模式的に示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のB-B線に沿った模式断面図である。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム20(以下、場合により、単に「フィルム20」と言う。)は、基材フィルム11と、粘着剤層13と、接着剤層15とをこの順序で備える。接着剤層15が上記条件1,2の両方を満たす接着剤フィルムからなる。本実施形態においては、正方形の基材フィルム11の上に、粘着剤層13及び接着剤層15の積層体が一つ形成された態様を例示したが、基材フィルム11が所定の長さ(例えば、100m以上)を有し、その長手方向に並ぶように、粘着剤層13及び接着剤層15の積層体が所定の間隔で配置された態様であってもよい。
【0028】
基材フィルム11としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。基材フィルム11には、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0029】
粘着剤層13は、基材フィルム11と対面する第1の面F1及びその反対側の第2の面F2を有する。粘着剤層13は、例えば、適度な粘着力を有する樹脂組成物を含む塗液を上記プラスチックフィルムの表面に塗工する工程を経て形成される。粘着剤層13は、例えば、紫外線が照射されることによって粘着力が低下する性質を有するものであってもよい。
【0030】
接着剤層15は、粘着剤層13の第2の面F2の中央部を覆うように設けられている。上述のとおり、接着剤層15は、条件1,2の両方を満たす接着剤フィルム(フィルム状接着剤)からなる。接着剤層15は、熱硬化性樹脂組成物からなり且つ優れた粘着力(タッキネス)を有する。接着剤層15を使用して半導体装置を作製することで、半導体装置内において、チップの反りに起因する剥離を十分に抑制することができる。
【0031】
接着剤層15は、例えば、熱硬化性樹脂(以下、「(A)成分」という場合がある。)と、硬化剤(以下、「(B)成分」という場合がある。)と、エラストマー(以下、「(C)成分」という場合がある。)とを含有する。接着剤層15は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分に加えて、無機フィラー(以下、「(D)成分」という場合がある。)、カップリング剤(以下、「(E)成分」という場合がある。)、硬化促進剤(以下、「(F)成分」という場合がある。)、その他の成分等を更に含有していてもよい。接着剤層15は、半硬化(Bステージ)状態を経て、硬化処理後に完全硬化(Cステージ)状態となり得るものであってよい。
【0032】
(A)成分:熱硬化性樹脂
(A)成分は、接着性の観点から、エポキシ樹脂を含んでいてもよく、1種又は2種以上のエポキシ樹脂からなるものであってもよい。接着剤層15は、(A)成分として、例えば、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(以下、「(A1)成分」という場合がある。)を含む。
【0033】
(A1)成分は、例えば、分子内にフルオレン骨格を有し且つエポキシ基を有する化合物である。(A1)成分は、このような条件を満たす化合物であれば、特に制限なく用いることができる。熱硬化性樹脂として(A1)成分を含むことによって、接着剤層15は、冷却エキスパンドによる分断性に優れるともに、ウェハとの接着性にも優れるものとなり得る。このような効果を奏する理由を本開示の発明者らは、以下のように考えている。フルオレン骨格は、剛直で、且つ立体的にかさ高い構造をしているため、構造の隙間に他材料の分子が入り込むことが可能であると推察される。そのため、(A1)成分は、エラストマー(例えば、アクリルゴム)と混和しやすく、当該エラストマーの性質を柔軟で切断され難いものから硬く切断されやすいものに改質すると考えられる。これに伴い、弾性率が向上することによってウェハとの接着性も向上すると考えられる。
【0034】
(A1)成分は、例えば、下記一般式(X)で表されるエポキシ樹脂であってよい。
【0035】
【化1】
【0036】
式(X)中、Z及びZは、それぞれ独立に、2価の芳香族炭化水素基を示す。Z及びZは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であってよい。2価の芳香族炭化水素基は、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン、インデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、フルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン、フルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素などが挙げられる。)から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基が挙げられる。2価の芳香族炭化水素基は、これらの芳香族炭化水素が複数連結してなる芳香族炭化水素から、環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた基(例えば、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基等)が含まれる。2価の芳香族炭化水素基は、ベンゼンジイル基(フェニレン基)又はナフタレンジイル(ナフタレニレン基)であってよい。
【0037】
式(X)で表されるエポキシ樹脂におけるフルオレン骨格、並びにZ及びZで示される2価の芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シアノ基;カルボキシル基;ニトロ基;アミノ基;置換アミノ基(例えば、モノ又はジアルキルアミノ基等);フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
【0038】
式(X)中、R1A及びR2Aは、それぞれ独立に、炭素原子数1~10のアルキレン基を示す。R1A及びR2Aは、同一であっても異なっていてもよいが、同一であってよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基は、炭素原子数2~6のアルキレン基であってよく、炭素原子数2又は3のアルキレン基であってもよい。
【0039】
式(X)中、p1及びp2は、それぞれ独立に、0以上の整数を示す。p1及びp2は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であってよい。p1及びp2は、0~4の整数であってよく、1~4の整数であってよい。
【0040】
式(X)中、R1B、R1C、R1D、R1E、R1F、R2B、R2C、R2D、R2E、及びR2Fは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を示す。R1B、R1C、R1D、R1E、R1F、R2B、R2C、R2D、R2E、及びR2Fは、同一であっても異なっていてもよい。炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R1B、R1C、R1D、R1E、R1F、R2B、R2C、R2D、R2E、及びR2Fは、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基であってよく、水素原子であってもよい。
【0041】
一般式(X)で表されるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、PG-100、EG-200、CG-500(商品名、いずれも大阪ガスケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
(A1)成分のエポキシ当量は、特に制限されないが、80~600g/eq、100~500g/eq、又は200~400g/eqであってよい。(A1)成分のエポキシ当量がこのような範囲にあると、より良好な反応性及び流動性が得られる傾向にある。
【0043】
(A1)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として、40~100質量%であってよい。(A1)成分の含有量がこのような範囲にあると、本開示の効果がより顕著に奏される傾向にある。(A1)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってよい。
【0044】
(A1)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。(A1)成分の含有量が、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上であると、硬化後の弾性率により優れる傾向にある。(A1)成分の含有量が、接着剤層15の全質量を基準として、30質量%以下であると、硬化前の柔軟性により優れる傾向にある。
【0045】
(A)成分は、(A1)成分に加えて、分子内にフルオレン骨格を有しないエポキシ樹脂(以下、「(A2)成分」という場合がある。)を更に含んでいてもよい。(A2)成分としては、例えば、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリアジン骨格含有エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;多官能フェノール類、アントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。これらの中でも、(A2)成分は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0046】
(A2)成分のエポキシ当量は、特に制限されないが、80~600g/eq、100~500g/eq、又は200~400g/eqであってよい。(A1)成分のエポキシ当量がこのような範囲にあると、より良好な反応性及び流動性が得られる傾向にある。
【0047】
(A2)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として、0~60質量%であってよい。(A2)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってもよい。
【0048】
(A)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。(A)成分の含有量が、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上であると、硬化後の弾性率により優れる傾向にある。(A)成分の含有量が、接着剤層15の全質量を基準として、30質量%以下であると、硬化前の柔軟性により優れる傾向にある。
【0049】
(B)成分:硬化剤
(A)成分の硬化剤として一般的に使用されているものを用いることができる。(A)成分がエポキシ樹脂を含む(1種又は2種以上のエポキシ樹脂からなる)場合、(B)成分としては、例えば、フェノール樹脂、エステル化合物、芳香族アミン、脂肪族アミン、酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、反応性及び経時安定性の観点から、(B)成分はフェノール樹脂であってよい。
【0050】
フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基を有するものであれば特に制限なく用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化ナフタレンジオール、フェノールノボラック、フェノール等のフェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、フェニルアラルキル型フェノール樹脂などが挙げられる。
【0051】
フェノール樹脂の水酸基当量は、70g/eq以上又は70~300g/eqであってよい。フェノール樹脂の水酸基当量が70g/eq以上であると、貯蔵弾性率がより向上する傾向にあり、300g/eq以下であると、発泡、アウトガス等の発生による不具合を防ぐことが可能となる。
【0052】
フェノール樹脂の軟化点は、90℃以上であってよく、95℃以上、100℃以上、105℃以上、110℃以上、又は115℃以上であってもよい。フェノール樹脂の軟化点の上限は、例えば、200℃以下であってよい。なお、軟化点とは、JIS K7234に準拠し、環球法によって測定される値を意味する。
【0053】
(B)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
【0054】
(A)成分がエポキシ樹脂であり、(B)成分がフェノール樹脂である場合、エポキシ樹脂のエポキシ当量とフェノール樹脂の水酸基当量との比(エポキシ樹脂のエポキシ当量/フェノール樹脂の水酸基当量)は、硬化性の観点から、0.30/0.70~0.70/0.30、0.35/0.65~0.65/0.35、0.40/0.60~0.60/0.40、又は0.45/0.55~0.55/0.45であってよい。当該当量比が0.30/0.70以上である(エポキシ樹脂のエポキシ当量が0.30以上である)と、より充分な硬化性が得られる傾向にある。当該当量比が0.70/0.30以下である(エポキシ樹脂のエポキシ当量が0.70以下である)と、粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、より充分な流動性を得ることができる。
【0055】
(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、又は10質量%以上であってよい。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量がこのような範囲にあると、接着性がより向上する傾向にある。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、取り扱い性の観点から、接着剤層15の全質量を基準として、40質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってよい。
【0056】
(C)成分:エラストマー
(C)成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエン樹脂;これら樹脂の変性体等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(C)成分は、イオン性不純物が少なく耐熱性により優れること、半導体装置の接続信頼性をより確保しやすいこと、流動性により優れることから、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を主成分として有するアクリル樹脂(アクリルゴム)であってよい。(C)成分における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有量は、構成単位全量を基準として、例えば、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってよい。アクリル樹脂(アクリルゴム)は、エポキシ基、アルコール性又はフェノール性水酸基、カルボキシル基等の架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を含むものであってよい。
【0057】
(C)成分のガラス転移温度(Tg)は、5℃以上であってよく、10℃以上であってもよい。(C)成分のTgが5℃以上であると、接着剤層15の接着性をより向上させることが可能となり、更には、接着剤層15の柔軟性が高くなり過ぎることを防ぐことができる傾向にある。これによって、ウェハダイシング時に接着剤層15を切断しやすくなり、バリの発生を防ぐことが可能となる。(C)成分のTgの上限は特に制限されないが、例えば、55℃以下、50℃以下、45℃以下、40℃以下、35℃以下、30℃以下、又は25℃以下であってよい。(C)成分のTgが55℃以下であると、接着剤層15の柔軟性の低下を抑制できる傾向にある。これによって、接着剤層15をウェハに貼り付ける際に、ボイドを充分に埋め込み易くなる傾向にある。また、ウェハとの密着性の低下によるダイシング時のチッピングを防ぐことが可能となる。ここで、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、株式会社リガク製、Thermo Plus 2)を用いて測定した値を意味する。(C)成分のTgは、(C)成分を構成する構成単位((C)成分がアクリル樹脂(アクリルゴム)である場合、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位)の種類及び含有量を調整することによって、所望の範囲に調整することができる。
【0058】
(C)成分の重量平均分子量(Mw)は、10万以上、30万以上、又は50万以上であってよく、300万以下、200万以下、又は100万以下であってよい。(C)成分のMwがこのような範囲にあると、フィルム形成性、フィルム強度、可撓性、タック性等を適切に制御することができるとともに、リフロー性に優れ、埋め込み性を向上することができる。ここで、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。
【0059】
(C)成分の市販品としては、SG-P3、SG-80H(いずれもナガセケムテックス株式会社製)、KH-CT-865(日立化成株式会社製)等が挙げられる。
【0060】
(C)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、30質量%以上、40質量%以上、又は45質量%以上であってよい。(C)成分の含有量がこのような範囲にあると、薄膜塗工性により優れる傾向にある。(C)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、80質量%以下、70質量%以下、又は65質量%以下であってよい。(C)成分の含有量がこのような範囲にあると、(A)成分及び(B)成分の含有量を充分に確保することができ、他の特性との両立できる傾向にある。
【0061】
(D)成分:無機フィラー
(D)成分としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウィスカ、窒化ホウ素、シリカ等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、(D)成分は、溶融粘度の調整の観点から、シリカであってもよい。(D)成分の形状は、特に制限されないが、球状であってよい。
【0062】
(D)成分の平均粒径は、流動性及び貯蔵弾性率の観点から、0.7μm以下であってよく、0.6μm以下、又は0.5μm以下であってもよい。(D)成分の平均粒径は、例えば、0.01μm以上であってよい。ここで、平均粒径は、BET比表面積から換算することによって求められる値を意味する。
【0063】
(D)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、60質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下であってよい。(D)成分の含有量がこのような範囲にあると、薄膜塗工性により優れる傾向にある。(D)成分の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよい。
【0064】
(E)成分:カップリング剤
(E)成分は、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0065】
(F)成分:硬化促進剤
(F)成分としては、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、反応性の観点から(F)成分はイミダゾール類及びその誘導体であってもよい。
【0066】
イミダゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
接着剤層15は、その他の成分を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、顔料、イオン補捉剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0068】
(E)成分、(F)成分、及びその他の成分の合計の含有量は、接着剤層15の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下であってよい。
【0069】
<半導体装置>
図3は本実施形態に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。この図に示す半導体装置50は、基板30と、基板30の表面上に積層された四つのチップC1,C2,C3,C4と、基板30の表面上の電極(不図示)と四つのチップC1,C2,C3,C4とを電気的に接続するワイヤW1,W2,W3,W4と、これらを封止している封止層35とを備える。
【0070】
基板30は、例えば、有機基板であり、リードフレーム等の金属基板であってもよい。半導体装置50の反りを抑制する観点から、基板30の厚さは、例えば、70~140μmであり、80~100μmであってもよい。
【0071】
四つのチップC1,C2,C3,C4は、接着剤片15pの硬化物15cを介して積層されている。平面視におけるチップC1,C2,C3,C4の形状は、例えば正方形又は長方形である。平面視におけるチップC1,C2,C3,C4の面積は30~250mmであり、40~200mm又は50~150mmであってもよい。平面視におけるチップC1,C2,C3,C4の一辺の長さは、例えば、6.0mm以上であり、7.0~18mm又8.0~15mmであってもよい。チップC1,C2,C3,C4の厚さは、例えば、10~150μmであり、20~80μmであってもよい。なお、四つのチップC1,C2,C3,C4の一辺の長さは同じであっても、互いに異なっていてもよく、厚さについても同様である。また、四つのチップC1,C2,C3,C4は比較的サイズが小さいものであってもよい。すなわち、チップC1,C2,C3,C4の面積は、30mm未満であってもよく、例えば、0.1~20mm又は1~15mmであってもよい。
【0072】
<接着剤片付きチップ>
図4は接着剤片付きチップの一例を模式的に示す断面図である。図4に示す接着剤片付きチップ25は、接着剤片15pとチップCとからなる。この図に示すとおり、接着剤片15pとチップC1は実質的に同じサイズである。これは、接着剤片15pとチップC2,C3,C4についても同様である。
【0073】
接着剤片付きチップ25の作製方法の一例について説明する。まず、ウェハWの回路面Waに保護フィルム(BGテープとも称される)を貼り付ける。ウェハWにレーザを照射して複数本の切断予定ラインLを形成する(ステルスダイシング)。その後、必要に応じて、ウェハWに対してバックグラインディング及びポリッシングの処理をする。なお、ここではレーザによるステルスダイシングを例示したが、これの代わりに、ブレードによってウェハWをハーフカットしてもよい。ハーフカットは、ウェハWを切断するのではなく、ウェハWの切断予定ラインLに対応した切込みを形成することを意味する。ウェハWは、単結晶シリコンであってもよいし、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウム砒素等の化合物半導体であってもよい。
【0074】
次いで、図5(a)に示すように、ウェハWの裏面Wbに接着剤層15が接するようにフィルム20を貼り付ける。また、粘着剤層13の周縁部13aに対してダイシングリングDRを貼り付ける。その後、0~-15℃の温度条件下での冷却エキスパンドによって、ウェハW及び接着剤層15を個片化する。すなわち、図5(b)に示すように、基材フィルム11におけるダイシングリングDRの内側領域11aをリングRaで突き上げることによって基材フィルム11に張力を付与する。これにより、ウェハWが切断予定ラインLに沿って分断されるとともに、これに伴って接着剤層15は接着剤片15pに分断される。粘着剤層13の表面上に複数の接着剤片付きチップ25が得られる。接着剤片付きチップ25は、チップCと、接着剤片15pとによって構成される。
【0075】
基材フィルム11におけるダイシングリングDRの内側領域11aを加熱することによって内側領域11aを収縮させる。図6(a)は、ヒータHのブローによって内側領域11aを加熱している様子を模式的に示す断面図である。内側領域11aを環状に収縮させて基材フィルム11に張力を付与することで、隣接する接着剤片付きチップ25の間隔を広げることができる。これにより、ピックアップエラーの発生をより一層抑制できるとともに、ピックアップ工程における接着剤片付きチップ25の視認性を向上させることができる。
【0076】
次いで、図6(b)に示すように、活性化エネルギー(例えば、紫外線UV)の照射によって粘着剤層13の粘着力を低下させる。粘着剤層13に対する活性エネルギー線の照射量は、例えば、10~1000mJ/cmであり、100~700mJ/cm又は200~500mJ/cmであってもよい。その後、図6(c)に示すにように、突き上げ冶具42で接着剤片付きチップ25を突き上げることによって粘着剤層13から接着剤片付きチップ25をはく離させるとともに、接着剤片付きチップ25を吸引コレット44で吸引してピックアップする。
【0077】
<半導体装置の製造方法>
半導体装置50の製造方法について説明する。まず、図7(a)に示すように、基板30の表面上に一段目のチップC1を圧着する。すなわち、接着剤片付きチップ25の接着剤片15pを介してチップC1を基板30の所定の位置に圧着する。この圧着処理は、例えば、80~180℃、0.01~0.50MPaの条件で、0.5~3.0秒間にわたって実施することが好ましい。次に、加熱によって接着剤片15pを硬化させる。この硬化処理は、例えば、60~175℃、0.01~1.0MPaの条件で、5分間以上にわたって実施することが好ましい。これにより、接着剤片15pが硬化して硬化物15cとなる。接着剤片15pの硬化処理は、ボイドの低減の観点から、加圧雰囲気下で実施してもよい。
【0078】
基板30に対するチップC1の設置と同様にして、チップC1の表面上に二段目のチップC2を設置する。更に、三段目及び四段目のチップC3,C4を設置することによって図7(b)に示す構造体40が作製される。チップC1,C2,C3,C4と基板30とをワイヤW1,W2,W3,W4で電気的に接続した後、封止層35によってチップ及びワイヤを封止することによって図3に示す半導体装置50が完成する。
【0079】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ステルスダイシングによってウェハWを個片化する場合を例示したが、ブレードを使用してウェハWを個片化してもよい。
【実施例0080】
以下、本開示について、実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に記述がない限り、薬品は全て試薬を使用した。
【0081】
(実施例1,2及び比較例1,2)
<接着剤ワニスの調製>
表1に示す成分及び含有量(単位:質量部)で、(A)成分、(B)成分、及び(D)成分からなる混合物にシクロヘキサノンを加え、撹拌混合した。これに、表1に示す成分及び含有量(単位:質量部)で、(C)成分を加えて撹拌し、更に(E)成分及び(F)成分を加えて、各成分が均一になるまで撹拌して、接着剤ワニスを調製した。なお、表1に示す各成分は下記のものを意味し、表1に示す数値は固形分の質量部を意味する。
【0082】
(A)成分:エポキシ樹脂
(A1)成分:フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂
(A1-1)PG-100(商品名、大阪ガスケミカル株式会社製、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ当量:260g/eq)
(A1-2)CG-500(商品名、大阪ガスケミカル株式会社製、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ当量:310g/eq)
(A2)成分:フルオレン骨格を有しないエポキシ樹脂
(A2-1)N-500P-10(商品名、DIC株式会社製、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量:204g/eq)
(A2-2)EXA-830CRP(商品名、新日鉄住金化学株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:159g/eq)
【0083】
(B)成分:硬化剤
(B-1)PSM-4326(商品名、群栄化学工業株式会社製、フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量:105g/eq、軟化点:118~122℃)
(B-2)GPH-103(商品名、日本化薬株式会社製、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、水酸基当量:220~240g/eq、軟化点:99~106℃)
(B-3)MEH-7800M(商品名、明和化学株式会社製、フェノールノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量:175g/eq、軟化点:78℃)
【0084】
(C)成分:エラストマー
(C-1)アクリルゴムのメチルエチルケトン溶液(SG-P3(商品名、ナガセケムテックス株式会社製)のアクリルゴムにおいて、当該アクリルゴムの構成単位の一部を変更したアクリルゴム、重量平均分子量:80万、Tg:12℃)
【0085】
(D)成分:無機フィラー
(D-1)R972(商品名、日本アエロジル株式会社製、シリカ粒子、平均粒径:0.016μm)
(D-2)SC2050-HLG(商品名、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:0.50μm)
(D-3)試作品シリカフィラー(試作品、アドマテックス株式会社製、シリカフィラー分散液、平均粒径:0.2μm)
【0086】
(E)成分:カップリング剤
(E-1)Y-9669(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン)
(E-2)A-189(商品名、日本ユニカー株式会社製、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)
(E-3)Z-6119(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製、ウレイドプロピルトリエトキシシラン)
【0087】
(F)成分:硬化促進剤
(F-1)2PZ-CN(商品名、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール)
【0088】
【表1】
【0089】
<接着フィルムの作製>
作製した接着剤ワニスを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡した。支持フィルムとして、厚さ38μmの離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、真空脱泡後の接着剤ワニスをPETフィルム上に塗布した。塗布した接着剤ワニスを、90℃で5分、続いて130℃で5分の2段階で加熱乾燥し、Bステージ状態にある実施例1,2及び比較例1,2の接着フィルム(厚さ:10μm)を得た。
【0090】
<ダイシングフィルムの作製>
[アクリル共重合体の合成]
以下の成分を原料とし、溶媒には酢酸エチルを用いて、溶液ラジカル重合により共重合体を得た。
・アクリル酸2-エチルヘキシル:78質量部
・アクリル酸2-ヒドロキシエチル:20質量部
・メタクリル酸:2質量部
このアクリル共重合体に対し、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、8質量部反応させて、炭素-炭素二重結合を有する放射線反応型アクリル共重合体を合成した。上記の反応にあたっては、重合禁止剤としてヒドロキノン・モノメチルエーテルを0.05質量部用いた。合成したアクリル共重合体の重量平均分子量をGPCにより測定したところ、80万であった。
【0091】
このようにして得られたアクリル共重合体と、硬化剤としてポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製,商品名:コロネートL)を固形分換算で8.0質量部と、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.5質量部とを混合し、放射線硬化型粘着剤溶液を調製した。次に、上記のようにして得られた放射線硬化型粘着剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート製剥離フィルム(厚み:38μm)上に、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布・乾燥した。その後、粘着剤層に、片面にコロナ放電処理が施されたエチレン-メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂フィルム(ハイミラン1855、厚さ90μm)を貼り合わせた。貼り合せた試料を40℃の恒温槽で72時間エージングを行い、ダイシングフィルムを作製した。
【0092】
<ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの作製>
上記のようにして得たダイシングフィルムの粘着剤層に、実施例及び比較例に係る接着フィルムを貼り合わせることによって、実施例及び比較例に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを得た。
【0093】
[タック試験]
タック試験を実施するための試料を以下の手順で準備した。
(1)ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムのダイシングフィルム側から紫外線を照射することによって、ダイシングフィルムの粘着力を低下させた。紫外線の照射条件は以下のとおりとした。
・紫外線の強度:100mW/cm
・紫外線の照射量:150mJ/cm
(2)ポリイミドフィルムの表面に接着フィルムが接するように、ポリイミドフィルムにダイシング・ダイボンディング一体型フィルムをラミネートした。ポリイミドフィルムとして以下のものを使用した。ラミネートの条件は以下のとおりとした。
(ポリイミドフィルム)
・カプトン500H(商品名、東レ・デュポン株式会社製)
・厚さ:125μm
・引張弾性率:3.35GPa
・耐熱温度:270℃
(ラミネート条件)
・温度:65℃
・速度:5mm/秒
(3)ラミネート後、ポリイミドフィルムと接着フィルムの密着性を高めるため、積層体を1日室温で放置した。
(4)積層体を縦40mm×横40mmのサイズに切断するとともに、ダイシングフィルムを剥離した。これにより、実施例及び比較例について、それぞれ複数の試料を得た。
【0094】
接着フィルムを上面にした状態で、試料をタッキング試験機(TAC1000(商品名)、株式会社レスカ製)のステージにセットした。実施例及び比較例に係る接着フィルムについて以下の条件でタック試験を実施した。
・ステージの温度:25℃
・プローブの温度:100℃又は120℃
・プローブの進入速度:1.0mm/秒
・加圧力:0.1MPa
・加圧時間:1.0秒
・プローブの引き離し速度:1.0mm/秒
・プローブの先端面:直径5mmの円形
・プローブの材質:SUS304
【0095】
実施例及び比較例について、それぞれ9回の測定を実施し、最大値及び最小値を除いた7つの測定値の平均値をタック(N/5mmφ)とした。表2に結果を示す。
【0096】
【表2】
【0097】
表2に示すとおり、実施例1,2に係る接着フィルムはいずれも、条件1,2を満たしており、良と判断される。比較例1に係る接着フィルムは条件1,2の両方を満たしていない。比較例2に係る接着フィルムは条件1を満たしているものの、条件2を満たしていない。
【0098】
[半導体装置の製造プロセスにおける剥離の再現]
半導体装置の製造プロセスにおける剥離を再現するため、実施例1に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを使用し、図5及び図6に示す工程を経て、図4に示す構成の接着剤片付きチップを作製した。チップのサイズは以下のとおりとした。
・厚さ:36μm
・縦:6mm
・横:12mm
【0099】
8つの接着剤片付きチップを使用し、図9に示す構成の構造体を作製した。図9の構造体90は、基板30と、シリコンスペーサー32と、8段の接着剤片付きチップS1~S8とによって構成されている。接着剤片付きチップの圧着条件は以下の二通りとし、二つの構造体を作製した。
・120℃/15N/1秒
・120℃/7.5N/1秒
【0100】
実施例2及び比較例1,2に係るダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを使用したことの他は、上記と同様にして実施例2及び比較例1,2に係る構造体を作製した。実施例及び比較例に係る構造体について、シリコンスペーサーの表面からに対する1段目の接着剤片付きチップS1の密着力を評価するため、図9に示す離間距離Dを測定した。表3に結果を示す。
【0101】
【表3】
【0102】
実施例1,2に係る構造体は、接着剤層の厚さが10μmであるにも関わらず、離間距離Dが30μm以下であり、剥離が抑制できた。これに対し、比較例1,2に係る構造体は離間距離Dが30μmを超えており、厚さ10μmの接着剤層では剥離を十分に抑制することができなかった。表2に示す評価結果は、表3に示す結果と整合している。
【符号の説明】
【0103】
1…ステージ、2…プローブ、3…押さえ治具、5…ポリイミドフィルム(樹脂フィルム)、10…タック試験を実施するための装置、11…基材フィルム、13…粘着剤層、15…接着剤層、15c…接着剤片の硬化物、15p…接着剤片、20…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、25…接着剤片付きチップ、30…基板、35…封止層、40…構造体、50…半導体装置、C,C1,C2,C3,C4…チップ、S…試料、W…ウェハ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9