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特開2022-136016真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136016
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20220908BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
C23C14/34 Z
C23C14/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032147
(22)【出願日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0028297
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】チュン, キュンフン
(72)【発明者】
【氏名】西口 昌男
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ロ, キジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, マンス
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029CA01
4K029CA05
4K029DB00
4K029DC00
(57)【要約】
【課題】真空状態で複数の工程が行われる被処理基板を運送するためのキャリアの移動経路を減らし、複数の工程を効率的に処理することができる真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法を提供する。
【解決手段】実施例による真空処理装置は第1方向に沿って順に配置される複数の移送チャンバーと、前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記複数の移送チャンバーに接続されている複数の工程チャンバーと、前記複数の移送チャンバーのうちの第1移送チャンバーに接続された位置変換チャンバーと、を含み、前記複数の移送チャンバーは、前記第1方向および前記第2方向と直交する回転軸を中心に回転して前記第1方向と前記第2方向を含む平面に沿って平面移動する回転移動ステージを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って順次配置される複数の移送チャンバーと、
前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記複数の移送チャンバーに接続されている複数の工程チャンバーと、
前記複数の移送チャンバーのうちの第1移送チャンバーに接続された位置変換チャンバーと、を含み、
前記複数の移送チャンバーは、前記第1方向および前記第2方向と直交する回転軸を中心にして回転し、前記第1方向および前記第2方向を含む平面に沿って平面移動する回転移動ステージを含む、真空処理装置。
【請求項2】
前記複数の移送チャンバーは、前記第2方向に沿って離隔された第1連結通路および第2連結通路を通じて連結され、
前記位置変換チャンバーは、
前記第1連結通路と前記第1方向に沿って整列される第3連結通路を通じて前記第1移送チャンバーに接続される第1位置変換チャンバーと、
前記第2連結通路と前記第1方向に沿って整列される第4連結通路を通じて前記第1移送チャンバーに接続される第2位置変換チャンバーと、を含む、請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記第1位置変換チャンバー内に位置する起点位置と、
前記第2位置変換チャンバー内に位置する終点位置と、をさらに含む、請求項2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
基板が装着されたキャリアは、前記第1位置変換チャンバー内に位置する前記起点位置から前記第1方向に沿って前記複数の移送チャンバーを順次通過した後、前記第1方向と反対の方向に沿って前記複数の移送チャンバーを反対の順に通過した後に前記第2位置変換チャンバー内に位置する前記終点位置に移送される、請求項3に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記複数の移送チャンバーは、前記回転移動ステージに位置し互いに離隔されている第1主移送路および第2主移送路を含み、
前記第1主移送路は、互いに離隔された第1主移送トラックおよび第2主移送トラックを含み、
前記第2主移送路は、互いに離隔された第3主移送トラックおよび第4主移送トラックを含む、請求項4に記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記複数の工程チャンバーは、前記第2方向に沿って互いに離隔されて前記第1移送チャンバーに接続された第1工程チャンバーおよび第2工程チャンバーを含み、
前記第1工程チャンバーおよび前記第2工程チャンバーは、それぞれ第1副移送路および第2副移送路を含み、
前記回転移動ステージの第1回転によって、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路が前記第1主移送トラックと前記第2方向に整列され、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路が前記第1移送チャンバーの第3主移送トラックと前記第2方向に整列される、請求項5に記載の真空処理装置。
【請求項7】
前記回転移動ステージの水平移動によって、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路が前記第2主移送トラックと前記第2方向に整列され、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路が前記第1移送チャンバーの第4主移送トラックと前記第2方向に整列される、請求項6に記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記位置変換チャンバーは、第1位置変換チャンバーおよび第2位置変換チャンバーを含み、
前記第1位置変換チャンバーに接続された第1ロードロックチャンバー、および前記位置変換チャンバーに接続されたキャリア移送チャンバーをさらに含み、
表面が前記第1方向または前記第2方向を向く第1位置状態で、キャリアは、前記キャリア移送チャンバーから前記第1位置変換チャンバーに移送された後、前記第1位置変換チャンバー内で前記第1位置状態から前記表面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く第2位置状態に位置変更され、
前記基板の処理面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く前記第2位置状態で、被処理基板は、前記第1ロードロックチャンバーに搬入された後、前記第1位置変換チャンバーに移送され、
前記第1位置変換チャンバー内で前記キャリアの上に前記基板が装着される、請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項9】
前記第1位置変換チャンバー内で前記基板および前記キャリアが前記第2位置状態から前記第1位置状態に変更される、請求項8に記載の真空処理装置。
【請求項10】
前記基板および前記キャリアは、前記第1位置状態を維持した状態で前記複数の移送チャンバーおよび前記複数の工程チャンバーを移動する、請求項9に記載の真空処理装置。
【請求項11】
前記第2位置変換チャンバーに接続された第2ロードロックチャンバーをさらに含み、
前記基板および前記キャリアは前記第1移送チャンバーを通過して前記第2位置変換チャンバーに移送されて、前記第2位置変換チャンバー内で前記第2位置状態から前記第1位置状態に位置変更され、
前記第1位置状態に位置変更された前記基板および前記キャリアは分離され、
前記基板は前記第2ロードロックチャンバーに移送され、
前記キャリアは前記キャリア移送チャンバーに移送される、請求項10に記載の真空処理装置。
【請求項12】
前記複数の工程チャンバーに接続された複数のマスク収納チャンバーと、
前記複数の工程チャンバーと前記複数のマスク収納チャンバーの間に位置するマスク搬送路と、をさらに含む、請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項13】
前記複数の移送チャンバーのうちの前記第1移送チャンバーと前記第1方向に沿って最も離隔された第2移送チャンバーに接続されたターンバックチャンバーをさらに含み、
前記ターンバックチャンバーは、回転ステージおよび前記回転ステージに位置するターンバック用移送路を含む、請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項14】
第1方向に沿って順次配置される複数の移送チャンバーと、前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記複数の移送チャンバーに接続されている複数の工程チャンバーと、前記複数の移送チャンバーのうちの第1移送チャンバーに接続された第1位置変換チャンバーおよび第2位置変換チャンバーと、前記第1位置変換チャンバーおよび前記第2位置変換チャンバーに接続されたキャリア移送チャンバーと、前記第1位置変換チャンバーに接続された第1ロードロックチャンバーおよび前記第2位置変換チャンバーに接続された第2ロードロックチャンバーと、を含む真空処理装置の真空処理方法において、
キャリアの表面が前記第1方向または前記第2方向を向く第1位置状態で前記キャリアを前記キャリア移送チャンバーから前記第1位置変換チャンバーに移送する段階と、
前記第1位置変換チャンバー内で、前記第1位置状態から前記キャリアの前記表面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く第2位置状態に変更されるように前記キャリアの位置を変更される段階と、
基板を前記第2位置状態で前記第1ロードロックチャンバーに搬入する段階と、
前記搬入された前記基板を前記第2位置状態で前記第1位置変換チャンバーに移送する段階と、
前記第1位置変換チャンバー内で、前記キャリアの上に前記基板を装着する段階と、
前記第1位置変換チャンバー内で、前記基板および前記キャリアを前記第2位置状態から前記第1位置状態に変更する段階と、
前記複数の移送チャンバーの回転移動ステージを前記第1方向および前記第2方向と直交する回転軸を中心にして回転させる段階と、
前記複数の移送チャンバーの前記回転移動ステージを前記第1方向および前記第2方向を含む平面に沿って平面移動させる段階と、を含む、真空処理方法。
【請求項15】
前記基板および前記キャリアを前記第1位置状態に維持した状態で、前記第1位置変換チャンバー内に位置する起点位置から前記複数の移送チャンバーと前記複数の工程チャンバー内に移送する段階と、
前記基板および前記キャリアを前記第1位置状態に維持した状態で、前記第2位置変換チャンバー内に位置する終点位置に移送する段階と、をさらに含む、請求項14に記載の真空処理方法。
【請求項16】
前記回転移動ステージの前記回転をさせる段階は、前記複数の移送チャンバーのそれぞれに接続された第1工程チャンバーの第2副移送路を前記複数の移送チャンバーの第1主移送トラックと前記第2方向に整列させ、前記複数の移送チャンバーのそれぞれに接続され、前記第1工程チャンバーと対向する第2工程チャンバーの第1副移送路を前記複数の移送チャンバーの第3主移送トラックと前記第2方向に整列させる、請求項15に記載の真空処理方法。
【請求項17】
前記回転移動ステージの前記水平移動をさせる段階は、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路を第1主移送トラックに隣接した第2主移送トラックと前記第2方向に整列させ、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路を前記第3主移送トラックに隣接した第4主移送トラックと前記第2方向に整列させる、請求項16に記載の真空処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示装置の製造方法などのように、複数の基板上に真空状態で行われる複数の工程が行われる場合、基板を装着して各工程チャンバーを移動するキャリアの位置変更および移動経路が複雑になるほど工程装置のチャンバー数が多くなり、工程時間が長くかかる。
【0003】
製造工程が複雑になるほど製造時間と製造費用が高くなる。したがって、複数の工程が行われる被処理基板を運送するためのキャリアの移動経路を減らし、複数の工程を効率的に処理することができる方法が重要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-214654号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1119853号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-1985922号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-2075525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、真空状態で複数の工程が行われる被処理基板を運送するためのキャリアの移動経路を減らし、複数の工程を効率的に処理することができる真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法を提供するためのものである。
【0006】
本発明の目的は上述の目的に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲から逸脱しない範囲で多様に拡張できるのが自明である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による真空処理装置は、第1方向に沿って順次配置される複数の移送チャンバーと、前記第1方向と直交する第2方向に沿って前記複数の移送チャンバーに接続されている複数の工程チャンバーと、前記複数の移送チャンバーのうちの第1移送チャンバーに接続された位置変換チャンバーと、を含み、前記複数の移送チャンバーは、前記第1方向および前記第2方向と直交する回転軸を中心にして回転し、前記第1方向および前記第2方向を含む平面に沿って平面移動する回転移動ステージを含むことができる。
【0008】
前記複数の移送チャンバーは、前記第2方向に沿って離隔された第1連結通路および第2連結通路を通じて互いに連結できる。
【0009】
前記位置変換チャンバーは、前記第1連結通路と前記第1方向に沿って整列される第3連結通路を通じて前記第1移送チャンバーに接続される第1位置変換チャンバーと、前記第2連結通路と前記第1方向に沿って整列される第4連結通路を通じて前記第1移送チャンバーに接続される第2位置変換チャンバーと、を含むことができる。
【0010】
前記真空処理装置は、前記第1位置変換チャンバー内に位置する起点位置と、前記第2位置変換チャンバー内に位置する終点位置と、をさらに含むことができる。
【0011】
基板が装着されたキャリアは、前記第1位置変換チャンバー内に位置する前記起点位置から前記第1方向に沿って前記複数の移送チャンバーを順次通過した後、前記第1方向と反対の方向に沿って前記複数の移送チャンバーを反対の順に通過した後に前記第2位置変換チャンバー内に位置する前記終点位置に移送できる。
【0012】
前記複数の移送チャンバーは、前記回転移動ステージに位置し互いに離隔されている第1主移送路および第2主移送路を含むことができ、前記第1主移送路は互いに離隔された第1主移送トラックおよび第2主移送トラックを含むことができ、前記第2主移送路は互いに離隔された第3主移送トラックおよび第4主移送トラックを含むことができる。
【0013】
前記複数の工程チャンバーは前記第2方向に沿って互いに離隔されて前記第1移送チャンバーに接続された第1工程チャンバーおよび第2工程チャンバーを含むことができ、前記第1工程チャンバーおよび前記第2工程チャンバーは、それぞれ第1副移送路および第2副移送路を含むことができる。
【0014】
前記回転移動ステージの第1回転によって、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路が前記第1主移送トラックと前記第2方向に整列され、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路が前記第1移送チャンバーの第3主移送トラックと前記第2方向に整列できる。
【0015】
前記回転移動ステージの水平移動によって、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路が前記第2主移送トラックと前記第2方向に整列され、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路が前記第1移送チャンバーの第4主移送トラックと前記第2方向に整列できる。
【0016】
前記位置変換チャンバーは第1位置変換チャンバーおよび第2位置変換チャンバーを含むことができ、前記真空処理装置は前記第1位置変換チャンバーに接続された第1ロードロックチャンバー、および前記位置変換チャンバーに接続されたキャリア移送チャンバーをさらに含むことができる。
【0017】
表面が前記第1方向または前記第2方向を向く第1位置状態で、キャリアは、前記キャリア移送チャンバーから前記第1位置変換チャンバーに移送された後、前記第1位置変換チャンバー内で前記第1位置状態から前記表面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く第2位置状態に位置変更できる。
【0018】
前記基板の処理面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く前記第2位置状態で、被処理基板は、前記第1ロードロックチャンバーに搬入された後、前記第1位置変換チャンバーに移送でき、前記第1位置変換チャンバー内で前記キャリアの上に前記基板が装着できる。
【0019】
前記第1位置変換チャンバー内で前記基板および前記キャリアが前記第2位置状態から前記第1位置状態に変更できる。
【0020】
前記基板および前記キャリアは、前記第1位置状態を維持した状態で前記複数の移送チャンバーおよび前記複数の工程チャンバーを移動することができる。
【0021】
前記真空処理装置は、前記第2位置変換チャンバーに接続された第2ロードロックチャンバーをさらに含むことができ、前記基板および前記キャリアは前記第1移送チャンバーを通過して前記第2位置変換チャンバーに移送されて、前記第2位置変換チャンバー内で前記第2位置状態から前記第1位置状態に位置変更でき、前記第1位置状態に位置変更された前記基板および前記キャリアは分離され、前記基板は前記第2ロードロックチャンバーに移送され、前記キャリアは前記キャリア移送チャンバーに移送できる。
【0022】
前記真空処理装置は、前記複数の工程チャンバーに接続された複数のマスク収納チャンバーと、前記複数の工程チャンバーと前記複数のマスク収納チャンバーの間に位置するマスク搬送路と、をさらに含むことができる。
【0023】
前記真空処理装置は前記複数の移送チャンバーのうちの前記第1移送チャンバーと前記第1方向に沿って最も離隔された第2移送チャンバーに接続されたターンバックチャンバーをさらに含むことができ、前記ターンバックチャンバーは回転ステージおよび前記回転ステージに位置するターンバック用移送路を含むことができる。
【0024】
前記真空処理装置を用いた真空処理方法であって、キャリアの表面が前記第1方向または前記第2方向を向く第1位置状態で前記キャリアを前記キャリア移送チャンバーから前記第1位置変換チャンバーに移送する段階と、前記第1位置変換チャンバー内で、前記第1位置状態から前記キャリアの前記表面が前記第1方向および前記第2方向を含む平面を向く第2位置状態に変更されるように前記キャリアの位置を変更される段階と、基板を前記第2位置状態で前記第1ロードロックチャンバーに搬入する段階と、前記搬入された前記基板を前記第2位置状態で前記第1位置変換チャンバーに移送する段階と、前記第1位置変換チャンバー内で、前記キャリアの上に前記基板を装着する段階と、前記第1位置変換チャンバー内で、前記基板および前記キャリアを前記第2位置状態から前記第1位置状態に変更する段階と、前記複数の移送チャンバーの回転移動ステージを前記第1方向および前記第2方向と直交する回転軸を中心にして回転させる段階と、前記複数の移送チャンバーの前記回転移動ステージを前記第1方向および前記第2方向を含む平面に沿って平面移動させる段階と、を含む。
【0025】
前記真空処理方法は、前記基板および前記キャリアを前記第1位置状態に維持した状態で、前記第1位置変換チャンバー内に位置する起点位置から前記複数の移送チャンバーと前記複数の工程チャンバー内に移送する段階と、前記基板および前記キャリアを前記第1位置状態に維持した状態で、前記第2位置変換チャンバー内に位置する終点位置に移送する段階と、をさらに含むことができる。
【0026】
前記回転移動ステージの前記回転をさせる段階は、前記複数の移送チャンバーのそれぞれに接続された第1工程チャンバーの第2副移送路を前記複数の移送チャンバーの第1主移送トラックと前記第2方向に整列させ、前記複数の移送チャンバーのそれぞれに接続され、前記第1工程チャンバーと対向する第2工程チャンバーの第1副移送路を前記複数の移送チャンバーの第3主移送トラックと前記第2方向に整列させることができる。
【0027】
前記回転移動ステージの前記水平移動をさせる段階は、前記第1工程チャンバーの前記第2副移送路を第1主移送トラックに隣接した第2主移送トラックと前記第2方向に整列させ、前記第2工程チャンバーの前記第1副移送路を前記第3主移送トラックに隣接した第4主移送トラックと前記第2方向に整列させることができる。
【発明の効果】
【0028】
実施形態による真空処理装置およびこれを用いた真空処理方法によれば、複数の工程が行われる被処理基板を運送するためのキャリアの移動経路を減らし、複数の工程を効率的に処理することができる。
【0029】
本発明の効果は上述の効果に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲から逸脱しない範囲で多様に拡張できることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】一実施形態による真空処理装置の断面図である。
図2図1に示した真空処理装置の一部を示した図である。
図3図1に示した真空処理装置の一部を示した図である。
図4図1に示した真空処理装置の一部を示した図である。
図5】他の一実施形態による真空処理装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付した図面を参照して、本発明の様々な実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0032】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0033】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0034】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”または“上方に”あるというとき、これは他の部分の“直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上に”あるというときには中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の“上に”または“上方に”あるということは基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力反対方向側に“上に”または“上方に”位置することを意味するものではない。
【0035】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0036】
また、明細書全体で、“平面上”というとき、これは対象部分を上から見たときを意味し、“断面上”というとき、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見たときを意味する。
【0037】
また、明細書全体で、“接続される”というとき、これは二つ以上の構成要素が直接的に接続されることのみを意味するのではなく、二つ以上の構成要素が他の構成要素を通じて間接的に接続されること、物理的に接続されることだけでなく、電気的に接続されること、または位置や機能によって異なる名称で称されたが、一体であることを意味することができる。
【0038】
図1を参照して、一実施形態による真空処理装置VM1について説明する。図1は、一実施形態による真空処理装置の断面図である。
【0039】
以下、一水平面で互いに直交する二方向を第1方向Xおよび第2方向Yとし、基板Swの処理面が第1方向Xまたは第2方向Yに向かう位置を第1位置、例えば垂直位置と言い、基板Swの処理面が第1方向Xと第2方向Yが交差して成す水平面に向かう位置を第2位置、例えば水平位置と言う。
【0040】
図1を参照すれば、真空処理装置VM1は、キャリア移送チャンバーCc、複数の位置変換チャンバーAc1、Ac2、複数のロードロックチャンバーLc1、Lc2、複数のロボットチャンバーRo1、Ro2、複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3を含む移送チャンバーTc、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6、複数のマスク収納チャンバーMc、ターンバックチャンバーBc、複数の回転移動ステージ1、複数の搬送ロボット2、複数の処理部3、移送体搬送手段4、およびキャリア搬送手段5を含む。
【0041】
複数の基板Swは複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6を通過しながら、マスクMsを用いて複数の基板Swの処理面の上に所定の薄膜が順次成膜される。
【0042】
移送チャンバーTcは第1方向Xに沿って離隔されている複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3を含み、複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3は第2方向Yに沿って離隔されて配置される複数の第1連結通路Pw1と複数の第2連結通路Pw2によって互いに連結される。
【0043】
複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3のうちの第1移送チャンバーTc1の一側面には第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2と第1方向Xに沿って一列配置される第3連結通路Pw3および第4連結通路Pw4が配置され、第1移送チャンバーTc1は第3連結通路Pw3および第4連結通路Pw4を通じて第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2に接続される。
【0044】
複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3のうちの第3移送チャンバーTc3の一側面には第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2と第1方向Xに沿って一列配置される第5連結通路Pw5および第6連結通路Pw6が配置され、第3移送チャンバーTc3は第5連結通路Pw5および第6連結通路Pw6を通じてターンバックチャンバーBcに接続される。
【0045】
複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3には第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2と第2方向Yに沿って離隔されて、第1方向Xに沿って伸びた第1主移送路Mr1および第2主移送路Mr2が配置される。
【0046】
互いに連結されている複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3の数は限定されず、素子構造およびタクトタイム(tact time)などを考慮して、適切に変更できる。図示してはいないが、移送チャンバーTcには真空ポンプに接続された排気管と接続されて、その内部を所定圧力の真空雰囲気に維持することができる。
【0047】
第1位置変換チャンバーAc1内の第1主移送路Mr1の位置を起点位置Spに設定し、第2位置変換チャンバーAc2内の第2主移送路Mr2の位置を終点位置Epに設定することができる。
【0048】
起点位置Spである第1位置変換チャンバーAc1内の第1主移送路Mr1から第1方向Xに沿って複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3を順次通過した後、ターンバックチャンバーBcを経て、第1方向Xと反対の方向に沿って再び複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3を反対の順に通過した後、終点位置Epである第2位置変換チャンバーAc2内の第2主移送路Mr2に基板Swが装着されたキャリアCa(以下、これを‘移送体Cs'とも言う)を移送することができる。
【0049】
図示した実施形態によれば、第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2の一部分は移送チャンバーTcの一部の役割を果たすことができると説明したが、これに限定されず、起点位置Spと終点位置Epを含む追加的な移送チャンバーを含んでもよい。また、第1主移送路Mr1と第2主移送路Mr2は副移送路などの他の移送路を含んで、例えば非接触電力供給によってキャリアを磁気浮上させて第1主移送路Mr1と第2主移送路Mr2によって移送体Csを移送することもできる。これに関する具体的な説明は省略する。
【0050】
複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3内には、第1方向Xおよび第2方向Yと垂直を成す方向に伸びている回転軸を中心にして回転でき第1方向Xおよび第2方向Yが成す平面上で水平移動可能な回転移動ステージ1が設置され、回転移動ステージ1に第1主移送路Mr1および第2主移送路Mr2が配置できる。回転移動ステージ1に位置する第1主移送路Mr1は互いに隣接配置される二つの主移送トラックTr11、Tr12を含み、第2主移送路Mr2はそれぞれ互いに隣接配置される二つの主移送トラックTr21、Tr22を含むことができる。
【0051】
図示してはいないが、第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2内には所定の動作機構が設けられて起点位置Spおよび終点位置Epに配置されるキャリアCaを第1位置(垂直位置)と第2位置(水平位置)の間で位置変更することができる。
【0052】
第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2の第2方向Yと平行な方向の外側面には、フォーク形状のロボットハンドを有する真空搬送ロボット2がそれぞれ位置する第1ロボットチャンバーRo1および第2ロボットチャンバーRo2が位置し、第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2には第1ロボットチャンバーRo1および第2ロボットチャンバーRo2を通じて第1ロードロックチャンバーLc1および第2ロードロックチャンバーLc2がそれぞれ連結される。
【0053】
第1ロードロックチャンバーLc1に基板Swが第2位置(水平位置)として搬入されると、基板Swは第2位置の状態で真空搬送ロボットによって第1ロボットチャンバーRo1を経て第1位置変換チャンバーArc1に移送され、起点位置Spで基板Swは動作機構によって第1位置のキャリアCa上に配置されて、基板Swが装着されたキャリアCaである移送体Csを成す。
【0054】
その後に、キャリアCaは第1位置(垂直位置)に位置変更される。このとき、基板Swの処理面は第1位置変換チャンバーArc1の内面に向かうように配置できる。
【0055】
ただし、キャリアCaに基板Swを装着する方法はこれに限定されず変更可能である。例えば、第1位置変換チャンバーAc1で基板Swの位置のみ第2位置から第1位置に変更し、この状態で、第1位置状態で配置されているキャリアCaに基板Swを装着することもできる。
【0056】
図示してはいないが、第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2、第1ロボットチャンバーRo1および第2ロボットチャンバーRo2、そして第1ロードロックチャンバーLc1および第2ロードロックチャンバーLc2のそれぞれには、真空ポンプに連結された排気管が接続され、その内部を所定圧力の真空雰囲気に維持することができる。
【0057】
各移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3の第2方向Yに互いに対向する二つの外側面には基板Swの処理面に成膜などの処理を行う複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6がそれぞれ接続される。
【0058】
複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6のそれぞれは同一構造を有することができ、第1方向Xに沿って離隔されて配置され、各移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3から第2方向Yに伸びた第1副移送路Sr1および第2副移送路Sr2を含む。
【0059】
回転移動ステージ1が時計方向に90度回転すれば、第1工程チャンバーPc1の第1副移送路Sr1、第1移送チャンバーTc1の第2主移送路Mr2、および第6工程チャンバーPc6の第1副移送路Sr1が第2方向Yに沿って整列され、第1工程チャンバーPc1の第2副移送路Sr2、第1移送チャンバーTc1の第1主移送路Mr1、および第6工程チャンバーPc6の第2副移送路Sr2が第2方向Yに沿って整列される。
【0060】
この状態で、回転移動ステージ1を第1方向Xに沿って所定のストローク(stroke)長さだけ移動させると、第2方向Yに整列される二つの副移送路Sr1、Sr2は、主移送トラックTr11、Tr12のうちのいずれか一つ、および主移送トラックTr21、Tr22のうちのいずれか一つと整列できる。これによって、第1移送チャンバーTc1と第1工程チャンバーPc1との間、および第1移送チャンバーTc1と第6工程チャンバーPc6との間で移送体Csをやり取りすることができる。このとき、移送体Csは基板Swの処理面が各チャンバーの内面に向かう状態を維持する。
【0061】
複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内には処理手段として成膜手段3が配置される。成膜手段3は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの成膜方法であって、蒸着源、スパッタリングカソード、プロセスガス導入手段のような各種装備を含むことができる。
【0062】
また、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内には、各副移送路Sr1、Sr2に沿って、その内部の所定位置に移送された移送体Csの処理面の全面にかけて成膜手段3を通じて成膜などの工程を行うことができるように、例えば、U字形状のガイドレール31が設置されており、成膜手段3がガイドレール31に沿って移動することができる。このような成膜処理およびそれに必要な装置、ならびに、これを駆動する機構は特定の形態に限定されず、多様に変更可能である。
【0063】
また、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6の外側面のうち、第2方向Yに沿って移送チャンバーTcと反対側の外側面には、副移送路Sr1、Sr2と第2方向Yに沿って一列配置され、マスクMsを収納する複数のマスク収納チャンバーMcが位置し、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6のそれぞれと、複数のマスク収納チャンバーMcのそれぞれと、はゲートバルブGv1を通じて接続される。
【0064】
複数のマスク収納チャンバーMcは同一構造を有し、図示していないが、真空ポンプに連結された排気管およびベントガスを注入するベントガスラインと接続される。
【0065】
複数のマスク収納チャンバーMc内には、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6に向かって第2方向Yに伸びているマスク移送路Prが位置する。各副移送路Sr1、Sr2に沿って複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内の所定位置に移送された移送体Csの処理面に対して成膜処理を行うとき、基板Swの処理面の前面にマスクMsが配置される。マスクMsは、シルバー、アルミニウムやステンレスなどの金属製を含むことができ、基板Swの処理面に成膜しようとするパターンによって厚さ方向に貫通するように形成された開口(図示せず)を有することができる。
【0066】
マスク収納チャンバーMcの外側には追加的なゲートバルブGv2が設置されてゲートバルブGv1を閉めた状態でマスク収納チャンバーMcを大気開放し、ゲートバルブGv2を開けてその内部のマスクMsを交換することができる。
【0067】
複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6のそれぞれに移送された移送体Csの処理面に対してマスクMsを介して成膜処理する場合、電磁石や永久磁石を備えた公知の脱着手段によって基板Swの処理面にマスクMsを装着することもできる。
【0068】
図示してはいないが、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6にはCCDカメラのような撮像手段が設置されて、撮影手段で撮像した画像データを用いて、基板Swの処理面に対するマスクMsの位置を相対的に移動させて基板SwとマスクMsを整列(alignment)させることができる。
【0069】
前述のように、複数の移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3のうちの第3移送チャンバーTc3の一側面には第5連結通路Pw5と第6連結通路Pw6を通じて連結されたターンバックチャンバーBcが位置する。
【0070】
ターンバックチャンバーBcは、キャリア搬送手段である回転ステージ41を含む。回転ステージ41には第1主移送路Mr1および第2主移送路Mr2に沿って第1方向Xに伸びているターンバック用移送路42が位置する。
【0071】
図1に示したように、第3移送チャンバーTc3から第1主移送路Mr1を通じて移送される第1位置状態の移送体Csを受け取り、回転ステージ41を回転させると、移送体Csが第1位置状態を維持した状態で、第3移送チャンバーTc3へ第2主移送路Mr2を通じて移送体Csを移送することができる。このとき、移送体Csの処理面は各チャンバーの内面に向かってもよい。
【0072】
また、第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2はゲートバルブGv3を通じてキャリア移送チャンバーCcに接続される。キャリア移送チャンバーCcはキャリア搬送手段5を含み、真空雰囲気または制御された雰囲気下で、終点位置Epと起点位置Spとの間に第1位置状態の空のキャリアCaを搬送することができる。
【0073】
キャリア移送チャンバーCcのキャリア搬送手段5は回転ステージ51を含み、回転ステージ51には第1主移送路Mr1および第2主移送路Mr2に沿って第1方向Xに伸びているキャリアターンバック用移送路52が位置する。
【0074】
第2位置変換チャンバーAc2の第2主移送路Mr2の終点位置Epで搬送される空のキャリアCaを受けて回転ステージ51を回転させると、第1主移送路Mr1の起点位置Spに空のキャリアCaを移送することができる。また、キャリア移送チャンバーCc内には空のキャリアCaに対して表面クリーニングや静電気除去などの前処理を行うための前処理手段(図示せず)が設置されてもよい。このような前処理手段は変更可能であり、これに関する詳細な説明は省略する。
【0075】
以下、図1と共に図2図4を参照して、複数の工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6を順次通過しながら複数の薄膜を積層する蒸着方法について説明する。図2図1に示した真空処理装置の一部を示した図であり、図3図1に示した真空処理装置の一部を示した図であり、図4図1に示した真空処理装置の一部を示した図である。
【0076】
説明の簡素化のために、図1のように、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内にはそれぞれ二つの移送体Csが位置し、第2副移送路Sr2にある移送体Csの基板Swに対する成膜処理が完了し、第1副移送路Sr1にある移送体Csの基板Swに対する成膜処理はまだ実施されていないと仮定する。また、各移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3の第1主移送路Mr12および第2主移送路Mr22にそれぞれ移送体Csが位置し、ターンバックチャンバーBc内のターンバック用移送路42のうちの一つのターンバック用移送路42に移送体Csが位置し、キャリア移送チャンバーCc内のキャリアターンバック用移送路52のうちの一つのキャリアターンバック用移送路52には前処理が行われた状態の空のキャリアCaが位置すると仮定する。
【0077】
まず、第1ロードロックチャンバーLc1に処理前の一枚の基板Swが第2位置、即ち、水平位置を維持したまま搬入される。このとき、移送チャンバーTc、第1位置変換チャンバーAc1、第2位置変換チャンバーAc2、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6、キャリア移送チャンバーCc、およびターンバックチャンバーBcは、所定圧力で真空排気された状態である。これと共にキャリア移送チャンバーCc内の空のキャリアCaが第1主移送路Mr1を通じて第1位置変換チャンバーAc1の起点位置Spに移送されて、キャリアCaが第1位置、即ち、垂直位置から、第2位置、即ち、水平位置に位置変更される。そして、真空搬送ロボット2によって第1ロードロックチャンバーLc1に搬入された基板Swが、第2位置(水平位置)を維持したまま、第1位置変換チャンバーAc1に移送され、キャリアCaの上にセットされて、移送体Csとなる。その後、移送体Csが、第2位置から第1位置、即ち、水平位置から垂直位置に変更される。即ち、第1位置(垂直位置)の移送体Csが起点位置Spに配置され、基板Swの処理面は第1位置変換チャンバーAc1の内面に向かう。
【0078】
その次に、移送体Csが第1主移送路Mr1に沿って第1移送チャンバーTc1に向かって移送され、第1工程チャンバーPc1で第1成膜処理が終わって第1移送チャンバーTc1の他方の主移送トラックTr12に位置する移送体Csは、第2移送チャンバーTc2の他側主移送トラックTr12に移送される。また、第2移送チャンバーTc2の第2主移送路Mr2の他の主移送トラックTr22には、第5工程チャンバーPc5で第5成膜処理が終わった移送体Csが移送されて位置する。
【0079】
その次に、回転移動ステージ1が時計回りに90度回転して、図2に示した状態となる。このとき、第1工程チャンバーPc1の第2副移送路Sr2が第1移送チャンバーTc1の第1主移送路Mr1の一方の主移送トラックTr11と第2方向Yに整列され、第6工程チャンバーPc6の第1副移送路Sr1が第1移送チャンバーTc1の第2主移送路Mr2の一方の主移送トラックTr21と第2方向Yに整列される。
【0080】
その次に、第1工程チャンバーPc1で第1成膜処理が終わった移送体Csが第2副移送路Sr2から第1移送チャンバーTc1の第1主移送路Mr1の一方の主移送トラックTr11に移動し、第6工程チャンバーPc6で第6成膜処理が終わった移送体Csが第1副移送路Sr1から第1移送チャンバーTc1の第2主移送路Mr2の一方の主移送トラックTr22に移動し、この状態で第1移送チャンバーTc1が第1方向Xに沿って所定のストローク長さだけ移動して、図3に示した状態となる。
【0081】
図3を参照すれば、第1工程チャンバーPc1の第2副移送路Sr2が第1移送チャンバーTc1の第1主移送路Mr1の他方の主移送トラックTr12と第2方向Yに整列され、第6工程チャンバーPc6の第1副移送路Sr1は、第1移送チャンバーTc1の第2主移送路Mr2の他方の主移送トラックTr22と第2方向Yに整列される。
【0082】
処理前の移送体Csが第1移送チャンバーTc1の第1主移送路Mr1の他方の主移送トラックTr12から第2副移送路Sr2に移動して第1工程チャンバーPc1に移送されると共に、第5成膜処理が終わった移送体Csが第1移送チャンバーTc1の第2主移送路Mr2の他方の主移送トラックTr22から第1副移送路Sr1に沿って第6工程チャンバーPc6に移送されることによって、図4に示した状態となる。
【0083】
前述の動作は、他の工程チャンバーPc2およびPc5と他の移送チャンバーTc2との間、ならびに、他の工程チャンバーPc3およびPc4と他の移送チャンバーTc3との間でも同時に行うことができ、これと同時に各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6に留まる移送体Csに対して、成膜手段3によって適切に成膜処理が実施される。そして、回転移動ステージ1が反時計回りに90度回転され、上述の動作が繰り返されて移送体Csが次々に移送される。
【0084】
一方、全ての成膜処理が終わった移送体Csが第2位置変換チャンバーAc2内の終点位置Epに移送されると、移送体Csが第2位置状態に変更され、真空搬送ロボット2によってキャリアCaから処理された基板Swが取り外される。そして、処理された基板Swは真空搬送ロボット2によって第2位置状態を維持したまま第2位置変換チャンバーAc2から真空雰囲気の第2ロードロックチャンバーLc2に移送されて回収される。
【0085】
また、基板Swが分離された空のキャリアCaは再び第1位置状態に変更される。即ち、第1位置状態(垂直位置状態)のキャリアCaが終点位置Epに存在する。その後、ゲートバルブGv3を開けてキャリアCaがキャリア移送チャンバーCcに移送される。このとき、ゲートバルブGv3を閉めてキャリア移送チャンバーCcと第1位置変換チャンバーAc1および第2位置変換チャンバーAc2を互いに雰囲気分離し、空のキャリアCaに対する前処理が実施される。
【0086】
以上の実施形態によれば、一つの移送チャンバーTc1に連結されている第1位置変換チャンバーAc1内および第2位置変換チャンバーAc2内に第1主移送路Mr1の起点位置Spと第2主移送路Mr2の終点位置Epとを配置し、終点位置Epと起点位置Spとにキャリア移送チャンバーCcが連結されているので、全ての成膜処理が終わった基板Swが除去されたキャリアCaを、終点位置Epからキャリア移送チャンバーCcを経て起点位置Spに速かに移送することができる。また、第1移送チャンバーTc1とキャリア移送チャンバーCcとがゲートバルブGv3を通じて接続されるので、ゲートバルブGv3を閉めて第1移送チャンバーTc1とキャリア移送チャンバーCcとの雰囲気を分離した後、キャリアCaの表面クリーニングや静電気除去などの前処理が可能である。このように、キャリアCaの移動経路を簡単にすることができ、タクトタイムの低下を防止することができる。
【0087】
また、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内で、キャリアCaの使用数を減らした状態で、キャリアCaに装着された基板Swを第1位置状態で移送して、基板Swの処理面に対して成膜処理のような各種真空処理を効率的に遂行可能である。
【0088】
また、各移送チャンバーTc1、Tc2、Tc3を介して、互いに対向する位置に配置される二つの工程チャンバーPc1およびPc6、Pc2およびPc5、Pc3およびPc4について、処理前の移送体Csを搬入することと、処理後の移送体Csを搬出することを同時に実施することができる。したがって、移送チャンバーTcと各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6との間の移送体Csの移送時間を短縮して生産性を向上することができる。
【0089】
また、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6にマスク収納チャンバーMcを接続して、マスク交換のために各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6を停止する時間を短縮して真空処理装置VM1の稼動率を向上させることができる。
【0090】
以下、図5を参照して、他の一実施形態による真空処理装置VM2について説明する。図5は、他の一実施形態による真空処理装置の断面図である。
【0091】
図5を参照すれば、本実施形態による真空処理装置VM2は図1に示した実施形態による真空処理装置VM1と類似している。同一な構成要素に関する具体的な説明は省略する。
【0092】
図1に示した実施形態による真空処理装置VM1とは異なり、本実施形態による真空処理装置VM2によれば、第1位置変換チャンバーAc10内に第1方向Xに移動可能な搬送手段6が配置され、搬送手段6の移動方向の両側に起点位置Sp11、Sp12がそれぞれ設けられ、起点位置Sp11、Sp12の間では空のキャリアCaまたは移送体Csが第2位置状態、即ち、水平位置状態で移動できる。これと同様に、第2位置変換チャンバーAc20内にも第1方向Xに移動可能な搬送手段6が配置され、搬送手段6の移動方向両側に終点位置Ep11、Ep12がそれぞれ設けられ、終点位置Ep11、Ep12の間でも空のキャリアCaまたは移送体Csが第2位置状態、即ち、水平位置状態で移動できる。
【0093】
そして、第1位置変換チャンバーAc10および第2位置変換チャンバーAc20には、終点位置Ep12から起点位置Sp11に真空雰囲気中または制御された雰囲気中での第1位置状態、即ち、垂直位置状態の空のキャリアCaの移送が可能なキャリア移送チャンバーCcが、ゲートバルブGv3を介して接続される。
【0094】
また、第1位置変換チャンバーAc10および第2位置変換チャンバーAc20は、バッファ室の役割を果たす連結通路Pw30、Pw40を介して、第1移送チャンバーTc11に接続される。また、第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2を介して複数の移送チャンバーTc11、Tc12、Tc13、Tc14、Tc15、Tc16、Tc17、Tc18が順次接続される。
【0095】
複数の移送チャンバーTc11、Tc12、Tc13、Tc14、Tc15、Tc16、Tc17、Tc18の外側面には第2方向Yに沿って互いに対向するように各工程チャンバーPc11~Pc18、Pc28~Pc21が順次接続される。
【0096】
第1方向Xに沿って第1移送チャンバーTc11と最も遠く位置する第8移送チャンバーTc18の第1方向Xの外側面にはバッファ室の役割を果たす連結通路Pw50、Pw60を通じてターンバックチャンバーBcが連結される。
【0097】
本実施形態によれば、第1方向Xに沿って互いに隣接した工程チャンバー、例えば工程チャンバーPc11とPc12、Pc13とPc14、Pc15とPc16、Pc17とPc18、Pc28とPc27、Pc26とPc25、Pc24とPc23、Pc22とPc21は、それぞれ同一成膜材料を成膜処理することができる。起点位置Sp12にある移送体Csおよびバッファ室Pw30にある移送体Csが第1移送チャンバーTc11および第2移送チャンバーTc12に第1位置状態でそれぞれ移送され、これと同時に第1工程チャンバーPc11および第2工程チャンバーPc12で第1成膜処理が行われた移送体Csは、第1移送チャンバーTc11から第3移送チャンバーTc13を通じて第3工程チャンバーPc13に移送され、第2移送チャンバーTc12から第4移送チャンバーTc14を介して第4工程チャンバーPc14に移送される。
【0098】
このような段階を繰り返して、第16工程チャンバーPc28で全ての成膜処理が終わった移送体Csは第1移送チャンバーTc11を経て終点位置Ep11に移送され、第15工程チャンバーPc27で全ての成膜処理が終わった移送体Csは第2移送チャンバーTc12を経てバッファ室Pw40にそれぞれ移送される。
【0099】
先に図1を参照して説明した実施形態によれば、第1位置変換チャンバーAc1内でキャリアCaに基板Swをセッティングすると同時に、第2位置変換チャンバーAc2でキャリアCaから基板Swを分離することを例として説明したが、これに限定されない。
【0100】
前述の実施形態によれば、所定の真空処理を成膜処理の例として説明したが、これに限定されず、熱処理やエッチング処理など真空雰囲気で実施されるものであれば、その処理内容は問わず、適用可能である。また、連結される工程チャンバーの数も前述の一実施形態に限定されない。また、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6内にマスクMsを配置しておき、マスクMsの交換時にのみマスク収納チャンバーMcにマスクMsを返すことを例として説明したが、これに限定されず、各工程チャンバーPc1、Pc2、Pc3、Pc4、Pc5、Pc6に移送体Csが移送されるとき、マスク収納チャンバーMcからマスクMsを移送することもできる。
【0101】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0102】
VM1、VM2:真空処理装置
Ac1、Ac2、Ac10、Ac20:位置変換チャンバー
Bc:ターンバックチャンバー
Ca:キャリア
Cc:キャリア移送チャンバー
Cs:移送体
Sp、Sp11、Sp12:起点位置
Ep、Ep11、Ep12:終点位置
Gv1、Gv2、Gv3:ゲートバルブ
Lc1、Lc2:ロードロックチャンバー
Mc:マスク収納チャンバー
Mr1、Mr2:主移送路
Ms:マスク
Pc1~Pc6、Pc11~Pc18、Pc21~Pc28:工程チャンバー
Pr:マスク移送路
Ro1、Ro2:ロボットチャンバー
Sr1、Sr2:副移送路
Sw:基板(被処理基板)
Tc1~Tc3、Tc11~Tc18:移送チャンバー
Tr11、Tr12、Tr21、Tr22:主移送トラック
1:回転移動ステージ
2:真空搬送ロボット
3:成膜手段
4、5:キャリア搬送手段
図1
図2
図3
図4
図5