(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136639
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220913BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220913BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20220913BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20220913BHJP
F16L 3/137 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H02G3/04
F16B7/04 301G
F16B2/08 S
F16B2/10 Z
F16B2/08 B
F16L3/137
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036345
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】波多野 由衣
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
3J039
5G357
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AD08
3H023AD54
3J022DA11
3J022EA15
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA04
3J022GA16
3J022GB23
3J039AA04
3J039AA05
3J039BB01
3J039CA01
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD14
5G357DE02
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】容易に第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けることができるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供すること。
【解決手段】外装部材20は、所定の配索経路に配索された第1ハーネス11に対して、第2ハーネス12を平行に取付けるものであって、長手方向Lに沿って第2ハーネス12の少なくとも一部に外装する外装体30と、幅方向Wに外装体30から延出され、第1ハーネス11の外側に巻き回す帯状のバンド体40とが備えられ、この外装体30に、第2ハーネス12を配置する第2配置部312と、第2配置部312に配置した第2ハーネス12を保持する固定テープBを取付ける電線保持部32と、第1ハーネス11の外側に巻き回したバンド体40を固定するバンド固定部33とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを平行に取付けるハーネス取付け部材であって、
長手方向に沿って前記第1ワイヤーハーネスの少なくとも一部に外装する外装体と、
前記長手方向に交差する交差方向に該外装体から延出され、前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回す帯状のバンド体とが備えられ、
前記外装体に、
前記第2ワイヤーハーネスを配置するハーネス配置部と、
前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを保持する保持部材を取付ける保持部材取付部と、
前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回した前記バンド体を固定するバンド固定部とを有する
ハーネス取付け部材。
【請求項2】
前記保持部材は、
前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを前記ハーネス配置部とで挟み込む挟み込み体で構成され、
前記挟み込み体が設けられた
請求項1に記載のハーネス取付け部材。
【請求項3】
前記挟み込み体と前記外装体とを枢動可能に連結するヒンジ部が設けられた
請求項2に記載のハーネス取付け部材。
【請求項4】
挟み込み状態の前記外装体と前記挟み込み体とを固定する挟み込み固定部とが設けられた
請求項2又は請求項3に記載のハーネス取付け部材。
【請求項5】
前記挟み込み固定部は、
前記外装体及び前記挟み込み体において、挟み込み状態で対応する位置に設けられた切込みによって形成され、
切込みによって形成された前記挟み込み固定部の少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である
請求項4に記載のハーネス取付け部材。
【請求項6】
前記外装体及び前記挟み込み体は樹脂製シートにより構成された
請求項2乃至請求項5のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項7】
前記バンド体の先端側に、
前記帯状の幅方向に突出する係止部が設けられ、
前記バンド固定部は、挿通された前記バンド体の前記係止部が係止する被係止部である
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項8】
前記係止部は、前記バンド体の基端側から先端側に向かって徐々に幅狭になる先細り形状で形成され、
先細り形状で形成された前記係止部が、前記帯状の長さ方向に複数配置された
請求項7に記載のハーネス取付け部材。
【請求項9】
前記外装体に、前記バンド体が挿通する挿通孔が設けられた
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項10】
一つの前記バンド体に対して前記挿通孔が複数設けられた
請求項9に記載のハーネス取付け部材。
【請求項11】
前記挿通孔が、前記長手方向の一端側から他端側に向かって異なる位置に配置されるとともに、
前記長手方向に隣り合う挿通孔は、前記交差方向における異なる側に配置された
請求項10に記載のハーネス取付け部材。
【請求項12】
前記外装体は、
前記交差方向の途中部分に設けられた折り曲げ部で前記交差方向に折り曲げられた
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項13】
所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスと、
前記第1ワイヤーハーネスに対して平行に配置される第2ワイヤーハーネスと、
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材とが備えられ、
前記長手方向に沿う前記外装体によって前記第2ワイヤーハーネスの少なくとも一部を外装するとともに、前記バンド体を前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回して前記バンド固定部で固定し、
前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを前記保持部材取付部に取り付けた前記保持部材で保持した
ワイヤーハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けるハーネス取付け部材及び第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスにハーネス取付け部材を取り付けたワイヤーハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワイヤーハーネスは、車両に搭載される電気機器類の種類や、電源を供給するバッテリーとの位置関係などを考慮して車両に配索されている。このワイヤーハーネスは、周辺に配置された他の部材との干渉を防止するために、例えば、ワイヤーハーネスを収納する開口を有するベース体と、開口を覆うカバーとで構成された外装部材に収納することがある(特許文献1参照)。
【0003】
近年、操作性や安全性の向上を目的とした様々な電気機器類がオプションとして車両に搭載されることがある。このため、車両に配索されるワイヤーハーネスとして、標準として搭載されるバッテリーなどの電気機器類同士を電気的に接続する第1ワイヤーハーネスに加え、オプション機器として追加される電気機器類とバッテリーなどとを接続する第2ワイヤーハーネスがある。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなプロテクタを用いて第2ワイヤーハーネスを保護するためには、開口を覆うカバーを取り外すなどの手間を要し、第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付ける取付作業が煩雑になるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述の問題を鑑み、容易に第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けることができるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを平行に取付けるハーネス取付け部材であって、長手方向に沿って前記第1ワイヤーハーネスの少なくとも一部に外装する外装体と、前記長手方向に交差する交差方向に該外装体から延出され、前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回す帯状のバンド体とが備えられ、前記外装体に、前記第2ワイヤーハーネスを配置するハーネス配置部と、前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを保持する保持部材を取付ける保持部材取付部と、前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回した前記バンド体を固定するバンド固定部とを有することを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスと、前記第1ワイヤーハーネスに対して平行に配置される第2ワイヤーハーネスと、上述のハーネス取付け部材とが備えられ、前記長手方向に沿う前記外装体によって前記第1ワイヤーハーネスの少なくとも一部を外装するとともに、前記バンド体を前記第1ワイヤーハーネスの外側に巻き回して前記バンド固定部で固定し、前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを前記保持部材取付部に取り付けた前記保持部材で保持したワイヤーハーネス配索構造である。
【0009】
前記平行とは、前記第1ワイヤーハーネスと前記第2ワイヤーハーネスとが平行の場合のみならず、略平行に配置されている場合を含む。すなわち、前記プロテクタに挿通された前記第1ワイヤーハーネスに沿うように前記第2ワイヤーハーネスが保持された状態をさす。
【0010】
前記バンド体は、前記外装体と一体構成された場合や、別体で構成された前記外装体とを溶着や接着などで固定し、一体に構成された場合を含む。なお、前記バンド体は、単数又は複数設けられていてよい。
前記バンド固定部は、バンド体を外装体に係止される構成や、バンド体を外装体に圧入するなどして嵌合する構成、接着剤などを用いた接着を含む。
【0011】
前記保持部材は、前記第2ワイヤーハーネスを前記保持部材取付部にテープ固定するためのテープや、前記保持部材取付部に対して係止あるいは嵌合などにより固定できる他の部材を含む。なお、他の部材は、前記外装体と一体あるいは別体で構成されていてもよい。
【0012】
この発明によると、バンド体で第1ワイヤーハーネスが固定された外装体に第2ワイヤーハーネスを配置し、保持部材取付部に対して第2ワイヤーハーネスを保持部材で保持させるだけで、第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けることができる。したがって、容易に第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けることができる。
【0013】
この発明の態様として、前記保持部材は、前記ハーネス配置部に配置した前記第2ワイヤーハーネスを前記ハーネス配置部とで挟み込む挟み込み体で構成され、前記挟み込み体が設けられてもよい。
前記挟み込み体は、例えば樹脂製の成型部材や樹脂製シート材で構成されている場合も含む。また、前記挟み込み体は、前記外装体と一体あるいは別体で構成されたものを含み、別体で構成された前記外装体とを溶着や接着などで固定し、一体に構成された場合を含む。
【0014】
この発明により、第2ワイヤーハーネスを外装体と挟み込み体とで囲むことができるため、第2ワイヤーハーネスを容易且つ確実に保持できるとともに、第2ワイヤーハーネスが挟み込み体の外部に配置された他の部材と干渉して損傷することを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記外装体及び前記挟み込み体とが樹脂製シート材で構成されていてもよい。
前記樹脂製シート材は、折り曲げが可能であれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂シート及び熱硬化性樹脂シートのいずれも含まれる。また、前記樹脂製シート材として、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。これにより、可撓性及び緩衝性に優れた前記ハーネス取付け部材とすることができ、装着性や加工性をより向上することができる。
【0016】
この発明によると、樹脂製シート材は、樹脂成型品に比べて、加工性に優れているため、外装体及び挟み込み体の生産性を向上できる。また、外装体を外装させたワイヤーハーネスや外装部材の軽量化を図ることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記挟み込み体と前記外装体とを枢動可能に連結するヒンジ部が設けられてもよい。
この発明により、前記第2ワイヤーハーネスをハーネス配置部と挟み込み体とで容易に挟み込むことができる。また、前記挟み込み体と前記外装体とが一体で構成されるため、部品点数を削減することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、挟み込み状態の前記外装体と前記挟み込み体とを固定する挟み込み固定部とが設けられてもよい。
この発明により、第2ワイヤーハーネスを確実に保持できるとともに、第2ワイヤーハーネスが意図せずに外装体から脱落することを防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記挟み込み固定部は、前記外装体及び前記挟み込み体において、挟み込み状態で対応する位置に設けられた切込みによって形成され、切込みによって形成された前記挟み込み固定部の少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成であってもよい。
【0020】
この発明によると、挟み込み固定部を挟み込み状態において、互いに対応する外装体及び挟み込み体の少なくとも一方を切込み形成するといった簡易な構造で外装体と挟み込み体とを固定できる。また、外装体と挟み込み体とを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記バンド体の先端側に、前記帯状の幅方向に突出する係止部が設けられ、前記バンド固定部は、挿通された前記バンド体の前記係止部が係止する被係止部であってもよい。
この発明により、簡易な構成で、より容易にバンド体を外装体に固定することができる。したがって、より容易に第1ワイヤーハーネスを外装体に固定できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記係止部は、前記バンド体の基端側から先端側に向かって徐々に幅狭になる先細り形状で形成され、先細り形状で形成された前記係止部が、前記帯状の長さ方向に複数配置されてもよい。
【0023】
この発明により、先細り形状で形成された係止部が被係止部に案内されるため、容易且つ確実に係止部を被係止部に係止させることができる。また、第1ワイヤーハーネスの外径に応じて、段階的に複数配置された係止部を被係止部に係止できる。したがって、第1ワイヤーハーネスに外装体を外装できるとともに、第1ワイヤーハーネスの位置ずれを防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記外装体に、前記バンド体が挿通する挿通孔が設けられてもよい。
前記挿通孔は、単数又は複数設けられている場合を含む。なお、前記挿通孔が複数設けられている場合には、挿通孔が幅方向及び長手方向の少なくとも一方に沿って複数設けられている場合を含む。
【0025】
この発明により、第1ワイヤーハーネスに巻き回したバンド体を挿通孔に挿通させ、第1ワイヤーハーネスの外側をバンド体でさらに巻き回すことができる。これにより、第1ワイヤーハーネスの外径に関係なく、確実に外装体を第1ワイヤーハーネスに外装できる。
【0026】
またこの発明の態様として、一つの前記バンド体に対して前記挿通孔が複数設けられてもよい。
前記挿通孔は、幅方向及び長手方向の少なくとも一方に沿って複数設けられている場合を含む。
【0027】
この発明により、バンド体を挿通させる挿通孔を適宜選択することができる。例えば、第1ワイヤーハーネスの外径に応じてバンド体を適切な挿通孔に挿通させて、バンド固定部に固定することができる。したがって、外装体に対して第1ワイヤーハーネスを確実に固定できるとともに、外装体に対する第1ワイヤーハーネスの位置ずれを防止できる。
【0028】
また、挿通孔が幅方向に沿って複数設けられている場合には、複数のワイヤーハーネスを外装体に組み付けることができる。これにより、ワイヤーハーネスの様々な設計に対応できる。また、外装体に対してワイヤーハーネスを後付けすることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記挿通孔が、前記長手方向の一端側から他端側に向かって異なる位置に配置されるとともに、前記長手方向に隣り合う挿通孔は、前記交差方向における異なる側に配置されてもよい。
【0030】
この発明によると、長手方向の一端側から他端側に向かって異なる位置に配置された挿通孔にバンド体を挿通させることで、第1ワイヤーハーネスに対してバンド体をらせん状に巻き回すことができる。これにより、長手方向に沿って第1ワイヤーハーネスを外装体に密着させて撓みを抑制することができる。したがって、第1ワイヤーハーネスを確実に保護できるとともに、第1ワイヤーハーネスの余長を短くすることができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記外装体は、前記交差方向の途中部分に設けられた折り曲げ部で前記交差方向に折り曲げられてもよい。
この発明によると、折り曲げ部で外装体を折り曲げることで、外装体に配置されたワイヤーハーネスを囲むことができるため、より確実にワイヤーハーネスを保護することができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明により、容易に第1ワイヤーハーネスに対して第2ワイヤーハーネスを取付けることができるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図5】ワイヤーハーネスに外装部材を外装する方法の説明図。
【
図8】他の実施形態における扉部を開いた状態の外装部材の平面図。
【
図9】他の実施形態における外装部材付ワイヤーハーネスの正面図。
【
図10】他の実施形態における外装部材付ワイヤーハーネスの正面図。
【
図11】他の実施形態における扉部を開いた状態の外装部材の平面図。
【
図12】他の実施形態における外装部材付ワイヤーハーネスの概略斜視図。
【
図13】他の実施形態における扉部を開いた状態の外装部材の平面図。
【
図14】他の実施形態における外装部材付ワイヤーハーネスの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図1はワイヤーハーネス配索構造1の概略斜視図を示し、
図2は扉部50が開いた状態での外装部材20の平面図を示し、
図3は扉部50が閉じた状態での外装部材20の平面図を示す。
図4は熱可塑性発泡樹脂シート材70(以下、シート材70とする。)の平面図を示す。
【0035】
図5はワイヤーハーネス10に外装部材20を外装する方法を説明する側面図を示し、
図6は扉部50と外装体30とを固定する固定方法を説明する挟み込み固定部21の拡大側面図を示す。
図7は外径の異なるワイヤーハーネス10に外装部材20を外装させたワイヤーハーネス配索構造1の説明図を示す。
【0036】
図5乃至
図7について詳述する。
図5(a)は、扉部50が開いた状態のワイヤーハーネス配索構造1の側面図を示し、
図5(b)は扉部50が閉じた状態のワイヤーハーネス配索構造1の側面図を示す。
図6(a)は外装体本体31に対して扉本体51を枢動させた状態の挟み込み固定部21の拡大側面図を示し、
図6(b)は扉本体51と外装体本体31とを固定する直前の挟み込み固定部21の拡大側面図を示し、
図6(c)は扉本体51と外装体本体31とを固定した後の挟み込み固定部21の拡大側面図を示す。
【0037】
図7(a)は外径の小さな第1ハーネス11に外装部材20を外装したワイヤーハーネス配索構造1の側面図を示し、
図7(b)は外径の大きな第1ハーネス11に外装部材20を外装したワイヤーハーネス配索構造1の正面図を示し、
図7(c)は外径の小さな第1ハーネス11に外装部材20を外装したワイヤーハーネス配索構造1の正面図を示す。
【0038】
ここで、
図1における上下方向を上下方向Zとし、ワイヤーハーネス10の延びる方向を長手方向Lとし、
図1における外装部材20の幅方向を幅方向Wとする。また、
図1における右手前側を右方Wrとし、左奥側を左方Wlとする。なお、長手方向Lと幅方向Wと上下方向Zはそれぞれ直交しているものとする。
【0039】
ワイヤーハーネス配索構造1は、
図1に示すように、長手方向Lに沿って配索されたワイヤーハーネス10の一部に外装される外装部材20とで構成されている。
ワイヤーハーネス10は、バッテリーなど、標準として車両に搭載されている電気機器類同士を電気的に接続する第1ハーネス11と、オプションとして搭載されるオプション機器と例えばバッテリーなどを電気的に接続する2本の第2ハーネス12とで構成されている。
【0040】
第1ハーネス11は、車両における所定の配索経路に沿って配索されている。この第1ハーネス11のうち、車両の搭載された他の部材の近傍に配索されている箇所には、例えば、外装部材20が外装されている。これにより、第1ハーネス11が他の部材と干渉して損傷することを防止している。
第2ハーネス12は、少なくとも外装部材20に外装された箇所において、第1ハーネス11と平行となるように配索されている。
【0041】
外装部材20は、可撓性及び弾性を有する保護部材であり、ワイヤーハーネス10の長手方向Lに沿った平板状の外装体30と、外装体30の左方Wlの端部から幅方向Wに向けて延出しているバンド体40と、外装体30とともに第2ハーネス12を保持する扉部50とで構成されている。
【0042】
外装体30は、
図2に示すように、平面視略長方形状の外装体本体31と、外装体本体31の長手方向Lの両端から長手方向Lに突出する電線保持部32とで一体に構成されている。
平面視略長方形状の外装体本体31は、後述するシート材70から型抜きした長方形状の薄い板材で構成されている。この外装体本体31の裏面は第1ハーネス11を配置する第1配置部311を構成し、外装体本体31の表面は第2ハーネス12を配置する第2配置部312を構成する。
【0043】
この外装体本体31の幅方向Wの一方側(左方Wl)には、帯状に構成された2本のバンド体40が幅方向Wに沿って延出する。また、外装体本体31の幅方向Wの他方側(右方Wr)には、板厚方向に貫通したバンド固定部33が2つ、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて設けられている。さらにまた、外装体本体31におけるバンド固定部33の間には、外装体本体31を切込むことで形成された本体側固定部34が設けられている。
なお、外装体本体31と電線保持部32の連結部分及び外装体本体31とバンド体40との連結部分には、溶着固定部60が形成されている。
【0044】
外装体本体31に設けられたバンド固定部33は、バンド体40を挿通させて係止固定できるように構成された貫通孔である。詳しくは、バンド固定部33は、外装体本体31の幅方向Wの端部よりも幅方向Wの内側において板厚方向に貫通する係止孔331と、外装体本体31の幅方向Wの外側と係止孔331とを連通する変形促進部332とで構成されている。
【0045】
係止孔331は、外装体本体31の板厚方向に外装体本体31を貫通する平面視略長方形状の貫通孔である。この係止孔331は、長手方向Lに沿った長辺が後述するバンド本体41の幅長(長手方向Lの長さ)と略同じ長さとなり、且つ、幅方向Wに沿った短辺がバンド本体41の板厚と略同じ長さとなるように構成されている。
【0046】
変形促進部332は、外装体本体31の板厚方向に外装体本体31を貫通する貫通孔であり、係止孔331の幅方向Wの外側に設けられている。そして、係止孔331の長手方向Lの中央部分と外装体本体31における幅方向Wの外側とを連通している。なお、変形促進部332の長手方向Lにおける長さは、係止孔331よりも短く構成されている。
【0047】
このように構成されたバンド固定部33は、バンド体40と対応する位置に設けられている。すなわち、バンド固定部33は、外装体本体31において、溶着固定部60の反対側の端部に設けられている。
【0048】
本体側固定部34は、
図2に示すように、外装体本体31における長手方向Lの中央部分において、外装体本体31の幅方向Wの他方側(右方Wr)を板厚方向に貫通するよう切込んで形成された、平面視略L字状の切目である。詳述すると、本体側固定部34は、幅方向Wの他方側(右方Wr)の端部から、幅方向Wに沿って切れ込まれた2本の本体第1切込み341と、本体第1切込み341における左方Wlの端部から長手方向Lの内側に向けて延出する本体第2切込み342とで構成されている。
【0049】
本体第1切込み341は、外装体本体31における幅方向Wの長さの4分の1程度の長さを有し、本体第2切込み342は、本体第1切込み341の半分程度の長さを有する。この本体第1切込み341と本体第2切込み342とで囲われた部分を本体中央係止片351とし、本体側固定部34、34の長手方向Lの外側部分を本体外側係止片352とする。
このように構成された本体側固定部34は、後述する扉部50に設けられた扉側固定部53とともに、扉部50と外装体30とを固定する挟み込み固定部21を構成している。
【0050】
電線保持部32は、外装体本体31の幅方向Wの中央部分から長手方向Lに沿って延出されている。なお、電線保持部32と外装体本体31との連結部分には、上述のように溶着固定部60が設けられている。
【0051】
バンド体40は、
図2に示すように、幅方向Wに延出するバンド本体41と、バンド本体41の先端側に設けられた複数の係止部42とで構成されている。
バンド本体41は帯状の平板であり、十分な可撓性を有している。なお、この外装体本体31と同じ板厚で構成されている。
【0052】
係止部42は、平面視略等脚台形状に構成され、平面視において、バンド本体41の幅方向(長手方向L)の両側に向けて一部分が突出している。詳しくは、係止部42は、平面視において、長手方向Lに沿った辺が互いに平行となるとともに、幅方向Wの外側(バンド本体41が外装体30と連結されている方向と反対方向)に向かうに伴って長手方向Lの内側に向けて傾斜する略等脚台形状に構成されている。なお、長手方向Lに沿って平行な2辺のうちの短辺の長さは、バンド本体41の幅長と同じである。
【0053】
すなわち、係止部42は、
図2に示すように、バンド本体41の基端側(バンド本体41が外装体30と連結されている側)から先端側に向かうに伴い徐々に幅狭になる先細り形状で形成されている。そして、係止部42は、基端側に向かうに伴いバンド本体41よりもバンド本体41の幅方向(長手方向L)に向けて突出している。
【0054】
このように構成された係止部42は、バンド本体41の長手方向(幅方向W)に沿って所定の間隔を隔てて3つ並んで配置されている。この3つ並んだ係止部42同士の間隔は、外装体本体31の板厚よりも長くなるように構成されている。
なお、3つ並んで配置された係止部42を、バンド本体41の先端から基端に向けて係止部42a,42b,42cとする。
【0055】
扉部50は、板状の扉本体51と、扉本体51を枢動自在に構成するヒンジ部52と、扉部50と外装体30とを固定する挟み込み固定部21を構成する扉側固定部53とで構成されている。
【0056】
扉本体51は外装体本体31と同様に、後述するシート材70から型抜きした切り抜いた平面視略長方形状の平板である。
ヒンジ部52は、
図2及び
図3に示すように、外装体本体31に対して扉本体51を枢動可能に構成されている。このヒンジ部52は、扉本体51と一体としてシート材70から切り抜き、ヒンジ部52の端部を外装体本体31に溶着固定することで、扉本体51と外装体本体31とを連結している。
【0057】
扉側固定部53は、
図2に示すように、扉本体51における長手方向Lの中央部分において、扉本体51の左方Wlの端部を板厚方向に貫通するよう切込んで形成された、平面視略L字状の切目である。
【0058】
詳述すると、扉側固定部53は、扉本体51の左方Wlの端部から、幅方向Wに沿って切れ込まれた2本の扉第1切込み531と、扉第1切込み531における右方Wrの端部から長手方向Lの外側に向けて延出する扉第2切込み532とで構成されている。なお、扉第1切込み531は、本体第1切込み341よりも長手方向Lの内側に配置されている。
【0059】
扉第1切込み531は、本体第1切込み341と同程度の長さを有し、扉第2切込み532は、本体第2切込み342と同程度の長さを有する。扉第1切込み531と扉第2切込み532とで囲われた部分を扉中央係止片541とし、扉中央係止片541,541の間の箇所を中央片542とする。
このように構成された扉側固定部53は、上述のように、外装体30に設けられた本体側固定部34とともに、扉部50と外装体30とを固定する挟み込み固定部21を構成している。
【0060】
このように構成された外装部材20は、折り曲げが可能な可撓性を有するとともに、弾性を有するシート材70から外装体本体31及び電線保持部32、バンド体40、扉部50に対応する型を型抜きし、型抜きした外装体本体31に対して電線保持部32及びバンド体40、扉部50を所望の位置に溶着することにより製造されている。
【0061】
以下、より詳しく説明する。
シート材70は、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された熱可塑性樹脂発泡シートであり、所定の剛性を有し、且つ、可撓性や弾性、熱可塑性を有する。また、シート状に構成されているため、加工性に優れている。さらにまた、外装部材20と同一形状の成型樹脂品(例えばポリプロピレン製)などと比べて軽量である。
【0062】
シート材70を構成する樹脂シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、外装部材20の設計の自由度を向上させ、また、外装部材20に外装されたワイヤーハーネス10への応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m3以上1000Kg/m3以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m3以上600Kg/m3以下がより好ましく、350Kg/m3以上550Kg/m3以下が特に好ましい。
【0063】
また、シート材70の厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、外装部材20に外装されたワイヤーハーネス10への応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。
【0064】
すなわち、シート材70(熱可塑性樹脂発泡シート)は、発泡層と発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、外装部材20の機械的強度が向上して、外装されるワイヤーハーネス10の保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0065】
また、シート材70の発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm3以上が好ましく、1000個/mm3以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm3以下を挙げることができる。
【0066】
上述のようなシート材70に対して、
図4に示すように、外装体本体31の外形に合わせた長方形状の型(本体型31A)と、電線保持部32の外形に合わせた長方形状の型(固定部型32A)と、バンド体40の外形に合わせた型(帯型40A)と、扉部50の外径に合わせた方(扉部型50A)をそれぞれ別個に型抜きする。
【0067】
そして、このように型抜きされた本体型31Aの所定の位置を板厚方向に貫通させてバンド固定部33,33を設けるとともに、バンド固定部33の間に切込みを入れて本体側固定部34を形成する。また、扉部型50Aにおける所望の位置に切込みを入れて、扉側固定部53を形成する。
【0068】
そして、本体型31Aの所望の位置に、固定部型32A及び帯型40A、扉部型50Aを重ねて配置させ、熱を加えることで本体型31Aに固定部型32A及び帯型40A、扉部型50Aを溶着固定する。これにより、外装体30とバンド体40と扉部50とが一体に構成された外装部材20を製造することができる。
【0069】
このように、外装部材20はシート材70から外装体本体31や電線保持部32、バンド体40、扉部50をそれぞれ別個に型抜きして溶着固定している。これにより、シート材70から外装部材20を型抜きした場合と比べて、シート材70の歩留まりを向上させることができ、生産性を向上させることができる。また、様々な外装部材20の形状を、ワイヤーハーネス10に対する配置箇所や配置形状に合わせて設計を変更できる。
【0070】
次に、このように製造された外装部材20を、第1ハーネス11及び第2ハーネス12に外装させる方法について、簡単に説明する。
はじめに、外装体本体31における第1配置部311の幅方向Wの中央部分に第1ハーネス11を配置し、第1ハーネス11と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めする。そして、外装体本体31の幅方向Wから延出するバンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回すとともに、バンド本体41の先端に設けられた係止部42をバンド固定部33に挿入して係止する。
【0071】
より詳しくは第1ハーネス11の外側に巻き回したバンド本体41の先端に設けられた係止部42(係止部42a)を係止孔331に挿入する。このとき、係止孔331の幅方向Wの外側に変形促進部332が設けられているため、係止部42aを係止孔331に挿入することで、係止孔331の長手方向L端部が係止部42aに押されて外装体本体31の裏側に向けて反って変形する。これにより、係止孔331に係止部42aを挿入することができる。
【0072】
そして、係止孔331に係止部42aが貫通することで係止孔331は元の形状に戻り、係止孔331にバンド本体41が挿通されるとともに、外装体本体31の裏面と係止部42とが係止する。これにより、第1ハーネス11に対して外装部材20を外装することができる(
図5(a)及び
図7(b)参照)。
【0073】
次に、2本の外装部材20を第2配置部312に配置し、外装部材20と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めして、外装部材20を電線保持部32に保持させる。そして、ヒンジ部52を枢動軸として扉本体51と第2配置部312(外装体本体31)とで外装部材20を挟み込むように扉部50を枢動させ、本体側固定部34と扉側固定部53とを固定する(
図5(b)参照)。
【0074】
本体側固定部34と扉側固定部53との固定について、
図6に基づいて説明する。
上述のように第2ハーネス12を第2配置部312に配置した状態で、扉本体51を枢動させ(
図6(a)参照)、扉本体51と外装体本体31とを重ね合わせる。この扉本体51と外装体本体31重ね合わせる際に、扉第1切込み531と扉第2切込み532とで囲われた扉中央係止片541,541を、扉部50側に湾曲させるとともに、本体第1切込み341と本体第2切込み342とで囲われた本体中央係止片351,351を、外装体30側に湾曲させる(
図6(b)参照)。
【0075】
そして、扉部50側に湾曲させた本体中央係止片351,351を、扉中央係止片541と中央片542の間に挿入させるとともに、外装体30側に湾曲させた扉中央係止片541,541を、本体中央係止片351と本体外側係止片352との間に挿入させる。
【0076】
ここで、外装体30及び扉部50は弾性を有するため、外装体本体31及び扉本体51を切込んで構成された本体側固定部34と扉側固定部53に復元力が作用する。このため、本体中央係止片351,351が、扉中央係止片541と中央片542に挟持され、扉中央係止片541,541が、本体中央係止片351と本体外側係止片352に挟持される。したがって、本体側固定部34と扉側固定部53とが係合し、第2ハーネス12を挟み込んだ挟み込み状態で、外装体30と扉部50を固定することができる。
【0077】
また、第1ハーネス11の外形が小さい場合、係止部42(42b)を係止孔331に挿通させることで、第1ハーネス11に外装部材20を確実に外装することができる(
図7(a)及び
図7(b)参照)。このように、段階的に係止部42を備えることで、外径の大きな第1ハーネス11(
図7(c)参照)や外径の小さな第1ハーネス11(
図7(b)参照)を適切に保持できる。したがって、様々な外径の第1ハーネス11に外装部材20を外装できる。
【0078】
このように外装部材20は、所定の配索経路に配索された第1ハーネス11に対して、第2ハーネス12を平行に取付けるものであって、長手方向Lに沿って第1ハーネス11の少なくとも一部に外装する外装体30と、幅方向Wに外装体30から延出され、第1ハーネス11の外側に巻き回す帯状のバンド体40とが備えられている。そして、この外装体30に、第2ハーネス12を配置する第2配置部312と、第2配置部312に配置した第2ハーネス12を保持する固定テープBを取付ける電線保持部32及び第2配置部312とで挟み込む扉部50、と、第1ハーネス11の外側に巻き回したバンド体40を固定するバンド固定部33とを有する。
【0079】
また、ワイヤーハーネス配索構造1は、所定の配索経路に配索された第1ハーネス11と、第1ハーネス11に対して略平行に配置される第2ハーネス12と、外装部材20とが備えられている。そして、長手方向Lに沿う外装体30によって第2ハーネス12の少なくとも一部を外装するとともに、バンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回してバンド固定部33で固定し、第2配置部312に配置した第2ハーネス12を電線保持部32に取り付けた固定テープBで保持する。
【0080】
これにより、バンド体40で第1ハーネス11が固定された外装体30に第2ハーネス12を配置して固定テープBで保持させるだけで、容易に第1ハーネス11に対して第2ハーネス12を取り付けられる。
【0081】
また、第2配置部312に配置した第2ハーネス12を、第2配置部312とで挟み込む扉部50が設けられていることにより、第2ハーネス12を外装体30と扉部50とで囲むことができる。このため、第2ハーネス12を容易且つ確実に保持できるとともに、第2ハーネス12が外部に配置された他の部材と干渉して損傷することを防止できる。
【0082】
さらにまた、外装体30及び扉部50とがシート材70で構成されている。このシート材70は、樹脂成型された場合に比べて、加工性に優れているとともに、軽量であるため、外装体30及び扉部50の生産性を向上できるとともに、ワイヤーハーネス10に外装体30を外装させたワイヤーハーネス配索構造1や外装部材20の軽量化を図ることができる。
【0083】
また、扉部50と外装体30とを枢動可能に連結するヒンジ部52が設けられていることにより、第2ハーネス12を第2配置部312と扉部50とで容易に挟み込むことができる。また、扉部50と外装体30とを一体で構成されるため、部品点数を削減することができる。
【0084】
さらにまた、挟み込み状態の外装体30と扉部50とを固定する挟み込み固定部21(本体側固定部34及び扉側固定部53)とが設けられていることにより、第2ハーネス12が意図せずに外装体30から脱落することを防止できる。
【0085】
さらにまた、本体側固定部34及び扉側固定部53は、外装体30及び扉部50において、挟み込み状態で対応する位置に設けられた切込みによって形成されている。そして、切込みによって形成された本体側固定部34及び扉側固定部53が弾性変形して、扉側固定部53及び本体側固定部34にそれぞれ係合して、挟み込み状態を固定するように構成されている。
【0086】
これにより、本体側固定部34及び扉側固定部53を挟み込み状態で対応する外装体30及び扉部50を切込み形成するといった簡易な構造で、外装体30と扉部50とを固定できる。また、外装体30と扉部50とを固定するために、他の部材を取付ける必要がないため、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0087】
また、バンド体40の先端側に、帯状の幅方向に突出する係止部42が設けられ、バンド固定部33は挿通されたバンド体40の係止部42が係止するように構成されていることにより、簡易な構成で、より容易にバンド体40を外装体30に固定することができる。このため、より簡易に第1ハーネス11を外装体30に固定できる。
【0088】
さらにまた、係止部42は、バンド体40の基端側から先端側に向かって徐々に幅狭になる先細り形状で形成され、先細り形状で形成された係止部42が、帯状の長さ方向に複数配置されているため、先細り形状で形成された係止部42がバンド固定部33に案内される。
【0089】
これにより、容易且つ確実に係止部42をバンド固定部33に係止させることができ、また、第1ハーネス11の外径に応じて、段階的に複数配置された係止部42をバンド固定部33に係止できる。したがって、第1ハーネス11に外装体30を外装できるとともに、第1ハーネス11の位置ずれを防止できる。
【0090】
また、外装部材20の構成はこれに限らず、他に様々な実施形態とすることもできる。例えば、外装部材20の他の実施形態である外装部材20x及び外装部材20xをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1xについて、
図8及び
図9に基づいて説明する。
【0091】
ここで、
図8は外装部材20xの平面図を示し、
図9は外装部材20xをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1xの正面図を示す。なお、
図5及び
図6において、
図1及び
図2と同一の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0092】
外装部材20xは、
図8に示すように、外装体30に対応する外装体30xと、バンド体40と、扉部50で構成されている。
外装体30xは、平面視略長方形状の外装体本体31xと電線保持部32とで構成されている。そして、外装体本体31xには、帯状のバンド体40が幅方向Wに沿って延出するとともに、複数のバンド固定部33及び本体側固定部34が設けられ、さらには、挿通孔36とが設けられている。
【0093】
挿通孔36は、1つのバンド体40に対して幅方向Wに沿って所定の間隔を隔てて2つ設けられている。すなわち、外装部材20xにおいては、2本のバンド体40に対応する計4つの挿通孔36が設けられている。
なお、幅方向Wに沿って並列配置された挿通孔36を、左方Wlから右方Wrの順で挿通孔36a、挿通孔36bとする。
【0094】
この挿通孔36は、外装体本体31xの板厚方向に貫通した長方形状の貫通孔である。詳しくは、長辺が長手方向Lに沿うとともに、短辺が幅方向Wに沿った長方形状の貫通孔であり、長辺の長さは、バンド本体41の幅方向から突出した係止部42の長辺と同じ長さで構成されている。また、短辺は、バンド本体41の板厚よりもわずかに長く構成されている。すなわち、挿通孔36はバンド体40を挿通可能に構成されている。
【0095】
次に、このように構成された外装部材20xをワイヤーハーネス10に外装する方法について簡単に説明する。
はじめに、外装部材20と同様に、外装体本体31における第1配置部311の幅方向Wの中央部分に第1ハーネス11を配置し、第1ハーネス11と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めする。
【0096】
次に、2本の外装部材20を第2配置部312に配置し、外装部材20と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めして、外装部材20を電線保持部32に保持させる。そして、ヒンジ部52を枢動軸として扉本体51と第2配置部312(外装体本体31)とで外装部材20を挟み込むように扉部50を枢動させ、挿通孔36と扉側固定部53とを固定する。
【0097】
そして、外装体本体31の幅方向Wから延出するバンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回すとともに、バンド体40を挿通孔36bに挿通させ、バンド体40の先端を第2配置部312側に引き出す。
【0098】
続いて、挿通孔36bから引き出されたバンド体40を、2本の第2ハーネス12の外側に巻き回すとともに、バンド体40の先端を挿通孔36aに挿入し、バンド体40を第1配置部311側に引き出す。そして、挿通孔36aから第1配置部311側に引き出されたバンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回すとともに、バンド本体41の先端に設けられた係止部42をバンド固定部33に挿入して係止する。
【0099】
このように外装部材20xは、第1ハーネス11及び第2ハーネス12をバンド体40で巻き回すことができ、外装体本体31と扉本体51とで第2ハーネス12を挟み込んで保護しながら挟持できるとともに、バンド体40で第1ハーネス11及び第2ハーネス12を固定することができる。これにより、外装体本体31に対して扉本体51が意図せずに開いたとしても、第2ハーネス12の脱落を確実に防止できる。
【0100】
このように構成された外装部材20xは、外装部材20と同様の構成を備えて、同様の効果を奏する。
また、外装体30に、バンド体40が挿通する挿通孔36が設けられていることにより、第1ハーネス11に巻き回したバンド体40を挿通孔36に挿通させ、第1ハーネス11の外側をバンド体40でさらに巻き回すことができる。これにより、確実に外装体30を第1ハーネス11に外装できる。
【0101】
さらにまた、外装部材20xは、一つのバンド体40に対して挿通孔36が複数設けられているため、バンド体40を挿通させる挿通孔36を、ワイヤーハーネス10の外径や本数に応じて、適宜選択することができる。例えば、
図9及び
図10(a)に示すように、第1ハーネス11の外径に応じてバンド体40を適切な挿通孔36に挿通させて、第1ハーネス11を外装体30に固定することができる。したがって、外装体30に対して第1ハーネス11を確実に固定し、位置ずれを防止できる。
【0102】
また、例えば
図10(b)に示すように、第1ハーネス11の外径や本数に応じて、複数本の第1ハーネス11(
図10(b)では第1ハーネス11a、第1ハーネス11bとする。)を第1配置部311に配置し、固定することができる。これにより、ワイヤーハーネス10の様々な設計に対応できるとともに、外装体30に対してワイヤーハーネス10を後付けすることができる。
【0103】
さらにまた、外装部材20の他の実施形態である外装部材20y及び外装部材20yをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1yについて、
図11及び
図12に基づいて説明する。
ここで、
図11は外装部材20yの平面図を示し、
図12は外装部材20yをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1yの正面図を示す。なお、
図11及び
図12において、
図1乃至
図10と同一の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0104】
外装部材20yは、
図11に示すように、外装体30に対応する外装体30yと、1つのバンド体40と、扉部50で構成されている。
外装体30yは、外装体本体31yと電線保持部32とで構成され、外装体本体31yには1つのバンド固定部33に加えて、2つの挿通孔36とが設けられている。
【0105】
外装体本体31yは、外装体本体31と同様に、シート材70から型抜きした長方形状の板状体であり、長手方向Lの両端には電線保持部32が溶着固定されている。また、幅方向Wの他端側(左方Wl)にはバンド体40が一つ溶着固定されている。なお、外装体本体31yに溶着固定されているバンド体40は、バンド体40の長手方向が、長手方向Lに対して傾斜する方向に沿うように溶着固定されている。
【0106】
また、外装体本体31yに設けられたバンド固定部33は、外装部材20とは異なり、溶着固定部60と対向する位置から外れた位置に設けられている。具体的には、平面視における外装体本体31yの中心点を対称軸Oとし、対称軸Oに対して点対称となる位置に溶着固定部60が設けられている。
【0107】
挿通孔36は、幅方向Wの両端、且つ、バンド体40とバンド固定部33との間において、長手方向Lに沿って等間隔に設けられている。なお、長手方向Lのバンド体40側にある挿通孔36を挿通孔36cとし、長手方向Lのバンド固定部33側にある挿通孔36を挿通孔36dとする
【0108】
次に、このように構成された外装部材20yをワイヤーハーネス10に外装する方法について簡単に説明する。
はじめに、外装部材20xと同様に、外装体本体31yにおける第1配置部311の幅方向Wの中央部分に第1ハーネス11を配置し、第1ハーネス11と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めする。
【0109】
次に、2本の外装部材20を第2配置部312に配置し、外装部材20と電線保持部32とを固定テープBでテープ止めして、外装部材20を電線保持部32に保持させる。そして、ヒンジ部52を枢動軸として扉本体51と第2配置部312(外装体本体31)とで外装部材20を挟み込むように扉部50を枢動させ、本体側固定部34と扉側固定部53とを固定する。
【0110】
続いて、外装体本体31yの幅方向Wから延出するバンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回すとともに、バンド体40を挿通孔36cに挿通させ、バンド体40の先端を第2配置部312側に引き出す。
【0111】
さらに、挿通孔36cから引き出されたバンド体40を、2本の第2ハーネス12を外装体本体31yと挟み込む扉部50の上面側に巻き回すとともに、バンド体40の先端を挿通孔36dに挿入し、バンド体40を第1配置部311側に引き出す。そして、挿通孔36dから第1配置部311側に引き出されたバンド体40を第1ハーネス11の外側に巻き回すとともに、バンド本体41の先端に設けられた係止部42をバンド固定部33に挿入して係止する。
【0112】
このように外装部材20yは、第2ハーネス12を外装体本体31yとともに挟み込む扉部50をバンド体40で巻き回すことができる。これにより、外装体本体31yと扉本体51とを固定する本体側固定部34と扉側固定部53とが意図せず解除されたとしても、外装体本体31yに対して扉本体51が開くことを防止できる。したがって、外装部材20yから第2ハーネス12が脱落することを確実に防止できる。
【0113】
さらにまた、外装部材20の他の実施形態である外装部材20z及び外装部材20zをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1zについて、
図11及び
図12に基づいて説明する。
ここで、
図11は外装部材20zの平面図を示し、
図12は外装部材20zをワイヤーハーネス10に外装させたワイヤーハーネス配索構造1zの正面図を示す。なお、
図11及び
図12において、
図1及び
図2、
図5及び
図6と同一の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0114】
ワイヤーハーネス配索構造1zは、
図11に示すように、外装体本体31zと、電線保持部32と、3本のバンド体40と、扉部50とで構成されている。そして外装体本体31zには、バンド体40に対応する2つのバンド固定部33が設けられている。
【0115】
さらにまた、外装体本体31zには、バンド固定部33の幅方向Wの内側に、長手方向Lに沿った折り曲げ部37が設けられている。この折り曲げ部37は、外装体本体31zの一部を上方(第2配置部312側)に向けて折り曲げることができるように構成されている。
【0116】
このように構成された外装部材20zは、
図11及び
図12に示すように、ワイヤーハーネス10を外装体本体31zの中央部分に配置するとともに、外装体本体31の幅方向Wの一端側を折り曲げ部37により、折り曲げることができる。
【0117】
この状態で、バンド体40をバンド固定部33に係止固定することで、ワイヤーハーネス10に外装部材20zを外装するとともに、ワイヤーハーネス10の側面及び底面を外装体本体31zで保護することができる。
【0118】
このように構成された外装部材20zは、外装部材20と同様の構成を備えて、同様の効果を奏する。
また、外装体30zは、幅方向Wの途中部分に設けられた折り曲げ部37で幅方向に折り曲げられている。これにより、折り曲げ部37で外装体本体31を折り曲げることで、外装体本体31に配置されたワイヤーハーネス10を囲むことができるため、より確実にワイヤーハーネス10を保護することができる。
【0119】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
第1ワイヤーハーネスは、第1ハーネス11に対応し、
以下同様に、
第2ワイヤーハーネスは、第2ハーネス12に対応し、
ハーネス取付け部材は、外装部材20,20x,20y,20zに対応し、
外装体は、外装体30,30x,30y,30zに対応し、
交差方向は、幅方向Wに対応し、
バンド体は、バンド体40に対応し、
ハーネス配置部は、第2配置部312に対応し、
保持部材は、固定テープBに対応し、
保持部材取付部は、電線保持部32及び扉部50に対応し、
バンド固定部は、バンド固定部33に対応し、
挟み込み体は、扉部50に対応し、
ヒンジ部は、ヒンジ部52に対応し、
挟み込み固定部は、挟み込み固定部21(本体側固定部34及び扉側固定部53)に対応し、
樹脂製シートは、シート材70に対応し、
係止部は、係止部42に対応し、
被係止部は、バンド固定部33に対応し、
挿通孔は、挿通孔36に対応し、
折り曲げ部は、折り曲げ部37に対応し、
ワイヤーハーネス配索構造は、ワイヤーハーネス配索構造1に対応するが、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0120】
例えば、本実施形態では、シート材70を、発泡状又は多孔質形状に成型され、熱可塑性を有するとともに、折り曲げが可能な合成樹脂発泡体で構成されているが、この構成に限らない。例えば、発泡状又は多孔質形状に成型され、熱硬化性を有するとともに、折り曲げが可能な合成樹脂発泡体で構成されてもよい。さらには、合成樹脂発泡体でなく、合成樹脂で構成されていてもよい。なお、シート材70は、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。
【0121】
また、本実施形態において、バンド固定部33は、バンド体40(係止部42)を外装体30に係止する構成としているが、例えば、バンド体40(係止部42)を外装体30に圧入するなどして嵌合する構成などとしてもよい。
【0122】
さらにまた、外装部材20は、別体で構成されたバンド体40及び扉部50と外装体30とが溶着により固定して一体に構成された構成としている。しかしながら、例えば、外装体30とバンド体40及び扉部50とを一枚のシート材70から一体として切り抜き、一体に構成された外装部材20としてもよいし、外装体30とバンド体40又は扉部50とを接着などの他の方法で固定してもよい。
なお、バンド体40は、複数のみならず単数でもよい。
【0123】
さらにまた、バンド固定部33及びバンド体40が設けられる方向が、幅方向Wの反対側である必要はなく、幅方向Wの一方側にバンド固定部33とバンド体40との両方を設けてもよい。さらには、一つのバンド体40に対してバンド固定部33を一つとする必要はなく、複数のバンド固定部33を設けてもよい。
【0124】
また、挿通孔36は、外装するワイヤーハーネス10に合わせてその数を適宜設計してもよい。また、挿通孔36が複数設けられている場合には、挿通孔36が少なくとも幅方向W及び長手方向Lの一方に沿って複数設けられてもよいし、ランダムに設けられてもよい。
【0125】
さらにまた、本実施形態では、バンド本体41に複数の係止部42を設けているが、係止部42は単数であってもよい。また、係止部42は平面視で等脚台形状に構成されているが、この形状に限らず、平面視で略二等辺三角形状や略直角三角形状、略直角台形など様々な形状とすることができる。
【0126】
また、本実施形態では、扉部50はヒンジ部52を介して外装体本体31と一体に構成されているが、例えば外装体本体31の幅方向W両端側と扉本体51とを嵌合あるいは係止などで固定する構成としてもよい。さらにまた、扉部50は、シート材70で構成されているが、例えばポリプロピレン樹脂などの樹脂成型部材で構成されてもよい。
【0127】
さらにまた、本実施形態では外装体本体31及び扉本体51の双方に切込みを入れて、本体側固定部34と扉側固定部53を設けているが、例えば外装体本体31又は扉本体51の一方にのみ切込みを入れる構成でもよい。また、外装体30と扉部50との固定構造は、切込みに限らず、例えば嵌合や係止により固定できる構造としてもよい。
【0128】
なお、上述の内容は、それぞれの態様のみ実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【符号の説明】
【0129】
1 ワイヤーハーネス配索構造
11 第1ハーネス
12 第2ハーネス
20 外装部材
21 挟み込み固定部
30 外装体
312 第2配置部
32 電線保持部
33 バンド固定部
34 本体側固定部
36 挿通孔
37 折り曲げ部
42 係止部
50 扉部
52 ヒンジ部
70 シート材
B 固定テープ