(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136777
(43)【公開日】2022-09-21
(54)【発明の名称】ソースの付着性向上剤、ソースの付着性向上方法、ソース付き食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20220913BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20220913BHJP
A23L 7/109 20160101ALN20220913BHJP
【FI】
A23L23/00
A23D9/00 518
A23L7/109
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036555
(22)【出願日】2021-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100196313
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 大輔
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 太一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】笠井 通雄
【テーマコード(参考)】
4B026
4B036
4B046
【Fターム(参考)】
4B026DC06
4B026DG01
4B026DG02
4B026DG04
4B026DH03
4B026DH05
4B026DK03
4B026DK10
4B026DP01
4B026DP03
4B036LE02
4B036LF03
4B036LH08
4B036LH13
4B036LK03
4B036LP01
4B046LA06
4B046LC20
4B046LE16
4B046LG11
4B046LG14
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP56
(57)【要約】
【課題】本発明は、パスタなどの食品にソースを付着させる際に、ソースの付着性を向上させるためのソースの付着性向上剤を提供することである。
【解決手段】油脂の含有量が80~100質量%であり、60~4000mPa・s(25℃)の粘度を有するソースの付着性向上剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂の含有量が80~100質量%であり、60~4000mPa・s(25℃)の粘度を有する、ソースの付着性向上剤。
【請求項2】
前記油脂が、融点15℃以下の植物性液状油を、油脂全量に対し50質量%以上含有する、請求項1に記載のソースの付着性向上剤。
【請求項3】
前記油脂が、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂を含有する、請求項1又は2に記載のソースの付着性向上剤。
【請求項4】
構成脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸である乳化剤を5~20質量%含有する、又は、構成脂肪酸の50質量%以上が飽和脂肪酸である乳化剤を0.1~20質量%含有する、請求項2又は3のソースの付着性向上剤。
【請求項5】
澱粉含有食品へのソースの付着性向上用である、請求項1~4のいずれかのソースの付着性向上剤。
【請求項6】
食品に、請求項1~5のいずれかのソースの付着性向上剤を塗布した後、該ソースの付着性向上剤が塗布された食品にソースを付着させることを含む、ソース付き食品の製造方法。
【請求項7】
ソース付き食品の製造において、食品にソースを付着させる前に、食品に請求項1~5のいずれかのソースの付着性向上剤を塗布する、ソースの付着性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソースの付着性向上剤、ソースの付着性向上方法、ソース付き食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭や店舗では、パスタなどの食品にソースを和えて提供することが行われており、そのためのソースが種々流通している。食品にソースを和える際、ソースが食品に十分に付着していることが、食品の外観や風味を良好にする点で重要である。
【0003】
例えば、特許文献1では、パスタへの付着性を向上したパスタソースの提案がされている。同文献は、乾燥固形分中、澱粉を35重量%以上、カルシウム0.05~1.1重量%、マグネシウムを0.001~0.25重量%含み、嵩比重が0.15~0.5g/ML、粒径が0.1~4mmである粒状澱粉組成物を0.7~7重量%含有するパスタソースを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパスタソースは、ソースの組成を工夫することにより食品への付着性を向上させようとするものである。しかし、このような方法によってソースの付着性を向上させる場合には、ソースが持つ本来の風味や食感を損なわないように、その組成や物性をソースに応じて個別に検討する必要がある。
本発明の課題は、ソースの付着性向上剤、ソースの付着性向上方法、及びソース付き食品の製造方法を提供することである。特に、種々のソースに汎用的に用いることができる手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の粘度を有する油脂組成物が、ソースの付着性の向上作用を有し、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の[1]~[7]を提供する。
[1]油脂の含有量が80~100質量%であり、60~4000mPa・s(25℃)の粘度を有する、ソースの付着性向上剤。
[2]前記油脂が、融点15℃以下の植物性液状油を、油脂全量に対し50質量%以上含有する、[1]に記載のソースの付着性向上剤。
[3]前記油脂が、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂を含有する、[1]又は[2]のソースの付着性向上剤。
[4]構成脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸である乳化剤を5~20質量%含有する、又は、構成脂肪酸の50質量%以上が飽和脂肪酸である乳化剤を0.1~20質量%含有する、[2]又は[3]のソースの付着性向上剤。
[5]澱粉含有食品へのソースの付着性向上用である、[1]~[4]のいずれかのソースの付着性向上剤。
[6]食品に、[1]~[5]のいずれかのソースの付着性向上剤を塗布した後、該ソースの付着性向上剤が塗布された食品にソースを付着させることを含む、ソース付き食品の製造方法。
[7]ソース付き食品の製造において、食品にソースを付着させる前に、食品に[1]~[5]のいずれかのソースの付着性向上剤を塗布する、ソースの付着性向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、食品へのソースの付着性を向上させることができる。また、本発明によれば、ソースが良好に付着したソース付き食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に例示説明する。なお、本発明の実施の形態において、A(数値)~B(数値)は、A以上B以下を意味する。また、以下で例示する好ましい態様やより好ましい態様等は、「好ましい」や「より好ましい」等の表現にかかわらず適宜相互に組み合わせて使用することができる。また、数値範囲の記載は例示であって、各範囲の上限と下限並びに実施例の数値とを適宜組み合わせた範囲も好ましく使用することができる。さらに、「含有する」又は「含む」等の用語は、「本質的になる」や「のみからなる」と読み替えてもよい。
【0010】
[ソースの付着性向上剤]
本発明において、「ソースの付着性向上剤」とは、ソースの食品への付着性を相対的に高める機能を持ち、当該機能を発揮させる目的で用いられる組成物(単一の原料からなるものを含む)をいう。
本発明のソースの付着性向上剤は、油脂を80~100質量%含み、好ましくは85~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%含む。
本発明のソースの付着性向上剤は、25℃で、60~4000mPa・sの粘度を有し、好ましくは60~2000mPa・s、さらに好ましくは60~1500mPa・s、より好ましくは60~1000mPa・s、ことさらに好ましくは60~500mPa・s、特に好ましくは60~200mPa・sの粘度を有する。
本発明において、粘度は、日本油化学会制定 基準油脂分析試験法(2.2.10.5-2013 粘度(ブルックフィールド法))に準拠して測定することができる。例えば、BM型粘度計を用い、回転開始後から1分後の粘度を用いることができる。なお、B形粘度計とデータ互換のある粘度計を用いて分析することもでき、例えば、東機産業株式会社製のTVB-10形粘度計、あるいはTVK-15型粘度計が挙げられる。
【0011】
本発明で用いる油脂として、ソースの付着性向上剤の粘度が前記範囲となるように、動植物油脂、グリセリンと脂肪酸から合成した油脂及びそれらの分別油、水素添加油、エステル交換油などを単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
動植物油脂としては、例えば、大豆油、なたね油、ハイオレイックなたね油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、コーン油、綿実油、米油、ゴマ油、エゴマ油、亜麻仁油、落花生油、グレープシード油、牛脂、乳脂、魚油、ヤシ油、パーム油、パーム核油などが挙げられる。
グリセリンと脂肪酸から合成した油脂としては、炭素数8~10の直鎖状飽和脂肪酸を含有する油脂、例えば中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などが挙げられる。
分別油としては、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パームミッドフラクションなどのパーム油の分別油が挙げられる。
水素添加油は、動植物油、動植物油の分別油の水素添加油の他、エステル交換油の水素添加油などが挙げられる。
エステル交換油としては、パーム油あるいはパーム油の分別油と他の液状油脂のエステル交換油、水素添加油と他の液状油脂のエステル交換油、あるいはMCTと植物油などとのエステル交換油を用いることができる。
【0012】
本発明で用いる油脂は、好ましくは、植物性液状油(25℃)を主体とすることができる。中でも、融点が、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは-15~10℃の範囲にある油脂を主体とすることができる。このような油脂として、菜種油、オリーブオイル、大豆油等が好ましく挙げられる。
例えば、前記植物性液状油を、油脂全量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%、ことさらに好ましくは80質量%以上用いることができる。
また、前記植物性液状油は、本発明のソースの付着性向上剤に対しても、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上用いることができる。
本発明の一の実施形態では、ソースの付着性向上剤は、前記植物性液状油を主体とし、必要に応じて、他の油脂、及び脂肪酸を構成に含む乳化剤から選択される成分を組み合わせることで、前記範囲の粘度に調整することができる。
他の油脂として、好ましくは、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂が挙げられる。このような油脂は、ソースの付着性向上剤の粘度を高める方向に作用する。
グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油やエステル交換油等の加工油脂が挙げられる。
また、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂として、植物性液状油の水素添加油(硬化油)を用いることもできる。前記水素添加油としては、部分水素添加油、及び/又は極度硬化油を用いることもできる。
油脂全量におけるグリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂の含有量は、飽和脂肪酸の含有割合などに応じて、前記粘度範囲となるように適宜調整すればよく、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1~30質量%、あるいは5~20質量%の間で調整すればよい。
また、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂は、本発明のソースの付着性向上剤に対しても、好ましくは0.5~50質量%、より好ましくは0.5~40質量%、さらに好ましくは0.5~30質量%とすることができる。
【0013】
例えば、複数の油脂を組み合わせる形態として、以下が好ましく挙げられる。
菜種油及びオリーブオイルから選ばれる油脂を油脂全量に対し60~99.5質量%、好ましくは70~99質量%、及びグリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂を、油脂全量に対し0.5~40質量%、好ましくは1~30質量%組み合わせる。
また、前記含有量の範囲は、ソースの付着性向上剤における含有量としても好ましい。
【0014】
また、さらに具体的な形態として、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂の種類に応じて、以下の形態をとることが挙げられる。
パーム油、パーム核油、ヤシ油から選ばれる油脂の低融点部を用いる場合には、油脂全量に対し、好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは20~30質量%;
植物性液状油の極度硬化油を用いる場合には、油脂全量に対し、好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは0.5~5質量%。
また、前記含有量の範囲は、ソースの付着性向上剤における含有量としても好ましい。
【0015】
また、油脂として、前述の植物性液状油(25℃)と他の油脂のエステル交換油を用いることも可能である。この場合の各油脂の種類の選択、混合比率については、適宜、前記複数の油脂を組み合わせる好ましい形態における各油脂の比率を参照することができる。
また、他の形態として、パーム油、パーム核油、ヤシ油から選ばれる油脂の低融点部を主体とし、ここに、必要に応じて前述の植物性液状油(25℃)を組み合わせてもよい。
この場合、パーム油、パーム核油、ヤシ油から選ばれる油脂の低融点部の含有量は、油脂全量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%、ことさらに好ましくは80質量%以上用いることができ、100質量%であってもよい。
このように、本発明においては、粘度を前記範囲に調整することができれば、その油脂構成は制限されるものではない。
【0016】
本発明のソースの付着性向上剤は、乳化剤を含む形態とすることもできる。
この場合において、乳化剤の種類及び量は、前述した範囲の粘度となるように適宜選択することができる。
乳化剤としては、好ましくは脂肪酸エステルを好ましく用いることができ、脂肪酸グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどを用いることができる。
乳化剤における構成脂肪酸の飽和脂肪酸の割合が高いと油脂の粘度上昇効果が高い。そのため、本発明のソースの付着性向上剤における脂肪酸エステルである乳化剤の使用量は、脂肪酸組成に応じて、以下のいずれかの形態が好ましく挙げられる。
構成脂肪酸の50質量%以上が不飽和脂肪酸である乳化剤を、好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは5~15質量%;
構成脂肪酸の50質量%以上が飽和脂肪酸である乳化剤を0.1~20質量%、好ましくは0.5~5質量%。
なお、粘度を前記範囲に調整し得る限りは、グリセリドを構成する脂肪酸の30質量%以上が飽和脂肪酸である油脂及び前記乳化剤を併用することも可能である。
【0017】
<その他の成分>
本発明のソースの付着性向上剤は、上記成分以外にも、食品に一般的に配合される原材料を使用することができる。具体的には、例えば、エタノール、pH調整剤、調味剤、着色料、香料、酸化防止剤、糖類、糖アルコール類、安定剤等を使用することができる。これらの成分の量は、前記範囲の粘度に調整され、かつ本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、ソースの付着性向上剤中に10質量%以下含有させることができ、好ましくは0~3質量%、より好ましくは0~1質量%含有させることができる。
【0018】
本発明のソースの付着性向上剤は、ソースを付着させようとする任意の食品に対し、ソースを付着させる前に、塗布(コーティング)して用いる。
すなわち、食品に対し、本発明のソースの付着性向上剤を塗布した後に、その上からソースを付着させる。
付着させる対象である食品は特に制限されないが、澱粉含有食品が好ましく挙げられる。澱粉含有食品として、そば、うどん、中華麺、パスタ等の麺類、及び、ご飯、チャーハン、カレーライス、丼物等の飯類が挙げられる。
また、中でも茹でたのち、ソースを和えて提供されるような麺類に好ましく用いることができる。
【0019】
ソースの付着性向上剤の塗布量は、食品100質量部に対して、0.1~7質量部となるように塗布することが好ましく、0.2~5.0質量部となるように塗布することがより好ましい。
【0020】
[食品へのソースの付着性向上方法]
本発明のソースの付着性向上方法は、食品にソースを付着させる前に、前述のソースの付着性向上剤を食品に塗布することを含む。即ち、本発明は、油脂を80~100質量%含み、かつ粘度が60~2000mPa・sの組成物を、食品に塗布する、ソースの付着性向上方法である。該組成物の好ましい形態は、本発明のソースの付着性向上剤の好ましい形態と同じである。
食品への塗布は、食品へソースを付着させる直前に行うことが好ましい。例えば、麺類においては、ゆで上げた直後であって、ソースで和える直前に行うことが好ましい。
【0021】
食品への本発明のソースの付着性向上剤の食品に塗布する方法は、特に限定するものではないが、浸漬、スプレー、和える等の方法がある。
【0022】
[ソース付き食品の製造方法]
本発明のソース付き食品の製造方法は、前述のソースの付着性向上方法を用いて、食品にソースを付着させることを含む。
具体的には、食品に前述のソースの付着性向上剤を塗布した後、その上からソースを付着させる。食品にソースを付着させる方法は、常法により行うことができ、食品の上からソースをかけて和える等の方法が挙げられる。
【実施例0023】
次に、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示す。
【0024】
[付着性向上剤]
表1~3の配合にて、各原料が溶解するまで加熱し、混合し、付着性向上剤1~10を得た。また、使用した原材料は以下の通りである。
付着性向上剤の粘度の測定、並びに以下の付着性の確認試験は、調製した付着性向上剤の測定条件における白濁の有無に関わらず、再度の加熱などはせずに行った。
菜種油(日清オイリオグループ株式会社製 精製キャノーラ油 商品名「日清キャノーラ油」、構成脂肪酸:パルミチン酸4質量%、ステアリン酸1.9質量%、オレイン酸61.4質量%、リノール酸19.9質量%、リノレン酸9質量%)
パームオレイン(日清オイリオグループ株式会社製 精製パームオレイン、ヨウ素価60、構成脂肪酸:パルミチン酸35質量%、ステアリン酸3.9質量%、オレイン酸45.5質量%、リノール酸11.5質量%)
オリーブオイル(日清オイリオグループ株式会社製 エキストラバージンオリーブオイル、構成脂肪酸:パルミチン酸10質量%、ステアリン酸3質量%、オレイン酸75質量%、リノール酸8.7質量%)
極度硬化油(菜種極度硬化油、構成脂肪酸:パルミチン酸5.4質量%、ステアリン酸91.2質量%)
有機酸モノグリセリド(太陽化学株式会社製 ジアセチル酒石酸モノステアリン酸グリセリン 商品名「サンソフト641D」、HLB9)
ポリグリセリンエステルA(阪本薬品工業株式会社製 商品名「THL-15」)
ポリグリセリンエステルB(三菱ケミカルフーズ株式会社製 デカグリセリンペンタオレイン酸エステル 商品名「リョートーポリグリエステルO-50D」:HLB 約7)
ポリグリセリンエステルC(デカグリセリンペンタオレイン酸エステル :HLB約7)
ポリグリセリンエステルD(ポリグリセリン脂肪酸エステル:ベヘン酸45%、ステアリン酸45%、オレイン酸6%、エステル化度84%)
ショ糖エステル(三菱ケミカルフーズ株式会社製 商品名「リョートーシュガーエステル POS-135」:HLB 約1、構成脂肪酸:オレイン酸約40質量%/パルミチン酸約30質量%/ステアリン酸約30質量%、モノエステル含量約0質量%)
【0025】
[粘度]
各付着性向上剤の25℃での粘度を、ブルックフィールド粘度計(BM型粘度計、東機産業株式会社製 商品名「VISCOMETER TVB-15」)にて、回転開始後から1分後の粘度を測定した。
【0026】
[試験1:参考パスタ]
乾麺(日清フーズ株式会社 商品名「マ・マー スパゲッティ 1.6mm」)100gを7分間茹で、その後、湯切り、冷水で冷却し、水をよく切り茹で麺を得た。茹で麺100質量部に対して、パスタソース(日清フーズ株式会社 商品名「マ・マー トマトの果肉たっぷりのナポリタン」)50質量部を加えて、混合し、参考パスタ(試験1)を得た。
【0027】
[試験2~11:油脂塗布パスタ]
乾麺(日清フーズ株式会社 商品名「マ・マー スパゲッティ 1.6mm」)100gを7分間茹で、その後、湯切り、冷水で冷却し、水をよく切り茹で麺を得た。茹で麺100質量部に対して、2質量部のソースの付着性向上剤1~10を添加・混合した。その後、茹で麺100質量部に対して、パスタソース(日清フーズ株式会社 商品名「マ・マー トマトの果肉たっぷりのナポリタン」)50質量部を加えて、混合し、ソースの付着性向上剤塗布パスタを得た(試験2~11)。
【0028】
[パスタの外観(ソースの付着性)]
各パスタ100gをトレーに盛り付け、20℃で静置した。静置により、パスタからソースが落ち、パスタのソースによる着色が減少する。静置3時間後の状態(パスタの色)を観察し、ソースの付着性をパスタの着色(ソースの残存量)として評価した。5人で合議の上、以下の判断基準で評価を行った。
(判断基準)
〇:試験1,2のパスタより色が濃い
(ソース残存量は試験1,2のパスタより多い)
△:試験1のパスタより色が濃く、試験2のパスタと同等の色
(ソース残存量は試験1のパスタより多く、試験2のパスタと同等)
×:試験1のパスタと同等の色
(ソース残存量は試験1のパスタと同等)
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
表1~3に示されたように、粘度が60mPa・s以上の付着性向上剤を用いた試験3,4、7、9~11は、いずれも、試験1、2に比べて、良好なソースの付着性を有していた。