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特開2022-137372ハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022137372
(43)【公開日】2022-09-22
(54)【発明の名称】ハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20220914BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20220914BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20220914BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 3/22 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 3/26 20060101ALI20220914BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20220914BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20220914BHJP
【FI】
H02G3/04 018
H02G3/04 062
F16B7/04 301G
F16B2/10 Z
F16B2/08 Z
F16L3/22 Z
F16L3/26
F16L57/00 A
B60R16/02 623D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021036869
(22)【出願日】2021-03-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大地
【テーマコード(参考)】
3H023
3H024
3J022
3J039
5G357
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC71
3H023AD21
3H023AD54
3H024AA04
3H024AB07
3H024AC03
3J022DA11
3J022EA33
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA04
3J022GA16
3J022GB23
3J022GB43
3J022GB45
3J039AA05
3J039BB01
3J039CA03
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD14
5G357DE02
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、取り付けられたワイヤーハーネスを保護できるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供すること。
【解決手段】第1ハーネスWH1に対して、第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10は、シート材50によって構成され、第1ハーネスWH1を配置する第1ハーネス配置部211及び第2ハーネスWH2を配置する第2ハーネス配置部212を有するベースシート20と、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の少なくとも一方をベースシート20とで挟み込むカバーシート30とが備えられ、ベースシート20とカバーシート30とを枢動可能に連結する第1ヒンジ部40と、挟み込み状態のベースシート20とカバーシート30とを固定する第1固定部11とが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを略平行に取り付けるハーネス取付け部材であって、
樹脂製シート材によって構成され、
前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部及び前記第2ワイヤーハーネスを配置する第2ハーネス配置部を有するベースシートと、
前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方を前記ベースシートとで挟み込むカバーシートとが備えられるとともに、
前記ベースシートと前記カバーシートとを枢動可能に連結するヒンジ部と、
挟み込み状態の前記ベースシートと前記カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられた
ハーネス取付け部材。
【請求項2】
前記カバーシートは、前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの一方を前記ベースシートとで挟み込み、
前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの他方を配置するハーネス配置部における長手方向の少なくとも片側に、他方のワイヤーハーネスを固定するハーネス固定部が設けられた
請求項1に記載のハーネス取付け部材。
【請求項3】
前記カバーシートは、前記第2ワイヤーハーネスとともに、前記第1ワイヤーハーネスを挟み込む構成である
請求項1に記載のハーネス取付け部材。
【請求項4】
前記挟み込み固定部は、
前記ベースシート及び前記カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置の切込みによって形成され、
少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項5】
前記カバーシートを第1カバーシート、前記ヒンジ部を第1ヒンジ部、前記挟み込み固定部を第1固定部として、前記第1ハーネス配置部に配置された前記第1ワイヤーハーネスを、前記第1ヒンジ部で枢動可能に連結された前記第1ハーネス配置部と前記第1カバーシートで挟み込んで、前記第1固定部で固定する構成とし、
前記第2ワイヤーハーネスを前記ベースシートとで挟み込む第2カバーシートが備えられるとともに、
前記ベースシートと前記第2カバーシートとを枢動可能に連結する第2ヒンジ部と、
挟み込み状態の前記第2ハーネス配置部と前記第2カバーシートとを固定する第2固定部が備えられ、
前記第2ハーネス配置部に配置された前記第2ワイヤーハーネスを、前記第2ヒンジ部で枢動可能に連結された前記第2ハーネス配置部と前記第2カバーシートで挟み込む構成とした
請求項1又は請求項2に記載のハーネス取付け部材。
【請求項6】
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とが、前記ベースシートにおいて、前記第1ワイヤーハーネスの長手方向と交差する交差方向に対向して配置された
請求項5に記載のハーネス取付け部材。
【請求項7】
前記第1ハーネス配置部及び前記第2ハーネス配置部は、前記ベースシートの両主面のうちの一方の主面に設けられ、
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は、
前記ベースシートの両主面のうち、前記第1ハーネス配置部及び前記第2ハーネス配置部が設けられた側の主面に向かって前記第1カバーシート及び前記第2カバーシートのそれぞれを枢動可能に構成された
請求項5又は請求項6に記載のハーネス取付け部材。
【請求項8】
前記ベースシートの両主面のうち、一方の主面に前記第1ハーネス配置部が設けられるとともに、他方の主面に前記第2ハーネス配置部が設けられ、
前記第1ヒンジ部は、
前記第1ハーネス配置部が設けられた一方の主面に向かって前記第1カバーシートを枢動可能に構成され、
前記第2ヒンジ部は、
前記第2ハーネス配置部が設けられた他方の主面に向かって前記第2カバーシートを枢動可能に構成された
請求項5又は請求項6に記載のハーネス取付け部材。
【請求項9】
前記挟み込み固定部は、
前記ベースシート及び前記第1カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である第1挟み込み固定部と、
前記ベースシート及び前記第2カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である第2挟み込み固定部とが設けられた
請求項5乃至請求項8のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項10】
所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを略平行に取り付けるハーネス取付け部材であって、
樹脂製シート材によって構成され、
前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部を有するベースシートと、
前記第1ワイヤーハーネスを前記ベースシートとで挟み込む第1カバーシートと、
前記ベースシートと前記第1カバーシートとを枢動可能に連結する第1ヒンジ部と、
前記第1カバーシートに配置された前記第2ワイヤーハーネス及び前記第1カバーシートを、前記ベースシートとで挟み込む第2カバーシートとが備えられ、
挟み込み状態の前記ベースシート又は前記第1カバーシートと前記第2カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられた
ハーネス取付け部材。
【請求項11】
前記ベースシートと前記第1カバーシートとを枢動可能に連結する第1ヒンジ部と、
前記ベースシートと前記第2カバーシートとを枢動可能に連結する第2ヒンジ部とが設けられた
請求項10に記載のハーネス取付け部材。
【請求項12】
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とが、前記ベースシートにおいて、前記第1ワイヤーハーネスの長手方向と交差する交差方向に対向して配置された
請求項11に記載のハーネス取付け部材。
【請求項13】
前記第2固定部は、
前記ベースシート及び前記第2カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である第2挟み込み固定部で構成された
請求項5乃至請求項8のうちいずれかに記載のハーネス取付け部材。
【請求項14】
所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスと、
前記第1ワイヤーハーネスに対して略平行に配置される第2ワイヤーハーネスと、
前記第1ワイヤーハーネスに対して前記第2ワイヤーハーネスを取り付けるハーネス取付け部材とが備えられ、
該ハーネス取付け部材は、
樹脂製シート材によって構成され、
前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部及び前記第2ワイヤーハーネスを配置する第2ハーネス配置部を有するベースシートと、
前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方を前記ベースシートとで挟み込むカバーシートとが備えられるとともに、
前記ベースシートと前記カバーシートとを枢動可能に連結するヒンジ部と、
挟み込み状態の前記ベースシートと前記カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられた
ワイヤーハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスに取り付けるハーネス取付け部材、及び、ワイヤーハーネスに前記ハーネス取付け部材を取り付けたワイヤーハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などに搭載されるワイヤーハーネスは、例えば、標準として搭載されるバッテリーと電気機器類を電気的に接続する第1ワイヤーハーネスと、オプション機器類として追加される電気機器類をバッテリーなどと接続する第2ワイヤーハーネスとで構成されることがある。
【0003】
この第2ワイヤーハーネスを第1ワイヤーハーネスに取り付ける構造の一例として、第2ワイヤーハーネスに装着したクランプのアンカー部分を嵌め込む嵌め込み部を設けた板状のハーネス取付け部材が特許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1によると、第1ワイヤーハーネスが取り付けられた板状のハーネス取付け部材の嵌め込み部にクランプを嵌め込むことで、第1ワイヤーハーネスに第2ワイヤーハーネスを取り付けることができるとされている。
【0005】
しかしながら、この特許文献1に開示のハーネス取付け部材は、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスが露出しているため、周辺に配置された他の部材と干渉して、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスが損傷するおそれがあった。そのため、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスを保護するために別途保護部材を装着する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-106501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題を鑑み、簡易な構造で、取り付けられたワイヤーハーネスを保護できるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを平行に取付けるハーネス取付け部材であって、樹脂製シート材によって構成され、前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部及び前記第2ワイヤーハーネスを配置する第2ハーネス配置部を有するベースシートと、前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方を前記ベースシートとで挟み込むカバーシートとが備えられるとともに、前記ベースシートと前記カバーシートとを枢動可能に連結するヒンジ部と、挟み込み状態の前記ベースシートと前記カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明の態様として、所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスと、前記第1ワイヤーハーネスに対して平行に配置される第2ワイヤーハーネスと、前記第1ワイヤーハーネスに対して前記第2ワイヤーハーネスを取り付けるハーネス取付け部材とが備えられ、該ハーネス取付け部材は、樹脂製シート材によって構成され、前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部及び前記第2ワイヤーハーネスを配置する第2ハーネス配置部を有するベースシートと、前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方を前記ベースシートとで挟み込むカバーシートとが備えられるとともに、前記ベースシートと前記カバーシートとを枢動可能に連結するヒンジ部と、挟み込み状態の前記ベースシートと前記カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられてもよい。
【0010】
前記平行とは、前記第1ワイヤーハーネスと前記第2ワイヤーハーネスとが平行に配置された場合のみならず、略平行に配置されている場合を含む。すなわち、前記プロテクタに挿通された前記第1ワイヤーハーネスに沿うように前記第2ワイヤーハーネスが保持された状態をさす。
【0011】
前記樹脂製シート材は、折り曲げが可能であれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂製シート材及び熱硬化性樹脂製シート材のいずれも含まれる。また、前記樹脂製シート材として、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。これにより、可撓性及び緩衝性に優れた前記ハーネス取付け部材とすることができ、装着性や加工性をより向上することができる。
【0012】
前記挟み込み固定部は、前記ベースシートと前記カバーシートとの少なくとも一部で、前記ベースシートと前記カバーシートとを固定できれば、その構成については特に限定されない。例えば、前記ベースシート及び前記カバーシートの少なくとも一方に入れた切込みを用いて互いに係止させる構成や、前記ベースシートと前記カバーシートとを圧入などにより嵌合固定させる構成などを含む。
【0013】
前記ベースシートと前記カバーシートとは一体構成された場合や、別体で構成された前記ベースシートと前記カバーシートとを溶着や接着などで固定し、一体に構成された場合を含む。また、前記カバーシートは、一つの前記ベースシートに対して単数又は複数設けられていてよい。
【0014】
この発明によると、ベースシートに対して枢動するカバーシートを設けるといった簡易な構造で、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方をベースシートとカバーシートとで挟み込むことができる。これにより、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとを平行に取り付けつつ、ハーネス取付け部材に取り付けられた第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方が、周辺に配置された他の部材と干渉して損傷することを防止できる。
【0015】
また、ベースシートとカバーシートとはヒンジ部を介して連結しているため、部品点数を削減できるとともに、対応する配置部に配置した第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの少なくとも一方を、ベースシートとカバーシートとで容易に挟み込むことができる。
【0016】
この発明の態様として、前記カバーシートは、前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの一方を前記ベースシートとで挟み込み、前記第1ワイヤーハーネス及び前記第2ワイヤーハーネスの他方を配置するハーネス配置部における長手方向の少なくとも片側に、他方のワイヤーハーネスを固定するハーネス固定部が設けられてもよい。
【0017】
この発明により、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの一方を、ベースシートとカバーシートとで挟み込んで固定するとともに、他方をハーネス固定部で固定できる。すなわち、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの双方をベースシートに固定できるため、前記第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの位置規制を確実に行うことができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記カバーシートは、前記第2ワイヤーハーネスとともに、前記第1ワイヤーハーネスを挟み込む構成であってもよい。
この発明により、簡易な構造で第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの外周をカバーシートとベースシートとで囲繞することができるため、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスが他の部材と干渉して損傷することを確実に防止できる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記挟み込み固定部は、前記ベースシート及び前記カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置の切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成であってもよい。
【0020】
上述の挟み込み状態で対応する位置の切込みとは、特にその構成に限定はなく、例えば、前記ベースシート及び前記カバーシートに双方に設けられた切込みを係止させる構成や、前記ベースシート及び前記カバーシートの一方に設けられたスリットに対して、他方に設けられた係止片を係止させる構成などを含む。
【0021】
この発明によると、互いに対応するベースシート及びカバーシートの少なくとも一方を切込み形成するといった簡易な構造で、挟み込み状態においてベースシートとカバーシートとを固定できる。また、ベースシートとカバーシートとを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記カバーシートを第1カバーシート、前記ヒンジ部を第1ヒンジ部、前記挟み込み固定部を第1固定部として、前記第1ハーネス配置部に配置された前記第1ワイヤーハーネスを、前記第1ヒンジ部で枢動可能に連結された前記第1ハーネス配置部と前記第1カバーシートで挟み込んで、前記第1固定部で固定する構成とし、前記第2ワイヤーハーネスを前記ベースシートとで挟み込む第2カバーシートが備えられるとともに、前記ベースシートと前記第2カバーシートとを枢動可能に連結する第2ヒンジ部と、挟み込み状態の前記第2ハーネス配置部と前記第2カバーシートとを固定する第2固定部が備えられ、前記第2ハーネス配置部に配置された前記第2ワイヤーハーネスを、前記第2ヒンジ部で枢動可能に連結された前記第2ハーネス配置部と前記第2カバーシートで挟み込む構成としてもよい。
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は、前記ベースシートにおける前記第1ワイヤーハーネスの長手方向と交差する交差方向の同じ側又は異なる側に配置された場合を含む。
【0023】
この発明により、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとを別々に挟み込んで保護することができるため、例えば第1固定部が意図せずに解除されたとしても、第2カバーシートで挟み込まれている第2ワイヤーハーネスの脱落を防止できる。また、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスを別々に挟み込むため、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとが互いに干渉することを防止できる。
【0024】
さらにまた、第1ワイヤーハーネスを第1カバーシートとベースシートとで挟み込んで保持できるため、例えば、第2ワイヤーハーネスを第2ハーネス配置部に配置する場合に、第1ワイヤーハーネスがベースシートから脱落することを防止できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とが、前記ベースシートにおいて、前記第1ワイヤーハーネスの長手方向と交差する交差方向に対向して配置されてもよい。
上述の対向とは、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とが前記長手方向における同じ位置に設けられている場合の他、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部とが前記長手方向における異なる位置に設けられている場合を含む。
【0026】
この発明により、第2ハーネス配置部に対する第2ワイヤーハーネスの配置を第1ワイヤーハーネスに妨げられることなく第2ワイヤーハーネスを配置し、固定できる。したがって、第2ワイヤーハーネスの取り付け作業を効率化できる。
【0027】
また、第1ヒンジ部及び第2ヒンジ部がベースシートにおける交差方向の端部に設けられた場合には、ベースシートと第1カバーシートと第2カバーシートとを一枚の樹脂製シート材で構成することができるため、ハーネス取付け部材の製造をより簡易化できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記第1ハーネス配置部及び前記第2ハーネス配置部は、前記ベースシートの両主面のうちの一方の主面に設けられ、前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部は、前記第1ハーネス配置部及び前記第2ハーネス配置部が設けられた側の主面に向かって前記第1カバーシート及び前記第2カバーシートのそれぞれを枢動可能に構成されてもよい。
この発明によると、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとが、ベースシートにおける一方の主面にそれぞれ配置されるため、主面の法線方向に対するコンパクト化を図ることができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記ベースシートの両主面のうち、一方の主面に前記第1ハーネス配置部が設けられるとともに、他方の主面に前記第2ハーネス配置部が設けられ、前記第1ヒンジ部は、前記第1ハーネス配置部が設けられた一方の主面に向かって前記第1カバーシートを枢動可能に構成され、前記第2ヒンジ部は、前記第2ハーネス配置部が設けられた他方の主面に向かって前記第2カバーシートを枢動可能に構成されてもよい。
【0030】
この発明によると、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとが、ベースシートにおける異なる主面にそれぞれ配置されるため、ベースシートにおける幅方向のコンパクト化を図ることができる。
また、第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスとが、ベースシートにおける異なる主面にそれぞれ配置されるため、例えば、第2ワイヤーハーネスを取り付ける場合に、誤って第1固定部を解除することを防止できる。さらには、第1ワイヤーハーネス及び第2ワイヤーハーネスの一方が他方の取り付けを妨げることなく、より他方の取り付け作業を効率化することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記第1固定部は、前記ベースシート及び前記第1カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である第1挟み込み固定部で構成され、前記第2固定部は、前記ベースシート及び前記第2カバーシートにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である第2挟み込み固定部で構成されてもよい。
【0032】
この発明によると、互いに対応する第1カバーシート及び第2カバーシートとベースシートとの少なくとも一方を切込み形成するといった簡易な構造で、第1カバーシート及び第2カバーシートをベースシートに固定できる。また、第1カバーシート及び第2カバーシートとベースシートとを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0033】
またこの発明は、所定の配索経路に配索された第1ワイヤーハーネスに対して、第2ワイヤーハーネスを略平行に取り付けるハーネス取付け部材であって、樹脂製シート材によって構成され、前記第1ワイヤーハーネスを配置する第1ハーネス配置部を有するベースシートと、前記第1ワイヤーハーネスを前記ベースシートとで挟み込む第1カバーシートと、前記ベースシートと前記第1カバーシートとを枢動可能に連結する第1ヒンジ部と、前記第1カバーシートに配置された前記第2ワイヤーハーネス及び前記第1カバーシートを、前記ベースシートとで挟み込む第2カバーシートとが備えられ、挟み込み状態の前記ベースシートと前記第2カバーシートとを固定する挟み込み固定部とが設けられてもよい。
前記第2カバーシートは、前記ベースシートと一体又は別体で構成されている場合を含む。
【0034】
この発明によると、第2固定部を固定するだけで、第1カバーシート及び第2カバーシートとベースシートとで挟み込んだ第1ワイヤーハーネスと第2ワイヤーハーネスを保持することができる。したがって、取り付け作業を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明により、簡易な構造で、取り付けられたワイヤーハーネスを保護できるハーネス取付け部材及びワイヤーハーネス配索構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】ワイヤーハーネス配索構造の概略斜視図。
図2】カバーシートを展開した状態でのワイヤーハーネス配索構造の概略斜視図。
図3】ハーネス取付け部材の展開平面図。
図4】樹脂製シート材の平面図。
図5】第1ハーネスに第2ハーネスを取り付ける方法の説明図。
図6】カバーシートとベースシートとの固定の説明図。
図7】他の実施形態におけるワイヤーハーネス配索構造の概略斜視図。
図8】他の実施形態におけるハーネス取付け部材の展開平面図。
図9】他の実施形態における第1ハーネスに第2ハーネスを取り付ける方法の説明図。
図10】他の実施形態における第1ハーネスに第2ハーネスを取り付ける別の方法の説明図。
図11】他の実施形態におけるハーネス取付け部材の展開平面図。
図12】他の実施形態における第1ハーネスに第2ハーネスを取り付ける方法の説明図。
図13】他の実施形態におけるワイヤーハーネス配索構造の平面図及び正面図。
図14】他の実施形態におけるハーネス取付け部材の展開平面図。
図15】他の実施形態における第1ハーネスに第2ハーネスを取り付ける方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態のワイヤーハーネス配索構造1及びハーネス取付け部材10について、図1乃至図6とともに説明する。
【0038】
図1はワイヤーハーネス配索構造1の概略斜視図を示し、図2はカバーシート30を展開した状態でのワイヤーハーネス配索構造1の概略斜視図を示す。図3はハーネス取付け部材10の展開平面図を示し、図4は取付け部材型10Aを型抜きする熱可塑性樹脂発泡シート材50(以下、シート材50とする。)の平面図を示す。図5は第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける方法を説明する概略正面図を示し、図6はカバーシート30とベースシート20との固定を説明する概略拡大側面図を示す。
【0039】
図5及び図6について詳述する。
図5(a)は第1ハーネスWH1が固定されたベースシート20に第2ハーネスWH2を配置した状態の概略正面図を示し、図5(b)はベースシート20に対してカバーシート30を枢動した状態の概略正面図を示し、図5(c)はベースシート20とカバーシート30と固定させた状態の概略正面図を示す。
【0040】
図6はハーネス取付け部材10に2つ設けられた第1固定部11の一方を拡大表示した概略拡大側面図を示す。図6(a)はベースシート20に対してカバーシート30を枢動させた状態の第1固定部11の概略拡大側面図を示し、図6(b)はベースシート20とカバーシート30とを固定する直前の第1固定部11の概略拡大側面図を示し、図6(c)はベースシート20とカバーシート30とを固定した後の第1固定部11の概略拡大側面図を示す。
【0041】
ここで、図1における上下方向を上下方向Zとし、第1ハーネスWH1の延びる方向を長手方向Lとする。また、図1におけるハーネス取付け部材10の短手方向を幅方向Wとする。なお、長手方向Lと幅方向Wと上下方向Zはそれぞれ直交しているものとする。
【0042】
ワイヤーハーネス配索構造1は、図1に示すように、第1ハーネスWH1と、第2ハーネスWH2と、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10とで構成されている。
第1ハーネスWH1は、バッテリーなど、標準として車両に搭載されている電気機器類同士を電気的に接続しており、車両における所定の配索経路に沿って配索されている。
【0043】
第2ハーネスWH2は、オプションとして搭載されるオプション機器と例えばバッテリーなど標準として搭載されている電気機器類を電気的に接続する電線束であり、オプション機器が搭載される場合に、車両に配索される。なお、第2ハーネスWH2は、少なくとも第1ハーネスWH1がハーネス取付け部材10に取り付けられた箇所において、第1ハーネスWH1と平行となるように配索されている。
【0044】
ハーネス取付け部材10は、発泡状に成型された合成樹脂発泡体で構成されたシート材50で構成されている。このハーネス取付け部材10は、図1乃至図3に示すように、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を配置するベースシート20と、ベースシート20とで第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を挟み込むカバーシート30と、ベースシート20とカバーシート30とを枢動可能に連結する第1ヒンジ部40とで一体に構成されている。
【0045】
ベースシート20は、図2及び図3に示すように、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を配置するベース本体21と、ベース本体21の幅方向Wにおける両側の端部近傍から長手方向Lに沿って延出するハーネス固定部22とで一体に構成されている。
【0046】
ベース本体21は、平面視略長方形状をした板状体であり、幅方向Wの一方側の端部は第1ヒンジ部40と連結しており、幅方向Wの他方側の端部にはカバーシート30を固定する一対の第1ベース側固定部23,23が2組設けられている。
【0047】
このベース本体21の主面のうちの一方(表面21a)には、第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置する第1ハーネス配置部211と、第2ハーネスWH2を長手方向Lに沿って配置する第2ハーネス配置部212とを有する。
なお、第1ハーネス配置部211は、第2ハーネス配置部212の幅方向Wの一方側に配置されている。
【0048】
第1ベース側固定部23は、図2及び図3に示すように、ベース本体21の幅方向Wの他方側をベース本体21の板厚方向に貫通するよう切込んで形成された、平面視略L字状の切目であり、一対の第1ベース側固定部23,23同士は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて対向するように設けられている。
【0049】
詳述すると、第1ベース側固定部23は、幅方向Wの他方側の端部から、幅方向Wに沿って切れ込まれた2本の第1ベーススリット231と、第1ベーススリット231における幅方向Wの一方側の端部から長手方向Lの内側に向けて延出する第2ベーススリット232とで構成されている。
【0050】
すなわち、一対の第1ベース側固定部23,23は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて対向する第1ベーススリット231,231と、互いに近接するように第1ベーススリット231,231の幅方向Wの一端から延出する第2ベーススリット232,232とで構成されている。なお、第1ベーススリット231は、ベース本体21における幅方向Wの長さの6分の1程度の長さを有し、第2ベーススリット232は、第1ベーススリット231と同程度の長さを有する。
【0051】
この第1ベーススリット231と第2ベーススリット232とで囲われた部分を第1ベース中央係止片241とし、第1ベーススリット231,231の長手方向Lの外側部分を第1ベース外側係止片242とする。
このように構成された一対の第1ベース側固定部23,23は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて2組設けられている。
【0052】
ハーネス固定部22は、ベース本体21における幅方向Wの両端部分、詳しくは第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212に対応する箇所から長手方向Lに沿って延出する、平面視略長方形状の平板である。
【0053】
カバーシート30は、平面視略長方形状の平板であるカバー本体31で構成されている。このカバー本体31は、ベース本体21と略同形状をしており、展開状態において、幅方向Wの他方側が第1ヒンジ部40と連結している。幅方向Wの一方側には、ベースシート20とカバーシート30とを固定する第1固定部11を構成する一対のカバー側固定部32,32が2つ設けられている。
【0054】
カバー側固定部32は、図2及び3に示すように、ベースシート20に対してカバーシート30を幅方向Wの一方側に配置させた展開状態において、カバー本体31の幅方向Wの一方側をカバー本体31の板厚方向に貫通するよう切込んで形成された、平面視略L字状の切目である。一対のカバー側固定部32,32同士は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて対向するように設けられている。
【0055】
詳述すると、カバー側固定部32は、幅方向Wの一方側の端部から、幅方向Wに沿って切れ込まれた2本の第1カバースリット321と、第1カバースリット321における幅方向Wの他方側の端部から長手方向Lの外側に向けて延出する第2カバースリット322とで構成されている。
【0056】
すなわち、一対のカバー側固定部32,32は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて対向する第1カバースリット321,321と、互いに近接するように第1カバースリット321,321の幅方向Wの他端から延出する第2カバースリット322,322とで構成されている。なお、第1カバースリット321及び第2カバースリット322は、第1ベーススリット231及び第2ベーススリット232と同じ長さを有する。
【0057】
この第1カバースリット321と第2カバースリット322とで囲われた部分を第1カバー外側係止片331とし、第1カバースリット321,321の長手方向Lの内側部分を第1カバー内側係止片332とする。
【0058】
このように構成された一対のカバー側固定部32,32は、第1ベース側固定部23,23と対向するように配置されている。すなわち、一対のカバー側固定部32,32は、長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて2組設けられている。なお、第1カバースリット321は、第1ベーススリット231よりも長手方向Lの内側に配置されている。
【0059】
この一対のカバー側固定部32,32は、ベースシート20とカバーシート30とを重ね合わせた状態で、第1ベース側固定部23,23と対向配置され、第1ベース側固定部23,23とカバー側固定部32,32とを係止することでベースシート20とカバーシート30とを固定する第1固定部11を構成する(図1参照)。
【0060】
第1ヒンジ部40は、ベースシート20とカバーシート30とを連結するとともに、展開状態におけるカバーシート30を表面21aに向けて枢動できるように構成されている。
【0061】
このように構成されたハーネス取付け部材10は、折り曲げが可能な可撓性を有するとともに、弾性を有するシート材50からベースシート20及びカバーシート30、第1ヒンジ部40に対応する型(取付け部材型10A)を型抜きし、第1ベース側固定部23,23及びカバー側固定部32,32に対応する箇所に切込みを入れることで製造されている(図4参照)。
【0062】
なお、取付け部材型10Aは、型抜きすることでベース本体21及びハーネス固定部22となるベース本体型20Aと、型抜きすることでカバー本体31となるカバー型30Aと、型抜きすることで第1ヒンジ部40となるヒンジ型40Aで構成されている。
【0063】
以下、シート材50についてより詳しく説明する。
シート材50は、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された熱可塑性樹脂発泡シートであり、所定の剛性を有し、且つ、可撓性や弾性、熱可塑性を有する。また、シート状に構成されているため、加工性に優れている。さらにまた、樹脂成型により成型されたハーネス取付け部材10と同一形状の成型樹脂品(例えばポリプロピレン製)などと比べて軽量である。
【0064】
シート材50を構成する樹脂シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、ハーネス取付け部材10の設計の自由度を向上させ、また、ハーネス取付け部材10に取り付けられた第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2への応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m以上1000Kg/m以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m以上600Kg/m以下がより好ましく、350Kg/m以上550Kg/m以下が特に好ましい。
【0065】
また、シート材50の厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、ハーネス取付け部材10に取り付けられた第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2への応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。
【0066】
すなわち、シート材50は、発泡層と発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、ハーネス取付け部材10の機械的強度が向上して、外装される第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0067】
また、シート材50の発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm以上が好ましく、1000個/mm以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm以下を挙げることができる。
【0068】
次に、ハーネス取付け部材10を用いて第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける取付方法について、図5及び図6に基づいて、簡単に説明する。
まず、シート材50から取付け部材型10Aを型抜きするとともに、第1ベース側固定部23,23及びカバー側固定部32,32に対応する箇所に切れ目(第1ベーススリット231、第2ベーススリット232、第1カバースリット321、第2カバースリット322)をベース本体型20A及びカバー型30Aに入れ、ハーネス取付け部材10を製造する。
【0069】
次に、第1ハーネス配置部211に第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置するとともに、テープBを用いて第1ハーネスWH1をハーネス固定部22にテープ固定する。そして、テープ固定された第1ハーネスWH1と平行となるように第2ハーネスWH2を第2ハーネス配置部212に配置し、テープBを用いて第2ハーネスWH2をハーネス固定部22にテープ固定する(図5(a)及び図5(b)参照)。
【0070】
続いて、カバー本体31がベース本体21と対向するようにベースシート20に対してカバーシート30を枢動させ、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とを固定する。これにより、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付けた状態で第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2をベース本体21とカバー本体31とで挟み込んで固定しつつ、保護することができる(図5(b)及び図5(c)参照)。
【0071】
第1固定部11によるベースシート20とカバーシート30の固定について、図6に基づいて説明する。
上述のように第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212に配置した状態で、カバー本体31を枢動させ(図6(a)参照)、カバー本体31とベース本体21とで第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を挟み込む。
【0072】
このカバー本体31とベース本体21とで第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を挟み込む際に、第1カバースリット321と第2カバースリット322とで囲われた第1カバー外側係止片331,331をベースシート20側に湾曲させるとともに、第1ベーススリット231と第2ベーススリット232とで囲われた第1ベース中央係止片241,241をカバーシート30側に湾曲させる(図6(b)参照)。
【0073】
そして、カバーシート30側に湾曲させた第1ベース中央係止片241,241を第1カバー外側係止片331と第1カバー内側係止片332の間に挿入させるとともに、ベースシート20側に湾曲させた第1カバー外側係止片331,331を第1ベース中央係止片241と第1ベース外側係止片242との間に挿入させる。
【0074】
ここで、シート材50で構成されたベースシート20及びカバーシート30は、弾性を有するため、湾曲させた第1ベーススリット231,231や第1カバー外側係止片331,331などに復元力が作用する。具体的には、第1カバー外側係止片331に作用する復元力により、第1ベース中央係止片241,241が第1カバー外側係止片331と第1カバー内側係止片332に挟持されることとなる。また、第1ベース中央係止片241に作用する復元力により、第1カバー外側係止片331,331が第1ベース中央係止片241と第1ベース外側係止片242に挟持される。したがって、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とが係合し、第2ハーネスWH2を挟み込んだ挟み込み状態で、ベースシート20とカバーシート30を固定することができる。
【0075】
このように、所定の配索経路に配索された第1ハーネスWH1に対して、第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10は、シート材50によって構成されている。またハーネス取付け部材10は、第1ハーネスWH1を配置する第1ハーネス配置部211及び第2ハーネスWH2を配置する第2ハーネス配置部212を有するベースシート20と、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の少なくとも一方をベースシート20とで挟み込むカバーシート30とが備えられている。そして、ベースシート20とカバーシート30とを枢動可能に連結する第1ヒンジ部40と、挟み込み状態のベースシート20とカバーシート30とを固定する第1固定部11とが設けられている。
【0076】
また、ワイヤーハーネス配索構造1は、所定の配索経路に配索された第1ハーネスWH1と、第1ハーネスWH1に対して平行に配置される第2ハーネスWH2と、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付けるハーネス取付け部材10とが備えられ、ハーネス取付け部材10を介して第2ハーネスWH2を第1ハーネスWH1に取り付けられている。
【0077】
このハーネス取付け部材10によると、ベースシート20に対して枢動するカバーシート30を設けるといった簡易な構造で、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の少なくとも一方をベースシート20とカバーシート30とで挟み込むことができる。これにより、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とを平行に取り付けつつ、ハーネス取付け部材10に取り付けられた第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の少なくとも一方が、周辺に配置された他の部材と干渉して損傷することを防止できる。
【0078】
また、ベースシート20とカバーシート30とは第1ヒンジ部40を介して連結しているため、部品点数を削減できるとともに、対応する配置部に配置した第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の少なくとも一方を、ベースシート20とカバーシート30とで容易に挟み込むことができる。
【0079】
また、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を配置する第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212における長手方向Lに、第1ハーネスWH1を固定するハーネス固定部22が設けられている。
【0080】
これにより、例えば、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の一方をベースシート20とカバーシート30とで挟み込んで固定しつつ、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の他方をハーネス固定部22で固定することができる。
【0081】
すなわち、ベースシート20とカバーシート30で第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2双方を挟み込まない場合であっても、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の双方をベースシート20に固定できるため、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の位置規制を確実に行うことができる。
【0082】
さらにまた、カバーシート30は、第2ハーネスWH2とともに、第1ハーネスWH1を挟み込むことにより、簡易な構造で第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2の外周をカバーシート30とベースシート20とで囲繞することができる。したがって、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2が他の部材と干渉して損傷することを確実に防止できる。
【0083】
また、第1固定部11(第1ベース側固定部23及びカバー側固定部32)は、ベースシート20及びカバーシート30において、挟み込み状態で対応する位置の切込みによって形成され、一方が弾性変形して他方に係合して、ベースシート20とカバーシート30との挟み込み状態を固定する構成である。
【0084】
これにより、ベースシート20とカバーシート30による挟み込み状態において、互いに対応するベースシート20及びカバーシート30に対して切込みを入れて形成されただけの第1ベース側固定部23及びカバー側固定部32といった簡易な構造で、ベースシート20とカバーシート30とを固定できる。また、ベースシート20とカバーシート30とを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0085】
また、実施形態1では、ベース本体21とカバー本体31とで第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とを一体に挟み込んで固定しているが、必ずしもこの構成とする必要はない。例えば、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とを別々に挟み込んでも構わない。以下、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2を別々に挟み込んで固定できるハーネス取付け部材10xについて説明する。
【0086】
(第2実施形態)
ハーネス取付け部材10x及び、ハーネス取付け部材10xを介して第2ハーネスWH2を第1ハーネスWH1に取り付けたワイヤーハーネス配索構造1xについて、図7乃至図10に基づいて簡単に説明する。なお、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0087】
図7はワイヤーハーネス配索構造1xの概略斜視図を示し、図8はハーネス取付け部材10xの展開平面図を示し、図9及び図10はハーネス取付け部材10xを介して第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける方法を説明する概略正面図を示す。
【0088】
図9及び図10について詳述する。
図9(a)及び図10(a)は第1ハーネスWH1が固定されたベースシート20xに第2ハーネスWH2を配置した状態の概略正面図を示し、図9(b)及び図10(b)はベースシート20xに対して第1カバーシート30xを枢動した状態の概略正面図を示す。図9(c)及び図10(c)はベースシート20xと第1カバーシート30xと固定させた状態の概略正面図を示し、図9(d)及び図10(d)はベースシート20xと第2カバーシート60xと固定させた状態の概略正面図を示す。
【0089】
ワイヤーハーネス配索構造1xは、ワイヤーハーネス配索構造1と同様に、第1ハーネスWH1と、第2ハーネスWH2と、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10xとで構成されている。
【0090】
ハーネス取付け部材10に対応しているハーネス取付け部材10xは、ベースシート20xと、第1カバーシート30xと、第1ヒンジ部40と、第2カバーシート60xと、第2ヒンジ部70xとで一体に構成されている。
【0091】
ベースシート20xは、ハーネス取付け部材10におけるベースシート20に対応し、ベース本体21xとハーネス固定部22とで一体に構成されている。
ベース本体21xは、ベース本体21と同様に、平面視長方形状をした板状体であり、幅方向Wの一方側の端部は第1ヒンジ部40を介して第1カバーシート30xと連結しており、幅方向Wの他方側の端部は第2ヒンジ部70xを介して第2カバーシート60xと連結されている。
【0092】
また、このベース本体21xの主面のうちの一方(表面21a)には、第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置する第1ハーネス配置部211と、第2ハーネスWH2を長手方向Lに沿って配置する第2ハーネス配置部212とを有する。
なお、ベースシート20xにおいて、ハーネス固定部22は、第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212に対応する箇所に設けられている。
【0093】
このベースシート20xの中央部分、すなわち、第1ハーネス配置部211と第2ハーネス配置部212との境界部分には、図8に示すように、長手方向Lに沿って2組ずつ並んで配置された一対の第1ベース側固定部23,23と、第1ベース側固定部23,23に対して幅方向Wに沿って互いに対向する一対の第2ベース側固定部25x,25xとが設けられている。
【0094】
第2ベース側固定部25xは、平面視において、長手方向Lに対して第1ベース側固定部23と線対称となるように構成されている。すなわち、第2ベース側固定部25xは、図8に示すように、幅方向Wに沿って切れ込まれた第3ベーススリット251xと、第3ベーススリット251xにおける幅方向Wの他方側の端部から長手方向Lの内側に向けて延出する第4ベーススリット252xとで構成されている。
【0095】
なお、第1ベース側固定部23と第2ベース側固定部25との間には、第4ベーススリット252xと同じ長さの分割スリット27が長手方向Lに沿って設けられている。また、第3ベーススリット251xは第1ベーススリット231と連通している。
【0096】
第3ベーススリット251xと第4ベーススリット252xとで囲われた部分を第2ベース中央係止片261xとし、第3ベーススリット251x,251xの長手方向Lの外側部分を第2ベース外側係止片262xとする。第2ベース中央係止片261x及び第2ベース外側係止片262xは、第1ベース中央係止片241及び第1ベース外側係止片242と同じ機能を有する。
【0097】
第1カバーシート30xは、ハーネス取付け部材10におけるカバーシート30に対応し、平面視略長方形状の平板である第1カバー本体31xで構成されている。なお、カバーシート30とベースシート20とを枢動可能に連結する第1ヒンジ部40は、展開状態における第1カバーシート30xを表面21aに向けて枢動できるように構成されている。
【0098】
第1カバー本体31xは、幅方向Wの長さがカバーシート30の約半分であることを除き、カバー本体31と同じ構成をしている。すなわち、第1カバー本体31xの幅方向Wの一端側端部には、一対のカバー側固定部32,32が2組設けられている。
【0099】
第2カバーシート60xは、ベース本体21xを挟んで第1カバーシート30xと対向するように配置されている。この第2カバーシート60xは、第1カバーシート30xと同様に、平面視略長方形状の平板である第2ベース本体61xで構成されている。なお、第2カバーシート60xは第2ヒンジ部70xを介してベースシート20xと枢動可能に連結されている。
第2ヒンジ部70xは、展開状態における第2カバーシート60xを、ベース本体21xの主面のうちの他方(裏面21b)及び表面21aの双方に向けて枢動できるように構成されている。
【0100】
第2ベース本体61xは、展開状態において、第1カバー本体31xと長手方向Lに対して線対称となるように構成されている。すなわち、第2ベース本体61xの幅方向Wの他端側端部には、カバー側固定部32と線対称となる第2カバー側固定部62xが設けられている。
【0101】
第2カバー側固定部62xは、第1カバースリット321に対応する第3カバースリット621xと、第2カバースリット322に対応する第4カバースリット622xとで構成されている。第3カバースリット621xは幅方向Wの他端側端部から幅方向Wに沿って切れ込まれた切目であり、第4カバースリット622xは第3カバースリット621xにおける幅方向Wの一方側の端部から長手方向Lの外側に向けて延出する切目である。
【0102】
ここで、第3カバースリット621xと第4カバースリット622xとで囲われた部分を第2カバー外側係止片631xとし、第3カバースリット621x,621xの長手方向Lの内側部分を第2カバー内側係止片632xとする。第2カバー外側係止片631x及び第2カバー内側係止片632xは、第1カバー外側係止片331及び第1カバー内側係止片332と同じ機能を有する。
【0103】
なお、カバー側固定部32,32は第1ベース側固定部23,23に対応する位置に配置され、第2カバー側固定部62x,62xは第2ベース側固定部25x,25xに対応する位置に配置されている。また、第1カバースリット321及び第3カバースリット621xは、第1ベーススリット231及び第3ベーススリット251xよりも長手方向Lの内側に配置されている。
【0104】
この第2ベース本体61xに設けられた一対の第2カバー側固定部62x,62xは、第2ベース本体61xとベース本体21xが対向するように重ね合わさった状態において、第2ベース側固定部25x,25xと係止可能に構成される。なお、第2ベース側固定部25x,25xと第2カバー側固定部62x,62xとで第2固定部12を構成する(図7参照)。
【0105】
このように構成されたハーネス取付け部材10xは、ハーネス取付け部材10と同様に、折り曲げが可能な可撓性を有するとともに、弾性を有するシート材50から型抜きして製造される。なお、ハーネス取付け部材10xの型は、図8に示すハーネス取付け部材10xの展開平面図と略同じ構造であるため、ここでは説明を省略する。
【0106】
次に、ハーネス取付け部材10xを用いて第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける取付方法について、図9に基づいて簡単に説明する。
まず、シート材50からハーネス取付け部材10xに対応する型を型抜きするとともに、第1ベース側固定部23,23、第2ベース側固定部25x,25x、カバー側固定部32,32、第2カバー側固定部62x,62xに対応する切目を入れ、ハーネス取付け部材10xを製造する。
【0107】
そして、第1ハーネス配置部211に第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置するとともに、テープBを用いて第1ハーネスWH1をハーネス固定部22にテープ固定する。次に、テープ固定された第1ハーネスWH1と平行となるように第2ハーネスWH2を第2ハーネス配置部212に配置するとともに、第2ハーネスWH2をハーネス固定部22にテープ固定する(図9(a)参照)。
【0108】
続いて、第1カバー本体31xがベース本体21xと対向するようにベースシート20xに対して第1カバーシート30xを枢動させ、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とを固定する。すなわち、図6に示す方法と同様に、第1ベース中央係止片241,241が第1カバー外側係止片331と第1カバー内側係止片332とに挟持され、第1カバー外側係止片331,331が第1ベース中央係止片241と第1ベース外側係止片242に挟持される。これにより、第1ハーネスWH1をベース本体21とカバー本体31とで挟み込むことができ、ベースシート20とカバーシート30とを係止固定できる(図9(b)及び図9(c)参照)。
【0109】
次に、第2ベース本体61xがベース本体21xと対向するようにベースシート20xに対して第2カバーシート60xを枢動させ、第2ベース側固定部25xと第2カバー側固定部62xとを固定する。すなわち、図6に示す方法と同様に、第2ベース中央係止片261x、261xが第2カバー外側係止片631xと第2カバー内側係止片632xとに挟持され、第2カバー外側係止片631x,631xが第2ベース中央係止片261xと第2ベース外側係止片262xに挟持される。これにより、第2ハーネスWH2をベース本体21と第2ベース本体61xとで挟み込むことができ、ベースシート20とカバーシート30とを係止固定できる(図9(d)参照)。
【0110】
さらにまた、ハーネス取付け部材10xでは、第2ハーネス配置部212の背面側(第2ハーネス配置部213とする。)に第2ハーネスWH2を配置することもできる。以下、第2ハーネス配置部213に対して第2ハーネスWH2を配置する場合について、図10に基づいて簡単に説明する。
【0111】
ベースシート20xにおける第1ハーネス配置部211に第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置するとともに、テープBを用いて第1ハーネスWH1をハーネス固定部22にテープ固定する。そして、テープ固定された第1ハーネスWH1と平行となるように第2ハーネスWH2を第2ハーネス配置部213に配置するとともに、第2ハーネスWH2をハーネス固定部22にテープ固定する(図10(a)参照)。
【0112】
続いて、第1カバー本体31xがベース本体21の表面21aと対向するようにベースシート20xに対して第1カバーシート30xを枢動させ、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とを固定する。なお、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32との固定は、上述と同じであり、説明を省略する。これにより、第1ハーネスWH1をベース本体21とカバー本体31とで挟み込むことができ、ベースシート20xと第1カバーシート30xとを係止固定できる(図10(b)及び図10(c)参照)。
【0113】
また、第2ベース本体61xがベース本体21xの裏面21bと対向するようにベースシート20xに対して第2カバーシート60xを枢動させ、第2ベース側固定部25xと第2カバー側固定部62xとを固定する。なお、第2ベース側固定部25xと第2カバー側固定部62xとの固定は、上述と同じであり、説明を省略する。これにより、第2ハーネスWH2をベース本体21と第2ベース本体61xとで挟み込むことができ、ベースシート20xと第2カバーシート60xとを係止固定できる(図10(d)参照)。
【0114】
ハーネス取付け部材10xは、第1カバーシート30xと、第1ヒンジ部40と、第1固定部11とを備え、第1ハーネス配置部211に配置された第1ハーネスWH1を第1ヒンジ部40で枢動可能に連結された第1ハーネス配置部211と第1カバーシート30xで挟み込んで、第1固定部11で固定する。また、第2ハーネスWH2をベースシート20xとで挟み込む第2カバーシート60xが備えられるとともに、ベースシート20xと第2カバーシート60xとを枢動可能に連結する第2ヒンジ部70xと、挟み込み状態の第2ハーネス配置部212と第2カバーシート60xとを固定する第2固定部12が備えられている。そして、第2ハーネス配置部212に配置された第2ハーネスWH2を、第2ヒンジ部70xで枢動可能に連結された第2ハーネス配置部212と第2カバーシート60xで挟み込む。
【0115】
このハーネス取付け部材10xは、ハーネス取付け部材10と同じ効果を奏する。
また、ハーネス取付け部材10xは、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とを別々に挟み込んで保護することができるため、例えば第1固定部11が意図せずに解除されたとしても、第2カバーシート60xで挟み込まれている第2ハーネスWH2の脱落を防止できる。また、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2を別々に挟み込むため、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とが互いに干渉することを防止できる。
【0116】
さらにまた、第1ハーネスWH1を第1カバーシート30xとベースシート20xとで挟み込んで保持できるため、例えば、第2ハーネスWH2を第2ハーネス配置部212に配置する場合に、第1ハーネスWH1がベースシート20xから脱落することを防止できる。
【0117】
また、第1ヒンジ部40と第2ヒンジ部70xとが、ベースシート20xにおいて、第1ハーネスWH1の長手方向Lと交差する幅方向Wに対向して配置されている。
これにより、第2ハーネス配置部212に対する第2ハーネスWH2の配置を第1ハーネスWH1に妨げられることなく第2ハーネスWH2を配置し、固定できる。したがって、第2ハーネスWH2の取り付け作業を効率化できる。
【0118】
また、第1ヒンジ部40及び第2ヒンジ部70xがベースシート20xにおける幅方向Wの端部に設けられているため、ベースシート20xと第1カバーシート30xと第2カバーシート60xとを一枚のシート材50で構成することができる。これにより、ハーネス取付け部材10xの製造をより簡易化できる。
【0119】
さらにまた、第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212は、ベースシート20xの両主面のうちの一方の主面に設けられ、第1ヒンジ部40と第2ヒンジ部70xは、第1ハーネス配置部211及び第2ハーネス配置部212が設けられた側の主面に向かって第1カバーシート30x及び第2カバーシート60xのそれぞれを枢動可能に構成されている。
【0120】
これにより、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とを、ベースシート20xにおける一方の主面にそれぞれ配置できるため、主面の法線方向(上下方向Z)に対するコンパクト化を図ることができる。
【0121】
加えて、第1固定部11は、ベースシート20x及び第1カバーシート30xにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である。また、第2固定部12は、ベースシート20x及び第2カバーシート60xにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、少なくとも一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である。
【0122】
これにより、互いに対応する第1カバーシート30x及び第2カバーシート60xとベースシート20xとの少なくとも一方を切込み形成するといった簡易な構造で、第1カバーシート30x及び第2カバーシート60xをベースシート20xに固定できる。また、第1カバーシート30x及び第2カバーシート60xとベースシート20xとを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0123】
(第3実施形態)
また、ハーネス取付け部材10yを介して第2ハーネスWH2を第1ハーネスWH1に取り付けたワイヤーハーネス配索構造1yについて、図11及び図12に基づいて簡単に説明する。なお、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0124】
図11はハーネス取付け部材10yの展開平面図を示し、図12はハーネス取付け部材10yを介して第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける方法を説明する概略正面図を示す。
【0125】
図12について詳述すると、図12(a)は第1ハーネスWH1が固定されたベースシート20yに第2ハーネスWH2を配置した状態の概略正面図を示し、図12(b)はベースシート20yに対して第1カバーシート30yを枢動した状態の概略正面図を示す。図12(c)はベースシート20yと第1カバーシート30yと固定させた状態の概略正面図を示し、図12(d)はベースシート20yと第2カバーシート60yと固定させた状態の概略正面図を示す。
【0126】
ワイヤーハーネス配索構造1yは、ワイヤーハーネス配索構造1xと同様に、第1ハーネスWH1と、第2ハーネスWH2と、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10yとで構成されている。
【0127】
ハーネス取付け部材10xに対応しているハーネス取付け部材10yは、ベースシート20yと、第1カバーシート30yと、第1ヒンジ部40と、第2カバーシート60yと、第2ヒンジ部70yとで一体に構成されている。
【0128】
ベースシート20yは、ベースシート20,20xに対応し、ベース本体21yとハーネス固定部22とで一体に構成されている。
ベース本体21yは、ベース本体21と同様に、平面視長方形状をした板状体であり、幅方向Wの一方側の端部は第1ヒンジ部40を介して第1カバーシート30xと連結しており、幅方向Wの他方側の端部は第2ヒンジ部70yを介して第2カバーシート60xと連結されている。なお、第2ヒンジ部70yは、展開状態における第2カバーシート60xを、ベース本体21xの裏面21bに向けて枢動できるように構成されている。
【0129】
このベース本体21yの主面のうちの一方(表面21a)には第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置する第1ハーネス配置部211を有し、ベース本体21yの主面のうちの他方(裏面21b)には、第2ハーネスWH2を長手方向Lに沿って配置する第2ハーネス配置部212を有する。
【0130】
また、ベース本体21yの幅方向Wの他端側には一対の第1ベース側固定部23,23が長手方向Lに沿って2組設けられ、幅方向Wの一端側には一対の第2ベース側固定部25x,25xが長手方向Lに沿って2組設けられている。
ハーネス固定部22は、ベース本体21yにおける幅方向Wの中央部分に設けられている。
【0131】
第1カバーシート30yは、ハーネス取付け部材10xにおける第1カバーシート30xに対応し、平面視略長方形状の平板である第1カバー本体31yで構成されている。
第1カバー本体31yは、幅方向Wの長さがベース本体21yと略同じであることを除き、第1カバー本体31xと同じ構成をしている。すなわち、第1カバー本体31yの幅方向W他端側の端部には、一対のカバー側固定部32が長手方向Lに沿って2組設けられている。
【0132】
この第1カバー本体31yに設けられた一対のカバー側固定部32,32は、第1カバー本体31yとベース本体21yが対向するように重ね合わさった状態において、第1ベース側固定部23,23と係止可能に構成される。なお、第1ベース側固定部23,23とカバー側固定部32,32とで第1固定部11を構成する。
【0133】
第2カバーシート60yは、ハーネス取付け部材10xにおける第2カバーシート60xに対応し、平面視略長方形状の平板である第2ベース本体61yで構成されている。
第2ベース本体61yは、幅方向Wの長さがベース本体21yと略同じであることを除き、第2ベース本体61xと同じ構成をしている。すなわち、第2ベース本体61yの幅方向W他端側の端部には、一対の第2カバー側固定部62x,62xが長手方向Lに沿って2組設けられている。
【0134】
この第2ベース本体61yに設けられた一対の第2カバー側固定部62x,62xは、第2ベース本体61yとベース本体21yが対向するように重ね合わさった状態において、第2ベース側固定部25x,25xと係止可能に構成される。なお、第2ベース側固定部25x,25xと第2カバー側固定部62x,62xとで第2固定部12を構成する。
【0135】
このように構成されたハーネス取付け部材10yは、ハーネス取付け部材10、10xと同様に、折り曲げが可能な可撓性を有するとともに、弾性を有するシート材50から型抜きして製造される。なお、ハーネス取付け部材10yの型は、図11に示すハーネス取付け部材10yの展開平面図と略同じ構造であるため、ここでは説明を省略する。
【0136】
次に、ハーネス取付け部材10yを用いて第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける取付方法について、図12に基づいて、簡単に説明する。
まず、シート材50からハーネス取付け部材10yに対応する型を型抜きするとともに、第1ベース側固定部23,23、第2ベース側固定部25x,25x、カバー側固定部32,32、第2カバー側固定部62x,62xに対応する切目を入れ、ハーネス取付け部材10yを製造する。
【0137】
そして、第1ハーネス配置部211に第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置するとともに、テープBを用いて第1ハーネスWH1をハーネス固定部22にテープ固定する。そして、テープ固定された第1ハーネスWH1と平行となるように第2ハーネスWH2を第2ハーネス配置部212に配置するとともに、第2ハーネスWH2をハーネス固定部22にテープ固定する(図12(a)参照)。
【0138】
続いて、第1カバー本体31yがベース本体21yと対向するようにベースシート20yに対して第1カバーシート30yを枢動させ、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とを固定する。なお、第1ベース側固定部23とカバー側固定部32との固定は、第1実施形態及び第2実施形態と同様のため説明を省略する。これにより、第1ハーネスWH1をベース本体21とカバー本体31とで挟み込むことができ、ベースシート20yと第1カバーシート30yとを係止固定できる(図9(b)及び図9(c)参照)。
【0139】
また、第2ベース本体61yがベース本体21yの裏面21bと対向するようにベースシート20yに対して第2カバーシート60yを枢動させ、第2ベース側固定部25xと第2カバー側固定部62xとを固定する。なお、第2ベース側固定部25xと第2カバー側固定部62xとの固定は、第1実施形態及び第2実施形態と同様のため説明を省略する。これにより、第2ハーネスWH2をベース本体21と第2ベース本体61yとで挟み込むことができ、ベースシート20yと第2カバーシート60xとを係止固定できる(図10(d)参照)。
【0140】
ハーネス取付け部材10yは、第1カバーシート30yと、第1ヒンジ部40と、第1固定部11とを備え、第1ハーネス配置部211に配置された第1ハーネスWH1を第1ヒンジ部40で枢動可能に連結された第1ハーネス配置部211と第1カバーシート30yで挟み込んで、第1固定部11で固定する。また、第2ハーネスWH2をベースシート20yとで挟み込む第2カバーシート60yが備えられるとともに、ベースシート20yと第2カバーシート60yとを枢動可能に連結する第2ヒンジ部70yと、挟み込み状態の第2ハーネス配置部212と第2カバーシート60yとを固定する第2固定部12が備えられている。そして、第2ハーネス配置部212に配置された第2ハーネスWH2を、第2ヒンジ部70yで枢動可能に連結された第2ハーネス配置部212と第2カバーシート60yで挟み込む構成としている。
このハーネス取付け部材10yは、ハーネス取付け部材10の効果と同じの効果を奏し、またハーネス取付け部材10xと同様の効果を奏する。
【0141】
ハーネス取付け部材10yは、ハーネス取付け部材10x異なり、ベースシート20yの両主面のうち、一方の主面に第1ハーネス配置部211が設けられるとともに、他方の主面に第2ハーネス配置部212が設けられている。そして、第1ヒンジ部40は、第1ハーネス配置部211が設けられた一方の主面に向かって第1カバーシート30yを枢動可能に構成され、第2ヒンジ部70yは、第2ハーネス配置部212が設けられた他方の主面に向かって第2カバーシート60yを枢動可能に構成されている。
【0142】
これにより、ハーネス取付け部材10xとは異なり、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2が、ベースシート20yにおける異なる主面にそれぞれ配置されるため、ベースシート20における幅方向Wのコンパクト化を図ることができる。
【0143】
また、第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とが、ベースシート20yにおける異なる主面にそれぞれ配置されるため、第2ハーネスWH2を取り付ける場合において、確実に第2固定部12を解除し、第2カバーシート60yを枢動させることができる。すなわち、第2ハーネスWH2の取り付け作業における誤操作を確実に防止できる。
【0144】
また、第2実施形態及び第3実施形態において、第1カバーシート30x、30y及び第2カバーシート60x、60yをベースシート20x、ベースシート20yと固定しているが、以下に示す実施形態4のワイヤーハーネス配索構造1zのように、第1カバーシート30xに対応する第1カバーシート30zと第2カバーシート60xに対応する第2カバーシート60zとを固定する構成としてもよい。
【0145】
(第4実施形態)
以下、ハーネス取付け部材10zを介して第2ハーネスWH2を第1ハーネスWH1に取り付けたワイヤーハーネス配索構造1zについて、図13乃至図15に基づいて簡単に説明する。なお、以下で説明する構成のうち、上述した第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0146】
図13はワイヤーハーネス配索構造1zの平面図及び概略正面図を示し、図14はハーネス取付け部材10zの展開平面図を示し、図15はハーネス取付け部材10zを介して第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける方法を説明する正面図を示す。
【0147】
図15について詳述すると、図15(a)は第1ハーネスWH1が固定されたベースシート20zに対して第1カバーシート30zを枢動した状態の概略正面図を示し、図12(b)はベースシート20zに対して第2カバーシート60zを枢動した状態の概略正面図を示す。
【0148】
ワイヤーハーネス配索構造1zは、ワイヤーハーネス配索構造1xと同様に、第1ハーネスWH1と、第2ハーネスWH2と、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を平行に取り付けるハーネス取付け部材10zとで構成されている。
ハーネス取付け部材10xに対応しているハーネス取付け部材10zは、シート材50で構成されている。このハーネス取付け部材10zは、ベースシート20zと、第1カバーシート30zと、第1ヒンジ部40と、第2カバーシート60zと、第2ヒンジ部70zとで一体に構成されている。
【0149】
ベースシート20zは、ハーネス取付け部材10におけるベースシート20に対応し、ベース本体21zとハーネス固定部22とで一体に構成されている。
ベース本体21zは、ベース本体21と同様に、平面視長方形状をした板状体であり、幅方向Wの一方側の端部は第1ヒンジ部40を介して第1カバーシート30zと連結しており、幅方向Wの他方側の端部は第2ヒンジ部70xを介して第2カバーシート60zと連結されている。
【0150】
また、このベース本体21zの主面のうちの一方(表面21a)には、第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置する第1ハーネス配置部211を有する。なお、ハーネス固定部22は、ベースシート20と同様に、第1ハーネス配置部211に対応する箇所に設けられている。
なお、このベース本体21zは、第1実施形態におけるベースシート20などと異なり、第1ベース側固定部23が設けられていない。
【0151】
第1カバーシート30zは、ハーネス取付け部材10におけるカバーシート30に対応し、平面視略長方形状の平板である第1カバー本体31zで構成されている。第1カバー本体31zは、幅方向Wの長さがカバーシート30と略同一の長さであり、幅方向Wの他端側端部には、第1ベース側固定部23と同じように構成された第1カバー固定部35zが設けられている。
【0152】
第1カバー固定部35zについて詳述する。
第1カバー固定部35zは、幅方向Wに沿って切れ込まれた第1カバースリット351zと、第1カバースリット351zにおける幅方向Wの一方側の端部から長手方向Lの内側に向けて延出する第2カバースリット352zとで構成されている。
【0153】
ここで、第1カバースリット351zと第2カバースリット352zとで囲われた部分を第1カバー中央係止片361zとし、第1カバースリット351z,351zの長手方向Lの外側部分を第1カバー外側係止片362zとする。
【0154】
第2カバーシート60zは、ベース本体21zを挟んで第1カバーシート30zと対向するように配置されている。この第2カバーシート60zは、第1カバーシート30zと同様に、平面視略長方形状の平板である第2ベース本体61zで構成されている。この第2カバーシート60zにおける幅方向Wの他端側端部には、第2カバー側固定部62xと同じ構成の第2カバー固定部62zが設けられている。
【0155】
すなわち、62zは、幅方向Wに沿って切れ込まれた第3カバースリット621zと、第3カバースリット621zにおける幅方向Wの一方側の端部から長手方向Lの外側に向けて延出する第4カバースリット622zとで構成されている。
【0156】
ここで、第3カバースリット621zと第4カバースリット622zとで囲われた部分を第2カバー外側係止片631zとし、第3カバースリット621z,621zの長手方向Lの内側部分を第2カバー内側係止片632zとする。
【0157】
この第2カバー固定部62z,62zは第1カバー固定部35z,35zに対応する位置に配置されている。また、第3カバースリット621zは、第1カバースリット351zよりも長手方向Lの外側に配置されている。
【0158】
この第2ベース本体61zに設けられた一対の第2カバー固定部62z,62zは、第2ベース本体61zと第1カバー本体31zが対向するように重ね合わさった状態において、第1カバー固定部35z,35zと係止可能に構成される。なお、第1カバー固定部35z,35zと第2カバー固定部62z,62zとで固定部13zを構成する(図13(a)参照)。
第2カバーシート60zとベースシート20zとを連結する第2ヒンジ部70zは、展開状態における第2カバーシート60zを、ベース本体21zの主面のうちの一方(表面21a)に向けて枢動できるように構成されている。
【0159】
このように構成されたハーネス取付け部材10zは、ハーネス取付け部材10などと同様に、折り曲げが可能な可撓性を有するとともに、弾性を有するシート材50から型抜きして製造される。なお、ハーネス取付け部材10zの型は、図14に示すハーネス取付け部材10zの展開平面図と略同じ構造であるため、ここでは説明を省略する。
【0160】
次に、ハーネス取付け部材10zを用いて第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける取付方法について、図15に基づいて、簡単に説明する。
まず、シート材50からハーネス取付け部材10zに対応する型を型抜きするとともに、第1カバー固定部35z,35z、第2カバー固定部62z,62zに対応する切目を入れ、ハーネス取付け部材10zを製造する。
【0161】
このハーネス取付け部材10zにおける第1ハーネス配置部211に第1ハーネスWH1を長手方向Lに沿って配置するとともに、テープBを用いて第1ハーネスWH1をハーネス固定部22にテープ固定し、第1カバー本体31zがベース本体21zと対向するように第1カバーシート30zをベースシート20zに対して枢動させる(図15(a)参照)。これにより、第1ハーネスWH1を第1カバーシート30zとベースシート20zとで挟み込むことができる。
【0162】
次に、第1カバー本体31zがベース本体21zと対向した状態において、第2ハーネスWH2を第1カバー本体31zの裏面側に配置し、第2ベース本体61zが第1カバー本体31zと対向するように第2カバーシート60zをベースシート20zに対して枢動させる(図15(b)参照)。
【0163】
そして、第2ベース本体61zが第1カバー本体31zに重なり合った状態で、互いに対向配置された第1カバー固定部35zと第2カバー固定部62zを係止固定する。詳しくは、ハーネス取付け部材10におけるベースシート20とカバーシート30との固定と同様に、第1カバー中央係止片361z、361zが第2カバー外側係止片631zと第2カバー内側係止片632zとに挟持され、第2カバー外側係止片631z,631zが第1カバー中央係止片361zと第1カバー外側係止片362zに挟持されることにより、第1ハーネスWH1をベース本体21zと第1カバー本体31zと挟み込むとともに、第2ハーネスWH2をベース本体21zと第1カバー本体31zとで挟み込むことができ、第1カバーシート30zと第2カバーシート60zとを係止固定できる(図12(b)参照)。
【0164】
この実施形態4におけるハーネス取付け部材10zでは、第1カバーシート30zにおける第1カバー固定部35zと第2カバーシート60zにおける第2カバー固定部62zとの一か所を固定するだけで、第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付けたワイヤーハーネス配索構造1zとすることができる。
【0165】
ハーネス取付け部材10zは、所定の配索経路に配索された第1ハーネスWH1に対して、第2ハーネスWH2を略平行に取り付ける部材であり、シート材50によって構成されている。このハーネス取付け部材10zは、第1ハーネスWH1を配置する第1ハーネス配置部211を有するベースシート20zと、第1ハーネスWH1をベースシート20zとで挟み込む第1カバーシート30zと、ベースシート20zと第1カバーシート30zとを枢動可能に連結する第1ヒンジ部40と、第1カバーシート30zに配置された第2ハーネスWH2及び第1カバーシート30zを、ベースシート20zとで挟み込む第2カバーシート60zとが備えられている。そして、挟み込み状態の第1カバーシート30zと第2カバーシート60zとを固定する固定部13zとが設けられている。
【0166】
このハーネス取付け部材10zは、ハーネス取付け部材10の効果と同様の効果を奏する。
また、固定部13zを固定するだけで、第1カバーシート30z及び第2カバーシート60zとベースシート20zとで挟み込んだ第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2を保持することができ、取り付け作業を簡略化することができる。
【0167】
さらにまた、第1ヒンジ部40と第2ヒンジ部70zとが、ベースシート20zにおいて、第1ハーネスWH1の長手方向Lと交差する交差方向に対向して配置されていることにより、第2ハーネス配置部212に対する第2ハーネスWH2の配置を第1ハーネスWH1に妨げられることなく第2ハーネスWH2を配置し、固定できる。このため、第2ハーネスWH2の取り付け作業を効率化することができる。
【0168】
さらにまた、固定部13zは、第1カバーシート30z及び第2カバーシート60zにおいて、挟み込み状態で対応する位置において切込みによって形成され、一方が弾性変形して他方に係合して、挟み込み状態を固定する構成である。
【0169】
このため、互いに対応する第1カバーシート30z及び第2カバーシート60zに切込みを入れ形成された固定部13zといった簡易な構造で、第1カバーシート30zと第2カバーシート60zを固定できる。また、第1カバーシート30z及び第2カバーシート60zを固定するための他の部材が必要なく、部品点数の削減及び生産性の向上を図ることができる。
【0170】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の第1ワイヤーハーネスは、第1ハーネスWH1に対応し、
以下同様に、
第2ワイヤーハーネスは、第2ハーネスWH2に対応し、
ハーネス取付け部材は、ハーネス取付け部材10,10x,10y,10zに対応し、
樹脂製シート材は、シート材50に対応し、
第1ハーネス配置部は、第1ハーネス配置部211に対応し、
第2ハーネス配置部は、第2ハーネス配置部212に対応し、
ベースシートは、ベースシート20,20x,20y,20zに対応し、
カバーシートは、カバーシート30に対応し、
ヒンジ部は、第1ヒンジ部40に対応し、
挟み込み固定部は、第1固定部11に対応し、
ハーネス固定部は、ハーネス固定部22に対応し、
第1カバーシートは、第1カバーシート30x、30y,30zに対応し、
第1ヒンジ部は、第1ヒンジ部40に対応し、
第1固定部は、第1固定部11,11yに対応し、
第2カバーシートは、第2カバーシート60x,60y,60zに対応し、
第2ヒンジ部は、第2ヒンジ部70x,70y,70zに対応し、
第2固定部は、第2固定部12、固定部13zに対応し、
第1挟み込み固定部は、第1固定部11,11yに対応し、
第2挟み込み固定部は、第2固定部12,及び固定部13zに対応し、
ワイヤーハーネス配索構造は、ワイヤーハーネス配索構造1,1x,1y,1zに対応するが、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではない。
【0171】
例えば、本実施形態では、シート材50を、発泡状又は多孔質形状に成型され、熱可塑性を有するとともに、折り曲げが可能な合成樹脂発泡体で構成されているが、この構成に限らない。例えば、発泡状又は多孔質形状に成型され、熱硬化性を有するとともに、折り曲げが可能な合成樹脂発泡体で構成されてもよい。さらには、合成樹脂発泡体でなく、合成樹脂で構成されていてもよい。なお、シート材50は、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。
【0172】
また、ハーネス取付け部材10x,10y,10zにおいて、第1カバーシート30x,30y,30zや第2カバーシート60x,60y,60zはベースシート20x,20y,20zと一体としてシート材50から型抜きしているが、それぞれ別々に型抜きし、溶着などにより接続してもよい。これにより、ベースシート20x,20y,20zに対して第1カバーシート30x,30y,30zや第2カバーシート60x,60y,60zを所望の位置で結合することができる。
【0173】
また、ハーネス取付け部材10などにおいて、ベースシート20とカバーシート30の固定は、切込みで構成された第1ベース側固定部23とカバー側固定部32とを係止しているが、必ずしも切込みである必要はなく、例えば、ベース本体21に凹部又は凸部を設け、カバーシート30に設けた対応する凸部又は凹部に圧入して嵌合する構成であってもよい。
【0174】
また、ベース本体21及びカバー本体31に設けたスリットを設けるとともに、スリットに対向する係止片をベース本体21及びカバー本体31に設け、係止片をスリットに挿通させて係止する構成でもよい。
【0175】
さらにまた、ハーネス取付け部材10zにおいて、ベースシート20zと第2カバーシート60zとは一体に構成されているが、別体で構成されていてもよい。具体的には、第2カバーシート60zを第1カバーシート30zに覆うとともに、第1カバーシート30zの角部分を第2カバーシート60zに設けたスリットに挿通させて係止するなどの構成としてもよい。
【0176】
さらにまた、ハーネス取付け部材10xにおいて、長手方向Lに対して、第1カバーシート30xと第2カバーシート60xとは幅方向Wにおいて対応するように配置されているが、必ずしもこの構成である必要はなく、長手方向Lに沿って異なる位置に配置されていてもよい。
また、ハーネス取付け部材10xにおいて、第1カバーシート30xと第2カバーシート60xとは幅方向Wの一方側又は他方側に双方が配置されていてもよい。
【0177】
なお、上述の構成は、それぞれの実施形態のみに実施できるものではなく、効果を奏する限り適宜組み合わせを変更することができる。
【符号の説明】
【0178】
11,1y,1z ワイヤーハーネス配索構造
10、10x,10y,10z ハーネス取付け部材
11 第1固定部
12 第2固定部
13z 固定部
20,20x,20y,20z ベースシート
211 第1ハーネス配置部
212 第2ハーネス配置部
22 ハーネス固定部
23,23,23 第1ベース側固定部
30 カバーシート
30x,30y,30z 第1カバーシート
32,32x,32y,32z カバー側固定部
40 第1ヒンジ部
50 シート材
60x,60y.60z 第2カバーシート
70x,70y.70z 第2ヒンジ部
WH1 第1ハーネス
WH2 第2ハーネス
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
図10
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図15