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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013780
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】消毒装置および制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/125 20200101AFI20220111BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220111BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20220111BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20220111BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20220111BHJP
   A61L 2/12 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/19
H05B47/17
H05B47/18
A61L9/20
A61L2/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104427
(22)【出願日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020113794
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511172003
【氏名又は名称】フルカワファイテル(タイランド)
【氏名又は名称原語表記】Furukawa Fitel(Thailand) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Rojana Industrial Park 1/71 Moo 5, Tambol Kanharm, Amphur U-Thai, Phranakorn Sri Ayutthaya 13210, Thailand
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イアマン コムサン
(72)【発明者】
【氏名】チューンジャイタブ プロムリチャー
(72)【発明者】
【氏名】ワッタナラット ジャガパット
(72)【発明者】
【氏名】ジョンチアオチャーンウィット パラポーン
(72)【発明者】
【氏名】ピパットパヌグーン パッチャラポーン
【テーマコード(参考)】
3K273
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
3K273PA02
3K273QA36
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA57
3K273TA17
3K273TA28
3K273TA40
3K273TA52
3K273TA54
3K273UA15
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD05
4C058DD13
4C058DD14
4C058DD16
4C058EE03
4C058KK02
4C058KK22
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH14
4C180HH17
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL20
4C180MM10
(57)【要約】
【課題】広いスペースの消毒に有効である消毒装置および人に対する安全性が高い消毒装置の制御装置を提供すること。
【解決手段】消毒装置であって、複数のUV-C光源と、複数の撮像部と、電力供給部と、制御部と、前記UV-C光源、前記撮像部、前記電力供給部、および前記制御部を搭載する無人搬送ロボットと、を備え、前記電力供給部は、少なくとも前記UV-C光源および前記制御部に電力を供給し、前記UV-C光源は、点灯状態では前記消毒装置の周囲に向けてUV-C光を照射可能に配置されており、前記撮像部は、前記消毒装置の周囲を撮像可能に配置されており、前記制御部は、前記UV-C光源を点灯状態または消灯状態に制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒装置であって、
複数のUV-C光源と、
複数の撮像部と、
電力供給部と、
制御部と、
前記UV-C光源、前記撮像部、前記電力供給部、および前記制御部を搭載する無人搬送ロボットと、
を備え、
前記電力供給部は、少なくとも前記UV-C光源および前記制御部に電力を供給し、
前記UV-C光源は、点灯状態では前記消毒装置の周囲に向けてUV-C光を照射可能に配置されており、
前記撮像部は、前記消毒装置の周囲を撮像可能に配置されており、
前記制御部は、前記UV-C光源を点灯状態または消灯状態に制御する
消毒装置。
【請求項2】
前記消毒装置の外部から視認可能な警告部をさらに備える
請求項1に記載の消毒装置。
【請求項3】
前記警告部は、前記消毒装置の上部に設置された警告灯である
請求項2に記載の消毒装置。
【請求項4】
前記UV-C光源に対する電力の通電の可否を切り替える切替スイッチをさらに備える
請求項1~3のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項5】
外部から視認可能であり、動作確認モードにて前記制御部の制御によって点灯する動作確認灯をさらに備える
請求項1~4のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項6】
前記動作確認灯は、前記UV-C光源に囲まれて配置されている
請求項5に記載の消毒装置。
【請求項7】
前記UV-C光源は、前記無人搬送ロボットに搭載された前記電力供給部および前記制御部の上部に設置されている
請求項1~6のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項8】
前記消毒装置の接地面から前記電力供給部および前記制御部が収容されたケースの最上部までの高さは、71.0cm以下である
請求項1~7のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項9】
前記撮像部は赤外カメラを含む
請求項1~8のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項10】
前記撮像部および前記制御部は、前記消毒装置から少なくとも6m離れた人に対して、前記撮像部が撮像した画像における当該人の画像の存否を判定できるように構成されている
請求項1~9のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項11】
前記制御部と前記無人搬送ロボットとが無線通信可能に構成されている
請求項1~10のいずれか一つに記載の消毒装置。
【請求項12】
複数のUV-C光源と、複数の撮像部と、電力供給部と、前記UV-C光源、前記撮像部、および前記電力供給部を搭載する無人搬送ロボットと、を備えた消毒装置の制御装置であって、
前記撮像部が撮像した画像における人の画像の存否を判定し、前記画像に人の画像が存在すると判定したときに、前記UV-C光源を消灯状態に制御する制御部と、
前記無人搬送ロボットと通信する通信部と、
を備え、
前記電力供給部から電力を供給される
制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、学習済モデルを用いて前記存否を判定する
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記消毒装置は、前記UV-C光源に対する電力の通電の可否を切り替える切替スイッチを備え、
前記制御部は、前記切替スイッチが、電力の通電が可の状態において、前記存否を判定する
請求項12または13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記画像に人の画像が存在すると判定したときに、前記UV-C光源の消灯状態を所定時間だけ維持する
請求項12~14のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項16】
前記消毒装置は、外部から視認可能な警告部をさらに備え、
前記制御部は、前記UV-C光源が点灯状態のときは前記警告部を稼働させる
請求項12~15のいずれか一つに記載の制御装置。
【請求項17】
前記消毒装置は、外部から視認可能な動作確認灯をさらに備え、
前記制御部は、動作確認モードにて動作確認灯を点灯させる制御を行う
請求項12~16のいずれか一つに記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒装置および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光のうち、波長が100nm~280nmであるUV-C光は、消毒作用があることが知られている。UV-C光源として、たとえばUV-Cランプが、水の消毒用に市販されている。近年、UV-C光源をロボットに搭載し、病院や公共のスペースにおける細菌、カビ、菌類、ウイルス、微生物などの消毒が可能になってきている。UV-C光は、COVID-19などのコロナウイルスにも有効と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-533810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、1つのUV-C光源は、4mの面積に対してUV-C光を照射することができるが、工場などの広いスペースで効果的な消毒を行うためには、UV-C光源を多数設置する必要がある。また、UV-C光は、人間の皮膚や目に対して有害性があるので、取り扱いに注意すべきである。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、広いスペースの消毒に有効である消毒装置および人に対する安全性が高い消毒装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、消毒装置であって、複数のUV-C光源と、複数の撮像部と、電力供給部と、制御部と、前記UV-C光源、前記撮像部、前記電力供給部、および前記制御部を搭載する無人搬送ロボットと、を備え、前記電力供給部は、少なくとも前記UV-C光源および前記制御部に電力を供給し、前記UV-C光源は、点灯状態では前記消毒装置の周囲に向けてUV-C光を照射可能に配置されており、前記撮像部は、前記消毒装置の周囲を撮像可能に配置されており、前記制御部は、前記UV-C光源を点灯状態または消灯状態に制御する消毒装置である。
【0007】
前記消毒装置の外部から視認可能な警告部をさらに備えるものでもよい。
【0008】
前記警告部は、前記消毒装置の上部に設置された警告灯であるものでもよい。
【0009】
前記UV-C光源に対する電力の通電の可否を切り替える切替スイッチをさらに備えるものでもよい。
【0010】
外部から視認可能であり、動作確認モードにて前記制御部の制御によって点灯する動作確認灯をさらに備えるものでもよい。
【0011】
前記動作確認灯は、前記UV-C光源に囲まれて配置されているものでもよい。
【0012】
前記UV-C光源は、前記無人搬送ロボットに搭載された前記電力供給部および前記制御部の上部に設置されているものでもよい。
【0013】
前記消毒装置の接地面から前記電力供給部および前記制御部が収容されたケースの最上部までの高さは、71.0cm以下であるものでもよい。
【0014】
前記撮像部は赤外カメラを含むものでもよい。
【0015】
前記撮像部および前記制御部は、前記消毒装置から少なくとも6m離れた人に対して、前記撮像部が撮像した画像における当該人の画像の存否を判定できるように構成されているものでもよい。
【0016】
前記制御部と前記無人搬送ロボットとが無線通信可能に構成されているものでもよい。
【0017】
本発明の一態様は、複数のUV-C光源と、複数の撮像部と、電力供給部と、前記UV-C光源、前記撮像部、および前記電力供給部を搭載する無人搬送ロボットと、を備えた消毒装置の制御装置であって、前記撮像部が撮像した画像における人の画像の存否を判定し、前記画像に人の画像が存在すると判定したときに、前記UV-C光源を消灯状態に制御する制御部と、前記無人搬送ロボットと通信する通信部と、を備え、前記電力供給部から電力を供給される制御装置である。
【0018】
前記制御部は、学習済モデルを用いて前記存否を判定するものでもよい。
【0019】
前記消毒装置は、前記UV-C光源に対する電力の通電の可否を切り替える切替スイッチを備え、前記制御部は、前記切替スイッチが、電力の通電が可の状態において、前記存否を判定するものでもよい。
【0020】
前記制御部は、前記画像に人の画像が存在すると判定したときに、前記UV-C光源の消灯状態を所定時間だけ維持するものでもよい。
【0021】
前記消毒装置は、外部から視認可能な警告部をさらに備え、前記制御部は、前記UV-C光源が点灯状態のときは前記警告部を稼働させるものでもよい。
【0022】
前記消毒装置は、外部から視認可能な動作確認灯をさらに備え、前記制御部は、動作確認モードにて動作確認灯を点灯させる制御を行うものでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、広いスペースの消毒に有効である消毒装置および人に対する安全性が高い消毒装置の制御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る消毒装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、消毒装置が使用される建屋のフロアの一例を示す平面図である。
図3図3は、消毒装置のサイズの一例を説明する図である。
図4図4は、消毒装置のブロック図である。
図5図5は、消毒装置における制御フローを示すフローチャートである。
図6図6は、図5におけるサブルーチンのフローチャートである。
図7図7は、図5におけるサブルーチンのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、図面において、同一または対応する構成要素には適宜同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0026】
図1は、実施形態に係る消毒装置の構成を示す模式図である。消毒装置100は、無人搬送車10と、ケース20と、光源部30と、複数の撮像部であるカメラ40と、警告部である警告灯50と、を備えている。無人搬送車10は、ケース20、光源部30、カメラ40、および警告灯50を搭載している。光源部30はケース20の上に設けられており、カメラ40および警告灯50は光源部30の上に設けられている。
【0027】
図2は、消毒装置100が使用される建屋のフロアの一例を示す平面図である。このフロアFは、作業場や事務所であり、複数のテーブルTが配置されている。テーブルTの間は人や機器が移動可能な通路となっている。消毒装置100は通常は人が不在の夜間等に使用される。
【0028】
図3は、消毒装置のサイズの一例を説明する図である。消毒装置100は、フロアFのフロア面FLを接地面としており、フロア面FLからケース20の上面までの高さは高さH1である。また、フロア面FLと平行な方向での光源部30の幅は幅W1であり、ケース20の幅は幅W2である。幅W1、W2は、それぞれフロア面FLと平行な方向における、光源部30またはケース20の最も狭い方向での幅である。図3に示すように、光源部30の幅W1はケース20の幅W2よりも狭い。
【0029】
テーブルTは、台部T1と脚部T2とを備えており、フロアFのフロア面FLに設置されている。フロア面FLから台部T1の下面までの高さは高さH2である。一方、消毒装置100において、フロア面FLからケース20の上面までの高さは高さH1である。
【0030】
消毒装置100では、高さH1は、高さH2以下に設定されている。これにより、消毒装置100がフロアFにおいてテーブルTの間を移動したり、方向転換のために回転したりする際に、テーブルTの台部T1に接触しにくい。テーブルTは、高さH2が71.5cmであることが規格の一つである。この場合、高さH1は71.0cm以下が好適である。
【0031】
また、光源部30は、低い椅子やテーブルTの下も消毒できるようにできるだけ低く設置することが好ましい。
【0032】
つぎに、図1、4を参照して、消毒装置100について具体的に説明する。図4は、消毒装置のブロック図である。
【0033】
<無人搬送車>
無人搬送車10は、無人搬送ロボットの一例であり、AGV(Automatic Guided Vehicle)とも呼ばれる。無人搬送車10は、AMR(Autonomous Mobile Robot)であり、自律走行が可能である。無人搬送車10は、互いにバスなどで電気的に接続された、スイッチ11と、制御部12と、記憶部13と、走行機構14と、通信部15と、を備える。
【0034】
スイッチ11は、メインスイッチとRUNスイッチとを含む。メインスイッチは、無人搬送車10を起動させるためのスイッチである。メインスイッチをオンにすると、無人搬送車10が搭載する図示しないバッテリから各部に電力が供給される。また、RUNスイッチは、動作ミッションを実行するためのスイッチである。
【0035】
制御部12は、無人搬送車10の各要素の制御のための各種演算処理を行うものであり、たとえばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサを含んで構成される。制御部12の機能は、制御部12が記憶部13から各種プログラムから読み出して実行することで、機能部として実現される。
【0036】
記憶部13は、制御部12が制御のための演算処理に使用する各種プログラムやデータ等が格納される、たとえばROM(Read Only Memory)で構成される部分と、制御部12が演算処理を行う際の作業スペースや制御部12の演算処理の結果等を記憶する等のために使用される、たとえばRAM(Random Access Memory)で構成される部分とを備えている。記憶部13においてROMで構成される部分は、たとえばEEPROM((Electrically Erasable Programmable ROM)のような、書き換え可能なROMで構成される部分を含んでもよい。記憶部13は、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Disk)、リムーバブルメディアなどの記憶媒体を含んでもよい。
【0037】
記憶部13に格納されているデータには、フロアFの通路のマップおよび指定された走行ルートのデータが含まれている。
【0038】
走行機構14は、無人搬送車10の駆動源となるモータ、走行や回転のための車輪、および加速度センサやジャイロスコープやLiDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)や超音波センサや3Dカメラなどの測距センサなどの各種センサを含む。
【0039】
通信部15は、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)などの近距離無線通信により外部と無線通信ができる通信モジュールを含んで構成されている。通信部15はEthernet(登録商標)などの有線通信ができる通信モジュールを含んで構成されてもよい。
【0040】
無人搬送車10は、制御部12が走行機構14のセンサから情報を収集し、記憶部13に格納されたマップおよび走行ルートのデータを参照してフロアFにおける自己の位置を検出し、モータを駆動させることで、走行ルートを自律走行できる。
【0041】
また、無人搬送車10は、通信部15を介して自己の動作モードを外部に通知することができる。動作モードは、たとえば、ステーションから出発した後の最初の位置(スタンバイ位置)に位置する初期モード、走行ルートを走行しているノーマルモード、走行ルートの走行を終了しステーションに戻っている終了モードなどがある。ステーションとは、無人搬送車10のバッテリに充電を行うことができる場所であり、走行のエンド位置であるが、無人搬送車10のスタンバイ場所として機能させてもよい。
【0042】
<光源部>
光源部30は、略円柱形状である支持部31と、複数のUV-C光源であるUV-Cランプ32と、複数の動作確認灯である蛍光灯33とを備えている。UV-Cランプ32は、たとえば4~8本であり、支持部31の外周側に略等角度で配置されている。これにより、UV-Cランプ32は、点灯状態では消毒装置100の周囲に向けてUV-C光を照射可能である。UV-C光は、特に消毒に有効な254nmの波長の光を含む。蛍光灯33は、たとえば1本でも複数本でもよく、外部から視認可能かつUV-Cランプ32に囲まれて配置されている。これにより、蛍光灯33はUV-Cランプ32のUV-C光を遮らない。また、支持部31にはUV-Cランプ32および蛍光灯33に電力を供給するための電力ラインが設けられている。なお、動作確認灯は外部から視認可能であれば蛍光灯に限らず、たとえばLEDでもよい。
【0043】
<カメラ、警告灯>
カメラ40は、たとえば4つであり、光源部30の上に、支持部31の外周側に向けて略等角度で配置されている。これにより、カメラ40は、消毒装置100の周囲を撮像可能に配置される。カメラ40は、制御装置60から電力を供給され、かつ制御装置60と有線または無線通信を行うことができる。カメラ40は、撮像した画像のデータを所定のフレームレートで制御装置60に送信する。カメラ40は、可視光カメラと、赤外カメラとを含んでもよい。可視光カメラと赤外カメラとは、制御装置60から指示信号によって少なくとも一つが稼働するように切り替えられる。ただし切り替えはカメラ40自体に付いているセンサにより行われてもよい。赤外カメラは特に夜間での撮像に適する。カメラ40は、赤外カメラと連携して動作する赤外光源を備えていてもよい。カメラ40の画角は90度以上のたとえば90度であり、4つのカメラ40にて360度以上の画角を実現する。
【0044】
ここで、4つのカメラ40は、無人搬送車10の全方位の一例として、前進方向、後退方向、前進方向に対する左右方向の4方向を撮像するように配置されているとする。図4に示すように、前進方向と左方向とを撮影する2つのカメラF、Lをカメラ41とし、後退方向と右方向とを撮影する2つのカメラB、Rをカメラ42とする。
【0045】
警告灯50は、光源部30の上部中央に、消毒装置100の外部から視認可能に設置されている。警告灯50は、たとえば赤色の回転灯である。なお、警告部としては警告灯50に換えて文字や記号を表示するディスプレイを設置してもよい。
【0046】
<ケース、制御装置、電源供給部>
ケース20は、制御装置60と、バッテリ71、スイッチ72、電力変換器73、スイッチ74、75、76、77を収容している。バッテリ71、スイッチ72、電力変換器73、スイッチ74、75、76、77は電力供給部を構成している。
【0047】
バッテリ71は、たとえば直流12Vの電力を発生し、電力変換器73に出力する。なお、バッテリ71は、外部から充電可能に構成されていてもよい。スイッチ72は、バッテリ71と電力変換器73との間の導通または遮断を切り替える切替スイッチである。スイッチ72はたとえばトグルスイッチである。
【0048】
電力変換器73は、スイッチ72がオン状態にされ、バッテリ71から直流12Vの電力を供給されると、交流電力と直流電力とを発生させる。交流電力はたとえば220Vであり、直流電力はたとえば5Vである。直流電力は交流電力から発生させてもよい。スイッチ74は、電力変換器73と制御装置60およびスイッチ75、76との間の導通または遮断を切り替える切替スイッチである。スイッチ74はたとえばトグルスイッチである。スイッチ74がオン状態にされると、制御装置60には直流電力が供給され、スイッチ75、76には交流電力および直流電力が供給される。
【0049】
スイッチ75は、スイッチ74と警告灯50との間の導通または遮断を切り替える切替スイッチである。スイッチ76は、スイッチ74とUV-Cランプ32および蛍光灯33との間の導通または遮断を切り替える切替スイッチである。スイッチ75、76の切替動作は制御装置60にて制御可能である。スイッチ75、76はたとえばリレースイッチである。スイッチ77は、スイッチ76とUV-Cランプ32との間の電力ライン上に設けられており、UV-Cランプ32に対する電力の通電の可否を切り替える切替スイッチである。スイッチ77がオン状態にあるかオフ状態にあるかの信号は制御装置60に送信させる。スイッチ77はたとえばトグルスイッチである。
【0050】
<制御装置の具体的構成>
制御装置60は、互いにバスなどで電気的に接続された、主制御装置61と従制御装置62とスイッチ63とを備えている。主制御装置61は、互いにバスなどで通信可能に接続された、制御部61aと、記憶部61bと、通信部61cと、を備える。従制御装置62は、互いにバスなどで通信可能に接続された、制御部62aと、記憶部62bと、通信部62cとを備える。スイッチ63は後述する制御装置60による制御を開始させるトリガの役割を果たす。たとえば、スイッチ63がオン状態となるまでは、タイマや画像認識や無人搬送車10の動作モードの読取りは実行されない。
【0051】
制御部61a、62aは、無人搬送車10の制御部12と同様に、各制御装置の各要素の制御のための各種演算処理を行うものであり、たとえばプロセッサを含んで構成される。また、制御部61aはマスタ制御部として、従制御装置62、カメラ41、42、スイッチ75、77の制御も行うことができる。制御部61a、62aの機能は、制御部61a、62aが記憶部61b、62bから各種プログラムから読み出して実行することで、機能部として実現される。
【0052】
記憶部61b、62bは、無人搬送車10の記憶部13と同様に、制御部61a、62aのそれぞれが制御のための演算処理に使用する各種プログラムやデータ等が格納される部分と、制御部61a、62aのそれぞれが演算処理を行う際の作業スペースや制御部61a、62aの演算処理の結果等を記憶する等のために使用される部分とを備えている。
【0053】
通信部61c、62cは、無人搬送車10の通信部15と同様に、無線通信や有線通信ができる通信モジュールを含んで構成されている。これにより、制御部61a、62aと無人搬送車10とは通信が可能である。
【0054】
また、制御部61a、62aは、機能部として、カメラ41、42が撮像した画像における人の画像の存否を判定する判定部を備える。制御部61a、62aは、人の画像の存否の判定を、画像処理における公知のパターン認識方法を用いて実行し得る。また、制御部61a、62aは、人の画像の存否の判定を、ディープラーニングなどの機械学習によって生成された学習済モデルを用いて実行し得る。
【0055】
また、制御部61aは、スイッチ77がオン状態の場合において、スイッチ76を制御することによって、UV-Cランプ32を点灯状態または消灯状態に制御する。また、制御部61aは、スイッチ77が電力の通電が可の状態、すなわちUV-Cランプ32を点灯状態になり得る状態において、存否を判定する。
【0056】
<制御フロー>
つぎに、消毒装置における制御フローを図5に示すフローチャートを参照して説明する。この制御フローは、メインスイッチ、スイッチ72、74、77がオン状態にされた後実行される。なお、「Controller」は制御装置60での制御フローであり、「AGV」は無人搬送車10での制御フローである。
【0057】
はじめに、無人搬送車10の制御部12が、レジスタを初期化する。つづいて、RUNボタンを操作してオン状態にすると、制御部12は動作ミッションを開始する。ここで、動作ミッションにおいては、走行ルートに、幾つかの互いに離間した照射位置が設定されている。本例では、照射位置は、初期モードにおけるスタンバイ位置と、ノーマルモードにおけるポジション1~K(Kは3以上の整数)とである。1~Kはポジション番号である。動作ミッションが開始されると、制御部12は、無人搬送車10をスタンバイ位置に移動させ、自己の位置がスタンバイ位置であることを記憶する。さらに、制御部12は動作モードを初期モードに設定し、初期モードであることを主制御装置61の制御部61aに通知する。
【0058】
主制御装置61の制御部61aは、ソフトウェアのスタートアップを実行した後、通知を受信すると動作モードを記憶し、カウント値を設定し、待機状態となる。カウント値は動作モードが初期状態のときに0に設定される。スイッチ75が操作されオン状態になり、つづいてスイッチ63が操作されてオン状態になると、制御動作を実行する。まず、制御部61aは、無人搬送車10の動作モードを読み取る。動作モードが初期モードまたはノーマルモードの場合、制御部61aはタイマをスタートさせ、人検知のサブルーチンを実行する。
【0059】
図6は、図5における人検知のサブルーチンのフローチャートである。まず、主制御装置61の制御部61aは、カメラ41から送信された画像のデータを所定のフレームレートで受信し、人工知能(AI)の学習済みモデルを用いて、画像に対して分類処理を実行する。つづいて、制御部61aは、画像に人の画像が含まれているかを判定する。
【0060】
制御部61aが人の画像が存在しないと判定した場合(No)、フローは次のステップに進む。従制御装置62の制御部62aは、カメラ42から送信された画像のデータを所定のフレームレートで受信し、AIの学習済みモデルを用いて、画像に対して分類処理を実行する。つづいて、制御部62aは、画像に人の画像が含まれているかを判定し、判定結果のデータを制御部61aに送信する。制御部62aは判定結果のデータのみを制御部61aに送信するので、送信するデータ量は少ない。制御部62aが人の画像が存在しないと判定した場合(No)、制御部61aは人検知のサブルーチンを終了する。
【0061】
一方、制御部61aが人の画像が存在すると判定した場合(Yes)や制御部62aが人の画像が存在すると判定した場合(Yes)は、制御部61aは、スイッチ75、76を制御してオフ状態とする。これにより、制御部61aは、UV-Cランプ32と警告灯50と蛍光灯33とが全て消灯状態となるように制御を行う。この消灯状態は、たとえば5秒間継続される。つづいて、制御部61aは、後述するタイマの所定の計時時間に、消灯状態の時間、本例では5秒を加算しない。その後、フローは、制御部61aによるカメラ41からの画像のデータの受信、分類処理の前に戻る。
【0062】
制御部61a、62aは、たとえば連続する2フレームの画像に人の画像が含まれていると判定した場合に、人の画像が存在すると判定し、そうでない場合、人の画像が存在しないと判定する。このようにある程度連続したフレームの画像に人の画像が含まれていると判定した場合に人の画像が存在すると判定することで、誤認識が低減される。
【0063】
図5に戻って、人検知のサブルーチンを終了した後、制御部61aはUVオペレーションのサブルーチンを実行する。
【0064】
図7は、図5におけるUVオペレーションのサブルーチンのフローチャートである。まず、制御部61aは、スイッチ75を制御してオン状態とする。これにより、制御部61aは、警告灯50が点灯状態となるように制御を行う。つづいて、制御部61aは、無人搬送車10の動作モードを読み取る。動作モードが初期モードのときはサブルーチンを終了する。動作モードがノーマルモードの場合、制御部61aは、スイッチ76を制御してオン状態とする。これにより、制御部61aは、UV-Cランプ32および蛍光灯33が点灯状態となるように制御を行う。UV-Cランプ32の点灯時は消毒が実行される。
【0065】
図5に戻って、UVオペレーションのサブルーチンを終了した後、制御部61aはタイマが所定の計時時間を計時したかを判定する。所定の計時時間はたとえば2分である。所定の計時時間を計時していない場合(No)、フローは人検知のサブルーチンの前に戻る。所定の計時時間を計時した場合(Yes)、フローは現在のカウント値を判定する一連の判定ステップに進む。一連の判定ステップでは、現在のカウント値(C)に応じて無人搬送車10に判定信号が送信される。初期モードの場合、C=0を示す判定信号が送信される。
【0066】
無人搬送車10では、C=0を示す判定信号を受信すると、制御部12は、無人搬送車10を次の照射位置に移動させ、自己の位置がポジション1であることを記憶する。さらに、制御部12は動作モードをノーマルモードに設定し、ノーマルモードであることを主制御装置61の制御部61aに通知する。
【0067】
主制御装置61の制御部61aは、通知された動作モードを記憶し、カウント値をポジション1のポジション番号に応じた1にカウントアップする。つづいて、制御部61aは、制御動作を実行し、無人搬送車10の動作モードの読み取りなどを行う。
【0068】
その後、制御部61aは、タイマが所定時間を計時したかを判定し、所定時間を計時した場合(Yes)、フローは現在のカウント値を判定する一連の判定ステップに進む。一連の判定ステップでは、現在のカウント値(C)に応じて無人搬送車10に判定信号が送信される。ノーマルモードでポジション1の場合、C=1を示す判定信号が送信される。
【0069】
無人搬送車10では、C=1を示す判定信号を受信すると、制御部12は、無人搬送車10を次の照射位置に移動させ、自己の位置がポジション2であることを記憶する。さらに、制御部12は動作モードをノーマルモードに設定し、ノーマルモードであることを主制御装置61の制御部61aに通知する。
【0070】
主制御装置61の制御部61aは、通知された動作モードを記憶し、カウント値をポジション2のポジション番号に応じた2にカウントアップする。その後、制御部61aは、制御動作を実行し、無人搬送車10の動作モードの読み取りなどを行う。
【0071】
無人搬送車10によるポジションの記憶、動作モードの設定および通知、主制御装置61の制御部61aの動作モードの記憶およびカウント値のカウントアップ、ならびに制御動作は、カウント値がKになるまで行われる。
【0072】
無人搬送車10では、C=Kを示す判定信号を受信すると、制御部12は、無人搬送車10をエンド位置に移動させ、自己の位置がエンド位置であることを記憶する。さらに、制御部12は動作モードを終了モードに設定し、終了モードであることを主制御装置61の制御部61aに通知し、動作ミッションを終了する。
【0073】
主制御装置61の制御部61aは、通知された動作モードを記憶するが、カウント値のカウントアップは実行しない。その後、動作モードが終了モードの場合、主制御装置61の制御部61aは待機状態となる。
【0074】
消毒装置100は、無人搬送車10に、点灯状態では周囲に向けてUV-C光を照射可能に配置されたUV-Cランプ32が搭載されているので、UV-Cランプ32を多数設置することなく、広いスペースの消毒に有効である。さらに、制御部61aが、カメラ40が撮像した画像における人の画像の存否を判定し、UV-Cランプ32を点灯状態または消灯状態に制御するので、人に対する安全性が高い。さらに、制御部61aが、画像に人の画像が存在すると判定したときに、UV-Cランプ32を消灯状態に制御するので、人に対する安全性が高い。さらには、制御部61aが、画像に人の画像が存在すると判定したときに、UV-Cランプ32の消灯状態を所定時間だけ維持するので、人に対する安全性が高い。また、消毒装置100では、人がいなくなったときは、照射作業が自動的に再開する。また、消毒装置100では、消灯状態の時間を照射時間に含めないことができるため、消毒の効率が落ちない。
【0075】
また、消毒装置100は、外部から視認可能な警告部である警告灯50を備えるので、動作状態を確認しやすい。特に、警告灯50は消毒装置100の上部に設置されているので、遠方からもより確認がしやすい。さらに、制御部61aは、UV-Cランプ32が点灯状態のときは警告灯50を稼働させる、すなわち点灯させるので、UV-Cランプ32が点灯している状態を確認しやすい。
【0076】
また、消毒装置100は、UV-Cランプ32に対する電力の通電の可否を切り替えるスイッチ77を備えるので、たとえば後述する動作確認モードではUV-Cランプ32を消灯状態にして消毒装置100の動作確認を実行できる。また、図5の制御フローでは、スイッチ63がON状態になって初めて人検知サブルーチン以降が実行されるようにしたので、スイッチ63を操作するまでに作業環境の準備を整えることができる。
【0077】
また、消毒装置100において、カメラ40および制御装置60が、消毒装置100から少なくとも6m離れた人に対して、撮像した画像における当該人の画像の存否を判定できるように構成されていることが好ましい。これにより、たとえば消毒装置100から3m離れた位置にてUV-Cランプ32が照度3μW/cmの場合に、人に対して安全性が高い。
【0078】
なお、有害紫外線放射の許容限界値(TLV)について、JIS Z 8812およびISO15858規格では1日8時間以内で60J/m以下であるが、2006/25/EC指令では30J/m以下である。厳しいEU指令により安全設計を1日あたりの被覆時間として15分(目安)以下にするためには、人に照射されるUV実効照度を3μW/cm以下に抑えなければならない。たとえば、UV-Cランプが電力30Wであれば、3m離れれば、照度が3μW/cm以下になる。そこで、安全係数を2倍にすれば、6mの距離が人検知の基準となる。したがって、6mという距離は、ランプ仕様・参考する基準・安全係数などによって適宜変更し得る。
【0079】
<動作確認モード>
消毒装置100において、制御装置60は、動作確認モードを実行することもできる。動作確認モードは、スイッチ77がオフ状態とされ、UV-Cランプ32に対する電力の通電が不可のときに実行可能である。動作確認モードでは、制御装置60は、図5に示す制御フローと同じ制御フローを実行するが、UV-Cランプ32に対する電力の通電が不可とされているので、UVオペレーションのサブルーチンではUV-Cランプ32は点灯せずに、警告灯50と、動作確認灯としての蛍光灯33とだけが点灯する。このような動作確認モードを実行すれば、UV-Cランプ32を点灯させずに消毒装置100を安全に試運転できる。
【0080】
なお、制御装置60は、カメラ40が撮像した画像を蓄積し、これをもとに機械学習を行い、人の画像の存在を判定するための学習済モデルを更新する機能を備えてもよい。
【0081】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 :無人搬送車
11、63、72、74、75、76、77 :スイッチ
12、61a、62a :制御部
13、61b、62b :記憶部
14 :走行機構
15、61c、62c :通信部
20 :ケース
30 :光源部
31 :支持部
32 :UV-Cランプ
33 :蛍光灯
40、41、42 :カメラ
50 :警告灯
60 :制御装置
61 :主制御装置
62 :従制御装置
71 :バッテリ
73 :電力変換器
100 :消毒装置
F :フロア
FL :フロア面
T1 :台部
T2 :脚部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7