(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138544
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】ニッケル酸化鉱石の製錬方法
(51)【国際特許分類】
C22B 23/02 20060101AFI20220915BHJP
C22B 5/10 20060101ALI20220915BHJP
C22C 33/04 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C22B23/02
C22B5/10
C22C33/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021038479
(22)【出願日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】井関 隆士
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001AA19
4K001BA02
4K001CA26
4K001CA27
4K001CA29
4K001DA05
4K001FA14
4K001HA01
4K001KA02
4K001KA06
4K001KA13
(57)【要約】
【課題】ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元炉内にて加熱して還元することによりフェロニッケルを製造する技術において、混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しを正確にかつ効率的に行うことができ、得られるメタルの品質低下を防ぐ方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造する製錬方法であって、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、混合物を還元炉内に装入し還元処理を施す還元工程と、を有し、還元工程では、混合物を、2つの側面に貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して還元処理を施すようにし、横孔型試料用容器に収容した混合物の還元炉への装入及び還元炉からの取出しの操作において、横孔型試料用容器の貫通孔に、断面が角形であり棒状の試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶことによって行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、
前記ニッケル酸化鉱石と前記炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、
前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、
を有し、
前記還元工程では、前記混合物を、対向する2つの側面に貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して前記還元処理を施すようにし、
前記横孔型試料用容器に収容した前記混合物の前記還元炉への装入、及び、還元処理により得られる還元物の該還元炉からの取出しの操作において、該横孔型試料用容器を、その2つの側面にある前記貫通孔に、断面が角形であり棒状の試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶことによって行う、
ニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項2】
前記横孔型試料用容器の側面に形成された貫通孔は、四角形状の孔である、
請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【請求項3】
前記還元工程では、
前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、
請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元することによりフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リモナイトあるいはサプロライトと呼ばれるニッケル酸化鉱石の製錬方法として、熔錬炉を使用してニッケルマットを製造する乾式製錬方法、ロータリーキルンあるいは移動炉床炉を使用してフェロニッケルを製造する乾式製錬方法、オートクレーブを使用してミックスサルファイドを製造する湿式製錬方法等が知られている。
【0003】
ニッケル酸化鉱石を製錬する場合、まず、その原料鉱石を塊状物化、スラリー化等するための処理(還元処理に先立つ「前処理」)が行われる。具体的に、その前処理では、ニッケル酸化鉱石を塊状物化、すなわち粉や微粒の形状から塊状にするにあたり、まず、ニッケル酸化鉱石以外の成分、例えばバインダーや還元剤と混合して混合物とし、水分調整等を行った後に塊状物製造機に装入して、例えば10mm~30mm程度の塊状物(ペレット、ブリケット等を指す。以下、単に「ペレット」という)とするのが一般的である。
【0004】
ペレットは、例えば、水分を飛ばすためにある程度の通気性が必要となる。また、ペレット内で還元が均一に行われないと、組成が不均一になってメタルが分散、偏在してしまうことがある。そのため、混合物を均一混合したり、ペレット還元時に可能な限り均一な温度と保持することが重要となる。
【0005】
加えて、還元されて生成したフェロニッケルを粗大化させることも重要となる。生成したフェロニッケルが、例えば数10μm~数100μm以下程度の大きさである場合では、スラグと分離することが困難となり、フェロニッケルの収率が大きく低下してしまう。このことから、還元後に生成したフェロニッケルを有効に粗大化する技術が必要となる。
【0006】
例えば、還元炉に少量のペレットを装入し、還元処理の試験を行い、得られた還元物を取出して各種特性を調べたりすることが行われる。しかしながら、処理温度は1000℃~1500℃という高温であり、ペレットの装入、取出しと言っても容易なことではない。従来、比較的高温に耐えられる金属で作製した還元処理専用の杓を用いて、ペレットを炉内に装入し、還元により得られた還元物を取出す操作を行ってきたが、処理温度が高いために杓が曲がってしまい、取出しに際して炉内壁に引っかかるなどの不具合が生じて円滑な取出しを行うことができないことがあった。
【0007】
このように、ニッケル酸化鉱を混合、還元して、メタルを製造する技術には多くの課題を残されており、特に様々な実験を精度よく、効率よく行えるようにすることは重要な技術的課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元炉内にて加熱して還元することによりフェロニッケルを製造する技術において、処理対象の混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しを正確にかつ効率的に行うことができ、得られるメタルの品質低下を防ぐことができる方法を提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して還元処理を施すようにし、混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しの操作においては、その横孔型試料用容器の貫通孔に棒状の試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶようにすることで、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)本発明の第1の発明は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを含む混合物を還元することによってフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法であって、前記ニッケル酸化鉱石と前記炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、前記混合物を還元炉内に装入し、該混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有し、前記還元工程では、前記混合物を、対向する2つの側面に貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して前記還元処理を施すようにし、前記横孔型試料用容器に収容した前記混合物の前記還元炉への装入、及び、還元処理により得られる還元物の該還元炉からの取出しの操作において、該横孔型試料用容器を、その2つの側面にある前記貫通孔に、断面が角形であり棒状の試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶことによって行う、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0012】
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記横孔型試料用容器の側面に形成された貫通孔は、四角形状の孔である、請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【0013】
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記還元工程では、前記還元炉内にて、還元温度を1200℃以上1500℃以下として還元処理を施す、ニッケル酸化鉱石の製錬方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ニッケル酸化鉱石を含む混合物を還元炉内にて加熱して還元することによりフェロニッケルを製造する技術において、混合物の還元炉への装入や還元炉からの取出しを正確にかつ効率的に行うことができ、得られるメタルの品質低下を防ぐことができる方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ニッケル酸化鉱石の製錬方法の流れの一例を示す工程図である。
【
図3】試料用容器の構成を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は当該容器の側面を示す側面図である。
【
図4】試料装入取出治具の構成の一例を示す図である。
【
図5】試料装入取出治具の先端部の形状の例を示す図である。
【
図6】試料装入取出治具を、横孔型試料用容器の貫通孔に挿入したときの状態を示す図である。
【
図7】比較例で用いた、取手部が設けられた試料用容器(A)と、杓(B)の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
【0017】
≪1.ニッケル酸化鉱石の製錬方法≫
本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を炭素質還元剤と混合し、その混合物に対して製錬炉(還元炉)内で還元処理を施すことによって、フェロニッケルのメタルとスラグとを生成させるものである。
【0018】
具体的に、ニッケル酸化鉱石の製錬方法では、少なくとも、ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程と、得られた混合物を還元炉内に装入しその混合物を加熱して還元処理を施す還元工程と、を有する。
【0019】
このとき、本実施の形態に係る製錬方法では、還元工程において、還元処理対象の混合物を、対向する2つの側面に貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して還元処理を施すようにする。そして、横孔型試料用容器に収容した混合物の還元炉への装入、及び、還元処理により得られる還元物の還元炉からの取出しの操作については、横孔型試料用容器の貫通孔に、断面が角形であって棒状の形状をした試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶことによって行うことを特徴としている。
【0020】
このような方法によれば、還元処理対象の混合物や還元処理後の還元物の装入、取出しを安定的にかつスムースに行うことができ、例えば従来のような杓の変形による作業性の悪化を防ぐことができる。その結果、得られた還元物の酸化等による品質低下を効果的に抑制することができる。
【0021】
≪2.製錬方法のプロセスについて≫
上述したように、ニッケル酸化鉱石の製錬方法は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物に対し、還元炉においてその混合物を加熱してニッケル(酸化ニッケル)と鉄(酸化鉄)を還元することで、鉄-ニッケル合金(フェロニッケル)のメタルを生成させるものである。なお、還元処理により得られた還元物からメタルを分離(スラグからメタルを分離)することで、フェロニッケルを得ることができる。
【0022】
具体的に、本実施の形態に係るニッケル酸化鉱石の製錬方法は、
図1に示すように、ニッケル酸化鉱石を含む原料と炭素質還元剤とを混合する混合処理工程S1と、得られた混合物を所定の形状に成形する混合物成形工程S2と、成形された混合物を還元炉にて所定の還元温度で還元加熱する還元工程S3と、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する回収工程S4と、を有する。
【0023】
[混合処理工程]
混合処理工程S1は、ニッケル酸化鉱石を含む原料粉末を混合して混合物を得る工程である。具体的には、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤とを混合し、また任意成分の添加剤として、鉄鉱石、フラックス成分、バインダー等の、例えば粒径が0.2mm~0.8mm程度の粉末を混合して混合物を得る。なお、混合処理は、混合機等を用いて行うことができる。
【0024】
混合処理工程S1では、混合性を高めるために混練を行ってよい。例えば、二軸混練機等により混合物を混練することにより混合物にせん断力を加えることで、炭素質還元剤や原料粉末等の凝集を解いて、より均一に混合できる。また、各々の粒子の密着性を高めることができ、得られる混合物に対して均一な還元処理が行い易くなる。
【0025】
原料鉱石であるニッケル酸化鉱石としては、特に限定されず、リモナイト鉱、サプロライト鉱等を用いることができる。なお、ニッケル酸化鉱石は、構成成分として、酸化ニッケル(NiO)と酸化鉄(Fe2O3)とを含有する。
【0026】
上述したように、混合処理工程S1では、ニッケル酸化鉱石に対して特定量の炭素質還元剤を添加して混合し混合物とする。炭素質還元剤としては、特に限定されないが、例えば、石炭粉、コークス粉等が挙げられる。なお、炭素質還元剤としては、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と同等の粒度を有するものであることが好ましい。炭素質還元剤とニッケル酸化鉱石の粒度が同等であると、均一に混合し易くなり、その結果還元反応も均一に生じさせることができ好ましい。
【0027】
炭素質還元剤の混合量は、特に限定されないが、ニッケル酸化鉱石を構成する酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量を100%としたとき、50.0%以下の割合とすることが好ましく、40.0%以下とすることがより好ましい。ここで、酸化ニッケルと酸化鉄とを過不足なく還元するのに必要な炭素質還元剤の量とは、酸化ニッケルの全量をニッケルメタルに還元するのに必要な化学当量と、酸化鉄を鉄メタルに還元するのに必要な化学当量との合計値(以下、「化学当量の合計値」ともいう)と言い換えることができる。このように、炭素質還元剤の混合量を、化学当量の合計値を100%としたときに50.0%以下の割合とすることで、還元反応を効率的に進行させることができる。なお、炭素質還元剤の混合量の下限値としては、特に限定されないが、化学当量の合計値を100%としたときに、10.0%以上の割合とすることが好ましく、15.0%以上の割合とすることがより好ましい。
【0028】
ニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤のほか、任意成分として添加する鉄鉱石としては、特に限定されないが、例えば鉄品位が50%程度以上の鉄鉱石、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬により得られるヘマタイト等を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ベントナイト、多糖類、樹脂、水ガラス、脱水ケーキ等を挙げることができる。また、フラックス成分としては、例えば、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素等を挙げることができる。
【0029】
下記表1に、混合処理工程S1にて混合する、一部の原料粉末の組成(重量%)の一例を示す。なお、原料粉末の組成としてはこれに限定されない。
【0030】
【0031】
[混合物成形工程]
混合物成形工程S2は、混合処理工程S1で得られた混合物を成形する工程である。具体的には、原料粉末を混合して得られた混合物を、ある程度の大きさ以上の塊に成形し、次の還元工程S3での還元処理に際して、還元炉内に混合物を例えば積層して投入できるようにする。
【0032】
混合物を成形することで得られる塊状化物(ペレットとも称する)の形状としては、直方体状、円柱状、球状等とすることができる。このような形状であれば、混合物を成形し易く、成形にかかるコストを抑えることができる。また、これらの形状は、複雑なものではないため、不良品が出ることがほとんどなく成形における収率は極めて高い。また、直方体状、円柱状、球状の形状であれば、還元炉内で積層し易くなり、還元時に処理する量を多くすることが可能となる。そして、一つのペレットの形状を巨大化しなくても、還元時の処理量を増やすことができ、取り扱いも容易であり、また還元炉への装入時等に崩れ落ちたりすることがなく不良等が発生しづらい。
【0033】
成形(塊状化)した混合物のペレットの体積は、特に限定されず、例えば8000mm3以上とすることができる。ペレットの体積が小さすぎると成形コストが高くなり、また還元炉に装入するのに手間がかかる可能性がある。さらに、ペレットの体積が小さい場合には、ペレット全体に占める表面積の割合が高くなるため、表面と内部とで還元の差の現れやすくなり、フェロニッケルの品質に影響を及ぼす可能性がある。混合物のペレットの体積を8000mm3以上とすることで、成形コストを抑えることができ、取り扱いも容易なり好ましい。さらに、高い品質のフェルニッケルを製造することができる。
【0034】
混合物を成形した後には、乾燥処理を施すようにしてもよい。混合物中の水分により、還元処理における急激な昇温によって混合物中の水分が一気に気化、膨張して、混合物が粉々になってしまうこともある。そのため、混合物成形工程の後に乾燥工程を設け、混合物を乾燥するようにしてもよい。例えば、乾燥工程では、混合物の固形分が70重量%程度で、水分が30重量%程度となるように乾燥処理を施すことができる。
【0035】
混合物に対する乾燥処理の方法は、特に限定されず、例えば150℃~400℃の熱風を塊状物に対して吹き付けて乾燥させることができる。なお、比較的大きな塊状の混合物である場合、乾燥前や乾燥後の混合物にひびや割れが入っていてもよい。塊が大きい場合は、割れ等によって表面積が大きくなってもその影響は僅かである。
【0036】
下記表2に、混合物(乾燥処理後)における固形分中組成(重量部)の一例を示す。なお、混合物の組成としては、これに限定されるものではない。
【0037】
【0038】
[還元工程]
還元工程S3では、混合物成形工程S2で得られた混合物(成形物)を、還元炉内において所定の還元温度に還元加熱する。このような還元処理により、ニッケル酸化鉱石を含む混合物に対する製錬反応(還元反応)が進行して、メタルとスラグとが生成する。
【0039】
還元処理の温度(還元温度)としては、1200℃以上1500℃以下とすることが好ましく、1250℃以上1450℃以下とすることがより好ましい。このような範囲の還元温度とすることで、効率的にかつ確実に還元反応を進行させて、所望とする特性のフェロニッケルを得ることができる。
【0040】
なお、還元処理においては、混合物中のスラグは半熔融して液相と固相が混在した状態となるが、既に分離して生成したメタルとスラグとは混ざり合うことがなく、その後の冷却によってメタル固相とスラグ固相との別相として混在する混合物となる。この混合物の体積は、装入する混合物と比較すると50%~60%程度の体積に収縮している。
【0041】
さて、本実施の形態においては、還元処理対象である混合物を、対向する2つの側面に貫通孔が形成された横孔型試料用容器に収容して還元処理を施すようにしている。また、その横孔型試料用容器に収容した混合物の還元炉への装入、及び、還元処理により得られる還元物の還元炉からの取出しの操作においては、横孔型試料用容器の貫通孔に、断面が角形であって棒状の形状をした試料装入取出治具を挿入して持ち運ぶことによって行うことを特徴としている。
【0042】
まず、還元工程S3での還元処理に用いる還元炉の構成について説明する。
図2は、還元炉の構成の一例を示す模式図である。
【0043】
図2に示すように、還元炉1は、炉本体11が箱型形状(直方体形状)を有する箱型炉とすることができる。また、還元炉1は、特に限定されないが、所定の位置にバーナー12が備えられ、バーナーによる加熱によって還元処理を実行するバーナー炉とすることができる。還元炉1の加熱方式としてバーナー加熱(バーナー炉)を採用することで、優れた燃焼性により炉内を加熱することができ、好ましい。なお、バーナーの燃料は、特に限定されず、LPG等の気体燃料、重油等の液体燃料、石炭やコークス等の固体燃料のいずれであってもよいが、その中でもより燃焼性に優れている点でLPGが好ましい。
【0044】
また、還元炉1は、箱型の炉本体11の内部において試料台13が備えられている。試料台13は、還元処理対象である混合物を載置するための台である。試料台13の上面には、炭素質還元剤等の還元剤を敷いておいてもよい。
【0045】
また、還元炉1は、例えばその上部面(天井面)に、炉内のガスを排気する排気口14を備える。
【0046】
また、還元炉1の所定の側面には、試料である混合物を還元炉内に装入し、また還元処理により得られる還元物を還元炉から取り出すための試料装入取出口15が設けられている。試料装入取出口15は、その高さ位置が、炉本体11の内部にある試料台13の載置面の高さにほぼ相当する。したがって、試料装入取出口15から混合物を装入したときに、試料台13の載置面に適切に載置することができる。また、還元物を取り出す際にも、試料台13と同等の高さに設けられた試料装入取出口15から簡易に還元物を取り出すことができる。
【0047】
なお、図示しないが、試料装入取出口15には、開閉扉が設けられており、混合物の装入や還元物の取出しのときには開閉扉を開け、還元処理のときには開閉扉を閉めるといった操作を行うことができるようになっている。これにより、還元処理に際して還元炉1内を密閉空間とすることができる。
【0048】
次に、還元処理対象の混合物を収容する横孔型試料用容器について説明する。
図3は、横孔型試料用容器の構成を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は当該容器の側面を示す側面図である。
【0049】
図3に示すように、横孔型試料用容器2は、例えば四方に側面21~24を有する箱型の容器である。混合物は、横孔型試料用容器2の内部に収容され、その状態で、還元炉1内に装入されて還元処理が施される。横孔型試料用容器2は、上部の天井面が開口しており、その上部から還元物が容器内部に収容される。
【0050】
また、横孔型試料用容器2は、
図3に示すように、対向する2つの側面21,23に貫通孔21h,23hが形成されている。2つの貫通孔21h,23hは、それぞれの側面21,23において、容器底部からの高さ位置がほぼ同じ位置に形成されている。すなわち、同じ高さ位置において一直線上に配置されている。詳しくは後述するが、貫通孔21h,23hには、棒状の試料装入取出治具3(
図4参照)が、一方の貫通孔21hから他方の貫通孔23hに渡って挿入される。そして、天秤のように持ち上げた状態で、横孔型試料用容器2が持ち運ばれることによって、混合物を収容した横孔型試料用容器2の還元炉1への装入、還元炉1からの取出しが行われる。
【0051】
貫通孔21h,23hは、特に限定されないが、四角形状の孔であることが好ましい。貫通孔21h,23hが、四角形状の孔であることにより、後述するように断面が角形であって棒状の試料装入取出治具3を挿入させたとき、孔を構成する辺と試料装入取出治具3の角形の辺とが線で接するようになるため、安定的にその試料装入取出治具3により横孔型試料用容器2を保持して持ち運ぶことができる。孔の大きさは、その貫通孔に挿入される試料装入取出治具3の断面の大きさよりも十分に大きいことが好ましい。
【0052】
なお、貫通孔は、横孔型試料用容器2の2つの側面にのみ形成されることに限らず、例えば4つの全ての側面に形成されていてもよい。その場合でも、各貫通孔の容器底部からの高さ位置はほぼ同じであることが好ましい。
【0053】
次に、試料装入取出治具について説明する。
図4は、試料装入取出治具の構成の一例を示す側面図である。
【0054】
試料装入取出治具3は、還元炉1への混合物の装入、及び、還元処理により得られる還元物のその還元炉1からの取出しの操作に用いるための治具である。
図4に示すように、試料装入取出治具3は、長尺の棒状体からなり、その断面が角形である。
【0055】
また、試料装入取出治具3においては、例えば
図5(A)、(B)に示すように、その先端部が中央部付近よりもやや尖った形状であってもよい。これにより、横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hに挿入し易くなり、より的確にその貫通孔に挿入することができ、作業性を高めることができる。また、試料装入取出治具3の大きさは、横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hの大きさよりも小さくする。なお、熱膨張や横孔型試料用容器2の歪みを考慮して大きさを適宜設定することが好ましい。
【0056】
試料装入取出治具3は、混合物の装入及び取出しの操作において、上述した横孔型試料用容器2の側面21,23に形成されている貫通孔21h,23hに挿入される。具体的には、例えば、横孔型試料用容器2の外側より、試料装入取出治具3の先端部を、側面21に形成されている貫通孔21hに挿入し、その横孔型試料用容器2の内部を通って、対向する側面23に形成されている貫通孔23hに挿入する。
【0057】
すると、
図6に示すように、試料装入取出治具3が、貫通孔21hから貫通孔23hに渡って装着されている形態となる。言い換えると、横孔型試料用容器2を、試料装入取出治具3に対して引っ掛けた状態で保持している形態となる。この状態で、例えば、試料装入取出治具3の端部を作業者が把持して天秤のように持ち上げた状態にすることで、横孔型試料用容器2を持ち運ぶことができる。
【0058】
本実施の形態においては、このように、横孔型試料用容器2の2つの側面21,23にある貫通孔21h,23hに棒状の試料装入取出治具3を挿入して持ち運ぶことで、横孔型試料用容器2に収容した混合物の還元炉1への装入、及び、還元処理により得られる還元物の還元炉1からの取出しの操作を行う。特に、試料装入取出治具3が、断面が角形である角形棒であることにより、貫通孔21h,23hにおいてずれにくく安定的に保持でき、作業性が向上する。さらに、好ましくは横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hが四角形状であることにより、貫通孔21h,23hを構成する辺と試料装入取出治具3の角形の辺とが線で接するようになるため、より安定性を高めることができる。
【0059】
より具体的に、還元処理における、還元炉1に試料である混合物を装入する操作、また処理により得られた還元物を還元炉1から取り出す操作について説明する。
【0060】
まず、還元処理に供する試料である混合物を、横孔型試料用容器2の内部に収容する。続いて、試料装入取出治具3を準備し、混合物を収容させた横孔型試料用容器2の側面21に形成された貫通孔21hにその試料装入取出治具を先端部から挿入させ、容器内部を通過させた後に、対向する側面23に形成された貫通孔23hからその先端部を外部に出す。これにより、試料装入取出治具3に、貫通孔21hから貫通孔23hに渡って横孔型試料用容器2が引っ掛かって保持されている状態となる(
図6参照)。この状態で、棒状の試料装入取出治具3の端部を作業者が把持して持ち上げることで、混合物を収容した横孔型試料用容器2を持ち運ぶことができる。
【0061】
次に、試料装入取出治具3により横孔型試料用容器2を保持した状態で、還元炉1の側面に設けられた試料装入取出口15の開閉扉を開き、作業者が試料装入取出治具3の端部を把持して横孔型試料用容器2を試料装入取出口15から還元炉1内に装入する。そして、作業者は試料装入取出治具3の端部を把持したまま、その横孔型試料用容器2を炉本体11内に設けられた試料台13付近までいれ、静かにその試料台13上に載置する。
【0062】
その後、横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hから試料装入取出治具3の抜き出し、その試料装入取出治具3のみを試料装入取出口15から還元炉1の外に出す。そして、試料装入取出口15に設けられた開閉扉を閉め、バーナー12による還元炉1の加熱を開始し、試料台13に載置した横孔型試料用容器2内の混合物に対する還元処理を実行する。このとき、混合物の装入に際して用いた試料装入取出治具3は、還元炉1から抜き出しているため、還元処理においては炉外にあり、高温の熱による負荷を回避できる。
【0063】
還元処理の終了後、還元炉1の試料台13に載置した横孔型試料用容器3の内部では、混合物に対する加熱還元により還元物が生成している。その還元物の還元炉1からの取出しの操作は、装入時の操作と逆の流れで行う。すなわち、還元炉1に設けられた試料装入取出口15の開閉扉を開け、試料装入取出治具3を入れて、試料台13に載置されている横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hに挿入し、還元炉1への装入時と同様に、試料装入取出治具3により横孔型試料用容器2を保持した状態(
図6参照)とする。
【0064】
その状態で、試料装入取出治具3の端部を把持して引き出すことで、還元炉1から還元物を収容した横孔型試料用容器2を容易に取り出すことができる。
【0065】
なお、還元処理を開始するにあたり、試料装入取出治具3を炉外に出さないようにしてもよい。すなわち、試料装入取出治具3により保持した状態の横孔型試料用容器2を還元炉1に装入して試料台13上に載置させた後、試料装入取出治具3を横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hに挿入したままの状態で、試料装入取出口15に設けられた開閉扉を閉めて還元炉1の加熱を開始してもよい。このようにしても、横孔型試料用容器2には貫通孔21h,23hを介して試料装入取出治具3が挿入された状態であるため、たとえ高温の熱によって試料装入取出治具3に変形が生じたとしても、還元処理の終了後にその試料装入取出治具3の端部を把持すれば、還元炉1の外にスムースに横孔型試料用容器2を取出すことが可能となる。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、対向する2つの側面21,23に貫通孔21h,23hが形成された横孔型試料用容器2に混合物を収容し、混合物の還元炉1への装入、及び、還元処理により得られる還元物の還元炉1からの取出しの操作において、その横孔型試料用容器2の貫通孔21h,23hに棒状の試料装入取出治具3を挿入して引っ掛けた状態として持ち運ぶようにしていることから、搬送を安定的にかつスムースに行うことができる。また、例えば従来のような杓の変形による作業性の悪化を防ぐことができる。その結果、得られた還元物の酸化等による品質低下を効果的に抑制することができる。
【0067】
また、例えば様々な組成のサンプルを装入して所定の反応時間で有効な反応条件を探索するような試験に供する場合では、その混合物を還元炉1内に載置する位置(炉内位置)の検討も重要となる。この点、上述したような操作によって混合物の装入を行うことで、混合物の還元炉への載置も正確に行うことができ、反応条件の探索試験をより有効に行うことが可能となる。
【0068】
以上のような還元工程S3での還元処理を行うことで、精度よく確実に、かつ効率的にフェロニッケルを製造することができる。
【0069】
[回収工程]
回収工程S4では、還元工程S3にて生成したメタルとスラグとを分離してメタルを回収する。具体的には、容器に充填させた状態の混合物に対する還元加熱処理によって得られた、メタル相(メタル固相)とスラグ相(スラグ固相)とを含む混合物(混在物)からメタル相を分離して回収する。
【0070】
固体として得られたメタル相とスラグ相との混在物からメタル相とスラグ相とを分離する方法としては、例えば、篩い分けによる不要物の除去に加えて、比重による分離や、磁力による分離等の方法を利用することができる。
【0071】
また、得られたメタル相とスラグ相は、濡れ性が悪いことから容易に分離することができ、上述した還元工程S3における処理で得られた、大きな混在物に対して、例えば、所定の落差を設けて落下させる、あるいは篩い分けの際に所定の振動を与える等の衝撃を与えることで、その混在物からメタル相とスラグ相とを容易に分離することができる。
【0072】
このようにしてメタル相とスラグ相とを分離することによってメタル相、すなわちフェロニッケルを回収する。
【実施例0073】
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0074】
[実施例、比較例]
以下に示すような条件で、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石と炭素質還元剤との混合物を還元してフェロニッケルを製造するニッケル酸化鉱石の製錬方法を実行した。
【0075】
(混合処理工程)
原料鉱石としてのニッケル酸化鉱石と、鉄鉱石と、フラックス成分である珪砂及び石灰石、バインダー、及び炭素質還元剤(石炭粉、炭素含有量:78重量%、平均粒径:約83μm)を、適量の水を添加しながら混合機を用いて混合して混合物を得た。炭素質還元剤は、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石に含まれる酸化ニッケルと酸化鉄(Fe2O3)とを過不足なく還元するのに必要な量を100%としたときに37.0%の割合となる量で含有させた。
【0076】
(混合物成形工程)
次に、得られた混合物を、パン型造粒機を用いて造粒し、φ15.0±0.5mmの大きさに篩った。その後、試料については、還元前に、固形分が70重量%程度、水分が30重量%程度となるように170℃~250℃の熱風を吹き付けることで乾燥処理を施した。下記表3に、乾燥処理後の試料の固形分組成(炭素を除く)を示す。
【0077】
【0078】
(還元工程)
次に、篩った試料(混合物試料)を12個に分け(実施例1~9、比較例1~3)、還元炉(バーナー炉)を用いて加熱して還元処理を施した。
【0079】
このとき、実施例では、
図3に模式図を示したような横孔型試料用容器を用い、その容器の中に混合物を収容して還元処理を施すようにした。また、還元炉への混合物の装入と生成した還元物の還元炉からの取出しに際しては、
図4に示したような、断面が角形であって棒状の試料装入取出治具を用い、
図6に示したように、その試料装入取出治具を、横孔型試料用容器の2つの側面に形成された貫通孔に挿入して持ち運ぶことによって行った。なお、横孔型試料用容器内における試料を載置する上面に灰(主成分はSiO
2、その他の成分としてAl
2O
3、MgO等の酸化物を少量含有する)を敷き詰め、その上に混合物試料を載置するようにした。
【0080】
還元炉として、箱型のバーナー炉であって、内部の試料台が設けられ、試料台の載置面に高さ位置に相当する位置の所定の側面に試料装入取出口が設けられているもの(
図2参照)を用いた。還元炉は、バーナーが備えられており、燃料には微粉炭、LPG、重油、及びコークスを用いた。
【0081】
具体的に、実施例では、還元炉への装入に際して、混合物を収容させた横孔型試料用容器の2つの側面に形成された貫通孔に試料装入取出治具を挿入して、その試料装入取出治具の端部を把持して持ち上げて、還元炉の側面に設けられた試料装入取出口から装入した。還元炉内に設けられた試料台の上方付近までいれ、静かに、横孔型試料用容器を試料台上に載置した。
【0082】
その後、横孔型試料用容器の貫通孔に挿入した試料装入取出治具を抜き出してその試料装入取出治具のみを、試料装入取出口から取出した。試料装入取出口に設けられた開閉扉を閉め、バーナーによる還元炉の加熱を開始して、試料台に載置した横孔型試料用容器内の混合物に対する還元処理を実行した。
【0083】
続いて、還元処理の終了後、還元炉に設けられた試料装入取出口の開閉扉を開け、試料装入取出治具を横孔型試料用容器が載置されている付近までいれた。そして、横孔型試料用容器に貫通孔に試料装入取出治具を挿入して、その状態で、試料装入取出治具の端部を把持して持ち上げることで、横孔型試料用容器に入った還元物を還元炉から取出した。
【0084】
取出した還元物を冷却したのち、下記に示すニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率を測定した。
【0085】
一方、比較例では、
図7(A)に側面図を示すような取手部が設けられた試料用容器と、
図7(B)に示すような杓を用い、試料用容器内に混合物試料を収容し、試料用容器の取手部に杓を引っ掛けて還元炉への装入を行った。また、還元処理の終了後は、同様にして、杓を試料用容器の取手部に引っ掛けて還元炉から取出した。なお、還元処理においては、試料装入取出口の開閉扉を閉じて行った。
【0086】
[評価]
各試料を冷却した後、下記式により定義される、ニッケルメタル化率、メタル中ニッケル含有率について、ICP発光分光分析器(SHIMAZU S-8100)により分析して算出した。
ニッケルメタル率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中の全てNiの量)×100(%) ・・・[1]式
メタル中ニッケル含有率=混合物中のメタル化したNiの量÷(混合物中のメタルしたNiとFeの合計量)×100(%) ・・・[2]式
【0087】
また、還元炉からの還元物の取出し作業についても評価を行った。すなわち、取出し作業を問題なく行うことができた場合を『○』とし、試料用容器が傾いたりずれたりして取出し作業において30秒以上の時間を要した場合を『△』として、評価した。
【0088】
下記表4に、還元処理の条件と、取出し作業性、ニッケルメタル率、メタル中ニッケル含有率の算出結果をそれぞれ示す。
【0089】
【0090】
表4に示されるように、実施例1~9では、試料取出しの作業性に優れ、ニッケルメタル化率、メタル含有率も共に良好な結果となった。これは、横孔型試料用容器に混合物を収容して還元炉への装入及び還元炉からの取出しを行ったことから、傾きやずれも生じずに安定的かつスムースな作業が可能になったことによると考えられる。
【0091】
一方で、比較例1~3では、作業の安定性が低下し、傾きやずれが生じたために作業時間を要してしまい、その結果、得られた還元物の品質も低下させた。