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特開2022-138936チャックテーブル、及び被加工物の保持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022138936
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】チャックテーブル、及び被加工物の保持方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20220915BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220915BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20220915BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B24B41/06 L
H01L21/68 P
B24B7/04 A
B23Q3/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039105
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】禹 俊洙
【テーマコード(参考)】
3C016
3C034
3C043
5F131
【Fターム(参考)】
3C016DA13
3C034AA08
3C034BB73
3C043BA03
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
5F131AA12
5F131AA23
5F131BA32
5F131CA07
5F131EA05
5F131EB02
5F131EB56
5F131EB58
5F131EB78
(57)【要約】
【課題】チャックテーブルにおいて、外周が反り上がった被加工物を吸引面で適切に吸引保持する。
【解決手段】被加工物90を加工する研削装置1に配置され、吸引源18に連通させた吸引面342で被加工物90を吸引保持するチャックテーブル3であって、被加工物90の下面902の面積より狭い面積の吸引面342を備えるポーラス部34と、被加工物90の下面902の外周側領域905が接触する環状スポンジ35と、被加工物90によって圧縮された環状スポンジ35の上面350と吸引面342とが同一高さになるように環状スポンジ35を配置する環状基台37と、を備えるチャックテーブル3。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工装置に配置され、吸引源に連通させた吸引面で該被加工物を吸引保持するチャックテーブルであって、
該被加工物の下面の面積より狭い面積の該吸引面を備えるポーラス部と、
該被加工物の下面の外周側領域が接触する環状スポンジと、
該被加工物によって圧縮された該環状スポンジの上面と該吸引面とが同一高さになるように該環状スポンジを配置する環状基台と、を備えるチャックテーブル。
【請求項2】
前記環状基台の内周と前記ポーラス部の外周との間に環状に形成され吸引源に連通可能な環状溝を備える請求項1記載のチャックテーブル。
【請求項3】
前記被加工物が多角形状である場合において、多角環状である前記環状基台の内周と多角形状である前記ポーラス部の外周との間で該ポーラス部の角に形成され吸引源に連通可能な吸引孔を備える請求項1記載のチャックテーブル。
【請求項4】
前記環状スポンジは、単独気泡スポンジを用いる請求項1、請求項2、又は請求項3記載のチャックテーブル。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のチャックテーブルの前記吸引面に前記被加工物を吸引保持させる被加工物の保持方法であって、
該吸引面の上に該被加工物を配置し、上から該被加工物を押して該被加工物で前記環状スポンジを圧縮させると共に、該吸引面を吸引源に連通させ、該環状スポンジを圧縮させた状態で該吸引面に該被加工物を吸引保持させる被加工物の保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を吸引保持するチャックテーブル、及び該チャックテーブルを用いて被加工物を吸引保持する被加工物の保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、又は特許文献2に開示されているように、矩形の被加工物を吸引保持する際に、被加工物の大きさに合わせてチャックテーブルの吸引面を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-115526号公報
【特許文献2】特開2016-132056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、被加工物の外周部分が反り上がっている場合、吸引面の吸引力より被加工物が反り上がる力が勝っており、被加工物の外周部分が浮き上がり、吸引面で被加工物を適切に吸引保持することができない場合が生じるという問題がある。
よって、チャックテーブルにおいては、例えば外周部分が反り上がった被加工物であっても吸引面で適切に吸引保持するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、被加工物を加工する加工装置に配置され、吸引源に連通させた吸引面で該被加工物を吸引保持するチャックテーブルであって、該被加工物の下面の面積より狭い面積の該吸引面を備えるポーラス部と、該被加工物の下面の外周側領域が接触する環状スポンジと、該被加工物によって圧縮された該環状スポンジの上面と該吸引面とが同一高さになるように該環状スポンジを配置する環状基台と、を備えるチャックテーブルである。
【0006】
本発明に係るチャックテーブルは、前記環状基台の内周と前記ポーラス部の外周との間に環状に形成され吸引源に連通可能な環状溝を備えると好ましい。
【0007】
本発明に係るチャックテーブルは、前記被加工物が多角形状である場合において、多角環状である前記環状基台の内周と多角形状である前記ポーラス部の外周との間で該ポーラス部の角に形成され吸引源に連通可能な吸引孔を備えると好ましい。
【0008】
前記環状スポンジは、単独気泡スポンジを用いると好ましい。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明は、前記チャックテーブルの前記吸引面に前記被加工物を吸引保持させる被加工物の保持方法であって、該吸引面の上に該被加工物を配置し、上から該被加工物を押して該被加工物で前記環状スポンジを圧縮させると共に、該吸引面を吸引源に連通させ、該環状スポンジを圧縮させた状態で該吸引面に該被加工物を吸引保持させる被加工物の保持方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るチャックテーブルは、被加工物の下面の面積より狭い面積の吸引面を備えるポーラス部と、被加工物の下面の外周側領域が接触する環状スポンジと、被加工物によって例えば限界まで圧縮された環状スポンジの上面と吸引面とが同一高さになるように環状スポンジを配置する環状基台と、を備えることで、外周部分が反り上がっている被加工物の外周部分を環状スポンジに押し付けつつ吸引面で吸引保持することで、該反りを解消した状態でバキュームリークを発生させることなく被加工物を吸引保持することが可能となる。
【0011】
本発明に係るチャックテーブルは、環状基台の内周とポーラス部の外周との間に環状に形成され吸引源に連通可能な環状溝を備えることで、被加工物の反った外周部分に対する吸引力を被加工物の中央部分に対する吸引力よりも強くすることができるため、反り上がった外周部分を環状スポンジに押し付けつつ被加工物を吸引面及び環状溝で吸引保持することで、被加工物を該反りを解消した状態でバキュームリークを発生させることなく吸引保持することが可能となる。
【0012】
本発明に係るチャックテーブルは、被加工物が多角形状である場合において、多角環状である環状基台の内周と多角形状であるポーラス部の外周との間でポーラス部の角に形成され吸引源に連通可能な吸引孔を備えることで、被加工物の反った角部分に対する吸引力を被加工物の中央部分に対する吸引力よりも強くすることができるため、反り上がっている外周部分を環状スポンジに押し付けつつ被加工物を吸引面及び吸引孔で吸引保持することで、該反りを解消した状態(特に、角部分の反りを重点的に解消した状態)でバキュームリークを発生させることなく吸引保持することが可能となる。
【0013】
本発明に係るチャックテーブルにおいて、前記環状スポンジは、単独気泡スポンジを用いることで、より該反りを解消した状態でバキュームリークを発生させることなく、被加工物を吸引保持することが可能となる。
【0014】
チャックテーブルの吸引面に被加工物を吸引保持させる本発明に係る被加工物の保持方法は、吸引面の上に被加工物を配置し、上から被加工物を押して被加工物で環状スポンジを圧縮させると共に、吸引面を吸引源に連通させ、環状スポンジを圧縮させた状態で吸引面に被加工物を吸引保持させることで、被加工物を外周部分の反りを解消した状態でバキュームリークを発生させることなく吸引保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るチャックテーブルを備える加工装置の一例を示す斜視図である。
図2】環状基台の内周とポーラス部の外周との間に環状に形成し吸引源に連通可能な環状溝を備えるチャックテーブルの一例を示す斜視図である。
図3】多角環状である環状基台の内周と多角形状であるポーラス部の外周との間でポーラス部の角に形成し吸引源に連通可能な吸引孔を備えるチャックテーブルの一例を示す斜視図である。
図4】チャックテーブルに被加工物を載置してから、チャックテーブルに被加工物を押し付け機構によって押し付け始める際の状態を説明する断面図である。
図5】被加工物を押して被加工物で環状スポンジを圧縮させると共に、吸引面を吸引源に連通させ、環状スポンジを圧縮させた状態で吸引面に被加工物を吸引保持させている状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示す加工装置は、チャックテーブル3上に吸引保持された被加工物90を加工ユニット16によって研削加工する研削装置1であり、研削装置1の装置ベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル3に対して被加工物90の着脱が行われる着脱領域であり、装置ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工ユニット16によってチャックテーブル3上に保持された被加工物90の研削加工が行われる加工領域である。
なお、本発明に係る加工装置は、研削装置1のような加工ユニット16が1軸の加工装置に限定されるものではなく、粗研削ユニットと仕上げ研削ユニットとを備え、回転するターンテーブルで被加工物90を粗研削ユニット又は仕上げ研削ユニットの下方に位置づけ可能な2軸以上の研削装置等であってもよい。
なお、本発明に係る加工装置は、研磨パッドで被加工物90を研磨する研磨装置、または、旋削バイトで被加工物90を旋削するバイト加工装置であってもよい。
【0017】
図1に示す被加工物90は、例えば、PCB等からなる矩形の基板の上面に等間隔にシリコンチップが配置されており、該シリコンチップを含めて基板の上面がエポキシ樹脂等によってモールドされている。そして、該モールド樹脂の収縮力等によって、全体が平面視矩形状の被加工物90は外周部分における反りを有している。図4に示すように、被加工物90の外周部分における反りは、例えば被加工物90の吸引保持される下面902の中央の領域から外周側領域905に向かって徐々に高くなっていくような反りである。そして、被加工物90の上面904が研削される被研削面となる。
なお、被加工物90は本例に限定されるものではなく、平面視円形のシリコンウェーハ等であってもよい。
【0018】
図1図2に示すチャックテーブル3は、被加工物90の下面902の面積より狭い面積の吸引面342を備えるポーラス部34と、図4に示す被加工物90の下面902の外周側領域905が接触する環状スポンジ35と、被加工物90によって圧縮された環状スポンジ35の上面350と吸引面342とが同一高さになるように環状スポンジ35を配置する環状基台37と、を備える。
【0019】
図1に示すように、チャックテーブル3は、例えば平面視円形のテーブル基台30を備えており、該テーブル基台30の上面に平面視矩形の図4に示す環状基台37が埋設されている。
図2、及び図4に示す環状基台37は、平面視矩形の底板370と、該底板370の外周側領域に所定の高さで垂直に立設された四角環状の環状壁371とを備えている。環状基台37の平面視における大きさは、例えば被加工物90の外周と環状壁371の外周が略同一となる大きさに設定されている。なお、環状壁371の外周が僅かに被加工物90の外周より大きくてもよい。
【0020】
環状基台37の環状壁371の内側の空間に、ポーラス部34が収容されている。ポーラス部34は、例えば、ポーラスセラミックス、ポーラスメタル、多孔質ポリテトラフルオロエチレン、又はポーラスカーボン等で構成されており、その外形が平面視で被加工物90と相似形で被加工物90の大きさよりも小さな矩形の板状に形成されている。そして、ポーラス部34の上面であり、環状基台37から露出する露出面は、被加工物90の下面902の面積より狭い面積の吸引面342となる。
【0021】
例えば、図4に示す環状基台37の底板370の上面には、複数の図示しない吸引溝が形成されており、該吸引溝は、真空発生装置やエジェクター機構等の吸引源18に図示しない樹脂チューブ等を介して連通している。そして、吸引源18が生み出し図示しない吸引溝に伝達された吸引力は、該吸引溝によってポーラス部34の全域に広げられる。
【0022】
図4に示す環状基台37の環状壁371の環状上面374には、四角環状の環状スポンジ35が接着剤等によって接着されている。環状スポンジ35は、例えば、ウレタンフォーム、シリコンスポンジ等の単独気泡スポンジである。なお、連泡スポンジであってもよい。
また、環状スポンジ35が、連泡スポンジである場合には、外側面351と上面350とに樹脂をコーティングして該両面の気泡を塞いだスポンジでもよい。
【0023】
環状スポンジ35の厚みは、環状スポンジ35に外力が付与されていない自然体の状態においては、ポーラス部34の吸引面342よりも環状スポンジ35の上面350が高い位置になるように設定されている。そして、環状スポンジ35は、-Z方向の外力が加えられて圧縮(例えば、限界近くまで圧縮)された場合に、その上面350の高さ位置と吸引面342とが同一高さになる。
なお、被加工物90の外周部分に製品にならない余剰領域を備える場合は、吸引面342より圧縮された場合の環状スポンジ35の上面350が僅かに高くなっていてもよい。
【0024】
図2図4に示すように、本実施形態におけるチャックテーブル3は、例えば、環状基台37の内周とポーラス部34の外周との間に例えば四角環状に形成され吸引源18に連通可能な環状溝36を備えている。四角環状の環状溝36は、ポーラス部34の吸引面342の外周部分を所定幅所定深さで四角環状に切り欠いて形成されている。
環状溝36に伝達される吸引力によって、チャックテーブル3は、吸引保持する被加工物90の下面902のうち、中央領域903よりも外周側領域905をより強く吸引保持することができる。
【0025】
本実施形態のように、被加工物90が平面視多角形状(四角形)である場合には、チャックテーブル3は、上記環状溝36の代わりに、例えば図3に示すように、四角環状の環状基台37の内周と四角形状のポーラス部34の外周との間でポーラス部34の四角にそれぞれ形成し吸引源18に連通可能な吸引孔38を備えていてもよい。吸引孔38は、ポーラス部34をZ軸方向に貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
吸引孔38に伝達される吸引力によって、チャックテーブル3は、吸引保持する被加工物90の下面902のうち、中央領域903よりも四隅の角領域をより強く吸引保持することができる。
【0026】
図1に示すように、チャックテーブル3は、カバー39によって周囲から囲まれつつ軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸に回転可能であり、また、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー390の下方に配設された図示しないY軸移動機構によって、装置ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。図示しないY軸移動機構は、ボールネジ等からなる電動スライダーである。
【0027】
図1に示すように、加工領域には、コラム11が立設されており、コラム11の-Y方向側の前面には加工ユニット16をチャックテーブル3に対して離間又は接近する鉛直方向(Z軸方向)に研削送りする昇降ユニット17が配設されている。昇降ユニット17は、軸方向がZ軸方向であるボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170の上端に連結しボールネジ170を回動させる昇降モータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173とを備えており、昇降モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板173に固定された加工ユニット16がZ軸方向に研削送りされる。
【0028】
チャックテーブル3に保持された被加工物90を研削加工する加工ユニット16は、軸方向がZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に接続された円環状のマウント163と、マウント163の下面に着脱可能に装着された研削ホイール164と、ハウジング161を支持し昇降ユニット17の昇降板173に固定されたホルダ165とを備える。
【0029】
研削ホイール164は、ホイール基台1641と、ホイール基台1641の底面に環状に配置された略直方体形状の複数の研削砥石1642とを備える。研削砥石1642は、例えば、レジンボンドやメタルボンド等でダイヤモンド砥粒等が固着されて成形されている。
【0030】
回転軸160の内部には、研削水供給源に連通し研削水の通り道となる図示しない流路が、回転軸160の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、該図示しない流路は、さらにマウント163を通り、ホイール基台1641の底面において研削砥石1642に向かって研削水を噴出できるように開口している。
【0031】
例えば、装置ベース10上の着脱領域におけるチャックテーブル3の移動経路脇となる位置には、チャックテーブル3の吸引面342上に載置された被加工物90を上方から下方に向かって押す押し付け機構4が配設されている。
【0032】
押し付け機構4は、装置ベース10上に配設された電動シリンダ又はエアシリンダ等の昇降機構40と、昇降機構40の図示しない昇降ロッドの上端側に後端側が取り付けられチャックテーブル3の移動経路上方まで水平に延在するアーム部41と、アーム部41の先端下面に取り付けられた押し付けパッド44と、を備えている。
【0033】
昇降機構40によってZ軸方向に昇降可能であり、Z軸方向においてチャックテーブル3の吸引面342の中心と中心を合致させて正対する押し付けパッド44は、例えば、平面視で環状基台37(図4参照)と同一の大きさ、又は環状基台37よりも少しだけ大きな大きさの矩形に形成されている。
押し付けパッド44の平坦な下面はポーラス部材等からなる吸引面443となっており、吸引面443には、継手及び樹脂チューブ等を介して真空発生装置等の吸引源449が連通している。なお、押し付けパッド44の下面は、被加工物90を吸引保持できる吸引面443となっていなくてもよい。
【0034】
以下に、図1に示す研削装置1によりチャックテーブル3に保持された被加工物90を研削する場合の、研削装置1の各構成の動作について説明する。
まず、チャックテーブル3が図示しないY軸移動機構によってY軸方向に移動して、例えば、着脱領域内における押し付け機構4の押し付けパッド44の直下に位置付けされる。また、チャックテーブル3が所定角度回転されて、押し付けパッド44の形とチャックテーブル3の環状基台37の形とが略合致せしめられる。
【0035】
図4に示すように、例えば作業者によって、被加工物90がチャックテーブル3のポーラス部34の吸引面342に互いの中心を略合致させ、かつ、環状基台37の形と被加工物90の形とを略合致させた状態で吸引面342に載置される。即ち、被加工物90は、下面902の中央領域903から外周側領域905に向かって徐々に高くなっていくようにして、ポーラス部34の吸引面342に配置される。
【0036】
図示しない吸引源が作動して生み出された吸引力が吸引面342に伝達されることにより、チャックテーブル3が吸引面342上で被加工物90の下面902の中央領域903をまず吸引保持する。
【0037】
さらに、図5に示すように、昇降機構40によって押し付けパッド44が所定の速度で下降していく。押し付けパッド44が被加工物90の上面904に接触して、被加工物90の下面902の外周側領域905が環状スポンジ35の上面350に押し付けられていく。そして、吸引源18の生み出す吸引力が、ポーラス部34を通り環状溝36により多く伝達されて、圧縮されていない状態の環状スポンジ35にも該強力な吸引力が伝達される。そのため、環状溝36の上方及び環状スポンジ35の上面350に位置する下面902の外周側領域905が強く下方に引き寄せられる。そして、環状スポンジ35が押圧されて圧縮(例えば、限界まで完全に圧縮)されることで、吸引源18に連通した状態の吸引面342と環状スポンジ35の上面350とが同一高さとなった状態で、環状スポンジ35よりも内側の空間が圧縮された環状スポンジ35と被加工物90とにより密閉されて、吸引面342及び環状溝36からのバキュームリークが無い状態になる。そして、被加工物90は外周部分の反りが解消された状態で、チャックテーブル3にバキュームリーク無く吸引保持された状態になる。
なお、押し付けパッド44が被加工物90を吸引面342に押し付けた状態で、吸引面342を吸引源18に連通させてもよい。
【0038】
チャックテーブル3が、例えば図3に示す吸引孔38を備えている場合においても、上記と略同様に被加工物90を吸引保持できる。即ち、下降する押し付けパッド44が被加工物90の上面904に接触して、外周側領域905が環状スポンジ35の上面350に押し付けられていく。吸引源18の生み出す吸引力が、ポーラス部34を通り吸引孔38に強く伝達されて、環状スポンジ35にも該強力な吸引力が伝達される。そのため、吸引孔38の上方及び環状スポンジ35の上面350に位置する被加工物90の下面902の外周側領域905が強く下方に引き寄せられる。そして、環状スポンジ35が押圧されて圧縮(例えば、限界まで完全に圧縮)されることで、吸引面342と環状スポンジ35の上面350とが同一高さとなった状態で、環状スポンジ35よりも内側の空間が圧縮された環状スポンジ35と被加工物90とにより密閉されて、吸引面342及び吸引孔38からのバキュームリークが無い状態になる。そして、被加工物90は反りが解消された状態、特に角部分の反りが解消された状態で、チャックテーブル3にバキュームリーク無く吸引保持された状態になる。
【0039】
チャックテーブル3に被加工物90が反りを解消した状態で吸引保持された後、押し付けパッド44が上昇して被加工物90から離間する。
次いで、図示しないY軸移動機構が、被加工物90を保持したチャックテーブル3を図1に示す加工ユニット16の下まで移動して、研削ホイール164と被加工物90との位置合わせがなされる。位置合わせは、例えば、研削ホイール164の回転中心が吸引面342の回転中心(被加工物90の回転中心)に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削ホイール164の回転軌道が吸引面342の回転中心を通るように行われる。
【0040】
研削ホイール164とチャックテーブル3に吸引保持された被加工物90との位置合わせが行われた後、図1に示すモータ162により回転軸160が回転駆動されるのに伴って、例えば、研削ホイール164が+Z方向側からみて反時計周り方向に回転する。また、昇降ユニット17が加工ユニット16を-Z方向へと降下させていき、研削ホイール164が被加工物90の上面904に当接することで研削加工が行われる。
【0041】
研削加工中は、チャックテーブル3が+Z方向側からみて反時計周り方向に回転するのに伴って被加工物90も回転するので、研削ホイール164が被加工物90の上面904の全面の研削加工を行う。例えば、研削加工中は、研削水を回転軸160中の図示しない流路を通して研削ホイール164と被加工物90との接触部位に対して供給して、接触部位を冷却・洗浄する。
そして、被加工物90が所望の厚みまで研削された後、研削ホイール164が上昇して、被加工物90から離間する。研削後の被加工物90は、例えば、押し付けパッド44によって吸引保持されて、チャックテーブル3から搬出される。
【0042】
本発明に係るチャックテーブル3、及びチャックテーブル3が配設される研削装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、チャックテーブル3を用いた被加工物90の研削加工も上記実施形態に限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0043】
90:被加工物 904:被加工物の上面 902:被加工物の下面 905:被加工物の下面の外周側領域 903:被加工物の下面の中央領域
1:研削装置 10:装置ベース 11:コラム
17:昇降ユニット 16:加工ユニット
3:チャックテーブル 30:テーブル基台
37:環状基台 370:底板 371:環状壁
34:ポーラス部 342:吸引面 35:環状スポンジ 350:環状スポンジの上面
351:環状スポンジの外側面
36:環状溝 38:吸引孔
39:カバー 390:蛇腹カバー
4:押し付け機構 40:昇降機構 41:アーム部 44:押し付けパッド 443:吸引面 449:吸引源
図1
図2
図3
図4
図5