(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013911
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ペリレン化合物、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 491/22 20060101AFI20220111BHJP
C07D 493/22 20060101ALI20220111BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20220111BHJP
H01L 51/44 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C07D491/22 CSP
C07D493/22
H01L31/04 154A
H01L31/04 154D
H01L31/04 154C
H01L31/04 112A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110097
(22)【出願日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2020115747
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼発行日 令和3年1月24日 ▲2▼刊行物(刊行物名、巻数、号数、該当ページ、発行所/発行元等) Chem Asian J.2021,16,690-695(発行元 Wiley-VCH) 〔刊行物等〕 ▲1▼ウェブサイトの掲載日 令和2年9月3日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス(URL) https://confit.atlas.jp/guide/event/photochemistry2020/participant_login?eventCode=photochemistry2020(ポスター番号「3P034」) 〔刊行物等〕 ▲1▼開催日 ポスター公開日:令和2年9月8日 開催期間:令和2年9月9日~9月11日 発表を行った日:令和2年9月11日 ▲2▼集会名、開催場所 2020年Web光化学討論会(オンライン開催(https://photochemistry.jp/web2020/)) 〔刊行物等〕 ▲1▼発行日 令和3年3月4日 ▲2▼刊行物(刊行物名、巻数、号数、該当ページ、発行所/発行元等) 日本化学会 第101春季年会 講演予稿集(発行元:日本化学会) (ウェブサイトのアドレス:https://confit.atlas.jp/guide/event-img/csj101st/A16-1pm-16/public/pdf?type=in) 〔刊行物等〕 ▲1▼開催日 令和3年3月19日~22日(発表日:令和3年3月19日) ▲2▼集会名、開催場所 日本化学会 第101春季年会(2021) オンライン開催(https://confit.atlas.jp/guide/event/csj101st/top)
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(71)【出願人】
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(74)【代理人】
【識別番号】100140578
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】平本 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 誠一郎
【テーマコード(参考)】
4C050
4C071
5F151
【Fターム(参考)】
4C050AA02
4C050AA08
4C050BB07
4C050CC07
4C050DD09
4C050EE02
4C050FF02
4C050GG03
4C050HH01
4C071AA02
4C071AA08
4C071BB03
4C071BB08
4C071CC14
4C071DD40
4C071EE07
4C071FF17
4C071GG01
4C071HH08
4C071JJ10
4C071KK01
4C071LL05
5F151AA11
5F151CB14
5F151DA07
5F151FA04
5F151FA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高い溶解性を有する新規なペリレンビスイミド化合物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】式1のペリレン化合物。
(Ar:C
1、C
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環であり、Zを更に含んでもよい。Z:-O-等。R
1~R
4:H等。R
10:置換基を有していてもよいアルキル基。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表される、イミド基を有するペリレン化合物。
【化1】
[式中、
C
1及びC
2は炭素原子を示し、
ArはC
1及びC
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、
Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、
R
10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。]
【請求項2】
前記芳香族環が置換基を有していてもよいベンゼン環であり、Zが-O-、-S-、又は-NH-である、請求項1に記載のペリレン化合物。
【請求項3】
下記式2:
【化2】
で表され、
C
1及びC
2は炭素原子を示し、
ArはC
1及びC
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、
Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、
R
5は置換基を有していてもよいアルキル基を示す、
エステル基を有するペリレン化合物から出発して、
2つの前記エステル基の脱アルコール縮合反応により酸無水物基を形成することと、
前記酸無水物基を、R
10-NH
2(R
10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)で表されるアミン化合物との反応によりイミド化することと、
Xが結合する炭素原子とC
2とを結合させることにより7員環構造を形成することと、
を含む、
請求項1に記載のペリレン化合物を製造する方法。
【請求項4】
下記式5で表される、酸無水物基を有するペリレン化合物。
【化3】
[式中、
C
1及びC
2は炭素原子を示し、
ArはC
1及びC
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、
Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。]
【請求項5】
下記式1:
【化4】
で表され、
C
1及びC
2は炭素原子を示し、
ArはC
1及びC
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、
Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、
R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、
R
10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す、
イミド基を有するペリレン化合物から出発して、2つの前記イミド基を酸無水物基に変換することを含む、
請求項4に記載のペリレン化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項4に記載のペリレン化合物の酸無水物基を、アミン化合物との反応によりイミド化することを含む、イミド基を有するペリレン化合物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イミド基を有するペリレン化合物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペリレンビスイミド化合物は、高い安定性と電子輸送性を有することから、有機薄膜太陽電池を構成するn型有機半導体への適用が期待される(例えば、非特許文献1)。ペリレンビスイミド化合物に7員環構造を導入する方法も報告されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Chem.Commun., 2014, 50, 1024
【非特許文献2】Org.Lett. 2020, 22, 11, 4283-4288
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペリレンビスイミドの基本骨格は、化合物の溶解性を著しく低下させるため、ペリレンビスイミド化合物の合成のためには、長鎖分岐アルキル基又はかさ高い置換基のような、溶解性を付与するための置換基を導入する必要があった。しかし、そのような置換基は、絶縁性を増大させたり、分子間の相互作用を阻害したりする傾向を有することから、発電効率の低下の原因となり易い。
【0005】
そこで、本開示の一側面は、高い溶解性を有することができる新規なペリレンビスイミド化合物、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面は、下記式1で表される、イミド基を有するペリレン化合物を提供する。
【化1】
【0007】
式中、C1及びC2は炭素原子を示し、ArはC1及びC2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、R10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。
【0008】
本開示の別の一側面は、下記式2:
【化2】
で表される、エステル基を有するペリレン化合物から出発して、2つの前記エステル基の脱アルコール縮合反応により酸無水物基を形成することと、前記酸無水物基を、R
10-NH
2(R
10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)で表されるアミン化合物との反応によりイミド化することと、Xが結合する炭素原子とC
2とを結合させることにより7員環構造を形成することとを含む、式1で表されるペリレン化合物を製造する方法を提供する。式2中、C
1及びC
2は炭素原子を示し、ArはC
1及びC
2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、R
1、R
2、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、R
5は置換基を有していてもよいアルキル基を示す。この方法によれば、ペリレン化合物1を効率的に製造することができる。上述の非特許文献2による方法は、1つの7員環構造の導入には適用できるものの、複数のブロモ基の位置選択的な導入が困難であることから、ペリレン化合物1のような配置の2つの7員環構造を有する化合物の合成のためには実質的に適用できない。
【0009】
本開示の更に別の一側面は、下記式5で表される、酸無水物基を有するペリレン化合物を提供する。このペリレン化合物は、例えば、式1で表されるペリレン化合物を製造するための中間体として有用である。
【化3】
【0010】
式中、C1及びC2は炭素原子を示し、ArはC1及びC2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示し、該芳香族環がZを更に含んでもよく、Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示し、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。
【0011】
本開示の更に別の一側面は、上記式1で表されるイミド基を有するペリレン化合物から出発して、2つの前記イミド基を酸無水物基に変換することを含む、式5で表される、酸無水物基を有するペリレン化合物を製造する方法を提供する。
【0012】
本開示の更に別の一側面は、式5で表されるペリレン化合物の酸無水物基を、アミン化合物との反応によりイミド化することを含む、イミド基を有するペリレン化合物を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一側面によれば、高い溶解性を有することができる新規なペリレンビスイミド化合物、及びその製造方法が提供される。本発明の一側面に係るペリレン化合物をn型有機半導体のアクセプタ材料として用いることにより、優れた発電特性を示す有機薄膜太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】有機薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。
【
図2】ペリレン化合物の
1H NMRスペクトルである。
【
図3】ペリレン化合物の吸収及び発光スペクトルである。
【
図4】ペリレン化合物の
1H NMRスペクトルである。
【
図5】ペリレン化合物を用いた有機薄膜太陽電池の電流-電圧特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は以下に説明される例に限定されるものではない。
【0016】
ペリレン化合物の一例は、下記式1で表される、ペリレンビスイミドの基本骨格を含む化合物である。このペリレン化合物1は、7員環構造が導入されていることから、ねじれた分子構造を有する。ねじれた分子構造が、溶解性の向上に寄与すると考えられる。
【0017】
【0018】
式1中、C1及びC2は炭素原子を示し、ArはC1及びC2を含み置換基を有していてもよい芳香族環を示す。Arの芳香族環は、Zを更に含んでもよい。Zは-O-、-S-、-NH-、又は、Arとともに前記芳香族環を形成している炭素原子若しくは窒素原子を示す。R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示す。R10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。R1、R2、R3及びR4が水素原子であってもよい。
【0019】
Arは、単環の芳香族環であってもよく、縮合芳香族環であってもよい。ArがC1及びC2を含み、Zを含まない芳香族環である場合、Zは-O-、-S-、又は-NH-である。Arによって示される芳香族環が有し得る置換基は、例えば、ハロゲン原子(臭素原子、塩素原子等)、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基であってもよい。
【0020】
例えば、Arが置換基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環であってもよい。Arがベンゼン環である場合、ペリレン化合物は例えば下記式1Aで表される。式1A中、R7はハロゲン原子(臭素原子、塩素原子等)、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基を示し、nは0~4の整数を示す。1分子中の複数のR7は同一でも異なってもよい。式1A中、Zは-O-、-S-、又は-NH-であり、R1、R2、R3、R4及びR10は式1中のR1、R2、R3、R4及びR10と同義である。
【0021】
【0022】
R1、R2、R3又はR4としてのアルキル基は、炭素数1~6、1~5、1~4又は1~3のアルキル基であってもよく、脂環基を含んでいてもよく、直鎖又は分岐アルキル基であってもよい。アルキル基の置換基は、例えばハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。
【0023】
R1、R2、R3又はR4としてのアリール基は、例えばフェニル基であってもよい。アリール基の置換基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。
【0024】
R1、R2、R3又はR4としてのアルキルオキシ基は、1~6、1~5、1~4又は1~3のアルキルオキシ基であってもよく、脂環基を含んでいてもよい。アルキルオキシ基の置換基は、例えばハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。
【0025】
R1、R2、R3又はR4としてのアリールオキシ基は、例えばフェニルオキシ基であってもよい。アリールオキシ基の置換基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。置換基を有するアリールオキシ基が、p-メチルフェニルオキシ基であってもよい。
【0026】
R10としてのアルキル基は、炭素数1~20のアルキル基であってもよく、直鎖状、分岐状、又は環状であることができる。R10が、置換基を有していてもよい炭素数1~6の直鎖状アルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、又は-CH2-R31で表される基であってもよい。R31は炭素数3~10の分岐アルキル基を示す。R10としてのアリール基は、例えばフェニル基であってもよい。
【0027】
R10としてのアルキル基が有する置換基は、例えば、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。R10としてのアリール基が有する置換基は、例えばハロゲン原子、アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。
【0028】
R10の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、1-ペンチルヘキシル基、n-オクチル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、フェニル基(Ph)、シクロペンチル基、シクロヘキシルメチル基、及びシクロペンチルメチル基が挙げられる。
【0029】
ペリレン化合物1は、例えば、下記式2で表される、エステル基を有するペリレン化合物から合成することができる。
【0030】
【0031】
式2中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子(臭素原子、塩素原子等)を示す。式2中のC1、C2、Ar、Z、R1、R2、R3及びR4は式1中のC1、C2、Ar、Z、R1、R2、R3及びR4と同義である。C2にハロゲン原子(臭素原子、塩素原子等)が結合していてもよく、結合していなくてもよい。
【0032】
R5としてのアルキル基は、炭素数1~6、1~5、1~4又は1~3のアルキル基であってもよく、脂環基を含んでいてもよく、直鎖又は分岐アルキル基であってもよい。アルキル基の置換基は、例えばハロゲン原子、置換基を有していてもよいアリール基(例えば置換又は無置換のフェニル基)、アルコキシ基、又は置換基を有していてもよいアリールオキシ基(例えば置換又は無置換のフェニルオキシ基)であってもよい。R5の具体例としては、ベンジル基(Bn)が挙げられる。
【0033】
ペリレン化合物2から出発して、2つのエステル基の脱アルコール縮合反応により酸無水物基を形成することと、酸無水物基を、R10-NH2(R10は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)で表されるアミン化合物との反応によりイミド化することと、Xが結合する炭素原子とC2とを結合させることにより7員環構造を形成することとの組み合わせを含む方法により、ペリレン化合物1を得ることができる。これらの各反応の順序は制限されない。
【0034】
ペリレン化合物1を製造する方法の一例は、ペリレン化合物2中の酸無水物基の脱アルコール縮合反応により、下記式3で表される、酸無水物基を有するペリレン化合物3を生成させる工程と、ペリレン化合物3の酸無水物基とアミン化合物との反応により、下記式4で表される、イミド基を有するペリレン化合物4を生成させる工程と、ペリレン化合物4中のXが結合する炭素原子とC2とを結合させることにより7員環構造を形成し、それによりペリレン化合物1を生成させる工程とをこの順に含んでもよい。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
ペリレン化合物2は、例えば、下記式11で表されるペリレン化合物11と下記式20で表される芳香族化合物20との反応により下記式12で表されるペリレン化合物12を生成させることと、ペリレン化合物12のハロゲン化により下記式13で表されるペリレン化合物13を生成させることと、ペリレン化合物13と芳香族化合物20との反応により下記式14で表されるペリレン化合物14を生成させることと、ペリレン化合物14のブロモ化によりペリレン化合物2を生成させることとを含む方法により、得ることができる。
【0039】
【0040】
【0041】
上記式中、C1、C2、Ar、Z、R1、R2、R3、R4、R5及びXは全て前記と同義である。ペリレン化合物11又は13と芳香族化合物20との反応、及び、ペリレン化合物12又は14のブロモ化反応は、当業者には理解されるように通常の反応手法にしたがって行うことができる。
【0042】
芳香族化合物20の具体例としては、2-ブロモ-4-メチルフェノール、フェノール、4-メチルフェノール、1-ナフトール、2-ナフトール、ヒドロキノン、フロログルシノール、ベンゼンチオール、p-トルエンチオール、N-メチルアニリン、及びN-メチル-p-トルイジンが挙げられる。
【0043】
ペリレン化合物2の脱アルコール縮合反応は、例えば酸触媒の存在下、必要により加熱しながら行うことができる。酸触媒は、特に制限されないが、例えばp-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、濃硫酸、又は濃塩酸であってもよい。溶液中の反応の場合、溶媒は例えばトルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、又はクロロベンゼンであってもよい。
【0044】
ペリレン化合物3のイミド化反応は、必要により触媒の存在下で進行させることができる。イミド化反応のための触媒は、例えばイミダゾールであってもよい。アミン化合物が反応温度で液体である場合、アミン化合物を溶媒として用いてもよい。イミド化反応の反応温度は、例えば80~180℃であってもよい。
【0045】
ペリレン化合物1を製造する方法の他の一例は、ペリレン化合物2中のXが結合する炭素原子とC2とを結合させることにより7員環構造を形成し、その後、酸無水物基を形成すること、又は、ペリレン化合物2中のエステル基の脱アルコール縮合反応により酸無水物基を形成し、その後、7員環構造を形成することにより、下記式5で表されるペリレン化合物5を得ることを含む。ペリレン化合物5のイミド化により、ペリレン化合物1を得ることができる。
【0046】
【0047】
ペリレン化合物5を製造する方法の別の一例は、ペリレン化合物1から出発して、2つのイミド基を酸無水物基に変換することを含む。イミド基は、例えば、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムによる加水分解、及びそれに続く酸(例えば濃塩酸又は濃硫酸)による処理を含む方法によって、酸無水物基に変換することができる。
【0048】
得られたペリレン化合物5の酸無水物基を、式:R
11-NH
2で表されるアミン化合物との反応によって再度イミド化することにより、イミド基の窒素原子に結合した置換基R
11が異なる多様なペリレン化合物1’を合成することができる。
【化13】
【0049】
R11は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示し、その具体例はR10と同様である。7員環が形成される前のペリレン化合物3をイミド化する上述の方法の場合、アミン化合物の種類によっては、イミド基を有する化合物が十分に高い収率で生成し難い場合があるが、そのような場合であっても、ペリレン化合物5を経る置換基の変換によって、多様な置換基又は複雑な分子構造を有する、イミド基を有するペリレン化合物の誘導体が効率的に製造され得る。ペリレン化合物5を、ジアミン化合物等との反応により、ポリイミドの合成のための単量体として利用することも可能である。
【0050】
以上例示的に説明された方法により得られる、ペリレンビスイミドの基本骨格を含むペリレン化合物1(又はペリレン化合物1’)は、例えば、有機薄膜太陽電池のn型有機半導体(アクセプタ材料)として有用である。
図1は、有機薄膜太陽電池の一例を示す断面図である。
図1に示される有機薄膜太陽電池100は、支持基板11と、支持基板11上に設けられたカソード21、正孔ブロッキング層22、電荷発生層50、電子ブロッキング層32及びアノード31とを有する。カソード21、正孔ブロッキング層22、電荷発生層50、電子ブロッキング層32及びアノード31がこの順に積層されている。電荷発生層50は、アクセプタ材料としてのペリレン化合物1又は1’と、ドナー材料とを含む。ドナー材料は特に制限されない。その他の層は、有機薄膜太陽電池を構成する通常の材料を用いて構成される。
【実施例0051】
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
1.ペリレン化合物VIの合成
1-1.ペリレン化合物IIの合成
【化14】
【0053】
ペリレン化合物Iを文献に従い合成した(J. Org. Chem. 2018, 83, 624.)。アルゴン雰囲気下、ペリレン化合物II(862 mg, 0.99 mmol)、炭酸カリウム(275 mg, 1.99 mmol)、18-crown-6(526 mg, 1.99 mmol)、及び2-ブロモ-4-メチルフェノール(277mg,1.49 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(9.9 mL)に溶かした。形成された反応溶液を50℃に昇温し3時間撹拌した。反応溶液に水を加え、生じた沈殿をセライトを用いた吸引ろ過により回収した。セライト上のろ物を酢酸エチルに溶かし、得られた溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=5/1)を用いた精製によりペリレン化合物II(866 mg, 0.89 mmol, 90%)を得た。
【0054】
【0055】
ペリレン化合物II(866mg, 0.89 mmol)、及びN-ブロモスクシンイミド(NBS)(316 mg, 1.78 mmol)をジクロロメタン(8.9 mL)に溶かした。形成された反応溶液に塩化鉄(III)(58 mg, 0.36 mmol)を加え、反応溶液を室温下で2時間撹拌した。さらにNBS(158 mg, 0.89 mmol)を加え、反応溶液を室温下で4時間撹拌した。反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。ジクロロメタンを用いた抽出により得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=3/1)を用いた精製により、ペリレン化合物III(1010 mg, 0.89 mmol, 100%)を得た。
【0056】
【0057】
アルゴン雰囲気下、ペリレン化合物III(1010 mg, 0.89 mmol)、炭酸カリウム(246 mg, 1.78 mmol)、18-crown-6(470 mg, 1.78 mmol)、及び2-ブロモ-4-メチルフェノール(249mg,1.34 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(8.9 mL)に溶かした。形成された反応溶液を50℃に昇温し3時間撹拌した。反応溶液に水を加え、生じた沈殿をセライトを用いた吸引ろ過により回収した。セライト上のろ物を酢酸エチルに溶かし、得られた溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=5/1)を用いた精製により、ペリレン化合物IV(935 mg, 0.76 mmol, 85%)を得た。
【0058】
【0059】
ペリレン化合物IV(935mg, 0.76 mmol)、及びN-ブロモスクシンイミド(NBS)(538 mg, 3.02 mmol)をジクロロメタン(7.6 mL)に溶かした。形成された反応溶液に塩化鉄(III)(50 mg, 0.30 mmol)を加え、反応溶液を45℃に昇温し4時間撹拌した。反応溶液にチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた。ジクロロメタンを用いた抽出により得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=3/1)を用いた精製、及びそれに続くクロロホルム及びヘキサンを用いた再沈殿により、ペリレン化合物V(656 mg, 0.50 mmol, 66%)を得た。
【0060】
1-5.ペリレン化合物VIの合成(脱アルコール縮合反応)
【化18】
【0061】
アルゴン雰囲気下、ペリレン化合物V(1.70 g, 1.29 mmol)、及びp-トルエンスルホン酸一水和物(736 mg, 3.87 mmol)をトルエン(13 mL)に溶かした。形成された反応溶液を95℃に昇温し12時間撹拌した。反応溶液に水を加え、有機層をクロロホルムで抽出した。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。クロロホルム及びヘキサンを用いた再沈殿により、ペリレン化合物VI(1.21 g, 1.29 mmol, 100%)を得た。
【0062】
2.イミド基及び7員環構造を有するペリレン化合物の合成
2-1.ペリレン化合物VIIの合成(イミド化)
【化19】
【0063】
ペリレン化合物VI(200mg, 0.22 mmol)、及び2-エチルヘキシルアミン(112mg, 0.87 mmol)を含むフラスコに、1-ブタノール/水の混合溶媒(混合比1 : 1, 4.3 mL)を加えた。フラスコ内の反応溶液を80℃に加熱し24時間撹拌した。反応溶液に水を加えた。ジクロロメタンを用いた抽出により得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/ヘキサン=3/1)を用いた精製、及びそれに続くクロロホルム及びメタノールを用いた再沈殿により、ペリレン化合物VII(167 mg, 0.50 mmol, 67%)を得た。
【0064】
2-2.ペリレン化合物VIIIの合成(7員環構造の形成)
【化20】
【0065】
窒素雰囲気下、ペリレン化合物VII(50 mg, 0.044 mmol)、酢酸パラジウム(11 mg, 0.048 mmol)、テトラフルオロホウ酸トリシクロヘキシルホスフィン(12 mg, 0.033 mmol)、炭酸カリウム(33 mg, 0.24 mmol)、及びピバル酸(4.0 mg, 0.039 mmol)を含むシュレンク管に、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(4.4 mL)を加えた。シュレンク管内の反応溶液を120℃に加熱し2時間撹拌した。反応溶液に水を加えた。クロロホルムを用いた抽出により得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン)を用いた精製、及びそれに続くクロロホルム及びメタノールを用いた再沈殿により、ペリレン化合物VIII(30 mg, 0.031 mmol, 71%)を得た。
図2は、ペリレン化合物VIIIのCDCl
3中での
1H NMRスペクトルである。
図3は、ペリレン化合物VIIIのCHCl
3中での吸収及び発光スペクトル(励起波長:545nm)である。発光量子収率Φ
Fは0.15であった。ペリレン化合物VIIIは、クロロホルムに対する10mg/mL以上の溶解度、及びトルエンに対する5mg/mL以上の溶解度を有していた。このような溶解度は、溶液プロセスによるデバイス作製のために十分である。
【0066】
2-3.ペリレン化合物IXの合成(イミド化)
【化21】
【0067】
ペリレン化合物VI(227mg, 0.25 mmol)、及びアニリン(115 mg, 1.23 mmol)を含むフラスコに、1-ブタノール/水の混合溶媒(混合比1:1, 19 mL)を加えた。フラスコ内の反応溶液を80℃に加熱し5日間撹拌した。反応溶液に水を加えた。クロロホルムを用いた抽出によって得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/トルエン=1/50)を用いた精製、及びそれに続くクロロホルム及びメタノールを用いた再沈殿により、ペリレン化合物IX(158 mg, 0.15 mmol, 60%)を得た。
【0068】
2-4.ペリレン化合物Xの合成(7員環構造の形成)
【化22】
【0069】
窒素雰囲気下、ペリレン化合物IX(51 mg, 0.048 mmol)、酢酸パラジウム(2.7 mg, 0.012mmol)、及びテトラフルオロホウ酸トリシクロヘキシルホスフィン(8.8 mg, 0.024 mmol)、炭酸カリウム(33 mg, 0.24 mmol)を含むシュレンク管に、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(4.8mL)を加えた。シュレンク管内の反応溶液を120℃に加熱し2時間撹拌した。反応溶液に3%塩酸水溶液を加えた。ジクロロメタンを用いた抽出により得られた有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)を用いた精製、及びそれに続くクロロホルム及びメタノールを用いた再沈殿により、ペリレン化合物X(6.3 mg, 0.007 mmol, 15%)を得た。
図4は、ペリレン化合物XのCDCl
3中での
1H NMRスペクトルである。ペリレン化合物Xも、クロロホルム、トルエンの溶媒に対して十分な溶解性を示した。
【0070】
3.有機薄膜太陽電池の作製と評価
有機薄膜太陽電池を、グローブボックス内の不活性雰囲気下で作製した。UV-O3処理がされた酸化インジウムスズ(ITO)基板(カソード)上に、80%エトキシ化されたポリエチレンイミン(PEIE)の2-メトキシエタノール溶液をスピンコート法によって塗布し、塗膜を乾燥させて、ポリエチレンイミンの薄膜を正孔ブロッキング層として形成した。正孔ブロッキング層上に、ドナー材料としてのPTB7-Thと、アクセプター材料としてのペリレン化合物VIIIと、1,8-ジヨードオクタンとを含む溶液をスピンコート法によって塗布し、塗膜を乾燥させて、電荷発生層の薄膜を形成した。電荷発生層上に、電子ブロッキング層としての酸化モリブデン層と、アノードとしての銀薄膜とを真空蒸着法により順次形成した。以上の操作により、評価用の有機薄膜太陽電池を得た。比較のため、ペリレン化合物VIIIに代えて下記ペリレン化合物XIを用いたこと以外は同様にして、有機薄膜太陽電池を作製した。
【0071】
【0072】
作製した有機薄膜太陽電池の疑似太陽光(AM 1.5 G, 100 mW cm
-2)照射下での電流-電圧特性を測定した。
図5はペリレン化合物VIIIを用いた有機薄膜太陽電池の電流-電圧特性を示すグラフである。測定結果から求められた太陽電池性能を表す各パラメータ(短絡電流密度J
SC、開放端電圧V
OC、曲線因子FF、変換効率PCE)の値を表1に示す。7員環構造が導入されたペリレン化合物VIIは、ペリレン化合物XIと比較して電池特性の向上が認められた。
【0073】
【0074】
4.イミド基及び7員環構造を有するペリレン化合物の合成
4-1.ペリレン化合物XIIIの合成(イミド基から酸無水物基への変換)
【化24】
2-ブロモ-4-メチルフェノールに代えて4-メチルフェノールを用いたこと、及び、2-エチルヘキシルアミンに代えてシクロヘキシルアミンを用いたこと以外はペリレン化合物VIIIの合成と同様の反応により、イミド基を有するペリレン化合物XIIを合成した。ペリレン化合物XII(20 mg, 0.026 mmol)と水酸化カリウム(147 mg, 2.6 mmol)をフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴンで置換してから2-プロパノール(1.3 mL)を更に投入して、反応液を形成した。反応液を、撹拌しながら90℃で12時間加熱した。反応液を放冷した後、反応液に濃塩酸(10 mL)を加え、沈殿を析出させた。沈殿を濾過により取り出し、水で十分に洗浄後、乾燥して、酸無水物基を有するペリレン化合物XIII(暗赤色粉末)を得た(収量19 mg、収率100%)。
【0075】
4-2.ペリレン化合物XIVの合成
【化25】
ペリレン化合物VIに代えてペリレン化合物XIIIを用いたこと以外はペリレン化合物VIIの合成と同様の反応により、イミド基を有するペリレン化合物XIVを得た(収率80%)。