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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022139209
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】基板検査装置、基板検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20220915BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021039482
(22)【出願日】2021-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】槙 孝一郎
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051BA01
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA08
(57)【要約】
【課題】基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能な基板検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段に支持された前記基板の検査を行う基板検査手段と、を有する基板検査装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段に支持された前記基板の検査を行う基板検査手段と、を有する基板検査装置。
【請求項2】
前記基板検査手段は、
前記基板に対して光を照射する光源と、
前記基板を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像を処理する画像処理手段と、を有する請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板を回転させる基板回転手段を有する請求項1または請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
基板支持手段により、複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の前記基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持する基板支持工程と、
前記基板支持手段により支持された前記基板の検査を行う基板検査工程と、を有する基板検査方法。
【請求項5】
前記基板検査工程は、
前記基板に対して、光源から光を照射する光照射工程と、
前記基板を撮像手段により撮像する撮像工程と、
前記基板に対して、前記光源から光を照射する位置を変化させながら、前記光照射工程と、前記撮像工程とを繰り返し実施する繰り返し工程と、
前記撮像工程で得られた画像を処理する画像処理工程と、を有する請求項4に記載の基板検査方法。
【請求項6】
前記繰り返し工程において、前記基板を基板回転手段により回転させながら、前記光照射工程と、前記撮像工程とを繰り返し実施する請求項5に記載の基板検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板検査装置、基板検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造のために各種基板が用いられている。半導体デバイス等の歩留まり向上のため、半導体デバイス等の製造工程に供する前に、基板を検査できる基板検査装置や基板検査方法について従来から各種検討がなされていた。
【0003】
例えば特許文献1には、基板の被検査面上に光を照射する光照射部と、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を取得する撮像部と、前記基板又は前記光照射部の位置を制御することで、前記被検査面上に映る前記光照射部の画像を移動させる移動部と、前記光照射部から照射された光が前記被検査面の欠陥部分で散乱することで形成された像であって前記光照射部の画像の輪郭線よりも外側に形成された像を検出することで、前記被検査面の検査を行う検査部と、を備える基板の検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-020824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来から用いられている基板の検査装置では、検査対象となる基板を1枚ずつ検査台まで搬送し、検査台に設置する必要があった。また、検査後の基板は、再度搬送し、カセット等に収納する必要があった。
【0006】
このため、基板を収容したカセット等と基板検査装置との間を搬送するための搬送装置等、多くの搬送系を使う必要があり、設備のコストが高くなるという問題があった。
【0007】
そこで上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の一側面では、基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能な基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持する基板支持手段と、
前記基板支持手段に支持された前記基板の検査を行う基板検査手段と、を有する基板検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能な基板検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一態様に係る検査装置の模式図。
図2】基板支持手段の一構成例の説明図。
図3】明領域、および撮像領域の説明図。
図4】透過領域の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いながら説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[基板の検査装置]
本発明の発明者らは、基板を搬送する搬送系を抑制できるように、基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能な基板検査装置について検討を行った。
【0012】
そして、基板支持手段によりカセットから基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持した状態で、基板の検査を行うことで、基板を搬送するための搬送系を抑制しコストを抑制した検査装置にできることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
図1に示すように、本発明の基板検査装置10は、基板支持手段11と、基板検査手段12とを有することができる。
【0014】
基板支持手段11は、複数枚の基板を収容したカセット20から、1枚の基板21を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持できる。
【0015】
基板検査手段12は、基板支持手段に支持された基板の検査を行うことができる。
【0016】
以下、本実施形態の基板検査装置が有する各部材について説明する。図1において、基板支持手段11により基板21を移動させる方向がZ軸方向であり、Z軸と垂直な面がXY平面となる。
(1)基板支持手段
基板支持手段11は、複数枚の基板21を収容したカセット20から、1枚の基板21を、少なくとも該基板21の表面の一部が露出するように移動させ、支持できる。
【0017】
基板支持手段11は、カセット20から、基板を、少なくとも該基板の表面の一部が露出するように移動させ、支持できる手段であればよく、その構成は特に限定されない。
図1に示すように、通常、カセット20には、複数枚の基板21が並列に、間隔をあけて収容されている。なお、図1では記載を省略しているが、基板21同士が接触しないように、基板21間には仕切りが設けられていることが一般的である。そして、カセット20には、第1面20Aに、基板21を出し入れするための開口部201が設けられ、第1面20Aと反対側に位置する第2面20Bに、開口部201よりも幅の小さいスリット202が設けられている。スリット202は、カセット20の内部に連通する開口部となる。
【0018】
このため、基板支持手段11は、例えばスリット202から挿入可能であり、基板21の側面を押圧し、カセット20からスライドさせ、移動させる手段とすることができる。基板支持手段11は、上述のように、基板の側面を押圧し、基板をスライドさせる手段であればよく、例えば単なる棒状体であってもよい。また、基板支持手段11は、例えば、図2に示した様に、基板21の側面21Cと対向する面11Aが、基板21の側面21Cに対応した円弧形状を有することもできる。なお、図2は、基板21を基板支持手段により移動、支持している状態を、基板21の第1主表面21A側から見た図になる。基板21の主表面とは、基板21の最も大きい面を意味し、基板21は、第1主表面21Aと、第1主表面21Aと反対側に位置する第2主表面21Bとを有する。
【0019】
なお、基板支持手段11は、上述の手段に限定されず、例えば基板21の第1主表面21Aに吸着し、カセット20から移動させることができる吸着ピンセットのような手段であってもよい。基板支持手段11が吸着ピンセットの場合、該基板支持手段11は、カセット20の開口部201から挿入するように構成してもよく、上記の場合と同様にスリット202から挿入するように構成してもよい。
【0020】
基板支持手段11は、カセット20から、基板21を、基板21の主表面、例えば第1主表面21Aの少なくとも一部が露出するように、基板21を移動させることができる。なお、この際、基板21を、基板の主表面、例えば第1主表面21A全体が露出するように、基板21をカセット20から取り出すこともできる。
【0021】
搬送系を抑制する観点から、基板支持手段11は、基板21を一方向にのみ移動させることが好ましい。例えば、基板支持手段11は、基板21をカセット20に該基板21を収容、取出しを行う際の方向に沿ってのみ、移動させることが好ましい。すなわち、基板21を、複数枚の基板21の配列方向と垂直な方向、例えば図1中のZ軸方向にのみ移動させることが好ましい。
【0022】
基板支持手段11は、カセット20内の任意の基板を移動、支持できるように、その位置を移動させる第1搬送手段111や、第2搬送手段112を有することもできる。第1搬送手段111は、基板支持手段をX軸方向に沿って搬送することができ、第2搬送手段112は基板支持手段11をZ軸方向に沿って搬送できる。第1搬送手段111、第2搬送手段112の具体的な構成は特に限定されないが、リニアレールや、リニアガイド、リニアシャフト等とモーター等の駆動手段を組み合わせた構成が挙げられる。
【0023】
なお、カセット20を置いたカセット載置台22を搬送可能に構成して、カセット載置台22により、カセット20を基板21の配列方向に沿って、すなわちX軸方向に沿って移動できるようにすることもできる。この場合、基板支持手段11はZ軸方向のみに移動可能とし、X軸方向には移動しないように構成することもできる。
【0024】
図1では、基板検査装置10が、1つの基板支持手段11を備えた例を示しているが、係る形態に限定されず、複数枚の基板を同時に移動させ、該複数枚の基板を同時に検査することもできる。この場合、同時に検査する基板の枚数に応じて、基板支持手段11や、基板検査手段12を複数台有することができる。
(2)基板検査手段
基板検査手段12は、基板支持手段11に支持された基板21の検査を行うことができる。基板検査手段12の構成は特に限定されず、基板21について要求される検査の内容に応じた構成とすることができる。
【0025】
本実施形態の基板検査装置10は、カセット20から、少なくとも表面の一部が露出するように基板21を移動させている。このため、例えば基板の表面に光を照射し、その透過光、もしくは反射光を用いて基板表面の凹凸や、色ムラ等を検査する検査装置であることが好ましい。
【0026】
そこで、基板検査手段12は、例えば基板21に対して光を照射する光源121A(121B)と、基板21を撮像する撮像手段122と、撮像手段122により得られた画像を処理する画像処理手段123と、を有することができる。
(2-1)基板検査手段による基板検査方法の概要について
(基板表面の凹凸の有無の検査)
基板検査手段12が、光源121Aから、基板21の第1主表面21Aに線状の光を照射した場合に、基板の第1主表面21Aのうち線状の光を反射する明領域と、明領域に隣接する暗領域との境界近傍において、基板表面の凹凸のコントラストが高まる。基板検査手段12は、基板の第1主表面21Aのうちの、上記明領域と暗領域との境界近傍を撮像手段122により撮像する操作を、上記光を照射する位置を変化させることで明領域の位置を変化させながら繰り返し実施できる。そして、得られた画像を画像処理手段によりつなぎ合わせることで、基板21の第1主表面21Aの凹凸を明確にした画像が得られ、基板21の第1主表面21Aの凹凸の有無を検査できる。
【0027】
基板21の主表面上の光を照射する位置を変化させる方法は特に限定されず、基板21、および光源121Aから選択された1以上の部材を移動させることで実施できる。具体的には、例えば基板21を後述する基板回転手段により回転させることで、または光源121Aの位置を変化させる等により、基板21の主表面上の光の照射位置を変化させることができる。以下の他の検査の場合でも同様である。
【0028】
なお、基板21の第2主表面21B側に、光源121B、図示しない撮像手段を設け、同様に光の照射と、撮像と、画像処理とを行うことで、基板21の第2主表面21B側の凹凸の有無の検査を行うこともできる。
(基板表面の色ムラの検査)
色ムラの検査を行う場合、基板検査手段12が、光源121Aから、基板21の第1主表面21Aに線状の光を照射した場合に、基板の第1主表面21Aのうち線状の光を反射する、すなわち光を直接照射した明領域以外の領域を観察できる。係る領域を観察することで、基板21の第1主表面21Aの色ムラ、すなわち色の異なる領域を容易に検知できる。そして、基板21の第1主表面21Aのうちの、上記明領域以外の領域を撮像手段122により撮像する操作を、明領域の位置を変化させながら繰り返し実施し、得られた画像を、画像処理手段123によりつなぎ合わせることで、基板21の第1主表面21Aの色ムラを明確にした画像が得られ、第1主表面21Aの色ムラを検査することができる。
【0029】
なお、基板21の第2主表面21B側に、光源121B、図示しない撮像手段を設け、同様に光の照射と、撮像と、画像処理とを行うことで、基板21の第2主表面21Bの色ムラを検査することもできる。
(透過光を用いた基板の凹凸の検査)
基板検査手段12が、基板21の第2主表面21Bに、光源121Bから線状の光を照射すると、基板21の第1主表面21Aのうち、光源121Bから照射された線状の光を透過した透過領域において、基板の表面の凹凸のコントラストが高まる。そして、基板21の第1主表面21Aのうちの、上記透過領域を撮像(撮影)する操作を、透過領域の位置を変化させながら繰り返し実施し、画像処理手段123により得られた画像をつなぎ合わせることで、基板21の第1主表面21A、および第2主表面21Bの凹凸を明確にした画像が得られる。このため、基板の主表面に含まれる凹凸の検査を行うことができる。
(2-2)各部材の構成例について
上記基板検査手段12が有する各部材の構成例について説明する。
(2-2-1)光源
基板の表面の凹凸や、色ムラを検出する場合には、光源121A、121Bとしては線状の光を照射できる線光源であることが好ましい。
【0030】
ここでいう線状の光としては照射した基板21の表面上で線状形状を有していればよく、その具体的な形状は特に限定されないが、例えば直線状の光、屈曲部を含む線状の光、および波線状の光等から選択されたいずれかの光とすることができる。なお、屈曲部を含む線状の光の屈曲部の形状は特に限定されず、例えば円弧形状や、所定の角度で屈曲したL字形状(くの字形状)等とすることができる。屈曲部を含む線状の光の屈曲部の数は特に限定されず、1または複数の屈曲部を有することもできる。屈曲部を含む線状の光が、複数の屈曲部を有する場合、屈曲部の形状は同じ形状であってもよいが、異なる形状の屈曲部を有していても良い。また、波線状の光は、波線となるように所定の間隔で向きを交互に変えながら屈曲部を配置した線状の光となる。線状の光としては特に直線状の光であることが好ましい。
【0031】
線状の光は、一定の厚みを有する光であるため、帯状の光と言い換えることもできる。例えば直線状の光の場合であれば略四角形状の光となる。
【0032】
線状の光の長手方向の長さは特に限定されないが、効率的に検査を行う観点から、例えば基板21の幅方向全体に渡って光を照射し、後述する明領域や、透過領域を形成できるようにその長さを選択することができる。
【0033】
光源121A、121Bは、撮像手段122により撮像する領域に線状の光が照射された領域を生じるように、基板21に対して光を照射できる。このため、光源121A、121Bの種類は特に限定されず、撮像手段122により撮像する領域等に応じて選択でき、平面光源、線光源のいずれであっても良い。
【0034】
光源121A、121Bの発光手段としては特に限定されないが、例えば蛍光灯や、有機または無機のエレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード、各種ディスプレイ等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0035】
また、光源121A、121Bが発する光の波長も特に限定されず、基板に照射した光を、撮像手段122により反射像や透過像を撮像できるものであれば良い。このため、光源が発する光は、例えば赤外線光、可視光、紫外線光のいずれでも良いが、光の波長によっては撮像手段が高価になる場合や、そのサイズが大きくなる場合があるため、光源が発する光は、可視光を含むことが好ましい。
【0036】
なお、効率的に検査を行う観点から、光源121A、121Bは、基板21に対して互いに平行な複数の線状の光を照射できるように構成することもできる。この場合には、基板に照射した複数の線状の光を反射する複数の明領域の間に、暗領域が形成されるように、複数の線状の光の間隔を調整しておくことが好ましい。
(2-2-2)撮像手段
撮像手段122は、所定の明領域等を撮像できればよく、その構成は特に限定されない。撮像手段122としては、各種撮像素子を備えるカメラモジュールを用いることができる。撮像素子としては、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサなどの半導体撮像素子や光電管、撮像管等から選択された1種類以上を用いることができる。
【0037】
撮像手段122が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段により、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0038】
撮像手段122により撮像する領域の例について、検査の内容ごとに説明する。
(基板表面の凹凸の有無の検査)
本発明の発明者の検討によれば、基板の第1主表面に線状の光を照射した場合に、基板の表面のうち線状の光を反射する明領域と、明領域に隣接する暗領域との境界近傍において、基板の第1主表面の凹凸のコントラストが高まる。このため、基板の第1主表面全体の凹凸を検査する場合、線状の光を、基板21の第1主表面21A上で移動させ、基板21の第1主表面21Aに形成される明領域の位置を変位させることが好ましい。そして、撮像手段122により、移動後の明領域と、明領域に隣接する暗領域との境界近傍を撮像できる。
【0039】
具体的には、上述のように基板の第1主表面の凹凸を検査する場合、撮像手段122は、基板21の第1主表面21Aのうち、線状の光を反射する明領域の長手方向に沿い、かつ明領域と、明領域に隣接した暗領域とを含む第1撮像領域を撮像できる。
【0040】
ここで、図3を用いて、基板21の第1主表面21Aの凹凸を検出する際に、撮像手段122により撮像する第1撮像領域について説明する。
【0041】
図3は、基板21の第1主表面21Aを示しており、1本の線状の光が照射され、該線状の光を反射する明領域31Aが形成されている状態を示している。
【0042】
このように光源121Aから基板21の第1主表面21Aに線状の光が照射されることで、基板21の第1主表面21Aには、線状の光を反射する明領域31Aが形成される。明領域31Aは光源121Aからの線状の光に対応した線状(帯状)の領域となる。
【0043】
そして、明領域31A以外の領域は、光源121Aからの光の反射の程度が低いか、反射をしていないため、明領域31Aと比較して暗い暗領域31Bとなる。
【0044】
この場合、撮像手段122は、少なくとも例えば明領域31Aの長手方向に沿って、すなわち図中のY軸方向に沿って、明領域31Aと、明領域31Aに隣接した暗領域31Bとを含む、点線で囲まれた第1撮像領域32A、32Bから選択された1つ以上の領域を撮像することができる。なお、この場合は少なくとも第1撮像領域を含む領域を撮影すればよく、第1撮像領域の周辺も併せて撮像しても良い。第1撮像領域の周囲の領域も併せて撮像した場合、後述する画像処理手段により目的とする撮像領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0045】
第1撮像領域32Aと、第1撮像領域32Bとでは各撮像領域に含まれる明領域と、暗領域との配置が逆になっている。このため、第1撮像領域32Aの画像をつなぎ合わせた場合と、第1撮像領域32Bの画像をつなぎ合わせた場合とでは、得られる画像の白黒(明暗)が反転することになる。従って、取得したい画像にあわせて撮像する第1撮像領域を選択することもできる。
【0046】
各第1撮像領域に含まれる明領域と、暗領域との面積の割合は特に限定されず、画像処理手段により第1撮像領域の画像をつなぎ合わせた際に、基板表面の凹凸のコントラストが高くなるように、基板の種類等に応じて選択することができる。例えば含まれる明領域の面積と暗領域の面積とが等しくなるように第1撮像領域の位置を設定することができる。
【0047】
後述するように撮像した画像を、3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱う場合には、撮像手段は、第1撮像領域を含む基板の表面全体を撮像しても良い。
(基板表面の色ムラの検査)
本発明の発明者の検討によれば、基板21の第1主表面21A側に線状の光を照射した場合に、基板21の第1主表面21Aのうち線状の光を反射する、すなわち光を直接照射した明領域以外の領域を観察することで、基板の第1の表面の色ムラを検知できる。ここでいう色ムラとは、基板上の色の異なる領域を意味する。
【0048】
基板の第1主表面全体の色ムラを検査する場合、線状の光を、基板21の第1主表面21A上で移動させ、基板21の第1主表面21Aに形成される明領域の位置を変位させることが好ましい。そして、撮像手段122により、移動後の明領域の長手方向に沿い、かつ明領域以外の領域である第2撮像領域を撮像できる。
【0049】
ここで、図3を用いて第2撮像領域33について説明する。
【0050】
既述の様に図3は、基板21の第1主表面21Aを示しており、光源121Aから、線状の光が照射されている状態を示している。このように光源121Aから基板21の第1主表面21Aに線状の光が照射されることで、基板21の第1主表面21Aには、光源121Aからの光を反射する明領域31Aが形成される。
【0051】
そして、基板21の第1主表面21Aのうち、明領域31A以外の領域は、光源からの光が直接照射されていないため、明領域31Aと比較して暗い暗領域31Bとなっている。撮像手段122は、少なくとも例えば明領域31Aの長手方向に沿って、すなわち図中のY軸方向に沿って、明領域31A以外の、すなわち暗領域31B中の点線で囲まれた第2撮像領域33を撮像することができる。なお、この場合は少なくとも第2撮像領域33を含む領域を撮影すればよく、第2撮像領域33の周辺も併せて撮像しても良い。第2撮像領域33の周囲の領域も併せて撮像した場合、後述する画像処理手段により目的とする第2撮像領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0052】
なお、ここでは、光源121Aからの光が、基板21の第1主表面21Aに直接照射されている場合を例に説明したが、色ムラを検査する場合、光源121Aからの光は、基板21の第1主表面21Aに直接照射されている必要はない。例えば光源121Aから照射された光が基板21の第1主表面21A以外の場所に照射され、反射された間接的な光により照らされていても良い。
【0053】
ただし、色ムラを検出するためには、光源121Aからの光による、第2撮像領域33内の明るさの程度が均一であることが好ましい。このため、基板21の第1主表面21Aまたはその近傍に光源121Aからの光を照射し、明領域の長手方向に沿って第2撮像領域を設定し、撮像することが好ましい。また、光源121Aからの光による、第2撮像領域内の明るさの程度が均一となるように、第2撮像領域の長手方向と垂直な方向の長さが過度に長くならないように、その領域を設定することが好ましい。ここでいう第2撮像領域の長手方向と垂直な方向の長さとは、図3中のZ軸方向の長さを意味する。
【0054】
後述するように撮像した画像を、3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱う場合には、撮像手段122は、第1撮像領域や第2撮像領域を含む基板21の第1主表面21A全体を撮像しても良い。
【0055】
上述のように、基板21の第1主表面21Aの凹凸や、色ムラを検出する場合でも、撮像手段122が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理手段により、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0056】
また、撮像手段122は、明領域の形状等によっては、線状(帯状)の撮像領域を撮像できる手段であれば足りるため、撮像手段は、例えばラインスキャンカメラとすることもできる。ラインスキャンカメラとは、撮像素子が直線状に配列され、線状(帯状)の撮像領域を撮像できるカメラモジュールを意味する。
(透過光を用いた基板の凹凸の検査)
基板21の第2主表面21Bに線状の光を照射した場合に、基板21の第1主表面21Aのうち、第2主表面21Bに照射された線状の光が透過した透過領域において、基板21の第1主表面21A、第2主表面21Bの凹凸のコントラストが高まる。このため、基板の第1主表面21Aおよび第2主表面21Bの凹凸を検査する場合、基板21の第1主表面21A上で、基板21の第1主表面21Aに形成される透過領域の位置を変位させ、撮像手段122により、透過領域を撮像できる。
【0057】
ここで、図4を用いて撮像手段122により撮像する透過領域について説明する。
【0058】
図4は、基板21の第1主表面21A側を示している。
【0059】
そして、図4では、第1主表面21Aと反対側に位置する第2主表面に1本の線状の光が照射され、第1主表面21Aにこれに対応した透過領域41Aが形成された状態を示している。
【0060】
基板21の第2主表面に線状の光が照射されると、基板21の第1主表面21Aには透過領域41Aが形成される。透過領域41Aは、光源121Bからの線状の光に対応した線状(帯状)の領域となる。
【0061】
そして、透過領域41A以外の領域は、光源からの光の透過の程度が低いか、透過をしていないため、透過領域41Aと比較して暗い暗領域41Bとなる。
【0062】
この場合、撮像手段は透過領域41Aを撮像することができる。ただし、撮像手段は透過領域41Aを含む領域を撮像すればよく、透過領域41Aの周囲も併せて撮像することもできる。例えば、透過領域41Aの長手方向に沿って、すなわち図中のY軸方向に沿って、透過領域41Aを含む、点線で囲まれた第3撮像領域42を撮像することができる。透過領域41Aを撮像する際に、その周囲の領域も併せて撮像した場合、既述の画像処理手段により目的とする透過領域の画像を、撮像した画像から切り出すことができる。
【0063】
撮像手段122が撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば画像処理手段により、撮像した画像のうち任意のタイミングでの透過領域の静止画を複数枚抽出して用いることができる。
(3)画像処理手段
画像処理手段123は、撮像手段122で撮像した画像を処理することができる。
【0064】
画像処理手段123では、撮像手段122が撮像した画像から、検査の対象に応じて既述の第1撮像領域や、第2撮像領域、透過領域に対応する例えば短冊状の画像を切り出すことができる。そして、明領域や、透過領域の移動方向に沿って並べ、つなぎ合わせることで、基板表面全体の画像を形成できる。この際、必要に応じて画像中のコントラスト等を補正したり、二値化処理等の画像処理を実施したりすることもできる。
【0065】
撮像手段122で動画を撮像した場合には、画像処理手段123は所定のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出することもできる。
【0066】
そして、画像処理手段123で作成した画像は出力手段124に出力することもでき、得られた画像中のコントラストの違いにより、得られた画像から目視で基板表面の凹凸や、色ムラを検出できる。なお、既述の第1撮像領域をつなぎ合せた画像からは基板の主表面の凹凸を、第2撮像領域をつなぎ合せた画像からは基板の主表面の色ムラを検出できる。また、既述の透過領域をつなぎ合せた画像からは、基板の第1主表面、および第2主表面の凹凸を検出できる。
【0067】
画像処理手段123は、例えばAI(artificial intelligence)を備えておくこともでき、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板の主表面の凹凸や、色ムラ、基板の第1主表面、および第2主表面の凹凸を検出し、通知するように構成することもできる。また、画像処理手段等において、例えば予め設定しておいた色度や明度等の閾値により、形成した画像中の凹凸や、色ムラが生じている箇所を検出、通知できるように構成することもできる。
【0068】
また、画像処理手段123は、撮像手段122が撮像した画像を3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱うこともできる。そして、画像処理手段123は、撮像手段122により得られた基板の表面の画像ボリュームデータについて、ボリュームレンダリング処理をすることができる。画像処理手段123は、具体的には例えば、画像ボリュームデータについて、第1撮像領域、第2撮像領域、または透過領域の輝度値での等値面画像を作成(レンダリング)することで、基板表面全体に渡って、第1撮像領域や第2撮像領域、透過領域の画像を取出すことができる。この場合、撮像する際に光源が斜めになっていたり、写真毎に光源の位置がずれていたりしても、所定の輝度値の領域は共通になるので、所定の輝度値で分割することにより、写真の枚数に関わりなく、目的とする第1撮像領域や第2撮像領域、透過領域を取り出し、凹凸や色ムラをより容易に検出できるようになる。
【0069】
画像処理手段123において、得られた基板表面の画像を画像ボリュームデータとして取り扱うことで、検出したい凹凸や色ムラのサイズ等に応じて、輝度等を設定し、基板表面の画像ボリュームデータを分割し、等値面(アイソサーフェス)を取出すことができる。
(4)基板回転手段
既述のように、基板21の主表面上の光を照射する位置を変化させる方法として、基板21を基板回転手段により回転させる方法が挙げられる。このため、本実施形態の基板検査装置10は、基板を回転させる基板回転手段を有することもできる。
【0070】
基板回転手段13は、基板21を、例えば中心軸に沿って回転できるように構成されていればよく、具体的な構成は特に限定されない。基板回転手段13は、例えばローラーと、該ローラーを回転させるモーターとを備えることができる。そして、該ローラーの外周面を、基板21の側面に接触させ、モーターによりローラーを回転させることで、基板を回転するように構成できる。
【0071】
なお、図1図2に示すように、本実施形態の基板検査装置は、基板回転手段13を複数個有することもできる。
【0072】
また、基板支持手段が吸着ピンセットの場合、例えば基板を回転する場合には、基板支持手段による基板の支持を解除し、回転を終了した後で再度基板を支持するように構成することもできる。なお、基板を回転させている間は、基板回転手段13により基板を支持することもできる。
【0073】
基板を回転させながら基板の検査を行う場合には、基板検査手段は基板回転手段により支持された基板の検査を行うこともできる。
(5)その他
(5-1)光源移動手段
既述のように、基板21の主表面上の光を照射する位置を変化させる方法として、光源の位置を変化させる方法も挙げられる。この場合、本実施形態の基板検査装置は、光源の位置を変化させる、光源移動手段を有することができる。光源は、光源移動手段と接続されていることになる。光源移動手段は特に限定されず、例えばリニアレールや、リニアガイド、リニアシャフト等とモーター等の駆動手段を組み合わせた構成が挙げられる。
(5-2)光源制御手段
本実施形態の基板検査装置10が、複数の光源、例えば光源121Aと、光源121Bを有する場合、該複数の光源を同時に点灯すると、光源121Aからの光と、光源121Bからの光とが同時に撮像手段122に入り、既述の第1撮像領域や、第2撮像領域、透過領域を色ムラや、凹凸が検知できる程度に撮像できない恐れがある。
【0074】
そこで、本実施形態の基板検査装置10が、複数の光源を有する場合、光源121Aおよび光源121Bを制御する光源制御手段をさらに有することもできる。光源制御手段の制御方法は特に限定されないが、例えば光源121Aと、光源121Bとを交互に点灯させることが好ましい。そして、光源121Aが点灯している間は、光源121Bは消灯し、撮像手段122は、基板21の第1主表面21Aの第1撮像領域や、第2撮像領域の撮像を行うことができる。光源121Bが点灯している間は、光源121Aは消灯し、撮像手段122は、基板21の第1主表面21Aの透過領域の撮像を行うことができる。
【0075】
以上に説明した本実施形態の基板の検査装置によれば、基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能になる。このため、カセットと、基板検査装置の基板検査台との間を搬送する複雑な搬送系を抑制し、容易に基板表面の検査を行うことが可能になる。
[基板検査方法]
次に、本実施形態の基板検査方法について説明する。なお、本実施形態の基板の検査方法は、既述の基板の検査装置を用いて好適に実施することができる。このため、既に説明した事項については一部説明を省略する。
【0076】
本実施形態の基板検査方法は、以下の基板支持工程と、基板検査工程とを有することができる。
【0077】
基板支持工程は、基板支持手段により、複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持できる。
【0078】
基板検査工程は、基板支持手段により支持された基板の検査を行うことができる。
【0079】
以下、各工程について説明する。
(1)基板支持工程
基板支持工程では、基板支持手段により、複数枚の基板を収容したカセットから、1枚の基板を、少なくとも表面の一部が露出するように移動させ、支持できる。
【0080】
基板支持工程において、基板支持手段11は、カセット20から、基板21を、基板21の主表面、例えば第1主表面21Aの少なくとも一部が露出するように、基板21を移動させることができる。なお、この際、基板21を、基板の主表面、例えば第1主表面21A全体が露出するように、基板21をカセット20から完全に取り出すこともできる。
【0081】
基板支持手段等については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(2)基板検査工程
基板検査工程では、基板支持手段により支持された基板の検査を行うことができる。
【0082】
基板検査工程で行う検査の内容は特に限定されず、基板について要求される検査の内容に応じた構成とすることができる。
【0083】
本実施形態の基板検査方法は、基板支持工程で、カセット20から、少なくとも表面の一部が露出するように基板21を移動させている。このため、例えば基板の表面に光を照射し、その透過光、もしくは反射光を用いて基板表面の凹凸や、色ムラ等を検査する検査方法であることが好ましい。
【0084】
そこで、基板検査工程は、例えば以下の光照射工程と、撮像工程と、繰り返し工程と、画像処理工程とを有することができる。
【0085】
光照射工程は、基板に対して、光源から光を照射できる。
【0086】
撮像工程は、基板を撮像手段により撮像できる。
【0087】
繰り返し工程は、基板に対して、光源から光を照射する位置を変化させながら、光照射工程と、撮像工程とを繰り返し実施できる。
【0088】
画像処理工程は、撮像工程で得られた画像を処理できる。
【0089】
以下、各工程について説明する。
(2-1)光照射工程
光照射工程では、基板に対して、光源から光を照射することができる。
【0090】
具体的には、既述のように、基板の主表面に、光源から線状の光を照射することが好ましい。
【0091】
光源や、線状の光の形状等については既述のため詳細な説明は省略するが、光源としては既述の様に線状の光を照射できる手段を用いることができ、その構成は特に限定されない。
【0092】
例えば、検査の効率化の観点から、光源は互いに平行な複数の線状の光を、基板の表面に対して照射することが可能であることが好ましい。この場合には、基板に照射した複数の線状の光を反射する複数の明領域の間に、暗領域が形成されるように、複数の線状の光の間隔を調整しておくことが好ましい。
【0093】
また、検査の内容に応じて、撮像手段で撮像する画像に、光源からの光の反射光を用いるか、透過光を用いるかを選択し、光源と、撮像手段との位置を予め設定しておくことが好ましい。なお、反射光、透過光を用いた基板の検査方法については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
(2-2)撮像工程
撮像工程では、基板を撮像手段により撮像できる。具体的には、基板の主表面のうち、検査の内容に応じた領域、例えば第1撮像領域や、第2撮像領域、透過領域を含むように、撮像できる。
【0094】
撮像工程では、少なくとも上記第1撮像領域等の目的とする撮像領域を含む領域を撮影すればよく、撮像領域の周辺も併せて撮像しても良い。撮像領域の周囲の領域も併せて撮像した場合、後述する画像処理工程において、目的とする撮像領域を撮像した画像から切り出すことができる。
【0095】
撮像領域については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0096】
なお、撮像工程においては同時に複数の撮像領域を撮像することもできる。基板の主表面に、複数の明領域が形成されている場合、撮像工程では、これに対応した複数の撮像領域を同時に撮像することもできる。このように同時に複数の撮像領域を撮像することで、より少ない撮像工程の回数で検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像を得ることができ、効率性の観点から好ましい。
【0097】
撮像工程で撮像する画像は、動画であっても静止画であっても良い。動画の場合、例えば後述する画像処理工程において、撮影した画像のうち任意のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出してつなぎ合わせることができる。
【0098】
画像処理工程で、撮像した画像を3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱う場合には、撮像工程において、撮像領域を含む基板の表面全体を撮像しても良い。
【0099】
なお、撮像工程では、例えば明領域の長手方向に沿って、所定の撮像領域を撮像すればよく、明領域の形状等によっては、必要な画像は線状(帯状)の画像となる場合が多い。このため、撮像手段としてラインスキャンカメラを用いることもできる。
(2-3)繰り返し工程
繰り返し工程では、基板の主表面上の光を照射する位置を移動させながら、既述の光照射工程と、撮像工程とを繰り返し実施できる。
【0100】
例えば、基板21と、光源121A(121B)とのいずれか一方を移動させることで、基板の主表面上の光を照射する位置を移動させることができる。
【0101】
例えば繰り返し工程において、基板を基板回転手段により回転させながら、光照射工程と、撮像工程とを繰り返し実施することもできる。
【0102】
繰り返し工程において光の照射位置の移動は連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。例えば撮像手段の性能等に応じて光の照射位置の移動条件を選択することができる。
【0103】
明領域を連続的に移動させるとは、例えば光の照射位置を、基板の主表面上で、止めることなく連続的に移動させることを意味する。
【0104】
また、光の照射位置を間欠的に移動させる場合、光の照射位置の移動と、撮像工程とを交互に実施できる。すなわち、光を照射する位置を一定距離移動させて、停止させた後に撮像工程を実施し、再び光を照射する位置を変化させた後に、撮像工程を実施できる。
【0105】
繰り返し工程において、基板の主表面上の光を照射する位置の移動速度、もしくは1回の移動距離は特に限定されず、検出すべき基板表面の凹凸のサイズや、検査の効率等に基づいて任意に選択することができる。
【0106】
本実施形態の基板検査方法では、基板の表面に光を照射する位置の移動に伴い、撮像手段により撮像する撮像領域を移動させ、撮像領域を撮像した画像をつなぎ合わせた場合に検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像が形成できることが好ましい。このため、繰り返し工程は、得られた複数の撮像領域の画像をつなぎ合わせた場合に、検査を行う部分の画像、例えば基板表面全体の画像となるように実施することが好ましい。
(画像処理工程)
画像処理工程では、撮像工程で得られた画像を処理することができる。
【0107】
具体的には例えば撮像工程および繰り返し工程での撮像工程で撮像した画像を、必要に応じて図3図4を用いて説明した第1撮像領域、第2撮像領域、透過領域のような線状(帯状)に加工できる。そして、光を照射する位置の移動方向に沿って、加工した画像を並べ、つなぎ合わせることで、基板表面の全体の画像とすることができる。この際、必要に応じて画像中のコントラスト等を補正することもできる。
【0108】
なお、撮像手段122としてラインスキャンカメラを用い、線状(帯状)の画像を取得した場合には、取得した画像を加工せずにそのまま並べてつなぎ合わせることもできる。
【0109】
また、撮像工程で動画を撮像した場合には、画像処理工程においては所定のタイミングでの撮像領域の静止画を複数枚抽出することもできる。
【0110】
画像処理工程により、基板表面の画像を取得することができ、基板表面の凹凸や、色ムラが他の部分とのコントラストから目視で確認できるようになる。
【0111】
このため、画像処理工程で得られた画像を出力装置に出力し、目視、または画像処理を行うことで、基板表面の凹凸を検出することができる。
【0112】
また、画像処理工程では、例えばAI(artificial intelligence)を用い、上述のようにして得られた基板表面の画像から、基板表面の凹凸や、色ムラを検出し、通知するように構成することもできる。
【0113】
画像処理工程での画像処理は上記方法に限定されず、例えば撮像工程、および繰り返し工程での撮像工程で撮像した画像を3次元的に集めて画像ボリュームデータとして取り扱うこともできる。
【0114】
そして、画像処理工程では、撮像工程、および繰り返し工程で得られた基板の表面の画像ボリュームデータについて、ボリュームレンダリング処理を行うことができる。画像処理工程では、具体的には例えば、画像ボリュームデータについて、明領域と、暗領域との境界の輝度値での等値面画像を作成(レンダリング)することで、例えば基板表面全体に渡って、明領域と、暗領域との境界(境界の画像)を取出すことができる。この場合、撮像する際に光源が斜めになっていたり、写真毎に光源の位置がずれていたりしても、境界面は共通になるので、境界面で分割することにより、写真の枚数に関わりなく、明領域と、暗領域との境界を取り出し、凹部や凸部をより容易に検出できる。
【0115】
以上の様に、画像処理工程で、得られた基板表面の画像を画像ボリュームデータとして取り扱うことで、検出したい凹凸のサイズ等に応じて、輝度等を設定し、基板表面の画像ボリュームデータを分割し、等値面(アイソサーフェス)を取出すことができる。
【0116】
以上に説明した本実施形態の基板検査方法によれば、基板を収容したカセットの近傍で基板の検査を行うことが可能になる。このため、カセットと、基板検査装置の基板検査台との間を搬送する複雑な搬送系を抑制し、容易に基板表面の検査を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0117】
10 基板検査装置
11 基板支持手段
12 基板検査手段
121A、121B 光源
122 撮像手段
13 基板回転手段
20 カセット
21 基板
図1
図2
図3
図4