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特開2022-140122イソシアネート用硬化剤、ウレタン樹脂形成性組成物及びウレタン樹脂
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140122
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】イソシアネート用硬化剤、ウレタン樹脂形成性組成物及びウレタン樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/38 20060101AFI20220915BHJP
   C07F 9/38 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
C08G18/38 078
C07F9/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040783
(22)【出願日】2021-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 祐志
(72)【発明者】
【氏名】巳上 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】花村 仁嗣
【テーマコード(参考)】
4H050
4J034
【Fターム(参考)】
4H050AA03
4H050AB49
4J034BA06
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC62
4J034CC65
4J034CC67
4J034CC68
4J034CD03
4J034CD07
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC02
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG14
4J034DG23
4J034DP12
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034QA03
4J034QB13
4J034QB14
4J034RA08
(57)【要約】
【課題】接着剤として用いることのできるウレタン樹脂形成性組成物であって、硬化後の凝集力が十分に高いのみならず、界面密着性にも優れる組成物を提供すること。
【解決手段】ウレタン樹脂形成性組成物の硬化剤として、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルからなる、イソシアネート用硬化剤を使用する。式中、Rは、リン原子と結合していない側の末端炭素原子と該末端炭素原子に隣接する炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有する有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を示す。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルからなる、イソシアネート用硬化剤。
【化1】

[式中、Rは、リン原子と結合していない側の末端炭素原子と該末端炭素原子に隣接する炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有する有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を示す。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルは、下記一般式(1a)で表される化合物である、請求項1に記載のイソシアネート用硬化剤。
【化2】

[式中、R10は、アルキレン基、アリーレンエーテル基、アリーレン基若しくはこれらの組み合わせ、又は単結合であり、R及びRは前記と同義である。]
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルは、下記一般式(1b)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のイソシアネート用硬化剤。
【化3】

[式中、nは0又は1~16の整数、mは0又は1であり、R及びRは前記と同義である。]
【請求項4】
25℃及び1気圧で液状である、請求項1~3のいずれか一項に記載のイソシアネート用硬化剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のイソシアネート用硬化剤及びポリオールを含む硬化剤と、ポリイソシアネートを含む主剤とからなる、ウレタン樹脂形成性組成物。
【請求項6】
前記ポリオールは、水酸基の数が2のポリオールと、水酸基の数が3以上のポリオールとを含有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記硬化剤のイソシアネート反応性基の全モル数に対する、前記主剤のイソシアネート基の全モル数の比が、0.8~1.5である、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記イソシアネート用硬化剤の含有量は、前記組成物の全質量基準で、0.05mmоl/g以上である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項5~8のいずれか一項に記載の組成物の反応物であるウレタン樹脂であって、ウレタン基濃度が2.0~5.0mmоl/gであるウレタン樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート用硬化剤、ウレタン樹脂形成性組成物及びウレタン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとポリオールの反応で得られる樹脂であるが、使用するポリイソシアネートやポリオールの化学構造を変化させたり、発泡剤等の添加物を加えたりして、多種多様な物性を発揮させることが可能である。したがって、フォーム、エラストマー、繊維、皮革等の多くの用途で用いられている(非特許文献1)。
【0003】
ウレタン樹脂の主要な用途としては、上記に列挙したものの他、接着剤があり、例えば、ポリイソシアネートを含む主剤とポリオールを含む硬化剤とを備えるウレタン樹脂形成性組成物が、反応性接着剤として用いられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社出版、1987年9月25日(初版)、p.8、438-440。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウレタン樹脂形成性組成物を接着剤として用い、反応(硬化)させて被着体を接着した際に、測定される強度(引張り強度等)の数値が高いことが要求されるのは当然のことであるが、接着剤と被着体との間の界面密着性が高いことも要求される。
【0006】
界面密着性の指標の一つとして、接着試験時の破壊モードが「凝集破壊」となることが挙げられ、接着剤の信頼性の観点からも重要視されている。なお、「凝集破壊」とは、接合物に外力を加えたとき、接着剤の内部で破壊が生じることをいい、接着剤と被着体の接合界面で破壊が生じることは「界面破壊」と呼ばれる。
【0007】
ウレタン樹脂形成性組成物を用いた従来の接着剤では、硬化した接着剤の凝集力が充分であっても、一般に、被着体との間の相互作用が弱く、凝集力と界面密着性を両立することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、接着剤として用いることのできるウレタン樹脂形成性組成物であって、硬化後の凝集力が十分に高いのみならず、界面密着性にも優れる組成物を提供することにある。また、上記組成物のためのイソシアネート用硬化剤、及び、上記組成物の硬化物であるウレタン樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルからなる、イソシアネート用硬化剤を提供する。
【化1】

[式中、Rは、リン原子と結合していない側の末端炭素原子と該末端炭素原子に隣接する炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有する有機基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を示す。]
【0010】
一般式(1)で表される化合物を使用したウレタン樹脂形成性組成物は、硬化後の凝集力が十分に高いのみならず、界面密着性にも優れる。また、接着強度(例えば、引張りせん断接着強度)も優れている。引張りせん断接着強度は、2MPa以上が好ましい。なお、凝集力の高さは、例えばIRHD硬度で判断でき、23℃におけるIRHD硬度が35以上であれば、凝集力は十分であると判断できる。また、界面密着性の高さは、接着サンプルの凝集破壊率で判断できる。例えば、アルミニウム板を被着体に用いて硬化させ、23℃において10mm/分の引張り速度で引張りせん断試験を行った場合、凝集破壊率が30%以上であれば、界面密着性は十分であると判断できる。
【0011】
従来、アクリルやエポキシ系接着剤において、極性基を樹脂骨格に組み込むことで接着性を改善する検討がなされているが(例えば、特開2013-006931号公報又はWO2013/069368)、これらの文献において接着性の改善とは、ガラス及びインジウム-錫酸化物に対して十分に高い接着強度を達成すること、又は、低温で硬化させても冷間で安定して高い剥離強度が得られることを指し、接着剤の凝集力と凝集破壊率については検討されていない。本発明においては、一般式(1)で表される化合物を使用した接着剤が、実用上十分な凝集力(硬度)を備えるにも関わらず、凝集破壊を生じやすいことを新たに見出したものである。
【0012】
なお、ウレタン樹脂を得るための硬化剤に含まれるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン等の低分子ポリオールや、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の高分子ポリオールが使用されているが(非特許文献1)、有機ホスホン酸エステル骨格を有するポリオール硬化剤の報告はない。
【0013】
一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルとしては、下記一般式(1a)で表される化合物が挙げられる。式中、R10は、アルキレン基、アリーレンエーテル基、アリーレン基若しくはこれらの組み合わせ、又は単結合であり、R及びRは前記と同義である。
【化2】
【0014】
一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルとしては、また、下記一般式(1b)で表される化合物が挙げられる。式中、nは0又は1~16の整数、mは0又は1であり、R及びRは前記と同義である。
【化3】
【0015】
イソシアネート用硬化剤は、25℃及び1気圧(0.1MPa)で液状であることが好ましい。液状であることでハンドリング性が向上し、また主剤や添加物との混合も容易となる。
【0016】
本発明は、上述したイソシアネート用硬化剤及びポリオールを含む硬化剤と、ポリイソシアネートを含む主剤とからなる、ウレタン樹脂形成性組成物を提供する。当該組成物は、上述の通り、硬化後の凝集力が十分に高いのみならず、界面密着性にも優れる。
【0017】
ウレタン樹脂形成性組成物においては、硬化剤中のポリオールは、水酸基の数が2のポリオールと、水酸基の数が3以上のポリオールとを含有することが好ましい。水酸基の数が3以上のポリオールを含有させることで、架橋構造を容易に形成可能になる。
【0018】
ウレタン樹脂形成性組成物において、硬化剤のイソシアネート反応性基の全モル数に対する、主剤のイソシアネート基の全モル数の比が、0.8~1.5であることが好ましい。当量比が上記範囲内であれば、IRHD硬度及び凝集破壊率を高い水準で有するウレタン樹脂が得られやすい。なお、イソシアネート反応性基とは、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基等のイソシアネート基と反応する活性水素を有する官能基をいう。
【0019】
上述したイソシアネート用硬化剤の含有量は、ウレタン樹脂形成性組成物の全質量基準で、0.05mmоl/g以上であることが好ましい。イソシアネート用硬化剤の含有量が上記範囲内であれば、凝集破壊率が高いウレタン樹脂が得られやすくなる。
【0020】
本発明は、上述したウレタン樹脂形成性組成物の反応物であるウレタン樹脂であって、ウレタン基濃度が2.0~5.0mmоl/gであるウレタン樹脂を提供する。このようなウレタン樹脂は、凝集力と界面密着性のバランスに特に優れる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接着剤として用いることのできるウレタン樹脂形成性組成物であって、硬化後の凝集力が十分に高いのみならず、界面密着性にも優れる組成物を提供することが可能になる。また、上記組成物のためのイソシアネート用硬化剤、及び、上記組成物の硬化物であるウレタン樹脂を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態に係るイソシアネート用硬化剤は、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルである。すなわち、ホスホン酸エステルの有機基に2つの水酸基を有する化合物である。
【化4】
【0023】
一般式(1)において、Rは、リン原子と結合していない側の末端炭素原子と該末端炭素原子に隣接する炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有する有機基である。すなわち、Rは、リン原子と結合していない末端側から1番目及び2番目の炭素にそれぞれ1つの水酸基を有することになる。
【0024】
このような位置に2つの水酸基を有することは、以下に詳述する合成において有利である。すなわち、α-オレフィンを酸化することで、オキシラン基(エポキシ基)を得、それを開環することで、末端に連続して2つの水酸基を容易に導入できる。
【0025】
の有機基としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基(アルキルをRとすると、例えば「R-」で表される。)、アルキルアリール基(アリールをΦとすると、例えば「R-Φ-」と表される。)、アルキルエーテルアリール基(アルコキシアリール基)(例えば、「R-O-Φ-」と表される。)等の末端に連続して水酸基を有するもの(Rの末端炭素原子とその隣の炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有するもの)が挙げられる。直鎖状のアルキル基の炭素数は、2~18が好ましく、2~16がより好ましく、2~11がさらに好ましく、3~11が特に好ましい。分岐状又は環状のアルキル基の炭素数は、3~18が好ましく、3~16がより好ましく、3~11がさらに好ましい。アルキルアリール基及びアルキルエーテルアリール基のアリール基はフェニル基が好ましい。また、アルキルアリール基又はアルキルエーテルアリール基におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、その炭素数は、3~8が好ましく、3~5がより好ましい。
【0026】
一般式(1)において、R及びRは、アルキル基又はアリール基であり、これらは同一であっても異なっていてもよい。合成の容易性から、R及びRは同一種であることが好ましい。アルキル基としては、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基が挙げられる。直鎖状アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。分岐状又は環状アルキル基の炭素数は3~10が好ましく、3~6がより好ましい。アルキル基として特に好ましいのは、メチル基、エチル基である。アリール基としては、置換又は無置換のフェニル基が挙げられ、フェニル基の水素原子を置換する置換基としては、炭素数1~3のアルキル基が挙げられる。アリール基としては無置換のフェニル基が好ましい。
【0027】
一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルの好ましい態様として、下記一般式(1a)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0028】
一般式(1a)において、R10は、アルキレン基(例えば「-R’-」で表される。)、アリーレン基(例えば「-Φ’-」で表される。)、アリーレンエーテル基(例えば「-O-Φ’-」で表される。)、若しくは、これらの組み合わせ、又は、単結合である。ここで、単結合とは、CH(OH)-CH(OH)-が直接リン原子に結合していることを意味する。なお、R10が組み合わせである例としては、アルキレン基とアリーレン基の組み合わせ(例えば、「-R’-Φ’-」で表される。)、アルキレン基とアリーレンエーテル基の組み合わせ(例えば、「-R’-O-Φ’-」で表される。)、アリーレン基とアリーレンエーテル基の組み合わせ(例えば、「-Φ’-O-Φ’-」で表される。)が挙げられる。これらの組み合わせの中では、アルキレン基とアリーレンエーテル基の組み合わせが好ましい。
【0029】
なお、一般式(1a)で表される化合物はホスホン酸エステルであることから、アリーレンエーテル基の酸素原子(-O-)はリン原子には結合しておらず、リン原子はアリーレン(-Φ’-)と結合している。なお、アリーレンエーテル基及びアリーレン基のアリーレン部分は、例えば炭素数1~3のアルキル基等の置換基で置換されていてもよいが、無置換であることが好ましい。
【0030】
アルキレン基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基が採用できる。直鎖状のアルキレン基の炭素数は、1~16が好ましく、1~14がより好ましく、1~9がさらに好まししい。分岐状又は環状のアルキレン基の炭素数は、3~16が好ましく、3~14がより好ましく、3~9がさらに好ましい。
【0031】
なお、R及びRの定義及び好適例は、上述の通りである。
【0032】
一般式(1)で表されるジヒドロキシ有機ホスホン酸エステルの更なる好ましい態様として、下記一般式(1b)で表される化合物がある。
【化6】
【0033】
一般式(1b)において、nは0又は1~16の整数、mは0又は1であり、R及びRは前記と同義である。
【0034】
一般式(1b)には、以下の一般式(1b-1)及び(1b-2)で表される2つの化合物が含まれる。
【化7】

【化8】
【0035】
一般式(1b-1)において、-C2n-の構造は直鎖状又は分岐状であり得る。また、nは、0又は1~14の整数が好ましく、0又は1~9の整数がより好ましい。一般式(1b-2)において、nは3~8が好ましく、3~5がより好ましい。なお、これらの一般式において、R及びRの定義及び好適例は、上述の通りである。
【0036】
一般式(1)、(1a)、(1b)で表される化合物の具体例としては、以下の式(2-1)~(9-1)、(2-2)~(9-2)で表される化合物が挙げられる。
【0037】
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】
【0038】
一般式(1)で表される化合物を使用したウレタン樹脂形成性組成物は、接着剤として実用上十分な硬度を備えるにも関わらず、凝集破壊を生じやすい。なかでも、一般式(1)で表される化合物において、Rが、炭素数が3~11の直鎖状アルキル基の、リン原子と結合していない側の末端炭素原子と該末端炭素原子に隣接する炭素原子に水酸基をそれぞれ1つ有するものである場合、IRHD硬度及び凝集破壊率が優れる。
【0039】
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(i)で表される化合物中のオキシラン部分を、酸触媒又は塩基触媒で開裂させることで得ることができる。なお、式中、R11は末端にオキシラニル基を有する1価有機基であり、R及びRの定義及び好適例は、上述の通りである。
【化25】
【0040】
(1a)で表される化合物は、例えば、下記式(10)で表される化合物を濃硫酸等の酸を用いて開裂させることにより得ることができる。式(10)におけるR、R及びR10の定義及び好適例は、上述の通りである。
【化26】
【0041】
一般式(10)で表される化合物は、例えば、下記式(11)で表される化合物と亜リン酸トリアルキルの混合物を130~160℃で2~18時間撹拌して、減圧下で蒸留精製することにより得ることができる。式(11)におけるR10の定義及び好適例は、上述の通りである。
【化27】
【0042】
一般式(11)で表される化合物は、例えば、下記式(12)で表される化合物と塩化メチレンの混合物に、m-CPBA(m-クロロ過安息香酸)やトリフルオロ過酢酸等の過酸を反応させることにより得ることができる。式(12)におけるR10の定義及び好適例は、上述の通りである。
【化28】
【0043】
一般式(1b)で表される化合物は、例えば、下記式(13)で表される化合物を濃硫酸等の酸を用いて開裂させることにより得ることができる。式(13)におけるn、R及びRの定義及び好適例は、上述の通りである。
【化29】
【0044】
一般式(13)で表される化合物は、例えば、下記式(14)で表される化合物と下記式(15)で表される化合物とを塩基存在下で反応させることにより得ることができる。式(14)におけるR及びR、式(15)におけるnの定義及び好適例は上述の通りである。
【化30】

【化31】
【0045】
一般式(14)で表される化合物は、例えば、下記式(16)で表される化合物と亜リン酸トリアルキルの混合物を臭化ニッケル等の触媒存在下で、反応させることにより得ることができる。
【化32】
【0046】
一般式(1)で表される化合物が得られたことは、H-NMR、31P-NMR、マススペクトル(MS)、赤外線分光法(IR)、液体クロマトグラフ、ゲル浸透クロマトグラフ等により確認可能である。
【0047】
一般式(1)で表される化合物は、ハンドリング性の観点から、25℃及び1気圧で液状であること(すなわち流動性があること)が好ましい。
【0048】
上述したイソシアネート用硬化剤を用いて、ウレタン樹脂形成性組成物が提供される。すなわち、ウレタン樹脂形成性組成物は、一般式(1)で表されるイソシアネート用硬化剤及びポリオールを含む硬化剤と、ポリイソシアネートを含む主剤とから構成される。
【0049】
硬化剤に含まれるイソシアネート用硬化剤以外のポリオールとしては、例えば、低分子ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を用いることができる。これらの中でも、得られるウレタン樹脂の耐水性、耐薬品性又は耐久性を向上させる観点から、ポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
【0050】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-n-ヘキサデカン-1,2-エチレングリコール、2-n-エイコサン-1,2-エチレングリコール、2-n-オクタコサン-1,2-エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールA等の分子量500未満のポリオールが挙げられる。
【0051】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、α-ハイドロムコン酸、β-ハイドロムコン酸、α-ブチル-α-エチルグルタル酸、α,β-ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸またはこれらの無水物等の1種類以上と;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の1種類以上と;の縮重合反応から得られるものが挙げられる。
【0052】
ポリオレフィン系ポリオールとしては、例えば、水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0053】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、低分子ポリオール1種類以上と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のアルキレンカーボネート類、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート等のカーボネート類の1種類以上との脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものが挙げられる。
【0054】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、低分子ポリオール又はエチレンジアミン、プロピレンジアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子ポリアミン等のような活性水素基を2個有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のようなアルキレンオキサイド類を付加重合させることによって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマーを開環重合することで得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0055】
ポリオールは、これらの中の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
硬化剤は、水酸基の数が3以上のポリオールを更に含むことができる。硬化剤が、水酸基数が3以上のポリオールを含むことで、硬化して得られるウレタン樹脂の架橋密度が上昇するため、接着強度が向上する。
【0057】
水酸基数が3以上のポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、テトラメチロールメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、D-ソルビトール、キシリトール、D-マンニトール、ジグリセリン、ヘキソール等が挙げられ、特にトリメチロールプロパンが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ポリオールとしては、水酸基の数が2のポリオールと、水酸基の数が3以上のポリオールとを含むことが好ましい。
【0058】
実施形態に係る硬化剤は、一般式(1)で表される化合物及びポリオール以外にも活性水素含有化合物を含むことができる。
【0059】
このような活性水素含有化合物としては、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基等の官能基を有する化合物がある。これらの活性水素含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0060】
一般式(1)で表される化合物及びポリオール以外の活性水素含有化合物の含有量は、硬化剤全質量に対して、例えば、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下であってよい。
【0061】
硬化剤は、活性水素含有化合物以外のその他の成分を含んでいてもよく、そのような成分としては、ポリイソシアネートと混合したときに、イソシアネート基と反応しないもの(例えば、フィラー、着色剤、帯電防止剤、防腐剤)が好ましい。
【0062】
主剤に含まれるポリイソシアネートは、分子中に2以上のイソシアネート基を有していればよい。
【0063】
ポリイソシアネートとしては、有機ポリイソシアネートを用いることができ、有機ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、反応性や粘度の観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0064】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0065】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアネートメチルオクタン、ビス(イソシアネートエチル)カーボネート、ビス(イソシアネートエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-α,α’-ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、2-イソシアネートエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアネートプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート等が挙げられる。
【0066】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート/1,4-キシリレンジイソシアネート混合物、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン/1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン混合物、ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等が挙げられる。
【0067】
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化された水添ダイマー酸ジイソシアネート、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-5-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2-イソシアネートメチル-2-(3-イソシアネートプロピル)-6-(2-イソシアネートエチル)-ビシクロ-〔2.2.1〕-ヘプタン、2,5-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ〔2.2.1〕-ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0068】
ポリイソシアネートは、これらの中の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
また、上記のポリイソシアネートは、イソシアネート基末端ウレタン化合物(ウレタンプレポリマー)であってもよい。主剤がウレタンプレポリマーを含む場合、分子内に様々な分子を組み込むことが可能であり、反応生成物であるウレタン樹脂に対して、最終用途に適合した様々な性能を付与できる。ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとを、ポリイソシアネートが過剰になるように反応して得ることができる。ウレタンプレポリマーを構成するポリオールとしては、硬化剤に含まれていてもよいポリオールの例示と同様のものが挙げられる。
【0070】
主剤は、ポリイソシアネート以外のその他の成分を含んでいてもよく、そのような成分としては、ポリイソシアネートと混合したときに、イソシアネート基と反応しないもの(例えば、フィラー、着色剤、帯電防止剤、防腐剤)が好ましい。
【0071】
実施形態に係るウレタン樹脂形成性組成物においては、該組成物の全質量基準で、一般式(1)で表される化合物の含有量が0.05mmоl/g以上であってよく、0.05mmol/g以上0.7mmоl/g以下であってもよい。一般式(1)で表される化合物の含有量が上記範囲内であれば、凝集破壊率が高いウレタン樹脂が得られやすい。
【0072】
実施形態に係るウレタン樹脂形成性組成物は、主剤と硬化剤を備えていればよく、両者が分かれて存在する2液タイプであっても、両者を混合した1液タイプであってもよい。主剤と硬化剤を混合するときの温度及び時間は、例えば、10~35℃で、1~60分間とすることができる。
【0073】
主剤と硬化剤を混合する方法は、特に制限されず、例えば、ヘラで手動により混合してもよく、機械式回転ミキサー、スタティックミキサー等を用いて混合する方法であってもよい。
【0074】
硬化剤のイソシアネート反応性基の全モル数に対する、主剤のイソシアネート基の全モル数の比が、0.8~1.5であってよく、0.9~1.2であってもよい。当量比が上記範囲内であれば、IRHD硬度及び凝集破壊率を高い水準で有するウレタン樹脂が得られやすい。
【0075】
ウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られる、ウレタン樹脂のウレタン基濃度は、2.0~5.0mmоl/gであってよく、2.5~4.5mmоl/gであってもよい。ウレタン樹脂のウレタン基濃度が上記範囲内であると、基材密着性が向上する。
【0076】
ウレタン樹脂形成性組成物を硬化して得られる、ウレタン樹脂の架橋密度は、0.05mmоl/g以上、0.10mmоl/g以上、0.15mmоl/g以上、又は0.20mmоl/g以上であってよい。ウレタン樹脂の架橋密度が上記範囲内であると、機械強度が向上する。
【実施例0077】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(測定方法)
核磁気共鳴(NMR)スペクトルはAscendTM AVANCE III HD(400MHz又は162MHz,Bruker社製)で測定した。測定溶媒としては、重クロロホルム(CDCl)を、内部標準物質としては、テトラメチルシラン(TMS)を用いた。
【0079】
[イソシアネート用硬化剤の合成]
(合成例1)
エピブロモヒドリン(53mL,88.5g,0.64mol)と亜リン酸トリエチル(100mL,96g,0.58mol)の混合物を150℃で4時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(2-オキシラニルメチル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(2-オキシラニルメチル)ホスホン酸ジエチル(12.0g,62mmol)と純水(100mL)の混合物に、パスツールピペットで濃硫酸(24滴)を加えて2.5時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=5/1)で精製することで、式(2-1)で表される無色液体の(2,3-ジヒドロキシプロピル)ホスホン酸ジエチル(化合物1)を得た(9.7g,74%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.55(bs,2H),4.16-4.03(m,5H),3.64(dd,J=11.4,3.6Hz,1H),3.52(dd,J=11.4,6.0Hz,1H),2.04(dd,J=7.2,2.6Hz,1H),1.99(dd,J=7.4,3.4Hz,1H),1.33(t,J=7.0Hz,6H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):30.2。
【0080】
(合成例2)
5-ブロモ-1-ペンテン(15.0g,101mmol)と塩化メチレン(250mL)の混合物に0℃でm-CPBA(27.3g,111mmol)を加えて室温で17時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(3-ブロモプロピル)オキシランを得た。得られた2-(3-ブロモプロピル)オキシラン(8.81g,53.3mmol)と亜リン酸トリエチル(18mL,17.7g,107mmol)の混合物を140℃で7時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(3-オキシラニルプロピル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(3-オキシラニルプロピル)ホスホン酸ジエチル(9.65g,43.4mmol)と純水(108mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(19滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(3-1)で表される無色液体の(4,5-ジヒドロキシペンチル)ホスホン酸ジエチル(化合物2)を得た(6.02g,58%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.14-4.02(m,4H),3.72-3.71(m,1H),3.44-3.42(m,1H),3.47-3.43(m,1H),3.00(bs,1H),2.57(bs,1H),1.83-1.69(m,4H),1.57-1.52(m,2H),1.33(t,J=7.0Hz,6H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.4。
【0081】
(合成例3)
5-ヘキセン-1-オール(15mL,12.7g,127mmol)、トリフェニルホスフィン(46.7g,178mmol)及び塩化メチレン(250mL)の混合物に0℃でN-ブロモスクシンイミド(27.2g,153mmol)を加えて室温で2.5時間撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、無色液体の6-ブロモ-1-ヘキセンを得た(12.5g)。6-ブロモ-1-ヘキセン(12.5g)と塩化メチレン(190mL)の混合物に0℃でm-CPBA(20.8g,84.3mmol)を加えて室温で19.5時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(4-ブロモブチル)オキシランを得た。得られた2-(4-ブロモブチル)オキシラン(13.4g,74.8mmol)と亜リン酸トリエチル(26mL,24.9g,150mmol)の混合物を140℃で7時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(4-オキシラニルブチル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(4-オキシラニルブチル)ホスホン酸ジエチル(16.9g,71.5mmol)と純水(179mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(34滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(4-1)で表される無色液体の(5,6-ジヒドロキシヘキシル)ホスホン酸ジエチル(化合物3)を得た(12.9g,71%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.13-4.02(m,4H),3.71-3.62(m,2H),3.47-3.42(m,1H),2.67(bs,1H),2.41(bs,1H),1.81-1.44(m,8H),1.32(t,J=7.0Hz,6H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.3。
【0082】
(合成例4)
6-ヘプテン-1-オール(20.0g,175mmol)、トリフェニルホスフィン(64.3g,245mmol)及び塩化メチレン(350mL)の混合物に0℃でN-ブロモスクシンイミド(37.4g,210mmol)を加えて室温で20時間撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、無色液体の6-ブロモ-1-ヘプテンを得た(18.7g)。6-ブロモ-1-ヘプテン(18.7g)と塩化メチレン(260mL)の混合物に0℃でm-CPBA(28.6g,116mmol)を加えて室温で16時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(5-ブロモペンチル)オキシランを得た。得られた2-(5-ブロモペンチル)オキシラン(17.7g,91.7mmol)と亜リン酸トリエチル(32mL,30.5g,183mmol)の混合物を140℃で6.5時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(5-オキシラニルペンチル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(5-オキシラニルペンチル)ホスホン酸ジエチル(22.0g,87.9mmol)と純水(220mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(44滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(5-1)で表される無色液体の(6,7-ジヒドロキシヘプチル)ホスホン酸ジエチル(化合物4)を得た(17.9g,76%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.11-4.04(m,4H),3.70-3.62(m,2H),3.45-3.40(m,1H),2.74(bs,1H),2.49(bs,1H),1.78-1.39(m,10H),1.32(t,J=7.2Hz,6H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.5。
【0083】
(合成例5)
7-オクテン-1-オール(20.0g,156mmol)、トリフェニルホスフィン(57.3g,218mmol)及び塩化メチレン(310mL)の混合物に0℃でN-ブロモスクシンイミド(33.3g,187mmol)を加えて室温で21.5時間撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、無色液体の8-ブロモ-1-オクテンを得た(23.9g)。8-ブロモ-1-オクテン(23.9g)と塩化メチレン(310mL)の混合物に0℃でm-CPBA(33.9g,137mmol)を加えて室温で16時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(6-ブロモヘキシル)オキシランを得た。得られた2-(6-ブロモヘキシル)オキシラン(23.8g,115mmol)と亜リン酸トリエチル(40mL,38.2g,230mmol)の混合物を140℃で6.5時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(6-オキシラニルヘキシル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた6-オキシラニルヘキシル)ホスホン酸ジエチル(30.6g,116mmol)と純水(290mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(44滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(6-1)で表される無色液体の(7,8-ジヒドロキシオクチル)ホスホン酸ジエチル(化合物5)を得た(24.2g,74%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.11-4.04(m,4H),3.69-3.62(m,2H),3.46-3.40(m,1H),2.51-2.50(m,1H),2.40-2.38(m,1H),1.76-1.30(m,18H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.6。
【0084】
(合成例6)
8-ノネン-1-オール(20.0g,141mmol)、トリフェニルホスフィン(51.6g,197mmol)及び塩化メチレン(282mL)の混合物に0℃でN-ブロモスクシンイミド(30.0g,169mmol)を加えて室温で4時間撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、無色液体の9-ブロモ-1-ノネンを得た(24.4g)。9-ブロモ-1-ノネン(24.4g)と塩化メチレン(300mL)の混合物に0℃でm-CPBA(32.2g,131mmol)を加えて室温で16時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(7-ブロモヘプチル)オキシランを得た。得られた2-(7-ブロモヘプチル)オキシラン(25.8g,117mmol)と亜リン酸トリエチル(40mL,38.2g,230mmol)の混合物を140℃で6.5時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留精製することで無色液体の(7-オキシラニルヘプチル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(7-オキシラニルヘプチル)ホスホン酸ジエチル(32.2g,116mmol)と純水(290mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(64滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(7-1)で表される無色液体の(8,9-ジヒドロキシノニル)ホスホン酸ジエチル(化合物6)を得た(24.5g,71%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.09-4.02(m,4H),3.70-3.62(m,2H),3.46-3.40(m,1H),2.38-2.37(m,1H),2.26-2.23(m,1H),1.74-1.30(m,20H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.6。
【0085】
(合成例7)
10-ウンデセン-1-オール(20.0g,117mmol)、トリフェニルホスフィン(43.1g,164mmol)及び塩化メチレン(230mL)の混合物に0℃でN-ブロモスクシンイミド(25.1g,141mmol)を加えて室温で2時間撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、無色液体の11-ブロモ-1-ウンデセンを得た。得られた11-ブロモ-1-ウンデセン(34.9g,150mmol)と塩化メチレン(380mL)の混合物に0℃でm-CPBA(43.7g,164mmol)を加えて室温で19時間撹拌した。この混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出した。集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の2-(9-ブロモノニル)オキシランを得た。得られた2-(9-ブロモノニル)オキシラン(37.0g,148mmol)と亜リン酸トリエチル(64mL,61.7g,371mmol)の混合物を140℃で16時間撹拌した。この混合物を減圧下で蒸留した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20/1→15/1)で精製することで無色液体の(9-オキシラニルノニル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(9-オキシラニルノニル)ホスホン酸ジエチル(6.52g,21.3mmol)と純水(53mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(13滴)を加えて2時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1)で精製することで、式(8-1)で表される無色液体の(10,11-ジヒドロキシウンデカニル)ホスホン酸ジエチル(化合物7)を得た(3.54g,51%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):4.11-4.04(m,4H),3.72-3.63(m,2H),3.46-3.41(m,1H),2.34-2.33(m,1H),2.25-2.22(m,1H),1.74-1.29(m,24H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):32.7。
【0086】
(合成例8)
4-ブロモフェノール(40g,0.23mol)、臭化ニッケル(II)(4.2g,19mmol)及びメシチレン(80mL)の混合物に亜リン酸トリエチル(48mL,46g,0.28mol)を4時間かけて滴下しながら、120-150℃で加熱撹拌した。滴下後、さらに3時間加熱撹拌した。この混合物をろ別し、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えて1時間撹拌した。水層をジエチルエーテルで洗浄したのち、6mol/L塩酸を加えて30分撹拌後、ジエチルエーテルで抽出した。集めた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。得られた残さを再結晶(エタノール/ヘキサン)で精製することで白色固体の(4-ヒドロキシフェニル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた(4-ヒドロキシフェニル)ホスホン酸ジエチル(10.4g,45mmol)、エピブロモヒドリン(10.3g,75mmol)、炭酸カリウム(12.4g,90mmol)及びアセトン(40mL)の混合物を還流下で一晩撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮した。得られた残さにジエチルエーテルを加え、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄したのちに無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去することで無色液体の4-(2-オキシラニルメトキシフェニル)ホスホン酸ジエチルを得た。得られた4-(2-オキシラニルメトキシフェニル)ホスホン酸ジエチル(8.0g,28mmol)と純水(68mL)の混合物にパスツールピペットで濃硫酸(16滴)を加えて2.5時間還流した。この混合物を室温まで冷やしたのちに炭酸水素ナトリウムを加えて中和して減圧下で濃縮した。得られた残さにクロロホルムを加えて無水硫酸マグネシウムで乾燥してろ別し、減圧下で溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=5/1)で精製することで、式(9-1)で表される無色液体の4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシフェニル)ホスホン酸ジエチル(化合物8)を得た(5.5g,65%)。H-NMR(CDCl,400MHz)δ(ppm):7.68(dd,J=8.2Hz,4.2Hz,2H),6.98(dd,J=8.5Hz,3.3Hz,2H),4.63(s,2H),4.14-3.98(m,7H),3.83-3.72(m,2H),1.31-1.26(m,6H)。31P-NMR(CDCl,162MHz)δ(ppm):19.8。
【0087】
[ウレタン樹脂形成性組成物の調製]
以下の化合物を、表1又は表2に記載される配合量で混合し、ウレタン樹脂形成性組成物を調製した。
・ミリオネートNM:2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(東ソー社製、NCO含量=33.5%)
・PTMG850:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(三菱ケミカル社製、平均分子量850)
・PCD♯500:KurarayPolyol C-590(クラレ社製、平均分子量500)
・TMP:トリメチロールプロパン(三菱ガス化学社製、平均分子量134)
【0088】
(実施例1)
[硬化剤の調製]
撹拌容器内に、表1に示す添加量で、PCD♯500、TMP及び化合物1を入れ、80℃に加熱されたオーブン内にて3時間程度放置し、オーブンから取り出したのちに混合撹拌することで、硬化剤を得た。
【0089】
[主剤の調製]
窒素を満たした撹拌容器内に、表1に示す添加量で、ミリオネートNM及びPTMG850を入れ、撹拌した。その後、撹拌容器内の温度を70~80℃に保ちながら、2~5時間程度ウレタン化反応を進めることで、ウレタンプレポリマーである主剤を得た。
【0090】
得られた硬化剤及び主剤を配合し、ステンレス鋼製のヘラで均一になるまで混合することで、ウレタン樹脂形成性組成物を得た。
【0091】
(実施例2~11、比較例1~4)
化合物の添加量を表1又は表2に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれのウレタン樹脂形成性組成物を得た。
【0092】
[IRHD硬度の評価]
得られたウレタン樹脂形成性組成物について、硬度測定機(商品名:ゴム用万能自動硬度計 デジテストII、エムアンドケー株式会社製)を用い、JIS K6253-2に準拠した条件にて硬度測定した。測定結果を表1又は表2に示す。
【0093】
[接着強度の評価]
2枚のアルミニウム板(縦100mm×横25mm×厚さ1mm;A5052)の表面にウレタン樹脂形成性組成物を塗布し、アルミニウム板の重なり領域が縦12.5mm×横25mmとなるように接着し、これを120℃の条件下、5時間加熱することにより、接着試験片を作製した。この際、ガラスビーズを用いて接着層の厚みを0.25mmに調整し、接着試験片を得た。得られた接着試験片について、引張試験機(商品名:オートコム万能試験機AC-10kN-C、株式会社ティー・エス・イー製)により、接着部の引張せん断強度を測定した。この測定は、JIS K6850:1999の接着剤の引張りせん断接着強さに準拠して行った。測定条件は、チャック間距離111.5mm、テストスピードは10mm/分とした。測定結果を表1又は表2に示す。
【0094】
[凝集破壊率]
引張せん断試験後の試料破壊面を目視により観察し、接着剤層の部分で破壊されている面積割合を測定した。測定結果を表1又は表2に示す。
【0095】
【表1】


【0096】
【表2】