(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022140590
(43)【公開日】2022-09-26
(54)【発明の名称】負荷検出用センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 3/12 20060101AFI20220915BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
G01L3/12
G01L5/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120595
(22)【出願日】2022-07-28
(62)【分割の表示】P 2022073859の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2018178181
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100098165
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 聡
(72)【発明者】
【氏名】小俣 賢治
(72)【発明者】
【氏名】坂田 晃一
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で高精度にモータの負荷を検出する負荷検出用センサを提供する。
【解決手段】固定部または回転軸を回転駆動するモータ部の一方に設けられ、パターンが形成されたスケール部と、前記固定部または前記モータ部の他方に設けられ、前記スケール部の前記パターンに基づく検出信号を生成する検出部と、前記検出信号に基づいて、前記固定部から前記モータ部に加わる負荷の情報を演算する演算部と、を備える負荷検出用センサが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部または回転軸を回転駆動するモータ部の一方に設けられ、パターンが形成されたスケール部と、
前記固定部または前記モータ部の他方に設けられ、前記スケール部の前記パターンに基づく検出信号を生成する検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記固定部から前記モータ部に加わる負荷の情報を演算する演算部と、
を備える負荷検出用センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷検出用センサ、エンコーダ、エンコーダを備えた駆動装置、駆動装置を備えたロボット装置、エンコーダを備えた制御システム、及び駆動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット又は工作機械等の駆動部に用いられるモータの回転角の制御を高精度に行うために、モータの回転軸にはエンコーダ(例えばロータリーエンコーダ)が取り付けられ、エンコーダの検出結果などに基づいてモータの制御が行われている。また、モータの組立調整時及び稼働時等に、モータの状態をモニタするためには、トルク検出装置を用いてモータに対する負荷のトルクを検出することが好ましい。従来のトルク検出装置として、モータの回転軸と出力軸とをコイルばねで連結し、モータの回転軸及び出力軸の回転角の情報を検出し、その2つの回転角の情報からモータのトルクを求める装置が知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0003】
従来のトルク検出装置は、2つの回転角の検出部を使用するために大型であるとともに、出力軸の回転角のばらつき、及び出力軸のグリスによる摩擦などにより、検出精度が影響を受ける恐れがあった。最近では、例えば、エンコーダを取り付けたモータはより様々な用途で使用されるとともに、高精度な制御が求められており、モータの負荷を簡単な構成で高精度に検出することを考慮することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、固定部または回転軸を回転駆動するモータ部の一方に設けられ、パターンが形成されたスケール部と、その固定部またはそのモータ部の他方に設けられ、そのスケール部のそのパターンに基づく検出信号を生成する検出部と、その検出信号に基づいて、その固定部からそのモータ部に加わる負荷の情報を演算する演算部と、を備える負荷検出用センサが提供される。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、固定部に対して弾性体を介して連結されて第1変位部を駆動するモータ部と、その第1変位部の変位を変換して第2変位部に伝達する伝達部とを備える駆動装置に設けられるエンコーダであって、その第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、その第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、その固定部に対するそのモータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、その第1及び第2変位情報を用いて、そのモータ部の駆動量に関する情報を求め、その第3変位情報を用いてそのモータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、を備えるエンコーダが提供される。
第3の態様によれば、第1変位部を駆動するモータ部と、そのモータ部が固定される固定部に対してそのモータ部を変位可能に連結する弾性体と、その第1変位部の変位を変換して第2変位部を駆動する伝達部と、その第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、その第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、その固定部に対するそのモータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、その第1及び第2変位情報を用いて、そのモータ部の駆動量に関する情報を求め、その第3変位情報を用いてそのモータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、その演算部で求められた情報を用いてそのモータ部を制御する制御部と、を備える駆動装置が提供される。
【0007】
第4の態様によれば、第3の態様に係る駆動装置を備えるロボット装置が提供される。
【0008】
第5の態様によれば、その駆動装置の制御システムであって、その第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、その第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、その固定部に対するそのモータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、その第1及び第2変位情報を用いて、そのモータ部の駆動量に関する情報を求め、その第3変位情報を用いてそのモータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、その演算部で求められる情報を用いてそのモータ部を制御する制御部と、を備える制御システムが提供される。
【0009】
第6の態様によれば、その駆動装置の制御方法であって、その第1変位部の第1変位情報を検出することと、その第2変位部の第2変位情報を検出することと、その固定部に対するそのモータ部の第3変位情報を検出することと、その第1及び第2変位情報を用いて、そのモータ部の駆動量に関する情報を求め、その第3変位情報を用いてそのモータ部に対する負荷の情報を求めることと、その駆動量に関する情報及びその負荷の情報を用いてそのモータ部を制御することと、を含む制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【
図2】(A)は
図1中の弾性部材を示す斜視図、(B)は
図1の駆動装置の力学モデルを示す図である。
【
図5】
図1の駆動装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【
図7】第3の実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【
図8】第4の実施形態に係る駆動装置を示す図である。
【
図10】第1の実施形態の変形例を示す断面図である。
【
図12】第4の実施形態の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態につき
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る駆動装置10を示す。
図1において、駆動装置10は、例えばロボット装置が設置された工場の床面(不図示)に不図示の支持部材(例、アームなど)を介して固定されたベース部材(固定部)30Aと、細長い棒状の第1回転軸(第1移動軸)18Aを回転駆動するモータ部14と、ベース部材30Aに対してモータ部14を変位可能に連結する弾性部材(弾性体)32と、第1回転軸18Aの回転を減速して細長い棒状の第2回転軸(第2移動軸)18Bに伝達する減速機48と、回転軸18A,18Bの回転角及び回転速度等の回転情報及びモータ部14に加わる負荷(詳細後述)を検出するエンコーダ部12とを備えている。さらに、駆動装置10は、エンコーダ部12の検出信号を処理する演算装置16と、演算装置16の処理結果を用いてモータ部14を駆動する制御装置24とを備えている。
【0012】
本実施形態では、第1回転軸18Aは中空の円筒状であり、第2回転軸18Bは、筒状の第1回転軸18Aの内部18Adを通過するように配置されている。以下では、第1回転軸18Aの中心軸に平行にZ軸を取って説明する。第1回転軸18Aの中心軸と第2回転軸18Bの中心軸とは一致しており、回転軸18A,18Bはそれぞれその中心軸(Z軸に平行な軸)の回りに回転可能である。一例として、モータ部14は3相交流モータであるが、モータ部14としては直流モータ等も使用できる。
【0013】
まず、ベース部材30Aは、リング状の第1支持部材30Bと、第1支持部材30Bに対して-Z方向側に固定された円筒状の第2支持部材30Cとを有する。また、モータ部14は、円筒状の保持部材30Eと、保持部材30Eの+Z方向の側面を覆うように設けられたリング状の押さえ部材30Fとからなるモータケース30Dを有し、モータケース30Dの対向する2つの側面部に1対の回転軸受28A及び28Bを介して回転可能に第1回転軸18Aが支持されている。また、モータ部14は、第1回転軸18Aの中央の軸部18Acの外面に装着された複数のマグネット20と、マグネット20を囲むようにモータケース30Dの内面に配置された複数のコイル22とを有する。コイル22が複数の信号ライン26を介して制御装置24に接続されている。
【0014】
また、ベース部材30Aの+Z方向の端部の第1支持部材30Bの側面と、モータケース30D(保持部材30E)の-Z方向の端部30Eaの側面とが弾性部材32によって連結されている。弾性部材32は、第1回転軸18A及び第2回転軸18Bの中心軸に沿った方向(Z方向)において、ベース部材30A(第1支持部材30B)とモータケース30D(保持部材30E)との間に、第1支持部材30Bと保持部材30Eとに接触して配置される。
【0015】
図2(A)に示すように、弾性部材32は、端部30Eaに固定される内側の輪帯部(例、第1の要素)32aと、第1支持部材30Bに固定される外側の輪帯部(例、第2の要素)32bと、輪帯部32a,32bを半径方向に連結する複数(例えば3個、4個、5個など)の板ばね部(例、第3の要素)32cとを有する。輪帯部32a,32bの中心は、回転軸18A,18Bの中心軸と一致しており、板ばね部32cはその中心軸の軸回りに所定範囲で弾性変形可能である。弾性部材32はいわゆるフレクシャでもある。このため、弾性部材32によって、モータケース30Dを含むモータ部14はベース部材30Aに対して、その中心軸(例、回転軸18A,18Bの中心軸と一致する軸)の回り、又はZ軸に平行な軸の軸回りの回転方向(以下、θz方向という)に所定範囲で+θz方向又は-θz方向に回転可能である。また、弾性部材32は、その板ばね部32cの剛性を高めることによって、ベース部材30Aに対するモータ部14のθz方向の相対回転角の範囲を小さくすることができる。
【0016】
また、
図1に戻り、ベース部材30Aの第2支持部材30Cの内部に回転軸受28Dを介して減速機48(速度変換部又は伝達部)が配置されている。第1回転軸18Aの-Z方向の端部18Abに減速機48の入力軸46が連結され、減速機48の出力軸が第2回転軸18Bの-Z方向の端部18Bbに連結されている。減速機48は、第1回転軸18Aの回転数を例えば1/300程度に低下させて第2回転軸18Bに伝達する。減速機48の-Z方向の面(第2回転軸18Bの-Z方向の端部)に被駆動部(不図示)が連結されている。本実施形態では、弾性部材32は減速機48の近傍に配置されている。
【0017】
モータケース30Dの+Z方向の側面に段差を有する円筒状の支持部材(エンコーダケース、エンコーダの本体部)30Gが固定され、支持部材30Gの+Z方向の面に固定された取り付け部材30Hの内面に回転軸受28C及び固定部材(軸固定部)30Iを介して第2回転軸18Bの+Z方向の端部18Baが支持されている。支持部材30Gの内面に支持部材36を介して基板38Aが保持され、取り付け部材30Hの+Z方向の面に基板38Bが取り付けられ、第1支持部材30Bの+Z方向の面に基板38Cが取り付けられている。
【0018】
また、第1回転軸18Aの+Z方向の端部18Aaの先端の支持部材36A、及び第2回転軸18Bの端部18Baに、それぞれ回転方向の位置を検出するための反射型のパターン(不図示。以下、回転型の検出パターンとも称する)が形成された輪帯状及び円板状の第1回転板34A及び第2回転板34Bが取り付けられている。さらに、モータケース30Dの-Z方向の端部30Ea(モータ部の連結部)の-Z方向の面(弾性部材32の内側の輪帯部32aの外側の領域)に反射型で回転型の検出パターンが形成された輪帯状の第3回転板34Cが取り付けられている。
【0019】
エンコーダ部12は、第1検出部33A、第2検出部33B、及び第3検出部33Cを備える。第1検出部(位置検出用センサ)33Aは、第1回転板34Aと、第1回転板34Aのパターンに検出光を照射する光源40Aと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Aと、受光素子42Aの検出信号を処理してモータ部14に対する回転板34A(及び第1回転軸18A)のθz方向の位置の情報(角度、角速度、及び/又は第1回転軸18Aが何回回転したかを示す多回転情報を含む変位情報)(以下、エンコーダ情報という)S1Aを求める処理回路44Aとを有する。光源40A、受光素子42A、処理回路44Aは基板38Aに取り付けられている。また、第2検出部(位置検出用センサ)33Bは、第2回転板34Bと、第2回転板34Bのパターンに検出光を照射する光源40Bと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Bと、受光素子42Bの検出信号を処理してモータ部14に対する回転板34B(及び第2回転軸18B)のθz方向のエンコーダ情報S1Bを求める処理回路44Bとを有する。光源40B、受光素子42B、処理回路44Bは基板38Bに取り付けられている。
【0020】
第3検出部33Cは、第3回転板34Cと、第3回転板34Cのパターンに検出光を照射する光源40Cと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Cと、受光素子42Cの検出信号を処理してベース部材30Aに対する回転板34C(及びモータ部14)のθz方向のエンコーダ情報S1Cを求める処理回路44Cとを有する。光源40C、受光素子42C、処理回路44Cは基板38Cに取り付けられている。第1支持部材30B(固定部の連結部)の+Z方向の面に基板38Cが取り付けられている。すなわち、第3検出部33Cは、第1検出部33A及び第2検出部33Bに対して構造的に分離して構成され(分離した位置に配置され)、第1支持部材30B(ベース部材30Aの弾性部材32との連結部)と、モータケース30Dの-Z方向の端部30Ea(モータ部14の弾性部材32との連結部)に配置されている。本実施形態の検出部33A~33Cはそれぞれロータリーエンコーダでもある。エンコーダ情報S1A,S1B,S1Cは、演算装置16に供給される。回転板34A~34Cは、回転型のスケール又はディスクとも呼ぶことができる。なお、回転板34A~34Cに形成される検出パターンは、アブソリュート型又はインクリメンタル型等のどのようなパターンであってもよい。また、回転板34A~34Cは反射型であるが、回転板34A~34Cには透過型のパターンが形成されていてもよい。
【0021】
演算装置16は、エンコーダ情報S1A,S1B,S1Cを用いて生成したモータ部14の駆動量の情報を制御装置24に供給し、それに応じて制御装置24がコイル22に供給する電流値を制御する。この動作によって第2回転軸18Bの回転角等が目標値に制御される。
次に、本実施形態の駆動装置10の演算装置16及び制御装置24の構成につき説明する。
図2(B)は、
図1の駆動装置10の力学モデルである。
図2(B)において、ベース部材30Aに対して弾性部材32を介してモータ部14の保持部材30Eが連結され、モータ部14に対して第1回転軸18Aを介して減速機48が連結され、減速機48に対して第2回転軸18Bを介して被駆動部50が連結されている。ここで、弾性部材32の剛性をK
B、粘性比例係数をC
B、モータ部14のモーメントをJ
M、粘性比例係数をC
M、減速機48の剛性をK、粘性比例係数をC、減速比をR、被駆動部50のモーメントをJ
L、駆動装置10の全体のモーメントをJ
all、モータ部14から第1回転軸18Aを介して減速機48に作用するトルクをτ
M、減速機48から第2回転軸18Bを介して被駆動部50に作用するトルクをτ
Lとする。本実施形態では、トルクτ
Lがモータ部14に作用する負荷である。この負荷(トルクτ
L)は時間の関数として変動しているため、何らかの補償を行わないとモータ部14の回転精度(被駆動部50の回転角の目標値からの誤差)に影響する。そこで、後述のように第3検出部(負荷検出用センサ)33Bの検出結果を用いてその負荷を検出する。
【0022】
すなわち、第3検出部33Cによってベース部材30A(第3検出部33Cの検出の基準位置となるベース部材30A)に対するモータ部14の回転角θBが計測され、第1検出部33Aによってモータ部14(又は保持部材30E)(第1検出部33Aの検出の基準位置となるモータ部14又は保持部材30E)に対する第1回転軸18Aの回転角θMが計測され、第2検出部33Bによってモータ部14(又は保持部材30E)(第1検出部33Aの検出の基準位置となるモータ部14又は保持部材30E)に対する第2回転軸18Bの回転角θLが計測される。回転角θB,θM,θLは上述のエンコーダ情報S1A,S1B,S1Cに含まれている。なお、第2検出部33Bは、減速機48に対する第2回転軸18Bの回転角を検出し、この回転角を回転角θLの代わりに使用してもよい。
【0023】
また、
図3は、
図2(B)の力学モデルに対応させて
図1の駆動装置10を表すブロック図である。
図3は、エンコーダ部12で検出された回転角θ
M,θ
L,及びθ
Bの情報を用いてモータ部14に加わる負荷の情報を求め、第2回転軸18B(被駆動部)が目標とする回転角で回転されるようにモータ部14を駆動するための制御回路の一例でもある。
図3において、変数sはラプラス変換の変数であり、周波数をf(Hz)、角周波数をωとすると、定常状態ではs=i2πf=iω(iは虚数単位)である。
図3において、被駆動部50、減速機48、及びモータ部14で示される点線で囲まれたブロックがそれぞれの伝達関数の要素を表している。
【0024】
モータ部14においては、制御装置24から供給されるトルク指令値τMに対応する信号が減算点56Aに供給され、減算点56Aには減速機48の減速比Rに対応する変換部58Hから出力される信号も供給され、減算点56Aで求められるその2つの信号の差分の信号が、伝達関数(1/(JMs+CM))で表されるブロック56Bを介して積分部56C及び減速機48の変換部58Eに供給され、積分部56Cの出力が第1検出部33Aで検出される回転角θMに対応する信号として演算装置16の合成部52及び減速機48の変換部58Aに供給される。
【0025】
また、減速機48においては、変換部58Aの出力信号が減算点58Bに供給され、減算点58Bには被駆動部50から出力される(第2検出部33Bで検出される)回転角θLに対応する信号も供給され、減算点58Bでその2つの信号の差分を取って得られる信号が剛性Kの弾性部58Cを介して加算点58Dに供給される。また、変換部58Eから出力される信号及び被駆動部50の後述の回転部60Aから出力される信号が減算点58Fに供給され、減算点58Fから出力される差分の信号が粘性比例係数Cのダンパ部58Gを介して加算点58Dに供給され、加算点58Dの出力信号が減速比Rに対応する変換部58H及び被駆動部50に供給され、変換部58Hの出力信号がモータ部14の減算点56Aに供給される。
【0026】
被駆動部50においては、減速機48の加算点58Dから供給される信号がモーメントJ
Lによる回転部60Aを介して積分部60B及び減速機48の減算点58Fに供給され、積分部60Bの出力が第2検出部33Bで検出される回転角θ
Lに対応する信号として演算装置16の合成部52及び減速機48の減算点58Bに供給される。
図4は、回転角θ
L及びθ
Mに対応する信号から第2回転軸18Bの正確な回転角に対応する信号を求める合成部52の一例を示す。
図4において、回転角θ
Lに対応する信号は、所定のカットオフ周波数よりも低い周波数域F
1の信号を通過させるローパスフィルタ部68D及び所定のゲインαの乗算部68Aに供給され、回転角θ
Mに対応する信号は、所定のゲインβの乗算部68Bに供給される。また、乗算部68A及び68Bの出力信号が加算点68Cで加算され、加算された信号が所定のカットオフ周波数よりも高い周波数域F
2の信号を通過させるハイパスフィルタ部68Eに供給され、フィルタ部68D及び68Eの出力信号を加算点68Fで加算した信号(以下、信号y
FS-SRCという)が
図3の制御装置24に供給される。合成部52を使用することによって、2つの回転角θ
L及びθ
Mから第2回転軸18B(被駆動部50)の実際の回転角(減速機48におけるバックラッシュの影響等を含めた正確な回転角)に対応する信号y
FS-SRC(位置情報又はモータ部14の駆動量に関する情報)が高精度に求められる。
【0027】
なお、合成部52としては、例えば回転角θ
Mを減速機48の既知の減速比で小さくした値と、回転角θ
Lとの加重平均に相当する信号を生成する回路を使用することもできる。この場合、回転角θ
Mをその減速比で小さくした値の重みよりも、回転角θ
Lの重みを大きくしてもよい。
また、減速機48を弾性部材とみなすことも可能であるため、駆動装置10(もしくはエンコーダ部12)は上記した2つの回転角θ
L及びθ
Mの差分を用いて、被駆動部50から減速機48に作用する負荷のトルクを求めることもできる。この負荷のトルクを求める回路を演算装置16内に設けてもよい。
図3において、被駆動部50からモータ部14への負荷を表すトルクτ
Lは、仮想的に弾性部材32の伝達関数(-1/(J
alls
2+C
Bs+K
B))を表すブロック62Aによって、ベース部材30Aに対するモータ部14の回転角θ
Bに変換され、この回転角θ
Bが第3検出部33Cによって検出されて演算装置16に供給されている。演算装置16において、回転角θ
Bに対応する信号は、実質的にブロック62Aと逆の伝達関数(J
alls
2+C
Bs+K
B/D(s))(関数D(s)は例えば実測等に基づいて定められる補正用の関数)の特性を持つトルク復元部62B及びローパスフィルタ部62Cに供給される。ローパスフィルタ部62Cの出力信号は減算点62Fに供給され、トルク復元部62Bで復元されたトルクτ
LBに対応する信号は減算点62Dに供給される。減算点62Dで、予め設定されているトルクの参照値τ
L
refに対応する信号から復元されたトルクτ
LBに対応する信号を減算して得られる信号(トルクの差分Δτに対応する信号)が、次の伝達関数G
imp(s)で表される特性を持つブロック(以下、インピーダンス部という)62Eを介して減算点62Fに供給される。なお、式(1)において、係数J
impはモーメント、係数C
impは粘性比例係数、係数K
impは剛性を示す。これらの係数は演算装置16内でソフトウェア的に変更することができる。
【0028】
伝達関数Gimp(s)=1/(Jimps2+Cimps+Kimp) …(1)
インピーダンス部62Eは、負荷のトルクτLの変動に対してモータ部14の回転角θBの変化(ひいては第2回転軸18B(被駆動部50)の回転角の目標値からの変化)を抑制するために使用される。例えば係数Kimpを大きく設定すると、負荷トルクτLの変動に対してモータ部14が固くなり、回転角θBの変化が小さくなる。一方、係数Kimpを小さく設定すると、負荷トルクτLの変動に対してモータ部14が柔らかくなり、回転角θBの変化が大きくなる。それらの係数は駆動装置10の用途等に応じて最適な値に設定される。
【0029】
また、減算点62Fにおいて、インピーダンス部62Eから出力される信号に目標回転角設定部66から出力される被駆動部50の目標回転角に対応する信号rを加算し、この加算された値からローパスフィルタ部62Cから出力される信号を減算して得られる信号(被駆動部50の目標回転角θL
refに対応する信号)が制御装置24の減算点64A及びフィードフォワード部64Dに供給される。
【0030】
制御装置24において、減算点64Aには合成部52から被駆動部50の正確な回転角に対応する信号yFS-SRCも供給され、減算点64Aで目標回転角θL
refに対応する信号から信号yFS-SRCを減算して得られる信号eがフィードバック部64Bに供給される。フィードフォワード部64D及びフィードバック部64Bの伝達関数CFF(s)及びCFB(s)は任意である。フィードフォワード部64D及びフィードバック部64Bの出力信号uFF及びuFBを加算点64Cで加算して得られる信号u(トルク指令値τMに対応する信号)がモータ部14の減算点56Aに供給される。
【0031】
次に、本実施形態の駆動装置10の制御方法の一例につき
図5のフローチャートを参照して説明する。まず、
図5のステップ102において、制御装置24内の目標回転角設定部66内の出力部に被駆動部50の目標回転角が入力される。そして、ステップ104において、その出力部から目標回転角に対応する信号rが制御装置24を介してモータ部14に供給され、モータ部14が第1回転軸18Aの駆動を開始する。また、ステップ106において、第1検出部33Aが第1回転軸18Aの回転角θ
Mの検出を行い、ステップ108において、第2検出部33Bが第2回転軸18Bの回転角θ
Lの検出を行い、ステップ110において、第3検出部33Cがモータ部14の回転角θ
Bの検出を行う。なお、ステップ106~110の動作は所定周期で実質的に並行に実行されている。
【0032】
そして、ステップ112において、演算装置16内の合成部52が回転角θM,θLを用いて被駆動部50の実際の回転角に対応する信号yFS-SRCを求め、ステップ114において、演算装置16内のトルク復元部62Bが回転角θBを用いて負荷のトルクτLBを算出(復元)する。次のステップ116において、インピーダンス部62E及び減算点62Fにおいて、負荷のトルクτLB及び回転角θBを用いて、被駆動部50の目標回転角θL
refに対応する信号(モータ部14の駆動量の補正値)が求められる。さらに、ステップ118において、制御装置24が、被駆動部50の目標回転角に対応する信号r、実際の回転角に対応する信号yFS-SRC、及び目標回転角θL
refに対応する信号を用いて、モータ部14のトルク指令値τMに対応する信号(駆動量)を求め、この信号をモータ部14に供給する(駆動量を設定する)ことで、負荷のトルクτLによる被駆動部50の回転角の変化を抑制するようにモータ部14が第1回転軸18Aを駆動する。
【0033】
次のステップ120でモータ部14を停止しない場合には、ステップ122において、目標回転角設定部66が目標回転角を更新して(目標回転角は時間によって変化するため、時間の経過によって次々に新しい目標回転角が設定される)、動作はステップ104に戻り、ステップ122でモータ部14を停止する場合には、動作はステップ124に移行してモータ部14が停止される。このように駆動装置10によれば、エンコーダ部12の第3検出部33Bで検出される回転角θBを用いて負荷のトルクτLBを算出し、算出したトルクτLBを用いて、目標回転角θL
refに対応する信号を求め、この信号でモータ部14の駆動量を補正している。このため、負荷のトルクτLの変動が大きい場合でも、モータ部14を大出力にして、かつ第2回転軸18B(被駆動部50)の回転角を目標値に高精度に制御できる。また、例えば駆動装置10の組立調整時に、その算出される負荷のトルクτLBが所定の許容範囲内に収まるように、第2回転軸18Bに負荷を与えてもよい。これによって、組立調整時にモータ部14に大きい負荷がかかることを防止できる。
【0034】
上述のように、本実施形態のエンコーダ部12は、ベース部材30A(固定部)に対して弾性部材32を介して連結されて第1回転軸18A(第1変位部)を駆動するモータ部14と、第1回転軸18Aの回転角を変換して第2回転軸18B(第2変位部)に伝達する減速機48(伝達部)とを備える駆動装置10に設けられるエンコーダである。そして、エンコーダ部12は、第1回転軸18Aの回転角θM(第1変位情報)を検出する第1検出部33Aと、第2回転軸18bの回転角θL(第2変位情報)を検出する第2検出部33Bと、ベース部材30Aに対するモータ部14の回転角θB(第3変位情報)を検出する第3検出部33Cと、回転角θM及びθLを用いて、第2回転軸18B(被駆動部50)の実際の回転角に対応する信号yFS-SRC(モータ部14の駆動量に関する情報)を求め、回転角θBを用いてモータ部14に対する負荷のトルクτLBを求める(演算によって求める)演算装置16と、を備えている。
【0035】
エンコーダ部12によれば、1つの第3検出部33Cの検出信号を用いて、ベース部材30Aからモータ部14に加わる負荷、すなわち被駆動部50からモータ部14に加わる負荷のトルクτLBを求めることができる。また、第3検出部33Cは減速機48及び第2回転軸18B(被駆動部50)から離れた位置に設置されている。このため、第2回転軸18B(出力軸)の回転角のばらつき、及び第2回転軸18Bのグリスによる摩擦などがあっても、簡単な構成で高精度にモータ部14に対する負荷を検出できる。
【0036】
また、本実施形態の駆動装置10は、ベース部材30Aと、第1回転軸18Aを駆動するモータ部14と、ベース部材30Aに対してモータ部14を変位可能に連結する弾性部材32と、第1回転軸18Aの回転角を変換して第2回転軸18Bを駆動する減速機48と、第1回転軸18Aの回転角θMを検出する第1検出部33Aと、第2回転軸18bの回転角θLを検出する第2検出部33Bと、ベース部材30Aに対するモータ部14の回転角θBを検出する第3検出部33Cと、回転角θM及びθLを用いて、第2回転軸18Bの実際の回転角に対応する信号yFS-SRCを求め、回転角θBを用いてモータ部14に対する負荷のトルクτLBを求める演算装置16と、演算装置16で求められた情報(信号yFS-SRC及び負荷のトルクτLB)を用いてモータ部14を制御する制御装置24とを備えている。
【0037】
また、本実施形態の制御システムは、駆動装置10の制御システムであって、回転角θM,θL及びθB検出する第1~第3検出部33A,33B,33Cと、回転角θM及びθLを用いて、第2回転軸18Bの実際の回転角に対応する信号yFS-SRCを求め、回転角θBを用いてモータ部14に対する負荷のトルクτLBを求める演算装置16と、演算装置16で求められた情報(信号yFS-SRC及び負荷のトルクτLB)を用いてモータ部14を制御する制御装置24とを備えている。
【0038】
また、本実施形態の制御方法は、駆動装置10の制御方法であって、第1回転軸18Aの回転角θMを検出するステップ106と、第2回転軸18bの回転角θLを検出するステップ108と、モータ部14の回転角θBを検出するステップ110と、回転角θM及びθLを用いて、第2回転軸18Bの実際の回転角に対応する信号yFS-SRCを求めるステップ112と、回転角θBを用いてモータ部14に対する負荷のトルクτLBを求めるステップ114と、その求められた情報(信号yFS-SRC及び負荷のトルクτLB)を用いてモータ部14を制御するステップ118とを有する。
【0039】
本実施形態の駆動装置10、制御システム、及び制御方法によれば、エンコーダ部12によってモータ部14に対する負荷のトルクτLBを高精度に求めることができる。さらに、その負荷のトルクτLBを用いてモータ部14の駆動量を補正することによって、その負荷が大きく変動する場合でもモータ部14を大出力にして、かつ第2回転軸18B(出力軸)の回転角を高精度に目標値に制御できる。
【0040】
また、駆動装置10において、エンコーダ部12によって第2回転軸18B(被駆動部50)の回転角を高精度に検出するためには、ベース部材30Aとモータ部14との間に高い剛性があり、モータ部14の回転角の変化が小さいことが望ましい。一方、モータ部14に対する負荷のトルクを高精度に検出するためには、ベース部材30Aとモータ部14との間の剛性を低下させて、ベース部材30Aとモータ部14とがある程度相対回転できることが望ましい。本実施形態では、ベース部材30Aに対して弾性部材32を介してモータ部14を連結しているため、ベース部材30Aとモータ部14との間の実際の剛性は低下している。また、ベース部材30Aとモータ部14との間の剛性の低下によるエンコーダ部12による第2回転軸18Bの回転角の検出精度の低下を抑制するために、ベース部材30Aに対するモータ部14の回転角θBを第3検出部33Cで検出し、その回転角θBを用いてモータ部14に対する負荷のトルクτLBを求めている。このため、第1検出部33A及び第2検出部33Bの検出結果から求めた第2回転軸18Bの回転角をその負荷のトルクτLBを用いて補正するか、又はその負荷のトルクτLBに応じてモータ部14の駆動量を補正することによって、第2回転軸18Bの回転角を高精度に検出できるか、又は第2回転軸18Bの回転角を目標回転角に高精度に制御できる。
【0041】
なお、上述の実施形態では検出部33A~33Cとして反射型又は透過型の光学式の検出器が使用されている。その他に、検出部として磁気方式又は静電容量方式等の検出器を使用してもよい。さらに、検出部33A~33Cは回転板34A~34Cを有するが、回転軸18A,18Bの端部18Aa,18Ba及びモータケース30Dの保持部材30E等を回転板として使用してもよい。すなわち、端部18Aa,18Ba及び保持部材30Eの表面に回転方向の位置を示す着磁パターン又は反射パターン等を形成しておき、その回転情報を磁気センサ又は受光素子等を含む検出部で検出してもよい。
また、弾性部材32は、
図2(A)のような構成の他に、例えば第1回転軸18Aの中心軸を通る直線の回りに巻回されたスプリングのような任意の形状の弾性部材やゴムのような弾性を有する高分子物質の弾性部材を使用できる。
【0042】
次に、上述の実施形態の変形例につき
図10及び
図11を参照して説明する。
図10及び
図11において、
図1及び
図2に対応する部分には同一又は類似する符号を付してその詳細な説明を省略する。
図10は、この変形例の駆動装置10Dを示し、
図11は、
図10中の弾性部材32Eを示す。
図10において、駆動装置10Dは、例えばロボット装置が設置された工場の床面(不図示)に不図示の支持部材(例、アームなど)を介して固定されたベース部材(固定部)30B1と、ベース部材30B1に対して回転軸受28Dを介して回転可能に指示された第2回転軸18B(出力軸又は第2移動軸)と、第2回転軸18Bに対して減速機48Bを介して連結された第1回転軸18A(第1移動軸)と、ベース部材30B1に連結された保持部材30E1に支持されて第1回転軸18Aを回転駆動するモータ部14Cと、ベース部材30B1に対してモータ部14C(保持部材30E1)を変位可能に連結する弾性部材(弾性体)32Eと、第1回転軸18Aの回転を停止させるためのブレーキ48Cと、回転軸18A,18Bの回転角及び回転速度等の回転情報及びモータ部14Cに加わる上述の負荷を検出するエンコーダ部とを備えている。
【0043】
また、保持部材30E1に対して回転可能に第1回転軸18Aが支持され、回転軸18A,18Bはそれぞれその中心軸(Z軸に平行な軸)の回りに回転可能である。一例として、モータ部14Cは3相交流モータであるが、モータ部14Cとしては直流モータ等も使用できる。
本変形例のエンコーダ部も、モータ部14Cに対する第1回転板34A(第1回転軸18A)のθz方向のエンコーダ情報を求めるための第1検出部33A、モータ部14Cに対する第2回転板34B(第2回転軸18B)のθz方向のエンコーダ情報を求めるための第2検出部33B、及びベース部材30B1に対する第3回転板34C(及びモータ部14C)のθz方向のエンコーダ情報S1Cを求める第3検出部33Cを備える。第1回転板34Aは第1回転軸18Aに連結され、第2回転板34Bは第2回転軸18Bに連結されている。また、第1検出部33Aの光源及び受光素子、並びに第2検出部33Bの光源及び受光素子は、保持部材30E1に連結された基板38Aに設けられている。また、第2回転板34Bの側面(+Z方向の面)はカバー部材30Pで覆われている。
【0044】
さらに、第3回転板34Cは弾性部材32Eに固定され、第3検出部33Cの光源及び受光素子は基板38Cを介して保持部材30E1に支持されている。なお、第3回転板34Cの回転範囲は1回転より小さいため、第3回転板34Cとしては、回転方向の位置を検出するためのパターンが形成された半円程度の板を使用してもよい。
図11に示すように、弾性部材32Eは、
図10の保持部材30E1に固定される内側の輪帯部(例、第1の要素)32Eaと、
図10のベース部材30B1に固定される外側の輪帯部(例、第2の要素)32Ebと、内側及び外側の輪帯部を半径方向に連結する複数(例えば3個、4個、5個など)の板ばね部(例、第3の要素)32Ecとを有する。その板ばね部32Ecは中心軸(例、回転軸18A,18Bの中心軸と一致する軸)の回りに所定範囲で弾性変形が可能である。このため、弾性部材32Eによって、保持部材30E1内のモータ部14Cはベース部材30B1に対して、その中心軸(例えば回転軸18A,18Bの中心軸と一致する軸)の回り、又はZ軸に平行な軸の軸回りの回転方向(θz方向)に所定範囲で+θz方向又は-θz方向に回転可能である。また、パターンを有する第3回転板34Cは弾性部材32Eの内側の輪帯部32Eaに連結されている。弾性部材32Eの板ばね部32Ecの剛性を高めることによって、ベース部材30B1に対するモータ部14Cのθz方向の相対回転角の範囲を小さくすることができる。この他の構成等は第1の実施形態と同様である。
【0045】
この変形例によれば、上述の実施形態と同様にエンコーダ部によってモータ部14Cに対する負荷のトルクτLBを高精度に求めることができる。さらに、その負荷のトルクτLBを用いてモータ部14Cの駆動量を補正することによって、その負荷が大きく変動する場合でもモータ部14Cを大出力にして、かつ第2回転軸18B(出力軸)の回転角を高精度に目標値に制御できる。
【0046】
次に、第2の実施形態につき
図6を参照して説明する。なお、
図6において、
図1に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6は、本実施形態に係る駆動装置10Aを示す。
図6において、駆動装置10Aは、例えば駆動装置10Aが設置された工場の床面(不図示)に固定されたベース部材(固定部)31Aと、第1回転軸18Aを駆動するモータ部14Aと、ベース部材31Aに対して変位可能にモータ部14Aを連結する弾性部材32Aと、第1回転軸18Aの回転を減速して第2回転軸18Bに伝達する減速機48Aと、回転軸18A,18Bの回転情報及びモータ部14Aに加わる負荷を検出するエンコーダ部12Aとを備えている。
【0047】
本実施形態においても、第1回転軸18Aの中心軸に平行にZ軸を取って説明する。ベース部材31Aは、円筒状の支持部材31Bと、支持部材31Bの-Z方向の端部を覆う押さえ部材31Cとを有する。また、モータ部14Aは、円筒状で両端が塞がれた保持部材30E(
図1の押さえ部材30Fを含む)と、保持部材30Eの-Z方向の端部に固定され、円筒状で内部に段差が形成された保持部材31Dとを有するモータケース30Dと、モータケース30Dの中央部を囲むように設けられたリング状の連結部材30Jと、モータケース30Dの内面に固定されたコイル22と、第1回転軸18Aの外面に固定されたマグネット20とを有する。保持部材30Eの両端にそれぞれスラスト軸受29A,29B及び回転軸受28E,28Fを介して第1回転軸18Aが、この中心軸の軸回りであるZ軸に平行な軸の軸回り(θz方向)に回転可能に支持されている。
【0048】
また、ベース部材31Aの支持部材31Bの内面に回転軸受28A,28Bを介して、モータ部14Aのモータケース30Dがθz方向に回転可能に支持されている。さらに、モータ部14Aの連結部材30が、支持部材31Bの内面の凹部に2つのスラスト軸受28G,28Hに挟まれて、θz方向に回転可能に、かつZ方向に移動できない状態で支持されている。
【0049】
また、保持部材31Dの-Z方向の端部に円筒状の連結部材30Lを介して円板状の連結部材31Eが固定され、押さえ部材31Cの+Z方向の面と、連結部材31Eの-Z方向の面とが、例えばθz方向に巻回されたスプリングよりなる弾性部材32Aによって連結されている。弾性部材32Aによって、ベース部材31Aに対してモータ部14A(連結部材31E)は所定範囲内で+θz方向又は-θz方向に回転可能に支持されている。弾性部材32Aの剛性を高めることによって、ベース部材31Aに対するモータ部14Aのθz方向の相対回転角の範囲を小さくすることができる。
【0050】
また、モータケース30Dの+Z方向の側面に円筒状の支持部材30Gが固定され、支持部材30Gの+Z方向の面に固定された取り付け部材30Hの内面に回転軸受28Iを介して、第1回転軸18Aの+Z方向の端部に連結された減速機48Aの入力軸46Aが回転可能に支持されている。さらに、取り付け部材30Hの内面の+Z方向側の部分に回転軸受28D及びスラスト軸受29Cを介して減速機48Aが回転可能に支持され、減速機48Aの出力軸に第2回転軸18Bの+Z方向の端部が連結されている。減速機48Aの+Z方向の面(第2回転軸18Bの+Z方向の端部)に被駆動部(不図示)が連結されている。
【0051】
さらに、第2回転軸18Bの+Z方向の端部は、固定部材30I及び回転軸受28Jを介して入力軸46Aの内面にθz方向に回転可能に支持されている。また、第2回転軸18Bの-Z方向の端部が、固定部材30M及び回転軸受28Cを介して連結部材30Lの内面にθz方向に回転可能に支持されている。
また、第1回転軸18Aの-Z方向の端部に固定された支持部材30K、及び第2回転軸18Bの-Z方向の端部に、それぞれ反射型で回転型の検出パターンが形成された輪帯状及び円板状の第1回転板34A及び第2回転板34Bが取り付けられている。さらに、ベース部材31Aの連結部材31Eの+Z方向の面に、反射型で回転型の検出パターンが形成された輪帯状の第3回転板34Cが取り付けられている。
【0052】
本実施形態のエンコーダ部12Aは、第1回転板34Aと、第1回転板34Aのパターンに検出光を照射する光源40Aと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Aと、受光素子42Aの検出信号を処理してモータ部14に対する回転板34A(及び第1回転軸18A)のθz方向のエンコーダ情報S1Aを求める処理回路44Aとを含む第1検出部33A、及び第2回転板34Bと、第2回転板34Bのパターンに検出光を照射する光源40Bと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Bと、受光素子42Bの検出信号を処理してモータ部14Aに対する回転板34B(及び第2回転軸18B)のθz方向のエンコーダ情報S1Bを求める処理回路44Bとを含む第2検出部33Bを有する。
【0053】
また、エンコーダ部12Aは、第3回転板34Cと、第3回転板34Cのパターンに検出光を照射する光源40Cと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Cと、受光素子42Cの検出信号を処理してベース部材31Aに対する回転板34C(及びモータ部14A)のθz方向のエンコーダ情報S1Cを求める処理回路44Cとを含む第3検出部33Cを有する。光源40A、受光素子42A、及び処理回路44Aは保持部材31Dに支持され、光源40B、受光素子42B、及び処理回路44Bは連結部材30Lに支持されている。光源40C、受光素子42C、及び処理回路44Cは連結部材31Eに支持されている。この他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0054】
すなわち、検出部33A~33Cのエンコーダ情報S1A,S1B,S1Cは演算装置16に供給され、演算装置16は、そのエンコーダ情報S1A,S1Bを用いて第2回転軸18Bの実際の回転角の情報を求め、エンコーダ情報S1Cを用いてベース部材31Aからモータ部14Aに加わる負荷(ひいては被駆動部からモータ部14Aに加わる負荷)のトルクの情報を求め、そのトルクの情報からモータ部14Aの駆動量の補正値の情報を求め、求めた情報を制御装置24に供給する。制御装置24は、演算装置16から供給される情報を用いてモータ部14Aを駆動する。
【0055】
本実施形態においても、エンコーダ部12Aは、1つの第3検出部33Cの検出信号を用いて、モータ部14Aに対する負荷(トルク)を求めることができるとともに、第3検出部33Cは減速機48A及び第2回転軸18B(被駆動部)から離れた位置に設置されている。このため、第2回転軸18B(出力軸)の回転角のばらつき、及び第2回転軸18Bのグリスによる摩擦などがあっても、簡単な構成で高精度にモータ部14Aに対する負荷を検出できる。そして、駆動装置10は、この検出結果を用いて第2回転軸18Bの回転角を高精度に制御できる。
【0056】
次に、第3の実施形態につき
図7を参照して説明する。なお、
図7において、
図6に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る駆動装置10Bを示す。
図7において、駆動装置10Bのベース部材31Aの円筒状の支持部材31Bの内面に回転軸受28A,28Bを介して、モータ部14Aのモータケース30Dがθz方向に回転可能に支持されている。さらに、支持部材31Bの内面の回転軸受28A,28Bの中央の位置で、複数(例えば4個)の板ばね32B,32C(他の例えば2個の板ばねは不図示)によってモータ部14Aのモータケース30Dが支持されている。板ばね32B,32Cは、モータケース30Dの側面(外周面)側で支持部材31Bの内面側に配置されている。また、
図7においては、板ばね32B,32Cは、モータケース30Dの側面と支持部材31Bの内面とに接触して固定されている。板ばね32C,32D(弾性体)によって、ベース部材31Aに対してモータ部14A(モータケース30D)は所定範囲内で+θz方向又は-θz方向に回転可能に支持されている。板ばね32C,32Dの剛性を高めることによって、ベース部材31Aに対するモータ部14Aのθz方向の相対回転角の範囲を小さくすることができる。
【0057】
また、ベース部材31Aの押さえ部材31Cの+Z方向の面の中央部に平板状の支持部材31Fを介して反射型で回転型の検出パターンが形成された円板状の第3回転板34Cが取り付けられている。さらに、第3回転板34Cのパターンに検出光を照射する光源40Cと、そのパターンからの光(例、反射光)を受光する受光素子42Cと、その検出信号を処理する処理回路44Cとが、モータケース30D(モータ部14A)に連結された連結部材30Lに支持されている。本実施形態のエンコーダ部12Aは、第3回転板34Cと、光源40Cと、受光素子42Cと、処理回路44Cとを含み、ベース部材31A(回転板34C)に対するモータ部14Aのθz方向のエンコーダ情報S1Cを求める第3検出部33Cを有する。この他の構成は第2の実施形態と同様であり、エンコーダ部12Aも第1検出部33A及び第2検出部33Bを有する。
本実施形態においても、エンコーダ部12Aは、1つの第3検出部33Cの検出信号を用いて、モータ部14Aに対する負荷(トルク)を求めることができるとともに、第3検出部33Cは減速機48A及び第2回転軸18B(被駆動部)から離れた位置に設置されている。このため、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
次に、第4の実施形態につき
図8を参照して説明する。なお、
図8において、
図1に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る駆動装置10Cを示す。
図8において、駆動装置10Cは、L字型のベース部材31Gと、モータ部14Bと、エンコーダ部12Bと、演算装置16Aと、制御装置24Aとを備えている。ベース部材31Gの上面31Gaにリニアガイド31Hを介してモータ部14Bが設置され、モータ部14Bは上面31Gaに平行に配置されたボールねじ18Cを回転駆動する。以下、ボールねじ18Cに平行にZ軸を取って説明する。ボールねじ18Cに対して可動部31Iが螺合され、可動部31Iの上面に可動テーブル31Jが固定され、可動テーブル31Jの上面に被加工物(不図示)が載置される。モータ部14Bでボールねじ18Cを回転駆動することで、可動部31Iを介して可動テーブル31JがZ方向に移動する。ボールねじ18Cは回転軸受(不図示)を介して上面31Gaに支持され、可動部31Iはガイド部材(不図示)に沿って移動する。
【0059】
また、ベース部材31Gの背面31Gbと、モータ部14Bの-Z方向の面とがZ軸に平行な軸の軸回りに巻回されたスプリング状の弾性部材32Dで連結されている。モータ部14Bはリニアガイド31Hに沿ってZ方向に移動可能であり、ベース部材31Gに対してモータ部14Bは弾性部材32DによってZ方向に変位可能に連結されている。弾性部材32Dの剛性を高めることによって、モータ部14BのZ方向の変位範囲を小さくすることができる。
【0060】
また、本実施形態のエンコーダ部12Bは、第1検出部33A、第2検出部33D、及び第3検出部33Eを有する。第1検出部33Aは、ボールねじ18Cに設けられた回転板34Aと、モータ部14Bの支持部材36Bに設けられた光源40A、受光素子42A、及び処理回路44Aとを有し、モータ部14Bに対するボールねじ18C(第1変位部)のZ軸に平行な軸の軸回りの回転角を含むエンコーダ情報S2Aを生成する。また、ベース部材31Gの上面31Gaにそれぞれ不図示の支持部材を介してZ軸に平行に格子パターン等が形成されたスケール部34D及び34Eが配置されている。そして、第2検出部33Dは、スケール部34Dと、可動部31Iに設けられて、スケール部34Dのパターンを読み取る受発光素子部33Daとを有し、モータ部14Bに対する可動テーブル31J(第2変位部)のZ方向の位置を含むエンコーダ情報S2Bを生成する。第3検出部33Eは、スケール部34Eと、モータ部14Bに設けられて、スケール部34Eのパターンを読み取る受発光素子部33Eaとを有し、ベース部材31Gに対するモータ部14BのZ方向の位置を含むエンコーダ情報S2Cを生成する。本実施形態の検出部33D,33Eは光学式のリニアエンコーダである。生成されたエンコーダ情報S2A,S2B,S2Cは演算装置16Aに供給される。
【0061】
演算装置16Aは、エンコーダ情報S2A,S2Bを用いて可動テーブル31JのZ方向の位置の情報を求め、エンコーダ情報S2Cを用いてベース部材31Gからモータ部14Bに加わる負荷(ひいては可動テーブル31Jからモータ部14Bに加わる負荷)の情報を求め、その負荷の情報からモータ部14Bの駆動量の補正値の情報を求め、求めた情報を制御装置24Aに供給する。制御装置24Aは、演算装置16Aから供給される情報を用いてモータ部14Bを駆動する。
【0062】
本実施形態においても、エンコーダ部12Bは、1つの第3検出部33Eの検出信号を用いて、モータ部14Bに対するZ方向の負荷を求めることができるとともに、第3検出部33Eはボールねじ18C(第1変位部)及び可動テーブル31J(第2変位部)から離れた位置に設置されている。このため、可動テーブル31Jの位置のばらつき、及び可動テーブル31Jとガイド部材(不図示)との間にグリスによる摩擦などがあっても、簡単な構成で高精度にモータ部14Bに対する負荷を検出できる。そして、この検出結果を用いて可動テーブル31Jの位置を高精度に制御できる。
【0063】
なお、本実施形態において、検出部33D,33Eとしては、光学式の反射型又は透過型のリニアエンコーダの他に、磁気式又は静電容量式等の任意のリニアエンコーダを使用できる。
次に、本実施形態の変形例につき
図12を参照して説明する。
図12において、
図1、
図8、及び
図11に対応する部分には同一又は類似する符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0064】
図12はこの変形例の駆動装置10Eを示す。
図12において、駆動装置10Eは、L字型のベース部材31G1と、ベース部材31G1の端部に固定された支持部材31G2と、、ベース部材31G1の端部に回転軸受28Dを介して回転可能に配置された連結部材31G3と、連結部材31G3に連結されたモータケース31G4と、モータケース31G4内に保持されたモータ部14Bと、エンコーダ部と、モータ部14Bに回転駆動される第1回転軸18A(第1駆動軸)と、第1回転軸18Aの回転を停止させるブレーキ48Dと、ベース部材31G1(支持部材31G2)に対してモータ部14B(モータケース31G4)を変位可能に連結する弾性部材(弾性体)32Eと、第1回転軸18Aに対してカップリング18Dによって連結されるボールねじ18Cと、を備えている。ボールねじ18C(第2駆動軸)は、ベース部材31G1の上面に1対の回転軸受28A及び28BによってZ軸に平行に支持され、ボールねじ18Cに螺合された可動部31Iの上面に可動テーブル31J(リニアステージ)が固定されている。
【0065】
また、本変形例のエンコーダ部も、モータ部14Bに対する第1回転板34A(第1回転軸18A)のZ軸の軸回りの回転方向(θz方向)のエンコーダ情報を求めるための第1検出部33A、モータ部14Bに対するボールねじ18CのZ方向の位置及び/又は速度を含むエンコーダ情報を求めるためのリニアエンコーダよりなる第2検出部33B1、及びベース部材31G1に対する第3回転板34C(及びモータ部14B)のθz方向のエンコーダ情報を求める第3検出部33Cを備える。第1回転板34Aは第1回転軸18Aに連結され、第2検出部33B1のスケール部34B1はベース部材31G1の上面に固定され、第2検出部33B1の光源及び受光素子は可動部31Iの底面にスケール部34B1に対向するように固定されている。また、第1検出部33Aの光源及び受光素子はモータケース31G4に連結された基板に固定され、第3検出部33Cの光源及び受光素子は、モータケース31G4に連結された基板に固定されている。
【0066】
さらに、第3回転板34Cは弾性部材32Eに固定されている。弾性部材32Eによって、モータケース31G4内のモータ部14Bはベース部材31G1(支持部材31G2)に対して、その中心軸(例えば回転軸18Aの中心軸と一致する軸)の回り、又はZ軸に平行な軸の軸回りの回転方向(θz方向)に所定範囲で+θz方向又は-θz方向に回転可能である。また、弾性部材32Eの外側の輪帯部32Ebが支持部材31G2(ベース部材31G1)に連結され、弾性部材32Eの内側の輪帯部32Eaがモータケース31G4に連結され、第3回転板34Cは弾性部材32Eの外側の輪帯部32Ebに連結されている。弾性部材32Eの板ばね部32Ecの剛性を高めることによって、ベース部材31G1に対するモータ部14Bのθz方向の相対回転角の範囲を小さくすることができる。この他の構成等は第1及び第4の実施形態と同様である。
【0067】
この変形例によれば、上述の実施形態と同様にエンコーダ部によってモータ部14Bに対する負荷のトルクτLBを高精度に求めることができる。さらに、その負荷のトルクτLBを用いてモータ部14Bの駆動量を補正することによって、その負荷が大きく変動する場合でもモータ部14Bを大出力にして、かつボールねじ18C(出力軸)の回転角を高精度に目標値に制御できる。
【0068】
また、上述の各実施形態の駆動装置は各種工作機械又はロボット装置の駆動機構として使用できる。
図9は、上記の実施形態の駆動装置10が使用されたロボット装置RBTを示す斜視図である。なお、
図9には、ロボット装置RBTの一部(関節部分)を模式的に示した。以下の説明において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。このロボット装置RBTは、第1アームAR1と、第2アームAR2と、関節部JTとを有している。第1アームAR1は、関節部JTを介して、第2アームAR2と接続されている。
【0069】
第1アームAR1は、腕部201、軸受201a、及び軸受201bを備えている。第2アームAR2は、腕部202および接続部202aを有する。接続部202aは、関節部JTにおいて、軸受201aと軸受201bの間に配置されている。接続部202aは、第2回転軸18Bと一体的に設けられている。回転軸18Bは、関節部JTにおいて 軸受201aと軸受201bの両方に挿入されている。回転軸18Bのうち軸受201bに挿入される側の端部は、軸受201bを貫通して減速機48に接続されている。
【0070】
減速機48は、駆動装置10に接続されており、駆動装置10の第1回転軸18A(
図9では不図示)の回転を例えば100分の1等に減速して回転軸18Bに伝達する。
図9に図示しないが、駆動装置10の回転軸18Aの端部は、減速機48に接続されている。また、駆動装置10の回転軸18Aの端部には、エンコーダ部12の回転板34A(
図1参照)と同様のスケールが取り付けられている。
【0071】
ロボット装置RBTは、駆動装置10を駆動して回転軸18Aを回転させると、この回転が減速機48を介して回転軸18Bに伝達される。回転軸18Bの回転により接続部202aが一体的に回転し、これにより第2アームAR2が、第1アームAR1に対して回転する。その際、エンコーダ部12は、回転軸18Aの角度位置等を検出する。従って、エンコーダ部12からの出力により、第2アームAR2の角度位置を検出することができる。このロボット装置RBTにおいて、エンコーダ部12は負荷(トルク)を検出できるため、その検出された負荷を用いて第2アームAR2の角度位置等を高精度に制御できる。なお、ロボット装置RBTは、上記の構成に限定されず、駆動装置10は、関節を備える各種ロボット装置(例、組立ロボット、人間協調型ロボット等)に適用できる。
【0072】
本明細書には以下の発明の態様1)~24)も記載されている。
1)固定部に対して弾性体を介して連結されて第1変位部を駆動するモータ部と、前記第1変位部の変位を変換して第2変位部に伝達する伝達部とを備える駆動装置に設けられるエンコーダであって、
前記第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、
前記第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、
前記固定部に対する前記モータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、
前記第1及び第2変位情報を用いて前記モータ部の駆動量に関する情報を求め、前記第3変位情報を用いて前記モータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、を備えるエンコーダ。
2)前記演算部は、前記負荷の情報を用いて前記モータ部の駆動量の補正値を求める1に記載のエンコーダ。
3)前記演算部は、前記負荷の変動による前記第2変位部の変位を抑制するように前記駆動量の補正値を求める2に記載のエンコーダ。
4)前記演算部は、前記第1及び第2変位情報を用いて、前記第2変位部の位置情報を算出する1から3のいずれか一項に記載のエンコーダ。
5)前記第3検出器は、前記固定部の前記弾性体との連結部、及び前記モータ部の前記弾性体との連結部に配置される1から4のいずれか一項に記載のエンコーダ。
6)前記演算部は、前記第1及び第2変位情報を用いて、前記伝達部に加わる負荷の情報を求める1から5のいずれか一項に記載のエンコーダ。
7)前記第1及び第2変位部はそれぞれ第1及び第2回転軸であり、前記第1、第2、及び第3検出器は、それぞれ前記変位情報として回転情報を検出する1から6のいずれか一項に記載のエンコーダ。
8)前記弾性体は、前記第1回転軸に平行な軸の回りに弾性を持つ7に記載のエンコーダ。
9)前記負荷はトルクである7又は8に記載のエンコーダ。
10)第1変位部を駆動するモータ部と、前記モータ部が固定される固定部に対して前記モータ部を変位可能に連結する弾性体と、
前記第1変位部の変位を変換して第2変位部を駆動する伝達部と、
前記第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、
前記第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、
前記固定部に対する前記モータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、
前記第1及び第2変位情報を用いて、前記モータ部の駆動量に関する情報を求め、前記第3変位情報を用いて前記モータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、
前記演算部で求められる情報を用いて前記モータ部を制御する制御部と、を備える駆動装置。
11)前記第3検出器は、前記固定部の前記弾性体との連結部、及び前記モータ部の前記弾性体との連結部に配置される10に記載の駆動装置。
12)前記演算部は、前記負荷の情報を用いて前記モータ部の駆動量の補正値を求める10又は11に記載の駆動装置。
13)10から12のいずれか一項に記載の駆動装置を備えるロボット装置。
14)固定部に対して弾性体を介して連結されて第1変位部を駆動するモータ部と、前記第1変位部の変位を変換して第2変位部に伝達する伝達部とを備える駆動装置の制御システムであって、
前記第1変位部の第1変位情報を検出する第1検出器と、
前記第2変位部の第2変位情報を検出する第2検出器と、
前記固定部に対する前記モータ部の第3変位情報を検出する第3検出器と、
前記第1及び第2変位情報を用いて、前記モータ部の駆動量に関する情報を求め、前記第3変位情報を用いて前記モータ部に対する負荷の情報を求める演算部と、
前記演算部で求められる情報を用いて前記モータ部を制御する制御部と、を備える制御システム。
15)前記演算部は、前記負荷の情報を用いて前記モータ部の駆動量の補正値を求める14に記載の制御システム。
16)前記演算部は、前記負荷の変動による前記第2変位部の変位を抑制するように前記駆動量の補正値を求める15に記載の制御システム。
17)前記演算部は、前記第1及び第2変位情報を用いて、前記第2変位部の位置情報を算出する14から16のいずれか一項に記載の制御システム。
18)前記第1及び第2変位部はそれぞれ第1及び第2回転軸であり、前記第1、第2、及び第3検出器は、それぞれ前記変位情報として回転情報を検出する14から17のいずれか一項に記載の制御システム。
19)前記負荷はトルクである18に記載の制御システム。
20)固定部に対して弾性体を介して連結されて第1変位部を駆動するモータ部と、前記第1変位部の変位を変換して第2変位部に伝達する伝達部とを備える駆動装置の制御方法であって、
前記第1変位部の第1変位情報を検出することと、
前記第2変位部の第2変位情報を検出することと、
前記固定部に対する前記モータ部の第3変位情報を検出することと、
前記第1及び第2変位情報を用いて、前記モータ部の駆動量に関する情報を求め、前記第3変位情報を用いて前記モータ部に対する負荷の情報を求めることと、
前記駆動量に関する情報及び前記負荷の情報を用いて前記モータ部を制御することと、を含む制御方法。
21)前記負荷の情報を求めることは、前記負荷を用いて前記モータ部の駆動量の補正値を求めることを含む20に記載の制御方法。
22)前記負荷の情報を求めることは、前記負荷の変動による前記第2変位部の変位を抑制するように前記駆動量の補正値を求めることを含む21に記載の制御方法。
23)前記モータ部の駆動量に関する情報を求めることは、
前記第1及び第2変位情報を用いて、前記第2変位部の位置情報を算出することを含む20から22のいずれか一項に記載の制御方法。
24)前記第1及び第2変位部はそれぞれ第1及び第2回転軸であり、前記変位情報としてそれぞれ回転情報が検出される20から23のいずれか一項に記載の制御方法。
【符号の説明】
【0073】
10,10A~10E…駆動装置、12,12A,12B…エンコーダ部、14,14A~14C…モータ部、16,16A…演算装置、24,24A…制御装置、18A…第1回転軸、18B…第2回転軸、20…マグネット、22…コイル、30A…ベース部材、32,32A~32E…弾性部材、33A~33C…検出部、34A~34C…回転板、40A~40C…光源、42A~42C…受光素子、48,48A…減速機