(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022141182
(43)【公開日】2022-09-29
(54)【発明の名称】膨れ防止ブランクシートおよび包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20220921BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20220921BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20220921BHJP
【FI】
B65D5/44 H
B65D5/02 K
B65D5/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041382
(22)【出願日】2021-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511288522
【氏名又は名称】セッツカートン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健司
(72)【発明者】
【氏名】落合 政夫
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BB03
3E060BC02
3E060CD03
3E060DA11
3E060EA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラップアラウンド型包装箱において、胴部膨れを防止すること。
【解決手段】本体部と外フラップ6と内フラップ7とを備えた、ラップアラウンド型包装箱のブランクシートであって、本体部は、矩形の天面板と矩形の底面板5の間に矩形の側面板4が挟まる配置をしており、外フラップは、天面板短辺および底面板短辺から延びており、内フラップは、側面板短辺から延びており、隣接する前記外フラップと内フラップの間には溝が形成されており、外フラップの折目線のある位置の前記溝の幅はブランクシートの板厚の2倍より狭いものであり、天面板と側面板間の折目線および底面板と側面板間の折目線8bは、溝の中心より側面板側に寄って設けられているラップアラウンド型包装箱のブランクシートとする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と外フラップと内フラップとを備えた、ラップアラウンド型包装箱のブランクシートであって、
前記本体部は、矩形の天面板と矩形の底面板の間に矩形の側面板が挟まる配置をしており、
前記外フラップは、前記天面板短辺および前記底面板短辺から延びており、
前記内フラップは、前記側面板短辺から延びており、
隣接する前記外フラップと前記内フラップの間には溝が形成されており、前記外フラップの折目線のある位置の前記溝の幅は前記ブランクシートの板厚の2倍より狭いものであり、
前記天面板と前記側面板間の折目線および前記底面板と前記側面板間の折目線は、前記溝の中心より前記側面板側に寄って設けられていることを特徴とするラップアラウンド型包装箱のブランクシート。
【請求項2】
前記天面板と前記側面板間の折目線および前記底面板と前記側面板間の折目線の少なくとも1つの折目線には、前記折目線が分岐し、分岐した二本の折目線がその後再び一本に戻る領域を少なくとも1箇所有していることを特徴とする請求項1記載のラップアラウンド型包装箱のブランクシート。
【請求項3】
前記内フラップは、前記側面板の短辺から延びる内フラップ側辺が、前記側面板の長辺と平行に延びていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のラップアラウンド型包装箱のブランクシート。
【請求項4】
前記内フラップは、前記側面板の短辺から延びる内フラップ側辺が、波状になっていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のラップアラウンド型包装箱のブランクシート。
【請求項5】
前記ブランクシートを組み立て、内容物を入れた請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のラップアラウンド型包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包み込むように包装する段ボール、板紙等の厚紙製のラップアラウン型ブランクシートおよび当該ブランクシートを組み立てた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパー、カップ麺、レトルト食品などの物品を包装する特許文献1の
図2のようなラップアラウンド型包装箱が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品を包装した包装箱を複数積み上げた状態にすると、下段側の包装箱の側面板が重みで潰れ、いわゆる胴部膨れが生じることが問題となっていた。特に夏場の高温多湿な状態下で、包装箱を複数積み上げ保管するなどの場合に、包装箱の長面が胴部膨れにより変形することで、不良品となることがあった。また、胴部膨れにより被包装物品にも変形等の悪影響が及ぶこともあった。
本発明は、ラップアラウンド型包装箱において、胴部膨れを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本体部と外フラップと内フラップとを備えた、ラップアラウンド型包装箱のブランクシートであって、前記本体部は、矩形の天面板と矩形の底面板の間に矩形の側面板が挟まる配置をしており、前記外フラップは、前記天面板短辺および前記底面板短辺から延びており、前記内フラップは、前記側面板短辺から延びており、隣接する前記外フラップと前記内フラップの間には溝が形成されており、前記外フラップの折目線のある位置の前記溝の幅は前記ブランクシートの板厚の2倍より狭いものであり、前記天面板と前記側面板間の折目線および前記底面板と前記側面板間の折目線は、前記溝の中心より前記側面板側に寄って設けられていることを特徴とするラップアラウンド型包装箱のブランクシートとすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
ラップアラウンド型包装箱において、胴部膨れを防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】溝の説明図。(a)実施例に係る
図2のAの円内の拡大図。(b)
図3(a)の拡大図。(c)従来の溝の拡大図。
【
図4】組み立てた包装箱の斜視図。(a)実施例のブランクシートを組み立てた包装箱の斜視図。(b)従来技術のブランクシートを組み立てた包装箱の斜視図。
【
図5】座屈の説明図。(a)包装箱を複数積み上げた状態の斜視図。(b)最下段の包装箱周辺の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施例)
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、本来ブランクシート1Bや包装箱1には、左右や前後といった方向はないが、図面に方向を図示し、説明としている場合がある。方向は、説明のためその図に限った左、右、前、後という方向を表すものである。
【0010】
[従来技術と実施例の共通事項]
(本体部の領域)
図1は、従来のブランクシート1Bの平面図である。本体部2は、天面板3、側面板4、底面板5、側面板4の順に並ぶ部分を指す。天面板3、側面板4および底面板5は、いずれも矩形をしており、本体部2は、各板の長辺が互いに連接されており、矩形の天面板3と矩形の底面板5の間に矩形の側面板4が挟まる配置となっている。
天面板3は、ブランクシート1Bの図中前端に配置されている。天面板3は、前後の長辺の内、後の長辺が折目線(天面板と側面板間)8aとなっており、前の長辺が折目線(天面板と継しろ間)8eとなっている。左と右の短辺には、折目線(天面板と外フラップ間)8d1が設けられている。天面板3となる領域は、これらの折目線によりブランクシート1B上に形成される。
底面板5は、前と後の長辺に折目線(底面板と側面板間)8bが設けられ、左と右の短辺に折目線(底面板と外フラップ間)8d2が設けられることで底面板5となる領域がブランクシート1B上に形成される。
2つある側面板4の一方は、天面板3と底面板5の間に挟まって配置される。この側面板4には、天面板3側に折目線(天面板と側面板間)8aが設けられ、底面板5側に折目線(底面板と側面板間)8bに設けられ、左と右の短辺に折目線(側面板と内フラップ間)8cが設けられることで、側面板4となる領域がブランクシート1B上に形成される。
また、2つある側面板4の他方は、底面板5に面する長辺が、折目線(底面板と側面板間)8bとなっており、また、他方は、ブランクシート1Bの後端となっている。加えて、左と右の短辺に折目線(側面板と内フラップ間)8cが設けられることで、側面板4となる領域がブランクシート1B上に形成される。
折目線(底面板と側面板間)8b、折目線(天面板と側面板間)8aと折目線(天面板と継しろ間)8eは、互いに平行に設けられており、組み立てると直方体を形成するようになっている。
【0011】
(外フラップ・内フラップ)
外フラップ6は、天面板3の図中左と右の短辺と底面板5の左右の短辺から延びており、ブランクシート1Bには合計4枚の外フラップ6が設けられている。
個々の外フラップ6は、一対の外フラップ側辺61を有する矩形状の形状をしている。
内フラップ7は、2枚ある側面板4の右と左の短辺から延びており、ブランクシート1Bには合計4枚の内フラップ7が設けられている。
個々の内フラップ7は、一対の内フラップ側辺71を有する矩形状の形状をしている。
【0012】
(溝)
隣接する外フラップ6と内フラップ7との間には、溝9が形成されている。
【0013】
(継しろ)
実施例および従来技術ともに、継しろ32は、ブランクシート1Bの前端(
図1および
図2の前端)に設けられており、折目線(天面板と継しろ間)8eから延びている。
【0014】
(接着)
包装箱1の幅面12では、折り込まれた内フラップ7に対して被さるように外フラップ6が包み込み、接着剤で固定される。また、継しろ32は、長面11(側面板4)と接着されて閉じられ包装箱1となる。
【0015】
[実施例の特徴]
図2は、実施例のブランクシート1Bの平面図である。
図3(a)は実施例に係る
図2のAの円内の拡大図である。そして、
図3(b)は
図3(a)の拡大図である。従来技術と同じ点は省略し、実施例の特徴点に絞って説明する。
【0016】
(折目線の構造)
実施例では、折目線(天面板と側面板間)8aと折目線(底面板と側面板間)8bは同じ構造をしている。
図2では、説明のため折目線(天面板と側面板間)8aにのみ、符号を振ったが、折目線(底面板と側面板間)8bも同様の構造となっている。
折目線(天面板と側面板間)8aは、分岐点8gが設けられており、分岐点8gで一本線であった折目線を分岐させている。分岐点8gで分かれた折目線は、一方は天面板3側に他方は側面板4側に別れ、平行な2本の折目線となり、その後再び一本線の折目線に戻る。実施例では、折目線(天面板と側面板間)8aは、左から、一本折目線領域8h、二本折目線領域8f、一本折目線領域8h、二本折目線領域8f、最後に、一本折目線領域8hとなるように分岐点8gが4箇所設けられている。
二本折目線領域8fの数や一本折目線領域8hとの長さの割合は、ブランクシート1Bの板厚や強度、そして、包装箱1の大きさや内容物などによって変わるので、実施例は本発明の1例にすぎない。
【0017】
実施例では、
図2のように本体部2の後端部は側面板4で途切れている。そのため、この箇所に二本折目線領域8fを設けることはできないが、折目線(天面板と側面板間)8aに設けた二本折目線領域8fと同様の位置に、側面板4側を通る凹んだ折目線8jを設けてもよい。
【0018】
(溝の形状)
従来技術では、
図1に示すように、溝9の一方を形成する外フラップ側辺61と溝9の他方を形成する内フラップ側辺71は、平行であり、深いU字状の溝9となっている。
これに対して、
図3(a)および
図3(b)のように、実施例では、隣接する外フラップ6と内フラップ7の間には溝9が設けられていることでは従来技術と同じであるが、外フラップ側辺61は、溝9の奥から開口に向かって広がるように傾斜している。
他方、側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71は、側面板4の長辺、すなわち、折目線(底面板と側面板間)8bや折目線(天面板と側面板間)8aと平行に延びている。
【0019】
この溝9は、包装箱1を組み立てやすくするためのものである。組み立てに際して、内フラップ7が折り曲げられ、次いで、外フラップ6が内フラップ7の外側から被さるように折り曲げられるため、折目線(側面板と内フラップ間)8cと折目線(底面板と外フラップ間)8d2の間には若干のズレ幅sがある。この若干のズレ幅sは、包装箱1を組み立てた時、内フラップ7の外を外フラップ6が覆うようになるため、略板厚hの厚さのズレ幅sを設けている。実施例では、2.5mmの板厚hよりやや短いものとなっている。
前述したように、側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71は、側面板4の長辺、すなわち、折目線(底面板と側面板間)8bや折目線(天面板と側面板間)8aと平行に延びている。そして、内フラップ側辺71は、波状となっている
【0020】
(折目線(天面板と側面板間)および折目線(天面板と側面板間)の位置)
図3(c)は、従来技術の溝9の拡大図である。従来技術では、溝9の中央から折目線(底面板と側面板間)8bが延びている。図示していないが、折目線(天面板と側面板間)8aも同じであり、溝9の中央から折目線(天面板と側面板間)8aが延びている。
実施例の溝9の拡大図である
図3(b)では、底面板5と側面板4間の折目線(底面板と側面板間)8bは、溝9の中心より側面板4側に寄って設けられている。また、図示していないが、折目線(天面板と側面板間)8aも同様である。
【0021】
(溝の幅)
実施例では、外フラップ6の折目線のある位置での溝9の幅は、ブランクシート1Bの板厚の2倍より狭いものとなっている。
図3(b)のように、最も狭い幅がブランクシート1Bの板厚hの2倍より狭い、3.5mmの溝9の幅となっている。
これに対して、
図3(c)の従来技術の溝9では、ブランクシート1Bの2.5mmの板厚hの丁度倍の幅となる5mm幅の溝9が形成されている。
【0022】
以上の点で従来技術と実施例は異なるが、それによって実施例では次のような特徴が生じる。
(特徴点1)
(溝の幅)と(折目線(天面板と側面板間)および折目線(天面板と側面板間)の位置)により、次のような作用が生まれる。
図4は、実施例のブランクシート1Bを組み立てた包装箱1の斜視図である。包装箱1は直方体形状をしており、折目線(側面板と内フラップ間)8cと折目線(底面板と側面板間)8bが折られることで、包装箱1の角部ができる。
図3(b)に示すように、外フラップ6の折目線のある位置の溝9の幅、すなわち、折目線(底面板と側面板間)8bと溝9がぶつかる位置の溝9の幅は、ブランクシート1Bの板厚の2倍より狭い3.5mmとなっている。加えて、折目線(側面板と内フラップ間)8cと折目線(底面板と側面板間)8bが、溝9の中心より側面板4側に寄って設けられている。
図3(b)に図示したように、この寄り幅をwとすると、実施例では寄り幅wを1mmとしている。
【0023】
実施例の折目線(側面板と内フラップ間)8cと折目線(底面板と側面板間)8bの位置関係は、従来技術と比べ非常に近接した位置関係となる。2.5mmの板厚の内フラップ7と側面板4は、成形される際に1mmの寄り幅wに収まるように折り曲げられる。そのため、包装箱1が積み重ねられるなどすることで天面側3に荷重(圧縮される力)が加わった際に、強度の高い角部が発現する。このような強度の向上は、包装箱1のすべての角部で起きる。
【0024】
図4(a)の枠で囲んだBの角部が
図3(b)の拡大図の箇所に相当する。
図4(a)のBの角部とAの角部に注目すると、包装箱1を複数積み重ねた場合、圧縮されたAの角部から折目線(側面板と内フラップ間)8cを通って、圧縮されたBの角部へ荷重がかかることが分かる。内フラップ7の段目は縦方向となっており、折目線(側面板と内フラップ間)8cから形成される稜線13が支柱となって支える構造となっていることが分かる。また、折り曲げられた内フラップ7全体も底面板5に載り、天面板3との間に挟まることで荷重を受けることに寄与する。
他方、
図3(c)の従来技術では、実施例で起こった角部の圧縮が起きず、むしろ角部では底面板5と内フラップ7が、わずかに離れる。内フラップ7が荷重の支持に寄与することがなく、荷重が長面11にかかると胴膨れが起きる。
【0025】
(特徴点2)
(折目線の構造)
図2の実施例では、ブランクシート1Bの折目線(天面板と側面板間)8aと折目線(底面板と側面板間)8bに、二本折目線領域8fと一本折目線領域8hが設けられている。二本折目線領域8fは、
図4(a)のように包装箱1を組み立てるとやや凹む。
図5は座屈の説明図であり、
図5(a)は包装箱1を複数積み上げた状態の斜視図であり、
図5(b)は最下段の包装箱1周辺の拡大図である。最下段の包装箱1と最下段の包装箱1の上に載った包装箱1の長面11付近が図示されている。最下段の包装箱1の一本折目線領域8hでは、折目線(底面板と側面板間)8bが折られてできた稜線13が座屈して、座屈領域8iとなっている。この座屈は以下の経過で進む。長面11(側面板4)にかかる荷重は、二本折目線領域8fが凹んでいるため、複数設けられた一本折目線領域8hに集中する。荷重に耐えられなくなった一本折目線領域8hは、分岐点8gを起点として座屈し座屈領域8iが拡大して行く。このように、大きな荷重がかかると、二本折目線領域8fは座屈誘導線として機能するようになる。
【0026】
これにより、非常に目立つ胴膨れから、目立たない稜線13(一本折目線領域8h)の座屈に置き換わる。折目線(側面板と内フラップ間)8cが折られてできた稜線13は、前述のように強固であり、荷重を支え続ける。長面11(側面板4)の左右中央部分は、一本折目線領域8hが座屈することで、当初あった包装箱1の高さHがわずかに低くなる。これに対して、左右両側の折目線(側面板と内フラップ間)8cが折られてできた稜線13は、強度が高く荷重がかかっても高さHを保つ。
【0027】
加えて、天面板3と底面板5の間にある内フラップ7は、前述したように、Bの角部とAの角部は強固に折り込まれているので、この角部と稜線13のみで荷重を支えることができる。長面11(側面板4)に座屈が起きると、長面11(側面板4)側では包装箱1の高さHを保てなくなるため、荷重は座屈進行に併せて徐々に両側の幅面12側に移って行く。幅面12には内フラップ7があるため、当初、天面板3と底面板5の間で、内フラップ側辺71が軽く接触するだけで、支持に寄与していなかった内フラップ7は、長面11(側面板4)で生じた座屈変形の影響で、徐々に荷重を支持するようになってゆく。逆に、長面11(側面板4)側は、荷重を受けなくなってくるため、胴膨れが阻止される。
【0028】
(特徴点3)
内フラップ7は、側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71が、側面板4の長辺と平行に延びているため、内フラップ側辺71は、天面板3とも底面板5とも接触でき、内フラップ7自体が支持部材として機能することになる。包装箱1は一対の幅面12で支えられ、長面11にかかる荷重が減少するため、胴膨れを阻止できる。
実施例である
図3(b)と従来技術である
図3(c)を比較すれば、双方とも内フラップ7は、側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71が、側面板4の長辺と平行に延びている。
しかし、実施例では(特徴点1)を有しており、(特徴点1)と(特徴点3)が組み合わさることで、有利な作用がもたらされる。前述したように、
図3(c)の従来技術では、実施例で起こった角部の圧縮が起きず、むしろ角部では底面板5と内フラップ7が、わずかに離れる。天面板3と内フラップ7も同様であり、内フラップ7が荷重の支持の役割をあまり果たしていない。
実施例では、折目線(側面板と内フラップ間)8cと折目線(底面板と側面板間)8bの位置関係は、従来技術と比べ非常に近接した位置関係となり、
図3(b)に図示したように、実施例では寄り幅wを1mmとしている。このため、包装箱1を組み立てたときに内フラップ7は、従来技術では天面板3や底面板5から離れてしまうのに対して、実施例では天面板3と底面板5の間に挟まるようになる。(特徴点3)では、内フラップ7は側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71が、側面板4の長辺と平行に延びている。内フラップ側辺71は全長にわたり、天面板3と接触し底面板5とも接触するようになる。このように実施例では、内フラップ7が荷重を受ける割合が従来技術よりはるかに大きくなる。
【0029】
(特徴点4)
実施例では、
図3(b)で図示するように、側面板4の短辺から延びる内フラップ側辺71が、波状に形成されている。上述したように、この内フラップ側辺71は、組み立てられたとき天面板3または底面板5と当接する辺である。内フラップ側辺71は、波状に形成されているため、荷重がかかると波が潰れる。これにより、内フラップ側辺71天面板3や底面板5と密着し荷重を受ける接触面積が増加し、均等に荷重を受けることができる。不均等な荷重の支持により、胴膨れを誘発することを防ぐ。
【0030】
以上のように、実施例は、胴膨れ防止を図る複数の特徴点を有している。これらの特徴点単独でもよいが、組み合わせることで作用効果を高めることができる。
また、実施例のブランクシート1Bを組み立てて、内容物を入れたラップアラウンド型包装箱1も提供できる。
【0031】
(試験)
実施例および従来技術(比較例)は、共に板厚hが2.5mmの同じ強度のブランクシート1Bを用いた。
図1の従来技術のブランクシート1Bと
図2の実施例のブランクシート1Bを用いて包装箱1を組み立てた。
従来技術(比較例)では、
図3(c)で図示されるようにブランクシート1Bは、外フラップ6の折目線のある位置の溝9の幅がブランクシートの板厚の2倍の5mmとし、溝9の中心を通るように折目線(天面板と側面板間)8aおよび折目線(底面板と側面板間)8bを設けた。
実施例では
図3(b)で図示されるように、外フラップ6の折目線のある位置の溝9の幅はブランクシートの板厚の2倍より狭い3.5mm幅とした。そして、折目線(天面板と側面板間)8aと折目線(底面板と側面板間)8b折目線は、溝9の中心より側面板4側に寄せて設けられており、溝9の幅3.5mmを2.5mmと1mmとで分ける位置に設けた。
温度30℃、湿度70%RH、48kg荷重負荷の条件下で3日間置き、包装箱1の長面11と幅面12の胴膨れ量を計測した。
【0032】
【0033】
その結果、実施例では長面11の胴膨れは1mmに抑制できたのに対して、従来技術(比較例)では11mmも膨れた。
また、実施例では、荷重が幅面12の内フラップ7に集中するが、包装箱1の幅面12の胴膨れは2mmに押さえられた。これに対して、従来技術(比較例)の包装箱1の幅面12では、4mmの胴膨れが起きた。
以上の試験の結果、実施例は胴膨れを効果的に防止でき、課題が解決できることが確認された。
【0034】
以上、本発明に係る実施例について、図面を参照して詳述し、多様な特徴点を含む態様を説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0035】
また、前述の実施例および多様な態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 包装箱
1B ブランクシート
11 長面
12 幅面
13 稜線
2 本体部
3 天面板
32 継しろ
4 側面板
5 底面板
6 外フラップ
61 外フラップ側辺
7 内フラップ
71 内フラップ側辺
8a 折目線(天面板と側面板間)
8b 折目線(底面板と側面板間)
8c 折目線(側面板と内フラップ間)
8d1 折目線(天面板と外フラップ間)
8d2 折目線(底面板と外フラップ間)
8e 折目線(天面板と継しろ間)
8f 二本折目線領域
8g 分岐点
8h 一本折目線領域
8i 座屈領域
8j 凹んだ折目線
9 溝
h 板厚
H 包装箱の高さ
w 寄り幅
s ズレ幅