IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

特開2022-142022研削装置及びクリープフィード研削方法
<>
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図1
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図2
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図3
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図4
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図5
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図6
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図7
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図8
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図9
  • 特開-研削装置及びクリープフィード研削方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142022
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】研削装置及びクリープフィード研削方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/02 20060101AFI20220922BHJP
   B24B 53/02 20120101ALI20220922BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20220922BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220922BHJP
【FI】
B24B7/02
B24B53/02
B24B53/12
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021041979
(22)【出願日】2021-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】宮井 俊輝
【テーマコード(参考)】
3C043
3C047
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA02
3C043BA16
3C043BA18
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
3C043EE03
3C047BB01
3C047EE04
3C047EE09
5F057AA12
5F057BA12
5F057BA15
5F057BB03
5F057CA14
5F057DA11
5F057EB27
5F057FA39
(57)【要約】
【課題】クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石をドレスする。
【解決手段】被加工物に対してクリープフィード研削を施す研削装置であって、被加工物を吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、チャックテーブルを支持するテーブルベースと、円柱状のスピンドルを有し、チャックテーブルで保持された被加工物を、スピンドルの下端部に装着された研削ホイールで研削する研削ユニットと、テーブルベースと、研削ユニットとを、加工送り方向に相対的に移動させる移動機構と、テーブルベース又はチャックテーブルに配置された、研削ホイールの研削砥石をドレスするためのドレス部と、を備える研削装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に対してクリープフィード研削を施す研削装置であって、
該被加工物を吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、
該チャックテーブルを支持するテーブルベースと、
円柱状のスピンドルを有し、該チャックテーブルで保持された該被加工物を、該スピンドルの下端部に装着された研削ホイールで研削する研削ユニットと、
該テーブルベースと、該研削ユニットとを、加工送り方向に相対的に移動させる移動機構と、
該テーブルベース又は該チャックテーブルに配置された、該研削ホイールの研削砥石をドレスするためのドレス部と、を備えることを特徴とする研削装置。
【請求項2】
クリープフィード研削方法であって、
被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
該保持ステップの後、該被加工物を研削する研削ホイールが加工送り方向において該チャックテーブルから離れた状態で、該被加工物の上面よりも下方に、該研削ホイールの研削砥石の下面を位置付けるクリープフィード研削準備ステップと、
該クリープフィード研削準備ステップの後、該被加工物と回転する該研削ホイールとを相対的に該加工送り方向に移動させることにより、該被加工物の上面全体を研削するクリープフィード研削ステップと、
該クリープフィード研削ステップの後、該研削砥石に対してドレスを行うためのドレス部の上面よりも下方に、該研削砥石の下面を位置付けるドレス準備ステップと、
該ドレス準備ステップの後、該ドレス部と回転する該研削ホイールとを該加工送り方向に相対移動させることにより、該ドレス部の上面全体を研削するドレスステップと、
を備え、
該ドレス部は、該チャックテーブルが支持されたテーブルベース又は該チャックテーブルに配置されていることを特徴とするクリープフィード研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に対してクリープフィード研削を施す研削装置、及び、被加工物に対してクリープフィード研削を施すクリープフィード研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される小型軽量な電子機器では、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイスを含む半導体チップが用いられる。半導体チップは、例えば、ウェーハの表面に設定された複数の分割予定ライン(ストリート)により区画された各領域にデバイスを形成した後、各ストリートに沿ってウェーハを切断することで製造される。
【0003】
近年では、半導体チップの小型化、軽量化等を目的として、研削等によりウェーハを薄化することが求められる。ウェーハの研削方法として、所定の高さ位置で回転する研削ホイールに対して、ウェーハを保持したチャックテーブルを水平方向に移動させる、クリープフィード研削と呼ばれる研削方法が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
クリープフィード研削でウェーハを研削する場合、まず、上面視で研削ホイールに重ならない位置に配置されたチャックテーブルで、ウェーハの表面側を吸引保持する。このとき、ウェーハの裏面が上方に露出する。
【0005】
次いで、研削ホイールを回転させると共に、研削ホイールの研削砥石の下面を、ウェーハの裏面より僅かに低い位置に位置付ける。その後、研削ホイールとチャックテーブルとを相対的に水平方向に移動させる。研削砥石の側面及び下面がウェーハの上面に接触することで、ウェーハが研削される。
【0006】
クリープフィード研削では、主として研削砥石の側面側を用いて研削が進行するので、側面に比べて研削砥石の下面の摩耗が進行し難い。また、モールド樹脂で被覆された被加工物、金属膜で被覆されたウェーハ等の様に、研削砥石の目詰まりが生じ易い材料が被研削領域に存在する場合、研削が比較的難しくなる。
【0007】
特に、クリープフィード研削では、インフィード研削に比べて、研削砥石の磨耗が進行し難いので、目詰まりが生じ易い傾向にある。研削砥石の目詰まりを解消するためには、研削砥石に対してドレスを行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005-28550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ドレスを行うためには、チャックテーブルで吸引保持されている被加工物に代えて、ドレスボードをチャックテーブルで吸引保持する必要がある。この様な被加工物とドレスボードとの交換作業は、作業効率の低下につながる。
【0010】
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石をドレスすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、被加工物に対してクリープフィード研削を施す研削装置であって、該被加工物を吸引保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルを支持するテーブルベースと、円柱状のスピンドルを有し、該チャックテーブルで保持された該被加工物を、該スピンドルの下端部に装着された研削ホイールで研削する研削ユニットと、該テーブルベースと、該研削ユニットとを、加工送り方向に相対的に移動させる移動機構と、該テーブルベース又は該チャックテーブルに配置された、該研削ホイールの研削砥石をドレスするためのドレス部と、を備える研削装置が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、クリープフィード研削方法であって、被加工物をチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該保持ステップの後、該被加工物を研削する研削ホイールが加工送り方向において該チャックテーブルから離れた状態で、該被加工物の上面よりも下方に、該研削ホイールの研削砥石の下面を位置付けるクリープフィード研削準備ステップと、該クリープフィード研削準備ステップの後、該被加工物と回転する該研削ホイールとを相対的に該加工送り方向に移動させることにより、該被加工物の上面全体を研削するクリープフィード研削ステップと、該クリープフィード研削ステップの後、該研削砥石に対してドレスを行うためのドレス部の上面よりも下方に、該研削砥石の下面を位置付けるドレス準備ステップと、該ドレス準備ステップの後、該ドレス部と回転する該研削ホイールとを該加工送り方向に相対移動させることにより、該ドレス部の上面全体を研削するドレスステップと、を備え、該ドレス部は、該チャックテーブルが支持されたテーブルベース又は該チャックテーブルに配置されているクリープフィード研削方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様に係る研削装置は、研削ホイールの研削砥石をドレスするためのドレス部を備える。このドレス部は、チャックテーブルを支持するテーブルベース、又は、チャックテーブルに配置されている。
【0014】
それゆえ、ドレス部と、テーブルベースとを、加工送り方向に相対的に移動させれば、被加工物に対してクリープフィード研削を施すのと同様に、ドレス部により研削砥石をドレスできる。この様に、被加工物とドレスボードとの交換作業が不要であるので、クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石をドレスできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】研削装置の一部断面側面図である。
図2】クリープフィード研削方法のフロー図である。
図3】保持ステップを示す図である。
図4】クリープフィード研削準備ステップを示す図である。
図5】クリープフィード研削ステップを示す図である。
図6】ドレス準備ステップを示す図である。
図7】ドレスステップを示す図である。
図8】変形例に係るドレス部を示す図である。
図9図9(A)は第2の実施形態に係るドレス部等の上面図であり、図9(B)は第2の実施形態に係るチャックテーブル、ドレス部等の一部断面側面図である。
図10】第3の実施形態に係るドレス部等の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る研削装置2の一部断面側面図である。図1にそれぞれ示す、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向(鉛直方向)は、互いに直交する。
【0017】
本実施形態では、X軸方向と略平行であり研削装置2の前方位置Aから後方位置Aに進む方向を、加工送り方向Bと称する。前方位置Aは、例えば、被加工物11(図3参照)の搬入搬出位置であり、後方位置Aは、例えば、被加工物11に対して研削が施される加工位置である。また、本実施形態では、Z軸方向に沿う下向きの方向を、研削送り方向と称する。
【0018】
研削装置2は、各構成要素を支持する基台4を有する。基台4の上面には、それぞれX軸方向に沿って配置された一対のガイドレール(不図示)が設けられている。ガイドレール上には、上面視で矩形状のテーブルベース6がスライド可能に取り付けられている。
【0019】
テーブルベース6の下面側には、ナット部8が設けられている。ナット部8には、X軸方向に略平行に配置されたボールねじ10が回転可能に連結されている。ボールねじ10の一端部には、パルスモーター12が連結されており、ボールねじ10の他端部には、軸受け14が連結されている。
【0020】
パルスモーター12でボールねじ10を回転させると、テーブルベース6はX軸方向に沿って移動する。一対のガイドレール、ボールねじ10、パルスモーター12等は、後述する研削ユニット30に対してテーブルベース6を加工送り方向Bに相対的に移動させるための移動機構16を構成する。
【0021】
テーブルベース6の上面には、上面視で円形のチャックテーブル18が支持及び固定されている。チャックテーブル18は、セラミックスで形成された円板状の枠体20を有する。枠体20の中央部には、所定の深さを有する円形の凹部が形成されている。
【0022】
枠体20には、所定の流路が形成されている。この流路の一端部には、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、この流路の他端部は、凹部に露出している。凹部には多孔質セラミックスで形成され、凹部と略同じ径を有する円板状のポーラス板22が固定されている。
【0023】
枠体20の上面と、ポーラス板22の上面とは、略面一となっている。吸引源を動作させると、所定の流路を介して保持面18aには負圧が伝達される。保持面18aに生じる負圧により、被加工物11(図3参照)が吸引保持される。
【0024】
本実施形態の被加工物11は、シリコン等の半導体材料で形成されたウェーハである。被加工物11の表面11a(図4参照)には、複数のストリート(不図示)が格子状に設定されており、複数のストリートで区画された各領域には、IC等のデバイス(不図示)が形成されている。
【0025】
被加工物11の研削前には、デバイスへの損傷等を防ぐために、表面11a側に保護テープ(不図示)が貼り付けられる。そして、保護テープを介して表面11a側が保持面18aで吸引保持された状態で、裏面11b側が研削される。
【0026】
図1に戻って、テーブルベース6の上面において、チャックテーブル18の加工送り方向Bの端部位置Cよりも前方(即ち、加工送り方向Bとは反対方向)には、円柱状のホルダ24が固定されている。本例のホルダ24は、チャックテーブル18の前方の端部位置よりも前方に配置されている。
【0027】
ホルダ24の上部には、保持面18aよりも小さい径を有する円板状のドレス部26が固定されている。ドレス部26は、ホルダ24の上端部から1mm程度突出している。ドレス部26は、ホワイトアランダム(WA)、グリーンカーボン(GC)等の砥粒と、ビトリファイドボンド、レジノボンド等の砥粒を固定するボンド(結合材)と、を有する。
【0028】
ドレス部26は、後述する研削ホイール48の研削砥石48bをドレスするために使用される。ドレス部26の上面26aは、保持面18aで吸引保持された被加工物11の裏面11bよりも高い所定位置に配置されている。
【0029】
なお、本実施形態のホルダ24は、ドレス部26の上面26aの高さ位置をZ軸方向に沿って移動させないが、ホルダ24にアクチュエータ(不図示)が内蔵される場合には、このアクチュエータにより、上面26aの高さ位置をZ軸方向に沿って数μmから10μm程度、移動させてもよい。
【0030】
基台4の後方位置A側には、Z軸方向に延びる壁部28が設けられている。壁部28の前方の側面には、研削ユニット30をZ軸方向に沿って移動させるための研削送り機構32が設けられている。
【0031】
研削送り機構32は、各々Z軸方向に沿って配置された一対のガイドレール34を有する。なお、図1では、片方のガイドレール34を示す。ガイドレール34には、移動ブロック34aがスライド可能に取り付けられている。移動ブロック34aの後方の側面には、ナット部36が設けられている。
【0032】
ナット部36には、Z軸方向に略平行に配置されたボールねじ38が回転可能に連結されている。ボールねじ38の上端部には、パルスモーター40が連結されており、ボールねじ38の下端部には、軸受けが連結されている。パルスモーター40でボールねじ38を回転させると、移動ブロック34aはZ軸方向に沿って移動する。
【0033】
移動ブロック34aには、固定具34bを介して、研削ユニット30が固定されている。研削ユニット30は、Z軸方向に沿って配置された円柱状のスピンドルハウジング42を有する。スピンドルハウジング42には、円柱状のスピンドル44が回転可能に収容されている。
【0034】
スピンドル44の上端部には、モーター(不図示)が設けられている。スピンドル44の下端部は、スピンドルハウジング42の底部よりも下方に突出しており、このスピンドル44の下端部には、円板状のマウント46の中心部が固定されている。
【0035】
マウント46の下面側には、円環状の研削ホイール48が装着されている。研削ホイール48は、金属で形成された円環状のホイール基台48aを有する。ホイール基台48aの下面側には、ホイール基台48aの周方向に沿って複数の研削砥石48bが所定の間隔で配置されている(図3参照)。
【0036】
各研削砥石48bは、ダイヤモンド、cBN(cubic boron nitride)等の砥粒と、金属、セラミックス、樹脂等の砥粒を固定する結合材と、を有する。研削ユニット30の前方側の下部には、研削時に研削砥石48bと被加工物11との接触領域へ純水等の研削水を供給するための、研削水ノズル50が設けられている。
【0037】
研削装置2には、移動機構16、研削送り機構32、研削ユニット30、研削水ノズル50等の動作を制御する制御ユニット(不図示)が設けられている。制御ユニットは、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
【0038】
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従いプロセッサを動作させることによって、制御ユニットの機能が実現される。次に、図2から図6を参照して、研削装置2を用いたクリープフィード研削方法を説明する。
【0039】
図2は、本実施形態に係るクリープフィード研削方法のフロー図である。本実施形態では、補助記憶装置に記憶されたプログラムに従い研削装置2を動作させることで、図2に示すクリープフィード研削方法を実行する。
【0040】
まず、チャックテーブル18を前方位置Aに位置付けることにより、チャックテーブル18が加工送り方向Bにおいて研削ホイール48から離れた状態とする(図3参照)。そして、裏面11bが上方に露出し、保護テープ(不図示)が貼り付けられた表面11a側が下方に位置する様に、被加工物11を保持面18aに載置する。
【0041】
その後、保持面18aに負圧を生じさせ、保護テープを介して被加工物11を保持面18aで吸引保持する(保持ステップS10)。図3は、保持ステップS10を示す図である。なお、図3では、移動ブロック34a、スピンドルハウジング42、マウント46、ホイール基台48a等を省略している。
【0042】
保持ステップS10の後、研削ホイール48の高さ位置を調整する(クリープフィード研削準備ステップS20)。図4は、クリープフィード研削準備ステップS20を示す図である。
【0043】
クリープフィード研削準備ステップS20では、加工送り方向Bで研削ホイール48がチャックテーブル18から離れた状態で、研削ホイール48を例えば6000rpmで回転させながら、被加工物11の裏面(上面)11bよりも下方に、研削砥石48bの下面48bを位置付ける。
【0044】
例えば、10回の加工送りで被加工物11を仕上げ厚さまで研削する場合、クリープフィード研削準備ステップS20では、仕上げ厚さの略1/10に対応する高さ位置に、研削砥石48bの下面48bの位置を調整する。
【0045】
クリープフィード研削準備ステップS20の後、回転する研削ホイール48と被加工物11とを加工送り方向Bに相対的に移動させることで、被加工物11の裏面11b(上面)全体を研削する(クリープフィード研削ステップS30)。
【0046】
図5は、クリープフィード研削ステップS30を示す図である。例えば、クリープフィード研削ステップS30では、4 l/min以上、8 l/min以下の所定の流量で研削水ノズル50から研削水を噴射しながら、10 mm/秒でテーブルベース6を加工送り方向Bに沿って加工送りする。
【0047】
1回目のクリープフィード研削で、裏面11b全体を研削した後、テーブルベース6を加工送り方向Bとは反対方向に移動させて、前方位置Aへ戻す。その後、2回目のクリープフィード研削を行なう。この様にして、被加工物11が仕上げ厚さとなるまでに、クリープフィード研削ステップS30を複数回行う。
【0048】
しかし、クリープフィード研削では、インフィード研削に比べて、研削砥石48bの磨耗が進行し難いので、目詰まりが生じ易い。そこで、本実施形態では、所定のタイミングで研削砥石48bに対してドレスを行う。
【0049】
例えば、10回の加工送りで被加工物11を仕上げ厚さまで研削する場合、2、4、6及び8回目の加工送りの直後(即ち、ドレスタイミング)に、テーブルベース6の加工送り量を1回目の加工送り量よりも増加させることにより、ドレス部26で研削砥石48bに対してドレスを行う。
【0050】
なお、ドレスタイミングは、補助記憶装置に記憶されたプログラムに定められていてもよく、タッチパネル等の表示入力ユニット(不図示)を用いて、クリープフィード研削開始前に、オペレーターが制御ユニットに対して設定してもよい。
【0051】
クリープフィード研削ステップS30の後、被加工物11が仕上げ厚さになっていれば(S40でYES)、クリープフィード研削を終了する。しかし、1回目のクリープフィード研削の終了時点では、未だ仕上げ厚さに達していないので(S40でNO)、次いで、ドレスタイミングであるか否かを制御ユニットが判断する。
【0052】
ドレスタイミングでなければ(S50でNO)、クリープフィード研削準備ステップS20に戻る。これに対して、ドレスタイミングであれば(S50でYES)、研削砥石48bに対してドレス部26の上面26aよりも下方に、研削砥石48bの下面48bを位置付ける(ドレス準備ステップS60)。
【0053】
図6は、ドレス準備ステップS60を示す図である。本実施形態のドレス準備ステップS60は、2回目の加工送りの直後にテーブルベース6を加工送りしながら下面48bの高さ位置を調整する。但し、ドレス準備ステップS60では、テーブルベース6の加工送りを一時的に停止した状態で、下面48bの高さ位置を調整してもよい。
【0054】
ドレス準備ステップS60の後、ドレス部26と回転する研削ホイール48とを加工送り方向Bに相対移動させることで、ドレス部26の上面26a全体を研削する(ドレスステップS70)。図7は、ドレスステップS70を示す図である。
【0055】
研削ホイール48の回転時には、各研削砥石48bの下面48bの軌跡により円環領域が形成される。ドレスステップS70では、ドレス部26の上面26aが、少なくとも当該円環領域の外から内に移動するまで、テーブルベース6を加工送り方向Bに移動させる。ドレスステップS70の後、クリープフィード研削準備ステップS20に戻る。
【0056】
本実施形態では、ドレス部26と、テーブルベース6とを、加工送り方向Bに相対的に移動させることで、被加工物11に対してクリープフィード研削を施すのと同様に、ドレス部26により研削砥石48bをドレスできる。
【0057】
それゆえ、本実施形態では、被加工物11と、研削砥石48bをドレスするためのドレスボードと、の交換作業が不要になる。従って、クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石48bをドレスできる。
【0058】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。図8は、変形例に係るドレス部26を示す図である。なお、図8では、第1の実施形態でのドレス部26の位置をテーブルベース6の上面に破線で示す。
【0059】
変形例に係るドレス部26は、第1の実施形態におけるドレス部26の位置よりも後方に位置し、且つ、保持面18aの中心18bを通り加工送り方向Bに平行な直線D(図8で一点鎖線で示す)に対して、Y軸方向でずれた位置にある。
【0060】
但し、ドレス部26の位置は、クリープフィード研削ステップS30とドレスステップS70とが同時に行われない様に、適宜調節される。当該変形例においても、第1の実施形態と同様に、研削砥石48bをドレスできる。
【0061】
次に、第2の実施形態について説明する。図9(A)は、第2の実施形態に係るドレス部26等の上面図であり、図9(B)は、第2の実施形態に係るチャックテーブル18、ドレス部26等の一部断面側面図である。
【0062】
第2の実施形態において、円柱状のホルダ24a(図9(B)参照)は、テーブルベース6の上面において、チャックテーブル18の加工送り方向Bの端部位置Cよりも後方(即ち、加工送り方向B)に固定されている(図9(A)参照)。
【0063】
ホルダ24aの上部には、円板状のドレス部26が固定されている。しかし、ホルダ24aは、第1の実施形態のホルダ24に比べて高さが低いので、ドレス部26の上面26aは、保持面18aよりも低い位置にある(図9(B)参照)。
【0064】
なお、ドレス部26の上面26aは、表面11aが保持面18aで吸引保持された被加工物11の裏面11bよりも低い位置に配置されれば、保持面18aよりも高い位置に配置されてもよい。
【0065】
本実施形態のホルダ24aは、ドレス部26の上面26aの高さ位置をZ軸方向に沿って移動させないが、ホルダ24にアクチュエータ(不図示)が内蔵される場合には、このアクチュエータにより、上面26aの高さ位置をZ軸方向に沿って移動させてもよい。
【0066】
本実施形態においても、ドレス部26と、テーブルベース6とを、加工送り方向Bに相対的に移動させることで、被加工物11に対してクリープフィード研削を施すのと同様に、ドレス部26により研削砥石48bをドレスできる。
【0067】
それゆえ、被加工物11と、研削砥石48bをドレスするためのドレスボードと、の交換作業が不要になるので、クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石48bをドレスできる。
【0068】
次に、第3の実施形態について説明する。図10は、第3の実施形態に係るドレス部26等の上面図である。第3の実施形態において研削対象となる被加工物21は、円板状のウェーハではなく、矩形板状のパッケージ基板である。
【0069】
被加工物21は、例えば、各々リードレス構造の複数のQFNパッケージ(Quad For Non-lead package)を含む。被加工物21板は、板状のベース基板21a有する。ベース基板21aは、例えば、42アロイ(鉄とニッケルとの合金)や銅等の金属で形成される。
【0070】
ベース基板21aの表面側には、互いに交差する様に格子状に複数のストリート(不図示)が設定されている。複数のストリートによって区画された領域の各々には、IC等のデバイスを含むデバイスチップ(不図示)が配置されている。
【0071】
複数(例えば、9個)のデバイスチップが、1つの樹脂層(即ち、モールド樹脂層)21dで封止されている。なお、図9に示す被加工物11では、ベース基板21aの長手方向に沿って、3つの樹脂層21bが設けられている。
【0072】
各樹脂層21bは、ベース基板21aの裏面側において、ベース基板21aの裏面よりも突出している。この被加工物21の表面側が、円板状のチャックテーブル52で吸引保持される。チャックテーブル52の略平坦な上面には、Y軸方向に長手部を有する略矩形状の凹部が形成されている。
【0073】
この凹部には、凹部と略同じ形状を有する板状のポーラス板(不図示)が固定されている。ポーラス板の上面は、チャックテーブル52の上面と略面一である。ポーラス板には、所定の流路を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)から負圧が伝達される。それゆえ、ポーラス板の上面は、被加工物21を吸引保持する保持面52aとして機能する。
【0074】
チャックテーブル52の上面において、チャックテーブル52の加工送り方向Bの端部位置Cよりも前方(即ち、加工送り方向Bとは反対方向)には、円柱状のホルダ(不図示)が固定されており、このホルダの上部には、円板状のドレス部26を固定されている。
【0075】
第3の実施形態におけるクリープフィード研削方法でも、図2に示すフロー図に従い、ベース基板21aの表面側を保持面52aで吸引保持した状態で、上方に露出する樹脂層21bの上面全体を研削する。
【0076】
第3の実施形態でも、被加工物21と、研削砥石48bをドレスするためのドレスボードと、の交換作業が不要になる。それゆえ、クリープフィード研削において、作業効率の低下を抑制しつつ、研削砥石48bをドレスできる。
【0077】
なお、ドレス部26は、ホルダを介さずに、チャックテーブル52の上面に形成された円形のポーラス板(不図示)を介して吸引保持されてもよい。また、ドレス部26は、図3及び図8に示す様に、テーブルベース6上に配置されてもよい。
【0078】
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。上述の実施形態では、円板状のドレス部26を用いたが、矩形板状又は他の形状のドレス部26を用いてもよい。
【0079】
また、ドレス部26の配置は、上述の実施形態及び変形例のみに限定されない。ドレス部26は、研削装置2を上面視した場合に、テーブルベース6又はチャックテーブル52と、研削ホイール48との、相対的な移動経路上に配置されていればよい。
【符号の説明】
【0080】
2:研削装置、4:基台、6:テーブルベース、8:ナット部、10:ボールねじ
11:被加工物、11a:表面、11b:裏面
12:パルスモーター、14:軸受け、16:移動機構
18:チャックテーブル、18a:保持面、18b:中心
20:枠体、22:ポーラス板
21:被加工物、21a:ベース基板、21b:樹脂層
24,24a:ホルダ、26:ドレス部、26a:上面
28:壁部、30:研削ユニット、32:研削送り機構
34:ガイドレール、34a:移動ブロック、34b:固定具
36:ナット部、38:ボールねじ、40:パルスモーター
42:スピンドルハウジング、44:スピンドル、46:マウント
48:研削ホイール、48a:ホイール基台、48b:研削砥石、48b:下面
50:研削水ノズル
52:チャックテーブル、52a:保持面
:前方位置、A:後方位置、B:加工送り方向、C:端部位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10