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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014230
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】読取装置、読取方法及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20220112BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220112BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20220112BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/00 567Q
B41J29/17
G03G21/00 510
G03G21/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020116456
(22)【出願日】2020-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】永島 完司
【テーマコード(参考)】
2C061
2H134
2H270
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061AS06
2C061AS11
2C061BB19
2C061CM07
2C061CM11
2C061CM17
2C061CM18
2H134GA08
2H134HD01
2H134HD08
2H270LA19
2H270LA22
2H270LC03
2H270LD02
2H270LD03
2H270LD15
2H270MC55
2H270MC70
2H270PA16
2H270RA15
2H270RC17
2H270ZC04
5C062AA05
5C062AB03
5C062AB33
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC72
5C062BA06
5C072AA01
5C072BA15
5C072CA05
5C072DA02
5C072EA05
5C072EA08
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA18
5C072VA03
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】光を透過させるシートへ印刷される画像を読み取る際に適用される背景への汚れの付着及び傷等の発生を抑制し、かつ、汚れ付着等に対するロバスト性が向上し得る、読取装置、読取方法及び印刷装置を提供する。
【解決手段】光を透過する媒体(12)へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置(42A)と、光学読取装置を用いて媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、媒体の光学読取装置と対向する面の反対側の面に接触して支持する読取位置に配置される第一ローラ(44A)と、第一ローラを媒体から離間させる退避位置と読取位置との間について、第一ローラを移動させる移動装置(74)と、退避位置に配置される第一ローラの外周面を洗浄する洗浄装置(60A)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置と、
前記光学読取装置を用いて前記媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、前記媒体の前記光学読取装置と対向する面の反対側の面に接触して支持する読取位置に配置される第一ローラと、
前記第一ローラを前記媒体から離間させる退避位置と前記読取位置との間について、前記第一ローラを移動させる移動装置と、
前記退避位置に配置される前記第一ローラの外周面を洗浄する洗浄装置と、
を備えた読取装置。
【請求項2】
前記第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が50パーセント以上100パーセント以下である請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が0パーセント以上50パーセント未満である請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記第一ローラは、光を拡散反射させる凹凸形状が外周面に形成される請求項1に記載の読取装置。
【請求項5】
前記凹凸形状は、第一方向における平均高さの第一方向と直交する第二方向における分布をフーリエ変換した処理結果において、前記光学読取装置に具備される複数の読取素子の前記第二方向における配置ピッチに1/2を乗じた距離に対応する空間周波数未満の領域におけるピーク値は、前記空間周波数以上の領域におけるピーク値未満である請求項4に記載の読取装置。
【請求項6】
前記第一ローラは、複数のコーナーキューブが外周面に形成される請求項1に記載の読取装置。
【請求項7】
前記コーナーキューブは、前記第一ローラの前記外周面における平面形状が正三角形であり、
前記正三角形の任意の辺は、前記第一ローラの回転軸に平行となる方向であり、
前記正三角形の高さをHとし、前記回転軸と直交する方向における前記光学読取装置の読み取り単位長をLとする場合に、L>2×Hを満たす請求項6に記載の読取装置。
【請求項8】
前記第一ローラの外周面を照明し、前記光学読取装置に具備される読取レンズを使った同軸照明が適用される照明装置を備えた請求項6又は7に記載の読取装置。
【請求項9】
前記第一ローラの外周面を照明し、前記光学読取装置に具備される読取レンズの軸外から照明する照明装置を備えた請求項6又は7に記載の読取装置。
【請求項10】
前記第一ローラの外周面を照明し、前記光学読取装置に具備される読取レンズを使った同軸照明が適用される第一照明装置と、
前記第一ローラの外周面を照明し、前記光学読取装置に具備される読取レンズの軸外から照明する第二照明装置と、
前記第一照明装置を用いて前記第一ローラの外周面を照明するか、前記第二照明装置を用いて前記第一ローラの外周面を照明するかを切り替える照明切替装置と、
を備えた請求項6又は7に記載の読取装置。
【請求項11】
前記第一ローラの外周面は、コーティング層が形成され、平滑化される請求項4から10のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項12】
前記第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が30パーセント以上70パーセント未満である請求項1に記載の読取装置。
【請求項13】
前記外周面は、グレー又はグレーとの色差が最も小さいインク色であり、白色以外のインク色の補色をグレーに混合した色である請求項12に記載の読取装置。
【請求項14】
前記外周面は、L*a*b*色空間において、0<L値<100、-60<a値<60及び-60<b値<60の空間に存在する色であり、L*a*b*色空間における最も近いインク色の座標との距離が最大となる座標の色が適用される請求項12に記載の読取装置。
【請求項15】
前記外周面は、L*a*b*色空間における複数のインク色の座標の重心座標の色が適用される請求項12に記載の読取装置。
【請求項16】
前記外周面は、前記外周面の読取画像の画素値と、インク色の読取画像の画素値との差が最小の色との差が最大となる色が適用される請求項12に記載の読取装置。
【請求項17】
前記外周面は、前記外周面の読取画像の画素値を(R,G,B)とし、各インク色の読取画像の画素値を(R,G,B)とする場合に、{(R-R)+(G-G)+(B-B)1/2の値が最小となるインク色の値が最大となる色が適用される請求項12に記載の読取装置。
【請求項18】
前記第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さい第二ローラと、
前記光学読取装置を用いて前記媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、前記第一ローラを使用するか又は前記第二ローラを使用するかを切り替えるローラ切替装置と、
を備えた請求項1から17のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項19】
前記第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さく、かつ、前記第二ローラよりも外周面の分光反射率が大きい第三ローラを備え、
前記ローラ切替装置は、前記光学読取装置を用いて前記媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、前記第一ローラ、前記第二ローラ又は前記第三ローラのいずれを使用するかを切り替える請求項18に記載の読取装置。
【請求項20】
光を透過する媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置を用いて、前記媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、
前記媒体の前記光学読取装置と対向する面の反対側の面に第一ローラを接触させ、
前記第一ローラを前記媒体から離間させる退避位置において、前記第一ローラの外周面を洗浄する読取方法。
【請求項21】
光を透過する媒体へ印刷を行う印刷ヘッドと、
前記媒体と前記印刷ヘッドとを媒体搬送方向について相対的に搬送させる搬送装置と、
前記印刷ヘッドを用いて印刷がされる媒体の画像を読み取る読取装置と、
を備え、
前記読取装置は、
前記媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置と、
前記光学読取装置を用いて前記媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、前記媒体の前記光学読取装置と対向する面の反対側の面に接触して支持する読取位置に配置される第一ローラと、
前記第一ローラを前記媒体から離間させる退避位置と前記読取位置との間について、前記第一ローラを移動させる移動装置と、
前記退避位置に配置される前記第一ローラの外周面を洗浄する洗浄装置と、
を備えた印刷装置。
【請求項22】
複数の前記読取装置を備え、
前記複数の読取装置のそれぞれに具備される前記第一ローラは、互いに分光反射率が異なる外周面を有する請求項21に記載の印刷装置。
【請求項23】
前記搬送装置は、円筒形状を有し、外周面に前記媒体を支持して前記媒体を搬送する搬送ドラムを備え、
前記読取装置は、前記搬送ドラムの外周面に支持される媒体を読み取る位置と、前記第一ローラを用いて支持される媒体を読み取る位置との間において、前記光学読取装置を移動させる光学読取移動装置を備えた請求項21又は22に記載の印刷装置。
【請求項24】
前記搬送装置は、円筒形状を有し、外周面に前記媒体を支持して前記媒体を搬送する搬送ドラムを備え、
前記媒体の反射光を前記光学読取装置へ導くミラーと、
前記ミラーを移動させるミラー移動装置と、
を備えた請求項21又は22に記載の印刷装置。
【請求項25】
前記搬送ドラムを用いて搬送される媒体の前記搬送ドラムからの剥離を行う剥離装置を備えた請求項23又は24に記載の印刷装置。
【請求項26】
前記搬送ドラムの外周面は、前記第一ローラの外周面よりも小さい分光反射率を有する請求項23から25のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項27】
前記搬送ドラムの外周面は、光を拡散反射させる凹凸が形成され、
前記搬送ドラムの外周面は、前記第一ローラの外周面よりも分光反射率が大きい請求項23から25のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項28】
前記第一ローラの外周面は、前記印刷装置に適用されるインクの色と異なる色である請求項21から27のいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は読取装置、読取方法及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明シートへ印刷を行うインクジェット印刷装置では、スキャナの読取位置に透明シートの背景となる白色の外周面を有するローラが配置される。ムラ補正及び吐出異常検出を行う際に、透明シートの裏側面にローラの外周面を接触させ、透明シートへ印刷される画像がスキャナを用いて読み取られる。
【0003】
特許文献1は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの四色のインクが使用され、枚葉の用紙へカラー画像を印刷するインクジェット印刷装置が記載される。同文献に記載の装置は、CCDイメージセンサが具備される画像読取装置を備え、画像読取装置を用いてテストチャートを読み取り、テストチャートの読取画像に基づき不良ノズル及び濃度ムラなどを検出する。同文献は、用紙として透明シートを適用可能である旨が記載される。
【0004】
特許文献2は、光学的に原稿を読み取り、原稿の画像情報を取得し、画像情報に対応するトナー像をシートへ転写する複写機が記載される。同文献に記載の装置は、シートの背景となる黒色ローラ及び白色ローラを備え、検知器と対向する位置において、シートに対して黒色ローラ等を接触又は離間させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6345635号公報
【特許文献2】特開2019-161572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ローラの外周面を背景として透明シートへ印刷される画像を読み取る際に、ローラの外周面への汚れの付着及び傷等が発生すると、正常な読み取りが困難になる。更に、回復が困難な汚れの付着等の発生は、ローラの交換が必要となり得る。
【0007】
ホワイトインクを用いて透明シートへ印刷される画像の読み取りに適用される黒色の外周面を有するローラについても、白色の外周面を有するローラと同様に汚れの付着等の課題が存在する。
【0008】
特許文献1には、用紙として透明シートが適用可能である旨の記載があるが、透明シートへ印刷されるテストチャートの読み取りについての具体的な記載はない。すなわち、特許文献1は、透明シートへ印刷される画像の読み取りにおける、背景への汚れの付着等の課題は記載されておらず、かつ、かかる課題を解決するための技術は記載されていない。
【0009】
特許文献2には、白色のシートと白色以外の色のシートの光学的な検出に関する記載があるが、透明シートの光学的な検出に関する記載はない。また、同文献は、各色のシートを光学的に検出する際に、背景となる部材への汚れの付着等の課題は記載されていない。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光を透過させるシートへ印刷される画像を読み取る際に適用される背景への汚れの付着及び傷等の発生を抑制し、かつ、汚れ付着等に対するロバスト性が向上し得る、読取装置、読取方法及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、次の発明態様を提供する。
【0012】
本開示に係る読取装置は、光を透過する媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置と、光学読取装置を用いて媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、媒体の光学読取装置と対向する面の反対側の面に接触して支持する読取位置に配置される第一ローラと、第一ローラを媒体から離間させる退避位置と読取位置との間について、第一ローラを移動させる移動装置と、退避位置に配置される第一ローラの外周面を洗浄する洗浄装置と、を備えた読取装置である。
【0013】
本開示に係る読取装置によれば、光を透過させるシートへ印刷される画像を読み取る際に背景として適用される第一ローラは、シートへ接触する読取位置とシートから離間する退避位置との間を移動可能に構成される。また、第一ローラは退避位置において洗浄装置を用いて洗浄される。これにより、第一ローラの外周面への汚れの付着及び傷等の発生を抑制し、かつ、汚れ付着等に対するロバスト性が向上し得る。
【0014】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が50パーセント以上100パーセント以下である。
【0015】
かかる態様によれば、白色以外の色の読み取りの際に、第一ローラを白色背景として適用し得る。
【0016】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が0パーセント以上50パーセント未満である。
【0017】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、第一ローラを黒色背景として適用し得る。
【0018】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラは、光を拡散反射させる凹凸形状が外周面に形成される。
【0019】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、第一ローラを白色背景として適用し得る。
【0020】
他の態様に係る読取装置において、凹凸形状は、第一方向における平均高さの第一方向と直交する第二方向における分布をフーリエ変換した処理結果において、光学読取装置に具備される複数の読取素子の第二方向における配置ピッチに1/2を乗じた距離に対応する空間周波数未満の領域におけるピーク値は、空間周波数以上の領域におけるピーク値未満である。
【0021】
かかる態様によれば、光学読取装置の読取解像度に応じた凹凸形状を形成し得る。
【0022】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラは、複数のコーナーキューブが外周面に形成される。
【0023】
かかる態様によれば、第一ローラを白色背景又は黒色背景として適用し得る。
【0024】
他の態様に係る読取装置において、コーナーキューブは、第一ローラの外周面における平面形状が正三角形であり、正三角形の任意の辺は、第一ローラの回転軸に平行となる方向であり、正三角形の高さをHとし、回転軸と直交する方向における光学読取装置の読み取り単位長をLとする場合に、L>2×Hを満たす。
【0025】
かかる態様によれば、回転軸と直交する方向における光学読取装置の読取解像度に応じたコーナーキューブを形成し得る。
【0026】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面を照明し、光学読取装置に具備される読取レンズを使った同軸照明が適用される照明装置を備える。
【0027】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、第一ローラを白色背景として適用し得る。
【0028】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面を照明し、光学読取装置に具備される読取レンズの軸外から照明する照明装置を備える。
【0029】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、第一ローラを黒色背景として適用し得る。
【0030】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面を照明し、光学読取装置に具備される読取レンズを使った同軸照明が適用される第一照明装置と、第一ローラの外周面を照明し、光学読取装置に具備される読取レンズの軸外から照明する第二照明装置と、第一照明装置を用いて第一ローラの外周面を照明するか、第二照明装置を用いて第一ローラの外周面を照明するかを切り替える照明切替装置と、を備える。
【0031】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、第一ローラを白色背景と黒色背景とを選択的に適用し得る。
【0032】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面は、コーティング層が形成され、平滑化される。
【0033】
かかる態様によれば、第一ローラの外周面に付着した異物等の除去の効率が向上する。
【0034】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラの外周面は、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が30パーセント以上70パーセント未満である。
【0035】
かかる態様によれば、第一ローラを白色及び黒色と異なる中間色背景として適用し得る。
【0036】
他の態様に係る読取装置において、外周面は、グレー又はグレーとの色差が最も小さいインク色であり、白色以外のインク色の補色をグレーに混合した色である。
【0037】
かかる態様によれば、印刷に適用されるインク色に応じた中間色背景を実現し得る。
【0038】
他の態様に係る読取装置において、外周面は、L*a*b*色空間において、0<L値<100、-60<a値<60及び-60<b値<60の空間に存在する色であり、L*a*b*色空間における最も近いインク色の座標との距離が最大となる座標の色が適用される。
【0039】
かかる態様によれば、印刷に使用される各インクのいずれとも異なる色を第一ローラの中間色背景として適用し得る。
【0040】
他の態様に係る読取装置において、外周面は、L*a*b*色空間における複数のインク色の座標の重心座標の色が適用される。
【0041】
かかる態様によれば、第一ローラの中間色背景をL*a*b*色空間における座標値を適用して規定し得る。
【0042】
他の態様に係る読取装置において、外周面は、外周面の読取画像の画素値と、インク色の読取画像の画素値との差が最小の色との差が最大となる色が適用される。
【0043】
かかる態様によれば、第一ローラの中間色背景を読取画像の画素値を適用して規定し得る。
【0044】
他の態様に係る読取装置において、外周面は、外周面の読取画像の画素値を(R,G,B)とし、各インク色の読取画像の画素値を(R,G,B)とする場合に、{(R-R)+(G-G)+(B-B)1/2の値が最小となるインク色の値が最大となる色が適用される。
【0045】
かかる態様によれば、第一ローラの中間色背景を読取画像の画素値を適用して規定し得る。
【0046】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さい第二ローラと、光学読取装置を用いて媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、第一ローラを使用するか又は第二ローラを使用するかを切り替えるローラ切替装置と、を備える。
【0047】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、白色背景と黒色背景とを選択的に適用し得る。
【0048】
他の態様に係る読取装置において、第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さく、かつ、第二ローラよりも外周面の分光反射率が大きい第三ローラを備え、ローラ切替装置は、光学読取装置を用いて媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、第一ローラ、第二ローラ又は第三ローラのいずれを使用するかを切り替える。
【0049】
かかる態様によれば、白色背景と黒色背景と中間色背景とを選択的に適用し得る。
【0050】
本開示に係る読取方法は、光を透過する媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置を用いて、媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、媒体の光学読取装置と対向する面の反対側の面に第一ローラを接触させ、第一ローラを媒体から離間させる退避位置において、第一ローラの外周面を洗浄する読取方法である。
【0051】
本開示に係る印刷装置は、光を透過する媒体へ印刷を行う印刷ヘッドと、媒体と印刷ヘッドとを媒体搬送方向について相対的に搬送させる搬送装置と、印刷ヘッドを用いて印刷がされる媒体の画像を読み取る読取装置と、を備え、読取装置は、媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置と、光学読取装置を用いて媒体へ印刷される画像が読み取られる際に、媒体の光学読取装置と対向する面の反対側の面に接触して支持する読取位置に配置される第一ローラと、第一ローラを媒体から離間させる退避位置と読取位置との間について、第一ローラを移動させる移動装置と、退避位置に配置される第一ローラの外周面を洗浄する洗浄装置と、を備えた印刷装置である。
【0052】
他の態様に係る印刷装置は、複数の読取装置を備え、複数の読取装置のそれぞれに具備される第一ローラは、互いに分光反射率が異なる外周面を有する。
【0053】
かかる態様によれば、媒体へ印刷される印刷画像の読み取りにおいて、背景を切り替えずに全ての色の読取を実施し得る。
【0054】
他の態様に係る印刷装置は、搬送装置は、円筒形状を有し、外周面に媒体を支持して媒体を搬送する搬送ドラムを備え、読取装置は、搬送ドラムの外周面に支持される媒体を読み取る位置と、第一ローラを用いて支持される媒体を読み取る位置との間において、光学読取装置を移動させる光学読取移動装置を備える。
【0055】
かかる態様によれば、搬送ドラムの外周面を背景とする印刷画像の読み取り及び第一ローラを背景とする印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0056】
他の態様に係る印刷装置は、搬送装置は、円筒形状を有し、外周面に媒体を支持して媒体を搬送する搬送ドラムを備え、媒体の反射光を光学読取装置へ導くミラーと、ミラーを移動させるミラー移動装置と、を備える。
【0057】
かかる態様によれば、一つの光学読取装置を用いて、搬送ドラムの外周面を背景とする印刷画像の読み取り及び第一ローラを背景とする印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0058】
他の態様に係る印刷装置は、搬送ドラムを用いて搬送される媒体の搬送ドラムからの剥離を行う剥離装置を備える。
【0059】
かかる態様によれば、搬送ドラムの外周面を背景とする印刷画像の読み取りと、第一ローラを背景とする印刷画像の読み取りとを切り替える際に、光学読取装置の移動距離又はミラーの移動距離を相対的に短くし得る。
【0060】
他の態様に係る印刷装置は、搬送ドラムの外周面は、第一ローラの外周面よりも小さい分光反射率を有する。
【0061】
かかる態様によれば、搬送ドラムの外周面を黒色背景とし、第一ローラの外周面を白色背景とし得る。
【0062】
他の態様に係る印刷装置は、搬送ドラムの外周面は、光を拡散反射させる凹凸が形成され、搬送ドラムの外周面は、第一ローラの外周面よりも分光反射率が大きい。
【0063】
かかる態様によれば、搬送ドラムの外周面を白色背景とし、第一ローラの外周面を黒色背景とし得る。
【0064】
他の態様に係る印刷装置は、第一ローラの外周面は、印刷装置に適用されるインクの色と異なる色である。
【0065】
かかる態様によれば、第一ローラを背景とする媒体へ印刷される画像の読み取りにおいて、画像に適用される全ての色の読み取りが可能である。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、光を透過させるシートへ印刷される画像を読み取る際に背景として適用される第一ローラは、シートへ接触する読取位置とシートから離間する退避位置との間を移動可能に構成される。また、第一ローラは退避位置において洗浄装置を用いて洗浄される。これにより、第一ローラの外周面への汚れの付着及び傷等の発生を抑制し、かつ、汚れ付着等に対するロバスト性が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は第一実施形態に係る読取装置が適用されるインクジェット印刷装置の全体構成図である。
図2図2図1に示すインクジェット印刷装置の機能ブロック図である。
図3図3は第一読取装置の全体構成図である。
図4図4は退避位置に配置される第一読取装置を示す説明図である。
図5図5は第二実施形態に係る読取装置の全体構成図である。
図6図6図5に示す読取装置の退避状態を示す模式図である。
図7図7図5に示す読取装置のホワイトインク読取状態を示す模式図である。
図8図8は第三実施形態に係る読取装置の全体構成図である。
図9図9図8に示す背景ローラに適用される凹凸形状の説明図である。
図10図10は凹凸形状の形状特性の説明図である。
図11図11図9に示す背景ローラの変形例の説明図である。
図12図12は第四実施形態に係る読取装置に適用される背景ローラの外周面の形状の説明図である。
図13図13図12に示す背景ローラの変形例の説明図である。
図14図14は白色背景としての背景ローラの使用例の説明図である。
図15図15は黒色背景としての背景ローラの使用例の説明図である。
図16図16は第五実施形態に係る読取装置の全体構成図である。
図17図17はジェッティングドラムからシートを剥離した状態の模式図である。
図18図18は変形例に係る読取装置の全体構成図である。
図19図19は背景ローラを用いる読み取りの模式図である。
図20図20は読取装置に適用される中間色ローラの説明図である。
図21図21は濃度ムラ補正用チャートの読取データの模式図である。
図22図22は変形例に係る背景ローラ群の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0069】
[第一実施形態]
〔読取装置が適用されるインクジェット印刷装置の全体構成〕
図1は第一実施形態に係る読取装置が適用されるインクジェット印刷装置の全体構成図である。同図に示すインクジェット印刷装置10は、連続体であるシート12にシングルパス方式で画像を印刷するロールツーロール方式のインクジェット印刷装置である。なお、実施形態に記載のインクジェット印刷装置10は印刷装置の一例である。
【0070】
シート12は非浸透媒体であり、例えば、軟包装に用いられるフィルムであり、可視光が透過するフィルムである。ここで、非浸透とは、後述する水性プライマー及び水性インクに対して非浸透性を有することをいう。
【0071】
軟包装とは、包装される物品の形状により変形する材料による包装であり、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリオレフィンなどの素材が用いられる包装の総称である。シート12は、ONY(Oriented Nylon)、OPP(Oriented Poly Propylene)、又はPET(Polyethylene Terephthalate)などであってよい。シート12は、紙、布、樹脂シート及び金属シート等の長尺のシート材を適用し得る。シート12は浸透媒体を適用してもよい。
【0072】
シート12は、可視光の透過率が30パーセント以上100パーセント以下とし得る。シート12の可視光の透過率の好ましい範囲は、70パーセント以上100パーセント以下である。なお、シート12は連続体に限定されず、枚葉体を適用してもよい。
【0073】
インクジェット印刷装置10は、シート搬送装置20、ジェッティング装置30、読取装置40、インク乾燥装置50を備える。インクジェット印刷装置10は、供給ロール22からシート搬送経路に沿って、ジェッティング装置30、読取装置40、インク乾燥装置50及び巻取ロール26が、この順序で配置される。
【0074】
インクジェット印刷装置10は、シート搬送装置20を適用してシート12を搬送し、ジェッティング装置30を適用してカラー画像を印刷する。また、インクジェット印刷装置10は、読取装置40を適用して印刷画像を読み取り、インク乾燥装置50を適用して印刷画像に対して乾燥処理を施し、各種の処理が施されたシート12を巻取ロール26へ巻き取る。なお、印刷画像は、シート12へ印刷される商品画像を含み得る。印刷画像は各種の処理に適用される検出用チャートを含み得る。
【0075】
〔シート搬送装置の構成例〕
シート搬送装置20は、供給ロール22、テンションローラ23、複数の搬送ローラ24、複数の支持ローラ25及び巻取ロール26を備える。供給ロール22から巻取ロール26までのシート12の搬送経路をシート搬送経路という。シート搬送経路に沿ったシート12の搬送方向をシート搬送方向という。シート搬送経路について上流側とは供給ロール22に近い側を意味し、下流側とは巻取ロール26に近い側を意味する。図1に示す複数の矢印線はシート搬送方向を示す。
【0076】
供給ロール22は、未印刷のシート12がロール状に巻かれているロールである。シート搬送装置20は、供給ロール22の巻き芯22Aを回転可能に支持する支持部材、巻き芯22Aと連結されるモータを備える。なお、支持部材及びモータの図示を省略する。
【0077】
巻取ロール26は、印刷済みのシート12がロール状に巻き取られたロールである。シート搬送装置20は、巻取ロール26の巻き芯26Aは供給ロール22から引き出されたシート12の一端が接続される。
【0078】
シート搬送装置20は、巻取ロール26の巻き芯26Aを回転可能に支持する支持部材及び巻き芯26Aと連結されるモータを備える。なお、支持部材及びモータの図示を省略する。
【0079】
テンションローラ23は、搬送されるシート12に対して規定のテンションを付与し、シート12のたるみ及び浮きなどを抑制する。テンションローラ23は、シート12に対して付与するテンションの大きさを調整可能に構成される。
【0080】
複数の搬送ローラ24は、ジェッティング装置30の印刷領域において、シート12の裏側面を支持する。シート12の裏側面は、シート12の印刷面の反対側の面である。搬送ローラ24は、シート12の搬送に応じてシート搬送方向に合わせて従動回転可能に支持される。
【0081】
複数の支持ローラ25は、読取装置40の読取領域においてシート12を支持する。支持ローラ25は、シート12の搬送に応じて従動回転可能に支持される。搬送ローラ24及び支持ローラ25は、シート幅方向についてシート12の全長を超える長さを有する。シート幅方向は、搬送ローラ24の回転軸の方向に平行となる方向である。
【0082】
なお、実施形態に記載のシート搬送装置20は、媒体と印刷ヘッドとを媒体搬送方向について相対的に搬送させる搬送装置の一例である。
【0083】
〔ジェッティング装置の構成例〕
ジェッティング装置30は、インクジェットヘッド32K、インクジェットヘッド32C、インクジェットヘッド32M、インクジェットヘッド32Y及びインクジェットヘッド32Wを備える。以下、インクジェットヘッド32K、インクジェットヘッド32C、インクジェットヘッド32M、インクジェットヘッド32Y及びインクジェットヘッド32Wを総称してインクジェットヘッド32と記載する場合がある。
【0084】
インクジェットヘッド32は、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー及びホワイトの水性インクを吐出するプリントヘッドである。水性インクとは、水及び水に可溶な溶媒に、染料及び顔料等の色材を溶解又は分散させたインクをいう。
【0085】
本実施形態において、水性インクとして水性顔料インクが適用される態様を例示する。ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー及びホワイトの各水性インクの顔料は有機系の顔料が適用される。
【0086】
インクジェットヘッド32のそれぞれには、対応する色のインクタンクから配管経路を経由して、水性インクが供給される。なお、インクタンク及び配管経路の図示を省略する。
【0087】
インクジェットヘッド32は、複数の搬送ローラ24を用いて支持されるシート12に対して、一回の走査を行い、印刷を行うシングルパス方式の印刷が可能なライン型ヘッドである。インクジェットヘッド32は、シリアル型ヘッドを適用してもよい。インクジェットヘッド32のノズル面には、インクを吐出させる複数のノズルが形成される。複数のノズルは二次元配置を適用し得る。また、インクジェットヘッド32の各ノズル面には、撥水膜が形成される。
【0088】
インクジェットヘッド32は、媒体幅方向について複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせる構造を適用し得る。なお、ヘッドモジュール、ノズル面、ノズル及び撥水膜の図示を省略する。
【0089】
インクジェットヘッド32の吐出方式は、圧電素子のたわみ変形を利用してインクを吐出させるピエゾジェット方式を適用し得る。インクジェットヘッド32の吐出方式は、ヒータを用いてインクを加熱し、インクの膜沸騰現象を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用し得る。
【0090】
シート12の印刷面に向けて、インクジェットヘッド32からインクの液滴が吐出される。吐出されたインクの液滴がシート12の印刷面に付着し、シート12の印刷面に画像が印刷される。
【0091】
本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー及びホワイトの五色のカラーインクを用いる態様を例示したが、インク色と色数については本実施形態に限定されない。
【0092】
例えば、ライトマゼンタ及びライトシアン等の淡色インクを用いる態様を適用してもよい。グリーン、オレンジ、バイオレット、クリアインク及びメタリックインク等の特色インクを用いる態様を適用してもよい。また、同じ色のインクを吐出する複数のインクジェットヘッド32を配置してもよい。各色のインクジェットヘッド32の配置順序についても特に限定されない。
【0093】
ジェッティング装置30は、シート12の印刷面に検出用チャートを印刷する。検出用チャートは、読取装置40を用いて読み取られる。検出用チャートの読取データはインクジェットヘッド32の補正及び印刷画像の補正に適用される。検出用チャートの例として、濃度ムラ検出用チャート及び吐出異常検出用チャート等が挙げられる。
【0094】
なお、読取装置40を用いる読み取りは、カメラ等の撮像装置を用いる撮像と同義である。また、読取データは、撮像データ、読取信号及び撮像信号と同義である。
【0095】
〔読取装置の構成例〕
読取装置40は、第一読取装置40A、第二読取装置40B及び洗浄装置60を備える。第一読取装置40Aは、第一スキャナ42A及び第一背景ローラ44Aを備える。
【0096】
第一スキャナ42Aは、複数の光電変換素子が一列に配置されるCCDラインセンサを備える。第一スキャナ42Aは、複数の光電変換素子が二次元状に配置されるCCDエリアセンサを備えてもよい。
【0097】
CCDラインセンサは、シート搬送方向を直交し、かつ、シート12の印刷面と平行となるシート幅方向について、シート12の印刷面に印刷される画像の全幅に対応する長さを有する態様を適用してもよいし、シート幅方向に沿って走査して、シート12の印刷面に印刷される画像の全幅の読み取りを実施する態様を適用してもよい。
【0098】
第一スキャナ42Aは、シート12へ照明光を照射する照明装置を備える。照明装置はLED(light emitting diode)などの光源を備える。照明光は白色光を適用し得る。
【0099】
第一背景ローラ44Aは、第一スキャナ42Aを適用してシート12へ印刷される印刷画像を読み取る際にシート12の裏側面に接触させ、印刷画像の読取背景とされる。第一背景ローラ44Aは、シート12の搬送速度に応じた回転速度が適用されて回転する。
【0100】
第一背景ローラ44Aの外周面は、ステンレス及びチタン等の金属材料が適用される。第一背景ローラ44Aの外周面は白色の塗装が施される。第一背景ローラ44Aは、シート幅方向についてシート12の全長に対応する長さを有する。
【0101】
第二読取装置40Bは、第二スキャナ42B及び第二背景ローラ44Bを備える。第二背景ローラ44Bの外周面は、黒色の塗装が施される。第二背景ローラ44Bの外周面の色以外の構成は、第一背景ローラ44Aと同様の構成が適用される。なお、第一読取装置40A及び第二読取装置40Bに具備されるCCDラインセンサ及び照明装置の図示を省略する。CCDラインセンサは符号70を用いて図3に図示する。照明装置は符号72を用いて図3に図示する。
【0102】
洗浄装置60は、第一洗浄装置60A及び第二洗浄装置60Bを備える。第一洗浄装置60Aは、第一背景ローラ44Aの外周面を洗浄する。第二洗浄装置60Bは第二背景ローラ44Bの外周面を洗浄する。洗浄装置60の詳細は後述する。
【0103】
なお、実施形態に記載の第一読取装置40Aは、光を透過する媒体へ印刷される画像を光学的に読み取る光学読取装置の一例である。実施形態に記載の第一背景ローラ44Aは、第一ローラの一例である。
【0104】
〔インク乾燥装置の構成例〕
インク乾燥装置50は、シート12の印刷面に対して乾燥処理を施す。インク乾燥装置50は、乾燥ドラム52、ヒータ及び送風ファンを備える。乾燥ドラム52は、インク乾燥装置50の乾燥処理領域においてシート12の印刷面を支持する。乾燥ドラム52は、円筒形状を有し、回転軸について回転可能に支持される。
【0105】
ヒータ及び送風ファンは、乾燥ドラム52の内部に配置される。乾燥ドラム52の外周面は、温風の吹出口が形成される。なお、ヒータ、送風ファン、乾燥ドラム52の回転軸及び温風の吹出口の図示を省略する。
【0106】
〔インクジェット印刷装置の機能ブロック〕
図2図1に示すインクジェット印刷装置の機能ブロック図である。インクジェット印刷装置10は一以上のプロセッサ100及び一以上のメモリ102を備える。また、インクジェット印刷装置10は通信インターフェース104を備える。
【0107】
通信インターフェース104は、有線形式又は無線形式のいずれを適用してもよい。インクジェット印刷装置10は、通信インターフェース104を介してホストコンピュータ106等の外部装置から印刷データ等を取得する。
【0108】
メモリ102は、プログラムメモリ110、パラメータメモリ112及びデータメモリ114を備える。プログラムメモリ110はプロセッサ100を用いて実行可能な命令を含む各種のプログラムが記憶される。パラメータメモリ112はプログラムの実行に必要な各種のパラメータが記憶される。データメモリ114は各種のデータが記憶される。データメモリ114は各種データの一時記憶領域が含まれてもよい。
【0109】
メモリ102は、半導体メモリ等の有体物たるコンピュータ可読媒体等を含んで構成され得る。メモリ102は、ハードディスク等の磁気記憶装置が含まれていてもよい。メモリ102は、複数の記憶装置等を用いて構成され得る。複数の記憶装置等は異なる複数の種類の記憶装置等を含み得る。メモリ102を構成する記憶装置等は、複数の記憶領域に分割されていてもよい。
【0110】
プロセッサ100は、プログラムメモリ110に記憶されるプログラムを実行してインクジェット印刷装置10の各種機能を実現させる。プロセッサ100の構成要素として図示した各種の処理部は、インクジェット印刷装置10の各種の機能に対応している。
【0111】
システム制御部108は、プログラムメモリ110に記憶されるプログラムを実行し、インクジェット印刷装置10の各種の処理を実施し、インクジェット印刷装置10の全体の統括制御を実施する。
【0112】
搬送制御部120は、シート搬送装置20の動作を制御する。すなわち、搬送制御部120はシート12の搬送速度及びシート12へ付与されるテンションを制御する。なお、本明細書における速度という用語は、速度の絶対値を用いて表される速さの意味を含み得る。
【0113】
印刷制御部122は、印刷データに基づきインクジェットヘッド32のインク吐出動作を制御する。印刷制御部122は、印刷データに対する各種の変換処理、各種の補正処理及びハーフトーン処理などを行う画像処理を実施する。変換処理には、画素数変換、階調変換及び色変換等が含まれる。補正処理には、濃度ムラ補正及び不吐出ノズルの発生に起因する画像欠陥の視認性を抑制する不吐出補正等が含まれる。
【0114】
印刷制御部122は、インクジェットヘッド32のノズル面と対向する位置をシート12が通過するタイミングにおいて、各色のインクジェットヘッド32から各色の水性インクの液滴をシート12に向けて吐出させる。
【0115】
読取制御部124は、読取装置40の動作を制御する。すなわち、読取制御部124は、読取装置40に具備されるスキャナに対して読取パラメータを設定し、スキャナの動作を制御する。読取パラメータは読取解像度及び読取レート等が含まれる。読取パラメータはパラメータメモリ112へ記憶される。
【0116】
また、読取制御部124は、読取装置40に具備される背景ローラの移動条件を設定し、背景ローラの移動を制御する。移動パラメータは、背景ローラの移動タイミング、移動速度及び移動距離等が含まれる。移動パラメータはパラメータメモリ112へ記憶される。
【0117】
読取制御部124は、スキャナを制御するスキャナ制御部と、背景ローラの移動を制御する背景ローラ移動制御部とを備えてもよい。なお、スキャナは図1に示す第一スキャナ42A及び第二スキャナ42Bの総称である。また、背景ローラは第一背景ローラ44A及び第二背景ローラ44Bの総称である。
【0118】
読取データ処理部126は、印刷画像の読取データを取得する。読取データ処理部126は、印刷画像の読取データを解析する。システム制御部108は、解析結果に基づき、インクジェットヘッド32の補正等を実施する。
【0119】
乾燥制御部128は、インク乾燥装置50が出力する熱エネルギー量に対応する乾燥強度を制御する。乾燥制御部128は、シート12の印刷面に印刷される画像の印刷パラメータを取得し、取得した印刷パラメータに基づき、インク乾燥装置50に適用される乾燥パラメータを設定する。乾燥パラメータは、ヒータの温度及びファンの風量が含まれる。印刷パラメータ及び乾燥パラメータはパラメータメモリ112へ記憶される。
【0120】
洗浄制御部129は、洗浄装置60の動作を制御する。洗浄制御部129は、システム制御部108から送信される指令信号に応じて、規定の洗浄パラメータを適用して洗浄装置60を動作させる。洗浄パラメータは、洗浄強度及び洗浄期間等が含まれ得る。洗浄パラメータは、パラメータメモリ112へ記憶される。
【0121】
洗浄制御部129は、定期的に洗浄装置60を動作させてもよいし、第一背景ローラ44A及び第二背景ローラ44Bの汚れの検出結果に基づき洗浄装置60を動作させてもよい。
【0122】
インクジェット印刷装置10は、入力装置130を備える。プロセッサ100は、入力装置130が出力する入力信号を取得する。入力装置130は、ユーザからの入力を受け付ける操作パネル、キーボード、マウス、タッチパネル及びトラックボール等の各種の操作部材を適用し得る。入力装置130はこれらの適宜の組み合わせであってもよい。
【0123】
インクジェット印刷装置10は、ディスプレイ132を備える。プロセッサ100は、ディスプレイ132へ表示信号を送信する。ディスプレイ132は取得した表示信号に基づく情報を表示させる。ディスプレイ132を用いて表示させる情報は、インクジェット印刷装置10のステータス情報、各種のパラメータの設定情報及びインクジェット印刷装置10のエラー情報等を適用し得る。
【0124】
インクジェット印刷装置10は、タッチパネル方式のディスプレイを備え、入力装置130とディスプレイ132とを一体構成とし得る。
【0125】
〔各処理部及び制御部のハードウェア構成〕
図2に示す各種の処理を実施する処理部のハードウェアは、各種のプロセッサを適用し得る。なお、処理部はprocessing unitと呼ばれる場合があり得る。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、PLD(Programmable Logic Device)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が含まれる。
【0126】
CPUは、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサである。PLDは、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサである。PLDの例として、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。ASICは、特定の処理を実施させるために専用に設計された回路構成を有する専用電気回路である。
【0127】
一つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの一つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、一つの処理部は、複数のFPGA等を用いて構成されてもよい。一つの処理部は、一つ以上のFPGA及び一つ以上のCPUを組み合わせて構成されてもよい。
【0128】
また、一つのプロセッサを用いて複数の処理部を構成してもよい。一つのプロセッサを用いて複数の処理部を構成する例として、一つ以上のCPUとソフトウェアとを組み合わせて一つのプロセッサを構成し、一つプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。かかる形態は、クライアント端末装置及びサーバ装置等のコンピュータに代表される。
【0129】
他の構成例として。複数の処理部を含むシステム全体の機能を一つのICチップを用いて実現するプロセッサを使用する形態が挙げられる。かかる形態は、システムオンチップ(System On Chip)などに代表される。なお、ICはIntegrated Circuitの省略語である。また、システムオンチップは、System On Chipの省略語を用いてSoCと記載される場合がある。
【0130】
このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記した各種のプロセッサを一つ以上用いて構成される。更に、各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
【0131】
〔第一読取装置の構成例〕
図3は第一読取装置の全体構成図である。第一スキャナ42AはCCDラインセンサ70及び照明装置72を備える。CCDラインセンサ70は、シート幅方向に沿って複数の光電変換素子が一列に配置される。第一スキャナ42Aは、一以上のレンズ等を含む光学部材を備える。なお、図3では光学部材の図示を省略する。光学部材の構成例を図14及び図15に図示する。
【0132】
CCDラインセンサ70は、複数の光電変換素子が二次元状に配置されてもよい。CCDラインセンサ70は、シート幅方向についてシート12の全長を読取可能な長さを有してもよいし、シート幅方向について走査して、シート12の全長を読み取る構成を採用してもよい。
【0133】
照明装置72は、シート12へ照明光を照射する。CCDラインセンサ70はシート12の反射光を受光する。CCDラインセンサ70は受光した光に応じた電気信号を出力する。CCDラインセンサ70は増幅及びノイズ除去等の信号処理を実施する信号処理回路を備え得る。
【0134】
第一背景ローラ44Aは、移動機構74を用いて移動可能に支持される。移動機構74はモータ76が連結される。移動機構74は、モータ76の回転に応じて、第一背景ローラ44Aがシート12へ接触する接触位置と、第一背景ローラ44Aがシート12から離間する退避位置との間について、第一背景ローラ44Aを移動させる。図3には、第一背景ローラ44Aが接触位置に位置する状態を模式的に図示する。
【0135】
第一背景ローラ44Aは、移動機構74を用いて回転可能に支持される。第一背景ローラ44Aの回転軸45Aは、モータ78が連結される。モータ78は、接触位置に配置される第一背景ローラ44Aを、シート12の搬送に応じて回転させる。なお、図3に付した矢印線はシート搬送方向を示す。
【0136】
シート12に対してシアン等の色インクを用いて濃度ムラ補正用チャート及び吐出異常検出用チャートなどの各種の検出用チャートを印刷し、第一読取装置40Aを用いて各種の検出用チャートを読み取り、第一読取装置40Aから出力される読取データに基づき、各種の補正が実施される。
【0137】
第一読取装置40Aを用いて各種の検出用チャートを読み取る際に、第一背景ローラ44Aを接触位置へ配置させる。第一読取装置40Aは、第一背景ローラ44Aの外周面の色である白を背景として、各種の検出用チャートの読み取りを実施する。
【0138】
図4は退避位置に配置される第一読取装置を示す説明図である。各種の検出用チャートの読み取りが非実施の場合、第一背景ローラ44Aを退避位置へ配置させる。これにより、第一背景ローラ44Aは汚れの付着、ごみの付着及び傷の発生を抑制し得る。
【0139】
第一洗浄装置60Aは、第一背景ローラ44Aをシート12から離間させる離間位置において、第一背景ローラ44Aの外周面を洗浄する。第一洗浄装置60Aは、第一背景ローラ44Aの外周面へ接触し、第一背景ローラ44Aの外周面の汚れ等を除去するブレードを備える。なお、ブレードの図示を省略する。
【0140】
第一背景ローラ44Aの洗浄は、汚れを落とす機能を有する洗浄液の使用が好ましい。第一背景ローラ44Aが接触位置に配置される場合は、洗浄液等の液体が用いられる洗浄の実施は困難である。
【0141】
また、シート12への印刷が実施される期間は、第一背景ローラ44Aが高速で回転しているので、第一背景ローラ44Aの洗浄には適していない。このような課題に対して、図3及び図4に示す第一読取装置40Aは、シート12から第一背景ローラ44Aを離間させることができ、印刷中において、第一背景ローラ44Aの洗浄に適した回転速度を適用して第一背景ローラ44Aを回転させ、第一背景ローラ44Aの洗浄を実施し得る。
【0142】
第一背景ローラ44Aを洗浄する際の第一背景ローラ44Aの回転速度は、接触位置に配置される場合の第一背景ローラ44Aの回転速度未満とし得る。なお、実施形態に記載の移動機構74及びモータ76は移動装置の構成要素の一例である。
【0143】
〔第二読取装置の構成例〕
図1に示す第二読取装置40Bは、第二背景ローラ44Bの外周面の色が第一背景ローラ44Aの外周面の色と異なる点の他は、図3に示す第一読取装置40Aと同様の構成を適用し得る。本実施形態では、第二読取装置40Bの詳細な説明は省略する。
【0144】
シート12に対して、ホワイトインクを用いて濃度ムラ補正用チャート及び吐出異常検出用チャートを印刷し、第二読取装置40Bを用いて各種の検出用チャートを読み取り、第二読取装置40Bから出力される読取データに基づくムラ補正等が実施される。
【0145】
第二読取装置40Bを用いてホワイトインクの各種の検出用チャートを読み取る際に、第二背景ローラ44Bを接触位置へ配置させる。第二読取装置40Bは、第二背景ローラ44Bの外周面の色である黒を背景として、各種の検出用チャートの読み取りを実施する。
【0146】
一方、ホワイトインクを用いる各種の検出用チャートの読み取りを非実施の場合、第二背景ローラ44Bをシート12から離間させる。これにより、第二背景ローラ44Bは汚れの付着、ごみの付着及び傷の発生を抑制し得る。第二洗浄装置60Bは、第二背景ローラ44Bを退避位置へ配置させ、第二背景ローラ44Bの外周面を洗浄する。
【0147】
第二背景ローラ44Bの外周面を洗浄する際の第二背景ローラ44Bの回転速度は、第一背景ローラ44Aの外周面を洗浄する際の第一背景ローラ44Aの回転速度と同一の回転速度を適用してもよいし、異なる回転速度を適用してもよい。
【0148】
第二背景ローラ44Bの外周面の洗浄は、上記した第一背景ローラ44Aの外周面の洗浄と同様である。ここでは、第二背景ローラ44Bの外周面の洗浄の詳細の説明を省略する。
【0149】
[第一実施形態の作用効果]
第一実施形態に係るインクジェット印刷装置10によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0150】
〔1〕
読取装置40は、ホワイトインク以外のインクの読み取りに適用される第一読取装置40A及び第一洗浄装置60Aを備える。第一読取装置40Aは、印刷画像の読み取りの背景に適用される第一背景ローラ44Aを備える。第一背景ローラ44Aは、印刷画像の読み取りが実施される際にシート12へ接触し、印刷画像の読み取りが非実施の際にシート12から離間する。洗浄装置60は第一背景ローラ44Aがシート12から離間した際に、第一背景ローラ44Aの外周面を洗浄する。これにより、第一背景ローラ44Aの外周面における汚れ等の付着及び傷の発生が抑制される。
【0151】
〔2〕
第一背景ローラ44Aの外周面が洗浄される際の第一背景ローラ44Aの回転速度は、第一背景ローラ44Aをシート12へ接触させる際の回転速度未満とし得る。これにより、第一背景ローラ44Aの外周面の十分な洗浄を実施し得る。
【0152】
〔3〕
読取装置40は、ホワイトインクの読み取りに適用される第二読取装置40Bを備える。第二読取装置40Bは外周面に黒色の塗装が施される。これにより、ホワイトインクが適用されるインクジェットヘッド32Wを備える態様においても、印刷画像の読み取りの背景に適用される第二背景ローラ44Bの外周面における汚れ等の付着及び傷の発生が抑制される。
【0153】
〔4〕
第二背景ローラ44Bの外周面が洗浄される際の第二背景ローラ44Bの回転速度は、第二背景ローラ44Bをシート12へ接触させる際の回転速度未満とし得る。これにより、第二背景ローラ44Bの外周面の十分な洗浄を実施し得る。
【0154】
本実施形態では、ホワイトインクを吐出させるインクジェットヘッド32Wを備えるインクジェット印刷装置10を例示したが、ホワイトインクを吐出させるインクジェットヘッド32Wを具備しない場合、インクジェット印刷装置10は第二読取装置40Bを具備しない態様を採用し得る。
【0155】
[第二実施形態]
〔読取装置の構成例〕
図5は第二実施形態に係る読取装置の全体構成図である。図5には、シート12へ第一背景ローラ206を接触させ、第一背景ローラ206を背景としてホワイトインク以外のインクを読み取る状態の読取装置200を図示する。なお、図5では、第一背景ローラ206を回転させるモータ及び第二背景ローラ208を回転させるモータの図示を省略する。図6についても同様である。
【0156】
読取装置200は、スキャナ202及び背景ローラ204を備える。スキャナ202は図3等に示す第一スキャナ42Aと同様の構成を適用し得る。ここでは、スキャナ202の詳細な図示は省略する。
【0157】
背景ローラ204は、第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208を備える。第一背景ローラ206の外周面は白色が適用される。第二背景ローラ208の外周面は黒色が適用される。
【0158】
第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208は、回転支持アーム210を用いて支持される。回転支持アーム210は、一方の端に第一背景ローラ206を回転可能に支持し、他方の端に第二背景ローラ208を回転可能に支持する。図5では第一背景ローラ206を回転させるモータ及び第二背景ローラ208を回転させるモータの図示を省略する。
【0159】
回転支持アーム210は、回転軸210Aについて回転可能に支持される。回転支持アーム210の回転軸210Aはモータ212が連結される。回転支持アーム210はモータ212の回転に応じて回転軸210Aについて回転する。
【0160】
読取装置200は、第一洗浄装置220A及び第二洗浄装置220Bを備える。第一洗浄装置220A及び第二洗浄装置220Bは図3等に示す第一洗浄装置60Aと同様の構成を適用し得る。
【0161】
読取装置200は、モータ212を動作させて回転支持アーム210を回転させ、第一背景ローラ206がスキャナ202の読取位置に達するタイミングにおいて、モータ212を停止させる。読取装置200は、図5に示す色インク読取状態において、ホワイトインク以外のインクの読み取りを実施する。読取装置200は読取データを出力する。
【0162】
図6図5に示す読取装置の退避状態を示す模式図である。図6には、第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208がシート12から離間した退避状態の読取装置200を示す。退避状態において、第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208は、それぞれの退避位置へ配置される。
【0163】
退避状態における読取装置200は、第一洗浄装置220A又は第二洗浄装置220Bを用いて、第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208の洗浄を実施する。図6には、第一洗浄装置220Aを用いて第二背景ローラ208の洗浄を実施し、第二洗浄装置220Bを用いて第一背景ローラ206の洗浄を実施する場合を図示する。
【0164】
図7図5に示す読取装置のホワイトインク読取状態を示す模式図である。図7には、シート12へ第一背景ローラ206を接触させ、第二背景ローラ208を背景としてホワイトインクを読み取るホワイトインク読取状態の読取装置200を示す。
【0165】
読取装置200は、図6に示す退避状態からモータ212を動作させて、回転支持アーム210を回転させ、第二背景ローラ208がスキャナ202の読取位置に達するタイミングにおいて、モータ212を停止させる。
【0166】
読取装置200は、図7に示すホワイトインク読取状態において、ホワイトインクの読み取りを実施する。読取装置200は、ホワイトインクの読取データを出力する。
【0167】
[第二実施形態の作用効果]
第二実施形態に係る読取装置200によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0168】
〔1〕
読取装置200は、白色の外周面が適用される第一背景ローラ206と、黒色の外周面が適用される第二背景ローラ208とを、スキャナ202の読取背景位置へ選択的に配置可能とする回転支持アーム210を備える。
【0169】
これにより、ホワイトインク以外のインクの読み取りに適用される読取装置と、ホワイトインクの読み取りに適用される読取装置とを別々に備える必要がなく、コストの低減及び装置サイズの小型化を実現し得る。
【0170】
〔2〕
退避状態における読取装置200は、第一洗浄装置220A又は第二洗浄装置220Bを用いて、第一背景ローラ206及び第二背景ローラ208の洗浄を実施する。これにより、第一背景ローラ206の外周面及び第二背景ローラ208の外周面における汚れ等の付着及び傷の発生が抑制される。
【0171】
読取装置200は、第一洗浄装置220Aのみを備える態様及び第二洗浄装置220Bのみを備える態様を採用し得る。
【0172】
[第三実施形態]
〔背景ローラの構成例〕
図8は第三実施形態に係る読取装置の全体構成図である。同図に示す読取装置300は、スキャナ302及び背景ローラ304を備える。スキャナ302は図3等に示す第一スキャナ42Aと同様の構成を適用し得る。ここでは、スキャナ302の詳細な説明を省略する。また、背景ローラを洗浄する洗浄装置の図示を省略する。後述する実施形態についても同様である。
【0173】
背景ローラ304は、回転軸について回転可能に支持される。なお、背景ローラ304の回転軸を支持する支持部材の図示を省略する。背景ローラ304の回転軸はモータ312が連結される。背景ローラ304はモータ312の回転に応じて回転する。
【0174】
背景ローラ304は外周面に凹凸形状が形成される。なお、図8では、背景ローラ304の外周面に形成される凹凸形状の詳細な図示を省略する。凹凸形状が形成される背景ローラ304の外周面は、照明光を拡散反射させる。
【0175】
背景ローラ304の外周面は、スキャナ302の光電変換素子において、白色又は白色と近似する色として認識される。白色と近似する色とは、白色とは異なる色であるが、ホワイトインク以外のインクの読み取りにおける背景に適用される際に白色と同様に視認される色である。
【0176】
すなわち、外周面に凹凸形状が形成される背景ローラ304は、図3等に示す第一背景ローラ44A及び図5等に示す第一背景ローラ206と同様に、色インクの読み取りの際の白色背景として適用し得る。
【0177】
〔凹凸形状の説明〕
図9図8に示す背景ローラに適用される凹凸形状の説明図である。図9では、背景ローラ304の外周面320の一部を拡大し、凹凸形状305を模式的に図示する。図9に示す符号Xはシート幅方向を表す。符号Yはシート搬送方向を表す。以下の説明において、シート幅方向をX方向と呼び、シート搬送方向をY方向と呼ぶ場合がある。
【0178】
背景ローラ304の外周面320は、不規則な凹凸形状305が形成される。背景ローラ304の外周面320に形成される凹凸形状305は、以下の形状特性を有する。以下、凹凸形状305の形状特性について説明する。
【0179】
図10は凹凸形状の形状特性の説明図である。以下の説明において、図9を適宜参照する。
【0180】
濃度ムラ補正チャートの読取データを用いて濃度ムラ補正を行う際に、読取データに対応する読取画像の各画素の位置に対して、図9に示すXY座標系を適用する。ここで、Y方向単位長Lは、濃度ムラ補正チャートにおける同一濃度のチャート部分に対応する読取画像の画素数に相当する。すなわち、Y方向単位長Lは、一回の撮像において取得される読取画像のY方向の画素数に相当し、読取データを平均する長さとして機能する。また、X方向単位長さDは、X方向における読取画像の単位長さを表す。
【0181】
任意の濃度値におけるX方向のプロファイルを求める際に、任意のX座標値における画素値は、Y方向単位長Lの単位で平均化される。これにより、読取データから読み取りに起因して発生するノイズの影響を低減させ得る。
【0182】
凹凸形状305の細かさを示す凹凸分布は、凹凸形状305の高さを二次元に表現し、Y方向についてY方向単長Lの単位で凹凸形状305を平均し、X方向の一次元の平均的な凹凸プロファイルを求める。図10のグラフ330は、X方向の一次元の平均的な凹凸プロファイルの一例である。
【0183】
グラフ330の横軸は、X方向における背景ローラ304の外周面320上の位置を表す。グラフ330の縦軸は凹凸形状305の指標値Iを表す。
【0184】
グラフ340は、グラフ330のプロファイルの平均値がゼロとなるようにオフセットを与えた結果を示す。グラフ340の横軸は、X方向における背景ローラ304の外周面320上の位置を表す。グラフ340の縦軸は凹凸形状305の指標値Iを表す。
【0185】
グラフ350は、グラフ340に示すプロファイルに対して、一次元FFTを行った周波数解析の結果を表す。なお、FFTは高速フーリエ変換の英語表記であるFast Fourier Transformの省略語である。グラフ350の横軸は、X方向における空間周波数fを表す。グラフ350の縦軸はFFT値Pを表す。
【0186】
図8に示す読取装置300に具備されるスキャナの読取素子の配置ピッチの1/2倍の長さに対応する空間周波数f未満の領域におけるピーク値Pと、空間周波数f以上の領域におけるピーク値Pとの関係は、P<Pである。背景ローラ304は、上記の不等式を満たす凹凸形状305が外周面320に形成される。
【0187】
なお、実施形態に記載のP<Pは、複数の読取素子の第二方向における配置ピッチに1/2を乗じた距離に対応する空間周波数未満の領域におけるピーク値は、空間周波数以上の領域におけるピーク値未満の一例である。
【0188】
上記の不等式は、凹凸形状305の不均一性を平均化する条件である。凹凸形状305は、特定の長さより細かい周期を有し、かつ、多少の不均一性を有する形状である。読取素子の配置ピッチの1/2倍の長さに対応する空間周波数f以上とは、凹凸形状305の主たる空間周波数成分に対応する凹凸の周期の二周期以上が、一つの読取素子の読取範囲に入ることを意味する。上記の不等式を満たす凹凸形状305は、不均一性が平均化され、不均一性に起因する読取画像のムラ影響が軽減される。
【0189】
なお、凹凸形状305の評価は、図8に示すスキャナ302よりも高解像度のスキャナが適用される。凹凸形状305の評価は、任意の高解像度のスキャナを用いて取得した背景ローラ304の外周面の読取データを適用し得る。
【0190】
なお、読取素子の配置ピッチは、スキャナに具備されるCCDラインセンサを構成する光電変換素子の配置距離間隔であり、読取素子サイズと一致する。
【0191】
凹凸形状305の形成は、液体ホーニング、サンドブラスト及びエッチング等の手法を適用し得る。液体ホーニングは、200メッシュ程度のガラスビーズ、カーボンランダム及びアランダム等と水との混合スラリーを、背景ローラ304の処理面へ圧力をかけて吹き付ける。サンドブラストは、200メッシュ程度の鉄紛、カーボンランダム及びアランダム等を、背景ローラ304の処理面へ吹き付ける。
【0192】
なお、実施形態に記載のY方向は第一方向の一例である。実施形態に記載のX方向は第一方向と直交する第二方向の一例である。実施形態に記載のY方向単位長Lは、回転軸と直交する方向における光学読取装置の読み取り単位長をLの一例である。実施形態に記載のY方向単位長Lにおける凹凸形状305の高さの平均は、凹凸形状の平均高さの一例である。
【0193】
実施形態に記載の一次元FFTはフーリエ変換の一例である。実施形態に記載の一次元FFTを行った結果はフーリエ変換した処理結果の一例である。実施形態に記載のスキャナの読取素子の配置ピッチの1/2倍の長さは、複数の読取素子の第二方向における配置ピッチに1/2を乗じた距離の一例である。実施形態に記載の空間周波数f以下は空間周波数以下の一例である。
【0194】
〔変形例〕
図11図9に示す背景ローラの変形例の説明図である。同図には背景ローラ304Aの断面図を示す。同図に示す背景ローラ304Aは、凹凸形状305が形成される面にガラスコート層360が形成される。
【0195】
ガラスコート層360の材料は、株式会社タックアンドカンパニー製、金属用ガラスコーティング剤、マイクロシーラーメタルガード(商品名)、京葉ケミカル株式会社製、膜ガラスコート、硝子の液体、RM-1(商品名)及び株式会社オクタ製、コーティングマジックGLASS#100(商品名)等が挙げられる。
【0196】
変形例に係る背景ローラ304Aによれば、背景ローラ304Aの外周面が平滑化され、汚れ等の付着が抑制され、かつ、汚れ等が付着した際の洗浄が容易である。なお、実施形態に記載のガラスコート層360はコーティング層の一例である。
【0197】
[第三実施形態の作用効果]
第三実施形態に係る読取装置300によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0198】
〔1〕
背景ローラ304の外周面320は、凹凸形状305が形成される。凹凸形状305は照明光を拡散反射させる。これにより、背景ローラ304は、外周面320に白色塗装がされる第一背景ローラ44Aと同様に、ホワイトインク以外のインクを読み取る際の背景に適用し得る。
【0199】
〔2〕
背景ローラ304の外周面320に適用される凹凸形状305は、シート幅方向における凹凸形状305のプロファイルを周波数解析し、読取素子の配置ピッチの1/2倍に対応する空間周波数f未満の領域におけるFFT値のピーク値Pが、空間周波数f以上の領域におけるFFT値のピーク値P未満である。
【0200】
これにより、凹凸形状305を周波数解析する際に、凹凸形状305の主たる空間周波数成分に対応する凹凸の二周期以上が一つの読取素子を用いて読み取られ、凹凸形状305の不均一性が平均化され、凹凸形状305の不均一性に起因する凹凸形状305の読取画像におけるムラの影響が低減され得る。
【0201】
〔3〕
凹凸形状305が形成される背景ローラ304Aの外周面320はガラスコート層360が形成される。これにより、背景ローラ304Aの外周面320が平滑化され、汚れ等の付着が抑制され、かつ、汚れ等が付着した際の洗浄が容易である。
【0202】
[第四実施形態]
〔背景ローラの外周面形状〕
図12は第四実施形態に係る読取装置に適用される背景ローラの外周面の形状の説明図である。同図に示す背景ローラ404の外周面420は、複数の微細なコーナーキューブ430が形成される。図12では、任意のコーナーキューブ430を拡大して図示する。コーナーキューブ430を構成する面S、面S及び面Sは、それぞれが互いに垂直である。
【0203】
コーナーキューブ430の背景ローラ404の外周面420における平面形状は正三角形である。コーナーキューブ430は、背景ローラ404の外周面420における平面形状を表す正三角形の高さHと、上記したY方向単位長Lとは、L>2×Hの関係を有する。
【0204】
コーナーキューブ430は、背景ローラ404の回転軸方向に対して、コーナーキューブ430の表面形状の正三角形の任意の一辺が平行となる配置を有する。なお、背景ローラ404の回転軸方向は、X方向に対して平行となる方向である。図12では、背景ローラ404の回転軸方向をX方向として図示する。
【0205】
コーナーキューブ430を構成する正三角形は規則的に形成される。また、コーナーキューブ430は、背景ローラ404の周方向及び回転軸方向において、上向きの正三角形と下向きの正三角形とが交互に配置されている。なお、上向きの正三角形は互いに隣接する正三角形の一方であり、下向きの正三角形は互いに隣接する正三角形の他方である。
【0206】
上記の構造を有する背景ローラ404を読み取ると、任意のX座標値についてY座標ごとに正三角形の頂点、斜辺又は底辺のいずれかの読取データが得られる。背景ローラ404の読取画像をY方向単位長Lの単位で平均化する際に、上向きの正三角形と下向きの正三角形を一括して読み取ることで、コーナーキューブ430の周期的な規則性が平均化される。
【0207】
〔変形例〕
図13図12に示す背景ローラの変形例の説明図である。同図には背景ローラ404Aの断面図を示す。同図に示す背景ローラ404Aは、コーナーキューブ430が形成される面にガラスコート層460が形成される。
【0208】
ガラスコート層460は、各コーナーキューブ430への充填量が調整され、各コーナーキューブ430の表面が一定の平面を構成する。ガラスコート層460は、図13に示すガラスコート層360と同様の材料及び形成方法を適用し得る。ここでは、ガラスコート層460の詳細な説明を省略する。なお、実施形態に記載のガラスコート層460はコーティング層の一例である。
【0209】
〔白色背景としての背景ローラの使用例〕
図14は白色背景としての背景ローラの使用例の説明図である。同図に示すスキャナ402Aは、CCDラインセンサ470A及び照明装置472Aを備える。照明装置472Aは、光源471A、集光レンズ474A、ハーフミラー476A及び読取レンズ478Aを備える。
【0210】
照明装置472Aは、CCDラインセンサ470Aの読取レンズ478Aの光軸へ照明光を導光する同軸照明のみを用いて、シート12に対して照明光を照射する。背景ローラ404のコーナーキューブ430は、シート12に対して照射される照明光を反射させる。CCDラインセンサ470Aは、コーナーキューブ430からの反射光が入射されるので、スキャナ402Aは白色背景と同様の読み取りが可能である。
【0211】
〔黒色背景としての背景ローラの使用例〕
図15は黒色背景としての背景ローラの使用例の説明図である。同図に示すスキャナ402Bは、CCDラインセンサ470B及び照明装置472Bを備える。照明装置472Bは、読取レンズ478Bの光軸の外からシート12に対して照明光を照射する。
【0212】
CCDラインセンサ470Bは、コーナーキューブ430からの反射光が入射せず、スキャナ402Aは黒色背景と同様の読み取りが可能である。一方、シート12上のインクは、照明光を拡散反射させる。CCDラインセンサ470Bは、インクの反射光が入射し、インクを用いて印刷される印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0213】
すなわち、コーナーキューブ430が外周面420に形成される背景ローラ404は、コーナーキューブ430のエッジなど、コーナーキューブ430の反射面以外の位置からの反射光がわずかに発生する。そのために、背景ローラ404の外周面420は、反射光の分だけ明るく見えるが、全体として低反射率のため黒く見える。このように、照明装置を切り替えて、背景ローラ404の外周面420は、白色背景相当と黒色背景相当との切り替えが可能である。
【0214】
すなわち、図14に示す同軸照明が適用される照明装置472A及び図15に示す軸外照明が適用される照明装置472Bを備え、照明装置472Aと照明装置472Bとを選択的に切り替えて、背景ローラ404を白色背景及び黒色背景として適用し得る。
【0215】
なお、実施形態に記載の同軸照明が適用される照明装置472Aは第一照明装置の一例である。実施形態に記載の軸外照明が適用される照明装置472Bは、第二照明装置の一例である。実施形態に記載の照明装置472Aと照明装置472Bとを選択的に切り替える構成要素は、照明切替装置の一例である。
【0216】
コーナーキューブ430は、ダイヤモンド等を用いて凸型を形成し、薄い金属板に対して位置を変えて凸型を押し当てて、金属板の表面を凹ませて形成し得る。コーナーキューブ430は、凸型に加工した複数の電極を用いる電鋳を適用して、凸型の形状を金属板に転写して生成してもよい。
【0217】
[第四実施形態の作用効果]
第四実施形態に係る読取装置によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0218】
〔1〕
背景ローラ404の外周面420は複数のコーナーキューブ430が形成される。読取レンズ478Aの光軸へ照明光を導光する同軸照明を適用して、白色背景として背景ローラ404を適用し得る。読取レンズ478Aの光軸へ照明光を導光しない軸外照明を適用して、黒色背景として背景ローラ404を適用し得る。
【0219】
〔2〕
背景ローラ404の外周面420に適用される複数のコーナーキューブ430は、平面形状を表す正三角形の高さHの二倍が、シート搬送方向におけるY方向単位長L未満とされる。これにより、コーナーキューブ430の読取画像における周期的な規則性が平均化される。
【0220】
〔3〕
コーナーキューブ430が形成される背景ローラ404Aの外周面420は、ガラスコート層460が形成される。これにより、背景ローラ404Aの外周面が平滑化され、汚れ等の付着が抑制され、かつ、汚れ等が付着した際の洗浄が容易である。
【0221】
[第五実施形態]
〔読取装置の構成例〕
図16は第五実施形態に係る読取装置の全体構成図である。第五実施形態に係る読取装置500が適用されるインクジェット印刷装置10Aは、ジェッティングドラム24Aを備える。
【0222】
ジェッティングドラム24Aは外周面にシート12を吸着支持する。ジェッティングドラム24Aは、ジェッティング装置30の印刷領域において、シート搬送方向へシート12を搬送する。ジェッティングドラム24Aに付した矢印線は、ジェッティングドラム24Aの回転方向であり、シート搬送方向である。
【0223】
シート搬送方向におけるジェッティング装置30の下流側の位置には、読取装置500が配置される。読取装置500はスキャナ502を備える。スキャナ502は、ジェッティングドラム24Aの外周面に支持されるシート12の印刷画像を読み取る。
【0224】
読取装置500は、スキャナ移動機構510を備える。スキャナ移動機構510は、スキャナ502を移動可能に支持する。スキャナ移動機構510は、ジェッティングドラム24Aの外周面を背景としてシート12の印刷画像を読み取るドラム読取位置と、背景ローラ504の外周面を背景としてシート12の印刷画像を読み取る背景ローラ読取位置との間について、スキャナ502を移動させる。スキャナ移動機構510は、モータ512が連結される。なお、実施形態に記載のスキャナ移動機構510は光学読取移動装置の一例である。
【0225】
背景ローラ504は、移動機構520を用いて移動可能に支持され、かつ、回転可能に支持される。移動機構520はモータが連結される。移動機構520は、読取位置と退避位置との間について、背景ローラ504を移動させる。
【0226】
背景ローラ504の回転軸はモータ522が連結される。背景ローラ504は、モータ522の回転に応じて回転する。なお、図16では、移動機構520と連結されるモータの図示を省略する。
【0227】
読取装置500は、剥離ローラ505及び剥離ローラ移動機構530を備える。剥離ローラ505は、剥離ローラ移動機構530を用いて移動可能に支持され、かつ、回転可能に支持される。剥離ローラ移動機構530はモータが連結される。
【0228】
剥離ローラ移動機構530は、ジェッティングドラム24Aの外周面からシート12を剥離させる際の剥離ローラ505の位置である剥離位置と、剥離ローラ505をシート12から離間させる離間位置との間において、剥離ローラ505を移動させる。
【0229】
剥離ローラ505の回転軸はモータ532が連結される。剥離ローラ505は、モータ532の回転に応じて回転する。なお、図16では、剥離ローラ移動機構530と連結されるモータの図示を省略する。なお、実施形態に記載の剥離ローラ505は、媒体の搬送ドラムからの剥離を行う剥離装置の一例である。
【0230】
図17はジェッティングドラムからシートを剥離した状態の模式図である。剥離ローラ505は、ジェッティングドラム24Aからシート12を部分的に剥離させる。すなわち、剥離ローラ505は、シート12を押し上げて、ジェッティングドラム24Aとシート12との間に隙間を空ける。
【0231】
シート12の読み取りの背景となる背景ローラ504をジェッティングドラム24Aとシート12との間の隙間に挿入する。スキャナ502は、背景ローラ504に接触している部分のシート12を読み取る。
【0232】
背景ローラ504に接触している部分のシート12を読み取る際に、スキャナ502はドラム読取位置から背景ローラ読取位置へ移動する。二点鎖線を用いて図示したスキャナ502は、ドラム読取位置に配置されるスキャナ502である。実線を用いて図示したスキャナ502は、背景ローラ読取位置に配置されるスキャナ502である。
【0233】
剥離ローラ505を用いてジェッティングドラム24Aからシート12を剥離させる場合は、ジェッティングドラム24Aからシート12を剥離させない場合と比較して、ドラム読取位置と背景ローラ読取位置との距離が短くなり。これにより、スキャナ502の移動距離を短くすることが可能となる。
【0234】
ジェッティングドラム24Aの外周面が平滑な鏡面であり、スキャナ502の読取レンズの光軸から離れた位置において、ジェッティングドラム24Aの外周面に支持されるシート12を照明する場合を考える。
【0235】
シート12を透過して、ジェッティングドラム24Aの外周面へ到達した照明光は、ジェッティングドラム24Aの外周面において正反射し、スキャナ502の読取レンズへ入射しない。結果的に、ジェッティングドラム24Aの外周面は黒色背景となる。ブラックインク以外のインクが印刷されるシート12の部分は、ジェッティングドラム24Aの外周面にシート12が支持される状態において、照明光を拡散反射させる。そうすると、ブラックインク以外のインクが印刷されるシート12の部分は、スキャナ502を用いる読み取りが可能である。
【0236】
一方、ブラックインクを読み取る場合は、白色の外周面を有する背景ローラ504が背景とされる。但し、白色の外周面を有する背景ローラ504を背景とする場合は、ホワイトインク以外のインクの読み取りも可能である。なお、インクの読み取りは、インクを用いて構成される印刷画像の読み取りと同義である。
【0237】
ジェッティングドラム24Aの外周面が黒色に塗装されている場合も、ジェッティングドラム24Aの外周面が平滑な鏡面の場合と同様に、ブラックインク以外のインクの読み取りが可能である。
【0238】
背景ローラ504は、図8等に示す外周面に凹凸形状が形成される態様を適用してもよい。背景ローラ504の外周面に凹凸形状が形成される態様では、背景ローラ504を白色背景として適用し得る。
【0239】
ジェッティングドラム24Aの外周面に凹凸形状が形成される態様では、背景ローラ504の外周面を黒色とし、ジェッティングドラム24Aを白色背景として適用し、かつ、背景ローラ504を黒色背景として適用し得る。ジェッティングドラム24Aの外周面に白色の塗装が施される場合も同様である。なお、実施形態に記載のジェッティングドラム24Aは搬送ドラムの一例である。
【0240】
〔変形例〕
図18は変形例に係る読取装置の全体構成図である。インクジェット印刷装置10Bに具備される読取装置500Aは、第一ミラー550、第二ミラー552及び第三ミラー554を備える。第一ミラー550の向きを変えるミラー移動機構を用いて移動可能に支持される。ミラー移動機構はモータ556が連結される。なお、ミラー移動機構の図示を省略する。
【0241】
第一ミラー550、第二ミラー552及び第三ミラー554は、平面ミラーが適用される。図18には、第一ミラー550及び第二ミラー552を用いてジェッティングドラム24Aに支持されるシート12の印刷画像が読み取られる状態を図示する。
【0242】
ジェッティングドラム24Aからの反射光は、第二ミラー552及び第一ミラー550を介してスキャナ502へ導光される。図18に図示する点線は、スキャナ502へ導光されるシート12からの反射光を示す。
【0243】
図19は背景ローラを用いる読み取りの模式図である。背景ローラ504を用いるシート12の印刷画像の読み取りでは、第一ミラー550を回転移動させて第一ミラー550の反射面を第三ミラー554へ向ける。背景ローラ504からの反射光は、第三ミラー554及び第一ミラー550を介してスキャナ502へ導光される。図19に図示する点線は、スキャナ502へ導光される背景ローラ504からの反射光を示す。なお、第一ミラー550を移動させるミラー移動機構はミラー移動装置の一例である。
【0244】
〔ジェッティングドラムの変形例〕
印刷ジョブ中の吐出曲がり等の吐出異常を検出する際に、吐出異常検出用チャートの読み取りの背景に適用されるジェッティングドラム24Aの外周面の色を中間色とする。すなわち、ジェッティングドラム24Aの外周面は、各インク色のいずれに対しても分光反射率を異ならせる。中間色の一例として、グレーが挙げられる。中間色の他の例として、グレーとの色差が最も小さいインク色であり、白色以外のインク色の補色をグレーに混ぜた色が挙げられる。グレーとの色差が最も小さいインク色がイエローの場合、イエローの補色はブルーであり、グレーにブルーを混ぜた色が中間色となる。
【0245】
図20は中間色の説明図である。図20にはCIE1976のL*a*b*色空間を示す。なお、L*は明度の次元を表す。a*及びb*は補色の次元を表す。CIEはCommission Internationale de l'Eclairageの省略語である。同図に示すL*a*b*色空間には、ブラックインクに対応するブラック座標600、シアンインクに対応するシアン座標602、マゼンタインクに対応するマゼンタ座標604、イエロークインクに対応するイエロー座標606が含まれる。
【0246】
また、同図に示すL*a*b*色空間には、ホワイトインクに対応するホワイト座標608が含まれる。重心座標610は、ブラック座標600、シアン座標602、マゼンタ座標604、イエロー座標606及びホワイト座標608の平均値の座標である。
【0247】
中間色に対応する中間色座標612は、L*a*b*色空間において、0<L値<100、-60<a値<60及び-60<b値<60の空間に存在する。中間色座標612は、各インク色の座標のそれぞれとの距離のうち、中間色に最も近いインク色の座標との距離が最大となる。
【0248】
L*a*b*色空間における中間色(L*,a*,b*)を(x,y,z)とし、任意のインク色を(xcn,ycn,zcn)とする。nは1からインク色数までの整数である。図1に示すインクジェット印刷装置10の最大色数は5である。中間色と各インク色との距離Dは、D={(xcn-x+(ycn-y+(zcn-z1/2と表される。各インク色について、距離Dを求め、距離Dが最小となるインク色が、中間色に最も近いインク色である。
【0249】
例えば、複数の中間色の候補について距離Dの最小値を比較して、距離Dの最小値が最大となる中間色の候補を中間色と規定し得る。図20に示す中間色座標612は、中間色がグレーの場合を示す。
【0250】
中間色は、図20に示す重心座標610に対応する色を適用してもよい。すなわち、中間色はL*a*b*色空間において、各インク色との距離ができる限り離れている色を適用し得る。
【0251】
中間色は、スキャナ502から得られる読取データの画素値を用いて表される。中間色の読取データの画素値を(R,G,B)と表す。最大濃度の各インク色の読取データの画素値を(R,G,B)と表す。なお、添え字cは任意のインク色を表す。
【0252】
各インク色について、{(R-R)+(G-G)+(B-B)1/2の値を算出し、上記計算式の値が最も小さくなるインク色の値が最大となる色を中間色に適用し得る。
【0253】
換言すると、スキャナ502から得られる読取データの画素値について、最大濃度の各色インクの読取データの画素値(R,G,B)と、中間色の読取データの画素値(R,G,B)との差が最も小さいインク色との差が最大となる色を中間色に適用し得る。これにより、中間色と最も近いインク色に対して、中間色をできる限り異ならせて、各インク色と中間色との区別を可能とする。
【0254】
外周面に中間色が適用されるジェッティングドラム24Aを中間色ドラムと称する。中間色ドラムを背景として、スキャナ502を用いてシート12に印刷される吐出異常検出用チャートを読み取る場合、ブラック、マゼンタ及びシアンなど、中間色よりも分光反射率が低い色のインクは、中間色ドラムの外周面よりも暗く読み取られる。一方、イエロー及びホワイトなど、中間色よりも分光反射率が高い色のインクは、中間色ドラムの外周面よりも明るく読み取られる。
【0255】
すなわち、中間ドラムを背景としてシート12の印刷画像の読み取りを実施する場合、各色を分離する読み取りが可能である。印刷ジョブ中の吐出異常検出では、吐出異常検出用チャートの読取データに基づき、色ごとに吐出曲がり及び不吐出等の吐出異常を検出し得る。
【0256】
中間色が適用されるジェッティングドラム24Aの外周面を背景として、濃度ムラ補正用チャートを読み取る場合、濃度ムラ補正用チャートは、ジェッティングドラム24Aの外周面の濃度と近い部分が存在し得る。
【0257】
ジェッティングドラム24Aの外周面と濃度が近いチャートは、不吐出等に起因するインク抜け等の濃度ムラを高精度に読み取ることが困難である。そこで、ジェッティングドラム24Aの外周面と濃度が近いチャートの読取データに基づく濃度ムラ補正は、空間周波数が低周波数の領域の濃度ムラのみを補正する。一方、空間周波数が高周波数の領域の濃度ムラ補正は、ジェッティングドラム24Aの外周面よりも濃度が薄いチャート及び濃いチャートの読取データに基づく濃度ムラ補正の結果を内挿する。
【0258】
図21は濃度ムラ補正用チャートの読取データの模式図である。同図に示す読取データ700の第一領域702は、ジェッティングドラム24Aの外周面よりも濃度が薄いチャートの読取データである。
【0259】
また、第二領域704は、ジェッティングドラム24Aの外周面と濃度が近いチャートの読取データである。第三領域706は、ジェッティングドラム24Aの外周面よりも濃度が濃いチャートの読取データである。第四領域708はジェッティングドラム24Aの外周面の読取データである。
【0260】
第二領域704に基づく濃度ムラ補正は、空間周波数が低周波数の濃度ムラのみを補正する。また、空間周波数が低周波数以外の濃度ムラの補正は、第一領域702及び第三領域706に基づく濃度ムラ補正の結果を内挿する。
【0261】
ここで、高周波数及び低周波数は、印刷解像度及び読取解像度に応じて規定される。高周波数及び低周波数は、印刷画像の種類及びインクの種類等を考慮して規定し得る。
【0262】
印刷ジョブの実施前における濃度ムラ補正では、図16に示す背景ローラ504を背景として、濃度ムラ補正用チャートの読み取りを実施してもよい。図16に示す背景ローラ504は、図5から図7に示す背景ローラ204と同様の構成を適用し得る。
【0263】
例えば、ブラックインク以外の濃度ムラ補正用チャートの読み取りは、外周面が黒色の第二背景ローラ208を適用し、ブラックインクの濃度ムラ補正用チャートの読み取りは、外周面が白色の第一背景ローラ206を適用し得る。
【0264】
更に、印刷ジョブ実施中の吐出異常検出では、中間色が適用されるジェッティングドラム24Aを背景に適用して、吐出異常検出用チャートの読み取りを実施する。
【0265】
〔背景ローラの変形例〕
図22は変形例に係る背景ローラ群の説明図である同図に示す背景ローラ群504Aは、白色背景ローラ504B、黒色背景ローラ504C及び中間色背景ローラ504Dを備える。白色背景ローラ504B、黒色背景ローラ504C及び中間色背景ローラ504Dは、回転支持部材520Aを用いて支持される。
【0266】
回転支持部材520Aの回転軸はモータ522Aが連結される。白色背景ローラ504Bは白色背景ローラ504Bを回転させるモータが連結される。黒色背景ローラ504C及び中間色背景ローラ504Dについても同様である。なお、白色背景ローラ504B等を回転させるモータの図示を省略する。
【0267】
背景ローラ群504Aは、図16等に示すジェッティングドラム24Aとシート12との間に挿入される。背景ローラ群504Aは、シート12の印刷画像を読み取る際に、白色背景ローラ504B、黒色背景ローラ504C又は中間色背景ローラ504Dのいずれを接触させるかを選択可能に構成される。
【0268】
例えば、濃度ムラ補正の際は、白色背景ローラ504Bを背景としてブラックインクの読み取りを行い、黒色背景ローラ504Cを背景としてブラックインク以外の色インクの読み取りを行う。
【0269】
また、印刷ジョブ実施中の吐出異常検出の際は、中間色背景ローラ504Dを背景として、吐出異常検出用チャートの読み取りを実施する。印刷ジョブ実施中の吐出異常検出の際に、白色背景ローラ504Bを背景としてブラックインクの読み取りを行い、黒色背景ローラ504Cを背景としてブラックインク以外の色インクの読み取りを行ってもよい。
【0270】
なお、実施形態に記載の白色背景ローラ504Bは、第一ローラの一例である。実施形態に記載の黒色背景ローラ504Cは、第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さい第二ローラの一例である。
【0271】
実施形態に記載の中間色背景ローラ504Dは、第一ローラよりも外周面の分光反射率が小さく、かつ、第二ローラよりも外周面の分光反射率が大きい第三ローラの一例である。実施形態に記載の回転支持部材520Aはローラ切替装置の一例である。
【0272】
[第五実施形態の作用効果]
第五実施形態に係る読取装置によれば、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0273】
〔1〕
ジェッティングドラム24Aを備えるインクジェット印刷装置に適用される読取装置500は、ジェッティングドラム24Aの外周面からシート12の一部を剥離させる剥離ローラ505を備える。読み取りの背景となる背景ローラ504をシート12へ接触させて、シート12の印刷画像の読み取りを実施する。これにより、シート12がジェッティングドラム24Aの外周面に支持される状態と、背景ローラ504をシート12へ接触させる状態との選択的なシート12の印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0274】
〔2〕
ドラム読取位置と背景ローラ読取位置との間についてスキャナ502を移動させる移動機構520を備える。これにより、一つのスキャナ502を用いて、ドラム読取位置又は背景ローラ読取位置のいずれかにおいて、選択的なシート12の印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0275】
〔3〕
読取装置500は、ジェッティングドラム24Aの外周面に支持されるシート12の反射光をスキャナ502へ導光するか、背景ローラ504を接触させるシート12の反射光をスキャナ502へ導光するかを切り替える第一ミラー550を備える。これにより、スキャナ502を移動させずに、ドラム読取位置又は背景ローラ読取位置のいずれかにおいて、選択的なシート12の印刷画像の読み取りを実施し得る。
【0276】
〔4〕
ジェッティングドラム24Aの外周面に中間色を適用する。これにより、印刷ジョブ中において、インクジェット印刷装置に適用される全ての色のインクの読み取りを実施し得る。
【0277】
〔5〕
背景ローラ504の外周面に中間色を適用する。これにより、インクジェット印刷装置に適用される全ての色のインクについて、背景ローラ504を背景とする読み取りを実施し得る。
【0278】
[背景ローラの色]
図1に示す第一背景ローラ44A等の背景ローラの外周面に適用される色は、背景ローラの外周面の分光反射率を用いて表される。例えば、450ナノメートル、550ナノメートル及び650ナノメートルの少なくともいずれかの波長における分光反射率が50パーセント以上100パーセント以下の場合に白色と規定し得る。同様に、上記の波長における分光反射率が0パーセント以上50パーセント未満の場合に黒色と規定し得る。
【0279】
背景ローラの外周面に中間色が適用される場合、上記の波長における分光反射率が70パーセント以上100パーセント以下の場合に白色と規定し得る。上記の波長における分光反射率が30パーセント以上70パーセント未満の場合に中間色と規定し得る。上記の波長における照明光の分光反射率が0パーセント以上30パーセント未満の場合に黒色と規定し得る。
【0280】
ここで、450ナノメートルは、イエローインクの吸収波長帯域の中心波長である。550ナノメートルは、マゼンタインクの吸収波長帯域の中心波長である。650ナノメートルは、シアンインクの吸収波長帯域の中心波長である。
【0281】
分光反射率は、ISO7724に準拠した色差計又はカラーメータの計測結果として得られる相対反射率を適用し得る。色差計の例として、コニカミノルタ社製、CM-600d(商品名)が挙げられる、なお、ISOはInternational Organization for Standardizationの省略語である。
【0282】
[読取装置への適用例]
図1等には、インクジェット印刷装置10に具備される読取装置40を例示したが、インクジェット印刷装置10の外部装置など、インクジェット印刷装置10とは別の装置として、読取装置を構成し得る。
【0283】
例えば、図1に示す読取装置40の構成要素と、図2に示すシステム制御部108、読取制御部124及び洗浄制御部129等の各種の制御部を組み合わせて、インクジェット印刷装置10を用いて印刷がされるシート12の読取装置を構成し得る。
【0284】
[読取方法への適用例]
図1等に示す読取装置40に適用される読取方法の手順は、以下のとおりである。読取命令取得工程において、図2に示すシステム制御部108は、インクジェット印刷装置10を用いて印刷がされるシート12の読取命令を取得する。
【0285】
読取位置配置移動工程では、読取命令の取得に応じて、図1に示す第一背景ローラ44A等の背景ローラを読取位置へ移動させる。背景ローラ回転工程では、シート12の搬送速度に応じた回転速度を適用して、背景ローラを回転させる。
【0286】
読取実施工程では、読取対象の印刷画像が第一スキャナ42A等のスキャナの読取領域を通過する期間において、スキャナはシート12へ印刷される印刷画像の読み取りを実施する。
【0287】
退避位置移動工程では、シート12へ印刷される印刷画像の読み取りが終了された後に、背景ローラを読取位置から退避位置へ移動させる。洗浄工程では、図1に示す洗浄装置60を用いて、退避位置に配置される背景ローラの外周面の洗浄を実施する。
【0288】
終了判定工程では、シート12へ印刷される印刷画像の読み取りが終了されるか否かを判定する。終了判定工程において、規定の終了条件を満たしていない場合は読取命令取得工程へ進み、終了判定工程において終了判定となるまで、読取命令取得工程から終了判定工程までの各工程を繰り返し実施する。
【0289】
終了判定工程において、規定の終了条件を満たすと判定される場合は、読取方法の手順は終了される。なお、複数の種類の背景ローラを備える態様では、シート12へ印刷される印刷画像の読み取りが実施される際に、使用される背景ローラを選択する背景ローラ選択工程が実施される。
【0290】
[プログラムへの適用例]
本明細書に記載したインクジェット印刷装置及び読取方法に対応するプログラムを構成し得る。すなわち、図2に示す各部の機能及び上記した各工程をコンピュータに実現させるプログラムを構成し得る。
【0291】
[用語について]
印刷装置という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置及び描画装置等の用語と同義である。画像は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像及び均一濃度画像等も含まれる。
【0292】
印刷という用語は、画像の記録、画像の形成、印字、描画及びプリント等の用語の概念を含む。装置という用語は、システムの概念を含み得る。
【0293】
画像は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様及びその他の各種パターン等、並びにこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
【0294】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0295】
10 インクジェット印刷装置
10A インクジェット印刷装置
10B インクジェット印刷装置
12 シート
20 シート搬送装置
22 供給ロール
22A 供給ロールの巻き芯
23 テンションローラ
24 搬送ローラ
24A ジェッティングドラム
25 支持ローラ
26 巻取ロール
26A 巻取ロールの巻き芯
30 ジェッティング装置
32 インクジェットヘッド
32K インクジェットヘッド
32C インクジェットヘッド
32M インクジェットヘッド
32Y インクジェットヘッド
32W インクジェットヘッド
40 読取装置
40A 第一読取装置
40B 第二読取装置
42A 第一スキャナ
42B 第二スキャナ
44A 第一背景ローラ
44B 第二背景ローラ
45A 回転軸
50 インク乾燥装置
52 乾燥ドラム
60 洗浄装置
60A 第一洗浄装置
60B 第二洗浄装置
70 CCDラインセンサ
72 照明装置
74 移動機構
76 モータ
78 モータ
100 プロセッサ
102 メモリ
104 通信インターフェース
106 ホストコンピュータ
108 システム制御部
110 プログラムメモリ
112 パラメータメモリ
114 データメモリ
120 搬送制御部
122 印刷制御部
124 読取制御部
126 読取データ処理部
128 乾燥制御部
129 洗浄制御部
130 入力装置
132 ディスプレイ
200 読取装置
202 スキャナ
204 背景ローラ
206 第一背景ローラ
208 第二背景ローラ
210 回転支持アーム
210A 回転軸
212 モータ
220A 第一洗浄装置
220B 第二洗浄装置
300 読取装置
302 スキャナ
304 背景ローラ
304A 背景ローラ
305 凹凸形状
312 モータ
320 外周面
322 平均範囲
330 グラフ
340 グラフ
350 グラフ
360 ガラスコート層
402A スキャナ
402B スキャナ
404 背景ローラ
404A 背景ローラ
420 外周面
430 コーナーキューブ
460 ガラスコート層
470A CCDラインセンサ
470B CCDラインセンサ
471A 光源
472A 照明装置
472B 照明装置
474A 集光レンズ
476A ハーフミラー
478A 読取レンズ
478B 読取レンズ
500 読取装置
500A 読取装置
502 スキャナ
504 背景ローラ
504A 背景ローラ群
504B 白色背景ローラ
504C 黒色背景ローラ
504D 中間色背景ローラ
505 剥離ローラ
510 スキャナ移動機構
512 モータ
520 移動機構
520A 回転支持部材
522 モータ
522A モータ
530 剥離ローラ移動機構
550 第一ミラー
552 第二ミラー
554 第三ミラー
556 モータ
600 ブラック座標
602 シアン座標
604 マゼンタ座標
606 イエロー座標
608 ホワイト座標
610 重心座標
612 中間色座標
700 読取データ
702 第一領域
704 第二領域
706 第三領域
708 第四領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22