(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142780
(43)【公開日】2022-09-30
(54)【発明の名称】光反応性ポリマー、モノマー、光学フィルム
(51)【国際特許分類】
C08G 63/672 20060101AFI20220922BHJP
C07C 235/56 20060101ALI20220922BHJP
C07C 231/02 20060101ALI20220922BHJP
C07C 235/58 20060101ALI20220922BHJP
C07C 233/75 20060101ALI20220922BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20220922BHJP
C07C 231/08 20060101ALI20220922BHJP
C07D 213/75 20060101ALI20220922BHJP
G02B 5/30 20060101ALN20220922BHJP
【FI】
C08G63/672
C07C235/56
C07C231/02
C07C235/58
C07C233/75
C07C231/12
C07C231/08
C07D213/75
G02B5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040694
(22)【出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021042067
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100162042
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 けんじろう
(74)【代理人】
【識別番号】100170139
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】一條 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】坂下 竜一
(72)【発明者】
【氏名】村上 範武
(72)【発明者】
【氏名】七田 優輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】立元 智子
(72)【発明者】
【氏名】下平 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】小俣 大智
【テーマコード(参考)】
2H149
4C055
4H006
4J029
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB05
2H149AB26
2H149DA02
2H149DA12
2H149DB09
2H149FA12Z
2H149FD05
4C055AA01
4C055BA02
4C055BA53
4C055BB08
4C055CA02
4C055CA42
4C055DA01
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB46
4H006AC42
4H006AC53
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM72
4H006BM73
4H006BN30
4H006BV74
4J029AA03
4J029AB01
4J029AE04
4J029BF09
4J029CB06A
4J029CD03
4J029DA10
4J029HA01
4J029HB01
4J029KE11
4J029KH04
4J029KH05
4J029KH06
4J029LA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配向膜を必要とせず、偏光紫外線照射あるいは斜め入射紫外線照射、および加熱焼成処理により、優れた屈折率異方性を示す光学フィルム用の光反応性ポリマー、光反応性ポリマー用のモノマーおよび光反応性ポリマーよりなる光学フィルムを提供する。
【解決手段】光照射により、光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こす光反応性ポリマーであって、前記光反応性構造が下記式(1)で示される光反応性ポリマー。
[式中、環A、環B及び環Cは、独立して、C、N、O、及びSからなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環を表し、Xは、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基等を表し、Yは、H、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシルオキシ基等を表し、S
1及びS
2は、独立して、スペーサー基又は単結合を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射により、光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こす光反応性ポリマーであって、前記光反応性構造が下記式(1)で示される、光反応性ポリマー。
【化1】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R
1及びR
2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
S
1及びS
2は、それぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。前記スペーサー基は、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-O-、-C(=O)-、-NH-又は炭素数3から20のアルキレン基からなる群より選ばれる基を表し、前記アルキレン基中の隣接していない2個以上の-CH
2-は各々独立して-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(C=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられていてもよい。nは0又は1を表す。]
【請求項2】
前記式(1)において、環A、環B及び環Cが、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい多環式芳香環、又は置換基を有していてもよい縮環式芳香環であり、R1及びR2が、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基からなる群より選ばれる基である、請求項1に記載の光反応性ポリマー。
【請求項3】
前記式(1)で示される光反応性構造と、下記式(2)で表される構造を有する請求項1または2に記載の光反応性ポリマー。
【化2】
[式中、環Dは、脂環式炭化水素環、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの脂環式炭化水素環、芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
S
3及びS
4は、それぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。前記スペーサー基は、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-O-、-C(=O)-、-NH-又は炭素数3から20のアルキレン基からなる群より選ばれる基を表し、前記アルキレン基中の隣接していない2個以上の-CH
2-は各々独立して-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(C=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられていてもよい。]
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の光反応性ポリマーに偏光紫外線及び斜め入射紫外線照射のいずれか1種の紫外線照射処理を行う、光反応性ポリマーの製造方法。
【請求項5】
下記式(1’)で表される構成単位含むポリマー。
【化3】
[式中、R
1、R
2、A、B、C、Y、n、S
1及びS
2は、それぞれ前記式(1)のR
1、R
2、A、B、C、Y、n、S
1及びS
2と同義である。]
【請求項6】
下記式(3)で表されるモノマーを共重合させる請求項1乃至3いずれか一項に記載の光反応性ポリマーの製造方法。
【化4】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R
1及びR
2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
F
1及びF
2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、又はイソシアナト基からなる群より選ばれる基を表す。nは0又は1を表す。]
【請求項7】
前記式(3)において、環A、環B及び環Cが、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい多環式芳香環、又は置換基を有していてもよい縮環式芳香環であり、R1及びR2が、同一又は相異なっていてもよく、水素原子又は置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基からなる群より選ばれる基である請求項6に記載の光反応性ポリマーの製造方法。
【請求項8】
前記式(3)で表されるモノマーが、下記式(3-1-1)から(3-1-9)及び(3-2-1)のいずれかで表されるモノマーである、請求項6または7に記載の光反応性ポリマーの製造方法。
【化5】
[式中、R
1及びR
2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
X
aは、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、又は置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Y
aは、水素原子又はハロゲン原子を表す。
F
1a及びF
2aは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。]
【請求項9】
前記式(3)で表されるモノマーが、下記式(3-1-1-1)から(3-2-1-3)のいずれかで表されるモノマーである、請求項6乃至8いずれか一項に記載の光反応性ポリマーの製造方法。
【化6】
[式中、R
1及びR
2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。]
【請求項10】
前記式(3)で表されるモノマーと、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロリド、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、多価ヒドロキシ化合物及びイソシアネート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の共重合用モノマーを共重合させてなる、請求項6乃至9いずれか一項に記載の光反応性ポリマーの製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至3、5いずれか一項に記載の光反応性ポリマーよりなる光学フィルム。
【請求項12】
光照射及び加熱焼成処理により、589nmの光源を用いて測定される下記数式(A)で表される位相差(Re)が、1nm以上である請求項11に記載の光学フィルム。
Re=(ny-nx)×d (A)
[数式(A)中、nxはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。]
【請求項13】
前記光照射処理を、偏光紫外線及び斜め入射紫外線照射のいずれか1種の紫外線を照射して行う請求項12に記載の光学フィルム。
【請求項14】
請求項11乃至13いずれか一項に記載の光学フィルムを備えた液晶配向膜。
【請求項15】
請求項1乃至3、5いずれか一項に記載の光反応性ポリマーを含んでなる樹脂組成物。
【請求項16】
下記式(3)で表されるモノマー。
【化7】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R
1及びR
2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
F
1及びF
2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアナト基からなる群より選ばれる基を表す。nは0又は1を表す。]
【請求項17】
前記式(3)において、環A、環B及び環Cが、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい多環式芳香環、又は置換基を有していてもよい縮環式芳香環であり、R1及びR2が、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基からなる群より選ばれる基である、請求項16に記載のモノマー。
【請求項18】
下記式(3’)で表される化合物のF
3及びF
4を、それぞれF
1及びF
2に変換する工程を有する請求項16または17に記載のモノマーの製造方法。
【化8】
[式中、R
1、R
2、A、B、C、X、Y、n、F
1及びF
2は、それぞれ前記式(3)のR
1、R
2、A、B、C、X、Y、n、F
1及びF
2と同義である。F
3及びF
4は、それぞれ独立して、メトキシ基、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアナト基、ニトロ基からなる群より選ばれる基を表し、少なくとも一方はメトキシ基、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、ニトロ基からなる群より選ばれる基である。]
【請求項19】
式(3)で表されるモノマーが下記式(3-1)で表されるモノマーであり、かつ、式(3’)で表される化合物が下記式(3-1’)で表される化合物である請求項18に記載のモノマーの製造方法。
【化9】
[式中、R
1、A、B、X、Y、F
1及びF
2は、それぞれ前記式(3)のR
1、A、B、X、Y、F
1及びF
2と同義である。F
3及びF
4は、それぞれ前記式(3’)のF
3及びF
4と同義である。]
【請求項20】
下記式(4)で示されるカルボン酸誘導体と、下記式(5)で表されるアミン化合物との反応によって前記式(3-1’)で表される化合物を製造する工程を有する、請求項19に記載のモノマーの製造方法。
【化10】
[式中、R
1、A、B、X、及びYは、それぞれ前記式(3)のR
1、A、B、X、及びYと同義である。F
3及びF
4は、それぞれ前記式(3’)のF
3及びF
4と同義である。Qは脱離基を表す。]
【請求項21】
下記式(3-1’’)で示されるアミド化合物の環Bと隣接するアミド基の窒素原子上の水素原子をR
1に置換し前記式(3-1’)で表される化合物を製造する工程を有する請求項19に記載のモノマーの製造方法。
【化11】
[式中、R
1、A、B、X、及びYは、それぞれ前記式(3)のR
1、A、B、X、及びYと同義である。F
3及びF
4は、それぞれ前記式(3’)のF
3及びF
4と同義である。R
1は、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基を表す。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリマー及びその原料モノマー、さらにはそれを用いた光学フィルムに関するものであり、さらに詳細には、紫外光照射及び熱処理によって薄膜においても高い位相差を発現する光学フィルム、例えば液晶表示素子用及び有機EL用の位相差フィルムに適した新規な重合体及びそれを用いた光学フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
位相差膜などの光学薄膜は、視野角拡大などの観点から、様々な画像表示装置で用いられる。既存の位相差膜として、樹脂を延伸してなる薄膜が知られており、材料の例としてポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン、セルロースアシレート等がある(例えば、特許文献1から3参照)。しかしながら、延伸膜にはクラックが入り易い、残留応力歪による光漏れが生じやすい等の課題がある。近年、延伸複屈折膜に代えて、液晶性化合物を用いた光学異方性層を使用することが提案されている。このような光学異方性層は、液晶性化合物を配向させるために、光学異方性層を形成する支持体上に配向膜を設けることが必要であり、ラビング処理や光配向処理を施した配向膜が知られている(例えば、特許文献4から6参照)。しかし、どちらも複雑な製造装置と工程が必要となり、製品歩留まりに於いても課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-111964号公報
【特許文献2】特開2006-281628号公報
【特許文献3】特開2012-230282号公報
【特許文献4】特開平8-160430号公報
【特許文献5】特表2003-505561号公報
【特許文献6】国際公開第2010-150748号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配向膜を必要とせず、偏光紫外線照射あるいは斜め入射紫外線照射、および加熱焼成処理により、優れた屈折率異方性を示す光学フィルム用の光反応性ポリマー、光反応性ポリマー用のモノマーおよび光反応性ポリマーよりなる光学フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構造を有する光反応性ポリマーが、上記課題を解決し、視野角補償や液晶配向膜などの光学フィルムに使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の一つの態様は、光照射により、光反応性構造を含む構成単位が化学反応を起こす光反応性ポリマーであって、前記光反応性構造が下記式(1)で示される、光反応性ポリマーである。
【0007】
【0008】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
S1及びS2は、それぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。前記スペーサー基は、-CH2-、-CH2CH2-、-O-、-C(=O)-、-NH-又は炭素数3から20のアルキレン基からなる群より選ばれる基を表し、前記アルキレン基中の隣接していない2個以上の-CH2-は各々独立して-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(C=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられていてもよい。nは0又は1を表す。]
また、本発明の別の態様は、下記式(3)で表されるモノマーに関するものである。該モノマーは、本発明の光反応性ポリマーの原料となる
【0009】
【0010】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
F1及びF2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、又はイソシアナト基からなる群より選ばれる基を表す。nは0又は1を表す。]
また、本発明の別の態様は、前記光反応性ポリマーよりなる光学フィルムに関するものである。
【発明の効果】
【0011】
配向膜を必要とせず、偏光紫外線照射あるいは斜め入射紫外線照射、および加熱焼成処理により、優れた屈折率異方性を示す光学フィルム用の光反応性ポリマー、光反応性ポリマー用のモノマーおよび光反応性ポリマーよりなる光学フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「から」を用いて表される数値範囲は「から」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0013】
本明細書において、ポリマー構造中の角括弧で囲まれた範囲の構造は、ポリマー構造中の繰り返し単位を表す。
【0014】
本明細書において、例示される二価の基や化学構造(例えば、エステル結合やポリマー構造中の繰り返し単位)の結合方向は、化学的に許容される範囲で、特に制限されない。
【0015】
以下に、本発明の一態様である光反応性ポリマーを詳細に説明する。
【0016】
本発明の一つの態様は、前記式(1)で表される光反応性構造を含む構成単位を有する光反応性ポリマー(以下、「本発明のポリマー」という)である。
【0017】
式(1)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。置換基として、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0018】
式(1)中、環A、環B及び環Cの少なくともいずれかが、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ビフェニル環、テルフェニル環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環からなる群より選ばれる環が好ましく、合成が容易な点でベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、ピリジン環であることが好ましく、ベンゼン環、ビフェニル環からなる群より選ばれる環であることが更に好ましい。
【0019】
式(1)中、R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香基からなる群より選ばれる基を表す。
【0020】
R1及びR2で表される置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0021】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、トリフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基等を例示することができる。
【0022】
R1及びR2で表される置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等を例示することができる。
【0023】
R1及びR2で表される置換されていてもよい芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環等を例示することができる。
【0024】
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
【0025】
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
【0026】
置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシメチルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、2,2-ジフルオロエチルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基等を例示することができる。
【0027】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0028】
置換されていてもよいアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基を例示することができる。
【0029】
置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基としては、フッ素で置換されていても良い炭素数1から12のアルキルスルホニルオキシ基を例示することが出来、更に具体的にはメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等を例示することができる。
【0030】
置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンスルホニルオキシ基、オルトニトロベンゼンスルホニル基を例示することができる。
【0031】
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基を例示することができる。
【0032】
光反応性に優れるため、Xは塩素原子又は臭素原子のいずれかであることが好ましい。
【0033】
S1及びS2は、それぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。前記スペーサー基は、-CH2-、-CH2CH2-、-O-、-C(=O)-、-NH-又は炭素数3から20のアルキレン基からなる群より選ばれる基を表し、前記アルキレン基中の隣接していない2個以上の-CH2-は各々独立して-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(C=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられていてもよい。
【0034】
nは0又は1を表す。
【0035】
本発明のポリマーにおいて、式(1)中、環A、環B及び環Cが、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい多環式芳香環、又は置換基を有していてもよい縮環式芳香環からなる群より選ばれる環であることが好ましく、R1及びR2が、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。これにより、液晶性を有する光反応性ポリマーとなる。
【0036】
本発明のポリマーが有する一般式(1)で示される光反応性構造としては、以下の式(1-1)から(1-18)で示される構造を例示することができる。
【0037】
【0038】
[式(1-1)から(1-18)中、エーテル結合は単結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合、エステル結合等、に置き換わってもよい。]
本発明のポリマーは、さらに下記化学式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0039】
【0040】
[式中、環Dは、脂環式炭化水素環、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの脂環式炭化水素環、芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
S3及びS4は、それぞれ独立して、スペーサー基又は単結合を表す。前記スペーサー基は、-CH2-、-CH2CH2-、-O-、-C(=O)-、-NH-又は炭素数3から20のアルキレン基からなる群より選ばれる基を表し、前記アルキレン基中の隣接していない2個以上の-CH2-は各々独立して-O-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-O(C=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-(C=O)-、-CH=CH-、-C≡C-に置き換えられていてもよい。]
式(2)において、環Dは、脂環式炭化水素環、炭素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの脂環式炭化水素環、芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
【0041】
環Dにおける、脂環式炭化水素環の具体的な例としては、シクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環が挙げられる。
【0042】
環Dにおける、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環の具体的な例としては、ベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、ピロール、イミダゾール、チオフェン、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、トリアゾールが挙げられる。
【0043】
環Dにおける炭素原子、置換基を有していてもよい多環式芳香環としては、例えばビフェニル、テルフェニル、ビピリジン、ビチオフェン、ビフランが挙げられる。
【0044】
環Dにおける炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい縮環式芳香環としては、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0045】
環Dとしては、入手が容易という点で、脂環式炭化水素環、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環が好ましく、導入が容易であるという点で特にベンゼン環、ビフェニル環、シクロヘキサン環、ビシクロヘキサン環であることが好ましい。
【0046】
前記式(2)の具体例としては、下記式(2-1-1)から(2-4-3)で示される構造を例示することができる。
【0047】
【0048】
本発明のポリマーは、式(1)、式(2)で示される光反応性構造以外に他の化合物に由来する構造を有していてもよく、該他の化合物に由来する構造としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロリド、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、多価ヒドロキシ化合物又はイソシアネート化合物からなる群から選択される1種以上の化合物に由来する構造を有することが好ましく、特に、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロリドまたは多価ヒドロキシ化合物の少なくともいずれかに由来する構造を有することが好ましい。
【0049】
本発明の具体的なポリマーとしては、以下の式(P1-1-1-0)から(P1-18-1-4)で示される構造を例示することができる。式(P1-1-1-0)から(P1-18-1-4)の中でも、位相差特性が良好という点で、式(P1-1-1-0)から(P1-2-2-4)、(P1-11-1-0)から(P1-16-2-4)が好ましい。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
本発明の光反応性ポリマーは、偏光紫外線及び斜め入射紫外線照射のいずれか1種の紫外線照射(以下、光照射と表現することがある)処理を行い得られたポリマーとして用いることが好ましい。光照射処理により位相差を発現するため、光学部材として好適に用いることができる。
【0069】
光照射処理を行い得られたポリマーとして、下記式(1’)で示される構造を含むポリマーを挙げることができる。
【0070】
【0071】
[式中、R1、R2、A、B、C、Y、S1、S2及びn、それぞれ前記式(1)のR1、R2、A、B、C、Y、S1、S2及びnと同義である。]
前記式(1’)で表される構成単位が光照射により部分的に生成することで、前記式(1’)で表される構成単位を除く部分のポリマー鎖は、これを避けるように熱配向する。
【0072】
参考文献(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1973,647―648)において光縮環性を示す化合物が開示されている。本願の光反応性ポリマーは該参考文献で開示されている化合物とは異なる構造のモノマーを用いている。すなわち、該モノマーを共重合させて得られる前記式(1)で表される光反応単位を有するポリマーを見出したものであり、該ポリマーの状態でも紫外光に感光して前記式(1’)で表される縮環部分を与え、光縮環しなかった残りの部分のポリマー鎖が熱配向することを見出したものである。これにより複屈折の上昇の効果がもたらされる。
【0073】
前記式(1)で表される構成単位を有するポリマーは、発明の主旨を越えない範囲で、その他高分子、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラ-、顔料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等を含有した樹脂組成物であってもよい。
【0074】
以下に本発明のポリマーの製造方法及びポリマーの製造方法に用いるモノマーについて説明する。
【0075】
本発明のポリマーは、例えば下記式(3)で表されるモノマー(以下、「本発明のモノマー」ともいう。)を共重合させることで製造することができる。共重合する方法としては、特に限定されず、当該分野で公知の重合法、例えば、溶液重合法や溶融重合法、界面重合法等を例示することができる。
【0076】
【0077】
[式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。
R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は、置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
F1及びF2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、又はイソシアナト基からなる群より選ばれる基を表す。nは0又は1を表す。]
式(3)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立して、炭素原子、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、芳香環、多環式芳香環、又は縮環式芳香環からなる群より選ばれる環を表し、これらの芳香環、多環式芳香環及び縮環式芳香環は、置換基を有していてもよい。置換基として、炭素数1から5のアルキル基、炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子を挙げることができる。
【0078】
式(3)中、環A、環B及び環Cの少なくともいずれかが、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、クリセン環、トリフェニレン環、ピレン環、ビフェニル環、テルフェニル環、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環からなる群より選ばれる環が好ましく、合成が容易な点でベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、ピリジン環であることが好ましく、ベンゼン環、ビフェニル環からなる群より選ばれる環であることが更に好ましい。
【0079】
式(3)中、R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香基からなる群より選ばれる基を表す。
【0080】
R1及びR2で表される置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基は、直鎖状、分枝状のいずれであってもよく、炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0081】
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、トリフルオロメチル基、2,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基等を例示することができる。
【0082】
R1及びR2で表される置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等を例示することができる。
【0083】
R1及びR2で表される置換されていてもよい芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環等を例示することができる。
【0084】
Xは、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
【0085】
Yは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアシルオキシ基、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基又は置換されていてもよいアリールオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
【0086】
置換されていてもよい炭素数1から5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチルオキシ基、エトキシメチルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、2,2-ジフルオロエチルオキシ基、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ基、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルオキシ基等を例示することができる。
【0087】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
【0088】
置換されていてもよいアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基を例示することができる。
【0089】
置換されていてもよいアルキルスルホニルオキシ基としては、フッ素で置換されていても良い炭素数1から12のアルキルスルホニルオキシ基を例示することが出来、更に具体的にはメタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等を例示することができる。
【0090】
置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニル基、パラトルエンスルホニルオキシ基、オルトニトロベンゼンスルホニル基を例示することができる。
【0091】
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基を例示することができる。
【0092】
光反応性に優れるため、Xは塩素原子又は臭素原子のいずれかであることが好ましい。
【0093】
式(3)中、F1及びF2は、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、又はイソシアナト基からなる群より選ばれる基を表す。F1及びF2は、好ましくはヒドロキシ基である。
【0094】
nは0又は1を表す。
【0095】
式(3)において、環A、環B及び環Cが、炭素原子及び窒素原子からなる群より選ばれる原子を環構成原子とする、置換基を有していてもよい芳香環、置換基を有していてもよい多環式芳香環、又は置換基を有していてもよい縮環式芳香環からなる群より選ばれる環であることが好ましく、R1、R2が、水素原子、又は置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。これにより、液晶性を有する光反応性ポリマーとなる。
【0096】
前記式(3)で表されるモノマーは、下記式(3-1)で表される化合物であることが好ましい。
【0097】
【0098】
[式中、R1、A、B、X、Y、F1及びF2は、それぞれ前記式(3)のR1、A、B、X、Y、F1及びF2と同義である。]
前記式(3)で表されるモノマーとしては、下記式(3-1-1)から(3-1-9)及び(3-2-1)のいずれかで表されるモノマーが好ましい。
【0099】
【0100】
[式中、R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。
Xaは、ハロゲン原子、置換されていてもよい炭素数1から5のアルキルスルホニルオキシ基、又は置換されていてもよい炭素数6から11のアリールスルホニルオキシ基からなる群より選ばれる基を表す。
Yaは、水素原子又はハロゲン原子を表す。
F1a及びF2aは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。]
前記式(3)で表されるモノマーとしては、下記式(3-1-1-1)から(3-2-1-3)のいずれかで表されるモノマーが更に好ましい。
【0101】
【0102】
[式中、R1及びR2は、同一又は相異なっていてもよく、水素原子、置換されていてもよい炭素数1から20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3から8のシクロアルキル基、又は置換されていてもよい芳香族基からなる群より選ばれる基を表す。]
前記式(3)で表されるモノマーの具体例としては、下記式(3-1-1-1-1)から(3-2-1-3-2)で示す構造が例示できる。式(3-1-1-1-1)から(3-2-1-3-2)の中でも、位相差特性が良好である点で、式(3-1-1-1-1)から(3-1-1-1-4)、(3-1-7-1-1)から(3-1-9-3-1)が好ましい。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
本発明のポリマーは、前記式(3)で表されるモノマーと、対応するジカルボン酸、ジカルボン酸クロリド、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、多価ヒドロキシ化合物又はイソシアネート化合物からなる群から任意に選択される1種以上の共重合用モノマーを共重合することによって合成されることが好ましく、特に好ましくは、ジカルボン酸クロリドまたは多価ヒドロキシ化合物の少なくともいずれかを共重合する。
【0109】
例えば溶液重合法で本発明のポリマーを製造する場合には、塩基性条件下、ジオール構造を有する本発明のモノマーと共重合用モノマーを水及び有機溶媒の二層系中で界面重合させることで簡便にポリマーを得ることができる。
【0110】
ジカルボン酸としては、公知のジカルボン酸から制限されることなく選択することができ、例えば、脂肪族多価カルボン酸(具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの炭素原子数が2~20の飽和多価カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カルボン酸)、脂環族多価カルボン酸(シクロブタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸など)、芳香族多価カルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-オキシビス(安息香酸)、2,5-フランジカルボン酸など)等が挙げられる。
【0111】
本発明に用いるジカルボン酸ジクロリドは、公知のジカルボン酸ジクロリドから制限されることなく選択することができる。
【0112】
ジカルボン酸ジクロリドとしては、例えば、シュウ酸ジクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリドなどの炭素原子数が2から20の飽和カルボン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、イタコン酸ジクロリドなどの不飽和多価カルボン酸ジクロリド、シクロブタンジカルボン酸ジクロリド、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドなどの脂肪族カルボン酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、オルトフタル酸ジクロリド、4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、4,4’-オキシビス(安息香酸クロリド)、2,5-フランジカルボン酸ジクロリドなどの芳香族多価カルボン酸等が挙げられる。
【0113】
本発明に用いる多価ヒドロキシ化合物は、公知の多価ヒドロキシ化合物から制限されることなく選択することができる。
【0114】
多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1、2-プロピレングリコール、1、4-ブタンジオール、2、2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1、5-ヘプタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ベンゼンジメタノール、バニリルアルコール、フランジメタノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール、6,6’-ジヒドロキシ-4,4,4’,4’,7,7’-ヘキサメチル-2,2’-スピロビクロマン、トリシクロデカンジメタノール、2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)、3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル-4,4’-ジオール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2-ブテン-1,4-ジオール、2,2-ジイソブチル-1,3-プロパンジオール、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビシクロヘキサノール、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、2,2-ジイソアミル-1,3-プロパンジオール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、ジヒドロキシナフタレン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,4-ベンゼンジメタノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ビフェニルジメタノール、1,3-ビス(ヘキサフルオロ-α-ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、3,6-ジヒドロキシベンゾノルボルナン、2-ベンジルオキシ-1,3-プロパンジオール、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,8-ビス(ヒドロキシメチル)アントラセン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2’-メチレンビス(4-メチルフェノール)、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ビス(ヒドロキシメチル)ジフェニルエーテル、7,7’-ジヒドロキシ-4,4,4’,4’-テトラメチル-2,2’-スピロビクロマン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、4,4’-エチリデンビスフェノール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、1,3-アダマンタンジオール、1-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)アダマンタン、2,7-ジヒドロキシ-9H-フルオレン-9-オン、種々の分子量のポリエチレングリコールなどの2価のヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,2,3-ブタントリオール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノールなどの3価のヒドロキシ化合物、ペンタエリスリトールなどの4価のヒドロキシ化合物が挙げられ、その他の多価ヒドロキシ化合物として種々の糖類が挙げられる。
【0115】
本発明に用いるジアミンは、公知のジアミンから制限されることなく選択することができる。
【0116】
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,4-フェニレンジアミン、2-メチル-1,3-プロパンジアミン、1,10-デカンジアミン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、1,8-オクタンジアミン、3-アミノベンジルアミン、4-アミノベンジルアミン、2,2’-ジチオジアニリン、4,4’-ジチオジアニリン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2,2’-チオビス(エチルアミン)、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,11-ウンデカンジアミン、2,2’-ジアミノ-N-メチルジエチルアミン、1,3-フェニレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、m-キシリレンジアミン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、イソホロンジアミン、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテル等が挙げられる。
【0117】
本発明に用いるテトラカルボン酸二無水物は、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。
【0118】
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水物、ジブロモピロメリット酸二無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オクタヒドロビフェニレン-4a,8b:4b,8a-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、3,4’-ビフタル酸無水物、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビフタル酸無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-カルボン酸)1,4-フェニレン、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,4’-オキシジフタル酸無水物、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-(エチン-1,2-ジイル)ジフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物、4,4’-ビフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジブロモナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0119】
本発明に用いるジイソシアネートは、公知のジイソシアネートから制限されることなく選択することができる。
【0120】
本発明に用いるイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物(単環式脂環族イソシアネート化合物、架橋環式脂環族イソシアネート化合物)、及びこれらのポリイソシアネート誘導体等が挙げられる。
【0121】
芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(2,4-若しくは2,6-トリレンジイソシアネ-ト、又はこれらの混合物)(TDI)、フェニレンジイソシアネート(m-若しくはp-フェニレンジイソシアネート、又はこれらの混合物)、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-、2,4’-若しくは2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、又はこれらの混合物)(MDI)、4,4’-トルイジンジイソシアネート(TODI)、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(1,3-若しくは1,4-キシリレンジイソシアネート、又はこれらの混合物)(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(1,3-若しくは1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、又はこれらの混合物)(TMXDI)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、ナフタレンジイソシアネート(1,5-、1,4-若しくは1,8-ナフタレンジイソシアネート、又はこれらの混合物)(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
【0122】
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネ-ト、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0123】
単環式脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネ-ト、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート(4,4’-、2,4’-若しくは2,2’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート、又はこれらの混合物)(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシネートメチル)シクロヘキサン(1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、又はこれらの混合物)(水添XDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート(水添TMXDI)等が挙げられる。
【0124】
架橋環式脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、ノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シイソシアナートメチルビシクロヘプタン、ジ(ジイソシアナートメチル)トリシクロデカン等が挙げられる。
【0125】
本発明のポリマーを製造する際に使用する溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、例えば、ジエチルエーテルやジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒、ベンゼンやトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)やN,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン系溶媒、酢酸、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水などを例示することができる。これらの溶媒は、単独又は2種以上を任意の比率で混合して使用してもよい。
【0126】
本発明のポリマーを水‐有機溶剤の二層系にて界面重合する場合には、反応を促進する目的で相間移動触媒を使用してもよい。相間移動触媒としては、例えばベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラアミルアンモニウムクロリド、テトラアミルアンモニウムブロミド、テトラヘプチルアンモニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミドなどのアンモニウム塩、テトラエチルホスホニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド、トリブチルヘキシルホスホニウムクロリド、トリブチルヘキシルホスホニウムブロミド、テトラ-n-オクチルホスホニウムクロリド、テトラ-n-オクチルホスホニウムブロミド、トリブチル-n-オクチルホスホニウムクロリド、トリブチル-n-オクチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩等を挙げることができる。
【0127】
本発明のポリマーを水‐有機溶剤の二層系にて界面重合する場合には、反応を促進する目的で塩基を使用することが望ましい。塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを例示することができる。
【0128】
以下に本発明のモノマーの製造方法について説明する。
【0129】
式(3)で表される本発明のモノマーは、下記式(3’)で示される化合物のF3及びF4を、それぞれF1及びF2に変換する工程を有する製造方法により製造することができる。
【0130】
【0131】
[式中、R1、R2、A、B、C、X、Y、n、F1及びF2は、それぞれ前記式(3)のR1、R2、A、B、C、X、Y、n、F1及びF2と同義である。F3及びF4は、それぞれ独立して、メトキシ基、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアナト基、ニトロ基からなる群より選ばれる基を表し、少なくとも一方はメトキシ基、メトキシメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、ニトロ基からなる群より選ばれる基である。]
本発明のモノマーは、有機合成化学における一般的手法を組み合わせることによって合成することができる。
【0132】
例えば、前記(3’)においてn=0の場合本発明のモノマーは、式(3-1’)で示されるアミド化合物のF3及びF4をF1及びF2に変換することにより製造することができる。
【0133】
【0134】
[式中、R1、A、B、X、Y、F1及びF2は、それぞれ前記式(3)のR1、A、B、X、Y、F1及びF2と同義である。F3及びF4は、それぞれ前記式(3’)のF3及びF4と同義である。]
さらに、式(3-1-A)で表される本発明のモノマーは、式(3-1-A’)で示されるアミド化合物のF3aをヒドロキシ基に変換することにより製造することができる。
【0135】
【0136】
[式中、F3aは、それぞれ独立して、ヒドロキシ基、メトキシ基、メトキシメチルオキシ基、又は置換されていてもよいベンジルオキシ基であり、同時にヒドロキシ基ではない基を表す。]
メトキシ基のヒドロキシ基への変換法としては、三臭化ホウ素による変換、塩化アルミニウムによる変換、ピリジニウムクロリドによる変換を挙げることができる。中でも温和な条件で進行することから、三臭化ホウ素による変換がより好ましい。
【0137】
メトキシメチルオキシ基は、強酸性条件下にヒドロキシ基に変換することができる。強酸性条件下における脱保護には、トリフルオロ酢酸(TFA)や塩酸、硫酸を用いることができる。
【0138】
ベンジルオキシ基は、水素ガス雰囲気下でPd/C触媒、ラネーニッケルなどを用いて還元することでヒドロキシ基に変換することができる。
【0139】
さらに、前記式(3-1’)で表されるアミド化合物は、下記式(4)で示されるカルボン酸誘導体と、下記式(5)で表されるアミン化合物との縮合反応することにより製造することができる。
【0140】
【0141】
[式中、R1、A、B、X、及びYは、それぞれ前記式(3)のR1、A、B、X、及びYと同義である。F3及びF4は、それぞれ前記式(3’)のF3及びF4と同義である。Qは脱離基を表す。]
Qは脱離基を表し、例えばヒドロキシ基、塩素原子、臭素原子を例示することでき、その中でもヒドロキシ基、塩素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
【0142】
式中のQが塩素原子、臭素原子である場合は、塩基存在下に縮合反応を実施することができる。
【0143】
縮合反応に使用する塩基としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの炭酸水素塩、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン、水酸化テトラブチルアンモニウムなどを例示することができる。
【0144】
縮合反応に使用する塩基の量は特に既定されず、反応中に生じる酸を中和できる量であればよい。
【0145】
また、式中のQがヒドロキシ基である場合には、反応に縮合剤を用いることができる。本発明に用いる縮合剤は、上記アミド結合を形成できるものならばよく、通常用いる縮合剤を用いることができる。具体的には、縮合剤として、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロりん酸塩(BOP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロりん酸(PyBOP)、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(EDC)又はその塩酸塩、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’)-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸(HBTU)などを用いることができる。
【0146】
また、前記式(3-1’)で表されるアミド化合物は、下記式(3-1’’)で表されるアミド化合物の環Bと隣接するアミド基の窒素原子上の水素原子をR1に置換することでも合成できる。
【0147】
【0148】
[式中、R1、A、B、X、及びYは、それぞれ前記式(3)のR1、A、B、X、及びYと同義である。F3及びF4は、それぞれ前記式(3’)のF3及びF4と同義である。]
例えば、式(3-2-A)で表される本発明のモノマーは、式(7)で示されるジカルボン酸又はその誘導体と式(8)で示されるアミン化合物とを縮合反応することにより製造することができる。
【0149】
【0150】
[式中、R1、A、B、X、及びYは、それぞれ前記の式(1)のR1、A、B、X、及びYと同義である。Qは脱離基を表す。]
縮合反応については前記式(3’)で示されるアミド化合物を製造した手法と同様の手法で製造することができる。
【0151】
本発明の光反応性ポリマーは、光学フィルム(以下、「本発明のフィルム」ともいう。)として使用することができる。本発明のフィルムを製造する方法については特に制限はなく、例えば、溶融製膜法、溶液キャスト法等の方法が挙げられる。
【0152】
<溶融製膜法>
溶融製膜する方法は、具体的にはTダイを用いた溶融押出法、カレンダー成形法、熱プレス法、共押出法、共溶融法、多層押出、インフレーション成形法等があり、特に限定されない。
【0153】
<溶液キャスト法>
溶液キャスト法は、重合体を溶媒に溶解した溶液(以下、「キャスト用ドープ」という。)を支持基板上に流延した後、加熱等により溶媒を除去して薄膜を得る方法である。その際、キャスト用ドープを支持基板上に流延する方法としては、スピンコート法、Tダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法等が用いられる。特に工業的にはダイからキャスト用ドープをベルト状またはドラム状の支持基板に連続的に押し出す方法が最も一般的である。用いられる支持基板としては、例えば、ガラス基板、ステンレスやフェロタイプ等の金属基板、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム等がある。
【0154】
<界面活性剤>
本発明のフィルムは、膜厚むらを低減させるために界面活性剤を少なくとも1種類以上含有してもよい。含有することができる界面活性剤としては、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルリン酸塩、フルオロアルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン誘導体、フルオロアルキルエチレンオキシド誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、アルキルアンモニウム塩、フルオロアルキルアンモニウム塩類等をあげることができ、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。
【0155】
前記したように、本発明のフィルムは光学フィルムとして好適に使用することができ、特に位相差を発現することから、位相差膜として好適に使用することができる。
【0156】
本発明のフィルムは、光照射することで位相差を発現する。照射する光として紫外線を例示することができ、特に偏光紫外線または斜め入射紫外線を例示することができる。紫外線を用いる場合、紫外線の波長は200nm以上400nm以下の範囲より適宜選ばれる。照射エネルギー量としては10mJ/cm2以上10000mJ/cm2以下であることが好ましい。
【0157】
本発明のフィルムは、前記光照射を行った後で、さらに熱処理を行う。これにより本発明の光反応性ポリマーが位相差を発現する。熱処理温度は50℃以上400℃以下を例示することができる。
【0158】
本発明のフィルムは、偏光紫外線照射または斜め入射紫外線照射を行い、さらに加熱焼成処理を行うことで、三次元屈折率異方性を発現させ、位相差膜として用いることができる。
【0159】
本発明のフィルムは、光照射及び加熱焼成処理により、589nmの光源を用いて測定される下記数式(A)で表される位相差(Re)が、1nm以上であり、好ましくは1~300nmであり、特に好ましくは1~200nmである。
【0160】
Re=(ny-nx)×d (A)
[数式(A)中、nxはフィルム面内の進相軸方向(最も屈折率の小さい方向)の屈折率を示し、nyはフィルム面内の遅相軸方向(最も屈折率の大きい方向)の屈折率を示し、dはフィルム厚みを示す。]
本発明のフィルムを位相差膜として使用する場合は、単膜で用いてもよく、他の膜を積層させた複層膜として使用してもよい。
【0161】
本発明のフィルムは、液晶配向性に優れるため、液晶配向膜を構成する部材として好適に使用することができる。
【実施例0162】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0163】
<偏光紫外線照射>
バンドパスフィルター(248nmまたは313nm)を組み込んだ超高圧水銀灯光源(朝日分光製、商品名:REX-250)を用い、対応する波長の偏光ビームスプリッターにてP偏光のみを取り出し、照射した。
【0164】
<加熱焼成処理>
安全扉付恒温器セーフティーオーブン(ESPEC製、商品名:SPH-202)を用いて、加熱焼成処理を行った。
【0165】
<位相差特性の測定>
試料傾斜型自動複屈折計(AXOMETRICS社製、商品名:AxoScan)を用いて、波長589nmの光を用いて位相差膜の位相差特性を測定した。
【0166】
<薄膜の膜厚測定>
分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、商品名:RC2-U)を用いて、薄膜の膜厚を測定した。
【0167】
[モノマー実施例1]
【0168】
【0169】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(15.5mL)及びDMF(250μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(45mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0170】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(4.61g,13.4mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間半激しく撹拌した後、濃塩酸(10mL)を加え、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで粗固体を得た。これを更に再沈殿(ヘキサン:50mL,酢酸エチル:5mL,エタノール:3mL)によって精製することにより、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-4-メトキシ-N-メチルベンズアニリドの白色固体(収量:6.42g,収率:82%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.50(brs,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),6.99(d,J=8.7Hz,2H),6.85(d,J=2.4Hz,1H),6.73(dd,J=8.6,2.4Hz,1H),6.56(d,J=8.7Hz,2H),3.69(s,3H),3.28(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-4-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(5.00g,17.1mmol)のジクロロメタン(170mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(68.4mL,68.4mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、13時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(400g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(200mL×3)にて抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製した後、減圧下乾燥(120℃,真空ポンプ)することにより、2-クロロ-4,4’-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(化合物1)の白色固体(収量:3.67g,収率:77%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.4-9.15(br,2H),7.02(m,1H),6.95(d,J=8.5Hz,2H),6.61(m,1H),6.56(d,J=8.5Hz,2H),6.53(m,1H),3.27(s,3H).
[モノマー実施例2]
【0171】
【0172】
アルゴン雰囲気下、2‐クロロ‐3‐メトキシ安息香酸(4.00g,21.4mmol)のトルエン(20mL)溶液に塩化チオニル(15.5mL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、ディーンスターク装置(油浴120℃)にて塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(40mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。4‐(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(3.69g,10.7mmol)のTHF(36mL)-水(36mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(4.49g,53.5mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間激しく撹拌した後、濃塩酸(8mL)を加え、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで2‐クロロ‐4’‐ヒドロキシ‐3‐メトキシ‐N‐メチルベンズアニリドの白色固体(収量:6.11g,収率:98%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO‐d6):δ9.48(brs,1H),7.12(dd,J=8.3,7.7Hz,1H),7.01(d,J=8.8Hz,2H),6.93(dd,J=8.3,1.3Hz,1H),6.82(dd,J=7.7,1.3Hz,1H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.76(s,3H),3.28(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2‐クロロ‐4’‐ヒドロキシ‐3‐メトキシ‐N‐メチルベンズアニリド(500mg,1.71mmol)のジクロロメタン(18mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(6.84mL,6.84mol)を5分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、1時間半撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(50g)、2N塩酸(30mL)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(20mL×3)にて抽出し、飽和食塩水(20mL)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製した後、減圧下乾燥(120℃,真空ポンプ)することで2‐クロロ‐3,4’‐ジヒドロキシ‐N‐メチルベンズアニリド(化合物2)の白色固体(収量:330mg,収率:70%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO‐d6):δ10.2(brs,1H),9.50(brs,1H),7.00(d,J=8.8Hz,2H),6.94(t,J=7.8Hz,1H),6.74(dd,J=8.1,1.3Hz,1H),6.64(m,1H),6.55(d,J=8.8Hz,2H),3.27(s,3H).
[モノマー実施例3]
【0173】
【0174】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-5-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(19.4mL)を加え、100℃で1時間半撹拌した後、ディーンスターク装置(油浴120℃)にて塩化チオニルを留去し、得られた残渣にTHF(40mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0175】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(4.61g,13.4mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を10分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、1時間半激しく撹拌した後、濃塩酸(10mL)を加え、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで2-クロロ-4’-ヒドロキシ-5-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(収量:7.07g,収率:90%)の白色固体を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.56(brs,1H),7.15(d,J=8.8Hz,1H),7.05(d,J=8.8Hz,2H),6.86(d,J=3.0Hz,1H),6.76(dd,J=8.8,3.0Hz,1H),6.57(d,J=8.8Hz,2H),3.65(s,3H),3.29(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2‐クロロ‐4’‐ヒドロキシ‐5‐メトキシ‐N‐メチルベンズアニリド(5.00g,17.1mmol)のジクロロメタン(175mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(68.6mL,68.6mmol)を30分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、21時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(300g)、2M塩酸(300mL)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、水(100mL)で洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:90)にて精製することで2‐クロロ‐4’,5‐ジヒドロキシ‐N‐メチルベンズアニリド(化合物3)の白色固体(収量:3.94g,収率:83%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO‐d6):δ9.69(brs,1H),9.50(brs,1H),7.06‐6.97(m,3H),6.61‐6.54(m,4H),3.27(s,3H).
[モノマー実施例4]
【0176】
【0177】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン溶液(25mL)に、塩化チオニル(19.4mL,0.27mol)およびDMF(250μL)を加え1.5時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、更にTHFで共沸しながら溶媒を除去した。真空乾燥後、アルゴン置換を行い、得られた酸クロリド体をTHF溶液(45mL)に調整した。
【0178】
アルゴン雰囲気下、4-メトキシアニリン(3.30g,26.8mmol)のTHF(45mL)/水(45mL)混合溶液に、氷冷下で炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加え、上記で調製した酸クロリド体のTHF溶液をゆっくりと滴下した。滴下後、室温まで昇温し、更に室温で17時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、得られた粗生成物に水(200mL)を加え、しばらく撹拌後、固体を濾取し、水(750mL)、2N塩酸(100mL×3)および水(250mL×3)で洗浄することにより、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-ベンズアニリドの白色固体(収量:7.57g,収率:97%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ8.03(brs,1H),7.78(d,J=8.7Hz,1H),7.56-7.52(m,2H),6.94-6.86(m,4H),3.84(s,3H),3.81(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-ベンズアニリド(3.00g,10.3mmol)のDMF溶液(21mL)に、氷冷下で55%水素化ナトリウム(760mg,17.5mmol)および1-ヨードブタン(1.78mL,15.4mmol)を加え、室温まで昇温し、室温で3時間30分撹拌した。反応終了後、氷冷下とし、反応液に塩化アンモニウム水溶液(120mL)を加え、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、水(30mL×2)、飽和食塩水(30mL×1)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、N-ブチル-2-クロロ-4,4’-ジメトキシベンズアニリドの黄色粘性体(3.58g)を定量的に得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.01(d,J=8.8Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),6.71(d,J=2.4Hz,1H),6.69(d,J=8.8Hz,2H),6.56(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),3.88-3.84(m,2H),3.72(s,3H),3.70(s,3H),1.63-1.55(m,2H),1.39(sextet,J=7.4Hz,2H),0.92(t,J=7.4Hz,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-N-ブチルベンズアニリド(3.48g,10.0mmol)のジクロロメタン溶液(99mL)に、氷冷下で1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(50mL,50.0mmol)をゆっくりと滴下した。滴下後、室温まで昇温し、室温で22時間撹拌した。反応終了後、氷冷下とし、反応液に氷水を加えて室温まで昇温し20分撹拌した。溶媒を減圧濃縮後、析出した固体を濾取し、水で洗浄後真空乾燥した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)で精製し、酢酸エチル/ヘキサンで再沈殿することにより、N-ブチル-2-クロロ-4,4’-ジヒドロキシベンズアニリド(化合物4)の白色固体(収量:2.57g,収率:80%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.90(brs,1H),9.54(brs,1H),6.97(d,J=8.4Hz,1H),6.93(d,J=8.7Hz,2H),6.61(d,J=2.2Hz,1H),6.57(d,J=8.7Hz,2H),6.50(dd,J=8.4,2.2Hz,1H),3.72(t,J=7.2Hz,2H),1.49-1.42(m,2H),1.37-1.28(m,2H),0.88(t,J=7.2Hz,3H).
[モノマー実施例5]
【0179】
【0180】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-ベンズアニリド(3.00g,10.3mmol)のDMF溶液(21mL)に、氷冷下で55%水素化ナトリウム(0.76g,17.5mmol)および1-ヨードオクタン(2.78mL,15.4mmol)を加え、室温まで昇温し室温で4時間撹拌した。反応終了後、氷冷下とし、反応液に塩化アンモニウム水溶液(120mL)を加え、酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機層を水(30mL×2)、飽和食塩水(20mL×5)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-N-オクチルベンズアニリドの黄色粘性体(4.15g)を定量的に得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.01(d,J=8.9Hz,2H),6.97(d,J=8.5Hz,1H),6.71(d,J=2.4Hz,1H),6.69(d,J=8.9Hz,2H),6.57(dd,J=8.5,2.4Hz,1H),3.87-3.83(m,2H),3.73(s,3H),3.70(s,3H),1.63-1.56(m,2H),1.37-1.26(m,10H),0.89-0.85(m,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4,4’-ジメトキシ-N-オクチルベンズアニリド(3.95g,9.78mmol)のジクロロメタン溶液(97mL)に、氷冷下で1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(49mL,49.0mmol)をゆっくりと滴下した。滴下後、室温まで昇温し、室温で24時間撹拌した。反応終了後、氷冷下とし、反応液に氷水を加えて室温まで昇温し20分撹拌した。溶媒を減圧濃縮後、析出した固体を濾取し、水で洗浄し真空乾燥した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)で精製することにより、2-クロロ-4,4’-ジヒドロキシ-N-オクチルベンズアニリド(化合物5)の白色固体(収量:3.30g,収率:90%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.61(brs,2H),6.96(d,J=8.4Hz,1H),6.93(d,J=8.7Hz,2H),6.61(d,J=2.2Hz,1H),6.56(d,J=8.7Hz,2H),6.50(dd,J=8.4,2.2Hz,1H),3.73-3.69(m,2H),1.50-1.43(m,2H),1.28-1.24(m,10H),0.87-0.83(m,3H).
[モノマー実施例6]
【0181】
【0182】
アルゴン雰囲気下、2,5-ジクロロテレフタル酸(2.00g,8.51mmol)のトルエン溶液(9mL)に、塩化チオニル(6.16mL,85.1mol)およびDMF(90μL)を加え2時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を減圧濃縮し、更にTHFで共沸しながら溶媒を除去した。真空乾燥後、アルゴン置換を行い、得られた酸クロリド体をTHF(15mL)溶液に調整した。
【0183】
4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(2.93g,8.51mmol)のTHF(15mL)-水(15mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(3.58g,42.6mmol)を加えた後、上記にて調製した酸クロリドのTHF溶液をすばやく滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、15時間激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄し、ヘキサン(50mL)-酢酸エチル(50mL)にて再沈殿することで2,5-ジクロロ-N,N’-ビス(ヒドロキシフェニル)-N,N’-ジメチル-1,4-ベンゼンジカルボキシアミド(化合物6)の淡褐色固体(収量:1.85g、収率:49%)を得た。本化合物は更なる精製を行わず、次の反応に用いた。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.55(brs,2H),7.29(s,2H),6.96(d,J=8.7Hz,4H),6.57(d,J=8.7hz,4H),3.24(s,6H).
[モノマー実施例7]
【0184】
【0185】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(5.00g,26.8mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(19.5mL)及びDMF(250μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(45mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0186】
4-アミノ-1-ナフトール塩酸塩(5.24g,26.8mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(5.63g,67.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、一昼夜激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(200mL)で洗浄することで粗固体を得た。これを更にヘキサン(50mL)-酢酸エチル(10mL)-エタノール(5mL)混合溶媒にて再沈殿することで2-クロロ-N-(4-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-4-メトキシベンズアミドの褐色固体(収量:4.82g,収率:55%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.3-10.2(brs,1H),10.1(s,1H),8.17(d,J=8.0Hz,1H),7.99(d,J=8.2Hz,1H),7.66(d,J=8.5Hz,1H),7.57-7.44(m,2H),7.38(d,J=8.0,1H),7.16(d,J=2.4Hz,1H),7.05(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),6.88(d,J=8.0Hz,1H),3.85(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(4-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-4-メトキシベンズアミド(3.50g,10.7mmol)のDMF(50mL)溶液を氷冷した後、55%水素化ナトリウム(1.17g,26.8mmol)を加えて10分撹拌し、ヨードメタン(3.19g,22.5mmol)を加えた。反応系を室温まで昇温させながら15時間撹拌した後、再び氷冷し飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えた。混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮することで得られた固体をヘキサン(100mL)-酢酸エチル(5mL)-エタノール(1mL)混合溶媒にて再沈殿することで2-クロロ-4-メトキシ-N-(4-メトキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミドの褐色固体(収量:2.91g,収率:83%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.90(m,1H),7.91(m,1H),7.62(m,1H),7.50(m,1H),7.32(m,1H),6.86(m,1H),6.69(m,1H),6.59(m,1H),6.29(m,1H),3.93(s,3H),3.61(s,3H),3.51(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(4-メトキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(2.90g,8.15mmol)のジクロロメタン(80mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(32.6mL,32.6mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することで生じた固体をろ取した後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製することで2-クロロ-4-ヒドロキシ-N-(4-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(化合物7)の淡褐色固体(収量:2.65g,収率:99%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.6-9.63(br,2H),8.07(m,1H),7.85(m,1H),7.59(m,1H),7.46(m,1H),7.26(m,1H),6.87(m,1H),6.67(m,1H),6.55(m,1H),6.25(m,1H),3.34(s,3H).
[モノマー実施例8]
【0187】
【0188】
アルゴン雰囲気下、5-メトキシ-2-アミノピリジン(0.98g,7.90mmol)のメタノール(23mL)溶液にパラホルムアルデヒド(2.30g,79.0mmol)を加え、5Mナトリウムメトキシドメタノール溶液(7.66mL,39.5mmol)を滴下した。この混合物を一晩撹拌した後、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(0.90g,23.7mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮することでN-メチル-5-メトキシ-2-アミノピリジンの褐色油状物(収量:0.97g,収率;89%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.84(d,J=2.7Hz,1H),7.13(dd,J=8.8,3.0Hz,1H),6.38(dd,J=8.9,0.5Hz,1H),4.24(brs,1H),3.78(s,3H),2.89(d,J=4.5Hz,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(2.12g,11.4mmol)のトルエン(10mL)溶液に塩化チオニル(8.2mL)及びDMF(150μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去した。得られた残渣にピリジン(10mL)を加え、0℃に冷却した。N-メチル-5-メトキシ-2-アミノピリジン(1.05g,7.57mmol)のピリジン(5mL)溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、6時間激しく撹拌した後、酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50~30:70)にて精製することで、2-クロロ-4-メトキシ-N-(5-メトキシ-2-ピリジニル)-N-メチルベンズアミドの褐色油状物(収量:1.47g,収率:63%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.07(s,1H),7.11(brs,1H),7.02(brs,1H),6.81(brs,2H),6.66(brs,1H),3.80(s,3H),3.75(s,3H),3.47(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(5-メトキシ-2-ピリジニル)-N-メチルベンズアミド(1.20g,3.92mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(31.3mL,31.3mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、24時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製することで、2-クロロ-4-ヒドロキシ-N-(5-ヒドロキシ-2-ピリジニル)-N-メチルベンズアミド(化合物8)の白色固体(収量:0.68g,収率:62%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.04(brs,2H),7.87(d,J=2.5Hz,1H),7.02(brs,2H),6.90(brs,1H),6.70(s,1H),6.60(d,J=6.5Hz,1H),3.29(s,3H).
[モノマー実施例9]
【0189】
【0190】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-6-メトキシナフタレン(1.07g,4.51mmol)のトルエン(5mL)溶液にトリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボラート(0.026g,0.09mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)(0.052g,0.09mmol)を加えた後、1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミドトルエン溶液(5.00mL,5.00mmol)を滴下した。この混合物を一晩撹拌した後、2M塩酸を用いて、pH3に調整した。系中に生じた固体をろ取した後、2M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)に溶かし、ジクロロメタン(20mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮することで2-ブロモ-6-メトキシナフタレンの褐色固体(収量:0.67g,収率:85%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.56(d,J=8.7Hz,1H),7.51(d,J=8.6Hz,1H),7.08-7.04(m,2H),6.97-6.93(m,2H),3.88(s,3H),3.73(brs,2H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(1.80g,10.7mmol)のトルエン(10mL)溶液に塩化チオニル(6.0mL)及びDMF(150μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(14mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0191】
2-アミノ-6-メトキシナフタレン(1.68g,9.70mmol)のTHF(14mL)-水(14mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(2.04g,24.3mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、4時間激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(50mL)、ヘキサン:酢酸エチル(75:25)(50mL)で洗浄することで2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-2-ナフタレニル)ベンズアミドの淡褐色固体(収量:3.04g,収率:92%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.26(d,J=1.3Hz,1H),8.20(s,1H),7.87(d,J=8.6Hz,1H),7.73(d,J=8.8Hz,2H),7.55(dd,J=9.0,2.0Hz,1H),7.16(dd,J=9.0,2.6Hz,1H),7.11(d,J=2.5,1H),6.98(d,J=2.5Hz,1H),6.93(dd,J=8.8,2.5Hz,1H),3.92(s,3H),3.87(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-2-ナフタレニル)ベンズアミド(2.98g,8.73mmol)のDMF(24mL)溶液を氷冷した後、55%水素化ナトリウム(1.14g,26.2mmol)を加えて30分撹拌し、ヨードメタン(0.82mL,13.1mmol)のDMF(12mL)溶液を加えた。反応系を室温まで昇温させながら4時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40~40:60)にて精製することで、2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-2-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミドの淡褐色油状物(収量:2.82g,収率:91%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.57(dd,J=16.7,8.8Hz,2H),7.49(s,1H),7.17(d,J=8.7Hz,1H),7.11(dd,J=8.7,2.0Hz,1H),7.07(d,J=8.6Hz,1H),7.03(s,1H),6.67(s,1H),6.52(d,J=8.1Hz,1H),3.88(s,3H),3.64(s,3H),3.55(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-2-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(1.15g,5.23mmol)のジクロロメタン(32mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(13.0mL,13.0mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することで生じた固体をろ取することで2-クロロ-4-ヒドロキシ-N-(6-ヒドロキシ-2-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(化合物9)の白色固体(収量:1.04g,収率:98%)を得た。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ7.57(d,J=8.8Hz,1H),7.54(s,1H),7.49(d,J=8.7Hz,1H),7.17(dd,J=8.8,1.7Hz,1H),7.05-7.01(m,3H),6.59(s,1H),6.47(d,J=8.9Hz,1H),3.50(s,3H).
[モノマー実施例10]
【0192】
【0193】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(1.08g,5.54mmol)のトルエン(5mL)溶液に塩化チオニル(3.5mL)及びDMF(100μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(8mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0194】
4-(4-メトキシフェニル)アニリン(1.00g,5.04mmol)のTHF(8mL)-水(8mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(1.05g,12.6mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、4時間激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(50mL)、ヘキサン:酢酸エチル(75:25)(50mL)で洗浄することで2-クロロ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンズアミドの淡褐色固体(収量:1.68g,収率:91%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.10(s,1H),7.85(d,J=8.7Hz,1H),7.70(d,J=8.4Hz,2H),7.56(d,J=8.8Hz,2H),7.54-7.52(m,2H),6.99-6.97(m,3H),6.92(dd,J=8.6,2.5Hz,1H),3.87(s,3H),3.86(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンズアミド(0.96g,2.61mmol)のDMF(7mL)溶液を氷冷した後、55%水素化ナトリウム(0.34g,7.84mmol)を加えて30分撹拌し、ヨードメタン(0.24mL,3.92mmol)のDMF(3.5mL)溶液を加えた。反応系を室温まで昇温させながら6時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40~40:60)にて精製することで、2-クロロ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミドの淡褐色油状物(収量:2.82g,収率:91%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.45(d,J=8.1Hz,2H),7.38(d,J=7.3Hz,2H),7.12-7.06(m,3H),6.94(d,J=8.6Hz,2H),6.74(s,1H),6.60(d,J=7.1Hz,1H),3.84(s,3H),3.71(s,3H),3.51(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(1.88g,4.93mmol)のジクロロメタン(49mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(20mL,20.0mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することで生じた固体をろ取することで2-クロロ-4-ヒドロキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(化合物10)の白色固体(収量:1.65g,収率:95%)を得た。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ7.39(dd,J=17.3,7.9Hz,4H),7.19(d,J=7.3Hz,2H),7.05(d,J=8.7Hz,1H),6.81(d,J=8.3Hz,2H),6.66(s,1H),6.54(d,J=8.1Hz,1H),3.46(s,3H).
[モノマー実施例11]
【0195】
【0196】
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ安息香酸(5.98g,32.0mmol)のトルエン(30mL)溶液に塩化チオニル(20.0mL)及びDMF(2滴)を加え、1時間加熱還流した後、減圧下に塩化チオニルと溶媒を留去し、得られた残渣にTHF(90mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0197】
5-アミノ-2-ナフトール(5.00g,31.4mmol)のTHF(100mL)溶液に、DIPEA(6.5mL,38.2mmol)及び先に調製した酸クロリドのTHF溶液をゆっくり滴下した。この混合物を室温で48時間激しく撹拌した。反応終了後、減圧下に濃縮した後、酢酸エチル(100mL)と水(200mL)を加えた。有機層を分離した後、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合一した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。得られた粗生成物に酢酸エチル(10mL)/エタノール(5mL)/ヘキサンを加えてろ別することにより、2-クロロ-N-(6-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-4-メトキシベンズアミドの白色固体(収量:9.27g,収率:88%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.29(s,1H),9.80(s,1H),7.99(m,1H),7.70-7.56(m,2H),7.51-7.36(m,2H),7.20-6.98(m,4H),3.85(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-N-(6-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-4-メトキシベンズアミド(3.28g,10.0mmol)のDMF(50mL)溶液を氷冷した後、55%水素化ナトリウム(1.09g,25.0mmol)を加えて10分撹拌し、ヨードメタン(1.31mL,21.0mmol)を加え、室温まで昇温させながら15時間撹拌した。反応終了後、再び氷冷し飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えた後、酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミドの白色固体(収量:2.39g,収率:67%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.89(m,1H),7.56(m,1H),7.38-7.20(m,3H),7.10(m,1H),6.86(m,1H)6.69(m,1H),6.29(m,1H),3.92(s,3H),3.60(s,3H),3.53(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4-メトキシ-N-(6-メトキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(2.31g,6.49mmol)のジクロロメタン(65mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(26.0mL,26.0mmol)を15分かけて滴下した後、室温まで昇温させ、15時間撹拌した。反応終了後、再び0℃に冷却した後、氷(100g)を加え、室温で撹拌した。生じた固体をろ取した後、減圧下に乾燥することにより、2-クロロ-4-ヒドロキシ-N-(6-ヒドロキシ-1-ナフタレニル)-N-メチルベンズアミド(化合物11)の白色固体(収量:2.06g,収率:97%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.93-9.83(m,2H),7.84(m,1H),7.54(m,1H),7.31-7.06(m,4H),6.89(m,1H),6.56(m,1H),6.27(m,1H),3.36(s,3H).
[モノマー実施例12]
【0198】
【0199】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-メトキシ安息香酸(5.00g,21.6mmol)のトルエン(25mL)溶液に塩化チオニル(16.0mL)及びDMF(250μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(45mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0200】
4-(アミノメチル)フェノール硫酸塩(3.72g,10.8mmol)のTHF(45mL)-水(45mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(4.54g,54.0mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、4時間激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮することで2-ブロモ-4-メトキシ-N-(4‐ヒドロキシフェニル)-N-メチルベンズアミドの褐色固体(収量:6.77g,収率:93%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.49(brs,1H),7.14(d,J=8.5Hz,1H),7.03-7.00(m,3H),6.76(dd,J=8.5,2.7Hz,1H),6.57(d,J=8.8Hz,2H),3.69(s,3H),3.28(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-メトキシ-4’-ヒドロキシ-N-メチルベンズアミド(3.36g,10.0mmol)のジクロロメタン(100mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(20.0mL,20.0mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(150g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=95:5~90:10)にて精製することで、2-ブロモ-4-ヒドロキシ-N-(4‐ヒドロキシフェニル)-N-メチルベンズアミド(化合物12)の白色固体(収量:2.47g,収率:77%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.95(brs,1H),9.51(brs,1H),7.01-6.97(m,3H),6.78(d,J=1.7Hz,1H),6.57-6.55(m,3H),3.26(s,3H).
[モノマー実施例13]
【0201】
【0202】
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-メトキシ安息香酸(1.92g,8.31mmol)のトルエン(10mL)溶液に塩化チオニル(6mL)及びDMF(150μL)を加え、100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にTHF(15mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0203】
4-(4-メトキシフェニル)アニリン(1.50g,7.55mmol)のTHF(15mL)-水(15mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながら炭酸水素ナトリウム(1.59g,18.9mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのTHF溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、4時間激しく撹拌した後、減圧下濃縮した。系中に生じた固体をろ取した後、水(50mL)、酢酸エチル(50mL)で洗浄することで2-ブロモ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンズアミドの淡褐色固体(収量:2.57g,収率:82%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.84(s,1H),7.72-7.68(m,3H),7.56(d,J=8.4Hz,2H),7.54-7.50(m,2H),7.16(d,J=2.4Hz,1H),6.99-6.93(m,3H),3.86(s,6H).
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)ベンズアミド(2.51g,6.08mmol)のDMF(18mL)溶液を氷冷した後、55%水素化ナトリウム(0.80g,18.3mmol)を加えて30分撹拌し、ヨードメタン(0.57mL,9.13mmol)のDMF(7mL)溶液を加えた。反応系を室温まで昇温させながら6時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=60:40~40:60)にて精製することで、2-ブロモ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミドの淡褐色油状物(収量:2.46g,収率:95%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.44(d,J=7.9Hz,2H),7.37(d,J=7.2Hz,2H),7.14(d,J=6.9Hz,2H),7.03(d,J=8.2Hz,1H),6.94(d,J=7.4Hz,3H),6.63(d,J=7.4Hz,1H),3.83(s,3H),3.70(s,3H),3.51(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(2.46g,5.78mmol)のジクロロメタン(58mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(23mL,23.0mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することで生じた固体をろ取することで2-ブロモ-4-ヒドロキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(化合物13)の白色固体(収量:2.12g,収率:92%)を得た。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ7.39(dd,J=17.6,8.1Hz,4H),7.22(d,J=8.0Hz,2H),7.03(d,J=8.0Hz,1H),6.86(s,1H),6.81(d,J=8.2Hz,2H),6.58(d,J=8.2Hz,1H),3.46(s,3H).
[モノマー実施例14]
【0204】
【0205】
アルゴン雰囲気下、4-メトキシサリチル酸メチル(5.40g,30.0mmol)のジクロロメタン溶液(90mL)を0℃に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(6.12mL,36.0mmol)を加え10分間攪拌した。その後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.39mL,39.0mmol)を滴下し、反応温度を室温まで昇温して12時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、水層をジクロロメタンで再抽出した。合一した有機層を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=94:6)にて精製することにより、4-メトキシ-2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-安息香酸メチルの茶色油状物(収量:6.59g,収率:70%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ8.05(d,1H,J=8.8Hz),6.95(m,1H),6.77(m,1H),3.93(s,3H),3.88(s,3H).19F‐NMR(376MHz,CDCl3):δ-73.2(s).
4-メトキシ-2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-安息香酸メチル(1.80g,5.70mmol)のジオキサン溶液(30mL)に6M塩酸(30mL)を加え、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、酢酸エチルで抽出した。その後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出し、その水層を2M塩酸で酸性にした。再び水層を酢酸エチルで抽出し、合一した有機層を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮することで4-メトキシ-2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-安息香酸の白色固体(収量:1.36g,収率:79%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ13.50(bs,1H),8.03(m,1H),7.18(m,1H),7.01(m,1H),3.88(s,3H).19F‐NMR(376MHz,DMSO-d6):δ-73.4(s).
アルゴン雰囲気下、4-メトキシ-2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-安息香酸(1.70g,5.66mmol)のトルエン(10mL)溶液に塩化チオニル(4.10mL,56.6mmol)及びDMF(50μL)を加え、100℃で1時間撹拌した。反応終了後、減圧下に塩化チオニルを留去し、得られた残渣にジクロロメタン(10mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0206】
アルゴン雰囲気下、N-メチル-p-アニシジン(0.78g,5.66mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にトリエチルアミン(1.57g,11.3mmol)を加え、0℃に冷却した。先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、3時間撹拌した。得られた混合物に水を加え、ジクロロメタンにて抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、2M塩酸、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下濃縮することで2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4,4’-ジメトキシ-N-メチルベンズアニリドの橙色固体(収量:1.94g、収率:82%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.28(m,1H),6.98-6.95(m,2H),6.75-6.73(m,2H),6.754(m,1H),6.58(m,1H),3.76(s,3H),3.74(s,3H),3.43(s,3H).19F‐NMR(376MHz,CDCl3):δ-73.5(s).
アルゴン雰囲気下、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4,4’-ジメトキシ-N-メチルベンズアニリド(2.00g,4.77mmol)のジクロロメタン(25mL)懸濁液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(19.1mL,19.1mmol)を滴下し、1時間攪拌した。その後、反応系を室温まで昇温させ、24時間撹拌した。300mLフラスコに酢酸エチル(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え0℃に冷却し、そこへ反応液を滴下して10分間攪拌した。水層を2回酢酸エチルで抽出し、合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機層を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製した。さらに得られた固体をDMF(4mL)-水(100mL)で再沈殿することで2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4’,4-ジヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(化合物14)の白色固体(収量:1.19g、収率:64%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ10.50(brs,1H),9.50(s,1H),7.18(m,1H),6.89-6.88(m,2H),6.69(m,1H),6.60(m,1H),6.61-6.59(m,2H),3.26(s,3H).19F‐NMR(376MHz,DMSO-d6):δ-73.8(s).
[モノマー実施例15]
【0207】
【0208】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-N-メチル-アニリン(1.87g,10.0mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウムのジクロロメタン複合体(205mg,251μmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(2.29g,15.1mmol)の1,4-ジオキサン(40mL)溶液に2M炭酸カリウム水溶液(10mL)を加えた。100℃で10時間撹拌した後、セライト濾過にて系中に生じた固体を取り除き、ろ液を酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=30:70~20:80)にて精製することで、4’-メトキシ-N-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-アミンの白色固体(収量:1.37g,収率:64%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.48-7.44(m,2H),7.42-7.38(m,2H),6.96-6.92(m,2H),6.69-6.66(m,2H),3.84(s,3H),3.75(brs,1H),2.88(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4-メトキシ安息香酸(2.12g,7.05mmol)のトルエン(12mL)溶液に塩化チオニル(5mL)及びDMF(100μL)を加えた。100℃で1時間撹拌した後、減圧下に塩化チオニル留去し、得られた残渣にジクロロメタン(12mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0209】
4’-メトキシ-N-メチル-(1,1’-ビフェニル)-4-アミン(1.37g,6.41mmol)のジクロロメタン(12mL)溶液を0℃に冷却し、撹拌しながらトリエチルアミン(1.79mL,12.8mmol)を加えた後、先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、4時間激しく撹拌した。減圧下濃縮し、酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30~60:40)にて精製することで、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミドの淡褐色油状物(収量:2.75g,収率:87%)を得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.48-7.45(m,2H),7.41(d,J=7.9Hz,2H),7.35(d,J=9.1Hz,1H),7.09(s,2H),6.97-6.93(m,2H),6.77(d,J=8.5Hz,1H),6.60(s,1H),3.84(s,3H),3.77(s,3H),3.50(s,3H).19F-NMR(376MHz,CDCl3):δ-73.46(s).
アルゴン雰囲気下、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4-メトキシ-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(2.75g,5.55mmol)のジクロロメタン(56mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(23mL,23.0mmol)を15分かけて滴下した。反応系を室温まで昇温させた後、16時間撹拌し、再び0℃に冷却した。氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮し、酢酸エチル(100mL×3)にて抽出した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。得られた有機層を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=25:75~15:85)にて精製することで、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4-ヒドロキシ-N-(4’-ヒドロキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(化合物15)の白色固体(収量:2.57g,収率:99%)を得た。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ7.46(d,J=7.8Hz,2H),7.42-7.39(m,2H),7.30(d,J=8.1Hz,1H),7.16(d,J=5.9Hz,2H),6.84-6.80(m,2H),6.73(d,J=5.4Hz,1H),6.56(s,1H),3.45(s,3H).19F-NMR(376MHz,MeOD):δ-75.54(s).
[モノマー実施例16]
【0210】
【0211】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2-クロロ安息香酸(4.00g,17.0mmol)のトルエン(30mL)溶液に塩化チオニル(12.4mL, 169.8mmol)及びDMF(50μL)を加え、100℃で1時間撹拌した。その後、減圧下に塩化チオニルを留去し、得られた残渣にジクロロメタン(30mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0212】
アルゴン雰囲気下、4-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩(2.92g,8.49mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液にトリエチルアミン(7.06mL,50.94mmol)を加え、5分間攪拌し、その後0℃に冷却した。先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下し、この混合物を室温まで昇温させ、4時間撹拌した。得られた混合物に水を加え、ジクロロメタンにて抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、2M塩酸、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)にて精製することで、4-ブロモ-2-クロロ-2’-ヒドロキシ-N-メチルベンズアニリドの橙色固体(収量:3.47g、収率:60%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.35(d,J=1.9Hz,1H),7.19(m,1H),6.97-6.93(m,3H),6.64-6.61(m,2H),5.57(bs,1H),3.42(s,3H).
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2-クロロ-2’-ヒドロキシ-N-メチルベンズアニリド(3.7g,10.8mmol)のトルエン(12.5mL)-水(12.5mL)溶液に炭酸カリウム(2.99g,21.6mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(1.80g,11.9mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.187g,0.162mmol)を加え、100℃で12時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)にて精製することで2-クロロ-4’-メトキシ-N-(ヒドロキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミドの橙色固体(収量:2.82g、収率:71%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.35(d,J=8.8Hz,2H),7.32(d,J=1.8Hz,1H),7.18(m,1H),7.08(d,J=7.7Hz,1H),6.95(d,J=8.8Hz,2H),6.89(d,J=8.8Hz,2H),6.61(d,J=8.8Hz,2H),6.49(brs,1H),3.80(s,3H),3.42(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-メトキシ-N-(ヒドロキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(2.5g,6.80mmol)のジクロロメタン(35mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(20.4mL,20.4mmol)を滴下し、反応系を室温まで昇温させ、15時間撹拌した。反応終了後、溶液を再び0℃に冷却し、氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、析出した固体をろ取し、水で洗浄した。得られた固体をクロロホルム(2.0mL)-メタノール(1.0mL)に溶かし、そこに少しずつヘキサンを加え、再沈殿することで、2-クロロ-4’-ヒドロキシ-N-(ヒドロキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミドの薄黄色固体(収量:1.35g、収率:56%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.63(brs,1H),9.60(brs,1H),7.48(m,1H),7.46(d,J=8.7Hz,2H),7.39(m,1H),7.26(d,J=8.0Hz,1H,),7.05-7.03(m,2H),6.79(d,J=8.6Hz,2H),6.58-6.56(m,2H),3.31(s,3H).
[モノマー実施例17]
【0213】
【0214】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2-アミノ安息香酸メチル(1.50g,6.52mmol)のトルエン(5.0mL)-水(5.0mL)溶液に炭酸カリウム(1.80g,13.0mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(1.09g,7.2mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(113mg,0.098mmol)を加え、100℃で5時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10)にて精製することで、2-アミノ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸メチルの黄色固体(収量:1.35g、収率:81%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.88(d,J=8.3Hz,1H),7.53-7.51(m,2H),6.97-6.95(m,2H),6.86-6.82(m,2H),5.77(brs,2H),3.88(s,3H),3.84(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-アミノ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸メチル(1.00g,3.89mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液に臭化銅(I)(837mg,5.84mmol)、臭化銅(II)(1.30g,5.84mmol)及び亜硝酸イソアミル(0.78mL,5.84mmol)を加え、室温で15時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=98:2)にて精製することで、2-ブロモ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸メチルの赤褐色油状物(収量:0.39g、収率:30%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.87(d,J=8.2Hz,1H),7.85(d,J=1.8Hz,1H),7.54-7.51(m,3H),7.00-6.97(m,2H),3.94(s,3H),3.85(s,3H).
2-ブロモ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸メチル(2.10g,6.50mmol)のTHF(10mL)溶液に水(10mL)及び水酸化ナトリウム(1.30g,32.5mmol)を加え、50℃で5時間攪拌した。反応終了後、溶液を濃縮し、酢酸エチルで洗浄した。得られた水層を2M塩酸で酸性にし、析出した固体をろ過、水で洗浄し、その後、減圧下で乾燥させることにより2-ブロモ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸の白色固体(収量:1.76g、収率:88%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ7.95(d,J=1.7Hz,1H),7.84(d,J=8.0Hz,1H),7.75-7.70(m,3H),7.07-7.05(m,2H),3.82(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4-(4-メトキシフェニル)安息香酸(1.70g,5.53mmol)のトルエン(10mL)溶液に塩化チオニル(4.0mL, 55.3mmol)及びDMF(5.0μL)を加え、100℃で1時間撹拌した。その後、減圧下に塩化チオニルを留去し、得られた残渣にジクロロメタン(10mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0215】
アルゴン雰囲気下、N-メチル-p-アニシジン(0.76g,5.53mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液にトリエチルアミン(1.54mL,11.1mmol)を加え、0℃に冷却した。先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。得られた混合物に水を加え、ジクロロメタンにて抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、2M塩酸、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=64:36)にて精製することで、2-ブロモ-4’-メトキシ-N-(メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミドの淡黄色固体(収量:2.00g、収率:85%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.57-7.56(d,J=1.8Hz,1H),7.41-7.39(m,2H),7.27(m,1H),7.12-7.09(m,3H),6.93-6.91(m,2H),6.71-6.69(m,2H),3.82(s,3H),3.70(s,3H),3.47(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ブロモ-4’-メトキシ-N-(メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(1.85g,4.34mmol)のジクロロメタン(22mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(13.0mL,13.0mmol)を滴下し、反応系を室温まで昇温させ、15時間撹拌した。反応終了後、溶液を再び0℃に冷却し、氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去し、酢酸エチルで抽出した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=36:64)にて精製し、得られた固体をクロロホルムで洗浄することで、2-ブロモ-4’-ヒドロキシ-N-(ヒドロキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物17)の淡桃色固体(収量:1.66g、収率:96%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.59(brs,2H),7.63(d,J=1.6Hz,1H),7.46-7.40(m,3H),7.24(d,J=8.3Hz,1H),7.08(d,J=9.1Hz,2H),6.80(d,J=9.1Hz,2H),6.58(d,J=8.7Hz,2H),3.31(s,3H).
[モノマー実施例18]
【0216】
【0217】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2-ヒドロキシ安息香酸(6.00g,27.6mmol)のジクロロメタン溶液(60mL)溶液に塩化チオニル(10.0mL,138mmol)及びDMF(3滴)加え、室温で48時間攪拌した。その後、減圧下に塩化チオニルを留去し、得られた残渣にジクロロメタン(30mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0218】
アルゴン雰囲気下、N-メチル-p-アニシジン(1.89g,13.8mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液にトリエチルアミン(5.74mL,41.4mmol)を加え、0℃に冷却した。先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、6時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、そこへTHF(20mL)、水(20mL)及び水酸化ナトリウム(2.2g,55.2mmol)を加え50℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。その後、有機層を2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下に濃縮することで2-ヒドロキシ-4-ブロモ-4’-メトキシ-N-メチルベンズアニリドの茶色固体(収量:4.22g、収率:91%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ11.4(brs,1H),7.10(d,J=1.8Hz,1H),7.04-7.00(m,2H),6.87-6.83(m,2H),6.55-6.49(m,2H),3.80(s,3H),3.42(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4-ブロモ-4’-メトキシ-N-メチルベンズアニリド(4.10g,12.2mmol)のトルエン(18mL)-水(18mL)溶液に炭酸カリウム(3.37g,24.4mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(2.04g,13.4mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.21g,0.183mmol)を加え、100℃で3時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)にて精製することで、2-ヒドロキシ-4’-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミドの橙色油状物(収量:2.98g、収率:67%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ11.4(brs,1H),7.48-7.44(m,2H),7.12(d,J=1.8Hz,1H),7.07-7.04(m,2H),6.92-6.89(m,2H),6.86-6.83(m,2H),6.70(d,J=8.5Hz,1H),6.63(m,1H),3.81(s,3H),3.78(s,3H),3.44(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-ヒドロキシ-4’-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(2.98g,8.2mmol)のジクロロメタン溶液(40mL)を0℃に冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(1.66mL,9.84mmol)を加え10分間攪拌した。その後、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.74mL, 10.7mmol)を滴下し、反応温度を室温まで昇温して15時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄し、水層をジクロロメタンで再抽出した。合一した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)にて精製することにより、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4’-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミドの橙色油状物(収量:3.44g,収率:84%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.42-7.38(m,4H),7.21(s,1H),7.00(d,J=9.0Hz,2H),6.93(d,J=9.0Hz,2H),6.71(d,J=9.0Hz,2H),3.82(s,3H),3.71(s,3H),3.46(s,3H).19F‐NMR(376MHz,CDCl3):δ-73.5(s).
アルゴン雰囲気下、2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4’-メトキシ-N-(4-メトキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(3.43g,6.92mmol)のジクロロメタン(35mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(21.0mL,21.0mmol)を滴下し、反応系を室温まで昇温させ、15時間撹拌した。反応終了後、溶液を再び0℃に冷却し、氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去し、酢酸エチルで抽出した。その後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:95)にて精製することで2-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-4’-ヒドロキシ-N-(4-ヒドロキシフェニル)-N-メチル[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキサミド(化合物18)の淡黄色固体(収量:3.06g、収率:95%)を得た。1H‐NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.79(brs,1H),9.58(brs,1H),7.59(d,J=7.8Hz,1H),7.51(d,J=7.8Hz,2H),7.44(d,J=7.8Hz,1H),7.40(s,1H),6.97(d,J=8.5Hz,2H),6.83(d,J=8.5Hz,2H),6.59(d,J=8.5Hz,2H),3.31(s,3H).19F‐NMR(376MHz,DMSO-d6):δ-73.6(s).
[モノマー実施例19]
【0219】
【0220】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-2-クロロ安息香酸(2.52g,10.7mmol)のトルエン(20mL)溶液に塩化チオニル(7.76mL,107mmol)及びDMF(50μL)を加え、100℃で1時間撹拌した。その後、減圧下に塩化チオニルを留去し、得られた残渣にジクロロメタン(20mL)を加えた。この溶液は次の反応に全量使用した。
【0221】
アルゴン雰囲気下、4-ブロモ-N-メチルアニリン(2.00g,10.7mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液にトリエチルアミン(2.96mL,21.4mmol)を加え、0℃に冷却した。先に調製した酸クロリドのジクロロメタン溶液を5分間かけて滴下した。この混合物を室温まで昇温させ、3時間撹拌した。得られた混合物に水を加え、ジクロロメタンにて抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、2M塩酸、水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下に濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10)にて精製することで、4,4’-ジブロモ-2-クロロ-N-メチルベンズアニリドの茶色油状物(収量:3.72g、収率:86%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.37(d,J=1.4Hz,1H),7.31(d,J=8.6Hz,2H),7.22(m,1H),6.99(d,J=8.4Hz,1H),6.95(d,J=8.4Hz,2H),3.44(s,3H).
アルゴン雰囲気下、4,4’-ブロモ-2-クロロ-N-メチルベンズアニリド(2.00g,4.96mmol)のトルエン(15mL)-水(15mL)溶液に炭酸カリウム(2.74g,19.8mmol)、4-メトキシフェニルボロン酸(1.66g,10.9mmol)及びテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.086g,0.074mmol)を加え、100℃で8時間攪拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。合一した有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=6:94)にて精製することで、2-クロロ-4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミドの淡黄色固体(収量:1.97g、収率:87%)を得た。1H‐NMR(400MHz,CDCl3):δ7.43-7.37(m,7H),7.25(m,1H),7.20-7.16(m,3H),6.92-6.90(m,4H),3.81(s,6H),3.54(s,3H).
アルゴン雰囲気下、2-クロロ-4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-N-(4’-メトキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(1.74g,3.80mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を0℃に冷却した後、1M三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(11.4mL,11.4mmol)を滴下し、反応系を室温まで昇温させ、15時間撹拌した。反応終了後、溶液を再び0℃に冷却し、氷(100g)を加えた後、氷が溶解するまで室温で撹拌した。混合物を減圧下濃縮することでジクロロメタンを留去した後、析出した固体をろ取し、水で洗浄した。得られた固体を水(100mL)-DMF(4.0mL)で再沈殿することで2-クロロ-4’-ヒドロキシ[1,1’-ビフェニル]-N-(4’-ヒドロキシ[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-N-メチルベンズアミド(化合物19)の白色固体(収量:1.32g、収率:81%)を得た。1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ9.64(brs,2H),7.52-7.39(m,8H),7.35(d,J=8.1Hz,1H),7.26(d,J=8.5Hz,2H),6.79-6.76(m,4H),3.40(s,3H).
[実施例1]
【0222】
【0223】
滴下漏斗を具備した200ml三口フラスコに、イオン交換水20mLを取り、モノマー実施例1にて合成した化合物1(1.11g,4.00mmol)、水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を溶解させ撹拌した。触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分に窒素置換した。滴下漏斗にジクロロメタン20mlにテレフタル酸クロリド(812mg,4.00mmol)を溶解させた溶液を取り、静かに滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後の溶液をメタノールへ投入し、沈殿物をろ別してメタノールで洗浄した後、真空乾燥して重合体1(収量:1.80g,定量的)を得た。
【0224】
5.0質量%の重合体1を、クロロホルム:ペンタフルオロフェノール(2:1)混合溶媒95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0225】
[実施例1-1]
5.0質量%の重合体1を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して4000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0226】
[実施例1-2]
5.0質量%の重合体1を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して5000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0227】
[実施例2]
【0228】
【0229】
アルゴン雰囲気下、trans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(689mg,4.00mmol)に塩化チオニル(6mL)及びDMF(10μL)を加え、80℃で4時間撹拌した後、減圧下(エバポレーター,80℃)に塩化チオニル留去し、更に真空ポンプを用いて乾燥することでtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを得た。この化合物は全量次の反応に用いた。
【0230】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例1にて合成した化合物1(1.11g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗に上記にて調製したtrans-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドのジクロロメタン(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(200mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体2の白色固体を1.04g、収率63%で得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ7.21-6.79(brm,7H),3.54-3.41(br,3H),2.62-2.41(br,2H),2.36-2.14(br,4H),1.68-1.50(br,4H).
6.0質量%の重合体2を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1700rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に254nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、270℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0231】
[実施例3]
【0232】
【0233】
滴下漏斗を具備した200ml三口フラスコに、イオン交換水20mlを取り、モノマー実施例2にて合成した化合物2(1.11g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を溶解させ撹拌した。触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分に窒素置換した。
【0234】
滴下漏斗にジクロロメタン20mlにテレフタル酸クロリド(812mg,4.0mmol)を溶解させた溶液を取り、静かに滴下した。
【0235】
滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後の溶液をメタノールへ投入し、沈殿物をろ別してメタノールで洗浄した後、真空乾燥することで重合体3の白色固体を1.63g、収率99%で得た。
【0236】
5.0質量%の重合体3を、クロロホルム:ペンタフルオロフェノール(2:1)混合溶媒95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1400rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、170℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0237】
[実施例4]
【0238】
【0239】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水20mlを取り、モノマー実施例3にて合成した化合物3(1.11g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を溶解させ撹拌した。触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分に窒素置換した。
【0240】
滴下漏斗にジクロロメタン20mLにテレフタル酸クロリド(0.812g,4.0mmol)を溶解させた溶液を取り、静かに滴下した。
【0241】
滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後の溶液をメタノールへ投入し、沈殿物をろ別してメタノールで洗浄した後、真空乾燥することで重合体3の白色固体を0.49g、収率30%で得た。
【0242】
6.0質量%の重合体4を、クロロホルム:ペンタフルオロフェノール(2:1)混合溶媒94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して3000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、150℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0243】
[実施例5]
【0244】
【0245】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例4にて合成した化合物4(1.28g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(812mg,4.00mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌(350rpm)し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(200mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体5の白色固体を1.63g、収率91%で得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.37-8.10(brm,4H),7.55-6.93(brm,7H),4.05-3.85(br,2H),1.74-1.58(brm,2H),1.51(brm,2H),1.03-0.90(brm,3H).
6.0質量%の重合体5を、クロロホルム94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、130℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0246】
[実施例6]
【0247】
【0248】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例5にて合成した化合物5(1.50g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(812mg,4.00mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(200mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体6の白色固体を1.92g、収率95%で得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.38-8.12(brm,4H),7.55-6.45(brm,7H),4.02-3.85(br,2H),1.75-1.06(brm,12H),0.94-0.81(brm,3H).
6.0質量%の重合体6を、クロロホルム94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して3000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、90℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0249】
[実施例7]
【0250】
【0251】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、2,5-ジクロロ-N,N’-ビス(ヒドロキシフェニル)-N,N’-ジメチル-1,4-ベンゼンジカルボキシアミド(1.78g,4.00mmol)及び水酸化ナトリウム(320mg,8.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(812mg,4.00mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(150mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することでJST-19088の白色固体を2.11g、収率92%で得た。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ8.32-7.75(brm,4H),7.55-6.99(brm,10H),3.58-3.09(brm,6H).
6.0質量%の重合体7を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して7000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、200℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0252】
[実施例8]
【0253】
【0254】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例7にて合成した化合物7(983mg,3.00mmol)及び水酸化ナトリウム(240mg,6.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(1.2mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(609mg,3.00mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体8の白色固体を1.33g、収率97%で得た。
【0255】
5.0質量%の重合体8を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して7000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、190℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0256】
[実施例9]
【0257】
【0258】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例8にて合成した化合物8(418mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体9の白色固体を578mg、収率94%で得た。
【0259】
6.0質量%の重合体9を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して4000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、220℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0260】
[実施例10]
【0261】
【0262】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例9にて合成した化合物9(492mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体10の白色固体を666mg、収率97%で得た。
【0263】
4.5質量%の重合体10を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.5質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して3000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0264】
[実施例11]
【0265】
【0266】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例10にて合成した化合物10(531mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体11の白色固体を698mg、収率96%で得た。
【0267】
6.0質量%の重合体11を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール94.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して3000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0268】
[実施例12]
【0269】
【0270】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例11にて合成した化合物11(492mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体12の白色固体を640mg、収率93%で得た。
【0271】
5.0質量%の重合体12を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、150℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0272】
[実施例13]
【0273】
【0274】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例12にて合成した化合物12(492mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体13の白色固体を667mg、収率97%で得た。
【0275】
5.0質量%の重合体13を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0276】
[実施例14]
【0277】
【0278】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例13にて合成した化合物13(597mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体14の白色固体を746mg、収率94%で得た。
【0279】
5.0質量%の重合体14を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0280】
[実施例15]
【0281】
【0282】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例14にて合成した化合物14(587mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体15の白色固体を640mg、収率82%で得た。
【0283】
5.0質量%の重合体15を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、150℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0284】
[実施例16]
【0285】
【0286】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例15にて合成した化合物15(701mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体16の白色固体を531mg、収率59%で得た。
【0287】
5.0質量%の重合体16を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して3000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、190℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0288】
[実施例17]
【0289】
【0290】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例16にて合成した化合物16(531mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体17の白色固体を693mg、収率95%で得た。
【0291】
5.0質量%の重合体17を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して5000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0292】
[実施例18]
【0293】
【0294】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例17にて合成した化合物17(597mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体18の白色固体を710mg、収率66%で得た。
【0295】
5.0質量%の重合体18を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0296】
[実施例19]
【0297】
【0298】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例18にて合成した化合物18(701mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体19の白色固体を794mg、収率88%で得た。
【0299】
5.0質量%の重合体19を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して5000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、150℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0300】
[実施例20]
【0301】
【0302】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(15mL)を取り、モノマー実施例19にて合成した化合物19(645mg,1.50mmol)及び水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.6mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(305mg,1.50mmol)のクロロホルム(15mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体20の白色固体を755mg、収率67%で得た。
【0303】
4.5質量%の重合体20を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.5質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0304】
[実施例20-1]
5.0質量%の重合体1を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0305】
[実施例20-2]
5.0質量%の重合体1を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール95.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0306】
[実施例21]
【0307】
【0308】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例10にて合成した化合物10(708mg,2.00mmol)及び水酸化ナトリウム(160mg,4.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.8mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にtrans-シクロヘキサンジカルボン酸クロリド(418mg,2.00mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体21の白色固体を833mg、収率85%で得た。
【0309】
4.5質量%の重合体21を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.5質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して2500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0310】
[実施例22]
【0311】
【0312】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例1にて合成した化合物1(500mg,1.80mmol)、ジエチレングリコール(21.2mg,0.20mmol)及び水酸化ナトリウム(160mg,4.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.8mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(406mg,2.00mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体22の白色固体を758mg、収率96%で得た。
【0313】
4.5質量%の重合体22を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.5質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して4500rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0314】
[実施例23]
【0315】
【0316】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例10にて合成した化合物10(637mg,1.80mmol)、ジエチレングリコール(21.2mg,0.20mmol)及び水酸化ナトリウム(160mg,4.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.8mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にテレフタル酸クロリド(406mg,2.00mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体23の白色固体を777mg、収率85%で得た。
【0317】
4.5質量%の重合体23を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール95.5質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1900rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0318】
[実施例24]
【0319】
【0320】
滴下漏斗を具備した200mL三口フラスコに、イオン交換水(20mL)を取り、モノマー実施例1にて合成した化合物1(444mg,1.60mmol)、ヒドロキノン(44.0mg,0.40mmol)及び水酸化ナトリウム(160mg,4.00mmol)を加えた。激しく撹拌(350rpm)することで基質を溶解させた後、触媒として2%臭化テトラブチルアンモニウム水溶液(0.8mL)加え、装置内を十分にアルゴン置換した。滴下漏斗にtrans-シクロヘキサンジカルボン酸クロリド(406mg,2.00mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を取り、系中に素早く滴下した。滴下終了後、常温で3時間激しく撹拌し、界面重合を行った。反応後、溶液をメタノール(300mL)へ滴下し、沈殿物をろ別して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄した後、真空乾燥することで重合体24の白色固体を1.19g、収率78%で得た。
【0321】
7.0質量%の重合体24を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール93質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して1600rpmでスピンコートを行い、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚1μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、高位相差が発現した。位相差を表1に示す。
【0322】
[比較例1]
【0323】
【0324】
窒素気流下、4-メトキシ-N-メチルアニリン(3.00g, 21.9mmol)、テトラヒドロフラン(20mL)、水(20mL)の混合物を氷冷した後、炭酸水素ナトリウム(11g)を加えた。混合物を撹拌しながら、テレフタル酸クロリド(2.17g,10.7mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液をゆっくりと加え、3時間氷冷下で撹拌した。反応混合物に水(500mL)を加え、生じた固体をろ取した後、2N塩酸(200mL)、メタノール(300mL)にて洗浄することでN,N’-ビス(4-メトキシフェニル)-N,N’-ジメチル-1,4-ベンゼンジカルボキシアミド(収量:3.91g,収率:90%)を得た。1H-NMR(400MHz,(CD3)2SO):δ7.07(s,4H),6.83(d,J=8.0Hz,4H),6.67(d,J=8.0Hz,4H),3.73(s,6H),3.38(s,6H).
上記にて得たN,N’-ビス(4-メトキシフェニル)-N,N’-ジメチル-1,4-ベンゼンジカルボキシアミド(1.00g,2.47mmol)をジクロロメタン(25mL)に溶解した後、氷冷下にて1mol/L三臭化ほう素ジクロロメタン溶液(7.4mL)を5分かけて加えた。反応系を室温まで昇温させた後、15時間撹拌し、反応混合物を氷冷した水(300mL)に加えた。系中に生じた固体をろ取し、水(500mL)で洗浄することで化合物1’の褐色固体(収量:776mg,収率:83%)を得た。1H-NMR(400MHz,(CD3)2SO):δ9.55-9.28(br,2H),6.98(s,4H),6.87-6.67(m,4H),6.58-6.49(m,4H),3.20(s,6H).
滴下漏斗を具備した三口フラスコに、水6.5mlを取り、化合物1’(1.3mmol)と水酸化ナトリウム(2.6mmol)を溶解させ撹拌した。触媒として臭化テトラn-ブチルアンモニウムの2.0重量%水溶液を0.5ml加え、装置内を窒素置換した。ジクロロメタン6.5mlにテレフタル酸クロリド(1.3mmol)を溶解させた溶液を滴下漏斗に取り、滴下した後、常温で3時間撹拌した。反応後の溶液をメタノールへ投入し、沈殿物をろ別した後、真空乾燥して重合体1’を得た(収率99%)。
【0325】
3.0質量%の比較例1の重合体1’を、クロロホルム97.0質量%へ溶解した。これを石英基板上に流延して7000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜を得た。得られた薄膜(膜厚1μm)に248nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱したところ、比較例1の重合体1’では高位相差は発現しなかった。位相差を表1に示す。
【0326】
【0327】
表1から明らかなように、実施例1から23の重合体は、紫外光の照射と加熱焼成処理により大きい位相差量(Re)を発現することが確認された。本願の重合体が特異な性能を示すことは比較例1との比較をすることでより顕著となる。
【0328】
[実施例25]
3質量%の重合体11を、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール97質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して5000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚0.5μm)を得た。得られた薄膜に313nmの偏光紫外光を7200mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱し液晶配向膜を作成した。
【0329】
1.5mm×20mmに切り取った厚さ25μmのPETフィルム(東レ製、製品名:ルミラー(R)T60)2枚をスペーサーとして、本液晶配向膜が積層された石英ガラス板2枚を薄膜が内側に、かつ偏光紫外光が照射された方向が平行になるように重ね合わせ、液晶注入口エリアとなる部分を除く石英ガラス板の周辺に瞬間接着剤(東亞合成製、アロンアルフア201)で接着して液晶空セルとした。接着後、液晶空セルに50℃で加熱した4-シアノ-4’-ペンチルビフェニルを注入し、液晶セルとした。得られた液晶セルについて、偏光顕微鏡を用いて薄膜に偏光紫外光が照射された方向に対して偏光子の角度が0°、45°、90°となるように3方向観察したところ、顕微鏡像は暗、明、暗と変化し、液晶ダイレクタが均一に整って配向していることを確認した。
[本明細書において、液晶ダイレクタとは液晶性分子の長軸が配向している方向(配向主軸)のベクトルを意図する。]
[比較例2]
10.0質量%のメタクリル酸メチルポリマーを、トルエン90.0質量%へ溶解した。これを石英ガラス基板上に流延して5000rpmで60秒間スピンコートし、オーブン中150℃で30分乾燥させ薄膜(膜厚0.5μm)を得た。得られた薄膜に248nmの偏光紫外光を500mJ/cm2照射した後、250℃にて加熱しフィルム(以下、本フィルムとする)を作成した。
【0330】
1.5mm×20mmに切り取った厚さ25μmのPETフィルム(東レ製、製品名:ルミラー(R)T60)2枚をスペーサーとして、本薄膜が積層された石英ガラス板2枚を薄膜が内側に、かつ偏光紫外光が照射された方向が平行になるように重ね合わせ、液晶注入口エリアとなる部分を除く石英ガラス板の周辺に瞬間接着剤(東亞合成製、アロンアルフア201)で接着して液晶空セルとした。接着後、液晶空セルに50℃で加熱した4-シアノ-4’-ペンチルビフェニルを注入し、液晶セルとした。得られた液晶セルについて、偏光顕微鏡を用いて薄膜に偏光紫外光が照射された方向に対して偏光子の角度が0°、45°、90°となるように3方向観察したところ、顕微鏡像は常に明るいままであり、液晶ダイレクタが均一に整って配向していないことを確認した。
【0331】
実施例25の薄膜に、紫外光の照射と加熱焼成処理を行うことで、液晶配向膜として使用できることは比較例2との比較によってより顕著となる。