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特開2022-142838樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022142838
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその樹脂組成物からなる成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/40 20060101AFI20220926BHJP
   C08G 18/62 20060101ALI20220926BHJP
   C08G 18/64 20060101ALI20220926BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
C08G18/40 081
C08G18/62 004
C08G18/64 092
C08G18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021043064
(22)【出願日】2021-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神谷 晃基
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真吾
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB05
4J034DG01
4J034DP12
4J034DP17
4J034DP18
4J034EA08
4J034EA09
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034MA26
4J034QB03
4J034QB14
4J034QC01
4J034QC08
4J034QD04
4J034RA03
4J034RA06
4J034RA10
4J034RA12
4J034RA14
(57)【要約】
【課題】 剛性、耐衝撃性に優れたセルロース系粉末含有樹脂組成物およびその組成物からなる成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】 水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、セルロース系粉末(B)を1重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.01重量%以上2重量%以下(ここで(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%とする)含むセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、セルロース系粉末(B)を1重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.01重量%以上2重量%以下(ここで(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%とする)含むセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項2】
水酸基含有樹脂(A)がエチレン―酢酸ビニル共重合体のケン化物である請求項1に記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項3】
セルロース系粉末(B)の平均粒径が10~200μmである請求項1乃至2いずれかに記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項4】
セルロース系粉末(B)が、紙粉、木粉、パルプ、バカス、おが屑、木質繊維、籾殻よりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至3いずれか一項に記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項5】
イソシアネート系架橋剤(C)がヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、またはこれらのアダクト体の少なくともいずれかである請求項1乃至4いずれか一項に記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項6】
イソシアネート系架橋剤(C)がヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体である請求項1乃至5いずれか一項に記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか一項に記載のセルロース系粉末含有樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸基含有樹脂、セルロース系粉末及び、イソシアネート系架橋剤から成る樹脂組成物に関するものであり、より詳細には剛性、耐衝撃性に優れることを特徴とする樹脂組成物およびその組成物からなる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境保全に対する関心の高まりから、石油由来樹脂の使用量削減に注目が集まっている。石油由来樹脂の使用量を削減する手段の一つとして、非石油由来材料による部分代替があり、非石油由来樹脂だけでなくセルロース系粉末などの木質材料も使用されている。これらセルロース系粉末を樹脂に複合化することはコストやリサイクル、廃棄性の観点で優れており、セルロース系粉末が主成分となる製品はプラスチックごみとして扱われなくなることから環境配慮のために普及が望まれている。
【0003】
しかし、これらセルロース系粉末複合化樹脂から成る製品は機械物性が劣り、特に耐衝撃性については種々の製品としての利用に耐えうる十分な強度を得ることが困難である。
【0004】
そのためセルロース系粉末複合化樹脂の機械強度を向上するための手法も開発されているが、これらの手法にも種々の問題点がある。
【0005】
特許文献1ではポリプロピレンと古紙の複合材について開示されているが、セルロース間の結合を切断するために大量の水を使用しており、脱水や乾燥にも大量のエネルギーを消費することから環境配慮の観点で問題がある。
【0006】
特許文献2ではエチレン―酢酸ビニル共重合体と古紙の複合材について開示されているが、これらの間の化学的結合が弱く、界面接着性が低いことから強度が十分ではない。
【0007】
特許文献3ではポリエチレンと木粉の複合材について開示されているが、混練温度が高いことによる木粉の劣化、変色などによる物性低下や外観不良が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-73231
【特許文献2】特開2000-265002
【特許文献3】特表2007-523252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、剛性、耐衝撃性に優れることを特徴とする樹脂組成物およびその組成物からなる成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の配合から成るセルロース系粉末含有樹脂組成物が剛性、耐衝撃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、セルロース系粉末(B)を1重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.01重量%以上2重量%以下(ここで(A)、(B)及び(C)の合計は100重量%とする)含むセルロース系粉末含有樹脂組成物及び該セルロース系粉末含有樹脂組成物を用いた成形体に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂組成物は耐衝撃性や破断伸度に優れており、これらの物性を要求される成形品に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一態様であるセルロース系粉末含有樹脂組成物について詳細に説明する。
【0014】
本発明は、水酸基含有樹脂(A)、セルロース系粉末(B)、イソシアネート系架橋剤(C)を含むセルロース系粉末含有樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」という。)である。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、水酸基含有樹脂(A)を含む。
【0016】
水酸基含有樹脂(A)としては、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体、エチレン―ビニルアルコール共重合体、エチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール重合体、ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシ基を持つアクリル酸系重合体、ポリグリセリンやポリグリセリンの部分エステル等のグリセリン系重合体が挙げられる。
【0017】
この中ではイソシアネート系架橋剤(C)存在下でセルロース系粉末(B)とブレンドした場合に剛性や耐衝撃性の改良性が大きいことから、エチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
【0018】
エチレン-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体は公知の製造方法により得られたエチレン―酢酸ビニル共重合体を加水分解処理することで得られる(「エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物」ともいう。)。このような樹脂は市販品の中から便宜選択することができる。エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物として、東ソー株式会社からメルセンHの商品名で市販されている。
【0019】
水酸基含有樹脂(A)のヒドロキシ基数は5以上50以下であることが好ましい。これより少ない、または多いと水酸基含有樹脂(A)がイソシアネート系架橋剤(C)を介してセルロース系粉末(B)と結合する効率が低下する。
【0020】
水酸基含有樹脂(A)の分子量は、成形体として使用でき得る剛性を有するという点で、重量平均分子量として好ましくは5,000以上50万以下である。ここでの重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0021】
水酸基含有樹脂(A)のメルトマスフローレートとしては特に限定されないが、成形加工性に優れることから、0.1g/10分以上1000g/10分以下であることが好ましく、0.5g/10分以上100g/10分以下であることがさらに好ましく、1g/10分以上30g/10分以下であることがまたさらに好ましい。
【0022】
本発明のセルロース系粉末(B)としては、特に限定されるものではないが、セルロースを微細化したセルロースパウダー、セルロースを主成分とする紙粉、木粉、パルプ、バカス、おが屑、木質繊維、籾殻が例示され、ヘミセルロース、リグニンと結合しているものでも良い。
【0023】
セルロース系粉末(B)の粒径は水酸基含有樹脂(A)との分散性の観点から10~200μmが好ましく、さらに好ましくは100μm以下、最も好ましくは50μm以下である。
【0024】
セルロース系粉末(B)の水分含有率が10%以下であるとイソシアネート系架橋剤(C)を介した水酸基含有樹脂(A)と結合性が向上することから好ましく、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。
【0025】
本発明のイソシアネート系架橋剤(C)は、イソシアネート基を2つ以上有し、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、またはこれらのアダクト体が例示される。なかでも安全性の観点から脂肪族アダクト体が好ましい。脂肪族アダクト体として、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体である東ソー株式会社製のコロネート2612等が市販されている。水酸基含有樹脂(A)及び、セルロース系粉末(B)およびイソシアネート系架橋剤(C)の3種を溶融混練することにより、水酸基含有樹脂(A)のヒドロキシ基と、セルロース系粉末(B)のヒドロキシ基がイソシアネート系架橋剤(C)を介し、ウレタン結合を形成することで水酸基含有樹脂(A)とセルロース系粉末(B)の架橋物が生成する。
【0026】
本発明の樹脂組成物における水酸基含有樹脂(A)、セルロース系粉末(B)、イソシアネート系架橋剤(C)の合計を100重量%として、混合比率は、水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上99重量%以下、セルロース系粉末(B)を1重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.01重量%以上2重量%以下であることが好ましい。環境性の観点からさらに好ましくは水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上80重量%以下、セルロース系粉末(B)を20重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.05重量%以上2重量%以下含み、最も好ましくは水酸基含有樹脂(A)を1重量%以上50重量%以下、セルロース系粉末(B)を50重量%以上99重量%以下、イソシアネート系架橋剤(C)を0.1重量%以上1重量%以下含む。セルロース系粉末(B)を50重量%以上含むことで、本発明の樹脂組成物からなる製品を廃棄する際にプラスチックごみとみなされなくなるため、廃棄性の観点から望ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物を混練する方法としては、水酸基含有樹脂(A)、セルロース系粉末(B)及びイソシアネート系架橋剤(C)を部分的に、または同時に混練装置で混練する方法が挙げられる。
【0028】
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤、鎖長延長剤、加水分解防止剤等が用いられても良い。
【0029】
本発明の樹脂組成物を得る手法は、本発明の目的が達成される限り特に限定はなく、従来公知の押出混練の手法を用いることができる。混練装置としては、各成分を均一に分散できれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂の混練装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダ-、回転ロール、インターナルミキサーなどの混練装置が挙げられる。混練温度は水酸基含有樹脂(A)の融点以上である80℃~180℃が好ましく、100~160℃以下がより好ましい。160℃以下で混練することで、セルロース系粉末の熱劣化や変色を低減することができる。
【0030】
以下に、本発明の一態様であるセルロース系粉末含有樹脂組成物からなる成形体について詳細に説明する。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、フィルム成形、ブロー成形、発泡成形、押出成形など、種々の成形加工に用いることができる。
【0032】
本発明の樹脂組成物は、マスターバッチとして他のポリマー(D)に混合することもできる。マスターバッチを配合するポリマー(D)として、熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―酢酸ビニル共重合体またはそのケン化物が挙げられる。
【0033】
ポリマー(D)を含む樹脂組成物においては、該樹脂組成物における(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100重量%に対して、セルロース系粉末(B)を25重量%以上50重量%以下含むことで機械強度、環境配慮を両立できることから好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、フィルム、シート、トレイ、発泡体、容器、人口木材などとして日用品、土木建築、電子電機、自動車車両部材、梱包等の分野に好適に用いられる。
【実施例0035】
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
(1)メルトマスフローレート(MFR)
水酸基含有樹脂(A)のMFRは、メルトインデクサー(宝工業製)にて190℃、2.16kg荷重の条件にて測定した。
【0037】
(2)酢酸ビニル含有率
酢酸ビニル含有率は、JIS K6924-1に準拠して測定した。
【0038】
(3)衝撃強度
プレス成型した厚み0.1mmのシートをパンクチャー衝撃試験機(東洋精機製、FT-M型)にて、試験容量3Jの条件にて測定した。
【0039】
(4)引張試験
プレス成型した厚み0.1mmのシートをASTM D―1822―L ダンベル状試験片に打ち抜き、テンシロン引張試験機(オリエンテック製、RTE―1210)にて、チャック間距離30mm、引張速度200mm/分の条件で測定した。試料が破断した点を破断伸度(破断伸度[%]=破断に要した引張長さ[mm]/チャック間距離30mm)とした。引張試験時における上降伏点応力を剛性の指標とした。
【0040】
実施例1
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体49.9重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)50重量%、イソシアネート系架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体0.1重量%(東ソー(株)製、商品名コロネート2612)の配合比となるように混合した混合物を、インターナルミキサーを用い140℃で溶融混練した。
【0041】
得られた混練物を、プレス成型機(神藤金属工業所製 AWFA-50型)を用いて、加熱温度160℃(一次加圧×3分、二次加圧×3分)、冷却温度25℃(4分)の条件にてプレス成型し、厚み0.1mmのプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0042】
実施例2
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体49.7重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、イソシアネート系架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体0.3重量%(東ソー(株)製、商品名コロネート2612)を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0043】
実施例3
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体79.9重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)20重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0044】
実施例4
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体79.7重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)20重量%、イソシアネート系架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体0.3重量%(東ソー(株)製、商品名コロネート2612)を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0045】
比較例1
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体50重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)50重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0046】
比較例2
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体45重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、イソシアネート系架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体5重量%(東ソー(株)製、商品名コロネート2612)を用いた以外は実施例1と同様の手法により混練したが、混練中の増粘により剛直化した混練物が粉砕され、シート加工することができなかった。
【0047】
比較例3
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体80重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)20重量%を用いた以外は実施例1と同様の手法によりプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、引張試験と衝撃試験を実施した。評価の結果を表1に示す。
【0048】
比較例4
水酸基含有樹脂(A)として酢酸ビニル含量7.9モル%、ビニルアルコール含量3.4モル%、メルトマスフローレイト5g/10分であるエチレン―酢酸ビニル―ビニルアルコール共重合体75重量%(東ソー(株)製 商品名メルセンH-3051R)、セルロース系粉末(B)として平均粒径37μmのセルロース粉末(日本製紙(株)製、商品名KCフロック W-100GK)20重量%、イソシアネート系架橋剤(C)としてヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体5重量%(東ソー(株)製、商品名コロネート2612)を用いた以外は実施例1と同様の手法により混練したが、混練中の増粘により剛直化した混練物が粉砕され、シート加工することができなかった。
【0049】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、剛性、耐衝撃性に優れることからフィルム、シート、トレイ、発泡体、容器、人口木材などとして日用品、土木建築、電子電機、自動車車両部材、梱包等の分野に好適に用いられる。