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特開2022-143587摘採日調整システムおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022143587
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】摘採日調整システムおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20220926BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20220926BHJP
【FI】
A01G7/00 603
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021044178
(22)【出願日】2021-03-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構「スマート農業加速化実証プロジェクト」、産業技術力強化法第17条の適用を受けるもの)」
(71)【出願人】
【識別番号】598054957
【氏名又は名称】鹿児島堀口製茶有限会社
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(71)【出願人】
【識別番号】514190453
【氏名又は名称】テラスマイル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】堀口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 俊
(72)【発明者】
【氏名】入来 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】角川 修
(72)【発明者】
【氏名】生駒 祐一
(72)【発明者】
【氏名】林戸 宏之
(72)【発明者】
【氏名】大苗 誠直
(72)【発明者】
【氏名】三森 孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製茶工場において茶期中の摘採計画を、摘採適期と工場の処理能力等を考慮した計画を策定することを支援できる技術を提供する。
【解決手段】萌芽日から仮の摘採日等を予測する第一予測装置と、仮の摘採日または萌芽日から算出した日に取得した生育データに基づいて、仮の摘採日よりも適切な摘採日を予測する第二予測装置とを備え、第二予測装置では、仮の摘採日に摘採した場合の予測収量に対して、一日あたりの工場処理量最大値を超えないように、仮の摘採日をより適切な摘採日へ調整した計画を策定することを支援できる技術。策定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圃場からなる茶畑群の最適な摘採日と摘採された茶を製茶する製茶工場の稼働とをバランスさせる摘採日調整システムであって、
萌芽日から仮の摘採日等を予測する第一予測装置と、
前記の仮の摘採日または萌芽日から算出した日に取得した生育データに基づいて前記の仮の摘採日よりも適切な摘採日を予測する第二予測装置と、を備え、
前記の第一予測装置は、
各圃場の萌芽日を入力する萌芽日入力手段と、
過去の萌芽日および摘採日の関係を記録した茶期予測テーブルや前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブルを予め記録した第一記憶手段と、
前記の茶期予測テーブルおよび前記の各圃場の萌芽日に基づいて圃場毎に第一の仮の摘採日である仮一摘採日を算出する仮一摘採日算出手段と、
を備え、
前記の第二予測装置は、
前記の仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日において測定した茶の生育状態に関する生育データを各圃場について入力する生育データ入力手段と、
前記の生育データおよび実際の生育との関係を記録した生育テーブルや製茶工場における処理最大値を記録した第二記録手段と、
前記の生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮一摘採日を補正した予測摘採日である仮二摘採日を算出する仮二摘採日算出手段と、
前記の仮二摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日における予測収量を算出する第二予測収量算出手段と、
その第二予測収量算出手段が算出した仮二摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働計画を仮立案する工場稼働演算手段と、
その工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調整手段と、
を備え、
前記の摘採日調整手段は、前記の工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して工場処理量最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場における実摘採日を前倒しまたは後倒しすることで調整することとした
ことを特徴とする摘採日調整システム。
【請求項2】
前記の第二記憶手段には、各圃場における優先度を記録してあり、
前記の摘採日調整手段は、前記の工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場に対して、優先度の低い圃場における実際の摘採日を後倒しすることで調整することとした
請求項1に記載の摘採日調整システム。
【請求項3】
前記の第一記憶手段には、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブルを予め記録しており、
前記の仮一摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮一摘採日の予測収量を算出する第一予測収量算出手段を備え、
前記の第二予測収量算出手段は、前記の第一予測収量算出手段が算出した予測収量をも用いることによって各圃場における仮二摘採日の予測収量を算出することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の摘採日調整システム。
【請求項4】
前記の測定日から前記の仮二摘採日までの間において第二測定日を設けることとし、
前記の第二予測装置には、
前記の第二測定日において測定した茶の生育状態に関する第二生育データを各圃場について入力する生育データ再入力手段と、
前記の第二生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮二摘採日を補正した予測摘採日である仮三摘採日を算出する仮三摘採日算出手段と、
前記の仮三摘採日を用いて各圃場における仮三摘採日における予測収量を算出する第三予測収量算出手段と、
その第三予測収量算出手段が算出した仮三摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働再計画を仮立案する工場稼働再演算手段と、
その工場稼働再演算手段が仮立案した稼働再計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調再整手段と、
を備えることとした請求項1から請求項3のいずれかに記載の摘採日調整システム。
【請求項5】
前記の第二記憶手段には、過去の実績データに基づいて作成したシグモイド曲線を描くことのできるシグモイドデータを記録しており、
前記の仮二摘採日算出手段は、前記のシグモイドデータをも用いて仮二摘採日を算出することとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載の摘採日調整システム。
【請求項6】
前記の第一記憶手段には、前記の各圃場の管理者に係る情報端末の連絡先を記憶しており、
その第一記憶手段に記憶された情報端末の連絡先を用いて、前記の摘採日調整手段が調整した実摘採日に係る圃場の管理者に係る情報端末へ、実摘採日の確認連絡を送信する摘採日確認手段を備え、
その摘採日確認手段は、前記の摘採日調整手段が調整した実摘採日を打診するためのデータを送信する摘採日送信手段と、
前記の圃場の管理者に係る情報端末からの返答を受信する返答受信手段と、
を備えることとした
請求項1から請求項5のいずれかに記載の摘採日調整システム。
【請求項7】
複数の圃場からなる茶畑群の最適な摘採日と摘採された茶を製茶する製茶工場の稼働とをバランスさせる摘採日調整システムを制御するコンピュータプログラムであって、
そのコンピュータプログラムは、
過去の萌芽日および摘採日の関係を記録した茶期予測テーブル、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブル、茶の生育状態に関する生育データおよび実際の生育との関係を記録した生育テーブル、および製茶工場における処理最大値を予め記録した記録手順と、
前記の各圃場の萌芽日を入力する萌芽日入力手順と、
前記の茶期予測テーブルおよび前記の各圃場の萌芽日に基づいて圃場毎に第一の仮の摘採日である仮一摘採日を算出する仮一摘採日算出手順と、
前記の仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日において測定した茶の生育状態に関する生育データを各圃場について入力する生育データ入力手順と、
前記の生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮一摘採日を補正した予測摘採日である仮二摘採日を算出する仮二摘採日算出手順と、
前記の仮二摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日の予測収量を算出する第二予測収量算出手順と、
その第二予測収量算出手順にて算出した仮二摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働計画を仮立案する工場稼働演算手順と、
その工場稼働演算手順にて仮立案した稼働計画に対して、工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場における実摘採日を前倒しまたは後倒しすることで各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調整手順と、
を前記の摘採日調整システムに実行させることとしたことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の記憶手順においては、各圃場における優先度を記録してあり、
前記の摘採日調整手順においては、前記の工場稼働演算手順にて仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場に対して、優先度の低い圃場における実際の摘採日を後倒しすることで調整することとした
請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の記憶手順においては、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブルを予め記録しており、
前記の仮一摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮一摘採日における予測収量を算出する第一予測収量算出手順をも前記の摘採日調整システムに実行させることとし、
前記の第二予測収量算出手順においては、前記の第一予測収量算出手順にて算出した予測収量をも用いることによって各圃場における仮二摘採日における予測収量を算出することとした
請求項7または請求項8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の測定日から前記の仮二摘採日までの間において第二測定日を設けることとし、
前記の第二測定日において測定した茶の生育状態に関する第二生育データを各圃場について入力する生育データ再入力手順と、
前記の第二生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮二摘採日を補正した予測摘採日である仮三摘採日を算出する仮三摘採日算出手順と、
前記の仮三摘採日を用いて各圃場における仮三摘採日における予測収量を算出する第三予測収量算出手順と、
その第三予測収量算出手順にて算出した仮三摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働再計画を仮立案する工場稼働再演算手順と、
その工場稼働再演算手順にて仮立案した稼働再計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調再整手順と、
を前記の摘採日調整システムに実行させることとした
請求項7から請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の記憶手順には、過去の実績データに基づいて作成したシグモイド曲線を描くことのできるシグモイドデータを記録しており、
前記の仮二摘採日算出手順においては、前記のシグモイドデータをも用いて仮二摘採日を算出することとした
請求項7から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記の記憶手順には、前記の各圃場の管理者に係る情報端末の連絡先を記憶しており、
前記の摘採日調整手順にて調整した実摘採日に係る圃場の管理者に係る情報端末へ、実摘採日の確認連絡を送信する摘採日確認手順を
を前記の摘採日調整システムに実行させることとし、
前記の摘採日確認手順には、前記の摘採日調整手順にて調整した実摘採日を打診するためのデータを送信する摘採日送信手順と、
前記の圃場の管理者に係る情報端末からの返答を受信する返答受信手順と、
を含むこととした
請求項7から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製茶工場の稼働限界を考慮して摘採日を最適化したり、製茶の高価格化を企図したりする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製茶工場は、摘採された茶葉を製茶するのであり、一日の稼働で処理できる量は決まっている。その一方、お茶は植物であるから、同じ地域で作付けされている場合には、気候や土地の土質などに大差がなければ、同じように生育するために、ほぼ同時期に最適な摘採時期(摘期)を迎えることとなる。
したがって、処理を担当する圃場(お茶畑)作付面積などに応じて、その処理能力に応じた製茶工場が、圃場の近傍に設置されている。
【0003】
一方、摘採される茶葉(ひいては製茶された製品としてのお茶)は、摘採されるタイミング(摘採日)に応じて、その品質が異なる。
茶葉の摘採時期は製茶品質を左右するので、最適な茶葉の生育状態で摘採することが望ましい。
【0004】
適期(最適な摘採日)よりも早期に摘採されてしまった場合の茶葉は、芽が小さいため、収量も少なくなる。また、葉色も十分緑色を呈さない状態で摘採してしまったら、製茶品質を落とすことになる。
【0005】
適期(最適な摘採日)よりも遅れて摘採されてしまった場合の茶葉は、その繊維質が増加して茶葉が硬化してしまうため、やはり製茶品質を落とす結果となってしまう。
【0006】
以上のような事情により、適期を予測する技術は、製茶に関わる人々の収益性を向上させるためには重要な技術である。
また、予測のためには過去のデータが参考となり、また重要である。そのため、各圃場にていつ摘採されたか、工場はいつがどのように稼働していたのか、といったデータを蓄積しており、毎年の適期の予測や工場の稼働状況の改善に役立てられてきた。
【0007】
たとえば、特許文献1には、光学データの取得によって、茶樹の新芽の摘採の適否を短時間且つ高い精度で簡易に判断可能な技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献2では、摘採した茶葉から得られた茶葉液を金属呈色試薬と接触させて、接触後の茶葉液の状態の変化を判定するという手法を用いる。その手法によって、長年の経験や天候データ、特殊な測定装置を必要とせず、茶園(現場)やその近くにおいて、茶葉の品質を簡単に検査して適切な摘採時期を判断することができる技術が開示されている。
【0009】
なお、萌芽期からの気温や雨量、施肥状況などをパラメータに生育状態を予測する研究も行われているが、摘採日までの日々のデータ入力など作業負荷が大きく、実用的とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013-231645号公報
【特許文献2】特開2015-161676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
光学データや茶葉液による測定結果をどのように活かせば工場稼働を最適化することになるのか、という点は、特許文献1,2に開示された技術では不十分であった。
光学データや茶葉液による測定結果によって最適な摘採日が予測できたとしても、製茶工場の稼働には限界がある。そのため、最適と予測された日に摘採したとしても、摘採した茶葉を製茶工場での加工が追い付かないとすれば、加工せずに保管せざるをえない。この保管は、製茶品質を著しく落とすこととなってしまう。
【0012】
保管を避けたい場合に、近隣にて稼働に余裕のある製茶工場へ生産委託する、という場合もある。しかし、生産委託が可能かどうかの連絡、可能である場合に摘採した茶葉の委託先への輸送、製茶が終了した茶葉の返送といった作業が増えることとなる。
【0013】
摘採された茶生葉が集中することが予想される場合には、摘採する量の割り当てを各圃場の生産者へ通知することで、工場の処理能力を超えないように調節しているのが現状である。その結果、予測した最適な摘採日がずれることとなる。
【0014】
以上説明したように、測定結果を工場の稼働状態との関係に活かすプロセスまでを開発しなければ、全体を最適化したり、収益を最大化したりすることに繋がらない。
本発明が解決しようとする課題は、お茶の生育データに基づいて予測した摘採日について、工場稼働との関係を考慮して摘採日を調整していくことのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した課題を解決するため、本願では、第一の発明として摘採日調整システム、第二の発明として摘採日調整プログラムを提供する。
【0016】
(第一の発明)
第一の発明は、複数の圃場からなる茶畑群の最適な摘採日と摘採された茶を製茶する製茶工場の稼働とをバランスさせる摘採日調整システムに係り、
萌芽日から仮の摘採日等を予測する第一予測装置(図5参照)と、
前記の仮の摘採日または萌芽日から算出した日に取得した生育データに基づいて前記の仮の摘採日よりも適切な摘採日を予測する第二予測装置(図6参照)と、を備える。
前記の第一予測装置は、
各圃場の茶の萌芽日を入力する萌芽日入力手段と、
過去の萌芽日および摘採日の関係を記録した茶期予測テーブルを予め記録した第一記憶手段と、
前記の茶期予測テーブルおよび前記の各圃場の萌芽日に基づいて圃場毎に第一の仮の摘採日である仮一摘採日を算出する仮一摘採日算出手段と、
を備える。
前記の第二予測装置は、
前記の仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日において測定した茶の生育状態に関する生育データを各圃場について入力する生育データ入力手段と、
前記の生育データおよび実際の生育との関係を記録した生育テーブルを記録した第二記録手段と、
前記の生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮一摘採日を補正した予測摘採日である仮二摘採日を算出する仮二摘採日算出手段と、
前記の仮二摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日における予測収量を算出する第二予測収量算出手段と、
その第二予測収量算出手段が算出した仮二摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働計画を仮立案する工場稼働演算手段と、
その工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調整手段と、
を備える。
前記の摘採日調整手段は、前記の工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して、製茶工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場における実摘採日を前倒しまたは後倒しすることで調整する。
【0017】
(用語説明)
「萌芽日(萌芽期)」とは、萌芽率が70%に達した日のことをいう。摘採日までの目安となる。静岡県であれば、萌芽期(萌芽日)の30~40日後が「摘採日」となる。
「仮二摘採日」は、複数日とする場合(図6)と、最適な一日だけとする場合とがある。「摘採日調整手段」による調整を可能とするためには複数日とすることが一般的である。ただし、後述する「優先度」を用いる場合には、優先度が高い圃場における仮二摘採日は、最適な一日としてもよい。
「仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日」とは、茶葉が摘採日に近づいた日であって、摘採日を予測する生育データを測定しやすい日である。具体的には、仮一摘採日の3~10日前くらいである。萌芽日から20~25日目くらいとすることもできる。
「茶の生育状態に関する生育データ」とは、繊維量、窒素量、葉緑素量、開葉数のうちいずれか、あるいはそれらの複数の組み合わせを用いる。
【0018】
(作用)
第一予測装置の第一記憶手段においては、過去の萌芽日および摘採日の関係を記録した茶期予測テーブルを予め記録している。 各圃場の茶の萌芽日を、萌芽日入力手段が入力する。そして、茶期予測テーブルおよび各圃場の萌芽日に基づいて、圃場毎に第一の仮の摘採日である仮一摘採日を仮一摘採日算出手段が算出する。
【0019】
第二予測装置の第二記録手段においては、生育データおよび実際の生育との関係を記録した生育テーブルや製茶工場の処理能力などを記録した圃場データテーブル等を記録する。仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日において、測定した茶の生育状態に関する生育データを各圃場について生育データ入力手段が入力する。そして、生育データおよび生育テーブルに基づいて、仮一摘採日を補正した予測摘採日である仮二摘採日を、仮二摘採日算出手段が算出する。更に、仮二摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日における予測収量を、第二予測収量算出手段が算出する。算出した仮二摘採日における予測収量および前記の圃場データテーブルに基づいて、製茶工場の稼働計画を工場稼働演算手段が仮立案する。そして、仮立案した稼働計画に基づいて、各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を摘採日調整手段が調整する。
調整の手法としては、工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場における実摘採日を前倒し、または後倒しする。
【0020】
仮立案された製茶工場の稼働計画に対して、実摘採日を調整することによって、製茶工場が一日の処理能力を超える摘採は実施されない。それによって、摘採されたのに製茶されずに放置される茶葉は、理論上は存在しないこととなる。結果、摘採されたにもかかわらず製茶されるタイミングが遅れることで品質の低下してしまう製茶を減らし、全体の収益性の改善に寄与することとなる。
【0021】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の第二記憶手段には、各圃場における優先度を記録してあり、
前記の摘採日調整手段は、前記の工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場に対して、優先度の低い圃場における実際の摘採日を後倒しすることで調整することとするのである(図9参照)。
【0022】
(用語説明)
「優先度」とは、各圃場に設定される他の圃場よりも優先して摘採する必要性の度合いを示す値である。複数段階の設定値(たとえば1~5)でも良いし、満点を定めた点数設定(たとえば図9に示すような100点満点)でもよい。
たとえば、極めて品質の高い(価格が高価な)お茶が摘採できる圃場は、最適な摘採日に摘採しても品質の高いお茶が摘採できない圃場よりも優先度を高く、予め設定しておくのである。
「優先度」と「仮二摘採日」との関係としては、優先度の高い圃場においては仮二摘採日の幅を減らし、優先度の低い圃場においては仮二摘採日の幅を増やすこととしてもよい。たとえば、優先度100の圃場では仮二摘採日を一日だけとして算出し、優先度が70~90の圃場では仮二摘採日を二日間として算出し、優先度が70未満の圃場では仮二摘採日を三日間として算出する。
【0023】
(作用)
摘採日調整手段は、工場稼働演算手段が仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場が存在する場合、その稼働計画に対して、優先度の低い圃場における実際の摘採日を後倒しすることで、工場における処理最大値を超えることなく調整する。
【0024】
優先度というパラメータを採用することによって、製茶となった際に高価格となる圃場を最適な摘採日にて摘採する、といった調整を可能とする。これによって、全体の収益性の改善に寄与することとなる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の第一記憶手段には、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブルを予め記録しており、
前記の仮一摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮一摘採日での予測収量を算出する第一予測収量算出手段を備え、
前記の第二予測収量算出手段は、前記の第一予測収量算出手段が算出した予測収量をも用いることによって各圃場における仮二摘採日の予測収量を算出することとするのである(図5参照)。
【0026】
(作用)
仮一摘採日および圃場データテーブルを用いて各圃場における仮一摘採日における予測収量を、第一予測収量算出手段が算出する。第二予測収量算出手段は、前記の第一予測収量算出手段が算出した予測収量をも用いることによって、各圃場における仮二摘採日の予測収量を算出する。
過去の収量を予め記録しているので、予測収量の算出における負荷を軽減できる。
【0027】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の測定日から前記の仮二摘採日までの間において第二測定日を設けることとし、
前記の第二予測装置には、前記の第二測定日において測定した茶の生育状態に関する第二生育データを各圃場について入力する生育データ再入力手段と、
前記の第二生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮二摘採日を補正した予測摘採日である仮三摘採日を算出する仮三摘採日算出手段と、
前記の仮三摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日における予測収量を算出する第三予測収量算出手段と、
その第三予測収量算出手段が算出した仮三摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働再計画を仮立案する工場稼働再演算手段と、
その工場稼働再演算手段が仮立案した稼働再計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日再調整手段と、
を備えることとするのである(図7参照)。
【0028】
(作用)
測定日から仮二摘採日までの間に設定した第二測定日において、茶の生育状態に関する第二生育データを各圃場について測定し、生育データ再入力手段が入力する。
第二生育データおよび生育テーブルに基づいて、仮三摘採日算出手段が仮二摘採日を補正した予測摘採日である仮三摘採日を算出する。そして、その仮三摘採日を用いて各圃場における仮三摘採日における予測収量を、第三予測収量算出手段が算出する。
その第三予測収量算出手段が算出した仮三摘採日における予測収量に基づいて、工場稼働再演算手段が製茶工場の稼働再計画を仮立案する。その稼働再計画に基づいて、各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を摘採日再調整手段が調整する。
【0029】
前述の「第二測定日」を複数としてもよい。そうすると、製茶工場の稼働計画がより緻密になる。
【0030】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の第二記憶手段には、過去の実績データに基づいて作成したシグモイド曲線を描くことのできるシグモイドデータを記録しており、
前記の仮二摘採日算出手段は、前記のシグモイドデータをも用いて仮二摘採日を算出することとするのである。
【0031】
(用語説明)
「シグモイド曲線(sigmoid curve)」とは、植物の萌芽期からの経過日数と生育度合いを示す値との関係を示した曲線である(図10参照)。
【0032】
(作用)
仮二摘採日算出手段は、前記のシグモイドデータをも用いて仮二摘採日を算出するので、シグモイドデータを用いない場合に比べて仮二摘採日が的確となる場合が多い。
【0033】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の第一記憶手段には、前記の各圃場の管理者に係る情報端末の連絡先を記憶しており、
その第一記憶手段に記憶された情報端末の連絡先を用いて、前記の摘採日調整手段が調整した実摘採日に係る圃場の管理者に係る情報端末へ、実摘採日の確認連絡を送信する摘採日確認手段を備え、
その摘採日確認手段は、前記の摘採日調整手段が調整した実摘採日を打診するためのデータを送信する摘採日送信手段と、
前記の圃場の管理者に係る情報端末からの返答を受信する返答受信手段と、
を備えることとするのである(図8参照)。
【0034】
(作用)
摘採日確認手段の摘採日送信手段は、第一記憶手段に記憶された情報端末の連絡先を用いて、摘採日調整手段が調整した実摘採日に係る圃場の管理者に係る情報端末へ、実摘採日の確認連絡を送信する。
実摘採日の確認連絡を受信した圃場の管理者は、その情報端末にて返答を送信し、その返答を返答受信手段が受信する。管理者が実摘採日を受諾した場合、実摘採日が確定することとなる(図8では、実摘採日が確定摘採日となった旨を示している)
摘採日確認手段を備え(圃場の管理者への確認手段を確保し)たことで、実摘採日を確実に実行することに寄与する。
【0035】
(第二の発明)
第二の発明は、複数の圃場からなる茶畑群の最適な摘採日と摘採された茶を製茶する製茶工場の稼働とをバランスさせる摘採日調整システムを制御するコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、
過去の萌芽日および摘採日の関係を記録した茶期予測テーブル、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブル、茶の生育状態に関する生育データおよび実際の生育との関係を記録した生育テーブル、および製茶工場における処理最大値を予め記録した記録手順と、
前記の各圃場の萌芽日を入力する萌芽日入力手順と、
前記の茶期予測テーブルおよび前記の各圃場の萌芽日に基づいて圃場毎に第一の仮の摘採日である仮一摘採日を算出する仮一摘採日算出手順と、
前記の仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日において測定した茶の生育状態に関する生育データを各圃場について入力する生育データ入力手順と、
前記の生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮一摘採日を補正した予測摘採日である仮二摘採日を算出する仮二摘採日算出手順と、
前記の仮二摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮二摘採日の予測収量を算出する第二予測収量算出手順と、
その第二予測収量算出手順にて算出した仮二摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働計画を仮立案する工場稼働演算手順と、
その工場稼働演算手順にて仮立案した稼働計画に対して、工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場における実摘採日を前倒しまたは後倒しすることで各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調整手順と、
を前記の摘採日調整システムに実行させることとしたことを特徴とする。
【0036】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、前記の記憶手順においては、各圃場における優先度を記録してあり、
前記の摘採日調整手順においては前記の工場稼働演算手順にて仮立案した稼働計画に対して工場における処理最大値を超える予測収量の前記の仮二摘採日に係る圃場に対して、優先度の低い圃場における実際の摘採日を後倒しすることで調整することとしてもよい。
【0037】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の記憶手順においては、前記の各圃場における過去の収量を記録した圃場データテーブルを予め記録しており、
前記の仮一摘採日および前記の圃場データテーブルを用いて各圃場における仮一摘採日における予測収量を算出する第一予測収量算出手順をも前記の摘採日調整システムに実行させることとし、
前記の第二予測収量算出手順においては、前記の第一予測収量算出手順にて算出した予測収量をも用いることによって各圃場における仮二摘採日における予測収量を算出することとするのである。
【0038】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の測定日から前記の仮二摘採日までの間において第二測定日を設けることとし、
前記の第二測定日において測定した茶の生育状態に関する第二生育データを各圃場について入力する生育データ再入力手順と、
前記の第二生育データおよび前記の生育テーブルに基づいて前記の仮二摘採日を補正した予測摘採日である仮三摘採日を算出する仮三摘採日算出手順と、
前記の仮三摘採日を用いて各圃場における仮三摘採日における予測収量を算出する第三予測収量算出手順と、
その第三予測収量算出手順にて算出した仮三摘採日における予測収量に基づいて製茶工場の稼働再計画を仮立案する工場稼働再演算手順と、
その工場稼働再演算手順にて仮立案した稼働再計画に基づいて各圃場における実際の摘採日となる実摘採日を調整する摘採日調再整手順と、
を前記の摘採日調整システムに実行させることとするのである。
【0039】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の記憶手順には、過去の実績データに基づいて作成したシグモイド曲線を描くことのできるシグモイドデータを記録しており、
前記の仮二摘採日算出手順においては、前記のシグモイドデータをも用いて仮二摘採日を算出することとするのである。
【0040】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の記憶手順には、前記の各圃場の管理者に係る情報端末の連絡先を記憶しており、
前記の摘採日調整手順にて調整した実摘採日に係る圃場の管理者に係る情報端末へ、実摘採日の確認連絡を送信する摘採日確認手順
を前記の摘採日調整システムに実行させることとし、
前記の摘採日確認手順には、前記の摘採日調整手順にて調整した実摘採日を打診するためのデータを送信する摘採日送信手順と、
前記の圃場の管理者に係る情報端末からの返答を受信する返答受信手順と、
を含むこととするのである。
【0041】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末やサーバへ伝送することも可能である。
また、第二の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0042】
第一の発明によれば、お茶の生育データに基づいて予測した摘採日について、工場稼働との関係を考慮して摘採日を調整していくことのできる摘採日調整システムを提供することができた。
第二の発明によれば、お茶の生育データに基づいて予測した摘採日について、工場稼働との関係を考慮して摘採日を調整していくことのできる摘採日調整システムの制御プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】(a)は萌芽を確認した萌芽日から茶期予測をして工場稼働計画を策定する関係を、(b)は茶期の7日前に予測を補正する補正日に摘採予測や予測収量を補正し、工場稼働計画も補正する関係を、それぞれ概念的に示した図である。
図2】萌芽日に策定した予測収量を機械的に積算して策定した工場稼働計画のモデルを示した概念図である。
図3】萌芽日に策定した工場稼働計画Aに対して、繊維量や窒素量を測定することで仮二摘採日を予測して予測収量を補正し、それに基づいて工場稼働計画B1を策定し、更に仮二摘採日を処理量の最大値から調整するようにした概念図である。
図4】摘採日を補正し、摘採日を調整するという全体の流れを示すブロック図(情報処理の手順を含む)である。
図5】萌芽日から仮一摘採日を予測する第一予測装置を示すブロック図(情報処理の手順を含む)である。
図6】生育データを用いて仮二摘採日を算出する第二予測装置と、実摘採日へ調整する手段を示すブロック図(情報処理の手順を含む)ある。
図7】第二予測装置を複数回使用して精度向上を図る場合を示すブロック図(情報処理の手順を含む)である。
図8】第二予測装置が算出した摘採予定日を実行して良いか否かを関係者へ確認する構成を示すブロック図(情報処理の手順を含む)である。
図9】圃場の優先順位と工場稼働の演算との関係を示すフローチャートである。
図10】茶種に応じた萌芽期からの出開き度拡張値の変化を示すシグモイド曲線の具体例である。
図11】(a)は萌芽期から摘採計画を策定した実例、(b)は生育状態を調査して計画を補正した実例をそれぞれ示す表である。
図12】(a)は工場処理量を勘案せずに策定した摘採計画の実例、(b)は工場処理量の最大値にて調整した摘採計画の実例をそれぞれ示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を実施する形態を、図とともに説明する。ここで使用する図面は、図1から図12である。
【0045】
図1
図1(a)では、ある圃場でのお茶の萌芽を確認(萌芽率が70%に達したと確認)した日が4月1日であった場合に、摘採予測A、予測収量Aを出力し、全圃場についてそうした出力結果を集計することで、製茶工場の稼働計画Aを策定した旨を、概念的に示している。
萌芽日が確認できると、茶期はその30~40日後であることが過去のデータから把握できる。したがって茶期予測Aは、5月1~10日と予測できることとなる。
【0046】
萌芽日は一日だけではなく、圃場ごとに萌芽期が異なる場合もあるが、萌芽を確認した日を萌芽日としている。
所定の製茶工場にて製茶をする予定の全ての圃場について萌芽を確認できれば、工場稼働計画Aを策定できることとなる。
【0047】
図1(b)では、前述の萌芽日から予測した茶期予測Aの7日前において、繊維量測定や窒素量測定を実施し、茶期予測Bを新たに作成(茶期予測Aを補正)する旨を、概念的に示している。
測定対象を繊維量、窒素量として図に記載して説明したが、お茶の成長データとして用いることができる測定であれば、繊維量、窒素量に限らなくても良い。たとえば、葉緑素量、開葉数などで代用しても良いし、複数の測定値を組み合わせても良い。
【0048】
図2
図2では、摘採予測Aが萌芽日から予測される各圃場の「予測収量」を仮一摘採日に製茶工場を稼働させる日(稼働日)であると仮定し、その処理量を単純に総計したのが、2020年4月3日に作成した工場稼働計画Aである、ということを示している。
工場稼働計画Aを作成した4月3日の時点では、生育データが無いので、工場における最大処理量を考慮しての調整をする意味がないため、調整は行わない。
【0049】
圃場Jの萌芽確認日が4月1日なので、仮一摘採日は5月1日となる。また、過去の収量実績などのデータから、予測収量が11トン(図中では、「トン」を「t」と略記する)としている。また、他の圃場は以下の通りであったとする。
圃場Kでは、萌芽確認日が4月2日なので、仮一摘採日は5月2日で、予測収量は14トン、
圃場Lでは、萌芽確認日が4月2日なので、仮一摘採日は5月2日で、予測収量は15トン、
圃場Mでは、萌芽確認日が4月3日なので、仮一摘採日は5月3日で、予測収量は28トン、
圃場Nでは、萌芽確認日が4月3日なので、仮一摘採日は5月3日で、予測収量は20トン。
【0050】
前述の仮一摘採日に収穫した茶葉を、全て製茶工場にて処理すると仮定した場合、4月3日に策定した工場稼働計画Aでは、5月1日は圃場Jの摘採分のみなので11トン、5月2日は圃場KおよびLの摘採分なので29トン、5月3日は圃場MおよびNの摘採分なので48トンとなる。
この工場稼働計画Aでは、単純な積算のみしかしていない。4月3日の時点では茶葉の生育データがないので、工場の最大処理量を考慮した調整をしても無意味だからである。
【0051】
図3
図3では、4月23日にお茶の成長に関する測定データを取得することで摘採日を(仮二摘採日へ)補正し、その仮二摘採日における予測収量Bを作成し、更にその予測収量Bから、工場稼働計画Bを作成する手順を示している。
【0052】
4月3日に策定した工場稼働計画Aでは、5月1日は11トン、5月2日は29トン、5月3日は48トンであったが、茶葉の繊維量や窒素量を測定することで、機械的に算出した仮一摘採日を補正した仮二摘採日および予測収量Bを算定する。
仮二摘採日は、前後3日と幅を持たせている。実摘採日を決定する際の調整幅とするためである。
【0053】
続いて、仮二摘採日の初日に摘採した場合の製茶工場における処理量を単純に積算することで、工場稼働計画B1を策定する。
ここでは、5月1日は圃場Jの12トン、5月2日は圃場Kの15トン、5月3日は圃場Lの14トン、5月4日は圃場MおよびNの44トン、となる。
【0054】
製茶工場における一日の処理量の最大値は15トンであるので、全ての日で最大値が15トン以下となるように、仮二摘採日の幅を使って調整し、工場稼働計画B2とする。具体的には、実摘採日が5月4日に刈り取る圃場をNのみとして15トン、5月5日および5月6日に刈り取る圃場は、Mの半分とする。
圃場Mの予測収量は29トンであったが、実摘採日が一日延びると茶葉が成長するので、5月5日および5月6日の収量は、29トンの半分である14.5トンよりも多い、それぞれ14.7トン、14.9トンとしている。
【0055】
図4
図4は、摘採日の補正や摘採日の調整を実行するコンピュータが、どのような機能をなすかについて、入力、記憶、演算、出力の各手段に分けて説明した情報処理の手順を含むブロック図である。
【0056】
摘採日の補正は、生育データに基づいて仮一摘採日から仮二摘採日へ補正するとともに、仮二摘採日の予測収量を実行する。
萌芽期(萌芽した日付)を入力手段へ入力すると、30~40日を加算した仮一摘採日が自動算出され、仮一摘採日の7日前に生育データを入力すべき旨の指示が出る。指示の日が来たら生育データを測定し、入力手段から入力する。
【0057】
記憶手段には、過去の生育データと生育結果との関係を示すシグモイド曲線を描くための公式やデータ、パラメータなどが予め記憶されている。
演算手段では、入力手段にて入力された生育データと、記憶手段に記憶されていたシグモイド曲線を描くための公式やデータ等とを用いて、圃場毎の仮二摘採日、および仮二摘採日において予測される収量を演算する。演算手段の演算結果は、出力手段にて出力される。
【0058】
摘採日の調整は、前述した摘採日の補正における仮二摘採日および仮二摘採日において予測される収量を入力する。そして、記憶手段に予め記憶されている各圃場の過去の収量データを用いて、仮二摘採日ごとの工場稼働計画(図3における工場稼働計画B1)を第一演算手段が演算する。
【0059】
仮二摘採日ごとの工場稼働計画に対して、第二演算手段は、記憶手段に予め記憶されている工場処理最大値を勘案し、圃場ごとに摘採日を調整し、実摘採日を決定する。出力手段では調整後の稼働計画(図3における工場稼働計画B2)を出力する。
【0060】
図5
図5は、図4にて説明した摘採日の補正を実行するコンピュータが、どのような機能をなすかについて、より詳細に示したものである。
第一記憶手段には、萌芽日と摘採日との関係といった過去データから作成した茶期予測テーブルや、圃場毎に管理者の連絡先、作付面積、過去の収量など過去データから作成した圃場データテーブルなどが格納されている。
萌芽日入力手段においては、各圃場において萌芽期(萌芽日)、つまり萌芽を確認した日を入力する。
【0061】
仮一摘採日算出手段は、前述の茶期予測テーブルから仮一摘採日を算出する。
算出された仮一摘採日は、第一予測収量算出手段において、前述の圃場データテーブルを用いて第一予測収量を演算する。そして、演算された第一予測収量を用いて、第一予測出力手段が第一予測(仮一摘採日とその予測収量)を出力する。
【0062】
図6
図6は、図4にて説明した摘採日の調整を実行するコンピュータが、どのような機能をなすかについて、より詳細に示したものである。
第二記憶手段には、製茶工場において一日に処理できる最大値である工場処理量最大値と、過去の生育データおよび茶場の成長データ(シグモイド曲線を描くための各種データを含む)を用いて作成した成長テーブルとが予め格納されている。
【0063】
生育データ入力手段では、各圃場における仮一摘採日または萌芽日から算出した測定日、具体的には7日前の生育データを入力する。測定日は、萌芽日から20~25日目くらい、または仮一摘採日の3~10日前くらいである。
生育データとしては、図6では繊維量と窒素量の2種類を入力したものとしているが、葉緑素量、開葉数を加えたうちのいずれか、あるいはそれらの複数の組み合わせを用いることができる。
【0064】
前述の成長テーブルと生育データとを用いて、仮二摘採日算出手段が仮二摘採日を算出する。仮二摘採日は、萌芽日から単純計算された仮一摘採日よりも、摘採にはより適した日となるはずである。
仮二摘採日は、仮一摘採日と異なり、最適な日を中心に前後1日を含めた合計3日間として算出することとしている。実際の摘採日を決定する際の調整を実行可能とするためである。
【0065】
算出された仮二摘採日と、前述の圃場データテーブルとを用いて、第二予測収量算出手段が第二予測収量を算出する。この第二予測収量算出手段では、仮二摘採日の初日を用いることとして例示しているが、中央の日や最終日を用いることとする場合、複数種類の第二予測収量を算出する場合などもある。
【0066】
工場稼働演算手段は、第二予測収量および仮二摘採日(の初日)を製茶工場の仮の稼働日とした場合において、仮二摘採日に摘採した茶葉をその日に処理するとした仮の処理量を算出する。算出した仮の処理量に対して、製茶工場における処理量の最大値は一日で15トンである旨(工場処理量最大値)を用いて、摘採日調整手段が、工場処理量最大値を上回る仮の稼働日に対して、仮二摘採日を変更した実摘採日を探索して調整する。
【0067】
摘採日調整手段が調整した「実摘採日」については、摘採日確認手段を用いて、圃場の責任者へ連絡をして最終決定する。その最終決定については、図8を用いて説明する。
【0068】
図7
図7は、生育データを複数回取得し、摘採日としてより最適な候補日を選び直したり、その選び直した摘採日の候補日から工場処理量最大値を考慮した調整を実行したりする場合のブロック図(情報処理の手順を含む)である。
【0069】
4月23日(第一測定日)に生育データを入力するのは同じであり、第二予測を出力するまでは、図6を用いて前述した手順とほぼ変わらない。図7では、第二予測出力手段が出力する第二予測に対しては、工場処理量最大値を考慮した調整が必要ないため、工場稼働演算手段による仮の稼働日および仮の処理量を算出としていない(この点が。図6で説明したものと異なる)。
ただし、複数回の生育データの取得(およびその入力)を予定していたにも関わらず、二度目以降のデータ取得ができなくなるなどのこともあり得る。よって、第二予測に基づいた工場稼働演算手段や摘採日調整手段を作動させ、実摘採日、処理量、対処圃場などを演算しておくことは有益である。
【0070】
前述の第一測定日の後であって、仮二摘採日の前のいずれかの日(第二測定日)に、再び生育データを取得して入力する。図7における第二測定日は、4月27日とした。
第二測定日における生育データは、生育データ再入力手段にて入力する。そして、仮三摘採日算出手段が、仮二摘採日を補正した仮三摘採日を算出する。成長テーブル等を用いて第三予測収量算出手段が仮三摘採日における第三予測を算出する。そして、その第三予測を用いて工場稼働再演算手段が算出した工場稼働計画に対し、工場処理量最大値を用いて摘採日再調整手段が摘採日を再調整する。
【0071】
生育データを1回や2回にとどまらず、3回以上取得する、ということも技術的には可能である。詳細な手順については、図7にて示した実施形態と同趣旨であるので、説明を省略する。
【0072】
図8
図8は、図6の最下部に示した摘採日確認手段を、その直上に示した摘採日調整手段を含めて詳述したブロック図である。二点破線の矢印は無線通信を、実線の矢印は有線通信を、それぞれ表している。
【0073】
摘採日確認手段においては、摘採日調整手段が調整した圃場ごとの実摘採日に関するデータから連絡すべき圃場の実摘採日データをデータ入力手段が抜き出す。そして、記憶手段に記憶されている該当の圃場(J)の連絡先データを用いて、摘採日送信手段が圃場(J)の管理者へ電子メールにて確認の文面データを送信する。
【0074】
圃場Jの管理者は、自らに係る携帯情報端末(スマートフォンなど)で電子メールを受信し、圃場の摘採日が5月1日であるという内容の打診(圃場Jは5月1日に摘採すれば、製茶工場の処理に問題はなく、当日に製茶処理が完了できる見込みがたっている旨)を読む。そして、受諾するか、摘採日の変更を希望する(変更を希望する場合には希望摘採日のデータを含める)か、を返信する。
【0075】
図示を省略するが、摘採日送信手段が打診を送信しても、所定の時間が過ぎて返信がない場合、再送信をしたり、オペレータによる電話に切り替えたりすることとしてもよい。また、最初からオペレータによる電話としてもよい。
【0076】
受諾するか、摘採日の変更を希望するかの返信は、返答受信手段が受信する。そして、受諾の場合には、実摘採日が確定摘採日となり、確定摘採日の出力手段がその旨を出力する。
なお、摘採日の変更を希望する旨の返信を返答受信手段が受信した場合(図8中では破線で示している)、稼働日の再演算手段が希望摘採日に基づいて、工場処理量最大値を勘案して再演算することとなる。そして、再演算の結果は、確定摘採日の出力手段が出力する。
【0077】
図9
図9は、圃場に「優先度」というパラメータを導入し、各圃場における優先度データを定めて予め記憶手段へ記憶させておき、その優先度に基づいた稼働計画の調整(摘採日調整手段による調整)を実行する場合のアルゴリズムの一例を示している。 図9に示したアルゴリズムは、極めて単純化して示している。したがって、更なる合理的なアルゴリズムを採用することを妨げるものではない。
ここで「優先度」については、他の圃場よりも優先して摘採する必要性の度合いを示す値であり、圃場毎に100満点で決めてある。相対的な順位で代用する場合もある。
【0078】
まず、優先度を勘案せずに、稼働計画を(工場稼働演算手段が)仮立案する(S1)。続いて、仮立案に係る仮の工場稼働日における仮の処理量について、工場処理量最大値を超える日があるか否かを(摘採日調整手段において)判断する(S2)。
【0079】
超える日がある場合には、稼働計画における当該該当日で摘採を予定している圃場の中に、優先度の低い圃場がある場合に、その圃場における摘採予定日を後倒しし、稼働計画を調整する(S3)。調整結果に対して再び、工場処理量最大値を超える日があるか否か、を判断するステップ(S2)を繰り返す。
【0080】
仮立案の稼働計画において工場処理量最大値を超える日がない場合、あるいは優先度を勘案した調整を経て工場処理量最大値を超える日がなくなった場合、稼働計画の調整を終え(S4)、終了する。
図9に示した例の場合、圃場Mの優先度が他の圃場に比べて低いので、後倒しされる確率が高くなる。
【0081】
なお、「優先度」と図6などで示した仮二摘採日算出手段によって算出する「仮二摘採日」との関係としては、優先度の高い圃場においては仮二摘採日の幅を減らし、優先度の低い圃場においては仮二摘採日の幅を増やすこととしてもよい(図示は省略)。
たとえば、優先度100の圃場では仮二摘採日を一日だけとして算出し、優先度が70~90の圃場では仮二摘採日を二日間として算出し、優先度が70未満の圃場では仮二摘採日を三日間として算出することとするのである。
【0082】
図10
図10は、萌芽期からの経過日数と出開き度拡張値(%)との関係を、最終用途としてのお茶の種類に応じて示した曲線(シグモイド曲線)である。
ここで「お茶の種類」とは、露地栽培によるドリンク用煎茶、被覆栽培によるドリンク用煎茶、碾茶、普通煎茶の4種類としている。
【0083】
シグモイド曲線は、以下のような式で表される。
【0084】
また、生育データとして繊維量を選択した場合、シグモイド曲線の拡張式は、以下のように示すことができる。
【0085】
k、m、aは、本茶・碾茶・露地栽培・被覆栽培など茶種によって決定される係数(定数)、xは萌芽期を0日として起算される経過日数である。これらのパラメータは、過去の計測データや生育データの取得の際の観察、などに基づいて算出する。
【0086】
設定された予測摘採日に対し、予測収量、予測繊維量、予測窒素量、予測葉緑素量、開葉数などは、式(2)で求められる出開き度拡張値の相関量を求める関数の値として求められる。
予測収量、予測繊維値(%)、予測開葉数を求めるための関数を用いた式を、以下に示す。
W(x) 萌芽日から x 日経過した時の収量の予測値
f(x) 萌芽日から x 日経過した時の出開き度拡張値
b、c 露地、被覆、樹勢などによって決められる係数(定数)
【0087】
F(x) 萌芽日から x 日経過した時の繊維量の予測値
f(x) 萌芽日から x 日経過した時の出開き度拡張値
g、h 露地、被覆、樹勢などによって決められる係数(定数)
【0088】
L(x) 萌芽期から x 日経過した時の開葉数の予測値
f(x) 萌芽期から x 日経過した時の出開き度拡張値
j 露地、被覆、樹勢などによって決められる係数(定数)
【0089】
前述した式を用いて、育成データを取得する日を決めることもできる。
また、前述した各パラメータは、今後の測定データの追加や、算出値と実測値とのズレなどを勘案し、適宜の修正(更新)が続くものと推測される。
【0090】
図11
図11は、単純化して図6に示した摘採日の調整を、より具体的に示したものである。
101から112までの12の圃場があり、茶種としては全て露地の栽培となっている。そして、これらの圃場は、萌芽期が4月1日から4日であった。その萌芽期から導出した仮一摘採日に対して、生育データの測定日において繊維量を測定し、予想される摘採日(仮二摘採日)や収量に基づいて摘採計画を策定したのが図11(a)である。
【0091】
4月30日を仮二摘採日としている圃場は、102,110,111であり、収量の予測値はそれぞれ2660、5920、3260kgである。
5月1日を仮二摘採日としている圃場は、104,105,106,112であり、収量の予測値はそれぞれ6850、7450、3730、3510kgである。
5月2日を仮二摘採日としている圃場は、101,107,109であり、収量の予測値はそれぞれ4840、6180、3590kgである。
5月3日を仮二摘採日としている圃場は、103,108であり、収量の予測値はそれぞれ5210、6120kgである。
【0092】
4月24日に、圃場104,105,106,112の繊維量を測定したところ、それぞれ18.39,18.35、18.24、18.58であった。つまり、5月1日を仮二摘採日としている4つの圃場の中では、圃場106の成長が最も遅く、圃場112の成長が最も早いということが判明したこととなる。
一方、5月1日を仮二摘採日としている4つの圃場の全てを5月1日に摘採した場合、収量の合計が21540kgとなっており、4月30日の11840kg、5月2日の14610kg、5月3日の11330kgと比べると突出している。
【0093】
そこで、図11(b)に示すように、5月1日を仮二摘採日としている4つの圃場のうち、成長が早い圃場112の100%(全量)を前日である4月30日に前倒しするとともに、成長が遅い圃場106の100%(全量)を翌日である5月2日に前倒しする摘採計画へ補正した。
この調整によって補正された摘採計画によれば、4月30日の収量の予測値は15350kg、5月1日の予測値は14300kg、5月2日の予測値は18340kgとなった。
【0094】
なお、図11(c)に示すように、シグモイド曲線を用いることで、生育状態を調査する前後3日間の繊維量を予測しておくことができる。
【0095】
図12
図11にて示したように、予測収量が突出した日を調整して平準化を図るということでも良いが、図12では、工場処理量最大値である15000kg(15トン)を前提とした調整を実行している。
【0096】
4月30日を仮二摘採日としている圃場は、102,110,111,112であり、収量の予測値はそれぞれ2660、5920、3260、3510kgである。
5月1日を仮二摘採日としている圃場は、104,105であり、収量の予測値はそれぞれ6850、7450kgである。
5月2日を仮二摘採日としている圃場は、101,106,107,109であり、収量の予測値はそれぞれ4840、3730、6180、3590kgである。
5月3日を仮二摘採日としている圃場は、103,108であり、収量の予測値はそれぞれ5390、6120kgである。
【0097】
この時点で15000kgを上回っているのは、4月30日の15350kgと5月2日の18340kgである。
そこで、圃場111の20%を翌日(5月1日)に摘採し、圃場109の100%を翌日に摘採する、という調整を実行した。すると、いずれの摘採日においても、予測収量が15000kgを下回ることとなる。
【0098】
なお、茶葉は日々成長するので、仮二摘採日よりも一日遅く摘採する場合、予測収量は、8kg/10アールの増加が見込まれる。前述の後倒し、前倒しでは、この点も考慮している(図6でも同様)。
【0099】
前述してきたように、本発明の実施形態によれば、お茶の生育データに基づいて予測した摘採日について、工場稼働との関係を考慮して摘採日を調整していくことのできる摘採日調整システムを提供できた。このシステムにより、調整対象となっている圃場の摘採日の最適化や収益性向上に寄与する。
なお、前述の実施形態において用いた具体的な数値は、適用する圃場群によって異なることは記すまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、製茶業、製茶業に必要な機器を製造したりメンテナンスしたりする機械製造業、製茶業におけるデータ管理やデータ提供を実行するデータサービス業、製茶業における人員配分を手配する等の人材派遣業、製茶製造に関わる損害保険などを扱う保険業、などにおいて、利用可能性を有する。

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