(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144258
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】立体造形物、及び立体造形物の造形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20220926BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220926BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20220926BHJP
A61F 2/12 20060101ALN20220926BHJP
【FI】
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y80/00
A61F2/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045178
(22)【出願日】2021-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(71)【出願人】
【識別番号】516262549
【氏名又は名称】エス.ラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋枝 智美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊茂
【テーマコード(参考)】
4C097
4F213
【Fターム(参考)】
4C097AA19
4C097AA23
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC15
4C097DD04
4C097EE02
4C097MM07
4F213AA45
4F213AA49
4F213AB07
4F213AC02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL24
4F213WL25
4F213WL27
4F213WL74
(57)【要約】
【課題】人体と同等の柔らかさを有する立体造形物を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る立体造形物は、熱可塑性樹脂又はその組成物を溶融積層して造形された立体造形物において、繰り返し構造を内部に有し、ヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂又はその組成物を溶融積層して造形された立体造形物において、
繰り返し構造を内部に有し、
ヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲であることを特徴とする立体造形物。
【請求項2】
熱可塑性樹脂又はその組成物のヤング率が100[kPa]以下であることを特徴とする請求項1に記載の立体造形物。
【請求項3】
内部構造充填率が20[%]以上で50[%]以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体造形物。
【請求項4】
樹脂が流動パラフィン、硬化油又は硬化ヒマシ油のうちの何れか1つを含むエラストマー材料であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の立体造形物。
【請求項5】
中空の人体パーツ近似造形物であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の立体造形物。
【請求項6】
前記人体パーツ近似造形物の装着者が有する人体パーツ部位の柔らかさ測定結果に基づき、内部構造充填率が決定されていることを特徴とする請求項5に記載の立体造形物。
【請求項7】
熱可塑性樹脂又はその組成物を溶融積層して造形された立体造形物の造形方法であって、
人体パーツ近似造形物の装着者が有する人体パーツ部位の柔らかさ測定結果に基づき、内部構造充填率を決定する工程を含む立体造形物の造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、立体造形物、及び立体造形物の造形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体皮膚に近似する形成物の代表的な例として、乳がんにより欠除した胸部の乳房位置に装着する補整具としての人工乳房が知られている。
【0003】
個人の乳房と同じ形状の人工乳房を作ろうとすると、各形状に合わせた成形型が必要となるが、成形型は高価であり、その製作にも人による手間がかっていた。成形型の作成方法として、3Dプリンタ等の立体造形装置を用いる方法があるが、型を作ってシリコーンゴムを入れるという工程は二度手間となる。
【0004】
一方、近年、金型等などを用いずに立体造形物を造形する装置として、3Dプリンタ等の立体造形装置が普及しつつある。例えば、熱溶解積層法により立体造形物を造形する3Dプリンタは、他の方法により立体造形物を造形する3Dプリンタに比べて低価格なものが多く、個人向けのものも販売されている。
【0005】
また、立体造形用多層フィラメントを用いた立体造形物の製造方法であって、 立体造形装置の押出部において立体造形用多層フィラメントの芯層部と鞘層部とを混合することにより混合樹脂を得る工程と、混合樹脂の溶融物を押出部から押出す工程とを含むものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、人体パーツ近似造形物等の人体と同等の柔らかさを有する立体造形物を造形することに改善の余地がある。
【0007】
本発明は、人体と同等の柔らかさを有する立体造形物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る立体造形物は、熱可塑性樹脂又はその組成物を溶融積層して造形された立体造形物において、繰り返し構造を内部に有し、ヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人体と同等の柔らかさを有する立体造形物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る立体造形装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】フィラメントが座屈を起こす現象を説明する図である。
【
図3】実施形態に係る立体造形装置の構成の他の例を示す図である。
【
図4】ペレットを用いた造形を行う場合の押出装置の内部構造例の断面図である。
【
図5】実施形態に係る立体造形装置のハードウェア構成例のブロック図である。
【
図7】ハニカム構造の図であり、
図7(a)は上面図、
図7(b)は斜視図である。
【
図8】流動パラフィンを添加してヤング率を変化させた場合の造形物の内部構造充填率とヤング率の関係を例示する図である。
【
図9】アスカー硬度とヤング率との関係を例示する図である。
【
図10】柔らかさ計測器の弾力センサと圧子を例示する図である。
【
図11】柔らかさ測定結果と圧縮試験結果との関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一の構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための立体造形物及び立体造形方法を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0013】
[全体構成例]
造形材料で造形層を造形ステージに造形する造形部を備えた立体造形装置の一実施形態として、熱可塑性樹脂を用いた熱溶解積層法により立体造形物を造形する立体造形装置1について説明する。
【0014】
図1は、実施形態の立体造形装置1の構成の一例を示す図である。立体造形装置1は、リール4に巻かれたフィラメント状態の樹脂を溶融塗布するFDM法(熱溶解積層法)方式のものである。また、立体造形装置1は、造形材料である樹脂を吐出して造形層を造形する層造形手段を少なくとも含むものである。
【0015】
図1に示すように、立体造形装置1は、筐体2と、造形ステージ3と、フィラメントFを巻いたリール4と、吐出モジュール10と、を有する。
【0016】
立体造形装置1は、冷却ブロックと加熱ブロックを備える。冷却ブロックは、加熱ブロックの上部に設けられてもよい。冷却ブロックは、冷却源を備え、フィラメントFを冷却する。これにより、冷却ブロックは、溶融したフィラメントFの吐出モジュール10の上部への逆流、溶融したフィラメントFを押し出す抵抗の増大、あるいは、溶融したフィラメントFの固化による移送路内での詰まりを防ぐ。
【0017】
加熱ブロックは、熱源としてのヒータと、このヒータを制御するために温度を検出するための図示しない温度センサ(例えば、熱電対等)と、を備える。移送路を介して、吐出モジュール10に供給された樹脂を加熱溶融させて、吐出ノズルへ供給する。
【0018】
吐出モジュール10の下端部に設けられた吐出ノズルは、加熱ブロックからエクストルーダ11を通って供給された溶融状態あるいは半溶融の樹脂を造形ステージ3上に線状に押し出すようにして吐出する。吐出された樹脂、冷却固化されて所定の形状の層が積層される。更に、吐出ノズルは、積層した層に、溶融状態あるいは半溶融状態の樹脂を、線状に押し出すようにして吐出する操作を繰り返すことで、新たな層を積み上げて積層させる。こうすることにより、立体造形装置1は、織物または網状のシート上へ立体造形物MOを造形する。
【0019】
吐出モジュール10および加熱モジュールは、立体造形装置1の左右方向(X軸方向)に延びるX軸駆動軸31に対し、連結部材を介して、移動可能に保持されている。吐出モジュール10は、X軸駆動モータ32の駆動力により、立体造形装置1の左右方向(X軸方向)へ移動することができる。
【0020】
X軸駆動モータ32は、立体造形装置1の前後方向(Y軸方向)に延びるY軸駆動軸に沿って移動可能に保持されている。X軸駆動軸31がX軸駆動モータ32ごとY軸駆動モータ33の駆動力によってY軸方向に沿って移動することにより、吐出モジュール10及び加熱モジュールはY軸方向に移動する。
【0021】
造形ステージ3は、Z軸駆動軸34及びガイド軸35が貫通しており、立体造形装置1の上下方向(Z軸方向)に延びるZ軸駆動軸34に沿って移動可能に保持されている。造形ステージ3は、Z軸駆動モータ36の駆動力により、立体造形装置1の上下方向(Z軸方向)へ移動する。
【0022】
また、樹脂の溶融と吐出を経時で続けると、吐出ノズルの周辺部が溶融した樹脂などで汚れることがある。そこで、三次元造形装置101に設けられたクリーニングブラシ37により、吐出ノズルの周辺部に対し定期的にクリーニング動作を行うことで、吐出ノズルの先端にフィラメントが固着することを防ぐことができる。
【0023】
なお、クリーニング動作は、固着防止の観点から、溶融した樹脂の温度が下がりきらないうちに実行されることが好ましい。この場合、クリーニングブラシは、耐熱性部材からなることが好ましい。
【0024】
また、クリーニング動作時に生じる研磨粉については、立体造形装置に設けられたダストボックス38に集積させて定期的に捨ててもよいし、吸引路を設けて立体造形装置1の外部へ排出させてもよい。
【0025】
図1のようにフィラメントを用いた造形を行う場合、リール4には、立体造形物MOの造形に用いる、熱可塑性樹脂をマトリックスとした樹脂組成物からなる長尺のフィラメントFが引き出し可能に巻回された状態で設置される。ここで、フィラメントFは、細長いワイヤー形状の固体材料である。
【0026】
吐出モジュール10は、エクストルーダ、冷却ブロック、フィラメントガイド、加熱ブロック及び吐出ノズルを備えている。
【0027】
この構成において、リール4に巻回されているフィラメントFは、吐出モジュール10を構成しているエクストルーダ(フィラメントFの駆動手段)の回転に引っ張られることで、大きく抵抗力を働かせることなく自転し、フィラメントFを供給する。すなわち、フィラメントFは、エクストルーダによって引き込まれることで、立体造形装置1の吐出モジュール10へと供給される。
【0028】
FDM法において人体パーツのように柔らかなフィラメントFを使用した場合、フィラメントFを吐出モジュール10へ送る過程において、例えば、フィラメントFがギアに巻き込まれる現象、および、ギアと吐出モジュール10との間においてフィラメントFが座屈を起こす場合がある。
【0029】
ここで、座屈とは、構造物に加える荷重を次第に増加すると、ある荷重で急に変形の模様が変化し、大きな撓みを生ずることをいう。
【0030】
図2は、フィラメントFが座屈を起こす現象を説明する図である。
図2は、フィラメントFがエクストルーダ11の間を通って吐出モジュール10に送られる様子を示している。部位111で座屈が生じている。
【0031】
座屈が発生すると、フィラメントFの溶融していない部分が、溶融している部分をノズルから押し出すことができなくなるため、吐出不良を起こす。フィラメントFの柔らかさはヤング率が25[MPa]以下になると、座屈の発生が顕著となってくる。従って、人体パーツモデル、特に乳房と同様の柔らかさを持つような立体造形物を造形することが困難だった。
【0032】
実施形態に係る立体造形装置の構成の他の例を示す図であり、立体造形装置1aの構成を示している。立体造形装置1aは、ペレット状の樹脂をシリンダー中のスクリューで押し出すタイプのものである。
【0033】
図3に示すように、立体造形装置1aは、筐体2aと、造形ステージ3aと、シリンダー内のスクリューで樹脂を押し出す押出装置5と、ヒータユニット6と、を備えている。
【0034】
造形ステージ3aは、極力平らな面を持ち、その上に材料を造形するために水平に設定できるようになっている。造形ステージ3aの材料としては、アルミニウム(Al)、ステンレス等の金属、樹脂、ガラスなど上記の目的を達するものであれば何でも良く、造形ステージ3aにはヒーターがあっても良い。
【0035】
図4は、押出装置5の内部構造の一例を示す断面図である。
図4に示すように、押出装置5は、造形ステージ3aに対して垂直に配置されるシリンダー51の下端側にノズル52を有し、シリンダー51の内部には、スクリューモーター53により回転が制御され、ペレットを溶融してノズル52側に供給するためのスクリュー54が配置されている。
【0036】
そして、スクリュー54の先端側にはギヤポンプ56が配置されている場合の図を示している。シリンダー51の周壁面には、シリンダー51内部を加熱するためのヒーター57が設けられており、シリンダー51の上方側には、シリンダー51内部に樹脂材料を供給するためのホッパー58が設けられている。
【0037】
図5は、立体造形装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、立体造形装置1は、制御部100を有する。制御部100は、MPU、メモリ、各種回路などを有したいわゆるマイクロコンピュータとして構成されており、
図5に示すように各部と電気的に接続されている。
【0038】
立体造形装置1には、吐出モジュール10のX軸方向位置を検知するX軸座標検知機構が設けられている。X軸座標検知機構の検知結果は、制御部100に送られる。制御部100は、その検知結果に基づいてX軸駆動モータ32の駆動を制御して、吐出モジュール10を目標のX軸方向位置へ移動させる。
【0039】
また、立体造形装置1には、吐出モジュール10のY軸方向位置を検知するY軸座標検知機構が設けられている。Y軸座標検知機構の検知結果は、制御部100に送られる。制御部100は、その検知結果に基づいてY軸駆動モータ33の駆動を制御して、吐出モジュール10を目標のY軸方向位置へ移動させる。
【0040】
立体造形装置1には、造形ステージ3のZ軸方向位置を検知するZ軸座標検知機構が設けられている。Z軸座標検知機構の検知結果は、制御部100に送られる。制御部100は、その検知結果に基づいてZ軸駆動モータ36の駆動を制御して、造形ステージ3を目標のZ軸方向位置へ移動させる。
【0041】
このように、制御部100は、吐出モジュール10及び造形ステージ3の移動を制御することにより、吐出モジュール10及び造形ステージ3の相対的な位置を、目標の位置に移動させる。
【0042】
さらに、制御部100は、エクストルーダ11、冷却ブロック22、吐出ノズル25、クリーニングブラシ37の各駆動部に制御信号を出力することで、これらの駆動を制御する。
【0043】
[FDM法を用いた立体造形方法]
FDM法を用いた立体造形装置1は簡便な機構を持ち、造形時間も比較的短いため、人体パーツのようにある程度の大きさを持つ造形には適している。FDM法により人体パーツのような柔らかな質感を持つ立体造形物を得る場合、例えば乳房のような特別に柔らかな人体パーツを造形する場合には、非常に柔らかな樹脂での造形が要求される。
【0044】
しかしながら、FDM法は硬いフィラメントFをエクストルーダ11によりノズルへ押し出して吐出させるため、あまりに柔らかな素材を吐出させることは困難である。
【0045】
柔らかな樹脂としては、縦ヤング率19[MPa]程度のエラストマーをフィラメント化した商品(例えばPolyMaker PolyFlex TPU95)はあるものの、縦ヤング率5[MPa]以下の柔らかな樹脂をフィラメント化して吐出させることに改善の余地があった。
【0046】
縦ヤング率5[MPa]以下の柔らかなフィラメントを作ることが困難であり、さらにギアで押し出そうとすると座屈等の現象が生じるためである。
【0047】
発明者は、スクリューポンプを用いた立体造形装置1によって、ヤング率が100[kPa]以下の熱可塑性樹脂を溶融積層して造形し、さらに繰り返し構造を内部に有するような構造とすることで、立体造形物の表面から内部に向かって押圧した時のヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲となる非常に柔らかな立体造形物MOを得ることに成功した。
【0048】
ところで、人体パーツのように柔らかな立体造形物を評価する際に問題となるのは、その質感を定量的に示す方法が確立されていないことである。産業用途の材料であれば、ビッカーズ硬さ試験(JIS Z 2244)やロックウェル硬さ試験(JIS Z 2245)、引張試験(JIS K7161/JIS Z 2241)等の変形や破断する限界までの強度を求めることが多いが、これらの評価を人体に用いるのは現実的ではない。測定する際に加わる力が強すぎるため、柔らかいものでは正しい測定が難しいためである。何より、これらの方法で実際の人体を測定するのは危険である。
【0049】
実施形態では、人体パーツを提供するにあたり質感を構成する大きな要因の1つとして考えられる「柔らかさ」について、定量的に表せる評価項目があるかを検討し、項目が存在するのであれば、代替特性値として好ましい範囲を示す。
【0050】
生体の柔らかさを定量的に表す方法として、「ショア硬度」、「アスカー硬度」と「ヤング率」を検討する。
【0051】
(I)ショア硬度
デュロメータという材料の硬さを測定する機器がある。柔らかな材料用、硬い材料用といくつかの種類があるが、柔らかな材料を測定する硬度指標であるショア硬度はゴムやウレタンエラストマーの硬さを測定する際に多く用いられる。この測定方法は、試料表面に端子を押し当てて、その反発力が平衡状態になった時の押し込み量を測定する。この方法は生体に用いても危険ではないが、臓器のように柔らかい素材では得られる反発力が非常に小さく、精度の良い測定結果が得られにくい。この測定では、数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいことを示す。
【0052】
しかし、最も柔らかいゴムショア硬度の材料でも、医師が求める柔らかさと比べると硬い。よって、臓器の柔らかさを示すショア硬度は2以下、幅広く取っても5以下となり、生体の柔らかさを定量的に表す方法としては不向きといえる。
【0053】
(II)アスカー硬度
一般のゴムの硬さを測るのに用いられるショア硬度と比べると、より柔らかいもの(軟質ゴム、フォームタイプ等)を測定するときに用いられる指標として、アスカー硬度がある。高分子計器株式会社の開発したデュロメータ、アスカーゴム硬度計から名前が来ている。こちらもいろいろな型があり、その中でもアスカーゴム硬度計C型はJIS K 7312も採用している硬度計になる。こちらも、数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいことを示し、非常に柔らかなものを測定するのに好適である。実施形態では、非常に柔らかな材料を評価するため、アスカーC硬度よりもさらに柔らかな指標であるCSC2を用いている。
【0054】
(III)ヤング率
ヤング率は、伸びの弾性率や縦弾性係数とも呼ばれ、材料や物体が弾性的に挙動する場合の応力とひずみの比を示す。すなわち、樹脂の剛性を示す指標であり、値が高いほど剛性が高く、値が低いと柔軟性が高いことを示す。
【0055】
ヤング率は弾性範囲における応力とひずみの比例関係を表す比例係数で、単軸引張試験で応力-ひずみ曲線(S-S曲線)を取得したときの曲線の初期勾配をヤング率と表す。ここで、
図6はヤング率を説明する図である。
【0056】
ヤング率の測定は、引張試験、圧縮試験又はねじり試験といった静的試験方法に加え、共振法、超音波パルス法又は振子法の動的試験方法もあり、測定方法の選択に幅がある。また、変位量(ひずみ)が正確に測定できれば、柔らかさの微細な優劣を表現することができる。
【0057】
このヤング率については、物質の接触メカニクスではHertzの弾性接触理論によって評価できることが知られており、すでに産業の幅広い分野で利用されている。Hertzの弾性接触理論では、半無限体試料に対して十分に硬い球圧子を押し込むとき、球圧子の直径φとヤング率E、ポアソン比νを用いて、押込荷重と押込量δの関係を、次の(1)式で表現できる。
【数1】
【0058】
しかし、押し込む対象の試料が有限の厚さであって、かつ下に試料より固いものがある場合において得られる荷重Fは、(1)式で表される荷重Fより高くなる。この荷重Fの上昇は、(1)式で評価するヤング率Eの上昇も招くが、上昇が押込量δの増加に伴って顕著となるため、これを表す関係として係数Bを用いた次の(2)式による評価を考える。
【数2】
【0059】
このとき、(1)式の係数Aとの比較から、(2)式の係数Aから演繹される見かけのヤング率E
1と試料本来のヤング率Eとの間には、次の(3)式の関係が成立する。
【数3】
【0060】
この(3)式は、押込量δ=0の場合にE1=E となる。また(3)式からその大小によって押込量δの増加に伴って見かけのヤング率E1が変化する状況も変わることから係数B は試料厚さの影響を表す性質を有する、(2)式及び(3)式は有限厚さ試料の押込み変形を半無限体試料の接触変形と有限厚さ試料の圧縮変形の和とする際の重ね合わせの割合を表すこととなる。
【0061】
発明者は、サンプルの柔らかさを測定し定量化するために、上記Hertzの弾性接触理論を用いて、球圧子直径、押込荷重と押込量からヤング率を求める装置「Yawasa柔らかさ計測器」を使ってヤング率を測定した。
【0062】
以下、より具体的な実施例を説明する。
【0063】
[実施例1]
実施例1で用いた樹脂であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下TPO)は、ポリプロピレン (PP)の中に、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)を微分散させた熱可塑性エラストマーである。
【0064】
TPOは常温ではエラストマー(弾性体)であり、ゴムのような性質を持ちながら、一般のプラスチックと同様な成形加工のできるユニークな合成樹脂である。実施例1では可塑剤を適宜調整してTPOに混錬し、それぞれの硬さに調整した。
【0065】
可塑剤とは、ポリマー分子間に浸透してポリマーの分子間力を弱め、それぞれの分子鎖を動きやすくすることによって、ポリマーのガラス転移点を低下させ、ポリマーに柔軟性を与える材料をいう。
【0066】
可塑剤は樹脂に対し多量に配合されるため、樹脂との相溶性が良いことが必須であるが、それに加えて、揮発性の少ないことや耐熱性に優れること、耐候性に優れることなど多くの特性が必要となるため、それらを満たす種々の可塑剤が開発されている。
【0067】
多くはエステル系可塑剤が用いられるが、特に、生体に近い質感の柔らかさを得るために、実施例1では、流動パラフィン、硬化油、硬化ヒマシ油、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スクワラン、スクワレン、ヒマシ油、液状ゴム(ポリブテン)、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル等を検討した。
【0068】
これらの中では、流動パラフィン、硬化油、硬化ヒマシ油が好ましいことが分かった。可塑剤の含有量は、樹脂全体に対して20[質量%]乃至80[質量%]であることが好ましいことが分かった。
【0069】
可塑剤の含有量が小さすぎると、樹脂が硬くなり人体パーツのような柔らかな質感とはならない。一方で、可塑剤の配合量が大きすぎると、過剰なべたつきや油分のにじみ出しが生じ、さらに樹脂が過剰に軟化するために不安定となり、安定的な品質での生産ができなくなる。
【0070】
可塑剤の含有量は、より好ましくは40[質量%]以上で75[質量%]、更により好ましくは50[質量%]以上で70[質量%]以下である。
【0071】
実施例1では、人体パーツへの適合性が高く、柔らかさやその質感に関して特に好ましい特性を示した流動パラフィンを用いた。流動パラフィンは不揮発性であり、生体適合性が非常に高く、安定的に柔らかな樹脂を造形できることが分かった。
【0072】
TPO(三井ケミカル製 ミラストマー)に流動パラフィン(カネダ(株)製ハイコールM)を添加してそれぞれの柔らかさを持つヤング率に調整した。TPOは二軸押し出し機(ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製))に投入し、240[℃]で加熱溶融させながら(溶融混錬温度は160[℃]以上で300[℃]以下が好ましい)、任意の比率で可塑剤を導入してその柔らかさを調整した。調整した樹脂は、軟質用ペレット加工機ペレタイザー(タナカ製TSS100)にてペレット化した。
【0073】
このようにペレット化したそれぞれの樹脂は、
図3に示したスクリューポンプ式の立体造形装置1a(例えばエスラボ社製)により造形を行った。試験片サイズは40[mm]×40[mm]×40[mm]である。Yawasa柔らかさ計測器YWSシリーズHG MSES(テック技販社製)を使って3.0[mm/sec]の速度で圧縮してヤング率を測定した。
【0074】
柔らかさ計測器での測定では、最大荷重1.0[N]、押し込み速度3.0[mm/sec]、圧子直径30[mm]とし、試験片の面(40×40[mm])の中央位置を測定した。
【0075】
一般的に材料のヤング率を測定する方法としては圧縮試験が用いられる。しかし、圧縮試験は広い面で押し潰す試験方法であるため、本実施形態のように人体パーツの柔らかさとなるようなヤング率を測定するには本柔らかさ計測器が適していると判断し、上記の計測器の結果を以てヤング率とした。
【0076】
上記方法によって調整した樹脂の柔らかさは、およそ200[kPa]、120[kPa]、100[kPa](実測値97[kPa])及び80[kPa]である。
【0077】
様々なヤング率に調整した樹脂を上記の試験片サイズに造形し、ヤング率を測定した。また実施例1では、試験片の内部に繰り返し構造によって空隙を作り、その柔らかさをヤング率として測定した。繰り返し構造の形状は、ハニカム、三角形、四角形、井桁構造等が考えられるが、基本的に同じ内部構造充填率であればヤング率に大きな差異はなかったため、ハニカムの繰り返し構造に統一して造形及び評価した。試験片の外殻はそれぞれ4層とした。
【0078】
図7はハニカム構造70を例示する図であり、
図7(a)は上面図、
図7(b)は斜視図である。
図7に示すように、ハニカム構造70は繰り返し構造を含んでいる。
【0079】
また、実施例1と並行して添加する可塑剤の種類を変更してみた。流動パラフィンの他に試した可塑剤としては、硬化油、硬化ヒマシ油、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スクワラン、スクワレン、ヒマシ油、液状ゴム(ポリブテン)、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステルである。どれも材料を柔らかくする効果が認められた。しかし、流動パラフィンと最も特性が近かったのは硬化油、硬化ヒマシ油であった。
【0080】
人体パーツの中でも最も柔らかな部位の一つである乳房脂肪組織のヤング率は3.25[kPa]であった(参考資料;Elastic moduli of normal and pathological human breast tissues: an inversion-technique-based investigation of 169 samples
Abbas Samani1、 Judit Zubovits2 and Donald Plewes3 Published 16 February 2007 ・ 2007 IOP Publishing Ltd Physics in Medicine & Biology、 Volume 52、 Number 6 Citation Abbas Samani et al 2007 Phys. Med. Biol. 52 1565)。乳房全体として上記柔らかさ計測器での測定値として5[kPa]以上で20[kPa]以下程度となる。
【0081】
ヤング率としては乳房の数値を目標として造形を行った。腎臓、肝臓等の臓器も同様な柔らかさとなる。この目標を達成することで、特に柔らかな人体パーツを造形することができ、手術前のシミュレーションや手術練習等に好適に使用できるようになる。
【0082】
最も柔らかな人体パーツを直接造形することが目標となるが、その柔らかさの指標として、柔らかさ計測器の測定値5[kPa]以上で20[kPa]以下となる範囲を目指した。
【0083】
ここで、
図8は、流動パラフィンを添加してヤング率を変化させた場合の立体造形物の内部構造充填率とヤング率の関係を例示する図である。
図8に示すように、199[kPa]以下のヤング率となるよう調整された樹脂を用いた場合、20[%]以上で50[%]以下の内部構造充填率によって人体パーツに適した柔らかさを実現できた。
【0084】
なお、内部構造充填率が20[%]に満たない場合には疎になり過ぎてしまい、内部の繰り返し構造の上部を樹脂で塞ぐことができず、穴の開いた立体造形物となった。50[%]以上では人体パーツとして適した柔らかさにはならず、これ以上材料に可塑剤を入れて柔らかくすることもできなかった。
【0085】
なお、ここでの内部構造充填率とは内部構造部における、{(樹脂の体積)/(内部における樹脂を含めた空間の体積)}×100の式で表される割合であり、外殻の構造部分は含まれていない。
【0086】
[実施例2]
これまで患者の人体パーツ、特に乳房とほぼ同じ柔らかさを持つ立体造形物の需要は非常に高かったものの、それを実現することは困難であったが、本実施形態により、人体パーツ、特に乳房等の患者と同じ大きさと形を持つ立体造形物を立体造形装置1又は1aで造形可能となった。これにより、例えば乳房を手術によって失った患者と同じ大きさと形の乳房を再現し、それを胸に装着することが可能となる。
【0087】
また、胸の柔らかさについても個人個人において違いがあり、その造形した乳房が自分の本来の柔らかさと異なる場合に、装着の違和感につながる。
【0088】
患者の実際の乳房の柔らかさをヤング率で測定できればそれが最も好適ではあるものの、患者の胸の柔らかさをヤング率で測定するには、柔らかさ計測器のようにやや大掛かりな装置を必要とするため、現実問題として患者の乳房の柔らかさに対応した立体造形物を造形することは困難だった。
【0089】
そこで、より簡便な装置での測定の可能性を探るため、アスカーCSC2硬度を測定する高分子計器株式会社製アスカーゴム硬度計CSC2型を用いた。実施例2では、このCSC2型硬度計を用いて、
図8に示した97[kPa]のヤング率を持つ樹脂における様々な内部構造充填率を有するサンプルに対してアスカーCSC2硬度を測定した。
【0090】
ここで、
図9は、アスカー硬度とヤング率との関係を例示する図である。
図9は、
図8に示した97[kPa]のヤング率を持つ樹脂における様々な内部構造充填率を有するサンプルのそれぞれのアスカーCSC2硬度とヤング率との対応関係を示している。
【0091】
図9中示した[%]は、それぞれの測定点での立体造形物の内部構造充填率を示している。
図9に示すように、アスカーCSC2硬度と柔らかさ計測器で測定したヤング率との間には、対応関係が認められた。また、これらの柔らかさは本実施形態で規定した人体の乳房の柔らかさの範囲である5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲で明らかな対応関係が得られた(
図9の斜線ハッチング領域)。
【0092】
これにより、簡便な測定方法であるアスカーゴム硬度計を用いることで、ヤング率と対応させることができ、さらにそのヤング率から立体造形物の内部構造充填率を逆算で求められることも分かった。すなわち、医療の現場にて比較的安価に、簡便に患者個人の乳房の硬度を測定し、立体造形物の柔らかさに反映できることが分かった。
【0093】
このように、アスカー硬度で測定した人体パーツの柔らかさでも、対応関係を示すデータを予め取得しておくことで、直ちにその柔らかさをヤング率に変換することができ、そのヤング率を実現するため、立体造形物の内部に繰り返し構造を持つ立体造形物の内部構造充填率を割り出すことができる。
【0094】
また、その繰り返し内部構造充填率によって造形した立体造形物は、測定された患者の乳房の柔らかさとほぼ同等の柔らかさとなることが分かった。このように、例えば乳房を手術によって失った患者と同じ大きさと形の乳房を再現し、それを胸に装着する用途を考える場合、個人個人の患者の胸の柔らかさに合わせた乳房を造形することが可能となった。本実施形態により、装着した乳房が自分の胸の柔らかさと同等となり、装着の違和感を大きく改善できる。
【0095】
また、実施例2では、Yawasa柔らかさ計測器HG MSES(テック技販社製)という測定装置を用いた。該測定装置によってヤング率を定義した理由として、人間の柔らかな臓器や乳房は表面が曲面状になっており、その柔らかさを測定するのに面で押圧する測定方法では適切でないためである。
【0096】
例えば患者の乳房と同じ大きさと形となる立体造形物を造形し、その柔らかさを測定したい場合には、比較的狭い範囲での圧子での押し込みによる測定が適している。
図10は、柔らかさ計測器の弾力センサと圧子を例示する図である。
図10における破線で囲った部分が弾力センサ200に該当する。
【0097】
但し、一般的に樹脂の圧縮試験においてヤング率を求める場合はJIS-K7181にあるように精密万能試験機を用いる。万能試験機を用いたヤング率とのおおよその対応関係は認識しておくことが好ましい。
【0098】
圧縮試験では、精密万能試験機(島津製作所社製)を用い、試験速度1[mm/sec]で式円行った。試験片寸法は40×40×40[mm]、外周線の厚さは約2[mm]である。ヤング率は、圧縮ひずみε1=0.01、及びε2=0.02に対応する圧縮応力をそれぞれσ1、及びσ2とすると、圧縮応力の差(σ2-σ1)を圧縮ひずみの差(ε2-ε1)で除した値である。
【0099】
図11は、柔らかさ測定結果と圧縮試験結果との関係を例示する図である。柔らかさ測定のヤング率に対して圧縮試験のヤング率はおよそ1.8倍の値となることが分かった。これにより、柔らかさ測定によるヤング率と圧縮試験測定でのヤング率とを対応させることが可能となった。
【0100】
このように、本実施形態に係る立体造形物MOは、人体パーツ近似造形物の装着者が有する人体パーツ部位の柔らかさ測定結果に基づき、内部構造充填率が決定されている。
【0101】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係る立体造形物MOは、繰り返し構造を内部に有し、ヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲である。これにより、人体と同等の柔らかさを有する立体造形物を提供することができる。
【0102】
また、本実施形態に係る立体造形物MOは、熱可塑性樹脂又はその組成物のヤング率が100[kPa]以下である。これにより、立体造形物の表面から内部に向かって押圧した時のヤング率が5[kPa]以上で20[kPa]以下の範囲となる非常に柔らかな立体造形物を得ることができる。
【0103】
また、本実施形態に係る立体造形物MOは、内部構造充填率が20[%]以上で50[%]以下である。これにより、人体パーツに適した柔らかさの立体造形物を提供できる。
【0104】
また、本実施形態に係る立体造形物MOは、樹脂が流動パラフィン、硬化油又は硬化ヒマシ油のうちの何れか1つを含むエラストマー材料である。これにより、立体造形部の材料をより柔らかくし、人体パーツに適した柔らかい立体造形物を造形できる。
【0105】
また、本実施形態に係る立体造形物MOは、中空の人体パーツ近似造形物である。例えば、人工乳房には主に中実型と中空型があり、中実型は、成形型に硬化性シリコーンゴムを流し入れて乳房形状に固める等の方法で作成されるが、重量が重くなるという欠点がある。一方、従来、中空型は乳房外枠をシリコーンゴム膜によりを形成して内部に空気を注入したものであり、重量は軽くなるが、触感がゴムのようであり、人体皮膚感触とは異なるという欠点がある。
【0106】
本実施形態では、人体パーツに適した柔らかい立体造形物を造形できるため、重量が軽く、且つ人体皮膚感触に近い中空型の人工乳房等の人体パーツ近似造形物を得ることができる。
【0107】
また、本実施形態に係る立体造形物MOは、人体パーツ近似造形物の装着者が有する人体パーツ部位の柔らかさ測定結果に基づき、内部構造充填率が決定されている。これにより、装着者の人体パーツ部位の柔らかさをより忠実に再現可能な立体造形物を提供できる。
【0108】
以上、実施形態を説明してきたが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0109】
また、実施形態は、立体造形物の造形方法を含む、例えば、立体造形物の造形方法は、熱可塑性樹脂又はその組成物を溶融積層して造形された立体造形物の造形方法であって、人体パーツ近似造形物の装着者が有する人体パーツ部位の柔らかさ測定結果に基づき、内部構造充填率を決定する工程を含む。このような立体造形物の造形方法により上述した効果を有する立体造形物を提供することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 立体造形装置
2 筐体
3 造形ステージ
4 リール
5 押出装置
51 シリンダー
52 ノズル
53 スクリューモーター
54 スクリュー
56 ギヤポンプ
6 ヒータユニット
10 吐出モジュール
11 エクストルーダ
70 ハニカム構造
F フィラメント
MO 立体造形物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】