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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022014430
(43)【公開日】2022-01-19
(54)【発明の名称】光学的な位置測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
G01D5/347 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021083870
(22)【出願日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】10 2020 208 423.8
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター・フーバー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー・ヘーファー
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103CA03
2F103CA04
2F103DA04
2F103DA12
2F103EA05
2F103EA15
2F103EB01
2F103EB11
2F103EB32
2F103EC02
2F103EC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定目盛りの汚れに対して影響を受けない、バーニヤ走査に基づく光学的な位置測定装置を得る。
【解決手段】測定方向xに沿って相対的に可動に配置された2つの物体の位置を検出する光学的な位置測定装置であって、両物体の1つに結合されている測定目盛り11を備えたスケール10と、他方の物体に結合された走査ユニットと、光源21と、測定目盛り周期性とは異なる走査目盛り周期性をもった走査目盛り24.1,24.2を有する走査プレート23と、走査目盛り24.1,24.2を通して入るビーム束の偏向を生じさせる偏向要素25.1,25.2と、ビーム束が縞模様周期性を有する周期的なバーニヤ縞模様の形態で生じる検出器配置構造26.1,26.2とを有し、検出器配置構造26.1,26.2が、測定方向xに沿って周期的に配置された感光性の検出器要素を含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定方向(x)に沿って互いに対して相対的に可動に配置された2つの物体の位置を検出する光学的な位置測定装置であって、
-両物体のうち1つに結合されていて、測定方向(x)に沿って延在しているとともに所定の測定目盛り周期性(TP)を有する測定目盛り(11)を備えたスケール(10)と、
-もう一方の物体に結合された走査ユニット(20)とを有し、
この走査ユニット(20)は
-少なくとも1つの光源(21)と、
-測定方向(x)に対して垂直に互いに隣り合って走査プレート(23)の1つの側に配置されているとともに測定目盛り周期性(TP)とは異なるそれぞれ所定の走査目盛り周期性(TP)をもった少なくとも2つの走査目盛り(24.1,24.2)を有する少なくとも1つの走査プレート(23)と、
-少なくとも2つの走査目盛り(24.1,24.2)に割り当てられているとともに、測定目盛り(11)における共通に当たる部分範囲の方向への、異なる走査目盛り(24.1,24.2)を通して入射するビーム束の偏向を生じさせる少なくとも2つの方向選択性の偏向要素(25.1,25.2)と、
-測定目盛り(11)における当たる部分範囲から入射するビーム束がそれぞれ縞模様周期性(SP)を有する周期的なバーニヤ縞模様の形態で当たる少なくとも2つの検出器配置構造(26.1,26.2)と
を有し、検出器配置構造(26.1,26.2)が、それぞれ、測定方向(x)に沿って周期的に配置された複数の感光性の検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)を含んでいることを特徴とする光学的な位置測定装置。
【請求項2】
少なくとも2つの検出器配置構造(26.1,26.2)が、測定方向(x)に対する垂線(y)の方向において互いに隣り合って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項3】
-検出器配置構造(26.1,26.2)の検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)がそれぞれ長方形状に形成されているとともに、長方形の長手軸がそれぞれ測定方向(x)に対する垂線(y)に対して平行に向けられており、
-検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)が、測定方向(x)に対する垂線(y)に沿って互いに対して一直線に配置されていること
を特徴とする請求項2に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項4】
検出器配置構造(26.1,26.2)の、それぞれ測定方向(x)に対する垂線(y)に沿って隣り合って配置された検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)が互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項5】
-走査ユニット(20)が2つの検出器配置構造(26.1,26.2)を含んでおり、
-走査されるバーニヤ縞模様の1つの周期内に、同一に形成された4つの検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)を有するそれぞれ1つの検出器グループが測定方向(x)に沿って配置されており、各検出器配置構造(26.1,26.2)における複数の検出器グループがそれぞれ測定方向(x)に沿って配置されており、
-スケール(10)と走査ユニット(20)の相対移動時に、第1の検出器配置構造(26.1)の検出器グループの4つの検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d)が、それぞれ、位相位置180°、270°、0°、90°をもった周期的な出力信号を供給し、
-スケール(10)と走査ユニット(20)の相対移動時に、第2の検出器配置構造(26.2)の検出器グループの4つの検出器要素(26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)が、それぞれ、位相位置0°、90°、180°、270°をもった周期的な出力信号を供給し、
-変位に依存した第1の走査信号(SIN)を得るために、両検出器配置構造(26.1,26.2)の隣り合う検出器グループの以下の検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)が互いに電気的に接続されており、それら検出器要素は、
第1の検出器配置構造(26.1)の第3の検出器要素(26.1c)、第2の検出器配置構造(26.2)の第1の検出器要素(26.2a)、第1の検出器配置構造(26.1)の第1の検出器要素(26.1a)、第2の検出器配置構造(26.2)の第3の検出器要素(26.2c)であり、
-第1の走査信号に対して90°位相変位されている、変位に依存した第2の走査信号(COS)を得るために、両検出器配置構造(26.1,26.2)の隣り合う検出器グループの以下の検出器要素(26.1a,26.1b,26.1c,26.1d,26.2a,26.2b,26.2c,26.2d)が互いに電気的に接続されており、それら検出器要素は、
第1の検出器配置構造(26.1)の第4の検出器要素(26.1d)、第2の検出器配置構造(26.2)の第2の検出器要素(26.2b)、第1の検出器配置構造(26.1)の第2の検出器要素(26.1b)、第2の検出器配置構造(26.2)の第4の検出器要素(26.2d)である
ことを特徴とする請求項3に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項6】
走査目盛り(24.1,24.2)が混合された振幅-位相格子として形成されており、該振幅-位相格子が、測定方向(x)において交互に配置された周期的な振幅構造及び位相構造で構成されているとともに、走査プレート(23)におけるスケール(10)に向いた側に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項7】
-振幅構造が透過性及び非透過性の目盛り範囲(24.1c,24.1b)を含んでおり、
-位相構造が、それぞれ、光学的な位相シフト作用を有する同一に形成された透過性の目盛り範囲(24.1a)を含んでいる
ことを特徴とする請求項6に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項8】
-走査目盛りが、それぞれ、測定方向(x)に沿って周期的に走査目盛り周期性(TP)をもって配置された複数の走査目盛り単位格子で構成されており、
-走査目盛り単位格子が、測定方向(x)に沿って、第1の非透過性の目盛り範囲(24.1b)と、透過性の目盛り範囲(24.1c)と、第2の非透過性の目盛り範囲(24.1b)と、位相シフト目盛り範囲(24.1a)とを含んでおり、
-隣り合う非透過性の目盛り範囲(24.1b)が走査目盛り周期性(TP)の半分の間隔で配置されており、隣り合う透過性の目盛り範囲(24.1c)及び隣り合う位相シフト目盛り範囲(24.1a)が互いに対して走査目盛り周期性(TP)の間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項9】
走査目盛り周期性(TP)が、それぞれ、
TP=2/(1/TP±1/SP)
に従って選択されており、ここで、
TP=走査目盛り周期性
TP=測定目盛り周期性
SP=縞模様周期性
であることを特徴とする請求項6に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項10】
-検出器配置構造(24.1,24.2)がそれぞれ同一に形成されており、
-検出器配置構造(24.1,24.2)が、測定方向(x)に対する垂線(y)に沿って、互いに隣り合って走査プレート(23)に配置されており、
-隣り合う走査目盛り(24.1,24.2)が、測定方向(x)に沿って、互いにTP/2のずれだけ、又はTP/4ずらして走査プレート(23)に配置されており、TPが走査目盛り周期性を表す
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項11】
方向選択性の偏向要素(25.1,25.2)が、走査ユニット(20)において、光源(21)と走査プレート(23)の間に配置されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項12】
方向選択性の偏向要素(25.1,25.2)が、走査プレート(23)における光源(21)へ向いた側に配置されているとともに、多段のブレーズド位相格子として形成されていることを特徴とする請求項11に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項13】
-方向選択性の偏向要素(25.1,25.2)としての2つの位相格子が、それぞれ4段のブレーズド位相格子として形成されているとともに、測定方向(x)に対する垂線(y)に沿って互いに隣り合って走査プレート(23)に配置されており、偏向要素間では、吸収性の部分範囲(27)が走査プレート(23)に位置しており、
-両位相格子が、段状の断面経過の互いに逆の向きを有している
ことを特徴とする請求項12に記載の光学的な位置測定装置。
【請求項14】
方向選択性の偏向要素が、
-屈折性のプリズムウェッジとして形成されており、又は
-マルチセグメントレンズとして形成されており、該マルチセグメントレンズのセグメントが互いに対して傾斜した光軸を有している
ことを特徴とする請求項11に記載の光学的な位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定方向に沿って互いに対して相対的に可動に配置された2つの物体の位置を検出する光学的な位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、互いに対して可動な2つの物体の位置を検出する公知の光学的な位置測定装置は、両物体のうち1つに結合された測定目盛りを有するスケールと、他方の物体に配置された走査ユニットとで構成されている。通常、走査ユニットは、光源と、走査プレートと、適切に形成された検出器配置構造とを含んでいる。走査プレート上には、例えば1つ又は複数の走査目盛りのような光学的な構成要素が配置されている。光源から発出されるビーム束は、当該ビーム束が検出器配置構造へ当たる前に、走査ビーム経路に沿って、スケール及び少なくとも1つの走査目盛りにそれぞれ1回又は複数回当たる。測定方向に沿ったスケールと走査ユニットの相対移動時には、変位に依存して変調され位相変位された複数の走査信号が検出器配置構造を介して生成され、そして、当該走査信号は、後続電子機器において更に処理される。
【0003】
このような位置測定装置は、例えば工作機械において、互いに対して可動な機械構成要素の相対位置を検出するために用いられることが可能である。特に、このとき、粗い周囲条件の下では、スケール上の測定目盛りが例えばオイル、冷却媒体又は摩耗くずによって汚れてしまうおそれがある。このように汚れてしまう場合には、位置測定装置の機能性が阻害されることがある。
【0004】
このとき生じる問題を最小化するために、いわゆるシングルフィールド走査が知られており、これについては、例えば特許文献1を参照されたい。ここで、位相変位された走査信号がそれぞれ同一の測定目盛り範囲の走査に基づき生成されることが、適切な光学的な措置あるいは適当な走査ビーム経路を介して保証される。このようにして、全ての走査信号が場合によってはあり得る汚れによって同様に影響を受け、これにより、更なる信号処理は、例えば個々の走査信号の汚れによる不均等な影響よりもわずかに阻害される。
【0005】
これに対し、通常、光学的な位置測定装置ではしばしば信号生成に用いられる(これについては特許文献2を参照されたい)いわゆるバーニヤ走査においては、純粋なシングルフィールド走査は存在しない。このようなバーニヤ走査は、測定目盛り及び用いられる走査目盛りがわずかに異なる周期性を有しているとともに、走査ビーム経路における異なる目盛りと光源から発出されるビーム束の相互作用に基づき、周期的なバーニヤ縞模様が検出平面に生じることによって特徴付けられる。測定目盛りの汚れ時又は局所的な測定目盛り欠陥時には、このようなシステムでは、生成される走査信号の不均等な影響が生じてしまう。このことは、更なる処理時及び特にこれによりなされる位置特定時に同様にエラーという結果となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第767359号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1081457号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎となる課題は、できる限り測定目盛りの汚れに対して影響を受けない、バーニヤ走査に基づく光学的な位置測定装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する光学的な位置測定装置によって解決される。
【0009】
本発明による光学的な位置測定装置の有利な実施は、従属請求項に記載されている措置から明らかである。
【0010】
測定方向に沿って互いに対して相対的に可動に配置された2つの物体の位置を検出する本発明による光学的な位置測定装置は、両物体のうち1つに結合されているスケールと、両物体のうち他のものに結合された走査ユニットとを含んでいる。スケールは、測定方向に沿って延在しつつ所定の測定目盛り周期性を有する測定目盛りを備えている。走査ユニットは、少なくとも1つの光源と、走査プレートと、少なくとも2つの検出器配置構造とを含んでいる。ここで、走査プレートは少なくとも2つの走査目盛りを備えており、当該走査目盛りは、測定方向に対して垂直に互いに隣り合って走査プレートの一方側に配置されているとともに、それぞれ1つの所定の走査目盛り周期性を有しており、当該走査目盛り周期性は、測定目盛り周期性とは異なっている。また、少なくとも2つの方向選択性の偏向要素が設けられており、当該偏向要素は、少なくとも2つの走査目盛りに割り当てられているとともに、異なる走査目盛りを通して入るビーム束を、測定目盛りにおける共通に当たる部分範囲の方向へ偏向させる。それぞれ、縞模様周期性を有する周期的なバーニヤ縞模様の形態の測定目盛りにおける当たる部分範囲から入射するビーム束は、少なくとも2つの検出器配置構造に当たる。検出器配置構造はそれぞれ複数の感光性の検出器要素を含んでおり、当該検出器要素は、測定方向に沿って周期的に配置されている。
【0011】
好ましくは、少なくとも2つの検出器配置構造は、測定方向に対する垂線の方向に互いに隣り合って配置されている。
【0012】
ここで、
-検出器配置構造の検出器要素がそれぞれ長方形状に形成されており、長方形長手軸がそれぞれ測定方向に対する垂線に対して平行に向けられていること、及び
-検出器要素が測定方向に対する垂線に沿って互いに対して一直線に配置されていること
が可能である。
【0013】
検出器配置構造の、それぞれ測定方向に対する垂線に沿って隣り合って配置された検出器要素は、互いに電気的に接続されることが可能である。
【0014】
有利には、
-走査ユニットが2つの検出器配置構造を含んでおり、
-走査されるバーニヤ縞模様の1つの周期内に、同一に形成された4つの検出器要素を有するそれぞれ1つの検出器グループが測定方向に沿って配置されており、各検出器配置構造における複数の検出器グループがそれぞれ測定方向に沿って配置されており、
-スケールと走査ユニットの相対移動時に、第1の検出器配置構造の検出器グループの4つの検出器要素が、それぞれ、位相位置180°、270°、0°、90°をもった周期的な出力信号を供給し、
-スケールと走査ユニットの相対移動時に、第2の検出器配置構造の検出器グループの4つの検出器要素が、それぞれ、位相位置0°、90°、180°、270°をもった周期的な出力信号を供給し、
-変位に依存した第1の走査信号を得るために、両検出器配置構造の隣り合う検出器グループの以下の検出器要素が互いに電気的に接続されており、それら以下の検出器要素は、
第1の検出器配置構造の第3の検出器要素、第2の検出器配置構造の第1の検出器要素、第1の検出器配置構造の第1の検出器要素、第2の検出器配置構造の第3の検出器要素であり、
-第1の走査信号に対して90°位相変位されている、変位に依存した第2の走査信号を得るために、両検出器配置構造の隣り合う検出器グループの以下の検出器要素が互いに電気的に接続されており、それら検出器要素は、
第1の検出器配置構造の第4の検出器要素、第2の検出器配置構造の第2の検出器要素、第1の検出器配置構造の第2の検出器要素、第2の検出器配置構造の第4の検出器要素
である。
【0015】
また、走査目盛りが混合された振幅-位相格子として形成されることができ、当該振幅-位相格子が、測定方向において交互に配置された周期的な振幅構造及び位相構造で構成されているとともに、走査プレートにおけるスケールに向いた側に配置されている。
【0016】
このとき、
-振幅構造が透過性及び非透過性の目盛り範囲を含んでおり、
-位相構造が、それぞれ、光学的な位相シフト作用を有する同一に形成された透過性の目盛り範囲を含んでいる
ように構成されることが可能である。
【0017】
ここで、
-走査目盛りが、それぞれ、測定方向に沿って周期的に走査目盛り周期性をもって配置された複数の走査目盛り単位格子で構成されており、
-走査目盛り単位格子が、測定方向に沿って、第1の非透過性の目盛り範囲と、透過性の目盛り範囲と、第2の非透過性の目盛り範囲と、位相シフト目盛り範囲とを含んでおり、
-隣り合う非透過性の目盛り範囲が走査目盛り周期性の半分の間隔で配置されており、隣り合う透過性の目盛り範囲及び隣り合う位相シフト目盛り範囲が互いに対して走査目盛り周期性の間隔で配置されている
ことが可能である。
【0018】
ここで、さらに、走査目盛り周期性(TP)が、それぞれ、
TP=2/(1/TP±1/SP)
に従って選択されており、ここで、
TP=走査目盛り周期性
TP=測定目盛り周期性
SP=縞模様周期性
であることが可能である。
【0019】
さらに、
-検出器配置構造がそれぞれ同一に形成されており、
-検出器配置構造が、測定方向に対する垂線に沿って、互いに隣り合って走査プレートに配置されており、
-隣り合う走査目盛りが、測定方向に沿って、互いにTP/2のずれだけ、又はTP/4ずらして走査プレートに配置されており、TPが走査目盛り周期性を表す
ことが可能である。
【0020】
好ましくは、方向選択性の偏向要素は、走査ユニットにおいて、光源と走査プレートの間に配置されている。
【0021】
ここで、方向選択性の偏向要素は、走査プレートにおける光源へ向いた側に配置されているとともに、多段のブレーズド位相格子として形成されることが可能である。
【0022】
有利には、
-方向選択性の偏向要素としての2つの位相格子が、それぞれ4段のブレーズド位相格子として形成されているとともに、測定方向に対する垂線に沿って互いに隣り合って走査プレートに配置されており、偏向要素間では、吸収性の部分範囲が走査プレートに位置しており、
-両位相格子が、段状の断面経過の互いに逆の向きを有している
ように構成されている。
【0023】
これに代えて、方向選択性の偏向要素が、
-屈折性のプリズムウェッジとして形成されており、又は
-マルチセグメントレンズとして形成されており、該マルチセグメントレンズのセグメントが互いに対して傾斜した光軸を有している
ことも可能である。
【0024】
本発明による光学的な位置測定装置の特別な利点として、局所的に汚れた測定目盛りにおいても、又は局所的な測定目盛り欠陥の場合にも、安定した走査信号が得られる。本発明による光学的な位置測定装置の位相変位した走査信号の振幅及びオフセットは、いまや設定されたシングルフィールド走査により、上記のような場合にも同一の態様で変化し、すなわち、異なる走査信号におけるより大きな振幅比変動及び走査比率変動が生じず、したがって追加的な位置エラーが生じない。
【0025】
本発明の更なる詳細及び利点を、図面に関連した本発明による光学的な位置測定装置の実施例の説明に基づいて以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による光学的な位置測定装置の一実施例の概略的な断面図である。
図2図1に基づく実施例の走査プレート下側をこれに配置された走査目盛りと共に示す図である。
図3図1に基づく実施例の走査プレート上側をこれに配置された方向選択性の偏向要素と共に示す図である。
図4図1に基づく実施例の走査プレートの部分断面図である。
図5図1に基づく実施例の検出平面を両検出器配置構造と共に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明による光学的な位置測定装置の一実施例を図1図5に基づいて説明する。ここで、図1は走査ビーム路を説明するための断面図であり、図2図3及び図4は走査プレートの上側及び下側並びに部分断面図を示す図であり、図5は検出平面の平面図である。
【0028】
図示の位置測定装置は、少なくとも1つの測定方向xに沿って互いに対して可動に配置された2つの物体の位置を検出するために用いられる。本例では、線形に延びる測定方向xに沿った物体の相対移動が設定されており、すなわち、本発明による光学的な位置測定装置は、ここでは長さ測定機器として形成されている。互いに対して可動な物体は、各図には示されていないが、ここでは、例えば互いに対して可動な2つの機械構成要素であってよい。両機械構成要素の移動は、位置測定装置によって生成される変位に依存した走査信号を用いて、後続配置された機械制御部を介して制御されることが可能である。このとき、両物体のうち1つには位置測定装置のスケール10が結合されており、他の物体には位置測定装置の走査ユニット20が結合されている。
【0029】
ここではリニアスケールとして形成されたスケール10は、測定方向xに延在する測定目盛り11を備えており、当該測定目盛りは、適切な支持体上に配置されている。格子状の測定目盛り11は、測定方向xに沿って周期的に測定目盛り周期性TPで配置された、異なる光学的な作用を有する目盛り範囲で構成されている。このとき、測定目盛り周期性TPは、測定方向xに沿って異なる光学的な特性を有する隣り合う2つの目盛り範囲の幅を表している。可能な一実施例では、測定目盛り周期性TP=20μmが設定されている。
【0030】
本発明による光学的な測定装置の本実施例は、入射光システムとして形成されている。これは、測定目盛り11の形成について、測定目盛りが反射測定目盛りとして形成されているとともに異なる反射特性をもった様々な目盛り幅を有しており、したがって、例えば低反射目盛り範囲及び高反射目盛り範囲を有していることを意味している。これに代えて、測定目盛り11の反射する目盛り範囲の異なる位相シフト作用も設定することが可能である。
【0031】
本発明による光学的な位置測定装置では、走査ユニット20側において、前方に配置されたコリメーション光学系を有する光源21と、走査プレート23と、2つの検出器配置構造26.1,26.2とが設けられている。ここで、光源21から発出されるビーム束は、コリメーション光学系22を介してコリメートされ、そして、操作目盛り11がスケール10において当接する前に、構造化された光学的に有効な所定の範囲が通過する走査プレート23へ至る。そこから、走査ユニット20の方向への後方反射が生じ、走査ユニットでは、つづいて、走査プレート23が構造化されていない範囲において新たに通過される。走査プレート23の構造化された範囲及び測定目盛り11とのビーム束の相互作用により、いわゆるバーニヤ縞模様が両検出器配置構造26.1,26.2の検出平面において生じる。
【0032】
図示の実施例では、走査プレート23におけるスケール10へ向いた側には、測定方向xに対して垂直に互いに隣り合う2つの走査目盛り24.1,24.2あるいは走査格子が構造化された範囲あるいは光学的に有効な範囲に配置されており、当該範囲は、走査プレート23の最初の通過時に通過される。走査目盛り24.1,24.2は、それぞれ、走査目盛り周期性TPで測定方向xに沿って周期的に配置された、異なる光学的な作用を有する目盛り範囲で構成されている。ここで、走査目盛り周期性TPは、あらかじめ設定された態様において、測定目盛り周期性TPとは異なっており、この実施例では、上記測定目盛り周期性TP=20μmをもって、例えば操作目盛り周期性TP=39.04239μmが設定されている。操作目盛り24.1,24.2の更なる詳細を説明の過程において更に詳細に説明する。
【0033】
本実施例では、光源21へ向いた走査プレート23の反対側には、構造化され、光学的に有効な範囲が方向選択性の2つの偏向要素25.1,25.2に配置されており、当該偏向要素は、両操作目盛り24.1,24.2に割り当てられている。偏向要素25.1,25.2により、ビーム束が測定目盛り11における共通の部分範囲へ当たるように、操作目盛り24.1,24.2を通して入るビーム束が偏向される。これについて、生成される走査信号が全て測定目盛り11の同一の部分範囲の走査から出ることが保証されており、これにより、汚れの影響を受けにくいシングルフィールド走査を保証することが可能である。
【0034】
方向選択性の偏向要素25.1,25.2、走査目盛り24.1,24.2及び測定目盛り11の(ビーム束が)当たる部分範囲との光源21から発出されるビーム束の相互作用により、両検出器配置構造26.1,26.2の検出平面においてそれぞれ周期的なバーニヤ縞模様が生じる。当該バーニヤ縞模様は、同一の縞模様周期性SPを有しているが、走査プレート23における両走査目盛り24.1,24.2の相対配置によりその相対的な位相位置において互いに異なっている。走査目盛り周期性TP及び測定目盛り周期性TPの選択において、上記のように、縞模様周期性SP=800μmとなる。両バーニヤ縞模様は、2つの検出器配置構造26.1,26.2を介して電気的な出力信号へ変換され、当該出力信号は、位相ずれした2つ以上の走査信号へ更に処理される。このために、両検出器配置構造は、それぞれ感光性の複数の検出器要素を含んでおり、当該検出器要素は、測定方向xに沿って周期的に配置されているとともに、適切な態様で互いに電気的に接続(配線)されている。
【0035】
以下に、図2図3及び図4に基づき、上に配置された構成要素を有する走査プレート23の形成を詳細に説明する。
【0036】
ここで、図2には走査プレート下側の平面図が示されており、当該走査プレート下側はスケールへ向いており、当該走査プレート下側には両走査目盛り24.1,24.2が配置されている。本実施例では、両走査目盛り24.1,24.2は、混合された振幅-位相格子として形成されているとともに、測定方向xにおいて交互に配置された周期的な振幅構造及び位相構造で構成されている。ここで、振幅構造は、非透過性の目盛り範囲24.1b及び透過性の目盛り範囲24.1cを含んでいる。位相構造は、通過するビーム束への規定された位相シフト光学作用を有する、それぞれ同一に形成された目盛り範囲24.1aで構成されている。このような混合された振幅-位相格子に関連して、補足的に既に冒頭で言及した欧州特許出願第1081457号明細書を参照されたい。
【0037】
走査目盛り周期性TPは、走査目盛り24.1,24.2のこのような構成の場合には、図2から分かるように、測定方向xに沿った走査目盛り単位格子の互いに連続する4つの目盛り範囲の幅、すなわち、左から、規定された位相シフト効果を有する、第1の非透過性の目盛り範囲24.1b、透過性の目盛り範囲24.1c、第2の非透過性の目盛り範囲24.1b及び部分範囲24.1aの幅を表している。このとき、TP/2は、このように構成された、走査目盛り単位格子当たり2つの非透過性の目盛り範囲24.1bを有する走査目盛り24.1又は24.2内において、互いに連続する非透過性の目盛り範囲24.1b間の間隔を表し、したがって、当該間隔は、半分の走査目盛り周期性に対応している。このような走査目盛り24.1,24.2において、TPは、隣り合う位相シフト目盛り範囲24.1aの間隔あるいは隣り合う透過性の目盛り範囲24.1cの間隔を表しているとともに、これにより走査目盛り周期性に対応している。完全な走査目盛り24.1あるいは24.2は、それぞれ、走査目盛り周期性TPをもった、測定方向xに沿ったこのような走査目盛り単位格子の周期的な連続で構成されている。
【0038】
通過するか、あるいはビーム経路において両検出器配置構造へ当たる光学的な構造とのビーム束の光学的な相互作用を介して、所望の縞模様周期性SPを有するバーニヤ縞模様を生成するために、走査目盛り周期性TPを所定の態様において寸法設定する必要がある。必要な走査目盛り周期性TPは、あらかじめ設定された測定目盛り周期性TP及び所望の縞模様周期性SPにおいて、このように形成された走査目盛り24.1,24.2の場合に、一般的な形式で、以下の関係に従って得られる:
TP=2/(1/TP±1/SP)
ここで、
TP=走査目盛り周期性
TP=測定目盛り周期性
SP=縞模様周期性
【0039】
走査目盛り周期性TPをもった上述の寸法設定例に代えて、この関係に従い、走査目盛り周期性TP=41.02564μmも選択することが可能である。
【0040】
さらに、図2から分かるように、両走査目盛り24.1,24.2は、同一に形成されているとともに、測定方向xに対する垂線yに沿って互いに隣り合って走査プレート23あるいは走査プレート下側に配置されている。ここで、本実施例では、測定方向xに沿ってずれTP/2が隣り合う両走査目盛り24.1,24.2の間に設定されている。これにより、生成される両バーニヤ縞模様が検出器配置構造26.1,26.2の検出平面において互いに対して180°の相対的な位相ずれを有することとなる。
【0041】
図3には走査プレート上側の平面図が示されており、当該走査プレート上側は光源へ向いており、当該走査プレート上側には、方向選択性の偏向要素25.1,25.2が配置されている。当該偏向要素は、ここでは多段のブレーズド位相格子として形成されている。このことは、所定の回折次数についての回折効率が最大となるように適当な位相格子が最適化されている一方、他の回折自由についての回折効率が最小化されていることを意味している。ここで、具体的には、4段のブレーズド位相格子が2つ設けられており、当該ブレーズド位相格子は、測定方向xに対する垂線yに沿って互いに隣り合って走査プレート23に配置されており、両ブレーズド位相格子間では、走査プレート23上に吸収性の部分範囲27が形成されている。さらに、図4における走査プレートの部分断面図から分かるように、偏向要素25.1,25.2の両ブレーズド位相格子は、段状の断面経過の逆の向きを有している。これによって、通過するビーム束への必要な偏向作用が保証され、その結果、当該ビーム束は、測定目盛りにおける共通の部分範囲へ当たる。
【0042】
両検出器配置構造26.1,26.2を有する検出平面の平面図が図5に図示されている。当該図5から分かるように、検出器配置構造26.1,26.2は、測定方向xに対する垂線yの方向において、互いに隣り合って走査ユニットに配置されている。両検出器配置構造26.1,26.2は、それぞれ複数の感光性の検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dで構成されており、当該検出器要素は、測定方向xに沿って周期的に配置されており、このような検出器配置構造は、構造化された光検出器とも呼ばれる。ここで、感光性の検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dとして、感光性の面が長方形状に形成されたフォトダイオードが考慮に値する。ここで、長方形長手軸は、それぞれ測定方向xに対する垂線yに対して平行に向けられている。また、図示の実施例では、両検出器配置構造26.1,26.2の検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dは、測定方向xに対する垂線yに沿って互いに一直線に配置されている。このとき、両検出器配置構造26.1,26.2におけるそれぞれ隣り合う検出要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dは、互いに電気的に接続(配線)されている。
【0043】
本実施例では、走査されるバーニヤ縞模様の周期内において、4つの同一の検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dから成るそれぞれ1つの検出器グループが設けられるように、両検出器配置構造26.1,26.2の寸法設定がなされる。そして、検出器配置構造26.1,26.2は、測定方向xに沿ってそれぞれ複数のこのような検出器グループを含んでいる。このとき、各検出器配置構造26.1,26.2における検出器グループの数は、生成されるバーニヤ縞模様における周期の数に適合される。
【0044】
第1の検出器配置構造26.1では、検出器グループの4つの検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dは、スケールと走査ユニットの相対移動時と、このとき生じるバーニヤ縞模様の走査時に、それぞれ位相位置180°,270°,0°,90°を有する周期的な出力信号を供給し、すなわち、左から、それぞれ、検出器グループの第1の検出器要素が180°出力信号を供給し、第2の検出器要素が270°出力信号を供給するなどとなる。
【0045】
そして、第2の検出器配置構造26.2では、位相変位(位相ずれ)したバーニヤ縞模様の走査に基づき、図5から分かるように、検出器グループにおいて、位相位置0°,90°,180°,270°を有する周期的な出力信号が生じる。
【0046】
このように生成される検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dの出力信号に基づき、変位に依存した、90°位相変位した2つの走査信号SIN,COSを生成するために、両検出器配置構造の検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dは、規定された態様において互いに電気的に接続(配線)される必要がある。したがって、第1の走査信号SINを生成するために、両検出器配置構造26.1,26.2のうち隣り合う検出器グループの以下に挙げる検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dがそれぞれ互いに電気的に接続(配線)されるようになっており、それら以下の検出器要素は、
第1の検出器配置構造(26.1)の第3の検出器要素(26.1c)、第2の検出器配置構造(26.2)の第1の検出器要素(26.2a)、第1の検出器配置構造(26.1)の第1の検出器要素(26.1a)、第2の検出器配置構造(26.2)の第3の検出器要素(26.2c)である。
【0047】
これに対して90°だけ位相変位された第2の走査信号COSは、両検出器配置構造26.1,26.2のうち隣り合う検出器グループの以下に挙げる検出器要素26.1a,・・・26.1d,26.2a,・・・26.2dがそれぞれ互いに電気的に接続(配線)されることで、本発明による位置測定装置において生成されており、それら検出器要素は、
第1の検出器配置構造(26.1)の第4の検出器要素(26.1d)、第2の検出器配置構造(26.2)の第2の検出器要素(26.2b)、第1の検出器配置構造(26.1)の第2の検出器要素(26.1b)、第2の検出器配置構造(26.2)の第4の検出器要素(26.2d)である。
【0048】
そして、このような態様で生成される走査信号SIN,COSは、位置測定装置に後続配置された後続電子機器において公知の態様で更に処理されることが可能である。
【0049】
上述の実施例のほか、本発明の範囲内では、当然、別の構成可能性が存在する。
【0050】
したがって、本発明による光学的な位置測定装置を、2つの物体の回転的な相対運動の検出のためにも形成することが可能である。この場合、中心が回転軸となる円形状の測定目盛りあるいはラジアル目盛りが必要となる。
【0051】
回転的な相対運動を検出するために、いわゆる円筒(ドラム)走査も実現することが可能である。このとき、測定目盛りは例えばバンドに配置されており、当該バンドは、回転軸を中心として回転するドラムの周囲にわたって設けられているとともに、対向する静止した走査ユニットによって走査される。
【0052】
上述の入射光の態様に代えて、当然、本発明による位置測定装置の透過光の態様も実現することが可能である。そして、このために、測定目盛りは、透過測定目盛りとして形成されることができ、当該透過測定目盛りは、異なる光学的な透過性を有する交互に配置された目盛り範囲で構成されている。
【0053】
また、2つより多くの走査目盛りを走査プレートに設けることも可能である。したがって、測定方向に沿ってそれぞれずれTPA/4だけ互いにずらして走査プレートに配置された4つの走査目盛りを走査プレートに配置することも可能である。そして、この場合、方向選択性の4つ偏向要素を4つの走査目盛りに割り当てることができるとともに、検出側に4つの検出器配置構造を設けることが可能である。そして、4つの検出器配置構造の検出器要素の適切な配線に基づき、同様に、90°だけ位相変位された両走査信号SIN,COSを生成することができるとともに更なる処理のために提供することが可能である。
【0054】
走査目盛りは、上述の形態において混合された振幅-位相格子として形成されることができるだけでなく、これに代えて、振幅格子を走査目盛りとして用いることも可能である。そして、この場合、走査目盛り周期性TPは、以下に従い選択されることができる:
TP=1/(1/TP±1/SP)
ここで、
TP=走査目盛り周期性
TP=測定目盛り周期性
SP=縞模様周期性
【0055】
上述の実施例では、方向選択性の偏向要素は、走査プレート上に配置されている。しかし、このことは、本発明による光学的な位置測定装置においては必ずしも必要ではない。基本的には、偏向要素は、光源と走査プレートの間の範囲に他の態様でも配置されることが可能である。例えば、偏向要素の光学的な機能性がコリメーション光学系に統合されるとともに、当該コリメーション光学系が、当該範囲に配置されたマルチセグメントレンズとして形成されることが可能である。このようなマルチセグメントレンズは、互いに対して傾斜した光軸をもったセグメントを有しているため、これにより、通過するビーム束の必要な偏向を行うことが可能である。
【0056】
さらに、方向選択性の偏向要素をブレーズド位相格子の形態で回折構造部として形成するのではなく、このために、走査プレートに配置されるなどする屈折性のプリズムウェッジを設けることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】