(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144435
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】ウエハエッジ部の改質装置及び改質方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220926BHJP
G02B 26/12 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01L21/304 601B
G02B26/12
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045451
(22)【出願日】2021-03-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 義信
(72)【発明者】
【氏名】津留 太良
【テーマコード(参考)】
2H045
5F057
【Fターム(参考)】
2H045AA01
2H045DA11
5F057AA12
5F057BA12
5F057BB03
5F057CA09
5F057DA22
(57)【要約】
【課題】レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、ノッチ部のように複雑な3次元形状であっても、高精度かつ連続的にレーザ走査し、高品質で高速な表面処理を行う。
【解決手段】レーザ光源10からのレーザ光5をノッチ部4へ照射する光学系を有し、光学系は、レーザ光5を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラー9へ導くポリゴンミラー7と、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、ミラー9で反射したレーザ光5をノッチ部4へ集光する集光レンズ8と、を備え、ポリゴンミラー7を回転することでノッチ部4へレーザ光5を走査して照射する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、
レーザ光源からのレーザ光をノッチ部へ照射する光学系を有し、
前記光学系は、
前記レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、
断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光を前記ノッチ部へ集光する集光レンズと、
を備え、前記ポリゴンミラーが回転することで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射することを特徴とするウエハエッジ部の改質装置。
【請求項2】
前記ノッチ部の照射区間を(1)片R部、(2)直線部、(3)ボトムR部、前記(2)直線部と傾き方向が異なる(2')直線部、前記(1)片R部と対称の(1')片R部に分け、前記光学系は3次元的に複数の階層ごとに構成され、前記レーザ光は前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射されることを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項3】
前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射するよう照射位置を制御する姿勢制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項4】
前記照射区間である前記(2)直線部、前記(2')直線部は、前記ミラーと前記ポリゴンミラーとの回転中心間の距離を大きくしてレーザ走査軌道が直線近似されることを特徴とする請求項2又は3に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項5】
前記レーザ光源を1台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へビームスプリッタで分岐させることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項6】
前記レーザ光源を複数台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へ導くことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項7】
前記ノッチ部の結晶方位に対応した累積照射エネルギを決定して前記レーザ光を前記照射することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項8】
前記ノッチ部の曲率に対応してエネルギ密度、スキャンピッチ、照射回数の少なくともいずれか一つを変えて前記照射することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項9】
前記レーザ光は、ナノ秒パルスレーザの前記照射と共に、CW(連続)レーザ照射が併用されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項10】
レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質方法であって、
レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光をノッチ部へ集光する集光レンズと、を備えた光学系を用いて、前記ポリゴンミラーを回転させることで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射することを特徴とするウエハエッジ部の改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ表面の加工変質層である表面欠陥の修復と粗さの平坦化をレーザ熱処理により行う改質装置に係わり、特に、エッジ部に対してレーザ照射を行うウエハエッジ部の改質装置及び改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製作に使用されるシリコンウエハ等の半導体ウエハは、切削・研削・ラッピング・ポッリシングなどの機械加工プロセスによって表面加工が行われている。しかし、その表面及び内部は、加工変質層が形成され、一部の加工変質層には、マイクロクラック(微小亀裂)が含まれる。この内部クラック等の除去は、主にエッチングや化学機械研磨(CMP)等の化学的・機械的方法により行われている。
【0003】
また、特許文献1、2は、面取り等の研削加工を行った後、シリコンウエハの表面加工変質層の修復と粗さの平坦化を、パルスレーザを照射して効率良く効果的に行うこと、レーザ光源に加えて、ミラー、ガルバノミラー、レンズ、プリズム、コリメーター、偏光子、ビームスプリッタ、のうちの少なくとも1種を含む光学機構を有したレーザ照射ユニットを用いることが記載されている。
【0004】
そして、ノッチ部の凹所底部の円弧部分にレーザを照射する場合、シリコンウエハ自体を回転させながら照射する、あるいはレーザ照射方向を旋回させることが記載されている。さらに、ノッチ部凹所の直線部分にレーザを照射する場合、ウエハ送りユニットを利用して、シリコンウエハを直線部分の方向に沿って直線移動させることが記載されている。
【0005】
さらに、特許文献3は、レーザ加工装置において、光走査装置を構成する光学機器を簡便且つ高精度に配置可能にするため、光を角移動させながら放射する投光部と、投光部から放射された光を反射して所定の走査線上に導く1以上の反射部と、を備え、角移動するレーザ光を反射してからワーク上に設定された走査線に沿ってレーザ光を走査するように構成された光走査装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-131218号公報
【特許文献2】特開2020-141088号公報
【特許文献3】特開2014-16398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術において、特許文献1、2に記載のものでは、研削加工による研削痕等のダメージの修復、平坦化処理を行うことが可能となる。しかし、特許文献1、2に記載のものは、複雑な3次元形状であるノッチ部に対してレーザ照射中にワーク側となるシリコンウエハを移動させるものであり、ノッチ部に均一、かつ高速に表面処理することが極めて困難である。
【0008】
また、特許文献3に記載のレーザ加工装置は、入射光路及び出射光路のアライメント作業が簡便になり、ひいては反射部を構成する機器のアライメント作業を簡便且つ高精度に行うことが可能となる。しかし、特許文献3に記載のレーザ加工装置を単に、ノッチ部に適用するだけでは、特許文献1、2と同様に、ノッチ部に均一、かつ高速に表面処理することに限界がある。
【0009】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ノッチ部のように複雑な3次元形状にレーザ照射するにあたり、均一な表面処理として、ノッチ部全体に連続的(処理部に切れ目なく)にレーザ走査すること、高速な表面処理として、例えば、レーザ照射中にワーク側となるシリコンウエハの移動を最小限にして照射面に対して入射角が略垂直となること、照射条件を適切に定めること、等を実現して高品質で高速なウエハエッジ部の改質装置及び改質方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、レーザ光源からのレーザ光をノッチ部へ照射する光学系を有し、前記光学系は、前記レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光を前記ノッチ部へ集光する集光レンズと、を備え、前記ポリゴンミラーが回転することで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射するものである。
【0011】
また、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記ノッチ部の照射区間を(1)片R部、(2)直線部、(3)ボトムR部、前記(2)直線部と傾き方向が異なる(2')直線部、前記(1)片R部と対称の(1')片R部に分け、前記光学系は3次元的に複数の階層ごとに構成され、前記レーザ光は前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射されることが望ましい。
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射するよう照射位置を制御する姿勢制御手段を備えることが望ましい。
【0012】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記照射区間である(2)直線部、(2')直線部は、前記ミラーと前記ポリゴンミラーとの回転中心間の距離を大きくしてレーザ走査軌道が直線近似されることが望ましい。
【0013】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記レーザ光源を1台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へビームスプリッタで分岐させることが望ましい。
【0014】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記レーザ光源を複数台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へ導くことが望ましい。
【0015】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記ノッチ部の結晶方位に対応した累積照射エネルギを決定して前記レーザ光を照射することが望ましい。
【0016】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記ノッチ部の曲率に対応してエネルギ密度、スキャンピッチ、照射回数の少なくともいずれか一つを変えて前記照射することが望ましい。
【0017】
さらに、上記のレーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、前記レーザ光は、ナノ秒パルスレーザの前記照射と共に、CW(連続)レーザ照射が併用されることが望ましい。
【0018】
本発明は、レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質方法であって、レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光をノッチ部へ集光する集光レンズと、を備えた光学系を用いて、前記ポリゴンミラーを回転させることで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、ミラーで反射したレーザ光をノッチ部へ集光する集光レンズと、を備えた光学系を用いて、ポリゴンミラーを回転することでノッチ部へレーザ光を走査して照射するので、ノッチ部のように複雑な3次元形状であっても、高精度かつ連続的(処理部に切れ目なく)にレーザ走査することが可能となり、照射角度を変化させたり、レーザの種類を組み合わせたりして、結晶方位や表面のうねりなどの局所的な様相(状態)に好適な条件で高品質な表面処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ノッチ部4の形状(ノッチ形状)を示す図であり、(a)は平面図、(b)は一点鎖線部の断面図
【
図2】本発明の一実施形態によるノッチ部4の端面Tへのレーザ照射例を示す説明図
【
図3】本発明の一実施形態による光学系の基本構成を示す構成図
【
図4】本発明の一実施形態による光学系の基本構成を示す構成図
【
図5】第1実施形態の照射区間と光学系の階層関係を示す説明図(上面図)
【
図6】第1実施形態の照射区間と光学系の階層関係を示す説明図(構造図)
【
図7】各照射区間におけるミラー9、集光レンズ8の形状とレーザ光5の関係を示す図
【
図9】第1実施形態の1層光学系による(1)片R部への照射を説明する上面図
【
図10】第1実施形態の1層光学系による(1)片R部への照射を説明する断面から見た説明図
【
図11】第1実施形態の2層光学系による(2)直線部への照射を説明する上面図
【
図12】第1実施形態の2層光学系と2'層光学系との関係を示す断面から見た説明図
【
図13】第1実施形態の3層光学系による(3)ボトムR部への照射を説明する上面図
【
図14】第1実施形態の3層光学系と3'層光学系との関係を示す断面から見た説明図
【
図15】第1実施形態の姿勢制御手段12の動作を説明する斜視図
【
図16】第2実施形態の照射区間と光学系の階層の関係を説明する図(構造図)
【
図17】第2実施形態の2'層光学系による(2)直線部への照射を示す上面図
【
図18】第2実施形態における2層光学系と2'層光学系との関係を示す断面から見た説明図
【
図19】各実施形態におけるシステム構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ノッチ部4の形状(ノッチ形状)を示す図であり、(a)は平面図、(b)は一点鎖線部の断面図である。ノッチ形状は複雑な3次元形状であり、その照射区間は、
図1(a)の左端から(1)片R部、(2)直線部、(3)ボトムR部、そして(2)直線部と傾き方向が異なる(2')直線部、(1)片R部と対称の(1')片R部と続いている。また、断面形状は、シリコンウエハ1の上面2又は下面3と垂直となる端面T、端面Tの両端に接続する2つのR部R1、R2、2つのR部にそれぞれ接続する2つの斜面X1、X2がある。シリコンウエハ1の上面2又は下面3、端面T、R部R1、R2、斜面X1、X2は、結晶方位も異なる。
【0022】
ノッチ部4へのレーザ照射は、
図1のような複雑な3次元形状の各照射区間に行い、光学部品、アクチュエータを用いることで、均一で高速なレーザ熱処理として構成される。均一な表面処理は、ノッチ部4全体に連続的(処理部に切れ目なく)に等速なレーザ走査(それが困難であれば、レーザ照射エネルギを速度変化に対して適切に調整する)、形状変化に対する連続的なレーザ照射によって達成される。高速な表面処理は、レーザ照射中のワーク側の移動を極力避けることで行われる。また、レーザ照射は、処理面(照射面)に対し略垂直(入射角として10~15°以下)とする。さらに、照射条件は、結晶方位や形状に対応して決定する。
【0023】
図2は、ノッチ部4の端面Tへのレーザ照射例を示す説明図である。ノッチ部4の厚さ方向断面の各部(端面T、R部R1、R2、斜面X1、X2)照射は、ウエハを真空チャックするなどして固定し、少なくともピッチ方向(左右を軸として、上下に回転方向)に回転軸を持つチャックテーブルを、回転軸周りに回転させることで姿勢を変えて行う。ノッチ部4の端面Tへのレーザ照射において、レーザ照射部(1)片R部へのレーザ走査軌道は、図中(1)として矢印aから矢印bで示している。
【0024】
レーザ照射部(2)直線部へのレーザ走査軌道は、図中(2)として矢印cから矢印dで示している。レーザ照射部(3)ボトムR部へのレーザ走査軌道は、図中(3)として矢印dから矢印eで示している。以下、レーザ照射部(2')直線部、(1')片R部へのレーザ照射は、同様に行い、いずれのレーザ照射も連続的、かつ照射面に垂直に行う。
【0025】
ただし、(2')直線部、(1')片R部は、ノッチボトム位置に対して対称なので、(1)片R部、(2)直線部と同様であるが、同一平面にレーザ走査軌道があると、光学系を構成する部品が干渉する。例えば、(2')直線部へのレーザ走査軌道(2')は、(1)片R部へのレーザ走査軌道(1)及び(3)ボトムR部へのレーザ走査軌道(3)と干渉する。
【0026】
その他、(1')片R部へのレーザ走査軌道(1')は、(2)直線部へのレーザ走査軌道(2)及び(3)ボトムR部へのレーザ走査軌道(3)と干渉する。したがって、光学系は、同一平面に光学系を組むと干渉するので、各照射区間に対応した複数の階層に分けて光学部品が干渉しないように配置する。また、(2)直線部、(2')直線部は、曲率の小さい円弧でレーザ走査軌道を近似する。
【0027】
ウエハエッジ部の改質装置は、要約すると以下の構成とする。光学系は、光学部品として偏向素子としてポリゴンミラー(回転多面鏡)6、7、ミラー(反射板)9、ビームスプリッタ38及び集光レンズ8を適切に配置し、ポリゴンミラー6、7をモータ等のアクチュエータにより高速に回転・制御する。これにより、光学系は、等速で高速なレーザ照射の走査(スキャン)を行うことが可能となる。
【0028】
レーザ光源10から発射されたレーザ光5は、ノッチ形状に沿って連続的に高速でスキャンされる。また、光学系は、同一平面に組むと干渉するので、3次元的に複数の階層ごとに構成され、階層ごとの光学系でレーザ光5を照射区間ごとに照射する。レーザ光5は、照射区間に応じてビームスプリッタ38等で階層ごとに分岐させる。
【0029】
レーザ光5は、ウエハの材質に応じた波長、パルス又は連続(CW)レーザを選択する。また、レーザ光5は、複数台組み合わせても良い。選択されたレーザ光5は、高速回転するポリゴンミラー7により偏向する。次に、レーザ光5は、ミラー9等を介してノッチ形状に対応して、例えば、照射面に対して入射角が略垂直となるように偏向される。レーザ照射角度は、表面状態に好適な条件となるように調整しても良い。さらに、偏向されたレーザ光5は、ノッチ形状に応じた形状とされた集光レンズ8で集光し、ノッチ部4へレーザ光5を走査して照射する。
【0030】
上記により、ウエハエッジ部の改質装置は、3次元で形状変化するノッチ部4全体に高精度に均一な処理(高品質)を高速で行うことが可能となる。また、レーザ光5の照射角度を変化させたり、レーザ光5の種類を組み合わせたりして、結晶方位や表面のうねりなどの局所的な様相(状態)に好適な条件で表面処理を行うことができる。
【0031】
図3及び
図4は、光学系の基本構成を示す構成図である。
図3は、
図2で示したレーザ照射部(1)片R部、(3)ボトムR部、(1')片R部で使用する光学系の基本構成、
図4は、同様に(2)直線部、(2')直線部で使用する光学系の基本構成である。
【0032】
図3において、レーザ光源10からのレーザ光5は、高速回転するポリゴンミラー6、7で反射してミラー9へ至る。ミラー9に入射するレーザ光5は、ポリゴンミラー7の回転中心を中心とする円弧を動くレーザ走査軌道となる。ミラー9で反射したレーザ光5は、集光レンズ8を通って集光されてノッチ部4を照射する。
【0033】
なお、集光レンズ8は、図示しているように断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体である。
図4は、
図3と同様であるが、ミラー9とポリゴンミラー6の回転中心間の距離を大きくして、レーザ走査軌道は、曲率の小さな円弧で直線近似する。
【0034】
図5、
図6は、第1実施形態のレーザ光5の照射区間と光学系の階層関係を示す説明図であり、
図5は上面図、
図6は階層構造を示している。第1実施形態は、光学系の全体でレーザ光源10を1台とし、
図3及び
図4で示した光学系の基本構成を複数の階層に立体配置(特に、高さ方向に配置)して構成される。
【0035】
図5において、図(a)、(b)は、シリコンウエハ1を上から見た上面側の図であり、(c)は、下から見た下面側の図である。
図5(a)及び
図6で示すように、(1)片R部の照射区間は1層光学系で照射する。(1')片R部の照射はノッチボトムとウエハ中心を通る線で対称なので、(1')片R部は、1層光学系に対し対称に配置した5層光学系で照射する。
【0036】
図5(b)及び
図6で示すように、(2)直線部の照射区間は2層光学系で照射する。(2')直線部の照射は、ノッチボトムとウエハ中心を通る線で対称なので、2層光学系に対し対称に配置した4層光学系で照射する。
図5(c)及び
図6で示すように、2'層光学系は、シリコンウエハ1を挟んで2層光学系と鏡像となる2'層光学系をシリコンウエハ1の上面側と下面側とでペアとなるように配置する。
【0037】
以下、同様に、第1実施形態は、3層光学系と鏡像となる3'層光学系、4層光学系と鏡像となる4'層光学系、5層光学系と鏡像となる5'層光学系を配置する。なお、改質装置は、レーザ光5を各階層(1~5、2'~5'層光学系)の切替え手段11、及びシリコンウエハ1をピッチ方向に回転させて、照射位置を
図1(b)で示した斜面X1、X2、端面T、R部R1、R2と切替える姿勢制御手段12を備えている。
【0038】
図7は、各照射区間におけるミラー9、集光レンズ8の形状とレーザ光5の関係を示す図である。図(a)は(1)片R部、(1')片R部、図(b)は(2)直線部、(2')直線部、図(c)は(3)ボトムR部である。図(a)において、レーザ光5は、側面がくの字状に組み合わされた凹面鏡となる円弧型のミラー9の上側に入射し、下側で反射して
図3で示したように集光レンズ8へ至る。集光レンズ8は、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体である。
【0039】
図(b)において、ミラー9、集光レンズ8の上面より見た曲率は、図(a)よりも小さい円弧でレーザ光5のレーザ走査軌道は直線に近似される。図(c)は、図(a)と同様であるが、ミラー9、集光レンズ8の上面より見た曲率(あるいは焦点距離)は、(3)ボトムR部と(1)片R部との距離の違いに対応している。
【0040】
図8は、第1実施形態の光学系の構成を示す上面図であり、1層光学系による(1)片R部の照射区間(
図1、2参照)の照射例を示している。レーザ光源10からのレーザ光5は、
図3で示した1層光学系としてポリゴンミラー21、固定ミラー23を介して高速回転するポリゴンミラー6、7で反射してミラー9へ至る。ノッチ部4への照射は、
図3で説明したものと同様である。
【0041】
レーザ光源10からのレーザ光5は、ポリゴンミラー21、回転ミラー22、ポリゴンミラー24、固定ミラー25、偏向ミラー26の光路を介して2層光学系へ導かれる。また、レーザ光5は、ポリゴンミラー21、回転ミラー22、ポリゴンミラー24、回転ミラー27、回転ミラー28、固定ミラー29、偏向ミラー30を介して3層光学系へ導かれる。さらに、回転ミラー28で分岐されたレーザ光5は、固定ミラー31、偏向ミラー32を介して4層光学系へ導かれる。そして、回転ミラー27で分岐されたレーザ光5は、固定ミラー33、34、偏向ミラー35を介して5層光学系へ導かれる。
【0042】
1~5層光学系への切替えは、ポリゴンミラー21、24の回転で行われる。また、ミラー9、集光レンズ8は、ポリゴンミラー7の回転中心を中心とする円弧に配置されている。したがって、ポリゴンミラー7の中心軸は、(1)片R部(
図1、2参照)の円中心と一致している。
【0043】
図9は1層光学系による(1)片R部への照射を説明する上面図、
図10は断面から見た説明図であり、(a)は断面図、(b)は集光レンズ8の斜視図である。なお、
図9は、ノッチ部4を見やすくするためポリゴンミラー6、7の大きさを小さく描いている。また、(1')片R部の照射区間はノッチボトムとウエハ中心を通る線gで対称に、5層光学系として光学系を配置する。
【0044】
図10において、レーザ光5は、ミラー9により直角に折り返され、シリコンウエハ1の厚み方向に光軸をずらしてノッチ部4へ照射される。なお、(2)直線部の照射区間は、ミラー9の曲面を大きくし、レーザ走査軌道を直線に近づける。また、(2')直線部の照射区間は、ノッチボトムとウエハ中心を通る線gで対称なので同様にする。
【0045】
図11は、2層光学系による(2)直線部への照射を説明する上面図である。偏向ミラー26で2層光学系へ導かれたレーザ光5は、ミラー36、ミラー37、ビームスプリッタ38を介してポリゴンミラー6へ導かれる。ノッチ部4への照射は、
図3で説明したものと同様である。
【0046】
ビームスプリッタ38で分岐したレーザ光5は、2'層光学系へ導かれる。ポリゴンミラー7の中心軸は、(2)直線部の垂直二等分線fをウエハ中心を境界として左側に配置する。2'層光学系も同様であり、2'層光学系は、シリコンウエハ1を挟んで対称に配置する。つまり、2'層光学系は、2層光学系と鏡像対称となり、シリコンウエハ1を挟んで手のひらを合わせた関係となる。なお、3'層光学系、4'層光学系、5'層光学系も同様の関係の配置となる。
【0047】
図12は2層光学系と2'層光学系との関係を示す断面から見た説明図である。
図12において、ビームスプリッタ38で分岐したレーザ光5は、一方が2層光学系(
図12で上側)へ、他方がミラー39を介して2'層光学系(
図12で下側)へ導かれる。ノッチ部4への照射は、2層光学系、2'層光学系共に、
図3で説明したものと同様に集光レンズ8を通って行われる。
【0048】
図13は、3層光学系による(3)ボトムR部への照射を説明する上面図である。偏向ミラー30で3層光学系へ導かれたレーザ光5は、ミラー40、ミラー41、ビームスプリッタ42を介してポリゴンミラー6へ導かれる。ノッチ部4への照射は、
図3で説明したものと同様である。ビームスプリッタ42で分岐したレーザ光5は、3'層光学系へ導かれる。ポリゴンミラー7の中心軸は、ノッチボトムの中心に配置する。3'層光学系も同様であり、3'層光学系は、シリコンウエハ1を挟んで対称に配置する。つまり、3'層光学系は、3層光学系と鏡像対称となり、シリコンウエハ1を挟んで手のひらを合わせた関係となる。
【0049】
図14は、断面で見た3層光学系と3'層光学系との関係を示す説明図である。
図14において、ビームスプリッタ42で分岐したレーザ光5は、一方が3層光学系(
図14で上側)へ、他方がミラー43を介して3'層光学系(
図14で下側)へ導かれる。ノッチ部4への照射は、3層光学系、3'層光学系共に、
図3で説明したものと同様に集光レンズ8を通って行われる。
【0050】
図15は、姿勢制御手段12(
図6参照)の動作を説明する斜視図である。姿勢制御手段12は、シリコンウエハ1をピッチ方向に回転させて、照射位置を
図1(b)で示した斜面X1、X2、端面T、R部R1、R2と切替える。シリコンウエハ1は、真空チャック等で固定する。姿勢制御手段12は、ピッチ方向の回転軸を持つテーブルを図示のように回転させる。
【0051】
そして、姿勢制御手段12は、斜面X1、X2、端面T、R部R1、R2のいずれかにレーザ光5の入射が垂直になるようにシリコンウエハ1の姿勢を変える。シリコンウエハ1の姿勢が定まった状態で、位置調整機構(例えば、ウエハテーブル:図示せず)は、YとZ方向にシリコンウエハ1を移動し照射距離と位置を調整する。
【0052】
斜面X1、X2、端面T、R部R1、R2への照射は、連続的(1)片R部、(2)直線部、(3)ボトムR部(
図1参照)に1ラインずつ照射を行う。同じ面の次のラインへの照射は、Z軸で所定のスキャンピッチで送り照射していく。
【0053】
図16は、第2実施形態のレーザ光5の照射区間と光学系の階層の関係を説明する図である。第2実施形態は、照射エネルギを増加させるため、光学系の全体でレーザ光源10、51の2台とし、
図3及び
図4で示した光学系の基本構成を複数の階層に立体配置して構成される。例えば、第2実施形態は、(2)直線部の照射区間の照射にレーザ光源10を2層光学系、レーザ光源51を2'層光学系で別々に使用する。
【0054】
したがって、第2実施形態は、レーザ光5を1~5層光学系の切替え手段11と2'~5'層光学系の切替え手段50、及びシリコンウエハ1をピッチ方向に回転させて、照射位置を
図1(b)で示した斜面X1、X2、端面T、R部R1、R2と切替える姿勢制御手段12を備えている。以下、同様に、第2実施形態は、3層光学系と鏡像となる3'層光学系、4層光学系と鏡像となる4'層光学系、5層光学系と鏡像となる5'層光学系を配置する。なお、レーザ光源10、51は、2台に限らず、複数台を設けて、レーザ光源10を適宜分岐して各光学系へ導いても良く、各階層ごとに設けても良い。
【0055】
図17は、第2実施形態の光学系の構成を示す上面図であり、2'層光学系による(2)直線部(
図1、2参照)の照射を示している。なお、1層光学系は、第1実施形態と同様である。2'層光学系は、2層光学系とペアとなって(2)直線部を照射する。レーザ光源51からのレーザ光5は、
図4で示した2'層光学系としてポリゴンミラー52、固定ミラー53を介して高速回転するポリゴンミラー6、7で反射してミラー9へ至る。ノッチ部4への照射は、
図4で説明したものと同様である。
【0056】
レーザ光源51からのレーザ光5は、ポリゴンミラー52、回転ミラー54、ポリゴンミラー55、固定ミラー56、偏向ミラー57の光路を介して3'層光学系へ導かれる。また、レーザ光5は、ポリゴンミラー52、回転ミラー54、ポリゴンミラー55、固定ミラー58、回転ミラー61、固定ミラー59、偏向ミラー60を介して4'層光学系へ導かれる。さらに、回転ミラー61で分岐されたレーザ光5は、固定ミラー63、偏向ミラー62を介して5'層光学系へ導かれる。
【0057】
図18は、第2実施形態における2層光学系と2'層光学系との関係を示す断面説明図である。第2実施形態は、レーザ光源10、51を用いるので、第1実施形態のビームスプリッタ38(
図12参照)が不要となる。レーザ光源10からのレーザ光5が2層光学系(
図18で上側)へ、レーザ光源51からのレーザ光5が2'層光学系(
図18で下側)へ導かれる。ノッチ部4への照射は、2層光学系、2'層光学系共に、
図3で説明したものと同様に集光レンズ8を通って行われる。
【0058】
図19は、各実施形態におけるシステム構成を示すブロック図である。制御部70は、レーザ光源10(
図3、8等参照)に対しては、照射部の結晶方位や形状に対応して照射条件を決定して照射の開始、停止、切替え、スキャンピッチ等を制御する。例えば、制御部70は、照射箇所(ノッチ部4及びそれ以外)の結晶方位に対応した累積照射エネルギを決定してレーザ光5(例えば、ナノ秒パルスレーザ)を照射する。なお、制御部70は、ナノ秒パルスレーザの照射と共に、CW(連続)レーザ照射を併用しても良い。
【0059】
特に、シリコンウエハ1の上面2又は下面3、端面T、斜面X1、X2は、結晶方位が異なるので、結晶方位に対応した照射条件を定める。また、レーザ光源10は、波長λ=355、532、785nmのいずれかのナノ秒パルスレーザが望ましい。そして、パルス幅1パルス当たりのエネルギは、0.5μジュールから30μジュール、エネルギ密度が0.125J/cm2から7.5J/cm2が望ましい。
【0060】
また、ナノ秒パルスレーザは、照射箇所の曲率に対応してエネルギ密度、スキャンピッチ、照射回数の少なくともいずれか一つを変えて照射する。例えば、必要な照射エネルギは、Si(110)>Si(100)>Si(111)の大小関係となり、結晶方位に対応した照射条件を定める。結晶方位に対応した照射条件は、Si(110)面のエネルギは、Si(100)面のおおよそ1.3倍、Si(111)面は、Si(100)面と同程度から0.7倍の照射エネルギとすることなどである。
【0061】
また、制御部70は、偏向素子(アクチェーター)71として、ポリゴンミラー6、7等(
図3等参照)、回転ミラー22、27、28等(
図8参照)をレーザ光5の照射区間、光学系の階層、スキャンピッチ、等の切替え等を制御する。さらに、制御部70は、シリコンウエハ1の姿勢を姿勢制御手段12(
図6参照)へ指令して、ピッチ方向の回転、鉛直方向及び水平方向の位置を制御する。なお、ミラー9等(
図3等参照)、集光レンズ8等は、固定である。
【0062】
以上、集光レンズ8は、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、レーザ光5は、ノッチ部4へ集光する光学系を用いる。そして、偏向素子(アクチェーター)71は、照射区間、光学系の階層、スキャンピッチ、等の切替え等を制御するので、ノッチ部4のように複雑な3次元形状であっても、高精度かつ連続的(処理部に切れ目なく)にレーザ走査することが可能となる。また、照射角度を変化させたり、レーザの種類を組み合わせたりして、結晶方位や表面のうねりなどの局所的な様相(状態)に好適な条件で高品質で高速な表面処理を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1…シリコンウエハ
2…上面
3…下面
4…ノッチ部
5…レーザ光
6、7、21、24、52、55…ポリゴンミラー
8…集光レンズ
9、36、37、39、40、41、43…ミラー
10、51…レーザ光源
11、50…切替え手段
12…姿勢制御手段
22、27、28、54、61…回転ミラー
23、25、29、31、33、34、53、56、58、59、63…固定ミラー
26、30、32、35、57、60、62…偏向ミラー
38、42…ビームスプリッタ
70…制御部
71…偏向素子
T…端面
X1、X2…斜面
R1、R2…R部
f…垂直二等分線
【手続補正書】
【提出日】2021-07-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質装置において、
レーザ光源からのレーザ光をノッチ部へ照射する光学系を有し、
前記光学系は、
前記レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、
断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光を前記ノッチ部へ集光する集光レンズと、
を備え、前記ポリゴンミラーが回転することで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射し、前記ノッチ部の結晶方位に対応した累積照射エネルギを決定して前記レーザ光を前記照射することを特徴とするウエハエッジ部の改質装置。
【請求項2】
前記ノッチ部の照射区間を(1)片R部、(2)直線部、(3)ボトムR部、前記(2)直線部と傾き方向が異なる(2')直線部、前記(1)片R部と対称の(1')片R部に分け、前記光学系は3次元的に複数の階層ごとに構成され、前記レーザ光は前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射されることを特徴とする請求項1に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項3】
前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系で前記照射区間ごとに照射するよう照射位置を制御する姿勢制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項4】
前記照射区間である前記(2)直線部、前記(2')直線部は、前記ミラーと前記ポリゴンミラーとの回転中心間の距離を大きくしてレーザ走査軌道が直線近似されることを特徴とする請求項2又は3に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項5】
前記レーザ光源を1台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へビームスプリッタで分岐させることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項6】
前記レーザ光源を複数台として、前記レーザ光を前記階層ごとの前記光学系へ導くことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項7】
前記ノッチ部の曲率に対応してエネルギ密度、スキャンピッチ、照射回数の少なくともいずれか一つを変えて前記照射することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項8】
前記レーザ光は、ナノ秒パルスレーザの前記照射と共に、CW(連続)レーザ照射が併用されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のウエハエッジ部の改質装置。
【請求項9】
レーザ熱処理を用いたウエハエッジ部の改質方法であって、
レーザ光を反射して、側面がくの字状に組み合わされ凹面鏡となる円弧型であるミラーへ導くポリゴンミラーと、断面形状が平凸型で上面から見て曲面形状となった3次元曲面体であり、前記ミラーで反射した前記レーザ光をノッチ部へ集光する集光レンズと、を備えた光学系を用いて、前記ポリゴンミラーを回転させることで前記ノッチ部へ前記レーザ光を走査して照射し、前記ノッチ部の結晶方位に対応した累積照射エネルギを決定して前記レーザ光を前記照射することを特徴とするウエハエッジ部の改質方法。