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特開2022-144574半導体レーザ素子、発光装置、及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022144574
(43)【公開日】2022-10-03
(54)【発明の名称】半導体レーザ素子、発光装置、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/042 20060101AFI20220926BHJP
   H01S 5/0236 20210101ALI20220926BHJP
   H01S 5/22 20060101ALI20220926BHJP
【FI】
H01S5/042 612
H01S5/0236
H01S5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021045643
(22)【出願日】2021-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃平
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AA08
5F173AH22
5F173AK21
5F173AL02
5F173AL04
5F173AP05
5F173AP82
5F173AP93
5F173AR93
5F173MD63
5F173MD73
5F173MD83
5F173ME03
5F173ME83
5F173ME85
(57)【要約】
【課題】合否判定精度を向上することができる半導体レーザ素子、発光装置、及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】第1主面と、第2主面と、光出射端面と、光反射端面と、光導波路と、を有する半導体含有部と、第1主面に設けられた電極と、第1主面の電極から離れた位置に設けられた1以上の金属膜と、を備え、第1主面の外縁は、光出射端面の側の第1辺を有し、第1主面と光導波路との間の距離は、第2主面と光導波路との間の距離よりも大きく、1以上の金属膜は、第1主面の第1辺に接しており、(a)1以上の金属膜の第1辺に沿った長さは、電極の第1辺と平行な方向における長さよりも小さい、及び/又は、(b)1以上の金属膜は、第1主面の法線方向からみた平面視において、光導波路と重ならない位置に配置されている、半導体レーザ素子。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、第2主面と、光出射端面と、光反射端面と、光導波路と、を有する半導体含有部と、
前記第1主面に設けられた電極と、
前記第1主面の前記電極から離れた位置に設けられた1以上の金属膜と、を備え、
前記第1主面の外縁は、前記光出射端面の側の第1辺を有し、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きく、
前記1以上の金属膜は、前記第1主面の前記第1辺に接しており、
(a)前記1以上の金属膜の前記第1辺に沿った長さは、前記電極の前記第1辺と平行な方向における長さよりも小さい、及び/又は、
(b)前記1以上の金属膜は、前記第1主面の法線方向からみた平面視において、前記光導波路と重ならない位置に配置されている、半導体レーザ素子。
【請求項2】
前記1以上の金属膜の前記第1辺に沿った長さは、前記電極の前記第1辺と平行な方向における長さの70%以下である、請求項1に記載の半導体レーザ素子。
【請求項3】
前記1以上の金属膜は、複数の金属膜である、請求項1又は2に記載の半導体レーザ素子。
【請求項4】
前記複数の金属膜の前記第1辺に沿った長さの合計は、前記第1辺の長さの30%以上である、請求項3に記載の半導体レーザ素子。
【請求項5】
前記複数の金属膜は、前記第1主面の法線方向からみた平面視において、前記光導波路を挟む位置に配置された1組の金属膜を含む、請求項3又は4に記載の半導体レーザ素子。
【請求項6】
前記第1主面の外縁は、前記光反射端面の側の第2辺を有し、
前記1以上の金属膜は、1以上の第1金属膜であり、
前記半導体レーザ素子は、前記第1主面の前記電極から離れた位置に設けられ、前記第1主面の前記第2辺に接している1以上の第2金属膜を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項7】
前記半導体含有部は、
前記第1主面を構成する第1基板主面と、前記第1基板主面とは反対の側の第2基板主面と、を有する基板と、
前記基板の前記第2基板主面に設けられた半導体層と、を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。
【請求項8】
前記電極は第1電極であり、
前記第2主面に設けられた第2電極を備える、請求項7に記載の半導体レーザ素子。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子が固定される基体と、を備える発光装置であって、
前記半導体レーザ素子は、前記第2主面が前記基体と対面する配置で前記基体に固定されている、発光装置。
【請求項10】
第1主面と第2主面と光導波路とを有する半導体含有部を準備する工程と、
前記半導体含有部の前記第1主面に、第1方向に並ぶ複数の電極と、前記複数の電極の間であって且つ前記複数の電極から離れた位置に、前記第1方向と交わる第2方向における長さが前記複数の電極の前記第2方向における長さよりも小さい1以上の金属膜と、を形成する工程と、
前記複数の電極の間を、前記第2方向に沿って、前記1以上の金属膜を分断する位置で劈開する工程と、を備え、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きい、半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項11】
第1主面と第2主面と光導波路とを有する半導体含有部を準備する工程と、
前記半導体含有部の前記第1主面に、第1方向に並ぶ複数の電極と、前記複数の電極の間であって、且つ、前記複数の電極から離れた位置であって、且つ、前記第1主面の法線方向からみた平面視において前記光導波路と重ならない位置に、1以上の金属膜と、を形成する工程と、
前記複数の電極の間を、前記第1方向と交わる第2方向に沿って、前記1以上の金属膜を分断する位置で劈開する工程と、を備え、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きい、半導体レーザ素子の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法により半導体レーザ素子を準備する工程と、
前記半導体レーザ素子を、前記第2主面が基体と対面する配置で、前記基体に固定する工程と、を備える、発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記基体に固定する工程の後に、前記半導体レーザ素子の前記1以上の金属膜と、前記基体の端部又は端部を推定可能な部分とを含む認識対象物の外形の少なくとも一部を検出する工程と、
前記検出した認識対象物の外形の少なくとも一部を用いて合否判定を行う工程と、を備える、請求項12に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ素子、発光装置、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、共振器長のチップサイズ内に収まるチップサイズよりも小さい複数の電極パターンを形成し、電極パターン間で分割して個々の半導体レーザを得る半導体レーザの製造方法が記載されている。特許文献1では、この方法では同一の半導体ウエハから異なる共振器長のレーザチップを生産することが困難であるため、その解決手段として、電極パターンを共振器長方向に連続して形成する半導体レーザの製造方法が記載されている。この方法では、電極パターンを横切る位置で劈開して個々の半導体レーザを得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-095859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電極パターンと電極パターンの間で分割することにより得られたレーザ素子では、レーザ素子の端面には電極パターンがないため、レーザ素子の端面の位置を画像認識装置等で判定できない場合がある。この場合、例えば、電極パターンを画像認識装置等で認識し、その電極パターンから所定の距離に端面が位置していると推定する。このような推定を元に例えばレーザ素子を実装した位置等の種々の合否判定を行うことができるが、端面の実際の位置は必ずしも推定した位置と一致するとは限らないため、本来は良品であるものを不良品として誤判定する可能性がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された製造方法のように電極パターンを横切る位置で劈開を行うと、電極パターンは劈開で得られる端部にまで形成されるが、一方で、劈開により電極パターンが延伸して短絡等を引き起こす懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の発明を含む。
第1主面と、第2主面と、光出射端面と、光反射端面と、光導波路と、を有する半導体含有部と、
前記第1主面に設けられた電極と、
前記第1主面の前記電極から離れた位置に設けられた1以上の金属膜と、を備え、
前記第1主面の外縁は、前記光出射端面の側の第1辺を有し、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きく、
前記1以上の金属膜は、前記第1主面の前記第1辺に接しており、
(a)前記1以上の金属膜の前記第1辺に沿った長さは、前記電極の前記第1辺と平行な方向における長さよりも小さい、及び/又は、
(b)前記1以上の金属膜は、前記第1主面の法線方向からみた平面視において、前記光導波路と重ならない位置に配置されている、半導体レーザ素子。
【0007】
上述の半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子が固定される基体と、を備える発光装置であって、
前記半導体レーザ素子は、前記第2主面が前記基体と対面する配置で前記基体に固定されている、発光装置。
【0008】
第1主面と第2主面と光導波路とを有する半導体含有部を準備する工程と、
前記半導体含有部の前記第1主面に、第1方向に並ぶ複数の電極と、前記複数の電極の間であって且つ前記複数の電極から離れた位置に、前記第1方向と交わる第2方向における長さが前記複数の電極の前記第2方向における長さよりも小さい1以上の金属膜と、を形成する工程と、
前記複数の電極の間を、前記第2方向に沿って、前記1以上の金属膜を分断する位置で劈開する工程と、を備え、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きい、半導体レーザ素子の製造方法。
【0009】
第1主面と第2主面と光導波路とを有する半導体含有部を準備する工程と、
前記半導体含有部の前記第1主面に、第1方向に並ぶ複数の電極と、前記複数の電極の間であって、且つ、前記複数の電極から離れた位置であって、且つ、前記第1主面の法線方向からみた平面視において前記光導波路と重ならない位置に、1以上の金属膜と、を形成する工程と、
前記複数の電極の間を、前記第1方向と交わる第2方向に沿って、前記1以上の金属膜を分断する位置で劈開する工程と、を備え、
前記第1主面と前記光導波路との間の距離は、前記第2主面と前記光導波路との間の距離よりも大きい、半導体レーザ素子の製造方法。
【0010】
上述の方法により半導体レーザ素子を準備する工程と、
前記半導体レーザ素子を、前記第2主面が基体と対面する配置で、前記基体に固定する工程と、を備える、発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
上述の半導体レーザ素子、発光装置、及びそれらの製造方法によれば、合否判定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子を示す模式的な平面図である。
図2A図1のIIA-IIA線における断面図である。
図2B図1のIIB-IIB線における断面図である。
図3】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子の別の例を示す模式的な平面図である。
図4A】本発明の一実施形態の発光装置を示す模式的な平面図である。
図4B】本発明の一実施形態の発光装置の別の例を示す模式的な断面図である。
図5】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。
図7図6のVII-VII線における断面図である。
図8】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。
図9図8のIX-IX線における断面図である。
図10】本発明の一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。
図11】本発明の一実施形態の発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。また、各断面図では、切断面の様子のみを示し、切断面に存在しない部材は図示を省略する。
【0014】
図1は、一実施形態の半導体レーザ素子を示す模式的な平面図である。図2Aは、図1のIIA-IIA線における断面図である。図2Bは、図1のIIB-IIB線における断面図である。図1図2Bに示すように、半導体レーザ素子100は、半導体含有部10と、電極20と、1以上の金属膜30と、を有する。
【0015】
(半導体含有部10)
半導体含有部10は、第1主面11と、第2主面12と、光出射端面13と、光反射端面14と、光導波路15と、を有する。第1主面11の外縁は、光出射端面13の側の第1辺11aを有する。第1主面11の外縁は、光反射端面14の側の第2辺11bを有する。第1主面11の外縁は、第1主面11の法線方向からみた平面視において、例えば四角形である。第2主面12の外縁は、第2主面12の法線方向からみた平面視において、例えば四角形である。例えば、第1主面11は平面であり、第2主面12にはリッジ17dが設けられている。もし金属膜30を段差のある部分に設けると、段差によってコントラストが生じるため、画像認識装置等によって段差が金属膜30の外形であると誤検出される可能性がある。このため、金属膜30は平坦な部分に設けることが好ましい。第1主面11が平面であれば、金属膜30をどこに形成しても段差がないため、金属膜30の形成位置の自由度を向上することができる。
【0016】
第1主面11と光導波路15との間の距離は、第2主面12と光導波路15との間の距離よりも大きい。これにより、後述するように半導体レーザ素子100の第2主面12が基体と対面する配置で半導体レーザ素子100が基体に固定される場合に、金属膜30を用いて光出射端面13と基体との位置関係を検出することができる。したがって、それらの位置関係の合否判定の精度を向上させることができる。第1主面11から光導波路15までの距離と第2主面12から光導波路15までの距離との大小関係は、第1主面11から活性層17bまでの距離と第2主面12から活性層17bまでの距離との大小関係をもって判断してもよい。すなわち、第1主面11と活性層17bとの間の距離が、第2主面12と活性層17bとの間の距離よりも大きければ、第1主面11と光導波路15との間の距離が、第2主面12と光導波路15との間の距離よりも大きいといえる。
【0017】
光導波路15は、光出射端面13と光反射端面14を繋ぐ位置に配置されている。光導波路15は、例えば一方向に長い形状である。光導波路15は、例えば光出射端面13および光反射端面14と交わる方向に長い形状である。光導波路15の長手方向は、光出射端面13および光反射端面14に対して80~100°の角度で交わることができる。光導波路15の短手方向は、平面視において、長手方向と垂直に交わる方向である。
【0018】
半導体含有部10は、基板16と、半導体層17と、を有することができる。基板16は、第1基板主面16aと、第1基板主面16aとは反対の側の第2基板主面16bと、を有する。半導体層17は、基板16の第2基板主面16bに設けられている。
【0019】
基板16は、例えば半導体基板である。基板16として例えばGaN基板等の窒化物半導体基板を用いることができる。GaN等のウルツ鉱構造を有する窒化物半導体の劈開容易面はm面(すなわち、{10-10}面)である。例えば、基板16の+c面(すなわち、(0001)面)に半導体層17を形成し、基板16及び半導体層17のm面を光出射端面13及び光反射端面14とすることができる。c面は、厳密に(0001)面と一致する面に限らず、±1度の範囲内のオフ角を有する面も含む。m面は、厳密に{10-10}面と一致する面に限らず、{10-10}面からのずれが1度未満の面も含む。基板16を設けず、半導体含有部10が半導体層17のみからなっていてもよい。
【0020】
半導体層17は、第1導電型半導体層17aと、活性層17bと、第2導電型半導体層17cとを有する。これらを構成する半導体は、窒化物半導体とすることができ、例えば、III族窒化物半導体とする。III族窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGaNが挙げられる。
【0021】
第1導電型半導体層17aは、例えばn型半導体層である。第2導電型半導体層17cは、例えばp型半導体層である。基板16と、第1導電型半導体層17aと、活性層17bと、第2導電型半導体層17cとは、それぞれ直接接していてもよく、それらの間に別の半導体層が配置されていてもよい。例えば、第2導電型半導体層17cと活性層17bとの間にアンドープの層が配置されていてもよい。活性層17bは、多重量子井戸構造、又は、単一量子井戸構造とすることができる。基板16の上に形成される複数の層としては、例えば、基板16側から順に、n側クラッド層、n側光ガイド層、活性層17b、p側電子閉じ込め層、p側光ガイド層、p側クラッド層、p側コンタクト層が挙げられる。例えば、n側クラッド層が第1導電型半導体層17aであり、p側コンタクト層が第2導電型半導体層17cである。
【0022】
半導体層17は、基板16と反対の側の面にリッジ17dが設けられている。平面視で、リッジ17dは、光出射端面13と光反射端面14を繋ぐ位置に配置されている。リッジ17dは、例えば一方向に長い形状である。リッジ17dは、例えば光出射端面13および光反射端面14と交わる方向に長い形状である。リッジ17dの長手方向は、光出射端面13および光反射端面14に対して80~100°の角度で交わることができる。リッジ17dは、例えばストライプ状である。リッジ17dによって光導波路を規定することができる。例えば、第1主面11の法線方向からみた平面視においては、リッジ17dと一致する部分を光導波路15とみなすことができる。リッジ17dは、例えば、第2導電型半導体層17cの上面の一部に形成されている。
【0023】
(電極20)
電極20は、第1主面11に設けられている。図1図2Bにおいて、第1主面11は、基板16の第1基板主面16aで構成されている。すなわち、電極20は第1基板主面16aに設けられている。電極20は、例えばn電極である。電極20は、例えば、Ni、Rh、Cr、Au、W、Pt、Ti、Alのいずれか1以上の金属又は合金の層を1層以上有する。電極20は、例えば、最表面をAu層とする。電極20は、第1主面11の第1辺11aに接していない。平面視において、電極20と第1辺11aとの間の距離は、15μm以上とすることができ、45μm以下とすることができる。電極20は、第1主面11の第2辺11bに接していない。平面視において、電極20と第2辺11bとの間の距離は、15μm以上であってもよい。電極20と第2辺11bとの間の距離は、45μm以下とすることができる。電極20と第2辺11bは接していてもよい。図1では、複数の金属膜30の間に電極20は配置されていないが、複数の金属膜30の間に電極の一部が配置されていてもよい。
【0024】
(金属膜30)
金属膜30は、第1主面11に設けられている。金属膜30は、電極20から離れた位置に設けられている。金属膜30は、第1主面11の第1辺11aに接している。金属膜30は、下の(a)及び(b)の少なくともいずれか一方を満たす。両方満たしていてもよい。(a)金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20よりも小さい。(b)金属膜30は、第1主面11の法線方向からみた平面視において、光導波路15と重ならない位置に配置されている。
【0025】
金属膜30を設けることによって、合否判定精度を向上することができる。すなわち、金属膜30が第1主面11の第1辺11aに接しているため、光出射端面13の位置を金属膜30によって判別することができる。これにより、光出射端面13の実際の位置を元に合否判定をすることができるため、合否判定精度を向上させることができる。また、後述する基体に半導体レーザ素子100を固定した後、金属膜30の外形を画像認識装置等を用いて検出することにより光出射端面13の位置を特定し、基体の端部と光出射端面13の位置関係から、半導体レーザ素子100の固定位置の合否判定を行うことができる。
【0026】
また、金属膜30を設けることによって、後述の図3に示す端面保護膜62が電極20に達する確率を低減することが可能である。光出射端面13から電極20までの間に金属膜30があり、金属膜30によって光出射端面13に設けられる端面保護膜62の回り込みを低減することができるためである。この場合、第1主面11が平面であって、金属膜30の厚さと電極20の厚さが等しいか、金属膜30の厚さの方が大きいことがより好ましい。これにより、光出射端面13に設けられる端面保護膜62が電極20に到達する可能性をより低減することができる。特に、端面保護膜62を形成する際に第1主面11の側にスペーサを配置する場合に、金属膜30の厚さと電極20の厚さがそのような関係であれば、金属膜30とスペーサによって端面保護膜62の回り込みをより低減することができる。
【0027】
金属膜30は、電極20と繋がっていない。このため、電極20を第1辺11aに接して形成する場合と比較して、光出射端面13を形成する際に短絡が生じる可能性が低い。電極20と金属膜30との間の距離は、5μm以上とすることができる。これにより、より確実に電極20と金属膜30とを分離することができる。電極20と金属膜30との間の距離は、20μm以下とすることができる。
【0028】
金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20よりも小さい。これにより、短絡が生じる可能性をさらに低減することができる。また、光出射端面13が金属膜30に覆われる確率を低減することができる。金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、金属膜30の第1辺11aと接する部分の長さを指す。電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さのうち、最も大きいものを指す。金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、電極20の光出射端面13側の端部の第1辺11aと平行な方向における長さよりも小さくてもよい。
【0029】
金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20の90%以下とすることができ、70%以下とすることが好ましく、30%以下とすることがより好ましい。これにより、短絡が生じる可能性を低減することができる。また、光出射端面13が金属膜30に覆われる確率を低減することができる。金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20の10%以上とすることができる。
【0030】
金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、10μm以上とすることができ、20μm以上とすることが好ましい。これにより、金属膜30の画像認識の精度を向上させることができる。金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は、100μm以下とすることができる。これにより、短絡が生じる可能性を低減することができる。
【0031】
金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30が長いほど、金属膜30を画像認識することによる光出射端面13の位置特定の精度を向上させることができる。一方で、短絡の可能性を低減するためや光出射端面13が金属膜30に覆われる確率を低減するためには、金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30は短いほどよい。これらを両立するために、金属膜30は、複数設けることが好ましい。図1では、2つの金属膜30を設けている。
【0032】
複数の金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30の合計は、第1辺11aの長さL11aの30%以上とすることが好ましい。これにより、金属膜30による光出射端面13の位置特定の精度を向上させることができる。複数の金属膜30の第1辺11aに沿った長さL30の合計は、第1辺11aの長さL11a未満とすることができる。複数の金属膜30の第1辺11aに沿った方向の一方の端から他方の端までの距離D30は、第1辺11aの長さL11aの半分以上とすることが好ましく、2/3以上とすることがより好ましい。これにより、金属膜30による光出射端面13の位置特定の精度を向上させることができる。距離D30は、複数の金属膜30の第1辺11aと接する部分のうち、最も離れた端から端までの距離を指す。距離D30は、第1辺11aの長さL11a未満とすることができる。距離D30は、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20未満でもよく、電極20の第1辺11aと平行な方向における長さL20以上でもよい。複数の金属膜30のうち隣り合う金属膜30間の最短距離は、例えば、金属膜30と電極20との間の最短距離よりも大きい。
【0033】
図1に示すように、金属膜30は、平面視において、光導波路15と重ならない位置に配置されている。これにより、光出射端面13が金属膜30に覆われる確率を低減することができる。複数の金属膜30は、平面視において、光導波路15を挟む位置に配置された1組の金属膜30を含むことができる。平面視において、第1主面11の光導波路15によって区切られた2つの領域のうち一方の領域に複数の金属膜30の1以上を配置し、他方の領域に複数の金属膜30の別の1以上を配置することができる。これにより、一方の領域のみに複数の金属膜30を配置する場合と比較して、複数の金属膜30の第1辺11aに沿った方向の一方の端から他方の端までの距離D30を長くすることができ、金属膜30による光出射端面13の位置特定の精度を向上させることができる。図1では、第1主面11の光導波路15によって区切られた2つの領域のうち一方の領域に1つの金属膜30を配置し、他方の領域に別の1つの金属膜30を配置している。
【0034】
複数の金属膜30は、何かを基準として左右対称の配置であってもよく、左右対称の配置でなくてもよい。図1に示す半導体レーザ素子100では、複数の金属膜30は、第1主面11の法線方向からみた平面視において、光導波路15を挟んで左右対称に配置されている。図1では、平面視において、第1辺11aの中点と第2辺11bの中点を結ぶ線と重なる位置に光導波路15が配置されている。この場合、このように光導波路15を挟んで左右対称に複数の金属膜30を配置することで、金属膜30を効率よく配置することができる。光導波路15を第1辺11aの中点と第2辺11bの中点を結ぶ線と重ならない位置に設ける場合は、光導波路15の左側と右側のうち面積の小さな一方に設ける金属膜30の長さL30を、他方に設ける金属膜30の長さL30より小さくすることが好ましい。
【0035】
金属膜30の外縁は、平面視において、例えば四角形である。金属膜30の光導波路15の長手方向に沿った長さは、10μm以上とすることができ、15μm以上とすることが好ましい。これにより、金属膜30の画像認識の精度を向上させることができる。金属膜30の光導波路15の長手方向に沿った長さは、例えば、40μm未満とすることができ、35μm以下としてもよい。これにより、電極20の面積を拡大することができる。
【0036】
金属膜30の厚さは、1μm以下であることが好ましい。これにより、劈開する際に金属膜30が展延する可能性を低減することができる。金属膜30の厚さは、0.1μm以上とすることができる。金属膜30は、例えば、Ni、Rh、Cr、Au、W、Pt、Ti、Alのいずれか1以上の金属又は合金の層を1層以上有する。金属膜30は、例えば、最表面をAu層とする。電極20と金属膜30は、同じ材料を有することができる。電極20と金属膜30は、同じ積層構造を有することができる。これにより、電極20と金属膜30を同一工程で形成することができ、製造工程の簡略化が可能である。金属膜30は、画像認識が可能な材料で構成されていればよい。このため、金属膜30に替えて、例えば、画像認識を行う際の照明光を反射する誘電体膜を金属膜30と同様に形成してもよい。このような誘電体膜は、多層であってもよく、単層であってもよい。
【0037】
図1では、金属膜30を基板16の第1基板主面16aに設けたが、金属膜30は半導体層17に設けてもよい。この場合、半導体層17のリッジ17dが設けられた側の面が第1主面となる。
【0038】
(第2金属膜40)
半導体レーザ素子100は、第1主面11に設けられた第2金属膜40を有していてもよい。第2金属膜40は、電極20から離れた位置に設けられ、第1主面11の第2辺11bに接している。後述するように、金属膜30(第1金属膜)を確実に第1辺11aに接して形成するためには、金属膜30がある位置で分割して光出射端面13を得ることが好ましい。この場合、1回の分割によって得られる2つの面の一方を光出射端面13とし、他方を光反射端面14とすると、図1に示すように第2金属膜40が形成される。あるいは、1回の分割によって得られる2つの面をいずれも光出射端面13とする場合には、第2金属膜40は無くてもよい。
【0039】
第2金属膜40を有することで、後述の図3に示す端面保護膜62が電極20に達する可能性を低減することが可能である。この場合、第1主面11が平面であって、第2金属膜40の厚さと電極20の厚さが等しいか、第2金属膜40の厚さの方が大きいことがより好ましい。これにより、光反射端面14に設けられる端面保護膜62が電極20に到達する可能性をより低減することができる。特に、端面保護膜62を形成する際に第1主面11の側にスペーサを配置する場合に、第2金属膜40の厚さと電極20の厚さがそのような関係であれば、第2金属膜40とスペーサによって端面保護膜62の回り込みをより低減することができる。
【0040】
(第2電極50)
半導体レーザ素子100は、第2主面12に設けられた第2電極50を有することができる。第2電極50は、接触電極51と、パッド電極52とを有することができる。第2電極50は、例えばp電極である。第2電極50は、例えば、第2主面12の外縁に接していない。もしくは、接触電極51は第2主面12の外縁に接しているが、パッド電極52は第2主面12の外縁に接していない。
【0041】
図2A及び図2Bでは、半導体層17の一部にリッジ17dが設けられており、接触電極51は、リッジ17dと接触している。接触電極51は、例えば、Ni、Rh、Cr、Au、W、Pt、Ti、Al等の金属又は合金、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種を含む導電性酸化物等の層を1層以上有する。導電性酸化物の例としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)が挙げられる。パッド電極52は、例えば、Ni、Rh、Cr、Au、W、Pt、Ti、Al等の金属又は合金の層を1層以上有する。パッド電極52は、例えば、最表面がAu層等のAuを含む層である。
【0042】
電極20(第1電極)と第2電極50とは同じ側に設けてもよい。例えば、半導体層17の表面に第1導電型半導体層17aが露出した部分と第2導電型半導体層17cが露出した部分とを設け、第1導電型半導体層17aが露出した部分に電極20を形成し、第2導電型半導体層17cが露出した部分に第2電極50を形成してもよい。この場合、半導体含有部10の同じ側に、金属膜30と、電極20と、第2電極50とを形成することができる。
【0043】
(その他の部材)
半導体レーザ素子100は、図2A及び図2Bに示すように、絶縁膜61を有していてもよい。絶縁膜61は、半導体層17の表面に設けられている。絶縁膜61の一部と第2電極50の一部が接触している。図3に示すように、半導体レーザ素子100は、光出射端面13及び光反射端面14の両方または一方に設けられた端面保護膜62を有していてもよい。図3は、一実施形態の半導体レーザ素子100の別の例を示す模式的な平面図である。光出射端面13に設ける端面保護膜62の反射率は、光反射端面14に設ける端面保護膜62の反射率よりも低くすることができる。なお、半導体レーザ素子100を使用する形態は、各図面中の上方を上とする形態に限らず、いずれの方向を上としてもよい。
【0044】
(発光装置200)
図4Aは、一実施形態の発光装置200を示す模式的な平面図である。発光装置200は、半導体レーザ素子100と、半導体レーザ素子100が固定される基体70と、を有する。半導体レーザ素子100は、第2電極50が基体70と対面する配置で基体70に固定されている。基体70は、半導体レーザ素子100と電気的に接続されていてもよい。基体70は、例えばサブマウントである。基体70は、パッケージであってもよい。
【0045】
図4Aに示すように、第2主面12の側を基体70に固定することにより、半導体レーザ素子100を基体70に固定した状態で金属膜30を確認することができる。これにより、半導体レーザ素子100を基体70に固定した状態で金属膜30を合否判定の基準に用いることができる。
【0046】
図4Bは、一実施形態の発光装置200の別の例を示す模式的な断面図である。発光装置200は、半導体レーザ素子100と、半導体レーザ素子100が固定される基体70と、パッケージ81と、反射部材82と、を有する。
【0047】
図4Bに示す基体70はサブマウントである。基体70は、絶縁性の本体と、その本体の表面に設けられた導電層と、を有する。絶縁性の本体は例えばセラミックスである。半導体レーザ素子の第2電極50が、導電性の接着剤83を介して基体70の導電層に接合されている。
【0048】
パッケージ81は、金属等の導電性の材料、ガラスやセラミックス等の絶縁性の材料、またはそれらの複合材料からなる。パッケージ81は、複数の部品の組み合わせにより構成されていてよい。パッケージ81は、その一部に、レーザ光を透過する透光性を有する窓部を有する。半導体レーザ素子100が出射するレーザ光は、反射部材82によって反射され、パッケージ81の窓部を通過して発光装置200の外に出射する。パッケージ81の窓部の位置によっては反射部材82は不要である。発光装置200は、レーザ光が通過する位置に設けられた蛍光体等の波長変換部材を有していてもよい。パッケージ81は、半導体レーザ素子100を気密封止している。パッケージ81は、アノード電極とカソード電極とを有する。半導体レーザ素子100のアノード電極は、導電層や線状のワイヤ等を介してパッケージのアノード電極と電気的に接続されている。半導体レーザ素子100カソード電極は、導電層や線状のワイヤ等を介してパッケージのカソード電極と電気的に接続されている。
【0049】
図4Bに示すように、半導体層17の側が基体70に固定されている場合、基板16の側を基体70に固定する場合と比較して、光導波路15から基体70までの距離が小さく、半導体レーザ素子100が出射するレーザ光が基体70に遮られる確率が高い。このため、図4Bに示す配置の方が、基体70の端部と半導体レーザ素子100の端部との間の距離の許容範囲が小さい。本実施形態の発光装置であれば、金属膜30を設けることで、合否判定の精度を向上させることができるため、歩留まりの向上が期待できる。
【0050】
(半導体レーザ素子の製造方法)
図5は、一実施形態の半導体レーザ素子100の製造方法を示すフローチャートである。図6図10は、一実施形態の半導体レーザ素子100の製造方法を示す模式的な平面図または断面図である。半導体レーザ素子100の製造方法は、半導体含有部準備工程S101と、電極および金属膜形成工程S102と、劈開工程S103と、を有する。なお、半導体レーザ素子100の製造方法における各部材の形状、配置、材料等は、上で述べたものを採用することができる。
【0051】
(半導体含有部準備工程S101)
半導体含有部準備工程S101では、図6及び図7に示すように、第1主面11と第2主面12と光導波路15とを有する半導体含有部10を準備する。図6は、一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。図7は、図6のVII-VII線における断面図である。第1主面11と活性層17bとの間の距離は、第2主面12と活性層17bとの間の距離よりも大きい。これにより、第1主面11と光導波路15との間の距離は、第2主面12と光導波路15との間の距離よりも大きいといえる。半導体含有部10は、基板16と、半導体層17とを有することができる。半導体含有部10は、例えばウエハ状である。半導体層17は、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)により基板16の表面に形成することができる。リッジ17dは、例えばエッチングにより形成することができる。
【0052】
(電極および金属膜形成工程S102)
電極および金属膜形成工程S102では、図8及び図9に示すように、半導体含有部10の第1主面11に、複数の電極20および金属膜31を形成する。図8は、一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。図9は、図8の IX-IX線における断面図である。複数の電極20は、第1方向Yに並ぶように形成する。金属膜31は、複数の電極20の間であって且つ複数の電極20から離れた位置に形成する。すなわち、隣り合う電極20間に、1以上の金属膜31を形成する。金属膜31は、第1方向Yと交わる第2方向Xにおける長さが、電極20の第2方向Xにおける長さよりも小さい。金属膜31は、第1主面11の法線方向からみた平面視において光導波路15と重ならない位置に形成する。電極20および金属膜31は、例えばスパッタリングまたは化学気相成長法(CVD法)により形成することができる。
【0053】
(劈開工程S103)
劈開工程S103では、図10に示すように、複数の電極20の間を、第2方向Xに沿って、金属膜31を分断する位置で劈開する。図10は、一実施形態の半導体レーザ素子の製造方法を示す模式的な平面図である。劈開は、例えば、まず、半導体含有部10の一部に、レーザスクライブ装置を用いて溝を形成し、その後、ブレードによって半導体含有部10を押すことによって行うことができる。レーザスクライブ装置を用いて形成する溝は、半導体レーザ素子100となる領域の外にのみ形成してもよい。例えば、ウエハ又はウエハを分割した分割片である積層体の一方の端部に溝を形成し、その溝に沿って外力により積層体を劈開することができる。
【0054】
劈開工程S103を行うことにより、光出射端面13と光反射端面14とが形成される。図10において、1回の劈開によって得られる2つの面は、一方が光出射端面13であり、他方が光反射端面14である。劈開工程S103を行うことにより、金属膜31が2つに分かれ、一方が金属膜30となり、他方が第2金属膜40となる。1回の劈開によって得られる2つの面の両方が光出射端面13である場合は、1つの金属膜31が2つの金属膜30となる。劈開工程の後に、光出射端面13及び光反射端面14の一方または両方に、端面保護膜62を形成してもよい。
【0055】
以上の工程により、金属膜30を有する、合否判定精度を向上可能な半導体レーザ素子100を得ることができる。劈開工程S103の後に、分割工程を行うことができる。分割工程では、劈開工程S103を経た積層体を分割予定線に沿って分割する。分割予定線は、劈開によって得られた光出射端面13及び光反射端面14と交わる線である。分割は、例えば、まず、分割予定線に重なる位置に、レーザスクライブ装置を用いて溝を形成し、その後、ブレードによって積層体を押すことによって行うことができる。分割工程と劈開工程S103の順序は入れ替えてもよい。また、劈開工程S103の前に、保護膜等の部材を形成する工程を行ってもよい。
【0056】
(発光装置の製造方法)
図11は、一実施形態の発光装置200の製造方法を示すフローチャートである。図11に示すように、図4A又は図4Bに示す発光装置200の製造方法は、半導体レーザ素子100を準備する工程(半導体レーザ素子準備工程S201)と、半導体レーザ素子100を基体70に固定する工程(固定工程S202)と、を有する。固定工程S202では、半導体レーザ素子100を、第2主面12が基体70と対面する配置で、基体70に固定する。固定は接着剤83を介することによって行うことができる。
【0057】
固定工程S202の後に、検出工程S203と、合否判定工程S204とを有していてもよい。検出工程S203では、半導体レーザ素子100の金属膜30と、基体70の端部または端部を推定可能な部分とを含む認識対象物の外形を検出する。認識対象物は、これらのみであってもよく、これら以外の部材を含んでいてもよい。認識対象物の外形を検出することは、認識対象物を画像認識することと言い換えてもよい。合否判定工程S204では、検出した認識対象物の外形を用いて合否判定を行う。合否判定は、例えば、基体70の端部または端部を推定可能な部分と金属膜30との間の距離が基準値の範囲内であるか否かを判定することにより行うことができる。基体70の端部を推定可能な部分とは、例えば、平面視において端部と一致はしないが端部の付近に設けられた金属層である。基体70の金属層と、基体70の端部との距離は、例えば70μm以下である。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0059】
10 半導体含有部
11 第1主面
11a 第1辺
11b 第2辺
12 第2主面
13 光出射端面
14 光反射端面
15 光導波路
16 基板
16a 第1基板主面
16b 第2基板主面
17 半導体層
17a 第1導電型半導体層
17b 活性層
17c 第2導電型半導体層
17d リッジ
20 電極
30 金属膜
31 金属膜
40 第2金属膜
50 第2電極
51 接触電極
52 パッド電極
61 絶縁膜
62 端面保護膜
70 基体
81 パッケージ
82 反射部材
83 接着剤
100 半導体レーザ素子
200 発光装置
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11