(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145631
(43)【公開日】2022-10-04
(54)【発明の名称】タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物及びこれを用いたタングステンパターンウェハーの研磨方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20220926BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220926BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220926BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041342
(22)【出願日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0035576
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 知虎
(72)【発明者】
【氏名】李 泳基
(72)【発明者】
【氏名】沈 秀▲妍▼
(72)【発明者】
【氏名】李 賢▲ウ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 昌錫
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾元
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CA04
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
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3C158EB01
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3C158ED26
5F057AA08
5F057AA28
5F057BA15
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5F057DA03
5F057EA01
5F057EA16
5F057EA18
5F057EA21
5F057EA22
5F057EA29
5F057EA32
(57)【要約】
【課題】タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、リセスを改善し、腐食速度を低下させることができるタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を提供する。
【解決手段】溶媒;研磨剤;及び末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン);を含んで、タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を構成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒;
研磨剤;及び
末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン);を含むことを特徴とするタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項2】
前記pKa値が6以下である官能基には、カルボキシル基、ホスホネート基、又はスルホネート基が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項3】
前記pKa値が6以下である官能基は、カルボキシル基を有することを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項4】
前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、ポリ(アミドアミン)デンドリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項5】
前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の世代数は、1.5、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、9.5又は10.5であることを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項6】
前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の世代数は、1.5、2.5、3.5又は4.5であることを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項7】
前記pKa値が6以下である官能基は、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の総末端基のうち10%乃至100%を占めることを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項8】
前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)を0.0001重量%乃至0.1重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項9】
前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、前記研磨剤を0.001重量%乃至20重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項10】
前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、酸化剤、触媒及び有機酸のうち1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項11】
前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物には、酸化剤が0.01重量%乃至20重量%、触媒が0.001重量%乃至10重量%、有機酸が0.001重量%乃至10重量%の量で含まれることを特徴とする、請求項10に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項12】
前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、pHが1乃至6であることを特徴とする、請求項1に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を使用してタングステンパターンウェハーを研磨する段階を含むことを特徴とするタングステンパターンウェハー研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物及びこれを用いたタングステンパターンウェハーの研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面を研磨(又は平坦化)するための化学的機械的研磨(CMP)組成物及び方法は、関連技術分野において広く知られている。半導体基板上の金属層(例えば、タングステン層)を研磨するための研磨組成物は、水溶液中に懸濁された研磨剤粒子及び化学的促進剤、例えば、酸化剤、触媒などを含んでもよい。
【0003】
CMP組成物で金属層を研磨する工程においては、金属層のみを研磨する段階と、金属層及びバリアー層を研磨する段階と、金属層、バリアー層及び酸化膜を研磨する段階とが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、リセス(recess)を改善し、腐食速度を低下させることができるタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、前記CMPスラリー組成物を用いたタングステンパターンウェハーの研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点は、タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物に関する。前記組成物は、溶媒;研磨剤;及び末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン);を含む。
【0007】
一実施形態において、前記pKa値が6以下である官能基は、カルボキシル基、ホスホネート基、又はスルホネート基を含んでもよい。
【0008】
一実施形態において、前記pKa値が6以下である官能基は、カルボキシル基を含んでもよい。
【0009】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、ポリ(アミドアミン)デンドリマーを含んでもよい。
【0010】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の世代数は、1.5、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、9.5又は10.5であってもよい。
【0011】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の世代数は、1.5、2.5、3.5又は4.5であってもよい。
【0012】
一実施形態において、前記pKa値が6以下である官能基は、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の総末端基のうち10%乃至100%を占めることができる。
【0013】
一実施形態において、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)を0.0001重量%乃至0.1重量%の量で含んでもよい。
【0014】
一実施形態において、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、前記研磨剤を0.001重量%乃至20重量%の量で含んでもよい。
【0015】
一実施形態において、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、酸化剤、触媒及び有機酸のうち1種以上をさらに含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物には、酸化剤が0.01重量%乃至20重量%、触媒が0.001重量%乃至10重量%、有機酸が0.001重量%乃至10重量%の量で含まれてもよい。
【0017】
一実施形態において、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物は、pHが1乃至6であってもよい。
【0018】
本発明の別の観点は、タングステンパターンウェハーの研磨方法に関する。前記研磨方法は、前記タングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を使用してタングステンパターンウェハーを研磨する段階を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、リセスを改善し、腐食速度を低下させることができるタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を提供することができる。
【0020】
また、本発明は、前記CMPスラリー組成物を用いたタングステンパターンウェハーの研磨方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書における単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0022】
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴又は構成要素が存在することを意味するものであって、一つ以上の他の特徴又は構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0023】
構成要素を解釈するにおいて、別途の明示的な記載がないとしても、誤差範囲を含むものと解釈する。
【0024】
本明細書において、数値範囲を示す「a乃至b」は、「≧aで、≦b」と定義する。
【0025】
本明細書における「*」は、隣り合う原子との結合サイトを示す。
【0026】
本発明者は、研磨剤を含むタングステン研磨用CMPスラリー組成物中に、末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン)を含ませることによって、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、リセスを改善し、腐食速度を低下させることができることを確認し、本発明を完成した。
【0027】
本発明の一側面に係るタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物(以下、「CMPスラリー組成物」とも称する)は、(A)溶媒、(B)研磨剤、及び(C)末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン)を含んでもよい。
【0028】
以下、各成分をより詳細に説明する。
【0029】
(A)溶媒
【0030】
本発明において、溶媒は、タングステンパターンウェハーを研磨剤で研磨するときの摩擦を低下させることができる。
【0031】
一実施形態において、前記溶媒としては、極性溶媒、非極性溶媒、又はこれらの組み合わせを使用してもよく、例えば、水(例えば、超純水、脱イオン水など)、有機アミン、有機アルコール、有機アルコールアミン、有機エーテル、有機ケトンなどが使用されてもよい。一実施形態では、溶媒は、超純水又は脱イオン水であってもよいが、これに限定されない。
【0032】
一実施形態において、前記溶媒は、CMPスラリー組成物の残量として含まれてもよい。
【0033】
(B)研磨剤
【0034】
本発明において、研磨剤は、タングステンパターンウェハーを高い研磨速度で研磨できるものである。
【0035】
一実施形態において、前記研磨剤は、例えば、金属又は非金属の酸化物研磨粒子であってもよい。研磨剤は、例えば、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア及びジルコニアのうち1種以上を含んでもよい。一実施形態では、研磨剤は、シリカ(例えば、コロイド状シリカ)であってもよいが、これに限定されない。
【0036】
一実施形態において、前記研磨剤は、球状又は非球状の粒子であって、1次粒子の平均粒径(D50)が、10nm乃至200nm、例えば、20nm乃至180nm、具体的に30nm乃至150nmであってもよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーをより高い研磨速度で研磨できるが、これに限定されない。ここで、「平均粒径(D50)」は、当業者に知られている通常の粒径を意味し、研磨粒子を、体積を基準にして最小から最大の順に分布させたとき、50体積%に該当する研磨粒子の粒径を意味し得る。
【0037】
一実施形態において、前記研磨剤は、CMPスラリー組成物中に、0.001重量%乃至20重量%、例えば、0.01重量%乃至15重量%、具体的には0.05重量%乃至10重量%、より具体的に0.1重量%乃至8重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、CMPスラリー組成物は、タングステンパターンウェハーをより高い研磨速度で研磨することができ、CMPスラリー組成物の分散安定性が優秀になり得るが、これに限定されない。
【0038】
(C)樹枝状ポリ(アミドアミン)
【0039】
本発明によれば、樹枝状ポリ(アミドアミン)は、末端にpKa値が6以下である官能基を有する。本発明のCMPスラリー組成物は、末端にpKa値が6以下である官能基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン)(以下、「樹枝状ポリ(アミドアミン)」とも称する)を含むことによって、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、腐食速度及び平坦性を改善することができる。
【0040】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)においてpKa値が6以下である官能基は、カルボキシル基、ホスホネート基、又はスルホネート基を含んでもよいが、これに限定されない。
【0041】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)においてpKa値が6以下である官能基は、カルボキシル基を含んでもよいが、これに限定されない。
【0042】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の例としては、ランダム超分岐(random hyperbranched)ポリ(アミドアミン)、デンドリグラフト(dendrigraft)ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミドアミン)デンドロン(dendron)、ポリ(アミドアミン)デンドリマー(dendrimer)などを挙げることができる。一実施形態によると、樹枝状ポリ(アミドアミン)は、ポリ(アミドアミン)デンドリマーを含んでもよく、この場合、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、腐食速度及び平坦性を改善するのにより有利になり得るが、これに限定されない。
【0043】
一実施形態によると、樹枝状ポリ(アミドアミン)は、窒素原子に少なくとも一つの水素が結合されているアミン化合物コアにカルボン酸誘導体化合物及びジアミン化合物を順次反応させることによって形成され得る。コアアミン化合物は、例えば、下記の化学式1で表され得るが、これに限定されない:
【0044】
【0045】
前記化学式1において、R1乃至R3は、互いに独立に水素及びC1-C10アルキル基から選ばれ、R1乃至R3のうち少なくとも一つは、水素であり;R1は、*-L1-N(R1a)(R1b)で表される基(ここで、L1は、単結合及びC1-C10アルキレン基から選ばれ、R1a及びR1bは、互いに独立に水素及びC1-C10アルキル基から選ばれる)であり、R2及びR3は、互いに独立に水素及びC1-C10アルキル基から選ばれ、R1a、R1b、R2及びR3のうち少なくとも一つは、水素であり;R1は、*-L1-N(R1a)(R1b)で表される基であり、R2は、*-L2-N(R2a)(R2b)で表される基であり(ここで、L1及びL2は、互いに独立に単結合及びC1-C10アルキレン基から選ばれ、R1a、R1b、R2a及びR2bは、互いに独立に水素及びC1-C10アルキル基から選ばれる)、R3は、水素及びC1-C10アルキル基から選ばれ、R1a、R1b、R2a、R2b及びR3のうち少なくとも一つは、水素であり;又は、R1は、*-L1-N(R1a)(R1b)で表される基であり、R2は、*-L2-N(R2a)(R2b)で表される基であり、R3は、*-L3-N(R3a)(R3b)で表される基であり(ここで、L1乃至L3は、互いに独立に単結合及びC1-C10アルキレン基から選ばれ、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a及びR3bは、互いに独立に水素及びC1-C10アルキル基から選ばれる)、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a及びR3bのうち少なくとも一つは水素である。
【0046】
一実施形態において、前記コアアミン化合物は、アンモニア(NH3)又はエチレンジアミンであってもよいが、これらに限定されない。前記カルボン酸誘導体化合物は、例えば、CH2CH-L4-CO2X(ここで、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Xは、水素、陽イオン、C1-C10アルキル基及びC6-C12アリール基から選ばれる)で表されてもよく、前記ジアミン化合物は、例えば、H2N-L5-NH2(ここで、L5は、単結合及びC1-C10アルキレン基から選ばれる)で表されてもよい。これによって、樹枝状ポリ(アミドアミン)は、下記の化学式2の反復単位及び下記の化学式3の表面基を有し得るが、これに限定されない。
【0047】
【0048】
前記化学式2において、L4及びL5は、それぞれ独立に単結合又はC1-C10アルキレン基であり、*、*’及び*”は、隣り合う原子との結合サイトを示す。
【0049】
【0050】
前記化学式3において、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Xは、水素、陽イオン、C1-C10アルキル基及びC6-C12アリール基から選択され、*は、隣り合う原子との結合サイトを示す。
【0051】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、コアアミン化合物に、カルボン酸誘導体化合物及びジアミン化合物を順次反応させる際の最後の段階を変化させることなどによって、カルボキシ基などの、pKa値が6以下である末端官能基を含む表面基を有することができる。例えば、前記化学式3の表面基の代わりに、下記の化学式4の表面基、及び/又は下記の化学式5の表面基のように、スルホネート基及び/又はホスホネート基を有する表面基を有してもよいが、これに限定されない。
【0052】
【0053】
前記化学式4において、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Yは、水素、陽イオン、C1-C10アルキル基及びC6-C12アリール基から選択され、*は、隣り合う原子との結合サイトを示す。
【0054】
【0055】
前記化学式5において、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Z1及びZ2は、それぞれ独立に水素、陽イオン、C1-C10アルキル基及びC6-C12アリール基から選択され、*は、隣り合う原子との結合サイトを示す。
【0056】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、n.5世代(ここで、nは、1乃至10の整数から選ばれる)の世代数、具体的には、1.5、2.5、3.5、4.5、5.5、6.5、7.5、8.5、9.5又は10.5の世代数を有してもよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、腐食速度及びリセスを改善するのにより有利になり得る。ここで、「世代数」とは、樹枝状ポリ(アミドアミン)のコアからその表面に至る間に表れる分岐点の個数を言い、n世代の樹枝状ポリ(アミドアミン)は、コアと表面との間にn個の分岐点を有することができる。n世代の樹枝状ポリ(アミドアミン)は、コアにカルボン酸誘導体化合物/ジアミン化合物を順次n+1回繰り返し反応させることによって形成することができ、n.5世代の樹枝状ポリ(アミドアミン)は、コアにカルボン酸誘導体化合物/ジアミン化合物を順次n+1回繰り返し反応させた後、pKa値が6以下である官能基誘導体化合物(カルボン酸誘導体化合物、スルホネート基誘導体化合物(例えば、CH2CH-L4-SO3Y(ここで、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Yは、水素又は陽イオンから選ばれる))又はホスホネート基誘導体化合物(例えば、CH2CH-L4-P(=O)(OZ1)(OZ2)(ここで、L4は、単結合又はC1-C10アルキレン基であり、Z1及びZ2は、それぞれ独立に水素、C1-C10アルキル基及びC6-C12アリール基から選ばれる))をさらに反応させることによって形成することができる。例えば、1.5世代の樹枝状ポリ(アミドアミン)は、コアに、カルボン酸誘導体化合物/ジアミン化合物/カルボン酸誘導体化合物/ジアミン化合物/pKa値が6以下である官能基誘導体化合物を順次反応させることによって形成することができる。
【0057】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、1.5、2.5、3.5又は4.5の世代数を有してもよいが、これらに限定されない。
【0058】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)の総末端基のうちpKa値が6以下である官能基は、10%乃至100%を占めることができる。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、腐食速度及び平坦性を改善するのにより有利になり得る。例えば、樹枝状ポリ(アミドアミン)の総末端基のうちpKa値が6以下である官能基は、20%乃至100%、例えば、30%乃至100%、具体的に40%乃至100%を占めることができるが、これらに限定されない。
【0059】
一実施形態において、前記樹枝状ポリ(アミドアミン)は、CMPスラリー組成物中に、0.0001重量%乃至0.1重量%、例えば、0.001重量%乃至0.02重量%、具体的に0.002重量%乃至0.01重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、腐食速度及びリセスを改善するのにより有利になり得るが、これらに限定されない。
【0060】
本発明の一実施形態に係るCMPスラリー組成物は、(D)酸化剤、(E)触媒及び(F)有機酸のうち1種以上をさらに含んでもよい。
【0061】
(D)酸化剤
【0062】
酸化剤は、タングステンパターンウェハーを酸化させることにより、タングステンパターンウェハーの研磨を容易にすることができる。
【0063】
一実施形態において、前記酸化剤の例としては、無機過化合物、有機過化合物、臭素酸又はその塩、硝酸又はその塩、塩素酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ヨウ素酸又はその塩、鉄又はその塩、銅又はその塩、稀土類金属酸化物、遷移金属酸化物、重クロム酸カリウムなどを挙げることができ、これらは、単独で使用されてもよく、2種以上混合して使用されてもよい。ここで、「過化合物」は、一つ以上の過酸化基(-O-O-)を含むか、又は、最高酸化状態の元素を含む化合物を意味し得る。一実施形態では、酸化剤は、過化合物(例えば、過酸化水素、過ヨウ化カリウム、過硫酸カルシウム、フェリシアン化カリウムなど)を含んでもよい。別の実施形態では、酸化剤は、過酸化水素であってもよいが、これに限定されない。
【0064】
一実施形態において、前記酸化剤は、CMPスラリー組成物に、0.01重量%乃至20重量%、例えば、0.05重量%乃至15重量%、具体的に0.1重量%乃至10重量%、より具体的に0.5重量%乃至8重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、CMPスラリー組成物は、タングステンパターンウェハーの研磨速度の向上により有利になり得るが、これに限定されない。
【0065】
(E)触媒
【0066】
触媒は、タングステンパターンウェハーの研磨速度を向上させることができる。
【0067】
一実施形態において、前記触媒の例としては、鉄イオン化合物、鉄イオンの錯化合物、その水和物などを挙げることができる。
【0068】
一実施形態において、前記鉄イオン化合物は、例えば、鉄の3価の陽イオン含有化合物を含んでもよい。鉄の3価の陽イオン含有化合物は、鉄の3価の陽イオンが水溶液状態でフリー陽イオンとして存在する化合物であれば特に制限されることなく、これらの例としては、塩化鉄(FeCl3)、硝酸鉄(Fe(NO3)3)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0069】
一実施形態において、前記鉄イオンの錯化合物は、例えば、鉄の3価の陽イオン含有錯化合物を含んでもよい。鉄の3価の陽イオン含有錯化合物は、鉄の3価の陽イオンが水溶液状態で、例えば、カルボン酸類、リン酸類、硫酸類、アミノ酸類、及びアミン類のうち1種以上の官能基を有する有機化合物又は無機化合物と反応することによって形成された化合物を含んでもよい。前記有機化合物又は無機化合物の例としては、クエン酸、クエン酸アンモニウム、パラトルエンスルホン酸(pTSA)、PDTA(1,3-propylenediaminetetraacetic acid)、EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)、DTPA(diethylenetriaminepentaacetic acid)、NTA(nitrilotriacetic acid)、EDDS(ethylenediamine-N,N'-disuccinic acid)などを挙げることができる。鉄の3価の陽イオン含有錯化合物の具体例としては、クエン酸鉄(ferric citrate)、クエン酸鉄のアンモニウム塩(ferric ammonium citrate)、Fe(III)-pTSA、Fe(III)-PDTA、Fe(III)-EDTAなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0070】
一実施形態において、前記触媒、例えば、鉄イオン化合物、鉄イオンの錯化合物、及びその水和物のうち1種以上は、CMPスラリー組成物に、0.001重量%乃至10重量%、例えば、0.001重量%乃至5重量%、具体的に0.001重量%乃至1重量%、より具体的に0.001重量%乃至0.5重量%、さらに具体的に0.002重量%乃至0.1重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの研磨速度の向上により有利になり得るが、これらに限定されない。
【0071】
(F)有機酸
【0072】
有機酸は、CMPスラリー組成物のpHを安定的に維持させることができる。
【0073】
一実施形態において、前記有機酸の例としては、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸などのカルボン酸や、グリシン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、メチオニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アラニン、アルギニン、システイン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、セリン、チロシン、リシンなどのアミノ酸を挙げることができる。
【0074】
一実施形態において、前記有機酸は、CMPスラリー組成物に、0.001重量%乃至10重量%、例えば、0.002重量%乃至5重量%、具体的に0.005重量%乃至1重量%、より具体的に0.01重量%乃至0.5重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、CMPスラリー組成物のpHをより安定的に維持できるが、これに限定されない。
【0075】
本発明の一実施形態に係るCMPスラリー組成物は、pHが1乃至6、例えば、1.5乃至5、具体的に2乃至4であってよい。前記範囲で、タングステンパターンウェハーの酸化が容易に起こり、研磨速度が容易に低下しなくなり得るが、これに限定されない。
【0076】
一実施態様において、前記CMPスラリー組成物は、pHを合わせるためにpH調節剤をさらに含んでもよい。
【0077】
一実施態様において、前記pH調節剤としては、無機酸、例えば、硝酸、リン酸、塩酸及び硫酸のうち1種以上を含んでもよく、有機酸、例えば、pKa値が6以下である有機酸、例えば、酢酸及びフタル酸のうち1種以上を含んでもよい。pH調節剤は、少なくとも1種の塩基、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムのうち1種以上を含んでもよい。
【0078】
本発明の一実施形態に係るCMPスラリー組成物は、上述した成分以外にも、必要に応じて、殺生物剤、界面活性剤、分散剤、改質剤、界面活性剤などの通常の添加剤をさらに含んでもよい。添加剤は、CMPスラリー組成物に、0.0001重量%乃至5重量%、例えば、0.0005重量%乃至1重量%、更に他の例を挙げると、0.001重量%乃至0.5重量%の量で含まれてもよい。前記範囲で、研磨速度に影響を及ぼさない状態で添加剤の効果を実現できるが、これに限定されない。
【0079】
別の側面によると、タングステンパターンウェハーの研磨方法が提供される。前記研磨方法は、上述したタングステンパターンウェハー研磨用CMPスラリー組成物を使用してタングステンパターンウェハーを研磨する段階を含んでもよい。
【0080】
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例は、説明の目的のためのものに過ぎず、本発明を制限するものと解釈してはならない。
【実施例0081】
実施例1
CMPスラリー組成物の総重量に対して、研磨剤として約95nmの平均粒径(D50)及び約35mVの電荷を有するシリカ粒子0.5重量%、末端にカルボキシル基を有する樹枝状ポリ(アミドアミン)として1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAM dendrimer、ethylenediamine core、generation 1.5、シグマアルドリッチ社)0.004重量%、触媒として硝酸鉄九水和物0.03重量%、有機酸としてマロン酸0.04重量%、グリシン0.04重量%、残りの溶媒として脱イオン水を混合することによってCMPスラリー組成物を製造した。CMPスラリー組成物に対してpH調節剤を使用し、pHを2.5に調節した。その後、タングステンパターンウェハーの研磨(又は腐食)評価の直前に、酸化剤として過酸化水素2重量%を添加した。
【0082】
実施例2
【0083】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、2.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAM dendrimer、ethylenediamine core、generation 2.5、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0084】
実施例3
【0085】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、3.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAM dendrimer、ethylenediamine core、generation 3.5、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0086】
実施例4
【0087】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、化学式4で表されるように表面基がスルホネート官能基を有する1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーを使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0088】
比較例1
【0089】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーを添加しないことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0090】
比較例2
【0091】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、2.0世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAM dendrimer、ethylenediamine core、generation 2.0、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0092】
比較例3
【0093】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、3.0世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー(PAMAM dendrimer、ethylenediamine core、generation 3.0、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0094】
比較例4
【0095】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、線状ポリエチレンイミン(polyethylenimine、linear、average Mn:2,500、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0096】
比較例5
【0097】
1.5世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーの代わりに、分岐状ポリエチレンイミン(polyethylenimine、branched、average Mn:1,800、シグマアルドリッチ社)を使用したことを除いては、実施例1と同一の方法でCMPスラリー組成物を製造した。
【0098】
評価例1:タングステン腐食速度(単位:Å/min)
【0099】
タングステン腐食速度は60℃の条件下で評価され、CMPスラリー組成物に酸化剤として過酸化水素5重量%を添加した後、タングステンブランケットウェハー(3cm*3cm)をエッチングし、エッチング前と後の膜厚差を電気抵抗値から換算して求めた。
【0100】
評価例2:研磨評価
【0101】
下記の研磨評価条件でCMPスラリー組成物について研磨評価を行った。
【0102】
[研磨評価条件]
【0103】
(1)研磨機:Reflexion 300 mm(AMAT社)
【0104】
(2)研磨条件
-研磨パッド:IC1010/SubaIV Stacked(Rodel社)
-ヘッド(Head)速度:101rpm
-プラテン(Platen)速度:100rpm
-圧力:2.5psi
-リテーナリング圧力(Retainer Ring Pressure):8psi
-スラリー流量:250ml/min
-研磨時間:45秒
【0105】
(3)研磨対象:
-リセス評価:商業的に入手可能なタングステンパターンウェハー(MIT 854、300mm)
-タングステン研磨速度評価:ブランケット(blanket)ウェハーは、多結晶シリコン基板上に窒化チタン(TiN)とタングステンをそれぞれ300Å、6,000Åに順次蒸着して製作した。
【0106】
(4)分析方法
-タングステンパターンウェハーの研磨速度(単位:Å/min):前記研磨条件で評価したとき、研磨前後の膜厚差を電気抵抗値から換算して求めた。
-リセス(単位:nm):前記研磨条件で研磨した後、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope)(Uvx-Gen3、Bruker社)でウェハーの0.18μm*0.18μmの領域プロファイルを測定することによってリセスを計算した。
【0107】
【0108】
-比較例4及び5は、タングステン研磨速度が低いため、リセスの測定を省略した。
【0109】
前記結果から、本発明のCMPスラリー組成物は、タングステンパターンウェハーの研磨速度の低下を最小化しながら、リセスを改善し、腐食速度を低下させることができることが分かる。
【0110】
その一方で、本発明の樹枝状ポリ(アミドアミン)を含まない場合(比較例1)は、タングステン腐食速度が上昇し、リセスが改善されないことが分かり、本発明の樹枝状ポリ(アミドアミン)の代わりに、2.0世代のポリ(アミドアミン)デンドリマー又は3.0世代のポリ(アミドアミン)デンドリマーを適用した比較例2及び3の場合は、タングステン研磨速度が低下することが分かる。また、本発明の樹枝状ポリ(アミドアミン)の代わりに、線状ポリエチレンイミン又は分岐状ポリエチレンイミンを適用した比較例4及び5の場合は、タングステン腐食速度が上昇し、タングステン研磨速度が低下することが分かる。
【0111】
以上、本発明に対して各実施例を中心に説明した。本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明が、その本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態に具現可能であることを理解できるだろう。そのため、開示した各実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮しなければならない。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は、本発明に含まれたものと解釈すべきであろう。