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特開2022-145992基板処理装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022145992
(43)【公開日】2022-10-05
(54)【発明の名称】基板処理装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20220928BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20220928BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220928BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/22 511Q
C23C16/44 J
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021046756
(22)【出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西野 達弥
(72)【発明者】
【氏名】田中 昭典
(72)【発明者】
【氏名】堀井 明
(72)【発明者】
【氏名】谷山 智志
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030KA05
4K030KA12
4K030KA22
4K030KA41
4K030KA45
5F045AA06
5F045AB31
5F045AC11
5F045BB14
5F045BB15
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB06
5F045EE19
5F045EF04
5F045EF08
5F045EJ04
5F045EJ09
5F045EK06
5F045EM10
5F045EN05
5F045GB05
(57)【要約】
【課題】炉口シャッタの腐食を低減することができる技術を提供することにある。
【解決手段】基板を保持した基板保持具を出し入れ可能な開口と、開口の周囲に形成された第1シール面を有する処理容器と、第1シール面と対面する第2シール面を有し、処理容器内に基板保持具を収容していない状態で開口を閉塞可能な炉口シャッタと、を備え、炉口シャッタは、処理容器内に面する内面側に配置され前記開口より大きな保護カバーと、外面側に配置され保護カバーを保持する蓋体とを有し、保護カバーの外周部と蓋体とにより第2シール面を形成し、第1シール面と第2シール面の間の隙間に、パージガスが保護カバーよりも外周側から供給される技術。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持した基板保持具を出し入れ可能な開口と、開口の周囲に形成された第1シール面とを有する処理容器と、
前記第1シール面と対面する第2シール面を有し、前記処理容器内に基板保持具を収容していない状態で前記開口を閉塞可能な炉口シャッタと、を備え、
前記炉口シャッタは、前記処理容器内に面する内面側に配置され前記開口より大きな保護カバーと、外面側に配置され前記保護カバーを保持する蓋体とを有し、前記保護カバーの外周部と前記蓋体とにより前記第2シール面を形成し、
前記第1シール面と前記第2シール面の間の隙間に、パージガスが前記保護カバーよりも外周側から供給される基板処理装置。
【請求項2】
前記処理容器又は前記炉口シャッタは、前記隙間に、前記保護カバーよりも外周側からパージガスを供給する溝を有し、前記隙間を通過したパージガスは保護カバーの内周側に供給される請求項1の基板処理装置。
【請求項3】
前記蓋体が所定の温度範囲に保持される請求項1または請求項2の基板処理装置。
【請求項4】
前記蓋体は、前記蓋体を所定の温度範囲に保持する冷却媒体の流路と、前記流路中の冷却媒体の温度を検知する温度センサと、を有し、
前記冷却媒体の温度が所定温度以上であれば、前記冷却媒体を供給し、所定温度未満であれば前記冷却媒体の供給を減少若しくは停止するように構成される請求項1の基板処理装置。
【請求項5】
開口を介して、前記開口の周囲に形成された第1シール面を有する処理容器に基板保持具を、搬入する工程と、
前記基板保持具に保持された基板を処理容器内で処理する工程と、
前記基板保持具を前記処理容器から搬出する工程と、
前記処理容器内に前記基板保持具が収容されていない状態で、前記開口より大きく構成され、前記処理容器内に面する内面側に配置された保護カバーと、前記第1シール面と対面する第2シール面と、前記保護カバーを保持し、外面側に配置された蓋体とを有する炉口シャッタを閉塞する工程と、
前記第1シール面と前記第2シール面との間の隙間に対して、前記保護カバーの外周側からパージガスを供給しながら、前記処理容器内をクリーニングする工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、例えば、半導体ウエハ等の基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程がある。薄膜形成工程は、基板を搬入した処理室内に処理ガスを供給することにより行われる。薄膜形成工程の目的は基板表面への薄膜形成であるが、実際には、基板表面以外、例えば処理室の内壁などに対しても薄膜を含む堆積物が付着してしまう場合がある。かかる堆積物は、薄膜形成工程を実施する度に累積的に付着し、一定の厚さ以上に到達すると処理室の内壁等から剥離し、処理室内における異物(パーティクル)発生要因となってしまう。そのため、堆積物の厚さが一定の厚さに到達する毎に、堆積物を除去することで処理室内や処理室内部の部材をクリーニングする必要がある。堆積物を除去する方法としては、処理室内に空のボートを搬入してエッチングガス(クリーニングガス)を供給して堆積物をドライエッチングにより除去するドライクリーニング法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-185662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボートをクリーニングしない場合があり、そのため、通常においてボートダウン時の炉内の保温および移載室への遮熱のために閉められる炉口シャッタを使用してクリーニングを行うことになる。しかし、クリーニングでは金属腐食性の高いガスを使用するため、炉口シャッタが腐食することがある。
【0005】
本開示の目的は、炉口シャッタの腐食を低減することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を保持した基板保持具を出し入れ可能な開口と、開口の周囲に形成された第1シール面とを有する処理容器と、
前記第1シール面と対面する第2シール面を有し、前記処理容器内に基板保持具を収容していない状態で前記開口を閉塞可能な炉口シャッタと、を備え、
前記炉口シャッタは、前記処理容器内に面する内面側に配置され前記開口より大きな保護カバーと、外面側に配置され前記保護カバーを保持する蓋体とを有し、前記保護カバーの外周部と前記蓋体とにより前記第2シール面を形成し、
前記第1シール面と前記第2シール面の間の隙間に、パージガスが前記保護カバーよりも外周側から供給される基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、炉口シャッタの腐食を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を縦断面図で示す図である。
図2図2は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉202部分を図1のA-A線断面図で示す図である。
図3図3は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置のコントローラ121の概略構成図であり、コントローラ121の制御系をブロック図で示す図である。
図4図4は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の処理容器の概略構成図であり、炉口シャッタ219sの部分を断面図で示す図である。
図5図5は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の炉口シャッタ219sの概略構成図であり、炉口シャッタ219sの部分を上面透視図で示す図である。
図6図6は、本開示の一態様で好適に用いられる基板処理装置の冷却水システムの概略構成図であり、処理炉202部分を模式図で示す図である。
図7図7は、本開示の一態様における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一態様について、主に、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は温度調整器(加熱部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0011】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0012】
処理室201内には、第1~第3供給部としてのノズル249a~249cが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a~249cを、それぞれ第1~第3ノズルとも称する。ノズル249a~249cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成されている。ノズル249a~249cには、ガス供給管232a~232cがそれぞれ接続されている。ノズル249a~249cはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249a,249bは、隣接して設けられている。
【0013】
ガス供給管232a~232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a~241cおよび開閉弁であるバルブ243a~243cがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aのバルブ243aよりも下流側には、ガス供給管232d,232eがそれぞれ接続されている。ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232f,232hがそれぞれ接続されている。ガス供給管232cのバルブ243cよりも下流側には、ガス供給管232gが接続されている。ガス供給管232d~232hには、ガス流の上流側から順に、MFC241d~241hおよびバルブ243d~243hがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a~232hは、例えば、SUS等の金属材料により構成されている。
【0014】
図2に示すように、ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249cは、ノズル249a,249bとは異なり、水平方向に延伸するが、上方に向かって立ち上がらない。平面視において、ノズル249bは、処理室201内に搬入されるウエハ200の中心を挟んで後述する排気口231aと一直線上に対向するように配置されている。ノズル249a,249cは、ノズル249bと排気口231aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。直線Lは、ノズル249bとウエハ200の中心とを通る直線でもある。ノズル249a~249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a~250cがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、それぞれが、平面視において排気口231aと対向(対面)するように開口しており、ガス供給孔250a,250bはウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。ガス供給孔250cは周方向に向けて設けられている。
【0015】
ガス供給管232aからは、反応ガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0016】
ガス供給管232bからは、原料ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0017】
ガス供給管232cからは、クリーニングガスが、MFC241c、バルブ243c、ノズル249cを介して処理室201内へ供給される。
【0018】
ガス供給管232dからは、クリーニングガスが、MFC241d、バルブ243d、ガス供給管232a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。
【0019】
ガス供給管232e~232gからは、不活性ガスが、それぞれMFC241e~241g、バルブ243e~243g、ガス供給管232a~232c、ノズル249a~249cを介して処理室201内へ供給される。
【0020】
ガス供給管232hからは、シリコン又は窒素含有物質が、MFC241h、バルブ243h、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。
【0021】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、反応ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、原料ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、クリーニングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、クリーニングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e~232g、MFC241e~241g、バルブ243e~243gにより、不活性ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232h、MFC241h、バルブ243hにより、シリコン又は窒素供給系が構成される。
【0022】
ここで、原料ガス、および反応ガスは、成膜ガスとして作用することから、原料ガス供給系、および反応ガス供給系を、成膜ガス供給系と称することもできる。
【0023】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243hやMFC241a~241h等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232hのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232h内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a~243hの開閉動作やMFC241a~241hによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232h等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0024】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。図2に示すように、排気口231aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a~249c(ガス供給孔250a~250c)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0025】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。回転機構267は、図示しない環状溝を有し、該環状溝を介して供給されるパージガスを回転軸255の周囲に供給するよう構成される。これにより、処理室201内の処理ガスによる回転軸255を腐食することが抑制される。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0026】
マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としての炉口シャッタ219sが設けられている。炉口シャッタ219sは、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。炉口シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。また、炉口シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。炉口シャッタ219sは成膜用の品質が考慮されておらず、パーティクル低減のための鏡面研磨も施されていない点でシールキャップ219と異なる。炉口シャッタ219sの詳細については後述する。
【0027】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0028】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0029】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0030】
記憶装置121cは、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0031】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241h、バルブ243a~243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0032】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243hの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによる炉口シャッタ219sの開閉動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0033】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0034】
次に、炉口シャッタ219sについて図4を用いて説明する。炉口シャッタ219sは、マニホールド209内に面する側に配置されマニホールド209の下端開口より大きな保護カバー219wと、外面側に配置され保護カバー219wを保持する蓋体219tとを有する。ここで炉口シャッタの外面とは炉口から見て処理容器の外側方向の面を示し、内面とは炉口から見て処理容器の内側方向の面を示す。内面側に配置される保護カバー219wは、石英ガラス等の蓋体219tよりも耐食性の高い素材により構成されており、シャッタガラスまたは石英プレートともいう。炉口シャッタはマニホールド209の下面(第1シール面)と対面する外周面(第2シール面)を有する。第2シール面は、図4および図5に示す蓋体219tの外周Aとマニホールド209の内周Bとの間に位置し、保護カバー219wの外周部と蓋体219tとにより形成されている。マニホールド209の下面と第2シール面の間に隙間219uを有する。第2シール面において、外側の蓋体219tにOリング220cが設けられ、その内側の蓋体219tの全周に溝219vが設けられ、溝219vの内側の蓋体219tの上面に保護カバー219wの外周部が設けられている。
【0035】
マニホールド209の下部フランジには、溝219vに対面する位置に、ガス導入部としての孔249iが処理室201内に連通するように形成されている。孔249iには、パージガスを処理室201内に供給するパージガス供給管232iが接続されている。パージガス供給管232iの孔249iとの接続側と反対側である上流側には、バルブ243iおよびガス流量制御器としてのMFC241iを介してパージガス供給源(不図示)が接続されている。マニホールド209の下面と第2シール面の間の隙間219uに位置する溝219vに孔249iからパージガスが供給され、マニホールド209の下面と保護カバー219wの外周側との間の隙間219uを通過して保護カバー219wの内周側に供給される。パージガスは、処理容器内にクリーニングガスが供給されている間、溝219vから供給される。溝219vから供給されるパージガスの流量は、処理容器内にクリーニングガスが供給されているとき、処理容器内にクリーニングガスが供給されていないときよりも減少される。クリーニング時の処理容器内の温度はウエハ200を処理する温度よりも高く設定されうる。なお、溝219vはマニホールド209の下部フランジの下面側に設けてもよい。また、隙間219uは全周に設けてもよいし、間欠に設けてもよい。
【0036】
保護カバー219wがマニホールド209の下まで入る大きさであり、蓋体219tの外周部に設けた溝219vにより全周からパージを行う。全周からのパージにより蓋体219tと保護カバー219wとの間(保護カバー219wの裏面)へのクリーニングガスの侵入を抑えることが可能となる。これにより、蓋体219tの腐食を防止することが可能となる。
【0037】
また、蓋体219tは冷却媒体としての冷却水の流路219xを有する。流路219xは蓋体219tの中心側に構成され、蓋体219tの半径方向中央部を円周方向に沿って配置されると共に、中央部の半径方向内側を円周方向に沿って配置される。流路219xに冷却水を通すことにより、蓋体219tを所定の温度範囲(例えば、160~200℃)に保持することが可能となる。
【0038】
次に、蓋体219tを所定の温度範囲に保持する冷却水システムについて図6を用いて説明する。炉口シャッタ219sの表面温度が所定温度(例えば、150℃)以下であるとクリーニング反応の速度の低下、クリーニングガスの凝結や副生成物の離脱の減退が起こる場合がある。クリーニングを効果的に行う目標温度とするため、冷却水のON/OFFにより温度制御を行う。また、他の系統(例えば、ヒータ207及びその周囲)で使用した冷却水を二次使用して、温まった冷却水を使用することで炉口シャッタ219sの表面温度を保つ。
【0039】
そこで、流路219x中の冷却水の温度を検知するため、流路219x付近に温度センサ301が設けられている。図6においては、一つの温度センサ301が示されているが、複数の温度センサ301を設けてもよい。そして、冷却水が供給される冷却媒体供給管311がヒータ207に接続され、ヒータ207を冷却して温まった冷却水が排出される排出管312がヒータ207および流路切替装置302に接続される。流路切替装置302から排出される冷却水が供給される冷却媒体供給管313が、蓋体219tの流路219xの入口に接続され、蓋体219tを冷却して温まった冷却水が排出される排出管315が、流路219xの出口および流量計303に接続される。流路切替装置302は温度センサ301に基づいて流路を切り替え、温度センサ301で測定された冷却水温度が所定温度以上の場合は冷却媒体供給管313を介して炉口シャッタ219sに冷却水を流し、所定温度未満の場合は排出管314を介して冷却水を排出し、蓋体219tの冷却水の流量を減少または停止するように構成される。流量計303は、例えば、カルマン流量計により構成される。所定温度はカルマン流量計の耐熱温度以下であり、好ましくは85℃である。
【0040】
(2)基板処理工程
以下、図7を参照して、ウエハ200上に所定の膜を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0041】
本実施形態における成膜処理では、処理室201内のウエハ200に対して原料ガスを供給する工程(S941)と、処理室201内から原料ガス(残留ガス)を除去する工程(S942)と、処理室201内のウエハ200に対して反応ガスを供給する工程(S943)と、処理室201内から反応ガス(残留ガス)を除去する工程(S944)と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200に金属酸化物の膜を形成する。
【0042】
本明細書において「ウエハ」という用語は、「ウエハそのもの(ベアウエハ)」の他、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(複合体)」を意味する。同様に「ウエハの表面」という用語は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。「基板」という用語の解釈も、「ウエハ」と同様である。
【0043】
(S901:ウエハチャージおよびボートロード)
最初に、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sにより炉口シャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0044】
(S902:圧力調整)
その後、処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。処理室201内の排気は、少なくともウエハ200に対する処理(昇温S903から降温S905)が終了するまでの間は継続して行われる。排気が行われている間、バルブ243e~243gを開き、MFC241e~241gにより制御された少流量の不活性ガスが、常に処理室201内の所定の場所に供給されうる。シールキャップ219は、パージガス供給管232iから供給されたパージガスを回転機構267に配給し、回転機構267のパージに利用することができ、そのときの供給量は100から1000sccm程度である。
【0045】
(S903:昇温)
また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布で安定するように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。処理温度は100から650℃であり、チャネル領域の不純物濃度および金属配線等に影響を与えない温度とすることが好ましい場合、例えば、100~350℃である。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内のウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0046】
(S904:成膜処理)
処理室201内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の4つのサブステップ、すなわち、S941、S942、S943及びS944を順次実行する。なおこの間、回転機構267により、回転軸255を介してボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0047】
(S941:原料ガス供給)
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対し、原料ガスを供給し、ウエハ200の最表面上に、第1の層を形成する。具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へ原料ガスを流す。原料ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bのガス供給孔250bを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。また同時にバルブ243fを開き、ガス供給管232f内へ不活性ガスを流す。不活性ガスは、MFC241fにより流量調整され、ノズル249bのガス供給孔250bを介して原料ガスと一緒に処理室201内の処理領域へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。また同時に不活性ガスは、ノズル249a,249cのガス供給孔250a,250cを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第1圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。原料ガスとしては、Al、Zr、Hf、Ti等の金属元素を含むガスを用いることができる。
【0048】
(S942:原料ガス排気)
第1の層が形成された後、バルブ243bを閉じ、原料ガスの供給を停止するとともに、APCバルブ244を全開にする制御を行う。これにより、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後の原料ガスを処理室201内から排出する。なお、バルブ243fを開いたままとして、処理室201内へ供給された不活性ガスに、残留ガスをパージさせてもよい。ノズル249bからのパージガスの流量は、排気経路中で低蒸気圧ガスの分圧を飽和蒸気圧よりも下げるように、或いは、反応管203内での流速が拡散速度に打ち勝つ速度になるように設定される。
【0049】
(S943:反応ガス供給)
ステップS942が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対して反応ガスを供給する。熱で活性化された反応ガスは、ステップS941でウエハ200上に形成された第1の層の少なくとも一部と反応し、第2の層へと変化(改質)させる。バルブ243a,243eの開閉制御を、ステップS941におけるバルブ243b,243fの開閉制御と同様の手順で行う。反応ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aのガス供給孔250aを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。また同時に不活性ガスは、ノズル249a~249cのガス供給孔250a~250cを介して処理室201内の処理領域へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第2圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。第1圧力や第2圧力は、一例として100~5000Paであり、好ましくは100~500Paである。反応ガスとしては、例えば、酸素(O)ガス、オゾン(O)ガス、プラズマ励起されたOガス(O )、Oガス+水素(H)ガス、水蒸気(HOガス)、過酸化水素(H)ガス、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス等の酸素(O)含有ガスを用いることができる。
【0050】
(S944:反応ガス排気)
第2の層が形成された後、バルブ243aを閉じ、反応ガスの供給を停止するとともに、目標圧力を0とする定圧制御(つまり全開制御)を行う。これにより、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後の反応ガスを処理室201内から排出する。このとき、ステップS942と同様に、所定量の不活性ガスをパージガスとして処理室201内へ供給することができる。原料ガス排気若しくは反応ガス排気における到達圧力は、100Pa以下であり、好ましくは10~50Paである。処理室201内の圧力は供給時と排気時とで10倍以上異なりうる。
【0051】
(S945:所定回数実施)
上述したS941からS944のステップを時間的にオーバーラップさせることなく順次行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚の膜を形成することができる。S941やS943で形成される第1及び第2の層の厚さは、必ずしも自己限定的ではなく、その場合、安定した膜質を得るために、ガスに曝露される間のガス濃度や時間は、高い再現性でもって精密に制御される必要がある。なお、反復されるサイクル内で、S941とS942、またはS943とS944を、更に複数回反復して実施してもよい。
【0052】
(S905:降温)
このステップでは、必要に応じ、成膜処理の間続けられていたステップS903の温度調整が停止しもしくはより低い温度に設定し直され、処理室201内の温度が徐々に下げられる。
【0053】
(S906:パージおよび大気圧復帰)
成膜処理が完了した後、ノズル249a~249cのそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0054】
(S907:ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、炉口シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介して炉口シャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0055】
(S908:圧力調整)
その後、処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。処理室201内の排気は、少なくともクリーニング処理が終了するまでの間は継続して行われる。この間、バルブ243e~243gを開き、少流量の不活性ガスが供給されうる。
【0056】
(S909:昇温)
また、処理室201内が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。処理室201内の加熱は、少なくともクリーニング処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0057】
(S910:クリーニング)
処理室201内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、処理室201内に対し、クリーニングガスを供給する。具体的には、バルブ243cとバルブ243dの少なくとも1つを開く。クリーニングガスは、MFC241c、241dにより流量調整され、ガス供給管232c、232dを流れてノズル249c、249dのガス供給孔250c、250aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aを介して排気管231から排気される。このとき、コントローラ121は、第3圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。APCバルブ244は処理室201内が第3圧力に上昇するまで、ほぼ全閉となり得る。また処理室201内へ供給される不活性ガスは、必要最小限まで減らされうる。
【0058】
クリーニングガスとしては、ハロゲン原子を含むガスであり、まず、分子内にカルボニル基とハロゲン原子を有する化合物としては、COF(フッ化カルボニル)、COCl(塩化カルボニル)、COBr(臭化カルボニル)、COClF(塩化フッ化カルボニル)、COBrF(臭化フッ化カルボニル)、COIF(ヨウ化フッ化カルボニル)等が使用できる。さらに、分子内のカルボニル基の数は1とは限らず、たとえばC(フッ化オキサリル)、CCl(塩化オキサリル)、CBr(臭化オキサリル)等のようにカルボニル基を2個有する化合物も使用できる。分子内にチオニル基とハロゲン原子とを有する化合物としては、SOF2(フッ化チオニル)、SOCl(塩化チオニル)、SOBr(臭化チオニル)、SOF(四フッ化チオニル)、SOClBr(塩化臭化チオニル)等を使用することができる。分子内にスルフリル基とハロゲン原子とを有する化合物としては、SOCl(塩化スルフリル)、SOClF(塩化フッ化スルフリル)、SOBrF(臭化フッ化スルフリル)等を使用することができる。分子内にニトロシル基とハロゲン原子とを有する化合物としては、NOF(フッ化ニトシル)、NOCl(塩化ニトロシル)、NOCl(二塩化ニトロシル)、NOCl(三塩化ニトロシル)、NOBr(臭化ニトロシル)、NOBr(二臭化ニトロシル)、NOBr(三臭化ニトロシル)等を使用することができる。さらに、分子内にニトリル基とハロゲン原子とを有する化合物としては、NOF(フッ化ニトリル)、NOBr(臭化ニトリル)、NOCl(塩化ニトリル)を使用できる。
【0059】
成膜処理S904で形成された、Al、Hf、Zr等の酸化物はhigh-k材料として知られるが、難エッチング材料でもある。これらは、蒸気圧の高い塩化物若しくは臭化物に変化させるとプラズマ不使用でエッチングできる。なお、クリーニング処理温度は成膜処理温度よりも高く、例えば、400~750℃である。第3圧力は、一例として、10kPaから16600kPa程度である。
クリーニングS910において、コントローラ121は以下のような制御により、炉口シャッタ219sの内面側の温度を目標温度付近に保つことができる。即ち、温度センサ301で測定された冷却水温度が第1の所定温度を超えたら、流路219xへの供給を強制的にオンし、所定時間t1後若しくは所定量wの冷却水が流れた後にオフする。冷却水が流れた量は、流量計303の値を積算して得られ、所定量wは流路219xの容積に対応して定められる。オフした後、所定時間t2の間、温度センサ301の温度に関わらずオフを維持する。その後、冷却水温度が再び所定温度を超えるまで待機する。更には、蓋体219tの内面側の温度を測定する第2の温度センサを追加し、第2の温度センサが第2の所定温度を超えたら、流路219xへの供給を強制的にオンする処理を、並行して行ってもよい。
【0060】
(S911:パージおよび大気圧復帰)
クリーニングが完了した後、ノズル249a~249cのそれぞれから不活性ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aより排気する。ノズル249a~249cより供給される不活性ガスは、パージガスとして作用し、これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0061】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。当業者は、上述の実施形態を、減圧下での基板の熱処理に広く適用できる。例えば本開示は、ホットウォール反応管に限られず、ランプ加熱や誘導加熱によるコールドウォール管に適用でき、図1のような1重管、バッファ(ダクト)付き管、2重管を含む、様々な形状の反応管に対して適用できる。
【0062】
成膜は、ウエハ等の基板上に行うものに限らず、チャンバ(処理容器)の保護やパーティクル発生防止目的でチャンバ内壁に行うものも含み、本開示の炉口シャッタは、そのような(再)コーティングやコーティング前の既存保護膜の除去においても利用できる。
【0063】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0064】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板を保持した基板保持具を出し入れ可能な開口と、開口の周囲に形成された第1シール面を有する処理容器と、
前記第1シール面と対面する第2シール面を有し、前記処理容器内に前記基板保持具を収容していない状態で前記開口を閉塞する炉口シャッタと、を備え、
前記炉口シャッタは、前記処理容器内に面する側に配置され前記開口より大きな保護カバーと、外面側に配置され前記保護カバーを保持する蓋体とを有し、前記保護カバーの外周部と前記蓋体とにより前記第2シール面を形成し、
前記第1シール面と前記第2シール面の間の隙間に、パージガスが前記保護カバーよりも外周側から供給される基板処理装置が提供される。
【0065】
(付記2)
付記1の基板処理装置において、好ましくは、
前記処理容器又は前記炉口シャッタは、前記隙間に、前記保護カバーよりも外周側からパージガスを供給する溝を有し、前記隙間を通過したパージガスは保護カバーの内周側に供給される。
【0066】
(付記3)
付記1または2の基板処理装置において、好ましくは、
前記蓋体が所定の温度範囲(例えば、160℃~200℃)に保持される。
【0067】
(付記4)
付記3の基板処理装置において、好ましくは、
前記蓋体に、前記蓋体が所定の温度範囲(例えば、160℃~200℃)に保持する冷却媒体(例えば、水)の流路が構成される。
【0068】
(付記5)
付記4の基板処理装置において、好ましくは、
前記流路中の冷却媒体(例えば、水)の温度を検知する温度センサを更に有し、
前記冷却媒体の温度が所定温度以上(好ましくは85℃以上)であれば、前記冷却媒体(例えば、水)を供給し、所定温度未満であれば前記冷却媒体の供給を減少若しくは停止するように構成される。
【0069】
(付記6)
付記4または5の基板処理装置において、好ましくは、
前記基板を加熱する加熱部(例えば、炉ヒータ)を更に有し、前記加熱部又はその周囲を冷却後の冷却媒体が、前記流路に供給される。
【0070】
(付記7)
付記4の基板処理装置において、好ましくは、
前記流路は、前記蓋体の中心側に構成される。
【0071】
(付記8)
付記2の基板処理装置において、好ましくは、
前記パージガスは、前記処理容器内にクリーニングガスが供給されている間、前記溝から供給される。
【0072】
(付記9)
付記8の基板処理装置において、好ましくは、
前記ガスクリーニング時の温度が基板を処理する温度よりも高く構成される。
【0073】
(付記10)
付記2の基板処理装置において、好ましくは、
前記溝から供給される前記パージガスの流量は、前記処理容器内にクリーニングガスが供給されているときに、前記処理容器内にクリーニングガスが供給されていないときよりも減少される。
【0074】
(付記11)
付記1の基板処理装置において、好ましくは、
前記処理容器内で基板保持具を回転可能に支持した状態で前記開口を閉塞するシールキャップと、
前記シールキャップに設けられ前記基板保持具を回転させる回転機構と、を更に有し、前記回転機構は、環状溝を介して供給された前記パージガスを回転軸の周囲に供給する。
【0075】
(付記12)
本開示の他の態様によれば、
基板を保持した基板保持具を出し入れ可能な開口と、開口の周囲に形成された第1シール面を有し、処理容器の炉口部を構成するマニホールドと、
前記第1シール面と対面する第2シール面を有し、前記処理容器内に基板保持具を収容していない状態で前記開口を閉塞する炉口シャッタと、を備え、
前記炉口シャッタは、前記処理容器内に面する側に配置され前記開口より大きな保護カバーと、外面側に配置され前記保護カバーを保持する蓋体とを有し、前記保護カバーの外周部と前記蓋体とにより前記第2シール面を形成し、
第1シール面と第2シール面の間の隙間に、パージガスが前記保護カバーよりも外周側から供給される炉口アセンブリが提供される。
【0076】
(付記13)
本開示の他の態様によれば、
開口を介して、前記開口の周囲に形成された第1シール面を有する処理容器に基板保持具を、搬入する工程と、
前記基板保持具に保持された基板を処理容器内で処理する工程と、
前記基板保持具を前記処理容器から搬出する工程と、
前記処理容器内に前記基板保持具が収容されていない状態で、前記開口より大きく構成され、前記処理容器内に面する内面側に配置された保護カバーと、前記第1シール面と対面する第2シール面と、前記保護カバーを保持し、外面側に配置された蓋体とを有する炉口シャッタを閉塞する工程と、
前記第1シール面と前記第2シール面との間の隙間に対して、前記保護カバーの外周側からパージガスを供給しながら、前記処理容器内をクリーニングする工程と、半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0077】
200・・・ウエハ(基板)
217・・・ボート(基板保持具)
219s・・・炉口シャッタ
219t・・・蓋体
219w・・・保護カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7