(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147215
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20220929BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20220929BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20220929BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20220929BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20220929BHJP
C11D 3/06 20060101ALI20220929BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20220929BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20220929BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/04
C11D1/04
C11D1/75
C11D3/36
C11D3/06
C11D3/395
C11D17/04
B08B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048369
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ADEKAクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
【テーマコード(参考)】
3B201
4H003
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AA47
3B201BB21
3B201BB94
3B201BB96
3B201CC01
4H003AB03
4H003AC15
4H003BA20
4H003DA05
4H003DC02
4H003EA08
4H003EA19
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB24
4H003EB30
4H003EB32
4H003ED02
4H003EE07
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA20
4H003FA23
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】優れたすすぎ時の泡切れ性及び金属腐食防止性を発揮する液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(A)成分としてアルカリ金属水酸化物0.1質量%以上、10質量%以下、(B)成分として炭素数10~14の脂肪酸及び/又はその塩0.01質量%以上、0.45質量%以下、(C)成分として炭素数8~18のアルキル基を有するアミンオキサイド0.5質量%以上、12質量%以下、(D)成分として水溶性カルシウム化合物0.03質量%以上、3質量%以下、及び(E)成分として水を含有し、(B)成分と(D)成分の質量比(B)/(D)の値が0.005以上、15以下である、液体洗浄剤組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分としてアルカリ金属水酸化物0.1質量%以上、10質量%以下、
(B)成分として炭素数10~14の脂肪酸及び/又はその塩0.01質量%以上、0.45質量%以下、
(C)成分として炭素数8~18のアルキル基を有するアミンオキサイド0.5質量%以上、12質量%以下、
(D)成分として水溶性カルシウム化合物0.03質量%以上、3質量%以下、
(E)成分として水
を含有し、(B)成分と(D)成分の質量比(B)/(D)の値が0.005以上、15以下である、液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分として、ラウリン酸又はその塩と、ミリスチン酸又はその塩とを含有し、質量比(ラウリン酸又はその塩)/(ミリスチン酸又はその塩)の値が0.05以上、40以下である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分として、デシルジメチルアミンオキサイドとドデシルジメチルアミンオキサイドを含有し、質量比(デシルジメチルアミンオキサイド)/(ドデシルジメチルアミンオキサイド)の値が4以上、200以下である、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(F)成分としてホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸、縮合リン酸又はそれらの塩より選択される少なくとも一種以上を含有する、請求項1~3の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(G)成分として塩素系酸化剤を含有する、請求項1~4の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の液体洗浄剤組成物を被洗浄物に泡状に噴射し洗浄することを含む、洗浄方法。
【請求項7】
液体洗浄剤組成物を、1倍を超えて100倍以下の希釈倍率に予め希釈し、及び/又は希釈しながら被洗浄物に泡状に噴射し洗浄する、請求項6に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に調理設備及び食品加工設備で使用することができる洗浄剤組成物であって、起泡性を有し、前記設備に含まれる金属の腐食を抑え、かつ、すすぎ時の泡切れ性に優れた液体洗浄剤組成物及びその洗浄剤組成物を用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、学校、病院、社員食堂、食品加工工場等における厨房、作業場の壁、床など、特にタイルや金属の壁等の垂直な硬質表面の洗浄においては、衛生面などの点から泡洗浄機を用いた発泡洗浄方法が採られている。発泡洗浄では、洗浄剤の原液ないしは、水で1倍超~100倍に希釈した希釈液を泡洗浄機に投入し、水圧や空圧によって起泡させた泡を被洗浄面に噴射させて、一定時間保持させた後、ブラシやスポンジを用いてこするか、又はこすらずに水ですすぐことにより洗浄及び/又は除菌を行っている。このような発泡洗浄では、洗浄剤を泡状に塗布することで、被洗浄面における洗浄剤の滞留時間が長くなり、洗浄及び/又は除菌効果が向上する。
【0003】
発泡洗浄に用いる洗浄剤は、従来、起泡性や泡の安定性を重視して開発がなされていた。一方で、すすぎ時に泡がなかなか切れずに多量のすすぎ水を用いてすすがなければならないという問題があった。従って、作業の利便性や節水の点から、洗浄時には十分な泡が立ちながらも、水ですすぐ際のすすぎ性が良好で泡切れが良い洗浄剤が求められている。
また、洗浄剤を作用させる被洗浄面は銅やアルミ等といった腐食しやすい金属も含まれるため、高い洗浄力を有しながらも低腐食性であることが求められている。
【0004】
従来の洗浄剤組成物としては、特許文献1には酸化剤、炭素数14~22の炭化水素基を有する脂肪酸及び/又はその塩、炭素数8~18の炭化水素基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド及び/又はアルケニルジメチルアミンオキサイド、及び有機ホスホン酸又はその塩、縮合リン酸又はその塩より選ばれた少なくとも一種以上を含有する液体洗浄剤組成物が記載されている。引用文献2には塩素系酸化剤、炭素数10~14の脂肪酸及び/又はその塩、デシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイドを含有する液体アルカリ性洗浄剤組成物が記載されている。引用文献3にはアルカリ剤、アニオン界面活性剤、炭素原子数が12~18のアルキル基又はアルキレン基を有するアルキルジメチルアミンオキサイド、芳香族スルホン酸塩、水溶性カルシウム化合物、金属イオン封鎖剤を含有する飲食料品製造設備用発砲洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-108552号公報
【特許文献2】特開2020-050694号公報
【特許文献3】特開2010-150307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の組成物は被洗浄面がアルミ等の軽金属に対しては腐食防止性が十分ではなかった。引用文献3に記載の組成物は金属腐食防止性を発揮するが、すすぎ時の泡切れ性について十分とは言えなかった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みなされたものである。即ち、本発明は、起泡性を有し、調理設備、食品加工設備等で使用される金属に対する腐食防止性に優れ、かつ、すすぎ時の泡切れ性に優れた液体洗浄剤組成物、及び当該組成物を用いた洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち本発明は、
(1)(A)成分としてアルカリ金属水酸化物0.1質量%以上、10質量%以下、
(B)成分として炭素数10~14の脂肪酸及び/又はその塩0.01質量%以上、0.45質量%以下、
(C)成分として炭素数8~18のアルキル基を有するアミンオキサイド0.5質量%以上、12質量%以下、
(D)成分として水溶性カルシウム化合物0.03質量%以上、3質量%以下、
(E)成分として水を含有し、(B)成分と(D)成分の質量比(B)/(D)の値が0.005以上、15以下である、液体洗浄剤組成物、
(2)(B)成分として、ラウリン酸又はその塩と、ミリスチン酸又はその塩とを含有し、質量比(ラウリン酸又はその塩)/(ミリスチン酸又はその塩)の値が0.05以上、40以下である、(1)の液体洗浄剤組成物、
(3)(C)成分として、デシルジメチルアミンオキサイドとドデシルジメチルアミンオキサイドを含有し、質量比(デシルジメチルアミンオキサイド)/(ドデシルジメチルアミンオキサイド)の値が4以上、200以下である、(1)又は(2)の液体洗浄剤組成物、
(4)更に、(F)成分としてホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸、縮合リン酸又はそれらの塩より選択される少なくとも一種以上を含有する、(1)~(3)の何れかの液体洗浄剤組成物、
(5)更に、(G)成分として塩素系酸化剤を含有する、(1)~(4)の何れかの液体洗浄剤組成物、
(6)(1)~(5)の何れかの液体洗浄剤組成物を被洗浄物に泡状に噴射し洗浄することを含む、洗浄方法、
(7)液体洗浄剤組成物を、1倍を超えて100倍以下の希釈倍率に予め希釈し、及び/又は希釈しながら被洗浄物に泡状に噴射し洗浄する、(6)の洗浄方法、
であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体洗浄剤組成物は、起泡性を有し、すすぎ時の泡切れ性に優れるため、節水性や作業性が良好であり、かつ、調理設備、食品加工設備等で使用される金属に対しても優れた腐食防止性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(A)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分としてアルカリ金属水酸化物を含む。このアルカリ金属水酸化物により当該組成物の洗浄性を向上させる。
【0011】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられるが、これらの中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0012】
(A)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.1質量%以上、10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、8質量%以下がより好ましく、1質量%以上、5質量%以下が特に好ましい。(A)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.1質量%未満になると洗浄性が不十分となる場合があり、一方で、10質量%より多くなると当該組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
なお、(A)成分の上記配合量は本発明の液体洗浄剤組成物を調製する際の仕込み値である。
【0013】
<(B)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分として炭素数10~14の脂肪酸及び/又はその塩を含む。この脂肪酸及び/又はその塩により当該組成物のすすぎ時の泡切れ性を向上させる。
【0014】
炭素数10~14の脂肪酸としては、カプリン酸(炭素数10)、ウンデシル酸(炭素数11)、ラウリン酸(炭素数12)、トリデシル酸(炭素数13)、ミリスチン酸(炭素数14)又はこれらの塩が挙げられる。これらの中でも起泡後の泡もちが良く、かつすすぎ時の泡切れ性にも優れるという観点から、ラウリン酸若しくはミリスチン酸又はこれらの塩から選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、ラウリン酸又はラウリン酸塩、及びミリスチン酸又はミリスチン酸塩を使用することがより好ましい。上記ラウリン酸塩としては、ラウリン酸ナトリウム又はラウリン酸カリウムが好ましく、又は上記ミリスチン酸塩としては、ミリスチン酸ナトリウム、又はミリスチン酸カリウムが好ましい。
【0015】
ラウリン酸又はラウリン酸塩、及びミリスチン酸又はミリスチン酸塩から選択される1種と、それとは異なる脂肪酸及び/又はその塩を組合せて用いてもよい。具体的な組合せの例としては、ラウリン酸又はその塩、及びミリスチン酸又はその塩から選択される1種と、カプリン酸又はその塩との組み合わせが挙げられる。
【0016】
(B)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.45質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、0.4質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上、0.3質量%以下が特に好ましい。(B)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.01質量%未満になるとすすぎ時の泡切れ性が不十分となる場合があり、一方で、0.45質量%より多くなると当該組成物の希釈時の安定性が悪くなる場合がある。
尚、本発明の洗浄剤組成物中の上記(B)成分の配合量に関し、(B)成分中に脂肪酸塩が含まれる場合は、脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた値である。
更に、本発明の洗浄剤組成物中の(B)成分の上記配合量は、調製時における仕込み値である。
またここでいう希釈とは、特に希釈倍率が限定されるものではないが、たとえば原液に対し1倍を超え、100倍以下の希釈倍率である。
【0017】
また、本発明の洗浄剤組成物は、すすぎ時の泡切れ性に優れるという観点から、(B)成分として、ラウリン酸又はその塩と、ミリスチン酸又はその塩とを含むことが好ましく、この場合の質量比が、(ラウリン酸又はその塩)/(ミリスチン酸又はその塩)の値が0.05以上、40以下であることが好ましい。
より優れたすすぎ時の泡切れ性を実現するという観点から、上記質量比は、0.1以上、30以下であることがより好ましく、1.0以上、20以下であることが更に好ましく、3.5以上、20以下であることが特に好ましい。
なお、上記値は、ラウリン酸塩が含まれる場合はラウリン酸として換算し、及びミリスチン酸塩を含む場合はミリスチン酸として換算して計算され求められる。
【0018】
<(C)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(C)成分として炭素数8~18のアルキル基を有するアミンオキサイドを含む。このアミンオキサイドにより当該組成物の洗浄性及び起泡性を向上させる。
【0019】
アルキル基の炭素数8~18のアミンオキサイドとしては、オクチルジメチルアミンオキサイド、ノニルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキサイド、ウンデシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイド、トリデシルジメチルアミンオキサイド、テトラデシルジメチルアミンオキサイド、ペンタデシルジメチルアミンオキサイド、ヘキサデシルジメチルアミンオキサイド、ヘプタデシルジメチルアミンオキサイド、オクタデシルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも洗浄性、起泡性に優れるという観点から、オクチルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイド、テトラデシルジメチルアミンオキサイドから選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、デシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイドから選択される1種又は2種を使用することがより好ましく、デシルジメチルアミンオキサイドと、ドデシルジメチルアミンオキサイドの両方を使用することが特に好ましい。
【0020】
(C)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.5質量%以上、12質量%以下が好ましく、1質量%以上、10質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上、8質量%以下が特に好ましい。(C)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.1質量%未満になると洗浄性、起泡性が不十分となる場合があり、一方で、12質量%より多くなると当該組成物のすすぎ時の泡切れ性が悪くなる場合がある。
なお、本発明の洗浄剤組成物中の(C)成分の上記配合量は、調製時における仕込み値である。
【0021】
また、洗浄性、起泡性、すすぎ時の泡切れ性に優れるという観点から、(C)成分として、デシルジメチルアミンオキサイドと、ドデシルジメチルアミンオキサイドとを、質量比で、(デシルジメチルアミンオキサイド)/(ドデシルジメチルアミンオキサイド)の値が4以上、200以下であることが好ましい。
良好な起泡性、すすぎ時の泡切れ性を実現するという観点から、上記質量比率は、5以上であることがより好ましい。また、より優れた洗浄性を実現するという観点から、上記質量比は、30以下であることがより好ましく、20以下であることが更に好ましい。
尚、ここでいう起泡性とは、適度な水分を含むきめ細かい泡を形成可能であることを意味する。
【0022】
また、本発明の液体洗浄剤組成物を垂直面に対して泡状に噴霧した場合に、より良好な泡の滞留性が得られるという観点から、(C)成分としてデシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイドから選択される1種又は2種を含有し、かつ、(B)成分としてラウリン酸又はその塩を含有することが好ましい。
【0023】
<(D)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(D)成分として水溶性カルシウム化合物を含む。この水溶性カルシウム化合物により当該組成物の金属腐食防止性を向上させる。
【0024】
水溶性カルシウム化合物としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも金属腐食防止性に優れるという観点から、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、グルコン酸カルシウムから選択される1種又は2種以上を使用することが好ましく、酢酸カルシウムを使用することが特に好ましい。
【0025】
(D)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.03質量%以上、3質量%以下が好ましく、0.05質量%以上、2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上、1質量%以下が特に好ましい。(D)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.03質量%未満になると金属腐食防止性が不十分となる場合があり、一方で、3質量%より多くなると当該組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
なお、本発明の洗浄剤組成物中の(D)成分の上記配合量は、調製時における仕込み値である。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物の(B)成分と(D)成分の比は、(B)/(D)の値が質量比で0.005以上、15以下でなければならず、好ましくは0.01以上、5以下、より好ましくは0.05以上、1以下である。(B)/(D)の値が0.005未満であると、すすぎ時の泡切れ性、貯蔵安定性が悪くなる場合がある。一方、(B)/(D)の値が15を超えると、金属腐食防止性、希釈時の安定性が悪くなる場合がある。
尚、(B)成分及び(D)成分の質量はそれぞれ液体洗浄剤組成物の調製時の仕込み値である。
また上記同様に、(B)成分中に脂肪酸塩が含まれる場合は、脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた値である。
【0027】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(E)成分として水を含む。水としては、水道水、軟水化処理水、純水、RO水、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。水道水としては、例えば、東京都荒川区の水道水(pH=7.6、総アルカリ度(炭酸カルシウム換算として)40.5mg/L、ドイツ硬度2.3°DH(そのうち、カルシウム硬度1.7°DH、マグネシウム硬度0.6°DH)、塩化物イオン21.9mg/L、ナトリウム及びその化合物15mg/L、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素1.2mg/L、フッ素及びその化合物0.1mg/L、ホウ素及びその化合物0.04mg/L、総トリハロメタン0.016mg/L、残留塩素0.4mg/L、有機物(全有機炭素量)0.7mg/L)が挙げられる。
本発明の(E)成分の水は、上記(A)~(D)成分の合計量に対する残部、あるいは(A)成分~(D)成分、及び他の成分((F)成分~(G)成分)の合計量に対する残部となる。
【0028】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記の(A)~(E)成分に加えて、(F)成分としてホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸、縮合リン酸又はこれらの塩より選択される少なくとも一種以上、(G)成分として塩素系酸化剤を任意に添加することができる。
【0029】
前記(F)成分としては、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸、縮合リン酸又はこれらの塩より選択される少なくとも一種以上を使用することで、液体洗浄剤組成物の希釈時の安定性及び貯蔵安定性をより向上させることができる。
【0030】
前記(F)成分としては、例えば2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ビス(ポリ-2-カルボキシエチル)ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸共重合物、トリポリリン酸、ピロリン酸又はこれらの塩が挙げられる。これらの中でも希釈時の安定性、貯蔵安定性に優れるという観点から、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ホスフィノカルボン酸共重合物又はこれらの塩が好ましい。
【0031】
(F)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.2質量%以上、7質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下がより好ましく、1質量%以上、4質量%以下が特に好ましい。(F)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、0.2質量%未満になると希釈時の安定性及び貯蔵安定性の向上が認められない場合があり、一方で、7質量%より多くなると金属腐食防止性、すすぎ時時の泡切れ性に悪い影響を与える可能性がある。
尚、本発明の洗浄剤組成物中の上記(F)成分の配合量に関し、(F)成分中にホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、ホスフィノカルボン酸塩、縮合リン酸塩が含まれる場合は、それぞれホスホン酸、ホスフィン酸、ホスフィノカルボン酸、縮合リン酸として換算した量より求めた値である。
【0032】
前記(G)成分としては、塩素系酸化剤を使用することで、液体洗浄剤組成物の洗浄性をより向上させ、かつ、除菌性を付与することができる。塩素系酸化剤として、次亜塩素酸、亜塩素酸又はこれらの塩より選択される少なくとも一種以上を使用することができる。
【0033】
前記(G)成分としては、洗浄性及び除菌性の観点から次亜塩素酸又は亜塩素酸のアルカリ金属塩が好ましく、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウムがより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
【0034】
(G)成分の配合量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、有効塩素濃度として0.1質量%以上、8質量%以下が好ましく、1質量%以上、6質量%以下がより好ましく、2質量%以上、5質量%以下が特に好ましい。(G)成分の配合量が、本発明の液体洗浄剤組成物の全量に対して、有効塩素濃度として0.1質量%未満になると洗浄性、除菌性の向上が認められない場合があり、一方で、8質量%より多くなると金属腐食防止性に悪い影響を与える可能性がある。
なお、本発明の洗浄剤組成物中の(F)成分及び(G)の上記配合量は、それぞれ調製時における仕込み値である。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記以外の成分で、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性溶剤、キレート剤、殺菌剤、pH調整剤、粘稠剤、香料、色素等の他の成分を配合することができる。なお、酵素類は含まないことが好ましい。
【0036】
水溶性溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等のポリオール類が挙げられる。
【0037】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸又はその塩、ジエチレントリアミノ五酢酸又はその塩、トリエチレンテトラアミン六酢酸又はその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸又はその塩、メチルグリシン二酢酸又はその塩、グルタミン酸二酢酸又はその塩、イミノジコハク酸又はその塩、ニトリロ三酢酸又はその塩等が挙げられ、これらの塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0038】
殺菌剤としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、イソチアゾリン-3-オン、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、N-n-ブチル-ベンズイソチアゾリン-3-オン等のチアゾリン類、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、1又は3-モノメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1、3-ジクロロエチルメチルヒダントイン等のヒダントイン類、アルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0039】
pH調整剤として用いる塩基としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが挙げられる。また、pH調整剤として用いる酸としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、などが挙げられるが、好ましくは、酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸が挙げられる。
【0040】
粘稠剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体等の高分子ポリカルボン酸のアルカリ中和塩等が挙げられる。
【0041】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物は、公知の製造方法により得ることができる。例えば、(E)成分の水に、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分(必要に応じて(F)成分、(G)成分、(H)成分又は上記他の成分)を混合し、撹拌して得ることができる。
なお、(B)成分及び使用する場合は(F)成分に関し、(E)成分の水に添加する前に、予めアルカリ金属水酸化物で中和した後に混合してもよい。
【0043】
上述する本発明の洗浄剤組成物は、起泡性洗浄剤(発泡洗浄剤)として、原液又は希釈液として用いることができる。
希釈率は、特に限定されず、たとえば1倍を超えて100倍以下の範囲で水等によって希釈して使用することができる。本発明の洗浄剤組成物は、原液の貯蔵安定性がよく、また上記範囲で希釈された希釈液の安定性もよい。そのため本発明の洗浄剤組成物は、取り扱い性が良く、また使用態様も広範囲にわたる。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物のpHは特に限定されないが、9以上、14以下が好ましく、11以上、13以下がより好ましい。
本発明の洗浄剤組成物の希釈液におけるpHも特に限定されないが、9以上、14以下が好ましく、10以上、13以下がより好ましい。
【0045】
(洗浄方法)
次に、本発明の洗浄方法について説明する。
本発明の洗浄方法は、上述する本発明の液体洗浄剤組成物を用いて、被洗浄物に泡状に噴射し、当該被洗浄物を洗浄することを特徴とする。本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物の優れた効果を享受する。したがって本発明の洗浄方法は、被洗浄物の衛生を良好に保つことができる上、掃除の利便性や節水の点からも優れる。
【0046】
本発明の洗浄方法は、上述洗浄剤組成物を、1倍を超えて100倍以下の希釈倍率で予め希釈し、及び/又は、希釈しながら被洗浄物に泡状に噴射し洗浄することができる。
上記洗浄剤組成物は、原液の貯蔵安定性が良好であるとともに、希釈液の安定性にも優れるため、使用前に予め希釈するか、使用時に希釈するかを問わず、良好な洗浄性を発揮することができる。
【0047】
上記希釈は、通常は、水で行う。たとえば希釈に使用される水としては、一般的には水道水のような硬度成分を含有する水であることが想定され、希釈液の安定性の点から、1~20°DHが好ましく、1~10°DHが更に好ましい。
より良好な起泡性を得るという観点からは、希釈率の下限は、2倍以上であることがより好ましい。また希釈倍率の上限が、100倍を超えると、希釈洗浄液を泡状に噴射して洗浄する際に良好な洗浄性や起泡性が得られない場合がある。更に、希釈洗浄液中の(C)成分の濃度が0.003質量%以上、1質量%以下となるように調製することで、良好な洗浄性、起泡性、すすぎ時の泡切れ性が得られる。洗浄性及び起泡性の観点からは希釈洗浄液中の(C)成分の濃度は0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、すすぎ時の泡切れ性の観点からは希釈洗浄液中の(C)成分の濃度は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
【0048】
本発明の洗浄方法において、起泡させる手段は特に限定されない。例えば、洗浄剤組成物を任意の倍率にて希釈した希釈洗浄液を泡洗浄機に投入し、水圧や空圧によって起泡させてもよいし、洗浄剤組成物を泡洗浄機に投入し、泡洗浄機をホース等により水道等の水供給手段と連結し、水を供給して希釈しながら混合して起泡させてもよい。具体的な泡洗浄機としてはエア駆動式ダイアフラムポンプにて送液し、圧縮空気と発泡洗浄剤組成物の希釈液を混合して発泡並びに噴霧する装置が挙げられ、例えば、DEMA社製910N PORTABLE FOAMERが使用できる。供給エア圧としては30~80PSI
が好ましく、40~60PSIがより好ましい。
【0049】
起泡した洗浄剤組成物は、被洗浄物に対し噴射される。
本発明の洗浄方法において、起泡した泡は被洗浄面における滞留性が良好である。より充分な洗浄性、除菌性を発揮させるために、被洗浄物に噴射された泡をすぐに洗い流さずに、一定時間、被洗浄面に滞留させた状態を維持するとよい。泡を滞留させる時間(噴射後、洗い流すまでの時間)は、作業性の点から1分以上60分以下であることが好ましく、1分以上30分以下であることがより好ましい。尚、泡を被洗浄面に滞留させている間、適宜、当該被洗浄面に対しわずかの水等を加えてもよい。
泡を被洗浄面に一定時間滞留させた後、被洗浄面を水ですすぎ、泡(洗浄剤)を除去する。すすぎ水の温度は、好ましくは10℃以上70℃以下であり、より好ましくは20℃以上60℃以下である。すすぎ水としては水道水を用いることができ、上記好ましい水温に調整すべく加熱して用いてもよい。一般的には、ホース等で人の手によるすすぎ作業が行なわれる。
【0050】
本発明の洗浄方法の被洗浄物は、主に、硬質表面、具体的に、食肉加工品、海産食品加工品、パン、菓子、惣菜、ビール、ジュース、乳飲料等の飲料、乳製品、冷凍食品、レトルト食品、調味料、マヨネーズ等を製造する飲食料品製造工場の製造設備の表面、工場内の壁面、床面、飲食店の厨房における設備及び機器等の硬質表面である。
【実施例0051】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例において配合に用いた各成分を下記に示す。尚、以下の実施例等において「%」は特に記載がない限り質量%を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量%を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。
尚、表中に示す、(G)成分以外の各成分に関しては、何れも仕込み時の添加量を示し、(G)成分は有効塩素濃度として換算した値を示す。
また、(B)成分、(B’-1)成分及び(F)成分に関しては、アルカリ金属塩をなす前の化合物の量に換算した値を示す。
【0052】
(A)成分
A-1:水酸化カリウム
A-2:水酸化ナトリウム
【0053】
(B)成分
B-1:カプリン酸カリウム(花王株式会社製 ルナック10-98を中和したもの)
B-2:ラウリン酸カリウム(花王株式会社製 ルナックL-98を中和したもの)
B-3:ラウリン酸ナトリウム(花王株式会社製 ルナックL-98を中和したもの)
B-4:ミリスチン酸カリウム(花王株式会社製 ルナックMY-98を中和したもの)
B-5:ミリスチン酸ナトリウム(花王株式会社製 ルナックMY-98を中和したもの
【0054】
(B)成分の比較成分
B’-1:パルミチン酸カリウム(花王株式会社製 ルナックP-95を中和したもの)
【0055】
(C)成分
C-1:デシルジメチルアミンオキサイド
C-2:ドデシルジメチルアミンオキサイド
C-3:オクチルジメチルアミンオキサイド
C-4:テトラデシルジメチルアミンオキサイド
【0056】
(D)成分
D-1:酢酸カルシウム・一水和物
D-2:塩化カルシウム・二水和物
【0057】
(E)成分
E-1:イオン交換水
【0058】
(F)成分
F-1:2-ホスホノブタン1,2,4-トリカルボン酸カリウム(BWA社製 Belclene 650を中和したもの)
F-2:2-ホスホノブタン1,2,4-トリカルボン酸ナトリウム(BWA社製 Belclene 650を中和したもの)
F-3:ホスフィノカルボン酸共重合体カリウム(BWA社製 Belclene 400を中和したもの)
F-4:ホスフィノカルボン酸共重合体ナトリウム(BWA社製 Belclene 400を中和したもの)
F-5:トリポリリン酸カリウム
【0059】
(G)成分
G-1:次亜塩素酸ナトリウム
G-2:次亜塩素酸カリウム
【0060】
(H)その他成分
H-1:プロピレングリコール
H-2:ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量が4,000、商品名:Sokalan PA25CL、BASF社製)
H-3:アクリル酸-マレイン酸共重合体ナトリウム(重量平均分子量が1,900、商品名:ACUSOL 425N、ダウ・ケミカル社製)
H-4:オルソ珪酸カリウム
【0061】
各実施例の組成物は、(E)成分の水を組成物の合計が100質量%となるように混合槽に加え、次いで(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分(必要に応じて(F)成分、(G)成分、(H)成分、)を混合槽中に配合し、十分に混合撹拌して調製した。
【0062】
実施例1~60、比較例1~9
表1~表7に示す液体洗浄剤組成物を調製した。各液体洗浄剤組成物を用いて、洗浄性、すすぎ時の泡切れ性、起泡性、希釈した洗浄液の安定性、金属腐食防止性、貯蔵安定性を測定し、更に必要に応じて除菌性を測定した。表1~6に実施例1~60の結果を、表7に比較例1~9の結果をそれぞれ示す。
【0063】
※1:洗浄性試験(非加熱油汚れ)
試験方法:
縦70mm×横60mm×厚さ1mmのステンレス(SUS304)片の片面に油(牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン酸グリセリド0.25g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mlに溶解したもの)を塗布し、25℃で2時間乾燥させたものを試験片とし質量を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各液体洗浄剤組成物を3質量%に希釈して調整した常温の希釈洗浄液200mlに浸漬し、5分間放置した後、イオン交換水ですすぎ、自然乾燥させた後、質量を測定した。非加熱油汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の質量変化から下記式により算出し、以下の基準で評価した。
【0064】
尚、下記に示す汚れ付着量とは、上述のとおり油が塗布された試験片の質量から試験片のみの質量を減じた値である。
洗浄率(%)={(洗浄前試験片質量-洗浄後試験片質量)/(汚れ付着量)}×100
評価基準:
◎:洗浄率100%~80%以上
○:洗浄率80%未満~60%以上
△:洗浄率60%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0065】
※2:洗浄性試験(加熱油汚れ)
試験方法:
縦70mm×横60mm×厚さ1mmのステンレス(SUS304)片の片面に油(牛脂10g、大豆油10g、モノオレイン酸グリセリド0.25g、スダンIII0.1gをクロロホルム60mlに溶解したもの)を塗布し、180℃で90分焼き付けたものを試験片とし質量を測定した。この試験板を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各液体洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調整した常温の希釈洗浄液200mlに浸漬し、5分放置した後、イオン交換水ですすぎ、自然乾燥させた後、質量を測定した。加熱油汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の質量変化から下記式により算出し、以下の基準で評価した。
【0066】
尚、下記に示す汚れ付着量とは、上述のとおり油が塗布された試験片の質量から試験片のみの質量を減じた値である。
洗浄率(%)={(洗浄前試験片質量-洗浄後試験片質量)/(汚れ付着量)}×100
評価基準:
◎:洗浄率100%~80%以上
○:洗浄率80%未満~60%以上
△:洗浄率60%未満~40%以上
×:洗浄率40%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0067】
※3:すすぎ時の泡切れ性試験
試験方法:
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各液体洗浄剤組成物を20℃で5質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910N PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させ、ステンレス製ボックス[ステンレス(SUS304)]の下部(縦500mm、横幅700mm)に20秒間噴霧し、一分経過後に炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水ですすぎ(シャワーノズル)を行い、ステンレス製ボックス下部中央の排水口(直径50mm、内部に40メッシュのポリエチレン網あり)周辺から泡が消えるまでのすすぎ時間について以下の基準で判定した。
評価基準:
◎:60秒未満
○:60秒以上、90秒未満
△:90秒以上、120秒未満
×:120秒以上
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0068】
※4:起泡性試験
<試験方法>
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各液体洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910N PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス板[ステンレス(SUS304)]垂直面の縦1m、横1mの範囲に10秒間噴射し、目視により泡の状態を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:水っぽくきめ細かい泡
○:水っぽくないきめ細かい泡
△:水っぽくきめの粗い泡
×:水っぽくないきめの粗い泡もしくは泡にならない
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0069】
※5:泡の滞留性試験
炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で、各発泡洗浄剤組成物を20℃で3質量%に希釈して調製した洗浄液を、DEMA社製910N PORTABLE FOAMERを用いて、比重0.15g/立方センチメートルの泡状に発泡させ、ステンレス板[ステンレス(SUS304)]垂直面の縦1m、横1mの範囲に対して、2cm以下の泡の厚みとなるように吹付け、1分経過後の様子を写真撮影し、ステンレス板垂直面を縦横それぞれ10分割して碁盤目状にスケッチし、泡の付着している碁盤目を数え、泡が付着している碁盤目の割合を泡の保持率とし、以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:泡の保持が70%以上
○:泡の保持が60%以上、70%未満
△:泡の保持が50%以上、60%未満
×:泡の保持が50%未満
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0070】
※6:希釈した洗浄液の安定性試験
試験方法:
各液体洗浄剤組成物を炭酸カルシウム換算で75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で3質量%に希釈して調製した洗浄液を作製し、作製から15分以内に希釈した洗浄液に濁りが生じるか目視観察し、以下の基準で判定した。
評価基準:
◎:濁りを生じない
○:わずかに濁りを生じる
△:やや濁りを生じるが、使用上問題ないレベル
×:濁りを生じる
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0071】
※7:金属腐食防止性試験(ステンレス、アルミニウム)
試験片として、縦70mm×横60mm×厚さ1mmのステンレス(SUS304)片又は縦50mm×横30mm×厚さ2mmのアルミニウム(A5052P)片を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを使用した。炭酸カルシウム換算で、75mg/L[ドイツ硬度4.2°DH]の硬水で各液体洗浄剤組成物を5質量%に希釈して調整した希釈洗浄液60mlを70ml容量の蓋付ガラス瓶に入れ、その中に試験片を浸漬し、蓋ガラス瓶ごと25℃の恒温器内で6時間保存した。その後、恒温器から取り出した蓋付ガラス瓶から試験片を取り出し、イオン交換水にてすすぎ、自然乾燥させて、試験片表面の状態を目視により外観観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
○:腐食がない
△:やや腐食がみられるが、使用上問題ないレベル
×:腐食した
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0072】
※8:貯蔵安定性試験
試験方法:
各液体洗浄剤組成物100gをポリプロピレン製容器に入れ、-5℃、25℃、40℃で1ヶ月静置した後に外観を観察し、以下の基準で評価した。
評価基準:
○:分離や濁りが見られず安定である
△:全体的な分離はないが、若干の濁りが見られる
×:分離もしくは濁りが見られる
とし、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0073】
※9:除菌性試験
試験方法:
各液体洗浄剤組成物をイオン交換水で1質量%、3質量%、5質量%に希釈して調整した希釈洗浄液10mLに、下記供試菌株をそれぞれSCDブイヨン培地で培養した菌液0.1mlを添加し、25℃にて1分間接触させたものを試験液とした。この試験液0.01mlを、チオ硫酸ナトリウム0.1質量%含有したSCDLPブイヨン培地1mlを入れた24穴マイクロプレートの1Wellに入れ、37℃で24時間培養した。培養終了後、目視観察にてマイクロプレートの濁りを評価し、以下の基準で判定した。
供試菌株:
財団法人発酵研究所のEscherichia coli NBRC3972(10の9乗CFU/mLレベル)、及びStaphylococcus aureus NBRC12732(10の9乗CFU/mLレベル)を用いた。
評価基準:
◎:1質量%、3質量%、5質量%希釈洗浄液の何れも濁りが生じていない
○:3質量%、5質量%希釈洗浄液のみ濁りが生じていない
△:5質量%の希釈洗浄液のみ濁りが生じていない
×:何れの希釈洗浄液も濁りが生じている
とし、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】