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特開2022-147238樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド、及び、成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147238
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド、及び、成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/06 20060101AFI20220929BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20220929BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220929BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220929BHJP
   C08K 7/20 20060101ALI20220929BHJP
   C08L 101/04 20060101ALI20220929BHJP
   C08F 283/01 20060101ALI20220929BHJP
   B29B 11/16 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C08L67/06
C08K3/016
C08K3/013
C08K5/00
C08K7/20
C08L101/04
C08F283/01
B29B11/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048407
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124143
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 嘉久
(72)【発明者】
【氏名】船ヶ山 勝也
(72)【発明者】
【氏名】山本 修平
(72)【発明者】
【氏名】塩根 英樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 欧
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
4J127
【Fターム(参考)】
4F072AA07
4F072AA08
4F072AB09
4F072AD05
4F072AD38
4F072AE02
4F072AE05
4F072AE07
4F072AF02
4F072AF14
4F072AG03
4F072AH21
4F072AJ22
4J002BG082
4J002CD122
4J002CF211
4J002CG032
4J002DA057
4J002DE127
4J002DL006
4J002EB097
4J002EB137
4J002ED077
4J002EJ057
4J002EU027
4J002FA106
4J002FD016
4J002FD132
4J002FD137
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J127AA03
4J127BB041
4J127BB071
4J127BB251
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD131
4J127BE381
4J127BE38X
4J127BF131
4J127BF13X
4J127BG181
4J127BG18X
4J127BG18Y
4J127BG18Z
4J127CB061
4J127CC031
4J127DA06
4J127DA12
4J127DA15
4J127DA16
4J127DA19
4J127DA65
4J127FA01
4J127FA37
4J127FA48
(57)【要約】
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、製造適性に優れた粘度、難燃性、及び、軽量化に優れる成形品が得られる樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、不飽和ポリエステル樹脂(a1)及びスチレン(a2)を含む樹脂成分(A)を含む樹脂組成物であって、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、湿潤分散剤(B)を1~6質量部、ガラスバルーン(C)を15~40質量部、難燃剤(D)を10~30質量部の範囲で含有することを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、前記樹脂組成物、及び、強化繊維(F)を含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド、並びに、前記シートモールディングコンパウンドにより成形された成形品を提供するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ポリエステル樹脂(a1)及びスチレン(a2)を含む樹脂成分(A)を含む樹脂組成物であって、
前記樹脂成分(A)100質量部に対し、
湿潤分散剤(B)を1~6質量部、
ガラスバルーン(C)を15~40質量部、
難燃剤(D)を10~30質量部の範囲で含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記難燃剤(D)が、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、及び、赤リン系難燃剤からなる群より選ばれる1種以上である請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
更に、無機充填剤(E)を、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、20~80質量部の範囲で含有する請求項1又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の樹脂組成物、及び、強化繊維(F)を含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド。
【請求項5】
請求項4記載のシートモールディングコンパウンドにより成形された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、シートモールディングコンパウンド、及び、成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートモールディングコンパウンド(以下、「SMC」と略記する場合がある。)は主に不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂からなる熱硬化性樹脂、無機充填剤、増粘剤、硬化剤等を混錬したペースト(コンパウンド)に繊維を含浸させ、熟成過程を経てBステージ化したシート状の成形材料である。このSMCを加熱・加圧成形することで、成形品が得られる。このような成形品には、優れた耐久性や耐水性、機械的強度等の特性があり、浴槽等の住設部材や貯水槽、浄化槽、管ライニング材、電気部品、車両用材料、航空機材料等として幅広く用いられている。特に、車輛用材料や航空機材料等においては、軽量化が求められており、更に、外装以外の部品については高い難燃性が求められる。
【0003】
成型品を軽量化する方法としては、例えば中空ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーンに代表される中空充填剤を添加する方法が古くから知られている。また、成型品を難燃化する手法については、水酸化アルミニウムや、リン系・臭素系の難燃剤を添加する方法が知られている。
【0004】
成型品の軽量化としては、例えば、比重1.20のバルクモールディングコンパウンド(BMC)が報告されている(例えば、特許文献1を参照。)が、シートモールディングコンパウンドでは、難燃かつ比重1.2台の例は報告がない。この理由としては、SMCはコンパウンドを長繊維のガラス繊維に含浸させる工程があるために、コンパウンド粘度をBMCより低く設定する必要があるためである。このように、SMCの分野で、軽量化および難燃化の手法はいずれもコンパウンド粘度が高くなる課題があり、実用上使用可能レベルの軽量化、難燃化の両立は困難とされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-206690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、製造適性に優れた粘度、難燃性、及び、軽量化に優れる成形品が得られる樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂(a1)及びスチレン(a2)を含む樹脂成分(A)を含む樹脂組成物であって、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、湿潤分散剤(B)を1~6質量部、ガラスバルーン(C)を15~40質量部、難燃剤(D)を10~30質量部の範囲で含有することを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記樹脂組成物、及び、強化繊維(F)を含有することを特徴とするシートモールディングコンパウンド、並びに、前記シートモールディングコンパウンドにより成形された成形品を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の樹脂組成物は、製造適性に優れた粘度、難燃性、及び、軽量化に優れる成形品を得ることが出来る。よって、本発明の樹脂組成物は、車輛用材料や航空機材料等の軽量化および難燃化が求められる用途において、特に好適に用いることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂(a1)及びスチレン(a2)を含む樹脂成分(A)を含む樹脂組成物であり、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、湿潤分散剤(B)を1~6質量部、ガラスバルーン(C)を15~40質量部、難燃剤(D)を10~30質量部の範囲で含有するものである。
【0011】
前記樹脂成分(A)は、不飽和ポリエステル樹脂(a1)及びスチレン(a2)を必須成分として含有するものであるが、前記不飽和ポリエステル樹脂(a1)以外のその他の熱硬化性樹脂(a3)、前記スチレン(a2)以外のその他の重合性不飽和単量体(a4)、及び低収縮化剤(a5)等を含有することができる。
【0012】
前記樹脂成分(A)中の前記不飽和ポリエステル樹脂(a1)は、高粘度であることから、他の成分と混合する前にスチレン(a2)で希釈しておくことが好ましく、不揮発分30~80質量%のスチレン溶液として使用することが好ましい。なお、不飽和ポリエステル樹脂(a1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
【0013】
前記湿潤分散剤(B)としては、酸基を有する高分子湿潤分散剤が好ましく、その具体例としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製の高分子湿潤分散剤;BYK-W940、BYK-W972、BYK-W974、BYK-W996、BYK-W9010、BYK-W9011、Disper-BYK110、Disper-BYK111、Disper-BYK180等が挙げられる。これらの湿潤分散剤(B)は、単独で用いることも、2種類以上を併用することもできる。
【0014】
前記ガラスバルーン(C)としては、例えば、化学的に安定な不溶性ガラスでつくられたガラス微小中空球粉体で、粒子径が16~65μm程度(メジアン径)、真密度が0.13~0.60g/cm程度の真球状のものが挙げられる。ここでは、ガラスバルーンとしてスリーエムジャパン株式会社製のガラスバルーン;グラスバブルズS32HS、グラスバブルズiM16K、グラスバブルズK46等を市販品として入手することが出来る。
【0015】
前記難燃剤(D)としては、例えば、臭素系難燃剤;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の無機塩;赤リン系難燃剤;メラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミン等の窒素系難燃剤;フェノール系等のフェノール系難燃剤などを用いることができる。これらの難燃剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、難燃性、製造適性、及び軽量性を高いレベルで維持できる点から、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、及び、赤リン系難燃剤からなる群より選ばれる1種以上が好ましい。
【0016】
前記臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3-ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2-ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノールとの付加物などの臭素化ビスフェノール類及びその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノールとの付加物のエポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド臭素系難燃剤などを用いることができる。これらの難燃剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記赤リン系難燃剤としては、例えば、赤リン、赤リンの粒子表面がフェノール樹脂などの樹脂で被覆されたものなどを用いることができる。これらの中でも、安全性及び樹脂成分と混合した際の分散性がより向上することから、粒子表面が樹脂で被覆されたものが好ましい。
【0018】
本発明の樹脂組成物は、前記樹脂(A)、湿潤分散剤(B)、ガラスバルーン(C)、及び、難燃剤(D)を必須成分として含有するが、それぞれの使用量が極めて重要である。具体的には、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、前記湿潤分散剤(B)を1~6質量部、前記ガラスバルーン(C)を15~40質量部、前記難燃剤(D)を10~30質量部の範囲で含有することが、優れた製造適性、難燃性、及び軽量性を得る上で必須であり、より好ましくは、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、前記湿潤分散剤(B)を2~6質量部、前記ガラスバルーン(C)を15~34質量部、前記難燃剤(D)を10~20質量部の範囲である。係る範囲であれば、コンパウンドの粘度の上昇を抑制しながら、優れた難燃性および軽量性を得ることが出来る。
【0019】
本発明の樹脂組成物は、前記(A)~(D)以外にも、必要に応じてその他の添加剤を含有することができる。
【0020】
前記その他の添加剤としては、例えば、無機充填剤(E)、強化繊維(F)、重合開始剤、増粘剤、重合禁止剤、硬化促進剤、低収縮剤、離型剤、減粘剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、紫外線安定剤、補強材、光硬化剤等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の樹脂組成物がシートモールディングコンパウンドとして用いられる場合には、無機充填剤(E)及び強化繊維(F)を含有することが好ましい。
【0021】
前記無機充填剤(E)としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、クレー、タルク、カオリン、シリカ等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記無機充填剤(E)の使用量としては、前記樹脂成分(A)100質量部に対し、20~80質量部の範囲が好ましい。
【0023】
前記強化繊維(F)としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、テトロン繊維等の有機繊維などが挙げられるが、より高強度、高弾性の成形品が得られることから、ガラス繊維又は炭素繊維が好ましい。これらの強化繊維(F)は単独で用いることも、2種以上併用することもできる。
【0024】
前記強化繊維(F)の長さとしては、繊維自体のカット性や樹脂成分(A)との含浸性の観点から、3~60mm長さの範囲が好ましい。また、異なる長さの強化繊維を混合させても良い。
【0025】
本発明の成形材料中の前記強化繊維(F)の含有率は、得られる成形品の機械強度がより向上することから、10~50質量%の範囲が好ましく、15~35質量%の範囲がより好ましい。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、シートモールディングコンパウンド(SMC)として有用である。前記SMCの製造方法としては、例えば、通常のミキサー、インターミキサー、プラネタリーミキサー、ロール、ニーダー、押し出し機などの混合機を用いて、前記成分(A)~(E)等の各成分を混合・分散し、得られた樹脂組成物を上下に設置されたキャリアフィルムに均一な厚さになるように塗布し、強化繊維(F)を前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂組成物で挟み込み、次いで、全体を含浸ロールの間に通して、圧力を加えて強化繊維(F)に樹脂組成物を含浸させた後、ロール状に巻き取る又はつづら折りに畳む方法等が挙げられる。さらに、この後に25~55℃の温度で熟成を行うことが好ましい。キャリアフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンのラミネートフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等を用いることができる。
【0027】
本発明の成形品は、前記SMCより得られるが、生産性に優れる点とデザイン多様性に優れる観点からその成形方法としては、SMCの加熱圧縮成形が好ましい。
【0028】
前記加熱圧縮成形としては、例えば、SMC等の成形材料を所定量計量し、予め80~180℃に加熱した金型に投入し、圧縮成形機にて型締めを行い、成形材料を賦型させ、0.1~30MPaの成形圧力を保持することによって、成形材料を硬化させ、その後成形品を取り出し成形品を得る製造方法が用いられる。具体的な成形条件としては、金型内で金型温度100~160℃にて、成形品の厚さ1mm当たり1~2分間、1~10MPaの成形圧力を保持する成形条件が好ましく、生産性がより向上することから、金型温度120~160℃にて、成形品の厚さ1mm当たり30~150秒間、1~10MPaの成形圧力を保持する成形条件がより好ましい。
【0029】
以上、本発明の樹脂組成物は、製造適性に優れた粘度、難燃性、及び、軽量化に優れる成形品を得ることが出来る。よって、本発明の樹脂組成物は、車輛用材料や航空機材料等の軽量化および難燃化が求められる用途において、特に好適に用いることが出来る。
【実施例0030】
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
【0031】
[実施例1]樹脂組成物(1)の調製
不飽和ポリエステル樹脂溶液(DICマテリアル株式会社製「サンドーマPS-281」;不飽和ポリエステル樹脂60質量%とスチレン40質量%との混合物)80質量部、ポリスチレン樹脂溶液(DIC株式会社製「サンド―マ PS-954」;ポリスチレン30質量%とスチレン70質量%との混合物)15質量部、スチレン5質量部、重合禁止剤(精工化学株式会社製「パラベンゾキノン」)0.1質量部、湿潤分散剤(ビックケミー株式会社製「BYK-W9010」)5質量部、ステアリン酸亜鉛4質量部、水酸化アルミニウム70質量部、ガラスバルーン(スリーエムジャパン株式会社製「グラスバブルズS32HS」)18質量部、デカブロモジフェニルエタン9質量部、三酸化アンチモン3質量部、酸化マグネシウム1質量部、重合開始剤(化薬ヌーリオン株式会社製「トリゴノックス22-70E」)1.5質量部をディゾルバーにより混合し、樹脂組成物(1)を得た。
【0032】
[SMCの製造]
上記で得た樹脂組成物(1)を、上下に設置された2枚のポリプロピレン製キャリアフィルム上に均一に塗布し、25.4mmにカットしたガラス繊維(日東紡績株式会社製「PB-549」)70.5質量部を前記上下に設置されたキャリアフィルム上の樹脂組成物の間に挟み込み、全体を含浸ロールの間に通して圧力を加えて樹脂組成物をガラス繊維に含浸させた後、45℃で24時間養生し、ガラス繊維含有率が25質量%のSMC(1)を得た。
【0033】
[実施例2]樹脂組成物(2)の調製、SMC(2)の製造
実施例1において、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から45質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から20質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から12質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から4質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(2)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から64.2質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(2)を得た。
【0034】
[実施例3]樹脂組成物(3)の調製、SMC(3)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から6質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から24質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から12質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から4質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(3)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から60.9質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(3)を得た。
【0035】
[実施例4]樹脂組成物(4)の調製、SMC(4)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から6質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から24質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から16質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から0質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(4)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から60.9質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(4)を得た。
【0036】
[実施例5]樹脂組成物(5)の調製、SMC(5)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から6質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から24質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から0質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から0質量部に代え、新たに赤リン(燐化学工業株式会社製「ノーバレッド120」)16質量部を加えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(5)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から60.9質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(5)を得た。
【0037】
[実施例6]樹脂組成物(6)の調製、SMC(6)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から6質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から30質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から12質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から4質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(6)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から62.9質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(6)を得た。
【0038】
[比較例1]樹脂組成物(R1)の調製、SMC(R1)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から10質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から35質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から12質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から4質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(R1)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から65.9質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(R1)を得た。
【0039】
[比較例2]樹脂組成物(R2)の調製、SMC(R2)の製造
実施例1において、湿潤分散剤の使用量を5質量部から6質量部に代え、水酸化アルミニウムの使用量を70質量部から30質量部に変え、ガラスバルーンの使用量を18質量部から24質量部に代え、デカブロモジフェニルエタンの使用量を9質量部から6質量部に代え、三酸化アンチモンの使用量を3質量部から2質量部に代えた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物(R2)を得、ガラス繊維の使用量を70.5質量部から58.2質量部に代えた以外は実施例1と同様にしてSMC(R2)を得た。
【0040】
[軽量性の評価方法]
実施例及び比較例で得られたSMCを剥離し、265mm×265mmにカットしたものを3枚重ね、30×30cmの平板金型の中央部にセットし、プレス金型温度150℃、プレス時間5分間、プレス圧力12MPaで成形し、厚さ3mmの平板状の成形品を得た。この成形品を40mm×40mmにカットし、電子比重計にて成形品比重を測定し、以下のように評価した。
「〇」;成形品比重が1.3以下である。
「×」;成形品比重が1.3を超える。
【0041】
[製造適性の評価方法]
実施例及び比較例において、ガラス繊維を混合した樹脂組成物を30℃に調製し、1mlをサンプリングし、コーンプレート粘度計(40Pコーン、ローター回転数;50rpm)にて粘度を測定し、以下の様に評価した。
「〇」;粘度が26Pa・s以下である。
「×」;粘度が26Pa・sを超える。
【0042】
[難燃性の評価方法]
実施例及び比較例で得られたSMCを剥離し、265mm×265mmにカットしたものを3枚重ね、30×30cmの平板金型の中央部にセットし、プレス金型温度150℃、プレス時間5分間、プレス圧力12MPaで成形し、厚さ3mmの平板状の成形品を得た。これを燃焼試験;UL-94V試験を実施し、以下のように評価した。
「〇」;V-0
「×」;V-1以下
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
実施例1~6の通り、本発明の樹脂組成物は、製造適性に優れた粘度、難燃性、及び、軽量化に優れることが分かった。
【0046】
一方、比較例1は湿潤分散剤(B)の使用量が、本発明で規定する範囲を超える態様であるが、難燃性及び製造適性が不良であった。
【0047】
比較例2は、難燃剤(D)の使用量が、本発明で規定する範囲を下回る態様であるが、難燃性が不良であった。