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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147551
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20220929BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20220929BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B24B7/04 A
H01L21/304 631
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021048841
(22)【出願日】2021-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】村里 正
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB73
3C034BB75
3C034DD10
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA16
3C043CC04
3C043DD02
3C043DD04
3C043DD05
5F057AA02
5F057BA11
5F057DA11
5F057FA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークを所望の厚みに平面加工する加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置1は、非円形状のワークWを砥石21で平面加工する加工装置1であって、ワークWを吸着保持可能な吸着体33と、吸着体33の外周側に設けられ、吸着体33より難削材で構成され、吸着体33を研削するセルフグラインドの際に砥石21に接触可能なアタッチメント37と、を備えている。前記アタッチメント37は、前記吸着体33を収容するチャックテーブル31に着脱自在に設けられていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを砥石で平面加工する加工装置であって、
前記ワークを吸着保持可能な吸着体と、
前記吸着体の外周側に設けられ、前記吸着体より難削材で構成され、前記吸着体を研削するセルフグラインドの際に前記砥石に接触可能なアタッチメントと、
を備えていることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記アタッチメントは、前記吸着体を収容するチャックテーブルに着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記ワークは、非円形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを平面加工する加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェハ等の半導体ワーク(以下、「ワーク」という)を薄く平坦に平面加工する加工装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、チャックテーブルに保持された矩形ワークの上面に回転する砥石を接触させ、矩形ワークを所定厚みに研削する研削装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5230982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ワークを平面加工する場合、ワークの固定面精度や砥石等の加工工具の取付精度の影響により、加工後のワークに厚みバラつきが生じる虞がある。このような厚みバラつきを解消するために、従来では、ワークの固定面や加工工具を組み付けし直したり調整する必要があった。
【0006】
さらに、円形を除く形状のワークやオリフラが設けられたワーク(以下、総称して「非円形状のワーク」という)をインフィード加工する場合、チャックテーブルの所定回転毎における砥石とワークとの接触面積は一定ではなく、接触面積が比較的広い領域では、ワークの研削量は少なくなり、接触面積が比較的狭い領域では、ワークの研削量は大きくなりがちである。すなわち、加工中における砥石とワークとの接触面積の大小に応じて、ワークの厚みがばらつき、ワークを所望の厚みに仕上げられないという問題があった。
【0007】
そこで、ワークを所望の厚みに平面加工するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る加工装置は、ワークを砥石で平面加工する加工装置であって、前記ワークを吸着保持可能な吸着体と、前記吸着体の外周側に設けられ、前記吸着体より難削材で構成され、前記吸着体を研削するセルフグラインドの際に前記砥石に接触可能なアタッチメントと、を備えている。
【0009】
この構成によれば、平面加工後のワークの厚みバラつきを相殺するように、砥石が吸着体及びアタッチメントに接触する領域におけるセルフグラインド後の吸着体の厚みが、砥石が吸着体に接触する領域におけるセルフグラインド後の吸着体の厚みより厚くなるため、平面加工後のワークの厚みバラつきを軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ワークの固定面精度、加工工具の取り付け精度又はワークの形状に起因する平面加工後のワークの厚みバラつきを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る加工装置を示す模式図。
図2】チャックテーブルを示す斜視図。
図3図2のチャックテーブルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のA-A断面図。
図4】セルフグラインドの様子を示す模式図。
図5】ワーク内の2箇所におけるワークと砥石との接触面積を比較した平面図。
図6図5に示す2箇所における平面加工後のワークの厚みを示す模式図。
図7】吸着体に対するアタッチメントの位置関係を示す平面図。
図8】(a)は、吸着体内の2箇所におけるセルフグラインド後の厚みを示す模式図であり、(b)は、ワーク内の2箇所における平面加工後の厚みを示す模式図。
図9】本発明の変形例に係る加工装置に適用されるチャックテーブルを示す斜視図。
図10図9のチャックテーブルを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)中のB-B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0013】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0014】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0015】
また、本実施形態において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、各構成要素が図面に描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0016】
加工装置1は、ワークWに対して研削加工を行うものである。図1に示すように、加工装置1は、加工部2と、保持部3と、を備えている。
【0017】
加工部2は、砥石21と、砥石スピンドル22と、インフィード機構23と、を備えている。
【0018】
砥石21は、例えばカップ型砥石であり、砥石スピンドル22の下端に取り付けられている。
【0019】
砥石スピンドル22は、回転軸2a回りに回転可能であり、砥石21及び砥石スピンドル22が、一体となって回転可能に構成されている。
【0020】
インフィード機構23は、砥石スピンドル22を垂直方向に昇降させる。インフィード機構23は、公知の構成であり、例えば、砥石スピンドル22の移動方向を案内する複数のリニアガイドと、砥石スピンドル22を昇降させるボールネジスライダ機構と、で構成されている。インフィード機構23は、砥石スピンドル22とコラム24との間に介装されている。
【0021】
保持部3は、チャックテーブル31と、チャックスピンドル32と、を備えている。
【0022】
チャックテーブル31は、上面にアルミナ等の多孔質材料からなる吸着体33と、吸着体33を略中央に埋設する緻密体34と、を備えている。
【0023】
チャックテーブル31は、内部を通って表面に延びる図示しない管路を備えている。管路は、図示しないロータリージョイントを介して真空源、圧縮空気源又は給水源に接続されている。真空源が起動すると、吸着体33に載置されたワークWと吸着体33の上面(吸着面33a)との間に負圧が生じて、ワークWが吸着面33aに吸着保持される。また、圧縮空気源又は給水源が起動すると、ワークWと吸着体33との吸着が解除される。
【0024】
吸着体33は、平面から視て矩形状のワークWに応じた形状に形成されている。
【0025】
チャックスピンドル32は、回転軸3a回りにチャックテーブル31を回転駆動するように構成されている。チャックスピンドル32の駆動源は、例えばサーボモータ等が考えられる。
【0026】
図2に示すように、チャックテーブル31には、吸着体33を囲繞するように環状凹部35が形成されている。環状凹部35の底部には、複数のボルト孔36が形成されている。なお、環状凹部35は、吸着体33の全周に形成される必要はなく、後述するアタッチメント37が取り付けられ得る範囲に局所的に形成されていても構わない。
【0027】
環状凹部35には、アタッチメント37が取り付けられる。具体的には、図3(a)に示すように、アタッチメント37は、平面から視てチャックテーブル31の径方向に沿って吸着体33の四隅とチャックテーブル31の外縁との間を塞ぐように設けられる。アタッチメント37は、吸着体33より高硬度の難削材であれば良く、例えば緻密体34と同様の材料から成る。また、図3(b)に示すように、アタッチメント37がチャックテーブル31に取り付けられた状態において、吸着面33aとアタッチメント37の上面(接触面37a)とは略面一である。
【0028】
アタッチメント37には、上下を貫通して形成されたボルト孔38が形成されている。アタッチメント37は、ボルト39を介してチャックテーブル31に着脱自在に締結されている。なお、接触面37aの角は、砥石21によるチッピングを抑制するために面取りされているのが好ましい。
【0029】
加工装置1の動作は、図示しない制御部によって制御される。制御部は、加工装置1を構成する構成要素をそれぞれ制御するものである。制御部は、例えば、CPU、メモリ等により構成される。なお、制御部の機能は、ソフトウェアを用いて制御することにより実現されても良く、ハードウェアを用いて動作することにより実現されても良い。
【0030】
次に、加工装置1のセルフグラインドについて、図面に基づいて説明する。
【0031】
セルフグラインドとは、図4に示すように、インフィード機構23で砥石21をチャックテーブル31に接近させて、砥石21で吸着体33の吸着面33aを研削する工程をいう。セルフグラインドは、吸着面33aを所望の形状に維持するために適宜行うものであり、チャックテーブル31を交換した際にワークWの平面加工に先行して行われるのが一般的である。
【0032】
加工装置1が、非円形状のワークWの被加工面に対して砥石21の加工面を平行に接触させてワークWを平面加工する場合に、ワークWの加工量(研削量)が面内で安定しないことがある。以下、その理由について、図5に基づいて説明する。なお、以下では、平面視で正方形状のワークWを例に説明するが、ワークWの形状はこれに限定されるものではない。
【0033】
図5に示すように、砥石21の加工面がワークWの角及びチャックテーブル31の回転中心Oを通るように接触する場合のワークWと砥石21との接触領域A1と、砥石21の加工面がワークWの辺の中央及び回転中心Oを通るように接触する場合のワークWと砥石21との接触領域A2とを比較すると、接触領域A1は、接触領域A2より約2倍程度広いことが分かる。
【0034】
そして、砥石21をワークWに全面に亘って一様に接触させた場合、ワークWと砥石21との接触面積が大きくなるにしたがい、ワークWの研削量が減少して加工後のワークWが厚くなる。すなわち、接触領域A1、A2における研削後のワークWの厚みを比較すると、図6に示すように、接触領域A2内のワークWは、接触領域A1内のワークWより厚く形成される。例えば、280mm角のワークWの場合、接触領域A2の端部P2では、接触領域A1の端部P1より約4μmほど薄く研削される。
【0035】
そこで、加工装置1では、平面加工の際にワークW及び砥石21が接触する接触面積の変化に応じたワークWの厚みの変化を相殺するように、セルフグラインドの研削量を吸着体33内で局所的に増減させている。
【0036】
具体的には、図7に示すように、平面加工の際にワークWの研削量が相対的に小さい第1の加工領域R1及びワークWの研削量が相対的に大きい第2の加工領域R2を仮定し、第1の加工領域R1において吸着体33の外周にアタッチメント37を配置する。
【0037】
本実施形態では、第1の加工領域R1を、吸着体33の対角線を中心にして中心角±15度の扇形状に設定し、第2の加工領域R2を、隣り合う第1の加工領域R1の間に中心角60度の略扇状に設定した。なお、各加工領域R1、R2の大きさは、ワークWの加工条件等に応じて適宜変更して構わない。
【0038】
そして、アタッチメント37が吸着体33より難削材で構成されていることにより、図8(a)に示すように、セルフグラインド時の第1の加工領域R1内での吸着体33の研削量が、第2の加工領域R2内での吸着体33の研削量より少ないため、第1の加工領域R1内の吸着体33が局所的に厚く研削される。
【0039】
そして、ワークWが平面加工されると、図8(b)に示すように、平面加工時の第1の加工領域R1内でのワークWの研削量が、第2の加工領域R2内でのワークWの研削量より少ないため、第1の加工領域R1内のワークWが、第2の加工領域R2内のワークWより厚く加工される。
【0040】
このようにして、平面加工時における第1の加工領域R1及び第2の加工領域R2の研削量の差が、吸着体33内の第1の加工領域R1及び第2の加工領域R2の厚みの差により相殺されて、平面加工後のワークWの厚みバラツキが軽減される。
【0041】
なお、吸着体33及びアタッチメント37は上述した形状に限定されるものではなく、例えば、チャックテーブル31が、オリフラOFが形成されたワークWを吸着保持する場合、図9図10(a)、(b)に示すように、吸着体33が、平面から視て円形状に形成され、アタッチメント37が、平面から視て環状扇形状に形成されているものであっても構わない。
【0042】
このようにして、本実施形態に係る加工装置1は、ワークWを砥石21で平面加工する加工装置1であって、ワークWを吸着保持可能な吸着体33と、吸着体33の外周側に設けられ、吸着体33より難削材で構成され、吸着体33を研削するセルフグラインドの際に砥石21に接触可能なアタッチメント37と、を備えている構成とした。
【0043】
この構成によれば、砥石21がワークWを平面加工する場合に砥石21とワークWとの接触面積がチャックテーブル31の回転角に応じて変化することに起因する加工後のワークWの厚みバラつきを相殺するように、砥石21が吸着体33及びアタッチメント37に接触する第1の加工領域R1におけるセルフグラインド後の吸着体33の厚みが、砥石21が吸着体33に接触する第2の加工領域R2におけるセルフグラインド後の吸着体33の厚みより厚くなるため、平面加工後のワークWの厚みバラつきを軽減することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る加工装置1は、アタッチメント37が、吸着体33を収容するチャックテーブル31に着脱自在に設けられている構成とした。
【0045】
この構成によれば、吸着体33に対するアタッチメント37の位置を変更可能なため、ワークWの形状や加工条件に応じてセルフグラインド後の吸着体33の形状を変更することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る加工装置1は、ワークWが、非円形状に形成されている構成とした。
【0047】
この構成によれば、ワークWの形状に起因する平面加工後のワークWの厚みバラつきを軽減することができる。
【0048】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。また、上述した実施形態及び各変形例は、互いに組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0049】
1 :加工装置
2 :加工部
21 :砥石
22 :砥石スピンドル
23 :インフィード機構
24 :コラム
3 :保持部
31 :チャックテーブル
32 :チャックスピンドル
33 :吸着体
33a:吸着面
34 :緻密体
35 :環状凹部
36 :(緻密体の)ボルト孔
37 :アタッチメント
37a:接触面
38 :(アタッチメントの)ボルト孔
39 :ボルト
R1 :第1の加工領域
R2 :第2の加工領域
W :ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10