IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社荏原製作所の特許一覧

<>
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図1
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図2
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図3
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図4
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図5
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図6
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図7
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図8
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図9
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図10
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図11
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図12
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図13
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図14
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図15
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図16
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図17
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図18
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図19
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図20
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図21
  • 特開-ポンプ装置及び制御方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022147767
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20220929BHJP
【FI】
F04B49/06 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049155
(22)【出願日】2021-03-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】赤津 美樹
(72)【発明者】
【氏名】金城 忠広
(72)【発明者】
【氏名】土師 尚子
【テーマコード(参考)】
3H145
【Fターム(参考)】
3H145AA23
3H145BA40
3H145CA01
3H145CA09
3H145CA21
3H145DA48
3H145EA13
3H145EA17
3H145EA20
3H145EA35
3H145EA36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の第2電源を切り替えて使用する場合において、発電力が低下した場合でも、ポンプの適切な運転を継続する。
【解決手段】平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続され、第1電源接続時に使用される制御パラメータが記憶されている第1の記憶手段と、第2電源がポンプ装置に電力を供給する際に使用される制御パラメータが記憶されている第2の記憶手段と、を参照可能なポンプ装置であって、第1電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで制御手段の制御パラメータを更新する第1の更新手段と、第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで制御手段の制御パラメータを更新する第2の更新手段と、を備え、制御手段は、特定の第2電源から次に使用される第2電源に切り替わった場合、第2の更新手段によって更新された制御パラメータを用いて、ポンプを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続され、前記第1電源が接続されているときに使用される制御パラメータが記憶されている第1の記憶手段と、前記複数の第2電源に含まれる前記第2電源が接続されているときに使用される制御パラメータが当該第2電源毎に関連付けられた制御パラメータ群として記憶されている第2の記憶手段と、を参照可能なポンプ装置であって、
流体を吐き出し可能なポンプと、
前記ポンプを制御する制御手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された前記制御パラメータ群の中から取得された前記第1電源の次に使用される第2電源の制御パラメータ値で前記制御手段の制御パラメータ値を更新する第1の更新手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された前記制御パラメータ群の中から取得された前記特定の第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する第2の更新手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、前記第2の更新手段によって更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御するポンプ装置。
【請求項2】
前記特定の第2電源から供給された電力を用いて前記ポンプを駆動している間に前記第2電源の発電力低下信号または電気出力を用いて、前記第2電源の電源出力低下の有無を判定する判定手段を更に備え、
前記制御手段は、判定の結果、前記第2電源の電源出力低下に該当する場合、前記ポンプを強制停止し、当該強制停止は、前記第2の更新手段によって前記制御手段の制御パラメータが更新され、且つ、接続される電源が前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった後に解除される、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源への電源切替指令を前記電源切替手段および/または前記ポンプ装置の状態が表示される表示器に出力する出力手段を更に備え、
前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わり前記ポンプ装置が再起動された時に、前記制御手段は、前記更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する
請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記第2の更新手段による制御パラメータの更新は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わる前に実行される
請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記ポンプ装置と導通している第2電源を識別する電源識別信号を前記電源切替手段から受信する受信手段と、
前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、切り替わり前後で前記受信された電源識別番号が異なるか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記第2の更新手段は、前記切り替わり前後で電源識別番号が異なる場合、前記前記切り替わり後の電源識別信号を用いて当該次に使用される第2電源の制御パラメータを前記第2の記憶手段から取得し、当該取得した制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新し、
前記制御手段は、前記更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する
請求項1から4のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項6】
平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続されたポンプ装置で実行される制御方法であって、
第1の更新手段が、前記第2の記憶手段に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記第1電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで制御手段の制御パラメータを更新する手順と、
第2の更新手段が、前記第2の記憶部に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記特定の第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する手順と、
前記制御手段が、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、前記第2の更新手段によって更新された前記制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する手順と、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非常用電源に切り替えられたときに消費電力を抑えるポンプ装置が提案されている。一方、電源選定については、例えばモータ駆動装置において動作に適した電源容量を選定することが提案されている。例えば、特許文献1では、各動作パターンにおいて、動作パターンに適用されるモータごとに要求されるトルクに関する情報を取得し、この取得したトルクに関する情報に応じた、適用されるモータごとの電源容量から各動作パターンの動作に必要な動作電源容量を取得し、各動作パターンの中で、必要となる動作電源容量の最大値をカバーできるように、共通電源部の電源容量を決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-192475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ポンプ装置にて、平常時に用いられる商用電源と、緊急時に用いられる切り替えられる非常用電源(以下、第2電源ともいう)がある。この第2電源は、発電機、蓄電池、太陽光発電など、設置環境や入手性等により客先にて選定されることが望まれる。また、緊急時にポンプ装置は可能な限り給水を継続することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、第2電源における給水が継続可能なポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るポンプ装置は、平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続され、前記第1電源が接続されているときに使用される制御パラメータが記憶されている第1の記憶手段と、前記複数の第2電源に含まれる前記第2電源が接続されているときに使用される制御パラメータが当該第2電源毎に関連付けられた制御パラメータ群として記憶されている第2の記憶手段と、を参照可能なポンプ装置であって、流体を吐き出し可能なポンプと、前記ポンプを制御する制御手段と、前記第2の記憶手段に記憶された前記制御パラメータ群の中から取得された前記第1電源の次に使用される第2電源の制御パラメータ値で前記制御手段の制御パラメータ値を更新する第1の更新手段と、前記第2の記憶手段に記憶された前記制御パラメータ群の中から取得された前記特定の第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する第2の更新手段と、を備え、前記制御手段は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、前記第2の更新手段によって更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する。
【0007】
この構成によれば、平常時に、第2電源毎の制御パラメータを第2の記憶手段に記憶できる。このように、ユーザが第2電源における運転が適切に行えるよう、平常時に備えることで、緊急時にポンプ装置は迅速に第2電源にてポンプを始動することができるため、その結果、給水を継続することができる。さらに、特定の第2の電源の発電力が低下した場合に、第2電源に切り替え、第2電源に応じた適切な制御パラメータでポンプを運転することができる。これにより、特定の第2の電源の発電力が低下した場合でも、ポンプの適切な運転を継続することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係るポンプ装置は、第1の態様に係るポンプ装置であって、前記特定の第2電源から供給された電力を用いて前記ポンプを駆動している間に前記第2電源の発電力低下信号または電気出力を用いて、前記第2電源の電源出力低下の有無を判定する判定手段を更に備え、前記制御手段は、判定の結果、前記第2電源の電源出力低下に該当する場合、前記ポンプを強制停止し、当該強制停止は、前記第2の更新手段によって前記制御手段の制御パラメータが更新され、且つ、接続される電源が前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった後に解除される。
【0009】
本発明の第3の態様に係る電源選定システムは、第1または2の態様に係るポンプ装置であって、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源への電源切替指令を前記電源切替手段および/または前記ポンプ装置の状態が表示される表示器に出力する出力手段を更に備え、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わり前記ポンプ装置が再起動された時に、前記制御手段は、前記更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する。
【0010】
本発明の第4の態様に係るポンプ装置は、第1から3のいずれかの態様に係るポンプ装置であって、前記第2の更新手段による制御パラメータの更新は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わる前に実行される。
【0011】
本発明の第5の態様に係るポンプ装置は、第1から4のいずれかの態様に係るポンプ装置であって、前記ポンプ装置と導通している第2電源を識別する電源識別信号を前記電源切替手段から受信する受信手段と、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、切り替わり前後で前記受信された電源識別番号が異なるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記第2の更新手段は、前記切り替わり前後で電源識別番号が異なる場合、前記前記切り替わり後の電源識別信号を用いて当該次に使用される第2電源の制御パラメータを前記第2の記憶手段から取得し、当該取得した制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新し、前記制御手段は、前記更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る制御方法は、平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続されたポンプ装置で実行される制御方法であって、第1の更新手段が、前記第2の記憶手段に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記第1電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで制御手段の制御パラメータを更新する手順と、第2の更新手段が、前記第2の記憶部に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記特定の第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する手順と、前記制御手段が、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、前記第2の更新手段によって更新された前記制御パラメータを用いて、前記ポンプを制御する手順と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、第2電源での運転に切り替わった際に、ポンプ装置3は、制御パラメータ選定手段14にて選定された制御パラメータでポンプの運転を実行することができる。これによって、第2電源での運転に切り替わった際に、適切にポンプを運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムに概略構成図である。
図2】実施例1に係る情報処理システムの概略構成図である。
図3】実施例1に係る電源選定システムの機能ブロック図である。
図4】電源選定システムの表示器に表示される第2電源選択画面の一例である。
図5】第2電源選択画面の一例である。
図6】直接入力画面の一例である。
図7】パラメータの直接入力画面の一例である。
図8】装置構成図の表示画面の一例である。
図9】装置構成の表示の第1の例である。
図10】装置構成の表示の第2の例である。
図11】装置構成の表示の第3の例である。
図12】制限条件の選択による制御パラメータの選定例を示す表である。
図13】Q-Hカーブの一例である。
図14】ポンプの性能曲線の一例である。
図15】実施例2に係る情報処理システムの概略構成図である。
図16】実施例2に係る電源選定システムの概略構成図である。
図17】端末装置の画面遷移の例を示す図である。
図18】第2電源設定アプリの処理の流れを示すフローチャートである。
図19】第2の実施形態に係る情報処理システムに概略構成図である。
図20】第2の実施形態に係る発電力低下信号の流れを示す模式図である。
図21】第2の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図22】第2の実施形態に係る処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
上記の問題に加えて、複数の第2電源を切り替えて使用する場合において、ポンプ装置に電力を供給している特定の第2の電源の発電力が低下した場合でも、ポンプの適切な運転を継続することが望ましい。本実施形態では、複数の第2電源を切り替えて使用する場合において、ポンプ装置に電力を供給している特定の第2の電源の発電力が低下した場合でも、ポンプの適切な運転を継続することを課題の一つとする。
【0016】
各実施形態において、ポンプ装置を駆動する電源は、平常時に(通常)用いられる商用電源を第1電源とし、非常時(例えば、火災、災害などの緊急時)に用いられる電源(非常用電源ともいう)を第2電源とする。そして、ポンプ装置の電源の一次側に設けられた電源切替手段が、第1電源と第2電源との間でポンプ装置に供給する電源を切り替える。各実施形態では、当該ポンプ装置と共に、ユーザによって指定されたポンプ装置に使用可能な第2電源をユーザが選択可能にする電源選定システム、および/または当該第2電源使用時の当該ポンプ装置の制御パラメータを選定可能にする電源選定システムについて説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る情報処理システムS1は、電源選定システム1と、中央監視装置2と、ポンプ装置3とを備える。電源選定システム1は、ネットワークNW1を介して中央監視装置2に通信可能に接続されている。中央監視装置2は、記憶部21と記憶部22を備える。記憶部21は、ポンプ装置データベース(Data Base:DB)が構成されており、このポンプ装置DBには各電源用の制御パラメータが記憶されている。記憶部22は、第2電源DBにて構成されており、この第2電源DBには、一例として、ポンプの機名と使用範囲とが関連付けられて記憶されている。ここでポンプの機名は、ポンプの種類を識別する識別情報の一例である。
【0018】
また、電源選定システム1は、ポンプ装置3と通信可能に接続されている。また、ポンプ装置3は、平常時に用いられる第1電源D1と緊急時に用いられる第2電源D2との間で電源を切り替える電源切替手段SWに接続されている。ここで、第1電源D1は電力会社から供給される商用電源であり、第2電源D2は、発電機、蓄電池、電気自動車、または太陽光パネルであってもよい。また第2電源D2は複数であってもよい。電源切替手段SWは例えば、所定の条件にて電源を切替可能な電源切替装置4に含まれている。電源切替装置4は、例えば非常電源切替盤である。
【0019】
ポンプ装置3は例えば、マンションやビル等の建物に水道水を給水する給水装置であって、水道本管に吸込み側が直結され当該水道本管圧を増圧して給水を行う直結増圧ポンプ装置である。ポンプ装置3は、搬送液を加圧するポンプと当該ポンプの駆動手段であるモータと当該モータの可変速手段であるインバータとを備える少なくともひとつのポンプ部34と、各種状態の表示および設定値や運転状態の変更が可能な運転パネル31と、ポンプ部34の駆動を制御する制御手段32と、各種制御パラメータを記憶する記憶部33とを備える。さらに、ポンプ装置3は、不図示の外部表示器(例えば、専用のアプリがダウンロードされたスマートフォンやパソコン等)と通信可能に構成され、当該外部表示器にて各種表示操作されてもよい。なお、制御手段32並びに記憶部33は、ポンプ部34に内蔵されていてもよい。また、記憶部33は、ポンプ装置3に内蔵されたものに限らず、その少なくとも一部の記憶領域がポンプ装置3に外付けまたは通信により接続されていてもよい。
電源切替装置4は、その時点で使用している電源を識別する電源識別信号をポンプ装置3の制御手段32へ出力する。ポンプ装置3の制御手段32は、当該信号の入力ポートである入力部を有し、この信号によって、ポンプ装置3の制御手段32は、その時点で使用している電源を識別することができる。
【0020】
ポンプ装置3の制御手段32は、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポート、通信ドライバー等で構成される電子回路基板にて構成され、各種制御パラメータに基づいてポンプ部34の運転制御を行う。また、ポンプ部34において、ポンプの可変速制御を行う場合、可変速手段であるインバータの制御部が含まれる。なお、制御手段32は、複数の基板で構成されてもよい。
【0021】
制御手段32は、ポンプ装置3の吐出圧、流入圧を検知する圧力センサー、ポンプ部34を流れる流体の小水量を検知する小水量検知器、等の各種センサーの検出値を入力する入力部(不図示)を有し、制御手段32は、当該各種センサーの検出値と制御パラメータを用いて、ポンプ部34の運転制御を行う。運転制御の具体的例として、以下「」に記す制御パラメータを用いた制御を挙げる。
・流入圧が「流入圧低下圧」の値以下となったとき、全てのポンプ部34を異常停止して給水を停止し、「流入圧低下復帰圧」で給水を復帰させる、流入圧低下制御。
・吐出圧が「始動圧」の値以下となったとき、ポンプ部34を始動する、ポンプ部34の始動(小停再始動)制御。
・小水量を検知したとき、吐出し圧力を「停止圧」まで昇圧してポンプ部34を停止する小水量停止制御。
・運転中のポンプ台数が「ポンプ並列運転台数」以下且つ給水量が不足していると判断した場合に、運転ポンプを追加する台数制御。
・ポンプ装置3の吐出側の目標圧力を示す「設定圧力」による吐出圧力制御。具体的には、供給先の末端圧または吐出し圧が当該「設定圧力」となるようポンプ部34の回転速度を制御する該知の推定末端圧制御または圧力一定制御。
・モータに流れる電流値が「電流制限」値以下となるよう回転速度を調整するストール制御。
・「加速時間」の値に従ってモータを加速するよう回転速度を調整する加速制御。
【0022】
出荷時もしくは設置時にポンプ装置3は、運転パネル31もしくは外部表示器等を介して、機種毎の第1電源用の制御パラメータ値が設定変更される。そのため、当該制御パラメータ値は運用される前に記憶部33に予め記憶されている。しかしながら、第2電源用の制御パラメータ値は、設置環境や入手性等により使用者にて選定されるタイミングで、当該選定された第2電源に適した値に変更されることが好ましい。そこで、ポンプ装置3は、第1電源用の制御パラメータと第2電源用の制御パラメータが異なる領域に記憶され、それぞれのタイミングにて設定変更できれば、使用者が選択した第2電源に適した(例えば、給水量を少なくして第2電源が電源供給可能な時間を長時間確保する、または、第2電源による給水時間よりも第1電源時と同様の給水量を確保する、といった)給水を提供できる。
【0023】
記憶部33は、例えば、CPUに搭載されたメモリ等にて構成され、第1電源用の制御パラメータ値を記憶する第1記憶領域331と、少なくともひとつの第2電源用の制御パラメータ値を記憶する第2記憶領域332と、を有する。これにより、第1電源が停電となる前に、予め、それぞれの電源に適した制御パラメータを記憶することができるので、第1電源が停電となり第2電源に切り替えるときに、スムーズに制御パラメータを切り替えることができる。また、第1電源が復帰したときにも、スムーズに制御パラメータを切り替えることができる。
【0024】
第2電源用の制御パラメータ値を電源選定システム1から受信し、記憶部33に、この制御パラメータ値を書き込んでもよい。あるいは、記憶部33には、第2電源用の制御パラメータ値がテーブルとして格納されており、制御手段32は、ポンプの第2電源用の制御パラメータ値を、電源選定システム1から指定された第2電源用の制御パラメータに一括で変更してもよい。
【0025】
電源選定システム1は、使用者が各種情報を入力可能な、ボタン、タッチパネル、通信デバイス、キーボード、マウス、および/または各種撮像装置等で構成される入力手段11と、ポンプ装置選定手段12と、第2電源選定手段13と、制御パラメータ選定手段14と、表示制御手段15と、各種メモリ等で構成される記憶手段16と、無線または有線通信デバイスで構成され、ポンプ装置3と通信可能な第1通信手段17と、各種ネットワークを介して中央監視装置2と通信する第2通信手段18と、液晶モニター、タッチパネル、LED、ランプ等で構成される表示器19と、決定手段20(図1不図示、図3参照)を備える。なお、ポンプ装置選定手段12、第2電源選定手段13、制御パラメータ選定手段14および表示制御手段15、決定手段20は、電源選定システム1が備える機能の一部であって、各手段の詳細については後述する。電源選定システム1は、例えば、スマートフォン、パソコン、タブレット等の汎用機器にアプリケーションをダウンロードすることで実現できる。一実施形態では、ポンプ装置3の状態を表示操作可能な専用の外部表示器の一機能としてもよい。
【0026】
<実施例1>
続いて、上記実施形態の実施例1について説明する。図2は、実施例1に係る情報処理システムの概略構成図である。図2に示すように、実施例1では、現場A-1、…、A-NまでのN個(Nは正の整数)の現場がある。それぞれの現場A-i(iはインデックスで1~Nまでの整数)には、電源選定システム1a-iと、電源選定システム1a-iに通信可能に接続されたポンプ装置3-i、ポンプ装置3-iに接続された電源切替装置4-i、電源切替装置4-iに接続された第1電源D1-i及び第2電源D2-iを備える。電源切替装置4-iは、電源切替手段SW-iを有し、非常時(例えば火災、災害時などの緊急時)に、電源切替装置4-iがユーザによって操作されることによって、平常時に用いられる第1電源D1-iから、第2電源D2-iに切り替えられる。
【0027】
それぞれの現場A-iの電源選定システム1a-iは、ネットワークNW1(例えば、インターネット等の汎用的なネットワーク)を介して中央監視装置2に通信可能に接続されている。以下、電源選定システム1a-1~1a-Nを総称して電源選定システム1aと呼ぶ。
【0028】
中央監視装置2は、例えば、ポンプ装置3の管理会社や製造元等の中央監視室に配置されたサーバ用のパソコン等で構成され、複数現場(ここでは現場A-1~A-N)もしくは複数台のポンプ装置3を遠隔にて監視管理する。中央監視装置2は、記憶部21と記憶部22と記憶部23とを備える。記憶部21には、ポンプ装置DBが構成されており、このポンプ装置DBには、各電源用の制御パラメータと機種別もしくはポンプ装置3の個体識別情報とが関連付けられて記憶されている。記憶部22には、第2電源DBにて構成されており、この第2電源DBには、一例として、第2電源の機名と使用範囲とが関連付けられて記憶されている。ここでポンプの機名は、ポンプまたは/およびポンプ装置3の種類を識別する識別情報の一例である。記憶部23には、現場毎の制御パラメータがポンプ装置3の個体識別情報と関連付けて記憶されている。個体識別情報は、ポンプ装置3-iの個体を識別可能な情報であって、例えば、シリアル番号や現場名、設置場所、機名機種等の情報が含まれる。ポンプ装置3-iの個体識別情報は、銘板、バーコード(QRコード)等にて表示される、および/または、記憶部33に記憶されることで管理されている。中央監視装置2は、ネットワークNW2(ネットワークNW1よりも限定された環境でのみ利用できるネットワーク、例えば社内LANや特定のアクセス権を必要とするネットワーク等)を介して、記憶装置61及び記憶装置62に通信可能に接続されている。
【0029】
記憶装置61、62は、中央監視装置2と情報を共有できるデータベースである。記憶装置61には、ポンプ装置3の設計データ(例えば、ポンプ台数等の構成機器に関する情報や、ポンプの性能曲線やQHカーブ)が機種毎もしくは個体識別情報に関連付けて記憶されており、記憶装置62には、ポンプ装置の販売データ(例えば、販売時の設定コード、制御パラメータ値の初期値など)が機種毎もしくは個体識別情報に関連付けて記憶されている。なお、記憶装置61、62は、同じデータベースにて構成されてもよい。
【0030】
図3は、実施例1に係る電源選定システム1aの機能ブロック図である。図3に示す電源選定システム1aは、図1の電源選定システム1における各種機能を示した図である。
【0031】
記憶手段16には、装置情報(例えば、ポンプ装置に関する各種情報、第2電源に関する各種情報)、現場毎の制御パラメータ(例えば、現場名と制御パラメータが関連付けられたテーブル)、ポンプ装置、第2電源、特徴などに関するグラフィックに関する情報(例えば、装置構成に関する図や写真、説明等)が記憶されている。一実施形態で、記憶手段16に記憶されたこれらの情報は、電源選定システム1aのアプリケーションをダウンロードするときに記憶されて電源選定システム1aが起動する前に予め記憶されていてもよいし、電源選定システム1aが起動する時や任意のタイミングにて各種通信やネットワークから取得されてもよい。
【0032】
本実施形態で、記憶手段16は記憶領域として、制御パラメータに関する各種情報を記憶する制御パラメータDB161、ポンプ装置に関する各種情報を記憶するポンプ装置DB162、第2電源に関する各種情報を記憶する第2電源DB163、を有する。これら記憶領域は関連する情報が関係付けられたデータベースとして構成される。一実施形態でこれらの記憶領域は同一またはより細分化されてもよい。
【0033】
本実施形態で、制御パラメータDB161は、第1通信手段を介してポンプ装置3から取得した現場毎および/または機名毎の制御パラメータの情報を記憶する。一実施形態では、ネットワークNW1を介して中央監視装置2の記憶部23、もしくは設計データや販売データを格納する記憶部61、62から対象のポンプ装置3の個体識別可能な情報や機名と共に制御パラメータ値を取得してもよい。
【0034】
ポンプ装置DB162、第2電源DB163は、ネットワークNW1を介して中央監視装置2、記憶部61、62より取得した情報が記憶される。
【0035】
また、記憶手段16は、ポンプ装置、第2電源、特徴などに関するグラフィックに関する情報(例えば、装置構成に関する図や写真、説明等)を、ポンプ装置グラフィックDB164、第2電源グラフィックDB165、特徴グラフィックDB166に各装置と関連付けて記憶する。
【0036】
入力手段11は、アクセス制限のある第1ユーザと第1ユーザよりもアクセス制限の少ない第2のユーザがアクセス可能である。入力手段11は、それぞれのユーザからの入力を受け付ける。以下、第1ユーザと第2のユーザを特に区別する必要のない場合は、単に「ユーザ」と記す。
【0037】
また、入力手段11は、撮像装置6に接続可能である。撮像装置6は、例えば電源選定システムのアプリケーションがダウンロードされたスマートフォン、タブレット、パソコン等のカメラである。ユーザの操作に応じて撮像装置6は、例えば対象となるポンプ装置3の銘板を撮像する。もしくは撮像装置6からポンプ装置3の機名や個体識別情報を記憶可能なデバイス(例えば、バーコードやQRコード、ICタグ等)の情報を入力してもよい。この撮像装置6による撮像によって得られた画像データが入力手段11に入力される。
【0038】
入力手段11は、ユーザが図4に詳細を後述する画面や撮像装置6等から入力した各種情報を受け付ける。入力された各種情報は、内部で処理可能な情報に変換されてもよい。
【0039】
ポンプ装置選定手段12は、対象となるポンプ装置3を選定する。第2電源選定手段13は、ポンプ装置3に適した第2電源を選定する。また、制御パラメータ選定手段14は、選定された第2電源に適する制御パラメータを選定する。
【0040】
決定手段20は、第2電源に適する制御パラメータの制御パラメータ値を決定し、当該決定した値に基づいて、第2電源時の最大給水量、消費電力、運転可能時間を決定する。
【0041】
表示制御手段15は、上述の各手段に依る選定時において、記憶手段16に記憶されたグラフィックの中から適切なグラフィックを選定し、当該選定したグラフィックを表示器19に表示する。これにより、作業者は容易に選定できる。
【0042】
図4は、電源選定システムの表示器に表示される第2電源選択画面の一例である。第2電源選択システムのGUI(Graphical User Interface)である画面G1は、ポンプ装置選定手段12のGUIである画面領域R1と、第2電源選定手段13のGUIである画面領域R2と、制御パラメータ選定手段14のGUIである表示領域R3と、決定手段20のGUIである表示領域R31と、を備える。更に、電源選択画面G1は、ユーザーからの入力を受け付ける「第2電源DB取得」ボタンB1と、「入力内容確認」ボタンB7と、「閉じる」ボタンB8とを備える。
【0043】
「第2電源DB取得」ボタンB1は、ユーザが任意のタイミングで外部から情報を取得するためのボタンである。ポンプ装置DB162、第2電源DB163の情報は、例えば、ログイン時、決定時、ユーザによる図4の「第2電源DB取得」ボタンB1のクリック等の、ユーザが任意に入力できる「所定のタイミング」にて、中央監視装置2、記憶装置61、記憶装置62からネットワークNW1を介してダウンロードされ、及び/または中央監視装置2、記憶装置61、記憶装置62へアップロードされる。ポンプ装置は、電波の届かないポンプ室に設置されていることがある。ユーザが任意に入力できる所定のタイミングで電源選定システム1は中央監視装置2と通信することで、電波の届かない場所に設置されたポンプ装置3の情報を中央監視装置2、記憶装置61、記憶装置62等と確実に共有できる。
【0044】
画面領域R1は、ユーザがポンプ装置を選定するためのものであり、シリーズ名を選択可能なセレクトボックスS1、ユニット型式を選択可能なセレクトボックスS2、口径を選択可能なセレクトボックスS3、出力を選択可能なセレクトボックスS4、ポンプ装置の記名を選択可能なセレクトボックスS5、高置水槽の無し、有りを選択可能なラジオボタンS6、S7が示されている。機名が選択された場合に、表示制御手段15は、その機名のポンプ装置に該当する装置のグラフィック(例えば写真、構成図、または概略図等)をポンプ装置グラフィック164から検索し、ヒットしたグラフィックを領域R11に表示する。これにより、ユーザは選択された機名が正しいかをグラフィックにて視認できる。
【0045】
以下、ユーザの操作手順と共に、電源選定システムが第2電源を選定する方法を説明する。本実施形態でユーザは、ポンプ装置の選定、第2電源の選定、制御パラメータの選定、選定内容の確認、といったステップを経て、電源を決定する。ポンプ装置の選定、第2電源の選定、制御パラメータの選定が同じ画面G1上に表示されることで、ユーザの利便性が向上できる。
【0046】
<ポンプ装置選定方法>機名の決定方法
機名の決定方法としては例えば、ユーザによる機名の直接入力または図4に示すように、ユーザ入力による機名の選択が可能である。入力手段は、前記対象ポンプ装置の型式(ここではその一例として機名)をポンプ装置の型式を機器情報として受け付けてもよい。
【0047】
ポンプ装置選定手段12は、入力されたポンプ装置のシリーズ名、ユニット型式、口径、及び/または出力を基に型式(ここでは一例として機名)を抽出してもよい。このように、入力手段11は、型式(ここではその一例として機名)を特定するための情報(例えば、ポンプ装置のシリーズ名、ユニット型式、口径、及び/または出力)を機器情報として受け付けてもよい。また、ポンプ装置選定手段12は、入力された情報を基に、記憶手段16のポンプ装置DB162の中から該当する機名を選択してもよい。
【0048】
入力手段11にポンプ装置3の銘板の撮影データが入力された場合、ポンプ装置選定手段12は、画像解析で機名を撮影データから抽出してもよい。
また、ポンプ装置選定手段12は、ポンプ装置3に備えられた機名が記憶された記憶媒体(例えばICチップ等)との通信により、機名を取得してもよい。
また、ポンプ装置選定手段12は、第1通信手段を介して、ポンプ装置3に記憶された機名を取得してもよい。
また、ポンプ装置3の本体もしくはカタログ、ホームページ等の機名がコードされたQRコードを撮像装置6で読み取り、読み取った機名が入力手段11に入力されることによって、ポンプ装置選定手段12は機名を取得してもよい。
表示制御手段15は、これら取得された機名および/または機名に関する情報を、セレクトボックスS1、S2、S3、S4、S5、ラジオボタンS6、S7に表示すると良い。
【0049】
<第2電源選定方法>
図4に示すように、画面領域R2は、第2電源を選定するためのものであり、電源選択ボタンB2、電源選択ボタンB2の押下後に表示される推奨電源P-1の説明に関する情報の領域R21、電源選択ボタンB2の押下後に表示される推奨電源P-M(Mは自然数)の説明に関する情報の領域R2M、その他の電源仕様入力ボタンB3が示されている。
【0050】
非常時(例えば火災、災害時などの緊急時)に用いられる第2電源の選定方法の一例について説明する。
(ステップ1)ポンプ装置選定手段12によって機名が選択されているという条件で、ユーザは機器リスト作成画面にてユーザによって「電源選択」ボタンが押された場合、表示制御手段15は、図5に示すような第2電源選択画面を表示する。
【0051】
図5は、第2電源選択画面の一例である。図5に示すように、第2電源選択画面において、第2電源候補である装置それぞれのグラフィック(例えば、外観画像、構成図、外観模式図、概略模式図など)、導入コスト、信頼性、メンテナンス性、ランニングコスト、ライフサイクルコスト等の特徴の比較結果の情報(例えば図5では、比較結果を〇×△で示す)が含まれている。ここで、これらの第2電源の特徴は、記憶手段16の第2電源DBに予め記憶されている。
【0052】
このように、複数の種類の電源装置を第2電源の候補として提示し、ユーザが当該複数の電源装置の中から対象ポンプ装置にて緊急時に用いられる第2電源を選択可能である。表示制御手段15は、前記複数の電源装置において、導入コスト、信頼性、メンテナンス性のうち少なくともひとつを比較可能に表示制御する。これにより、ユーザは候補の第2電源の中から設置環境や入手性等に適した第2電源を選択できる。
【0053】
なお、本実施形態で比較可能に表示制御される項目は、その優劣が〇△×といったレベル分けして記憶手段16に記憶されており、ユーザが当該レベル分けされた情報にて比較可能なように表示される。これにより、ユーザは判断が容易となる。しかしながら複数の種類の電源装置における優劣は、比較可能に表示制御されればよく、一実施形態では、レベル分けした情報に代えてもしくは加えて、比較項目が文章等で具体的に記載されてもよい。例えば、導入コスト、ランニングコスト、ライフサイクルコストの具体的な金額、信頼性に係る懸念事項(導入実績、販売メーカの有無、代替品の有無等)、メンテナンス性に関する情報(例えば、何年毎といったメンテナンス時期や作業費用等)が具体的に文章等で記載されてもよい。
【0054】
(ステップ2)続いて、例えば、図5のOKボタンB11が押された場合、第2電源選定手段13は、画面領域R1にて選定された機名のポンプ装置もしくは同じ電源容量のポンプ装置で実績のある電源装置を第2電源DB163内で検索する。検索の結果、ヒットしたら表示制御手段15は、図4の領域R21、領域R22に示すように、ヒットした電源装置を「推奨電源」として表示するとともに当該電源装置の情報を表示する。なお、本実施形態では、ヒットした「推奨電源」の数が2機種であり、推奨電源表示領域は領域R21、領域R2Mの2個となっているが、ヒットした数と同じ数の推奨電源表示領域が表示されると良い。この情報には例えばユーザによる第2電源の選定に有益な情報(例えば、機名、入力:第2電源(蓄電池の場合)の入力される電力、出力:第2電源から出力される電力)と、当該電源装置の詳細が記されたメーカ等へのリンク(URL)が含まれる。
【0055】
図4において「その他の電源仕様入力」ボタンが押された場合、例えば図6の直接入力画面が表示される。図6は、直接入力画面の一例である。この画面により、ユーザは「推奨電源」以外の第2電源を選定することができる。図6において、電源の仕様(例えば、入力、出力、使用される台数等)を、ユーザが入力可能である。
【0056】
(ステップ3)
続いて、ユーザが第2電源を選択する。その際、ユーザは例えば推奨電源の中から選択もしくは図6の画面G3への入力にて電源仕様を指定する。一例でユーザは、推奨電源表示領域に示された「推奨電源」うち何れか(本実施形態では領域21、22の何れか一方)を選択して選択状態にした状態で、第2電源決定ボタンを押すことによって、「推奨電源」の中から第2電源を選択できる。第2電源決定ボタンが押された際、第2電源選定手段13は、選択された第2電源を受け付ける。
【0057】
(ステップS4)また、「概算見積もり依頼」ボタンが押された場合、表示制御手段15は、第2電源導入時の、装置費用、工事工数等の費用を表示する。具体的には、販売データ62より取得し、第2電源DB163に記憶された情報の中から、ユーザが選択した第2電源に該当する装置費用、工事工数等の費用を検索し、ヒットした当該費用を表示するとよい。これにより、ユーザは、第2電源導入時の見積もり費用(例えば装置費用、工事工数等の費用)を確認することができる。
【0058】
このように、入力手段11は、第2電源選定手段13にて前記第2電源の候補として出力した第2電源の概略見積もり作成依頼の選択を受け付ける。また、表示制御手段15は、当該入力手段11が概略見積もり作成依頼の選択を受け付けると、予め記憶された第2電源に関するコストまたは/および当該コストが記載された関連サイトに関する情報を表示する。具体的に、表示制御手段15は、当該関連サイトに関する情報として、選択された第2電源が販売されているような関連サイトの画面(もしくはURL等のリンク)を表示するよう制御してもよい。
【0059】
<制御パラメータ選定方法>
(ステップ1:第2電源の運転条件の変更における制限の有無の設定)
例えば図4に示すように、第2電源D2の運転条件(つまり制御パラメータ)を変更する際に、まずユーザが選択する項目として、「通常通り」とラベル付けされたラジオボタンS11と、「制限あり」とラベル付けされたラジオボタンS12が表示されている。これを実現するために、表示制御手段15は、第2電源D2の運転条件の制限の有無を選択可能に表示器19に表示し、入力手段11は、第2電源D2の運転条件の制限の有無を受け付ける。
【0060】
ユーザが「通常通り」とラベル付けされたラジオボタンS11を選択すると、制御パラメータ選定手段14は、給水装置3が第2電源D2にて運転されるときに、第1電源にて運転されるときと同じ制御パラメータ値を用いるよう設定して、当該処理を終了する。つまり、ユーザがラジオボタンS11を選択した場合、ユーザは、第2電源で駆動される場合でも第1電源で運転される場合と同じ電力にて運転されることを選択したと、制御パラメータ選定手段14は判断する。
【0061】
ユーザが「制限あり」とラベル付けされたラジオボタンS11を選択すると、制御パラメータ選定手段14は、給水装置3が第2電源D2にて運転されるときには、第1電源にて運転されるときとは異なる制御パラメータ値を用いるよう設定する。ここで、「制限あり」とは、ポンプ装置3の駆動電力が第2電源D2のときには、第1電源D1のときよりも消費する電力量を少なくするよう給水を制限することを意味する。そこで、ラジオボタンS12が選択されると、制御パラメータ選定手段14は、省電力に関連する制御パラメータを選択し、決定手段20がその値を決定する。
【0062】
(ステップ2:制御パラメータの選定および制御パラメータ値の決定)
図4において、ポンプ装置3が省電力運転をするときに優先される給水の項目として、「第2電源寿命優先」のチェックボックスS13が示され、「設定圧力優先」のチェックボックスS14が示され、「給水量優先」のチェックボックスS15が示されている。ここで、「第2電源寿命優先」の第2電源寿命は第2電源の寿命を表し、「設定圧力優先」の設定圧力は対象ポンプの吐出の設定圧力であり、「給水量優先」の給水量は、対象ポンプ装置から供給される給水量である。なお、表示制御手段15は、「制限あり」とラベル付けされたラジオボタンS12が選択されたときのみ、ユーザがチェックボックスS13~S15のうちの少なくともひとつを選択可能に表示するとよい。
【0063】
このように、第2電源による運転時に、電力量の使用制限を行う場合において、「第2電源寿命優先」、「設定圧力優先」、「給水量優先」のうちから、何を優先するのかをユーザが選択可能である。その際、入力手段11は、第2電源の運転条件に制限がある場合におけるポンプ運転の優先項目(例えば、「第2電源寿命優先」、「設定圧力優先」、または「給水量優先」)をユーザから受け付ける。このように、給水の優先項目には、第2電源寿命、設定圧力、給水量のうち少なくともひとつが含まれる。
【0064】
具体的には例えば、制御パラメータ選定手段14は、前記優先項目にて第2電源寿命が選択された場合には吐出し圧および給水量を減らし可能な限り長時間の給水時間を確保するよう、制御パラメータのうち、同時に並列に運転するポンプの台数を表すポンプ並列運転台数、対象ポンプの吐出圧力を設定するための設定圧力、対象ポンプのモータに流れる電流の制限値を表す電流制限、当該対象ポンプのモータを加速する時間を表す加速時間のうち少なくともひとつを選定し、前記優先項目にて設定圧力が選択された場合には吐出し圧を確保するよう、制御パラメータのうち、同時に並列に運転するポンプの台数を表すポンプ並列運転台数、対象ポンプの最高回転数のうち少なくともひとつを選定し、前記優先項目にて給水量が選択された場合には給水量を確保するよう、制御パラメータのうち、同時に並列に運転するポンプの台数を表すポンプ並列運転台数、対象ポンプの吐出圧力を設定するための設定圧力のうち少なくともひとつを選定してもよい。これら選定した制御パラメータの設定値を変更することで、第1電源が用いられるときの値よりも消費電力を小さくできる。具体的な制御パラメータ値の決定方法については<制御パラメータ値の決定方法>にて後述する。
【0065】
なお、ユーザは、制限条件を選択(複数選択可)するだけでなく、制御パラメータ値を図7に後述する方法にて直接入力してもよい。ここで第2電源の運転条件に制限がない場合(すなわち通常通りの場合)、決定手段20は、第1電源が用いられるときのパラメータ値を参照し、当該パラメータ値と同じ値を第2電源が用いられるときのパラメータ値として決定する。
【0066】
制御パラメータ選定手段14は、入力手段11によって受け付けた優先項目に応じて、制御パラメータを選定する。そして、決定手段20は、当該選定された制御パラメータの値を決定する。記憶手段16は、この制御パラメータ選定手段14にて選定された制御パラメータの値を記憶する。また、第1通信手段17は、決定手段20によって決定された制御パラメータをポンプ装置3へ送信してもよい。この構成によって、第2電源での運転に切り替わった際に、ポンプ装置3は、使用される環境にあった制御パラメータでポンプの運転を実行することができるよう、予め制御パラメータ値を決定することができる。これによって、第2電源での運転に切り替わった際に、適切にポンプを運転することができる。
【0067】
(ステップ3:最大給水量、運転時間の算出および表示)
表示制御手段15は制御パラメータの値に基づいて算出された最大給水量を領域R31に表示してもよい。更に表示制御手段15は第2電源の容量と最大給水量における消費電力に基づいて算出された運転時間を領域R31に表示してもよい。なお、決定手段20による最大給水量、運転時間の算出方法の詳細は、<最大給水量、運転時間の算出方法>にて後述する。
【0068】
図7は、パラメータの直接入力画面の一例である。制御パラメータを直接入力する場合、図5の「パラメータ 直接入力」ボタンが押される。図5の「パラメータ 直接入力」ボタンが押された場合、図7のパスワード(PW)入力画面G4が表示される。当該入力画面G4に入力するパスワードを所有する第2のユーザの場合、当該パスワードを入力すると、直接入力画面G5が表示される。このように、前記電源選定システムは、複数の画面にて構成され、当該第2ユーザは、当該第1ユーザが使用可能な制御パラメータ選定手段14の表示領域R3が表示される画面G1に加えて、第2のユーザのみが参照可能な、制御パラメータ選定手段14よりも多くの制御パラメータを変更可能な画面G5を有する。これにより、ポンプ装置3の設定に不慣れな第1のユーザの利便性を向上することができる。
【0069】
この直接入力画面G5において、制御パラメータを直接入力して設定することができる。図7において、戻るボタンB21、OKボタンB22が表示される。戻るボタンが押された場合、図4の画面に戻る。一方、OKボタンB22が押された場合、画面G1に戻り、入力された制御パラメータに応じて、最大給水量及び運転時間が決定手段20によって再演算され、得られた最大給水量及び運転時間で、領域R31内の値が更新される。
【0070】
本実施形態では、上述の方法にて選定されたポンプ装置、第2電源、制御パラメータがユーザの意図に合っているかを容易に確認するための画面が備えられている。選定が終了すると、ユーザは画面G1に備えられた「入力内容確認」ボタンB7を押下する。
【0071】
図4における「入力内容確認」ボタンB7が押された場合、図8に示す装置構成図の表示画面G8が表示される。図8は、装置構成図の表示画面の一例である。図8の装置構成図の表示画面において、装置構成のグラフィック領域R4にて装置構成の表示が表示される。また、図8において、戻るボタンB31、OKボタンB32が示されている。戻るボタンが押された場合、図4の画面G1に戻る。一方、OKボタンB22が押された場合、現場名等の入力画面G7が表示されることが好ましい。この現場名等の入力画面G7において、現場名等が入力可能である。また、OKボタンB22によって、選定された制御パラメータ値が確定し、当該確定した値が第1の通信手段を介してポンプ装置3に書き込まれてもよい。
【0072】
図9は、装置構成の表示の第1の例である。図10は、装置構成の表示の第2の例である。図11は、装置構成の表示の第3の例である。
これらの表示は、たとえば、図8の装置構成図の表示画面における装置構成のグラフィック領域R4に表示される。図9図11の装置構成の表示に示すように、表示画面G8は、「電源システムのグラフィック」と「ポンプ装置のグラフィック」を、表示制御手段15は同一画面にて表示するとよい。具体的には、表示制御手段15は、画面G1にて選択されたポンプ装置3の機名に関連付けられた「ポンプ装置のグラフィック」をポンプ装置グラフィックDB164にて検索し、ヒットしたグラフィックを領域R41に表示する。表示制御手段15は、画面G1にて選択された第2電源の種別に関連付けられた「電源システムのグラフィック」を第2電源グラフィックDB165にて検索し、ヒットしたグラフィックを領域R42に表示する。また、各装置とその特徴が関連付けて記憶された特徴グラフィックDB166を検索し、表示制御手段15はヒットした「給水の特徴」と「電源の特徴」を同一画面にて表示し、選定された給水システムにおける懸念事項をユーザに示す。具体的には、図9から図11に示す領域40は、同一画面上に、領域R41、領域R42、領域R43を有し、領域R41に「ポンプ装置のグラフィック」、領域R42に「電源システムのグラフィック」、領域R43に「給水の特徴」と「電源の特徴」の説明文を、各領域に示される。
【0073】
図9図11の装置構成の表示では、「給水の特徴」として、制御パラメータもしくは機名に基づいて「給水方式」が決定でき、当該給水方式による、第2電源時の建物内の配水の特徴を示す(矢印A1~A3、もしくは※1、※2の文章)。
表示画面G7~G9内の※1の文章は、制御パラメータの変更に伴う懸念事項を示したもので、「第2電源における運転条件変更」にて「通常通り」を選択した場合は表示されなくてもよい。「通常通り」では消費電力に関連する制御パラメータが第1電源と同じ値であるため、十分な給水量が確保される条件にて運転されるためである。※2の文章は、給水方式に基づいて、非常時のポンプ動作の懸念事項を示す。
【0074】
更に、表示制御手段15は、入力手段11にて受付られた対象ポンプ装置の機器情報または/および制御パラメータに対応した「給水の特徴」と第2電源選定手段13にて選定された第2電源の「電源の特徴」とを同一画面にて表示してもよい。
【0075】
<制御パラメータ値の決定方法>
ここで、図4に示す表示領域R3における制御パラメータ値の決定方法を説明する。図12は、制限条件の選択による制御パラメータの選定例を示す表である。図12は、第2電源寿命優先、設定圧力優先、給水量優先のそれぞれの場合における制御パラメータの選定例である。ここで、「第2電源寿命優先」は、消費電力が第1電源時よりも減少するよう、電流値を抑制することを意味する。一方、「設定圧力優先」は、水量を制限し、目標圧力は維持されることを意味する。また「給水量優先」は、最大給水量は維持されるが、給水圧力は制限されることを意味する。いずれにせよ、第2電源にて使用される制御パラメータ値は、第2電源にて使用される制御パラメータ値よりも消費電力が低くなるように決定される。そのため、本実施形態では、何れの項目を優先させるにせよ、ポンプの並列運転台数は1台に限定されることが好ましい。
【0076】
図12は、ポンプ装置3に備えられたポンプの台数に関わらず、ポンプの並列運転台数を設定する(本例では1台)場合の例である。ポンプ装置3に備えられたポンプの台数が3台以上且つ第1電源時のポンプの並列運転台数が3台以上の場合は、第2電源にて運転される場合に減らす並列運転台数であってもよい。ここで、最高回転数、電流制限(ストール電流値)、加速時間は例えば、可変速手段ありの機種の場合のみ表示されることが好ましい。なお、ストール電流値を低い値とする、もしくは、加速時間を長くすると、使用水量の変化に対する応答性が遅くなるが急加速による消費電力を控えることができる。
「第2電源寿命優先」の場合には、電流制限(ストール電流値)、加速時間が変更される。「設定圧力優先」の場合には、最高回転数が変更される。
「給水量優先」の場合には、設定圧力が変更される。ここで設定圧の「設定値の*%」は例えば、初期値80%であり、ユーザにて変更可能である。このように、本実施形態の第2電源選定システムにおいて、ユーザは優先したい項目を選択するのみで、実際の制御パラメータならびにその値を意識することなく選択できる。
【0077】
なお、本実施形態では、優先項目を「第2電源寿命優先」「設定圧力優先」「給水量優先」とし、ユーザによる優先項目の選択により、制御パラメータ選定手段14は、制御パラメータの中から、並列運転台数、設定圧力、最高回転数、電流制限(ストール電流値)、加速時間の何れかを選定し、決定部20は当該選択した制御パラメータの値を図12に示す表の値に決定する。しかしながら、ユーザが優先項目を選択することで制御パラメータの値が自動的に決定されればよく、優先項目並びに変更される制御パラメータはこれに依らない。
【0078】
次に、Q-Hカーブにて各設定変更の効果について簡単に説明する。ここで、Q-Hカーブは、ポンプが運ぶことのできる流量Qとポンプが流体を押し上げることのできる高さ(揚程)Hの関係を示したものであり、Q-H特性と呼ばれる場合もある。
【0079】
図13は、Q-Hカーブの一例である。図13は、1台運転のQHカーブと2台並列運転のQHカーブの一例を示す図である。図13のグラフは、縦軸が揚程Hで横軸が給水量Qである。図9において1台運転のQ-HカーブW1と2台並列運転のQHカーブW2、抵抗曲線R1、R2が示されている。ここで、ポンプは一般的に、回転数と流量は比例関係にあり、揚程は流量の2乗に比例する。消費電力は流量の3乗に比例する。そのため、流量を抑えることで、第2電源の消費電力を抑えることができる。
【0080】
並列運転台数を2台から1台に制限すると、Q-HカーブW2が1台運転のQHカーブW1となり、ポンプは、抵抗曲線Rx1とQ-HカーブW1とが交わるポイントで運転する。これにより、給水先への最大給水量は少なくなるが、消費電力を少なくできる。
設定圧力をH1からH2に変更すると、圧力H2にて圧力一定制御もしくは抵抗曲線Rx2を用いて推定末端制御を行う。そのため、消費電力を少なくできる。
また、回転数をN1からN2に変更すると、Q-HカーブはW1からW1nとなる。そのため、最高回転数を制限すると、流量が抑制され消費電力を少なくできる。
【0081】
なお、制御パラメータに関わるQ-Hカーブの変化を表示器19に表示してもよい。例えば、画面1のボタンB10を押下することで、制御パラメータ選定手段14と決定手段20にて選定された各パラメータ値に対応したQ-Hカーブを図13に示す画面G100に表示されてもよい。そのとき、上述した効果の説明文章も一緒に表示されるとよい。このように電源選定システムは、制御パラメータに対応したQ-H特性を出力する手段を更に備えてもよい。これにより、ユーザは、制御パラメータ値の変更によって変わる運転ポイントが容易に確認できる。
【0082】
<最大給水量、運転時間の算出方法>
図14は、ポンプの性能曲線の一例である。図14はポンプ装置3におけるポンプ部の性能を表す代表性能曲線であって、縦軸に全揚程(T.H)、効率(EFF.)、出力(OUTPUT)、電流(CURRENT)で、横軸が給水量Qである。ポンプの性能曲線は、ポンプの機種毎の工場試験の結果に基づいて作成される。本実施形態では、機種名に関連付けられたポンプの性能曲線が、記憶装置61、62に設計データもしくは販売データとして記憶されており、記憶手段16には、当該記憶装置61、62に記憶された性能曲線の中から対象ポンプ装置3の機名にヒットした性能曲線がダウンロードされている。
【0083】
記憶手段16には、ポンプ機種毎、もしくは、対象ポンプ装置3の個体識別情報に係る代表性能曲線が記憶されている。なお、代表性能曲線自体を記憶してもよいし、代表性能曲線における主要ポイントの値が記憶手段16に記憶され、当該値から最大流量における全揚程(T.H)、効率(EFF.)、出力(OUTPUT)、電流(CURRENT)が決定手段20にて近似的に算出されてもよい。
【0084】
決定手段20は、第2電源使用時の最大水量Qmaxを算出するとよい。例えば、最高回転数Fmaxから最大水量Qmaxを求める。具体的には、制御パラメータ選定手段14にて選定された制御パラメータに最高回転数があれば最高回転数Fmaxは変更値とし、制御パラメータ選定手段14にて選定された制御パラメータに最高回転数がなければ最高回転数Fmaxは第1電源にて使用する値と同じ値にする。回転数と流量は比例するので、最高回転数Fmaxから最大水量Qmaxを求めることができる。また、最大水量Qmaxは上述のQ-Hカーブから算出されてもよい。
【0085】
決定手段20は、性能曲線から第2電源使用時の最大水量時の電力量(出力:OUTPUT)のポイントP1を抽出し、第2電源の容量に対して当該ポイントP1にて何時間運転できるかを示す運転時間を算出する。このように、決定手段20は、対象となるポンプ装置3の揚程と吐出し量との対応関係が予め記憶されている記憶手段16を参照して、当該記憶された対応関係と制御パラメータ選定手段14によって選定された制御パラメータとに基づいて最大給水量を決定する。表示制御手段15は、この決定された最大給水量を表示領域R19に表示する。
【0086】
また、決定手段20は、流量と消費電力の対応関係が予め記憶されており、前記第2電源の容量と前記最大給水量における消費電力に基づいて、運転可能時間を決定し、表示制御手段15は、前記決定された運転可能時間を表示領域R19に表示制御する。
【0087】
以上、実施例1に係る電源選定システム1aは、平常時に用いられる第1電源と非常時(例えば火災、災害時などの緊急時)に用いられる第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続された対象ポンプ装置の電源選定システムである。電源選定システム1aは、前記第2電源の運転条件の制限の有無を選択可能に表示器に表示する表示制御手段15と、前記第2電源の運転条件に制限がある場合におけるポンプ運転の優先項目をユーザから受け付ける入力手段11と、前記入力手段によって受け付けた優先項目に応じて、制御パラメータを選定する制御パラメータ選定手段14と、を備える。
【0088】
この構成によれば、第2電源での運転に切り替わった際に、ポンプ装置3は、制御パラメータ選定手段14にて選定された制御パラメータでポンプの運転を実行することができるよう、予め制御パラメータを選択することができる。これによって、第2電源での運転に切り替わった際に、適切にポンプを運転することができる。
【0089】
また、実施例1に係る電源選定システム1aは、対象ポンプ装置の機器情報を受け付ける入力手段11と、ポンプ装置の機器情報と当該ポンプ装置で使用実績のある電源に関する情報が関連付けられて記憶されている記憶装置を参照して、前記受け付けた機器情報に対応する当該機器情報で特定されるポンプ装置で使用実績のある電源に関する情報および/または当該機器情報で特定されるポンプ装置で使用可能な前記第2電源の電源仕様を前記第2電源の候補として出力する第2電源選定手段13と、を備える。
【0090】
この構成によれば、ポンプ装置で使用実績のある電源に関する情報および/またはポンプ装置で使用可能な第2電源の電源仕様をユーザが把握できるので、ユーザが適切な第2電源を選択するのを容易化することができる。
【0091】
また、実施例1に係る電源選定システム1aは、平常時に用いられる第1電源と緊急時(例えば火災、災害時など)に用いられる第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続された対象ポンプ装置の電源選定システムである。電源選定システム1aは、対象ポンプ装置の機器情報または/および制御パラメータを受付可能な入力手段11と、対象ポンプ装置の機器情報に応じて第2電源を選定する第2電源選定手段13とを備える。更に電源選定システム1aは、予め記憶された複数のグラフィックの中から、入力手段11によって受け付けられた対象ポンプ装置の機器情報および/または制御パラメータに対応した「ポンプ装置のグラフィック」と、第2電源選定手段13にて選定された第2電源の「電源システムのグラフィック」を選択し、当該選定した「ポンプ装置のグラフィック」と「電源システムのグラフィック」とを、装置構成として画面上に表示する表示制御手段15と、前記装置構成に対応可能な第2電源の候補を少なくとも一つ選定可能な第2電源選定手段13とを備える。入力手段11は、前記第2電源の候補の中からユーザによって選択された第2電源を受け付ける。
【0092】
この構成によれば、装置構成に対応可能な第2電源の候補が少なくとも一つ自動で選定され、ユーザが第2電源の候補の中から第2の電源を選択すればよいので、ユーザが適切な第2電源を選択するのを容易化することができる。
【0093】
<実施例2>
続いて実施例2について説明する。図15は、実施例2に係る情報処理システムの概略構成図である。図15の実施例2に係る情報処理システムS12は、図2の実施例2に係る情報処理システムS11に比べて、以下の点で異なっている。すなわち、電源選定システム1が現場の外に一台設けられ、現場A-i(iは1~Nまでの整数)それぞれには、端末装置5-i(iは1~Nまでの整数)が設けられている。端末装置5-iそれぞれは、ネットワークNW1を介して電源選定システム1に接続されている。
【0094】
端末装置5-iそれぞれは例えば、カメラ付きの多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)、カメラ付きのタブレット、またはカメラ付きのノートパソコンなどである。本実施例では端末装置5-iそれぞれは、一例としてカメラ付きのスマートフォンであるものとして説明する。端末装置5-iそれぞれには、本実施例に係るプログラムを含むアプリケーション(第2電源設定アプリともいう)がインストールされている。電源選定システム1bにて選定した制御パラメータが端末装置5-iへ送信され、制御パラメータを受信した端末装置で起動された別アプリケーションにて、その制御パラメータがポンプ装置に送信されて、ポンプ装置の記憶手段に保存される。以下、区別する必要がなければ、端末装置5-iを単に端末装置5と記す。
【0095】
また電源選定システム1は、ネットワークNW2を介して中央監視装置2に接続されている。中央監視装置2には、実験や他の現場の実機における第2電源の実績がデータベース化されて、記憶手段22に保存されている。また一例として、現場毎の制御パラメータがアップロードされて、記憶手段23に保存されている。
【0096】
図16は、実施例2に係る電源選定システムの概略構成図である。図16の実施例2に係る電源選定システム1bは、図3の実施例1に係る電源選定システム1aと比べて、以下の点で異なっている。すなわち、第1通信手段17がネットワーク通信手段17aに変更されて、第2通信手段18がネットワーク通信手段18aに変更されたものになっている。ネットワーク通信手段17aはネットワークNW2を介してポンプ装置3と通信する。一方、ネットワーク通信手段18aは、ネットワークNW1を介して中央監視装置2と通信する。また、第2電源設定アプリにて撮影した銘板またはポンプ装置の撮像データが、ネットワークNW1を介して装置情報の一例として入力手段11に入力される。
【0097】
続いて図17を参照しつつ、図18を用いて第2電源設定アプリの処理の流れについて説明する。図17は、端末装置の画面遷移の例を示す図である。図18は、第2電源設定アプリの処理の流れを示すフローチャートである。以下、電源選定システムにて選定した制御パラメータが第2電源設定アプリにてポンプ装置に書き込まれる処理の流れについて説明する。
【0098】
(ステップS10)図17の画面G11に示すように、対象のポンプ装置の機器情報を取得する。その際、対象のポンプ装置の銘板、ポンプ装置自体または当該銘板の情報がコードされたQRコード等をユーザの操作に応じて端末装置5-iが撮像し、端末装置5-iは撮影によって得られた撮像データからポンプ装置の機器情報を取得する。図17の画面G11の例では、撮影ボタンB71を押すことによって端末装置5-iが撮像し、端末装置5-iがポンプ装置の機器情報を取得する。
なお、端末装置5-iは、対象のポンプ装置の機器情報を、通信にて当該ポンプ装置より受信して取得してもよい。
【0099】
(ステップS20)撮影ボタンB71が押されて撮影が終了した後に、図17の画面G12に遷移する。図17の画面G12においてOKボタンB72が押された場合、端末装置5-iは、取得した機器情報を電源選定システムへ送信する。この際、端末装置5-iは、例えばGPS機能により当該端末装置5-iの位置を示す位置情報を取得し、一緒に送信してもよい。一方、図17の画面G12においてNGボタンB73が押された場合、取得した機器情報は送信されない。
【0100】
(ステップS30)電源選定システム1bは、機器情報を受信し、この機器情報に応じた少なくとも一つの推奨電源を選定し、選定した推奨電源を示す情報を端末装置5-iへ送信する。この推奨電源は、第2電源の候補である。
【0101】
(ステップS40)端末装置5-iは、電源選定システム1bによって選定された推奨電源を示す情報を受信する。
【0102】
(ステップS50)図17の画面G13に示すように、例えば推奨電源として電源A、電源Bが表示され、それぞれ電源AのチェックボックスS71、電源BのチェックボックスS72が示されている。推奨電源がひとつまたは3つ以上の場合は、当該推奨電源の何れかが選択可能に表示されるとよい。ユーザが使用する第2電源について、チェックボックスを選択した状態で、図17の画面G13内の選択ボタンB74が押された場合、端末装置5-iは、選択されたチェックボックスに対応する電源を、選択された第2電源として受け付ける。このように、端末装置5-iは、ユーザが使用する第2電源について、ユーザによる選択を受け付ける。なお、ユーザはチェックボックスを複数選択することによって、複数の第2電源を選択することも可能であってもよい。
【0103】
(ステップS60)次に、端末装置5-iは、ユーザによって選択された第2電源を識別する第2電源識別情報を、電源選定システム1bへ送信する。
【0104】
(ステップS70)電源選定システム1bは、この第2電源識別情報を受信する。
ここで、記憶手段16には例えば、第2電源識別情報(例えば、機名)に対応する設定コードが記憶されている。設定コードは、制御パラメータを識別するためのコード(例えば、アドレス)と該当する制御パラメータ値が含まれる。
電源選定システム1bは例えば、受信した第2電源識別情報に対応する設定コードを記憶手段16から取得する。
【0105】
(ステップS80)電源選定システム1bは、取得した設定コードを端末装置5-iへ送信する。
【0106】
(ステップS90)端末装置5-iは、電源選定システム1bによって取得された設定コードを受信する。端末装置5-iは、設定コードを受信した場合、図17の画面G14を表示してもよい。図17の画面G14において、ユーザによって書込ボタンが押された場合、受信した設定コードをポンプ装置3へ送信する。これにより、ポンプ装置3は、設定コードを制御手段32(または記憶部33)に保存する。これにより、制御手段32は、設定コードによる制御パラメータ値を記憶部33から読み出し、読み出した制御パラメータ値でポンプを制御することができる。
【0107】
本実施例の第2電源設定アプリは、実施例1の電源選定システムよりも操作ステップが少ない。つまり、端末装置5-iは、図15に示すように電源選定システム1bと通信可能な第1の通信部と、平常時に用いられる第1電源と緊急時に用いられる第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続された対象ポンプ装置と通信可能な第2の通信部と、図17に示すような第2電源を選定可能な操作表示部と、を備え、第2電源の選定に関する操作ステップが電源選定システム1bよりも少ない。これにより、本実施例の第2電源設定アプリ、つまり端末装置5-iを使用することにより、例えば大規模災害等でサービスマンが現地に行って、第2電源の設定を変更できない場合でも、操作に不慣れなユーザが第2電源の設定変更を行って、非常用電源として機能する第2電源にてポンプを運転継続することができる。
【0108】
なお、電源選定システム1bは、第2電源識別情報に対応する設定コードを記憶手段16から取得したが、これに限ったものではない。記憶手段16には例えば、電源識別情報(例えば、機名)に対応する制御パラメータ値が記憶されており、電源選定システム1bは、受信した第2電源識別情報(例えば、機名)に対応する制御パラメータ値を記憶手段16から取得してもよい。
【0109】
以上、本実施例に係るプログラムは、平常時に用いられる第1電源と緊急時に用いられる第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続された対象ポンプ装置と情報交換可能に接続可能であり且つ当該対象ポンプ装置の制御パラメータを選定する電源選定システムと情報交換可能に接続可能な端末装置に、前記対象ポンプ装置の機器情報をユーザから受け付ける手順と、前記機器情報を前記電源選定システムへ送信する手順と、前記機器情報に対応する推奨電源を少なくとも一つ前記電源選定システムから受信する手順と、前記受信された推奨電源の中から第2電源の選択を受け付ける手順と、前記選択された第2電源を識別する情報を前記電源選定システムへ送信する手順と、前記第2電源に対応する設定コードまたは制御パラメータを前記電源選定システムから受信する手順と、前記受信された設定コードまたは制御パラメータを前記対象ポンプ装置の制御手段に書き込むために、当該設定コードを前記対象ポンプ装置へ送信する手順と、を実行させるためのプログラムである。
【0110】
この構成によれば、本プログラムを使用することにより、例えば大規模災害等でサービスマンが現地に行って、第2電源の設定を変更できない場合でも、操作に不慣れなユーザが第2電源の設定変更を行って、非常用電源として機能する第2電源にてポンプを運転継続することができる。
【0111】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与する等して説明を省略する。図19は、第2の実施形態に係る情報処理システムに概略構成図である。図19の情報処理システムS2が、図1の第1の実施形態に係る情報処理システムS1に比べて、ポンプ装置3がポンプ装置3bに変更され、第2電源D2が三つの第2電源A、第2電源B、第2電源Cに変更されたものになっている。第2電源A、B、Cは、発電機、蓄電池、電気自動車のバッテリ、または太陽光などの自然エネルギを利用した発電装置(例えば、太陽光パネル)である。第2電源A、B、Cは異なる電源の組み合わせでもよく、例えば、電源Aは発電機、電源Bは蓄電池、電源Cは太陽光パネルなどであってもよいし、同じ種別の電源で容量が異なるものの組み合わせでもよい。
なお、第2電源の台数は、2以下であってもよいし、4以上であってもよい。
【0112】
図19に示すように、ポンプ装置3bは、運転パネル31、制御手段32、ポンプ部34、第1の更新手段35、第2の更新手段36、判定手段37、出力手段38、受信手段39を備える。ポンプ部34は流体を吐き出し可能であり、制御手段32はポンプ部34を制御する。本実施形態では、第1の更新手段35、第2の更新手段36、判定手段37、出力手段38、受信手段39は、制御手段32を構成するCPUにて構成される。出力手段38は例えば、出力ポートであって、制御手段32の受信手段39は、例えば、入力ポートであって、電源切替装置4から、電源の供給元を識別する電源識別信号が入力される。これにより、制御手段32は、現在、ポンプ装置3bに電力を供給している電源を識別することができる。各部の処理については後述する。
【0113】
記憶部33は、第1の記憶手段331と、第2の記憶手段332とを有する。第1の記憶手段331には、第1電源D1がポンプ装置に電力を供給する際に使用される制御パラメータ群が記憶されている。一方、第2の記憶手段332には、複数の第2電源に含まれる第2電源がポンプ装置に電力を供給する際に使用される制御パラメータ群が当該複数の第2電源毎に記憶されている。
【0114】
これらの第2電源用の制御パラメータは、電源選定システム1から書き込まれてもよいし、第2の記憶手段332に、第2電源用の制御パラメータをテーブルとして持ち、電源選択システムから指定された第2電源用の制御パラメータを一括で変更してもよい。
【0115】
なお、記憶部33は、ポンプ装置3bに内蔵に限らず、ポンプ装置3bに外付けでまたは通信により接続されていてもよく、第1の記憶手段331及び第2の記憶手段332は、ひとつのメモリで構成されてもよい。
【0116】
図20は、第2の実施形態に係る発電力低下信号の流れを示す模式図である。ここで、発電力低下信号は、第1電源の停電信号または第2電源A、B、Cそれぞれの発電力が低下した場合に、発電力が低下した旨を示す信号である。接続される電源毎に発電力低下信号が接続されてもよいし、第1電源と複数の第2電源との発電力低下信号が接続されてもよい。第1電源の停電信号は、たとえば、ユーザが第2電源の使用を選択したら電源切替手段SWから出力されるとよい。例えば、第2電源の発電力低下は、第2電源A、B、Cの発電力が予め決められた閾値より低下した場合に出力される。例えば、第2電源A、B、またはCが、発電機の場合、発電用の燃料が予め決められた閾値量より少なくなった場合に発電力低下信号が出力され、電源切替手段SWを介してポンプ装置3bへ出力される。このように、ポンプ装置3bは、現在使用されている電源の発電力の低下もしくは停電を検知する。
【0117】
受信手段39が第1電源D1の停電信号を受信すると、当該信号にて第1の更新手段35が、第2の記憶手段332に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された第1電源D1の次に使用される第2電源(ここでは一例として第2電源A)の制御パラメータ群の値で制御手段32の制御パラメータ値を更新する。
【0118】
受信手段39が第2電源A,B、Cの何れかの発電力低下信号を受信すると、当該信号にて第2の更新手段35が、第2の記憶手段332に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された、発電力低下信号を出力した第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータ群の値で制御手段32の制御パラメータ値を更新する。
【0119】
図21は、第2の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは前提として、非常事態が発生し、第1電源D1から第2電源Aに電源が既に切り替わっており、第2電源Aからポンプ装置3bに電力が供給されているものとする。受信手段39は、ポンプ装置3bと導通している第2電源を識別する電源識別信号を前記電源切替手段から受信可能である。
【0120】
(ステップS110)まず判定手段37は、第2電源Aの電源容量が低下したか否かを判定する。このように、判定手段37は、特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)から供給されている間に当該第2電源の発電力低下信号(または第2電源の電気出力)に基づいて、前記第2電源の出力低下の有無を判定する。
【0121】
(ステップS120)ステップS110で第2電源Aの電源容量が低下した(YES)と判定された場合、制御手段32はポンプ部34を停止する。
このように、制御手段32は、判定の結果、前記第2電源の電源出力低下に該当する場合、前記ポンプを強制停止する。当該強制停止は、前記第2の更新手段によって前記制御手段の制御パラメータが更新され、且つ、接続される電源が前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった後に解除されてもよい。
【0122】
(ステップS130)電源選定システム1またはポンプ装置3の制御手段32は、次にポンプ装置3に電力供給する第2電源Bの制御パラメータを選定する。
【0123】
(ステップS140)第2の更新手段36は、選定された制御パラメータを記憶する。このように、第2の更新手段36は、第2の記憶手段332に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された第2電源Bの制御パラメータで前記第3の記憶部の制御パラメータを更新する。ここで、第2電源Bは、特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)の次に使用される。このように、第2の更新手段36による前記制御パラメータの更新は、前記特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)から前記次に使用される第2電源(ここでは一例として第2電源B)に切り替わる前に実行される。
【0124】
ここで、次に使用される制御パラメータは、電源選定システム1または制御手段32にて選択されるのに替えて/加えて、電源選定システムや表示器等から、第2電源を接続したときにユーザにて選択されてもよい。
【0125】
(ステップS150)出力手段38は例えば、第2電源Aから第2電源Bへの電源切替指令を、例えば電源切替手段SWを介して、第2電源A、第2電源Bへ出力する。このように、出力手段38は、特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)から前記次に使用される第2電源(ここでは一例として第2電源B)への電源切替指令を電源切替手段SWおよび/またはポンプ装置3bの状態が表示される運転パネル31に出力する。
【0126】
(ステップS160)これにより、第2電源Aが落ち、第2電源Bが立ち上がる。なお、第2電源Bが立ち上がった際に、ユーザがポンプ装置3bを介して第2電源Bの制御パラメータ値を選択または入力してもよい。
【0127】
(ステップS170)制御手段32は、第2電源Bの制御パラメータでポンプ装置3bを再起動する。そして、特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)から前記次に使用される第2電源(ここでは一例として第2電源B)に切り替わりポンプ装置3bが再起動された時に、制御手段32は、前記更新された前記制御パラメータを用いて、ポンプ部34を制御する。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0128】
このように、制御手段32は、前記特定の第2電源(ここでは一例として第2電源A)から前記次に使用される第2電源(ここでは一例として第2電源B)に切り替わった場合、第2の更新手段36によって更新された制御パラメータを用いて、ポンプ部34を制御する。
【0129】
続いて、図22を用いて別の実施例について説明する。図22は、第2の実施形態に係る処理の流れの第2の例を示すフローチャートである。本変形例では、ポンプ装置3bの電源が第2電源Aに切り替わったタイミングで開始されるフローチャートについて説明する。
【0130】
(ステップS210)電源切替手段SWは、使用中の第2電源Aの識別信号をポンプ装置3bへ送信する。
【0131】
(ステップS220)ポンプ装置3bは、運転用制御パラメータにてポンプを運転する。ここで、第2電源Aの識別信号を受信且つ前回受信した電源の識別信号が第2電源A以外の場合、または電源起動時等の所定のタイミングで、第2電源A用の運転用制御パラメータを第2記憶領域332から読み出し、第2電源A用の運転用制御パラメータ値を運転用制御パラメータ値に設定する。ポンプ装置3bは、この第2電源A用の運転用制御パラメータ値に基づいてポンプを運転する。
【0132】
(ステップS230)電源切替手段SWは、第2電源の発電力低下を検出すべく監視する。
【0133】
(ステップS240)電源切替手段SWは、第2電源の発電力低下を検出した場合、第2電源A電力低下信号をON状態としてポンプ装置3bへ送信する。第2電源の発電力低下を未検出の場合は、第2電源A電力低下信号をOFF状態とする。
【0134】
(ステップS250)ポンプ装置3bは、第2電源A電力低下信号のON状態を受信した場合、ポンプ部34を停止する。ポンプ部34の可変速手段としてインバータが使用されている場合は不安定な電源で駆動することでインバータが過電流トリップ等の異常を検知したり、ポンプの回転数が不安定となり圧力変動が大きくなったりしてしまう虞がある。使用されている第2電源の電力低下に伴ってポンプ部34を停止することで、インバータの故障や過度な圧力変動を防止できる。
【0135】
(ステップS260)電源切替手段SWは、第2電源A電力低下信号をポンプ装置3bへ送信した後、第2電源Aとの電気的な接続を切断する。この切断は電源切替手段SWによるものでもよいし、人手であってもよい。
【0136】
(ステップS270)次に電源切替手段SWは、第2電源Aを切断するための信号をポンプ装置3bへ送信する。もしくは、電源切替手段SWは、ポンプ装置3bの主電源を第2電源Aから切断する。
【0137】
(ステップS280)ポンプ装置3bは、その主電源が切断される。
【0138】
(ステップS290)続いて電源切替手段SWは、ポンプ装置3bを復電すべく、第2電源Bと電気的に接続する。この接続は電源切替手段SWによるものでもよいし、人手であってもよい。
【0139】
(ステップS300)次に電源切替手段SWは、ポンプ装置3bが接続されている第2電源を認識できるよう、第2電源Bの識別信号をポンプ装置3bへ送信する。
【0140】
(ステップS310)次に電源切替手段SWは、ポンプ装置3bが接続されている第2電源を認識できるよう、第2電源Bの識別信号をポンプ装置3bへ送信する。
【0141】
(ステップS320)ポンプ装置3bは、第2電源Bの識別信号を受信した後、第2電源Bの制御パラメータを第2記憶領域332から選定する。
【0142】
(ステップS330)ポンプ装置3bは、選定した制御パラメータの値を第2記憶領域332に運転用制御パラメータの値として記憶する。ポンプ装置3bは、第2電源Bの制御パラメータ値が記憶された運転用制御パラメータに基づいて運転される。
【0143】
(ステップS340)ポンプ装置3bは、ポンプ再起動運転用制御パラメータに、この第2電源Bの制御パラメータを設定することが好ましい。これにより、変更された電源に伴う制御パラメータの履歴が参照できる。
【0144】
以上、第2の実施形態に係るポンプ装置3bは、平常時に用いられる第1電源と非常時に用いられる複数の第2電源との間で電源を切り替える電源切替手段に接続され、前記第1電源が接続されているときに使用される制御パラメータが記憶されている第1の記憶手段331と、前記複数の第2電源に含まれる前記第2電源が前記ポンプ装置に電力を供給する際に前記ポンプ装置によって使用される制御パラメータが当該第2電源毎に記憶されている第2の記憶手段332と、を参照可能なポンプ装置である。
【0145】
第2の実施形態に係るポンプ装置3bは、流体を吐き出し可能なポンプ部34と、前記ポンプ部34を制御する制御手段32とを備える。更に第2の実施形態に係るポンプ装置3bは、前記第2の記憶手段332に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記第1電源D1の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する第1の更新手段と、前記第2の記憶手段332に記憶された複数の制御パラメータの中から取得された前記特定の第2電源の次に使用される第2電源の制御パラメータで前記制御手段の制御パラメータを更新する第2の更新手段と、を備える。制御手段32は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、前記第2の更新手段36によって更新された前記制御パラメータを用いて、前記ポンプ部34を制御する。
【0146】
この構成により、特定の第2の電源の発電力が低下した場合に、第2電源に切り替え、第2電源に応じた適切な制御パラメータでポンプを運転することができる。これにより、特定の第2の電源の発電力が低下した場合でも、ポンプの適切な運転を継続することができる。
【0147】
なお、運転パネル31はポンプ装置3bに備えられた物でもよいし、多機能携帯電話(いわゆるスマートフォン)などの外部表示器でもよい。表示を確認したユーザが切替手段に該当する第2電源を手動でポンプ装置3bに接続してもよい。
【0148】
なお、ポンプ選定システム1は、第2電源が複数ある場合は、第2電源選定手段13と制御パラメータ選定手段14のGUIである領域R2,R3を複数有し、ユーザが複数の制御の第2電源毎の制御パラメータを選定できるとよい。
【0149】
なお、判定手段37は、前記特定の第2電源から前記次に使用される第2電源に切り替わった場合、切り替わり前後で前記受信された電源識別情報が異なるか否かを判定してもよい。具体的には、停電からの復電時に電源識別情報が異なるか否かを判定する。通電時に電源識別信号に基づいた電源識別情報を不揮発性メモリに記憶し、停電から復電した時に当該不揮発性メモリの電源識別情報と現在の電源識別信号に基づいた電源識別情報が等しいか否かを判定する。その場合、第2の更新手段36は、復電前後で電源識別情報が異なる場合、前記前記切り替わり後の電源識別信号を用いて当該次に使用される第2電源の制御パラメータを前記第2の記憶手段332から取得し、当該取得した制御パラメータで前記制御手段32の制御パラメータを更新してもよい。そして制御手段32は、前記更新された制御パラメータを用いて、前記ポンプ部34を制御してもよい。
【0150】
なお、上述した実施形態で説明した電源選定システム1、1a、1bの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、電源選定システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0151】
また、電源選定システム1、1a、1bの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0152】
さらに、一つまたは複数の情報機器によって電源選定システム1、1a、1bを機能させてもよい。複数の情報機器を用いる場合、そのうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより電源選定システム1、1a、1bの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0153】
以上、上述の各実施形態に記載した電源選定システムは、第2電源での運転に切り替わった際に適切にポンプを運転することができる第2電源および/または制御パラメータを選定するのを容易化することができる。
【0154】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1、1a、1b 電源選定システム
11 入力手段
12 ポンプ装置選定手段
13 第2電源選定手段
14 制御パラメータ選定手段
15 表示制御手段
16 記憶手段
17 第1通信手段
18 第2通信手段
19 表示器
2 中央監視装置
20 決定手段
21、22、23 記憶部
3、3b ポンプ装置
31 運転パネル(表示器)
32 制御手段
33 記憶部
34 ポンプ部
4 電源切替装置
5-1、…、5-N 端末装置
6 撮像装置
61、62 記憶装置
D1 第1電源
D2 第2電源
NW ネットワーク
NW1 社外ネットワーク
NW2 社内ネットワーク
SW 電源切替手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22