(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148256
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、プログラム及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20220929BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20220929BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 X
C23C16/455
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049869
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ひろせ▼ 義朗
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA14
4K030AA18
4K030BA44
4K030CA12
4K030EA01
4K030FA10
4K030GA02
4K030GA04
4K030JA03
5F045AA06
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC00
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC08
5F045AC12
5F045AC15
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AE21
5F045AE23
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5F058BF24
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板上に形成される膜の面内均一性を向上させる半導体装置の製造方法、プログラム及び基板処理装置できる。
【解決手段】基板を処理する処理容器202と、処理容器内に設けられた基板支持部212と、基板支持部に基板(ウエハW)を支持した状態で、処理容器に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部243a~243dと、基板支持部に基板を支持した状態で、処理容器に原料ガスを供給する原料ガス供給部244a~244dと、を有する基板処理装置100であって、基板を、成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、基板を、原料ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記原料ガスは、第1原料ガスと第2原料ガスを含み、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、
前記第1原料ガスを供給して前記基板上に第1原料を吸着させる工程と、
前記第2原料ガスを供給して前記基板上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、
を含むサイクルを1回以上行う請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を含むサイクルを1回以上行う請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる手順と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項5】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる処理と、前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する処理と、を行わせるように、前記基板支持部と前記成膜補助ガス供給部と前記原料ガス供給部を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、プログラム及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法において、基板に対して所定のプロセス処理を行う基板処理装置が用いられる。プロセス処理としては、例えば複数種類のガスを順に供給して行う成膜処理がある(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5384291号公報
【特許文献2】特開2016-9742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に所定のプロセス処理を行う際に、基板上に形成する膜の種類や、供給するガスの種類によって処理圧力や供給量などの最適なプロセス条件が異なることとなる。このため、上述したような基板処理装置を用いた場合、ガスを供給するガス供給口と基板の距離が一定であるために、基板上に形成される膜の面内均一性が悪化する場合がある。
【0005】
本開示は、基板上に形成される膜の面内均一性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板上に形成される膜の面内均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図であって、基板を第1位置に設定した場合を示した図である。
【
図3】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理シーケンスを示す図である。
【
図5】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理シーケンスの変形例を示した図である。
【
図6】本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理シーケンスの変形例を示した図である。
【
図7】本開示の第2実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成図であり、縦断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
[第1実施形態]
(1)基板処理装置の構成
図1に示されているように、基板処理装置100は、処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。処理室である処理容器202内には、基板としてのウエハWを処理する処理空間205と、ウエハWを処理空間205に搬送する際にウエハWが通過する搬送空間206とが形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板208が設けられる。
【0011】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ149に隣接した基板搬入出口204が設けられており、ウエハWは基板搬入出口204を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。
【0012】
処理空間205には、ウエハWを支持する基板支持部210が配される。基板支持部210は、ウエハWを載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212、基板載置台212内に設けられた加熱源としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。ヒータ213にはヒータ制御部220が接続され、コントローラ280の指示によって所望の温度に加熱される。
【0013】
処理空間205の上部(上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230の蓋231にはガス導入孔231aが設けられる。ガス導入孔231aは後述するガス供給管242と連通する。
【0014】
シャワーヘッド230は、ガスを分散させるための分散機構としての分散板234を備えている。この分散板234の上流側がバッファ空間232であり、下流側が処理空間205である。分散板234には、ガス供給口である複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、基板載置面211と対向するように配置されている。分散板234は例えば円盤状に構成される。貫通孔234aは分散板234の全面にわたって設けられている。
【0015】
上部容器202aはフランジを有し、フランジ上に支持ブロック233が載置され、固定される。支持ブロック233はフランジ233aを有し、フランジ233a上には分散板234が載置され、固定される。更に、蓋231は支持ブロック233の上面に固定される。
【0016】
(ガス供給部)
シャワーヘッド230の蓋231に設けられたガス導入孔231aと連通するよう、蓋231にはガス供給管242が接続される。ガス供給管242には、第1ガス供給管243a、第2ガス供給管244a及び第3ガス供給管245aが接続されている。
【0017】
(第1ガス供給系)
第1ガス供給管243aには、上流方向から順に、第1ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。
【0018】
第1ガス供給管243aからは、処理ガスであり、後述する第1原料ガスのウエハW表面上への吸着を補助する吸着補助ガスが、MFC243c、バルブ243d、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して処理空間205に供給される。吸着補助ガスとしては、例えば水蒸気(H2O)が用いられる。吸着補助ガスは、後述する薄膜形成工程において供給する原料ガスの成膜を補助する役割を有することから、成膜補助ガスとも呼ぶ。
【0019】
主に、第1ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第1ガス供給系(成膜補助ガス供給部、吸着補助ガス供給部ともいう)が構成される。なお、第1ガス供給源243bを、第1ガス供給系に含めてもよい。
【0020】
(第2ガス供給系)
第2ガス供給管244aには、上流方向から順に、第2ガス供給源244b、MFC244c、及びバルブ244dが設けられている。
【0021】
第2ガス供給管244aからは、第1原料ガスが、MFC244c、バルブ244d、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して処理空間205に供給される。
【0022】
主に、第2ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、第2ガス供給系(第1原料ガス供給部又は原料ガス供給部ともいう)が構成される。なお、第2ガス供給源244bを、第2ガス供給系に含めてもよい。
【0023】
第1原料ガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスとしては、例えばジクロロシラン(SiH2Cl2、DCSとも呼ぶ)やヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、HCDSとも呼ぶ)ガスが用いられる。
【0024】
(第3ガス供給系)
第3ガス供給管245aには、上流方向から順に、第3ガス供給源245b、MFC245c、及びバルブ245dが設けられている。
【0025】
第3ガス供給管245aからは、第2原料ガスが、MFC245c、バルブ245d、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して処理空間205に供給される。
【0026】
主に、第3ガス供給管245a、MFC245c、バルブ245dにより、第3ガス供給系(第2原料ガス供給部又は反応ガス供給部ともいう)が構成される。なお、第3ガス供給源245bを、第3ガス供給系に含めてもよい。
【0027】
第2原料ガスは、例えば酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つであり、第1原料ガスと反応するガスである。ここでは、例えば酸素含有ガスとして説明する。具体的には、酸素含有ガスとして、オゾン(O3)ガスが用いられる。第1原料ガスと第2原料ガスとが反応して、ウエハW上にシリコン酸化(SiO)膜を形成する。
【0028】
また、ガス供給管242には、窒素(N2)ガス等の不活性ガスを供給する不図示の不活性ガス供給系(不活性ガス供給部)が接続され、基板処理工程では、処理容器202内やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとしても作用する。
【0029】
すなわち、シャワーヘッド230は、処理容器202内に処理ガスとして吸着補助ガスを供給する際には、成膜補助ガス供給部(吸着補助ガス供給部)として機能する。また、シャワーヘッド230は、処理容器202内に第1原料ガス又は第2原料ガスを供給する際には、原料ガス供給部として機能する。また、シャワーヘッド230は、処理容器202内に不活性ガスを供給する際には、不活性ガス供給部として機能する。
【0030】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、さらに処理容器202の外部で昇降部218に接続されている。
【0031】
昇降部218はシャフト217を支持する支持軸と、支持軸を昇降させたり回転させたりする作動部を主に有する。作動部は、例えば昇降を実現するためのモータを含む昇降機構と、支持軸を回転させるための歯車等の回転機構を有する。
【0032】
昇降部218を作動させてシャフト217および基板載置台212を昇降させることにより、基板載置台212は、基板載置面211上に載置されるウエハWを昇降させることが可能となる。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、これにより処理空間205内は気密に保持されている。
【0033】
基板載置台212は、ウエハWの搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口204に対向する位置まで下降する。そして、ウエハWの成膜時であって、吸着補助処理工程時には、
図2で示されるように、ウエハWが処理空間205の下方の第1位置となるまで上昇する。そして、ウエハWの成膜時であって、薄膜形成工程時には、
図1で示されるように、ウエハWが処理空間205内の処理位置となる第2位置となるまで上昇する。ここで、第1位置とは、
図2で示されるように、ウエハW表面と、ウエハW表面に対向するシャワーヘッド230の貫通孔234aと、の距離が第1距離Aとなる位置である。また、第2位置とは、
図1で示されるように、ウエハW表面と、ウエハW表面に対向するシャワーヘッド230の貫通孔234aと、の距離が第1距離Aとは異なる第2距離Bである位置である。また、第2位置は、第1位置とは垂直方向に異なる位置であり、第2距離Bは、例えば第1距離Aより短く設定される。
【0034】
なお、第1距離A、第2距離Bは、具体的には貫通孔234aの先端からウエハW表面までの距離である。本態様においては、説明の便宜上、各距離は貫通孔234aからウエハWの表面までの距離とする。
【0035】
また、貫通孔234aの先端とは、例えば貫通孔234aを構成する構造のうち、ウエハWと対向する方向における先端をいう。分散板234の下端を貫通孔234aの先端と呼んでもよい。
【0036】
(排気部)
処理容器202の雰囲気を排気する排気部を説明する。処理容器202には、処理空間205に連通するよう、排気管262が接続される。排気管262は、処理空間205の側方に設けられる。排気管262には、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)266が設けられる。APC266は開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ280からの指示に応じて排気管262のコンダクタンスを調整する。排気管262においてAPC266の上流側にはバルブ267が設けられる。バルブ267の下流には、排気管262の圧力を計測する圧力モニタ部268が設けられる。
【0037】
圧力モニタ部268は、排気管262の圧力を監視するものである。排気管262と処理空間205が連通していることから、間接的に処理空間205の圧力を監視している。圧力モニタ部268はコントローラ280と電気的に接続され、検出した圧力データをコントローラ280に送信する。
【0038】
排気管262、圧力モニタ部268、バルブ267、APC266をまとめて排気部と呼ぶ。更に、真空ポンプ269が設けられる。図示のように、真空ポンプ269は、排気管262を介して処理空間205の雰囲気を排気する。
【0039】
(コントローラ)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。
【0040】
コントローラ280の概略を
図3に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a、RAM(Random Access Memory)280b、記憶部としての記憶装置280c、I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b、記憶装置280c、I/Oポート280dは、内部バス280fを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。
【0041】
コントローラ280には、例えばキーボード等として構成された入力装置281や、外部記憶装置282が接続可能に構成されている。更に、上位装置270にネットワークを介して接続される受信部283が設けられる。
【0042】
表示装置284には、各モニタ部で検出されたデータ等が表示される。なお、本実施形態においては入力装置281と別の部品として説明したが、それに限るものではない。例えば入力装置がタッチパネル等表示画面を兼ねるものであれば、入力装置281と表示装置284とを一つの部品としてもよい。
【0043】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピやそれを実現するために基板処理装置の動作を制御する制御プログラムとしてのレシピプログラム、後述するテーブル等が読み出し可能に格納されている。なお、レシピプログラムは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このレシピプログラムや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0044】
I/Oポート280dは、ゲートバルブ149、昇降機構218、APC266、圧力モニタ部268、真空ポンプ269、MFC243c,244c,245c、バルブ243d,244d,245d,267、ヒータ制御部220等、基板処理装置100の各構成に接続されている。
【0045】
CPU280aは、記憶装置280cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入力装置281からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからレシピプログラムを読み出すように構成されている。そして、CPU280aは、読み出されたレシピプログラムの内容に沿うように、ゲートバルブ149の開閉動作、昇降機構218の昇降動作、圧力モニタ部268による圧力検出動作、真空ポンプ269のオンオフ制御、MFC243c,244c,245cの流量調整動作、バルブ243d,244d,245d,267、APC266の開閉動作、ヒータ制御部220によるヒータ213の温度制御等を制御可能に構成されている。
【0046】
なお、コントローラ280は、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)282を用いてコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置280cや外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0047】
(2)基板処理工程
次に、基板処理装置100を使用して、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、ウエハW上に薄膜を形成する処理を実施する方法の例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0048】
以下、本実施形態の基板処理工程を、
図4を用いて具体的に説明する。
【0049】
なお、ここでは、基板処理工程として、
ウエハWを、シャワーヘッド230の貫通孔234aからの距離が第1距離Aである第1位置に設定して、吸着補助ガスを供給してウエハW上に吸着補助ガスを吸着させる工程と、
ウエハWを、シャワーヘッド230の貫通孔234aからの距離が第1距離Aとは異なる第2距離Bである第2位置に移動させて、原料ガスを供給してウエハW上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を有する。
【0050】
そして、ウエハW上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、第1原料ガスを供給してウエハW上に第1原料を吸着させる工程と、第2原料ガスを供給してウエハW上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、を含むサイクルを1回以上行う。
【0051】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0052】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0053】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0054】
(基板搬入・載置工程:ステップS10)
基板処理装置100では基板載置台212をウエハWの搬送位置まで下降させることにより、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ149を開き、図示しないウエハ移載機を用いて、処理室内にウエハW(処理基板)を搬入し、リフトピン207上にウエハWを移載する。これにより、ウエハWは、基板載置台212の表面から突出したリフトピン207上に水平姿勢で支持される。
【0055】
処理容器202内にウエハWを搬入したら、ウエハ移載機を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ149を閉じて処理容器202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置台212に設けられた基板載置面211上にウエハWを載置する。
【0056】
なお、ウエハWを処理する処理室である処理容器202内に搬入する際には、排気系により処理容器202内を排気しつつ、不活性ガス供給系から処理容器202内に不活性ガスとしてのN2ガスを供給することが好ましい。すなわち、真空ポンプ269を作動させ、APC266を開けることにより処理容器202内を排気した状態で、少なくとも不活性ガス供給系のバルブを開けることにより、処理容器202内に不活性ガスを供給することが好ましい。これにより、処理容器202内へのパーティクルの侵入や、ウエハW上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。また、真空ポンプ269は、少なくとも基板搬入・載置工程(S10)から後述する基板搬出工程(S18)が終了するまでの間は、常に作動させた状態とする。
【0057】
ウエハWを基板載置台212の上に載置する際は、基板載置台212の内部に埋め込まれたヒータ213に電力を供給し、ウエハWの表面が所定の温度となるよう制御される。この際、ヒータ213の温度は、図示しない温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ213への通電具合を制御することによって調整される。
【0058】
[吸着補助処理工程]
(吸着補助ガス供給:ステップS11)
次に、基板載置台212を上昇させることにより、ウエハWを、
図2で示されるように、貫通孔234aからの距離が第1距離Aとなる第1位置に移動させる。
【0059】
そして、第1ガス供給管243aのバルブ243dを開き、第1ガス供給管243a内に吸着補助ガスを流す。吸着補助ガスは、第1ガス供給管243aから流れ、MFC243cにより流量調整される。流量調整された吸着補助ガスは、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0060】
このとき、同時にガス供給管242から不活性ガスとしてN2ガスを供給してもよい。流量調整されたN2ガスは、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0061】
このとき、基板載置台212にウエハWが支持された状態で、処理空間205内に吸着補助ガスが供給される。ウエハWには、吸着補助ガスが供給され、ウエハWの表面上には、吸着補助ガスが吸着され、吸着補助ガスの成分のダングリングボンドが形成される。ここでは吸着補助ガスの成分、例えば酸素成分がウエハW上に物理吸着するとともに、吸着補助ガスの成分のダングリングボンドが形成される。
【0062】
吸着補助ガスは、後述する第1原料ガスのウエハW表面上の少なくとも一部への吸着を補助する。これにより、次の第1原料ガス供給(S13)において第1原料がウエハWの表面上に吸着し易くなる。
【0063】
ここで、第1距離Aは、ウエハWの表面に吸着補助ガスを吸着させる際に、貫通孔234aの影響を受けにくい距離を示す。影響を受けにくい距離とは、例えば吸着補助ガスがウエハWの表面に到達するまでに均等に拡散可能な距離をいう。言い換えれば、吸着補助ガスをウエハW面内に均一に供給可能な距離ともいう。
【0064】
(残留ガス除去:ステップS12)
所定時間が経過した後、第1ガス供給管243aのバルブ243dを閉じ、吸着補助ガスの供給を停止する。このとき、排気管262のバルブ267、APC266は開いたままとして、真空ポンプ269により処理空間205内を真空排気し、処理空間205内に残留する未反応の吸着補助ガスや反応副生成物を処理空間205内から排除する(残留ガス除去)。なお、このとき、不活性ガスとしてのN2ガスの処理空間205内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理空間205内に残留する未反応の吸着補助ガスや反応副生成物を処理空間205内から排除する効果を高めることができる。なお、このとき貫通孔234aからウエハWまでの距離は、第1距離Aに維持される。
【0065】
[薄膜形成工程]
(第1原料ガス供給:ステップS13)
次に、基板載置台212を上昇させることにより、ウエハWを、
図1で示されるように、貫通孔234aからの距離が第1距離Aとは異なる第2距離Bとなる第2位置に移動させる。第2距離Bは、例えば第1距離Aよりも短い距離である。
【0066】
ここでは、処理スループットを高めるために、第1距離Aよりも短い距離とする。第1距離Aよりも短い距離とすることで、処理空間205の空間容積を小さくすることができるので、後述する残留ガスを早期にパージすることが可能となる。
【0067】
そして、第2ガス供給管244aのバルブ244dを開き、第2ガス供給管244a内に第1原料ガスを流す。第1原料ガスは、第2ガス供給管244aから流れ、MFC244cにより流量調整される。流量調整された第1原料ガスは、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0068】
このとき、同時にガス供給管242から不活性ガスとしてN2ガスを供給してもよい。流量調整されたN2ガスは、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0069】
このとき、基板載置台212にウエハWが支持された状態で、処理空間205内に第1原料ガスが供給される。ウエハWには第1原料ガスが供給され、吸着補助ガスが吸着された箇所に第1原料ガスに含まれる第1原料が吸着される。一方、吸着補助ガスが吸着されていない箇所には、第1原料が吸着されない。ここでは、例えばウエハW上に形成されたダングリングボンドと第1原料ガスの原料成分とが結合する。
【0070】
(残留ガス除去:ステップS14)
所定時間が経過した後、第2ガス供給管244aのバルブ244dを閉じ、第1原料ガスの供給を停止する。このとき、排気管262のバルブ267、APC266は開いたままとして、真空ポンプ269により処理空間205内を真空排気し、処理空間205内に残留する未反応もしくは第1原料の吸着に寄与した後の第1原料ガスや反応副生成物を処理空間205内から排除する(残留ガス除去)。なお、このとき、不活性ガスとしてのN2ガスの処理空間205内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理空間205内に残留する未反応もしくは第1原料の吸着に寄与した後の第1原料ガスや反応副生成物を処理空間205内から排除する効果を高めることができる。なお、本工程では貫通孔234aからウエハWまでの距離は、第2距離Bに維持される。
【0071】
(第2原料ガス供給:ステップS15)
処理空間205内の残留ガスを除去した後、第3ガス供給管245aのバルブ245dを開き、第3ガス供給管245a内に第2原料ガスを流す。第2原料ガスは第3ガス供給管245aから流れ、MFC245cにより流量調整される。流量調整された第2原料ガスは、第3ガス供給管245aを経由して、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0072】
このとき、同時にガス供給管242から不活性ガスとしてN2ガスを供給してもよい。流量調整されたN2ガスは、ガス供給管242、ガス導入孔231a、バッファ空間232、貫通孔234aを介して、処理空間205内に供給され、排気管262から排気される。
【0073】
このとき、基板載置台212にウエハWが支持された状態で、処理空間205内に第2原料ガスが供給される。ウエハWには、第2原料ガスが供給され、ウエハW上に吸着した第1原料と第2原料とが反応し、ウエハW上に所望の膜が形成される。ここでは、例えば第1原料上に第2原料が供給され、第1原料と第2原料とを含む膜が形成される。なお、本工程では貫通孔234aからウエハWまでの距離は、第2距離Bに維持される。
【0074】
(残留ガス除去:ステップS16)
所定時間が経過した後、第3ガス供給管245aのバルブ245dを閉じ、第2原料ガスの供給を停止する。このとき、排気管262のバルブ267、APC266は開いたままとして、真空ポンプ269により処理空間205内を真空排気し、処理空間205内に残留する未反応もしくは膜の形成に寄与した後の第2原料ガスや反応副生成物を処理空間205内から排除する(残留ガス除去)。なお、本工程では貫通孔234aからウエハWまでの距離は、第2距離Bに維持される。
【0075】
(所定回数実施:ステップS17)
上述したステップS13~S16を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(n回)、1回以上行うことにより、ウエハW上に所望膜厚の薄膜が形成される。
【0076】
(基板搬出工程:ステップS18)
次に、基板載置台212を下降させ、基板載置台212の表面から突出させたリフトピン207上にウエハWを支持させる。その後、ゲートバルブ149を開き、ウエハ移載機を用いてウエハWを処理容器202の外へ搬出する。その後、基板処理工程を終了する場合は、不活性ガス供給系から処理容器202内に不活性ガスを供給することを停止する。
【0077】
なお、上述の工程は、例えば次の条件で行われる。
<吸着補助ガス供給工程>
供給量:5~1000sccm
圧力:133~13332Pa
処理温度:50~600℃
<第1原料ガス供給工程>
供給量:100~1000sccm
圧力:1333~13332Pa
処理温度:50~600℃
<第2原料ガス供給工程>
供給量:100~1000sccm
圧力:1333~13332Pa
処理温度:50~600℃
【0078】
上述したように、吸着補助処理工程におけるガス供給口とウエハWの距離と、薄膜形成工程時におけるガス供給口とウエハWの距離と、をウエハW上に形成する膜の種類や、供給するガスの種類や、処理圧力や供給量などの最適なプロセス条件によって異なるようにする。これにより、ウエハW上に形成される膜の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0079】
次に、吸着補助処理工程を第1位置で行い、薄膜形成工程を第2位置で行う理由を説明する。
(a)吸着補助処理工程では吸着補助ガスをウエハ面内に均等に吸着させるためにガス供給口からのガス流れの影響を受けにくい第1位置で行う。
(b)薄膜形成工程では処理空間205内のガス置換を容易にするため、ウエハWを第2位置として処理空間205の容積を減少させて行う。
(c)吸着補助ガスが熱分解容易な場合、熱影響を低減可能な第1位置で吸着補助処理工程を行う。
【0080】
(a)から(c)について、以下具体的に説明する。上記(a)について説明する。本態様では、第1位置をウエハWの表面に吸着補助ガスを吸着させる際に影響の無い距離とする。第1距離Aは、例えば吸着補助ガスがウエハWの表面に到達するまでに、均等に拡散可能な距離とする。
【0081】
このようにすることで、ウエハWの表面に対して、均一に吸着補助ガスを供給できる。本工程で吸着補助ガスをウエハWに均一に付着させることができるので、次工程である薄膜形成工程においても均一に膜を形成できる。
【0082】
次に比較例として、本工程にて貫通孔234aとウエハWとの間の距離が第1距離Aよりも短い場合を説明する。ここでは少なくとも吸着補助ガスが均等に拡散されない距離とする。
【0083】
この場合、貫通孔234aの配置がウエハWに影響を及ぼすことが考えられる。本工程においては、貫通孔234aからウエハWに向かって吸着補助ガスが供給されるが、貫通孔234a中を通過するガスの分圧は非常に高圧になっているため、貫通孔234aから排出された直後は高圧/高密度のガスとなっている。
【0084】
そうすると、ウエハWの表面のうち、貫通孔234aの直下の部分では高密度のガスが供給され、貫通孔234aの直下ではない部分では、直下の部分に比べて低密度のガスが供給される。そのため、ウエハW上に吸着する吸着補助ガスの密度が、ウエハ面内において、まだらになってしまう恐れがある。仮にこのような状態で次工程である薄膜形成工程を行った場合、まだら状態の吸着補助ガス上に成膜を行うので、ウエハW上に形成される薄膜も、吸着補助ガス同様まだらとなる。
【0085】
これに対して、本態様のように第1距離Aとした状態で吸着補助ガスを供給すると、ウエハWの処理面に均一に供給されるので、吸着補助ガスの吸着状態を均一にすることができる。したがって、薄膜形成工程においても均一に薄膜を形成可能である。
【0086】
上記(b)を説明する。第2位置を第1距離Aよりも短い距離として、処理空間205の空間容積を小さくするよう設定できるので、薄膜形成工程における残留ガス除去工程S14、S16において、処理空間205の雰囲気を早期にパージすることが可能となる。
【0087】
特に薄膜形成工程において、第1原料ガス供給工程S13から残留ガス除去工程S16までのサイクルを複数回行う場合、一つのサイクルにおける処理時間を短縮することで、処理全体の処理時間を大きく短縮することが可能となる。
【0088】
なお比較例として、薄膜形成工程においても貫通孔234aとウエハWとの間の距離を、ガスが拡散する程度の距離にすることが考えられる。しかしながら薄膜形成工程の前の吸着補助処理工程では、既に吸着補助ガスがウエハWに均一に吸着されていることから、貫通孔234aの場所にかかわらず、均一に薄膜を形成可能である。そのため、薄膜形成工程においてはガスが拡散する程度の距離を必要としない。したがって、スループットを考慮し、処理空間205の容積を小さくすることが望ましい。
【0089】
上記(c)を説明する。本態様は吸着補助ガスが熱分解容易なガスである場合により有効な技術である。
図2に記載のように、基板載置台212中にはヒータ213が設けられており、分散板234と基板載置台212との間の距離が近いと、分散板234がヒータ213の影響を受け、高温になる恐れがある。
【0090】
そのような状況の中、熱分解容易なガスを供給すると、ウエハWに付着することなく、排気されてしまうことが考えられる。そこで、上記(c)に記載のように、吸着補助ガスが熱分解容易なガスである場合、熱影響を低減可能な第1位置で処理することが望ましい。
【0091】
(3)第1実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(a)ウエハW表面上への原料ガスの吸着性を向上させて、ウエハの面内均一性が向上された膜を形成することが可能となる。
(b)特に、ウエハW表面上への初期段階での原料ガスの吸着性を向上させて、連続性のある薄膜を形成することが可能となる。
【0092】
(4)変形例
次に、本開示の第1実施形態で好適に用いられる基板処理シーケンスの変形例について説明する。
【0093】
[変形例1]
図5は、
図4で示した基板処理シーケンスの変形例を示した図である。
図5に示すように、本変形例では、ウエハWに対して、上述したステップS11~S17を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(m回)、1回以上行う。すなわち、ウエハW上に吸着補助ガスを吸着させる吸着補助処理工程(S11、S12)と、ウエハW上に所望膜厚の薄膜を形成する薄膜形成工程(S13~S16)を順に行うサイクルを所定回数(n回)行うサイクル(S17)を所定回数(m回)、1回以上行う。これにより、ウエハWの表面上に所望膜厚の薄膜を形成することが可能となる。本ステップのように、薄膜形成工程を所定回数(n回)行う毎に吸着補助処理工程(S11、S12)を行うことにより、第1原料ガスのウエハW表面上の少なくとも一部への吸着が補助されることとなり、第1原料ガスに含まれる第1原料の吸着性を向上させて、連続性のある面内均一性が向上された所望膜厚の薄膜を形成することが可能となる。また、スループットを向上させることができる。
【0094】
[変形例2]
図6は、
図4で示した基板処理シーケンスの変形例を示した図である。
図6に示すように、本変形例では、ウエハWに対して、上述したステップS11~S16を1サイクルとして、このサイクルを所定回数(n回)行う。すなわち、ウエハW上に吸着補助ガスを吸着させる吸着補助処理工程(S11、S12)と、ウエハW上に所望膜厚の薄膜を形成する薄膜形成工程(S13~S16)と、を順に行うサイクルを所定回数(n回)、1回以上行う。これにより、ウエハWの表面上に所望膜厚の薄膜を形成することが可能となる。本ステップのように、薄膜形成工程(S13~S16)を行う毎に吸着補助処理(S11、S12)を行うことにより、第1原料ガスのウエハW表面上の少なくとも一部への吸着が補助されることとなり、第1原料ガスに含まれる第1原料の吸着性を向上させて、連続性のある面内均一性が向上された所望膜厚の薄膜を形成することが可能となる。
【0095】
(5)他の実施形態
[第2実施形態]
次に、
図7を用いて、本開示の第2実施形態について説明する。ここでは、主として、上述した第1実施形態との相違点について説明し、その他の点については説明を省略する。
【0096】
第2実施形態では、基板処理装置の構成が第1実施形態と異なる。他は第1実施形態と同様である。本実施形態では、以下に、基板処理装置の構成について説明する。
【0097】
基板処理装置300は、ウエハWに対する処理を行うための処理容器302を有する。処理容器302は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス鋼(SUS)等の金属材料により密閉容器として構成されている。処理容器302の内部、すなわち、中空部には、ウエハWに対する処理が行われる処理空間を構成する処理室301が形成される。処理容器302の側壁には、基板搬入出口301aと、基板搬入出口301aを開閉するゲートバルブ303と、が設けられており、基板搬入出口301aを介して処理容器302の内外にウエハWを搬送することが可能となっている。
【0098】
処理容器302は、処理ガスであり成膜補助ガスである吸着補助ガスを供給する吸着補助ガス供給部304を有するエリア1(第一処理領域、吸着補助処理領域とも呼ぶ)と、第1原料ガスを供給する第1原料ガス供給部305を有するエリア2(第二処理領域、第1原料ガス供給領域とも呼ぶ)と、第2原料ガスを供給する第2原料ガス供給部306を有するエリア3(第三処理領域、第2原料ガス供給領域とも呼ぶ)に区画される。エリア1は、吸着補助処理工程を行う領域である。また、エリア2とエリア3は、薄膜を形成する薄膜形成工程を行う領域であり、薄膜形成処理領域とも呼ぶ。なお、各エリアは連通している。
【0099】
処理容器302の内部には、ウエハWが載置されて支持される基板支持部である基板載置台310が設けられている。基板載置台310は、上下に昇降可能な構成となっている。基板載置台310の上端部の上面(基板載置面)には、ウエハWが載置されて支持される。
【0100】
基板載置台310の下端部には、処理容器302内で基板載置台310を左右に往復運動させる駆動部としてのスライド機構321が連結されている。スライド機構321は、処理容器302の底部に固定されている。スライド機構321は、基板載置台310と、基板載置面上のウエハWを、処理容器302内の一端側と他端側との間、すなわちエリア1、エリア2、エリア3の間で水平方向に往復移動することが可能となっている。スライド機構321は、例えば、送りねじ(ボールねじ)、電動モータMに代表される駆動源等の組み合わせによって実現することができる。
【0101】
つまり、処理容器302の内部においては、スライド機構321によって、基板載置台310を往復移動させることにより、基板載置台310に支持されたウエハWがエリア1、エリア2、エリア3との間で往復移動することが可能となっている。
【0102】
スライド機構321は、以上のような往復移動を、それぞれにおける電動モータM等の駆動源を動作させることで行う。したがって、基板載置台310の上面に載置されたウエハWと吸着補助ガス供給部304、第1原料ガス供給部305、第2原料ガス供給部306との相対位置関係については、スライド機構321の各駆動源を制御することによって、調整することが可能となっている。
【0103】
吸着補助ガス供給部304は、エリア1内の処理室301の天井に設けられる。吸着補助ガス供給部304は、エリア1内の基板載置台310上のウエハWに吸着補助ガスを供給する。吸着補助ガス供給部304には、上述した第1ガス供給系が接続される。
【0104】
第1原料ガス供給部305は、エリア2内の処理室301の天井に設けられる。第1原料ガス供給部305は、エリア2内の基板載置台310上のウエハWに第1原料ガスを供給する。第1原料ガス供給部305には、上述した第2ガス供給系が接続される。
【0105】
第2原料ガス供給部306は、エリア3内の処理室301の天井に設けられる。第2原料ガス供給部306は、エリア3内の基板載置台310上のウエハWに第2原料ガスを供給する。第2原料ガス供給部306には、上述した第3ガス供給系が接続される。
【0106】
基板載置台310はウエハWを支持した状態で、エリア1における吸着補助処理工程時には、ウエハWが処理室301内の第1位置に設定されて移動する。そして、エリア2及びエリア3における薄膜形成工程時には、ウエハWが処理室301内の第2位置に設定されて移動する。ここで、第1位置とは、ウエハW表面と、ウエハW表面に対向する吸着補助ガス供給部304のガス供給口と、の距離が第1距離Aとなる位置である。また、第2位置とは、ウエハW表面と、ウエハW表面に対向する第1原料ガス供給部305のガス供給口又は第2原料ガス供給部306のガス供給口と、の距離が第1距離Aとは異なる第2距離Bである位置である。また、本実施形態において、第2位置は、第1位置とは垂直方向と水平方向において異なる位置であり、第2距離Bは、例えば第1距離Aより短く設定される。このような場合であっても、吸着補助ガス供給によって、ウエハW表面上に吸着補助ガスが吸着され、第1原料ガス供給によって、ウエハWの表面上に第1原料ガスに含まれる第1原料が吸着され、第2原料ガス供給によって、ウエハW上に吸着した第1原料と第2原料が反応し、ウエハW上に所望膜厚の薄膜が形成される。
【0107】
また、基板載置台310の基板載置面の下方には、ウエハWを加熱するための加熱源としてヒータ330が設けられている。ヒータ330は、基板載置台310のように往復運動することなく、処理容器302に固定され、エリア1からエリア3に跨って設けられている。ヒータ330は、ウエハWの近傍に設けられた不図示の温度センサにより検出された温度情報に基づいて、通電具合がフィードバック制御される。これにより、ヒータ330は、基板載置台310に支持されるウエハWの温度を所定温度に維持し得るように構成されている。
【0108】
基板載置台310の下方には、ウエハ昇降機構350が待機する。ウエハ昇降機構350は、後述するように、ウエハWを搬入出する際に用いられる。
【0109】
また、処理容器302には、不図示の排気管が連通され、排気管には、開閉弁としてのバルブ、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブを介して、真空排気装置としての真空ポンプが接続されており、処理容器302内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。
【0110】
上述した基板処理装置300を用いる場合においても、上述の実施形態と同様なシーケンス、処理条件にて成膜を行うことができ、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、吸着補助処理工程におけるガス供給口とウエハWの距離と、薄膜形成工程時におけるガス供給口とウエハWの距離と、をウエハW上に形成する膜の種類や、供給するガスの種類や、処理圧力や供給量などの最適なプロセス条件によって異なるようにする。これにより、ウエハW上に形成される膜の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0111】
また、上述の実施形態においては、基板載置台310が昇降することでガス供給口との距離を第1距離A、第2距離Bとなるよう設定していたが、それに限るものではなく、各ガス供給部のガス供給口とウエハWとの間の距離が変わるよう構成されればよい。例えば、ウエハWの高さを一定として、吸着補助ガス供給部304のガス供給口、第1原料ガス供給部305のガス供給口、第2原料ガス供給部306のガス供給口の高さを異ならせて、距離を異ならせるようにしてもよい。
【0112】
なお、上記実施形態では、薄膜形成工程の前に、吸着補助ガスを供給する吸着補助処理工程を行う場合を用いて説明したが、これに限らず、本開示は、薄膜形成工程の前に、後に供給する第1原料ガスの吸着を阻害する吸着阻害ガスを供給する吸着阻害処理工程を行う場合にも適用される。吸着阻害ガスは、後に供給する第1原料ガスのウエハW表面上の少なくとも一部への吸着を阻害する。このように薄膜形成工程の前に吸着阻害ガスを供給することにより、ウエハW表面上の少なくとも一部への成膜を阻害すること(領域を選択した成膜と阻害)が可能となる。吸着阻害ガスは、薄膜形成工程にて原料ガスによる膜形成を補助する性質を有することから、成膜補助ガスとも呼ぶ。
【0113】
また、上記実施形態では、ウエハWを支持する基板載置台212,310を昇降させることにより、ウエハWとガス供給口との間の距離を異なるようにする構成について説明したが、これに限らずガス供給口を移動させることにより、ウエハWとガス供給口との間の距離を異なるようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、吸着補助処理工程におけるウエハWとガス供給口との間の距離と、薄膜形成工程(第1原料ガス供給と第2原料ガス供給)におけるウエハWとガス供給口との間の距離を異なるようにする構成について説明したが、これに限らず第1原料ガス供給時と第2原料ガス供給時におけるウエハWとガス供給口との間の距離も異なるようにしてもよい。すなわち、吸着補助処理工程においては、吸着補助ガスがウエハW上に吸着しやすい位置において供給し、薄膜形成工程における第1原料ガス供給時においては、第1原料ガスがウエハW上に吸着しやすい位置において供給し、薄膜形成工程における第2原料ガス供給時においては、第2原料ガスが第1原料と反応しやすい位置において供給するようにしてもよい。
【0115】
なお、上記実施形態における吸着補助ガスとして、例えばH2Oを用いる場合を例にして説明したが、その他には例えばアルコール等を用いることができる。また、吸着阻害ガスとして、例えばアンモニア(NH3)やアミンやアルキルアミノシランを含むガス等を用いることができる。
【0116】
また、上記実施形態における第1原料ガスとしては、例えば上記のようにシリコンを含むガスであり、その他にはトリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH3)2]3H、略称:3DMAS)ガス等を用いることができる。
【0117】
また、上記実施形態における第2原料ガスとして、オゾンを用いる場合を例にして説明したが、SiO膜を形成する場合は、他の酸素含有ガスを用いてもよい。また、上記実施形態ではSiO膜を形成する場合を例にして説明したが、これに限らず、例えばシリコン窒化(SiN)膜を用いる場合は窒素含有ガスを用いてもよい。窒素含有ガスとしては、例えばアンモニア(NH3)ガス等を用いることができる。
【0118】
また、薄膜形成工程としては、第1原料ガスと第2原料ガスとを用いてSiO膜を形成する場合を例にして説明したが、これに限らず、3つ以上の原料ガスを用いてもよい。その場合、例えば原料ガスとして炭素(C)含有ガスやボロン(B)等の不純物を含むガスを用いてもよい。
【0119】
また、上記第1実施形態では、第1ガス供給系~第3ガス供給系を1つのガス供給管242に接続して、ガス供給管242によりそれぞれのガスを処理空間205内に供給する場合を用いて説明したが、これに限らず、第1ガス供給系~第3ガス供給系をそれぞれ蓋231に接続し、それぞれのガス供給管からそれぞれのガスを処理空間205内に供給するようにしてもよい。
【0120】
また、基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置282を介して記憶装置280c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU280aが、記憶装置280c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0121】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入力装置281を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0122】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様な処理手順、処理条件にて基板処理を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
【0123】
以上、本開示の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本開示はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0124】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0125】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0126】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、
前記原料ガスは、第1原料ガスと第2原料ガスを含み、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、
前記第1原料ガスを供給して前記基板上に第1原料を吸着させる工程と、
前記第2原料ガスを供給して前記基板上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、
を含むサイクルを1回以上行う。
【0127】
(付記3)
付記2に記載の方法であって、
前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を含むサイクルを1回以上行う。
【0128】
(付記4)
付記2に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を補助する。
【0129】
(付記5)
付記2に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を阻害する。
【0130】
(付記6)
付記1に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、吸着補助ガスである。
【0131】
(付記7)
付記1に記載の方法であって。
前記成膜補助ガスは、吸着阻害ガスである。
【0132】
(付記8)
付記1に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、熱分解容易なガスである。
【0133】
(付記9)
本開示の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を含むサイクルを1回以上行う半導体装置の製造方法が提供される。
【0134】
(付記10)
付記9に記載の方法であって、
前記原料ガスは、第1原料ガスと第2原料ガスを含み、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、
前記第1原料ガスを供給して前記基板上に第1原料を吸着させる工程と、
前記第2原料ガスを供給して前記基板上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、
を含むサイクルを1回以上行う。
【0135】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を補助する。
【0136】
(付記12)
付記10に記載の方法であって、
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を阻害する。
【0137】
(付記13)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる手順と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【0138】
(付記14)
本開示のさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる処理と、前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する処理と、を行わせるように、前記基板支持部と前記成膜補助ガス供給部と前記原料ガス供給部を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【符号の説明】
【0139】
100、300 基板処理装置
202、302 処理容器
212、310 基板載置台(基板支持部)
280 コントローラ(制御部)
【手続補正書】
【提出日】2021-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記原料ガスは、第1原料ガスと第2原料ガスを含み、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、
前記第1原料ガスを供給して前記基板上に第1原料を吸着させる工程と、
前記第2原料ガスを供給して前記基板上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、
を含むサイクルを1回以上行う請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を含むサイクルを1回以上行う請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を補助する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を阻害する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記成膜補助ガスは、吸着補助ガスである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記成膜補助ガスは、吸着阻害ガスである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記成膜補助ガスは、熱分解容易なガスである請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる工程と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程と、
を含むサイクルを1回以上行う半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記原料ガスは、第1原料ガスと第2原料ガスを含み、
前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する工程では、
前記第1原料ガスを供給して前記基板上に第1原料を吸着させる工程と、
前記第2原料ガスを供給して前記基板上に吸着した第1原料と第2原料を反応させる工程と、
を含むサイクルを1回以上行う請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を補助する請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記成膜補助ガスは、前記第1原料ガスの前記基板表面上の少なくとも一部への吸着を阻害する請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
を有するように構成される基板処理装置において、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる手順と、
前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項14】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に設けられた基板支持部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に成膜補助ガスを供給する成膜補助ガス供給部と、
前記基板支持部に基板を支持した状態で、前記処理室に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記基板を、前記成膜補助ガス供給部のガス供給口からの距離が第1距離である第1位置に設定して、成膜補助ガスを供給して前記基板上に成膜補助ガスを吸着させる処理と、前記基板を、前記原料ガス供給部のガス供給口からの距離が前記第1距離とは異なる第2距離である第2位置に移動させて、原料ガスを供給して前記基板上に所望膜厚の薄膜を形成する処理と、を行わせるように、前記基板支持部と前記成膜補助ガス供給部と前記原料ガス供給部を制御することが可能なように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。