IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 独立行政法人産業技術総合研究所の特許一覧 ▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 北陸電力送配電株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022148523
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20220929BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20220929BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20220929BHJP
   H01R 4/48 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H02G15/10
H02G15/08
H02G1/14
H01R4/48 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021050245
(22)【出願日】2021-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520123216
【氏名又は名称】北陸電力送配電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神村 明哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 厚司
(72)【発明者】
【氏名】小林 利盛
(72)【発明者】
【氏名】和田 孝平
(72)【発明者】
【氏名】新井 真
(72)【発明者】
【氏名】大島 努
(72)【発明者】
【氏名】上之門 一重
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩
(72)【発明者】
【氏名】隅田 真広
(72)【発明者】
【氏名】扇浦 竜信
【テーマコード(参考)】
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G355AA03
5G355BA01
5G355BA11
5G375AA02
5G375BA26
5G375BB43
5G375CA18
5G375CA19
5G375CB06
5G375CB27
5G375DB16
5G375DB22
5G375DB32
(57)【要約】
【課題】容易かつ短時間の簡易な作業で電線の端部間をバラツキなく高品質に接続することのできる接続装置を提供すること。
【解決手段】一対の電線Dの端部De同士を突き合わせる状態で連結することによって、延長されている形態で張力の負荷される架空電線の長さ方向の中間に介在するように設置される接続装置1であって、一対の電線毎の端部周りに位置して挟持する複数の挟持部材21A~21Dからなる一対の挟持セット20と、開口部11aから差し込まれる電線を長さ方向への移動を許容可能に挟持する一対の挟持セットを収容部11A、11B内に収容する筒状の収容部材10とを備え、挟持部材のそれぞれが、電線端部の外周面Doと収容部材の内面11iとに対面接触しつつ圧接して互いの相対移動を制限する楔として機能することによりその電線端部同士を挟持して延長状態を維持する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の線材の端部同士を突き合わせる方向で連結することによって、延長されている形態で張力の負荷される線材の長さ方向の中間に介在するように設置される接続装置であって、
前記線材毎の端部を複数の挟持部材で挟み込んで保持する一対の挟持セットと、前記線材を端部から差し込み可能な開口部を有して、前記線材の長さ方向への移動を許容可能に一対の前記挟持セットを収容する筒状の収容部材と、を備えて、
前記挟持セットの前記挟持部材は、前記線材の外周面の周方向に分割配置されて、前記線材の外周面に対面接触するように形成されている内面と、前記線材の端部側ほど前記線材の外周面から離隔するように傾斜する斜面に形成されている外面とを有し、
前記収容部材は、前記挟持セット毎の外側の周囲を囲むように位置して、前記挟持部材の外面に対面接触するように、前記線材の外周面に対する前記挟持部材の内面と同じ角度で傾斜する斜面に形成されている内面を有し、
前記挟持部材のそれぞれは、前記収容部材の対面接触する内面よりも前記線材の長さ方向に短く形成され、前記挟持セットとして前記線材の外周面の周囲を囲むように配置されて前記収容部材の内面との間に位置しつつ、前記線材が端部同士を離隔させる方向に牽引されるにつれて、前記挟持部材の外面および内面が前記収容部材の内面および前記線材の外周面に対面接触する圧力を上昇されて相対移動を制限する楔として機能する
ことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記収容部材は、前記線材の端部側から延長方向に向かうように前記挟持部材を付勢する挟持付勢部材が内装されており、
前記挟持部材は、前記線材の外周面および前記収容部材の内面の双方に内面および外面が対面接触するように付勢されて楔として機能する
ことを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記収容部材は、前記線材の端部間に位置する仕切り部材を備えて、前記挟持付勢部材として前記挟持部材を付勢する挟持付勢バネ材が前記仕切り部材との間に位置するように内装されており、
前記仕切り部材は、前記挟持付勢バネ材が前記挟持部材を付勢する方向が前記収容部材の内面と平行になるように前記挟持付勢バネ材の支持面が前記線材の長さ方向と直交する面に対して傾斜するように形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記収容部材は、前記挟持セット毎に分けられて、前記仕切り部材を間に挟み込んで前記開口部が両端側に位置するように前記開口部の反対側を連結する組み立て構造に作製されている
ことを特徴とする請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
前記収容部材は、前記線材の端部側から延長方向に向かうように当該線材を付勢する被挟持付勢部材が内装されており、
前記線材は、前記挟持部材の外面が前記収容部材の内面に対面接触して楔として機能するように外周面を前記挟持部材の内面に対面接触させるように付勢されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項6】
前記収容部材および前記挟持セットは、前記収容部材の内面側および前記挟持部材の外面側の一方に凹形状部が形成されるとともに、前記収容部材の内面側および前記挟持部材の他方に凸形状部が形成されており、
前記凹形状部のみ、または、前記凹形状部および前記凸形状部の双方が前記線材の長さ方向に延長されて、互いに当該線材の長さ方向への相対移動を許容しつつ前記線材の外周面の周方向への相対回転を制限するように、前記凸形状部が前記凹形状部に嵌まり込む形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記挟持部材の内面は、前記線材の外周面に食い込む微小な凸形状または凹凸形状、あるいは、当該線材の外周面との摩擦抵抗を高める粗面に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
前記収容部材の前記開口部から差し込んで前記挟持部材を前記線材の端部側に向かって相対移動させる挟持解除部材を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項9】
前記収容部材は、前記線材および前記挟持部材の周囲に存在して電気的導通および機械的係合の少なくとも一方を補助する粘性材料が内部に注入されており、
前記開口部には所定量の前記粘性材料を貯留するキャップが取り付けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項10】
前記線材が電線で、前記挟持部材および前記収容部材が導電性材料により作製されて前記電線間の導通を確保する接続装置であって、
前記収容部材の外面を覆いつつ前記開口部の周縁から開口面積を拡大するカップ形状部を有する絶縁カバーを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力の掛かる箇所の線材の端部同士を接続して延長されている形態にする際に用いる接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電線(線材)の端部間を直線状に連結して延長されている状態に接続しつつ導通状態を確保する、金属製筒形状の接続スリーブ(直線スリーブとも称される)の接続装置が知られている。この接続スリーブ1000は、図24に示すように、電線端部を一対の筒形状部1001の両端側開口1001a内に差し込んだ状態にして筒部外面1001oを圧縮することによって筒部内面1001iを圧着させて電線間を導通接続するようになっている。
【0003】
ここで、円柱状の部材を掴む把持装置としては、円錐台形状の外形に形成されている筒状部材の小径側先端から基端に向って軸方向に平行な切れ目が複数入れられている、所謂、スプリングコレット型構造を有するチャック部材を利用することが行われている(特許文献1を参照)。この把持装置は、円柱部材を差し込んだチャック部材の小径側先端をすり鉢状で底側の開口する受け部材内に押し込むことにより、そのチャック部材の小径側先端を縮径して円筒内の円柱部材を挟み込むようにして把持するようになっている。
【0004】
この特許文献1に記載の把持装置は、大容量電流を供給する架空電線を導通接続する接続装置として利用可能に、一対のチャック部材の小径側先端を両端側に配置して、一対の受け部材に押し込む構造に作製されている。この把持装置では、その一対のチャック部材の間に強力なスプリングバネを縮小させつつ介在させてそれぞれ受け部材内に押し込まれている状態に組み立てられている。そして、この把持装置では、一対の円柱部材の電線端部をその2組のチャック部材および受け部材内にそれぞれ差し込むようにして、そのチャック部材を戻す方向に移動させた後に、再度、すり鉢状の受け部材内にスプリングバネの弾性力で押し込むことによって、一対の電線端部同士を連結する状態に把持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-52119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の接続スリーブ1000にあっては、筒形状部1001を圧縮する圧着作業に油圧式の圧縮工具などが必要であり、その圧縮工具は重量があることから、作業者の身体的負担が大きく、また、圧着作業には工数が多く時間も掛かるとともに、訓練が必要である。このため、作業者による圧着作業にムラが生じ易く、電線間の接続品質を確保するのに熟練が必要である。
【0007】
また、このような接続スリーブ1000には、電線との導通接続の品質向上のために、筒部内に導電性を有するコンパウンド(粘性材料)Cを注入することが行われているが、そのコンパウンドCを最適に注入して、電線の差し込み時に適量を貯留する状態にするのにも慣れが必要である。
【0008】
ところで、特許文献1の把持装置では、圧着作業する圧縮工具の使用を回避することは実現するが、強力なスプリングバネの弾性力に抗してチャック部材を強力に押し込む必要があり、電線端部を滑らないように把持して押し込むために、別途特別な道具が必要になって使い勝手が悪い、という課題を有する。
【0009】
そこで、本発明は、容易かつ短時間の簡易な作業で電線の端部間をバラツキなく高品質に接続することのできる接続スリーブに代わる接続装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するスリーブ状連結器の発明の一態様は、一対の線材の端部同士を突き合わせる方向で連結することによって、延長されている形態で張力の負荷される線材の長さ方向の中間に介在するように設置される接続装置であって、前記線材毎の端部を複数の挟持部材で挟み込んで保持する一対の挟持セットと、前記線材を端部から差し込み可能な開口部を有して、前記線材の長さ方向への移動を許容可能に一対の前記挟持セットを収容する筒状の収容部材と、を備えて、前記挟持セットの前記挟持部材は、前記線材の外周面の周方向に分割配置されて、前記線材の外周面に対面接触するように形成されている内面と、前記線材の端部側ほど前記線材の外周面から離隔するように傾斜する斜面に形成されている外面とを有し、前記収容部材は、前記挟持セット毎の外側の周囲を囲むように位置して、前記挟持部材の外面に対面接触するように、前記線材の外周面に対する前記挟持部材の内面と同じ角度で傾斜する斜面に形成されている内面を有し、前記挟持部材のそれぞれは、前記収容部材の対面接触する内面よりも前記線材の長さ方向に短く形成され、前記挟持セットとして前記線材の外周面の周囲を囲むように配置されて前記収容部材の内面との間に位置しつつ、前記線材が端部同士を離隔させる方向に牽引されるにつれて、前記挟持部材の外面および内面が前記収容部材の内面および前記線材の外周面に対面接触する圧力を上昇されて相対移動を制限する楔として機能することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明の一態様によれば、収容部材内に収容されて挟持セットを構成する複数の挟持部材が線材端部の周りに分割配置されており、挟持部材のそれぞれは、間に差し込まれる線材の端部同士が互いに接近する方向に移動する際に、内面が線材端部の外周面に対面接触する接触抵抗により同じ方向に移動して外面が収容部材の内面から離隔し容易に差し込むことができる。その後に、挟持部材のそれぞれは、収容部材内に差し込んだ線材が端部同士を互いに離隔させる牽引方向に移動される際には、内面が線材端部の外周面に対面接触する接触抵抗により同じ方向に移動して外面が収容部材の内面に接近して接触する。
【0012】
このとき、挟持セットの挟持部材は個々に線材端部につれて移動して、線材端部の内面および外面が線材端部の外周面と収容部材の内面との間に入り込むようにして接触圧力を上昇させて楔として機能することができ、その線材の移動を制限することができる。
【0013】
したがって、収容部材内に複数の挟持部材に分割されている挟持セットを内装するだけの簡易な構造で、その挟持セットの挟持部材間に線材端部を差し込んで牽引方向への移動を許容するだけの容易かつ短時間の簡易な作業によって、電線端部の外周面に複数の挟持部材をそれぞれ圧接させることができ、バラツキなく高品質に電線端部同士を挟持して連結接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る接続装置を示す図であり、その概略全体構成を示す一部透視斜視図である。
図2図2は、その挟持部材を振り分けた状態での軸方向縦断面図である。
図3図3は、図2と異なって挟持部材の位置での軸方向縦断面図である。
図4図4は、その分解斜視図である。
図5図5は、その線材端部を左右から異なる量で差し込んだ状態での図2と同様の軸方向縦断面図である。
図6図6は、その構成部材の相対位置を示す状態図であり、(a)はその線材端部を差し込む前の軸方向に直交する縦断面図、(b)はその線材端部を差し込んだ状態での軸方向に直交する縦断面図である。
図7図7は、その線材の接続を解除する治具を示す斜視図である。
図8図8は、その図7に示す解除治具の仕様を説明する一部縦断面図である。
図9図9は、その収容部材における挟持部材間の形状の他の態様を示す一部拡大軸方向断面図である。
図10図10は、本発明の第2施形態に係る接続装置を示す図であり、その挟持部材の位置での図3と同様の軸方向縦断面図である。
図11図11は、その概略全体構成を示す図であり、(a)はその一部透視斜視図、(b)はその軸方向に直交する方向から一方側端部を見たときのバネを除く一部透視図である。
図12図12は、その収容部材の1つを示す斜視図である。
図13図13は、その収容部材の間に位置する仕切り部材を示す斜視図である。
図14図14は、その分解斜視図である。
図15図15は、本発明の第3施形態に係る接続装置を示す図であり、その分解斜視図である。
図16図16は、その収容部材の1つを示す斜視図である。
図17図17は、その収容部材の間に位置する仕切り部材を示す斜視図である。
図18図18は、本発明の第4施形態に係る接続装置を示す図であり、(a)はその概略全体構成を示す軸方向縦断斜視図、(b)はその外観斜視図である。
図19図19は、その他の態様を示す図であり、(a)はその概略全体構成を示す軸方向縦断斜視図、(b)はその外観斜視図である。
図20図20は、本発明の第5施形態に係る接続装置を示す図であり、(a)はその概略全体構成を示す一部透視斜視図、(b)はその軸方向に直交する方向から一方側端部を見たときのバネを除く一部透視図である。
図21図21は、本発明の第6施形態に係る接続装置を示す図であり、(a)はその概略全体構成を示す一部透視斜視図、(b)はその軸方向に直交する方向から一方側端部を見たときのバネを除く一部透視図である。
図22図22は、本発明の第7施形態に係る接続装置を示す図であり、その線材端部を一方にのみ差し込んだ状態で挟持部材の位置での図3と同様の軸方向縦断面図である。
図23図23は、その他の態様を示す図であり、その線材端部を一方にのみ差し込んだ状態で挟持部材の位置での図3と同様の軸方向縦断面図である。
図24図24は、その従来技術である接続スリーブを示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1図8は本発明の第1実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0016】
図1図4において、接続装置1は、張力が負荷される線材、例えば、一対の電線Dの端部De(図5を参照)同士を突き合わせるように連結して延長状態に導通接続させる際に使用されるものであり、収容部材10と、一対の挟持セット20と、解除治具30と、を備えて構築されている。
【0017】
この接続装置1は、例えば、電柱間に延長されている状態で架線されて離隔位置を支持される電線Dの長さ方向の中間に介在するように設置されるものであり、その電線Dの自重により牽引されて負荷される張力を利用して、その端部Deを挟み込んで保持(挟持)することにより、その延長接続状態の電線Dの端部De間を収容部材10および挟持セット20を介して導通させて維持するように構築されている。ここで、本実施形態では、架空電線Dを線材の一例として説明するが、これに限るものではなく、例えば、単に牽引されるなどして張力が負荷されるような金属線やワイヤーなどの他の線材の端部同士の連結接続にも利用することができることは言うまでもない。
【0018】
収容部材10は、一対の電線Dの外皮Dc(図22を参照)を剥いだ導通芯線の端部Deをそれぞれ両端側の開口部11aから差し込まれる一対の筒状の収容部11A、11Bを備えており、それら収容部11A、11B毎の開口部11aが両端側に位置するように中央10cを中心にする対称の一体構造に導電性材料により作製されている。ここで、本実施形態では、収容部材(収容部)を円筒形状に形成する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、角筒形状などに形成してもよいことは言うまでもない。
【0019】
この収容部材10は、一対の挟持セット20の外側の周囲を囲む筒形状に形成されて、収容部11A、11B毎に開口部11a側に向かって5°程度で傾斜して先細りとなる円錐台形状に作製されており、その収容部11A、11Bの内面11iが開口部11aに向かうほど電線Dに接近する方向に傾斜する斜面に形成されている。
【0020】
挟持セット20は、収容部材10の収容部11A、11B毎に、それぞれの開口部11aから差し込まれる電線Dの端部Deの周りに位置するように収納される導電性材料からなる複数の挟持部材21A~21Dにより構築されており、複数の挟持部材21A~21Dは、収容部材10の収容部11A、11B毎と協働して導通可能に電線Dの端部Deを挟み込んで保持する挟持セットを構成する。ここで、挟持部材21~21Dは、電線Dの導通芯線よりも同等以上の硬度を有する硬質材料を採用して、効果的に食い込んで挟持することができるようになっている。
【0021】
挟持部材21A~21Dは、収容部材10の開口部11aから収容部11A、11B内に差し込まれる電線Dの端部Deの周囲に位置するようにその周方向に分割配置されており、その電線D毎の外周面Doに挟持部材21A~21Dの内面21iが対面接触するとともに、その挟持部材21A~21Dの外面21oがそれら収容部11A、11B毎の内面11iに対面接触するように形成されている。すなわち、挟持部材21A~21Dは、外面21oが収容部11A、11Bの内面11iと同様に開口部11aに向かうほど電線Dに接近する方向に傾斜する斜面に形成されており、言い換えると、その外面21oや収容部11A、11Bの内面11iは電線Dの端部De(収容部材10の中央10c)側ほどその外周面Doから離隔するように同じ角度で傾斜する斜面に形成されている。
【0022】
この挟持部材21A~21Dは、収容部材10の収容部11A、11Bよりも電線Dの長さ方向に短くなるように形成されて電線Dの周りに配置されることにより、収容部材10の収容部11A、11Bとの間に位置しつつ電線Dの長さ方向に移動可能に収容(内装)されている。
【0023】
そして、挟持セット20の挟持部材21A~21Dは、その内面21iおよび外面21oが収容部材10の収容部11A、11B内における開口部11a側ではその内面11iと電線Dの外周面Doとの間の隙間形状よりも大きくなるように形成されているとともに、その収容部材10の中央10c側ではその内面11iと電線Dの外周面Doとの間の隙間形状よりも小さくなるように形成されている。
【0024】
これにより、図5に示すように、接続装置1は、電線Dの端部Deが収容部11A、11B内に開口部11aから差し込まれる際には、挟持部材21A~21Dの内面21iが電線Dの外周面Doに接触して、その外面21oが収容部11A、11Bの内面11iに接近する方向に広げられつつ、それらの接触抵抗により収容部材10の中央10c側に押し込まれることになる。この後に反対に、その電線Dが収容部材10の開口部11aから引き抜く方向に牽引されると、挟持部材21A~21Dのそれぞれが内面21iと電線Dの外周面Doとの接触抵抗により収容部11A、11Bの開口部11aに接近する方向に牽引されて、その外面21oが収容部11A、11Bの内面11iに押し付けられ、互いの相対移動を制限する楔として機能させることができる。
【0025】
また、収容部材10は、軸方向の中央10cに収容部11A、11B内の空間を仕切る仕切板(仕切り部材)13が一体形成されて設置されており、この仕切板13の両面側の挟持部材21A~21D毎の端部21pとの間に4つの楔バネ(挟持付勢バネ材)14がそれぞれ圧縮状態で内装されている。ここで、収容部材10の仕切板13は、楔バネ14の伸長方向が収容部11A、11Bの5°程度で傾斜する内面11iと平行になるように両側の仕切面(支持面)13aが窪むすり鉢状(平面から2.5~5°程度の傾斜面を有する円錐台形状)に形成されて、伸長しようとする楔バネ14の一端側をその仕切面13aの傾斜面に押し付けられつつ支持固定している。これに対して、反対側の挟持部材21A~21D毎の端部21pは、突起形状に形成して楔バネ14の他端側内に嵌め込んで安定した姿勢を保持するように組み立てられている。なお、収容部材10の仕切板13は、本実施形態では円錐台形状で窪む仕切面13aに形成されているが、これに限るものではなく、例えば、図9に示すように、単なる平板形状の仕切板13pに形成してもよいが、その場合には、挟持部材21A~21Dが収容部11A、11Bの内面11iに多少押し付けられる方向に楔バネ14により付勢されて接触抵抗が大きくなることから、本実施形態のように傾斜面で楔バネ14の基端部を支持固定するのが好適である。
【0026】
さらに、収容部材10は、中央10cの仕切板13の両面側の中心と電線Dの端部Deとの間に1つの挟持付勢バネ(被挟持付勢部材)15が圧縮可能に内装されている。ここで、収容部材10の仕切板13は、仕切面(支持面)13aが窪む円錐台形状に形成されているので、挟持付勢バネ15の一端側はその円錐台の底面の支持孔13r内に嵌め込まれて支持固定されており、収容部11A、11Bの開口部11aから差し込まれる電線Dの端部Deに圧縮された後に伸長することで、その電線Dの端部Deを押し戻すことができるように組み立てられている。
【0027】
これにより、接続装置1は、挟持部材21A~21Dの外面21oを収容部11A、11Bの内面11iに押し付ける方向に楔バネ14により付勢させて開口部11a側に位置させることができ、電線Dの端部Deが収容部11A、11B内に開口部11aから差し込まれる際には、その内面21iに電線Dの外周面Doを対面接触させて楔バネ14の弾性力に抗して中央10c側に挟持部材21A~21Dを移動させることができる。この状態では、電線Dの牽引時には、挟持部材21A~21Dが楔バネ14の弾性力により収容部11A、11Bの開口部11aに接近する方向に付勢されつつ、その内面21iおよび外面21oがその電線Dの外周面Doおよび収容部11A、11Bの内面11iに対面接触して押し付けられることにより楔として積極的に機能することができ、言い換えると、挟持部材21A~21Dとの対面接触が緩んで電線Dが不用意に抜けてしまうことを効果的に防止することができる。
【0028】
また、接続装置1は、電線Dの端部Deが収容部11A、11B内に開口部11aから差し込まれて挟持付勢バネ15が圧縮されると、その電線Dを収容部材10の開口部11aから引き抜く牽引方向を伸長方向にして弾性力を付与することができ、その電線Dの外周面Doとの接触抵抗によって、挟持部材21A~21Dを収容部11A、11Bの開口部11aに接近する牽引方向に付勢して外面21oを収容部11A、11Bの内面11iに押し付けられる楔として積極的に機能させることができ、言い換えると、挟持部材21A~21Dとの対面接触が緩んで電線Dが不用意に抜けてしまうことを効果的に防止することができる。
【0029】
その結果、接続装置1は、電線Dが牽引されて端部De同士を離隔させる方向の張力が付加されるにつれて、挟持部材21A~21Dの外面21oが収容部材10の収容部11A、11Bの内面11iに押し付けられるとともに、その内面21iが電線Dの外周面Doに押し付けられて嵌まり込ませることができる。したがって、接続装置1は、挟持部材21A~21Dの個々の外面21oおよび内面21iが収容部11A、11Bの内面11iおよび電線Dの外周面Doに対面接触する圧力を上昇させて互いの相対移動を制限する楔として効果的に機能させることができ、電線Dの端部De同士の連結状態を信頼性高く維持することができる。
【0030】
ここで、挟持部材21A~21Dの内面21iは、滑らかな湾曲面のまま対面接触する電線Dの芯線である端部Deの外周面Doに食い込ませて掴む(挟持する)状態にして導通接続させてもよく、また、例えば、所謂、サンドブラスト加工により粗面に形成してもよく、さらに、その外周面Doに損傷させることなく食い込むように、例えば、シボ加工やローレット加工などによる微細な凸形状や凹凸形状の複数を形成してもよい。
【0031】
また、挟持セット20は、図6に示すように、電線Dの端部Deの周方向に分割配置されている挟持部材21A~21D毎に、電線Dの長さ方向に延長されている分割側面21sを備えて、その収容部材10の中央10c側に分割側面21sの外面21o側角部を切り欠かれた切欠面21nが形成されており、その挟持部材21A~21D間に電線Dの長さ方向に延長されている切欠溝(凹形状部)21gが切欠面21nにより形成されている。この挟持部材21A~21Dは、外面21oが収容部11A、11Bの内面11iに接近する状態では、図6(a)に示すように、収容部材10の開口部11a側に位置する際に分割側面21sが互いに接近するとともに、図6(b)に示すように、中央10c側に移動する際にはその分割側面21sが互いに離隔する状態になる寸法形状に作製されており、その分割側面21s間に形成される切欠溝21gは、それぞれの切欠面21nが電線Dの長さ方向に平行の平面形状に形成されて電線Dの長さ方向に平行移動するように形成されている。
【0032】
これに対して、収容部材10は、収容部11A、11Bにおける挟持部材21A~21D間の切欠溝21gに対応する均等箇所に貫通する雄ネジ(打ち込みピンでもよい)19が螺合されて設置されており、その雄ネジ19の先端部(凸形状部)19tが切欠溝21g内に進入して嵌まり込むことによって挟持セット21(21A~21D)が電線Dの長さ方向に相対移動することを許容しつつ収容部材10内で相対回転してしまうことを制限するようになっている。
【0033】
これにより、接続装置1は、収容部材10内に相対回転させることなく挟持セット20を収容して、その収容部11A、11Bと電線Dとの間に挟持部材21A~21Dを楔として安定した状態で嵌め込むことができ、その電線D周りで収容部材10が回転して挟持セット20による挟持状態が不安定になってしまうことを回避することができる。ここで、本実施形態では、収容部材10の収容部11A、11Bの内側に凸形状部(雄ネジ19の先端部19t)が配置されて、挟持セット20の外面側に凹形状部(切欠溝21g)を形成する場合を一例にして説明するが、これに限るものではない。例えば、反対の配置にして、収容部材10の内側に凹形状部を配置して、挟持セット20の外側に凸形状部を配置してもよく、また、その凸形状部も線材の長さ方向に延長されているリブ形状に形成してもよい。
【0034】
解除治具(挟持解除部材)30は、図7に示すように、円筒形状を2分割した一対の半割部材31により構成されており、この半割部材31は、内面31iが電線Dの端部Deの外周面Doよりも大きな内径を有するように形成されているとともに、外面31oが収容部材10の両端側の開口部11aよりも小さな外径を有して、電線Dと収容部材10の開口部11a周縁との間に差し込むことができるように形成されている。また、半割部材31は、一端側端部にフランジ形状部31fが形成されており、電線Dと収容部材10の開口部11a周縁との間に他端側から差し込んでフランジ形状部31fを利用して、収容部材10内に完全に入ってしまうことなく押し込むことができる。
【0035】
これにより、接続装置1は、図8に示すように、収容部材10内の電線Dの端部De同士を連結接続する状態でも、その収容部材10の開口部11a内に解除治具30の一対の半割部材31を差し込んでフランジ形状部31fを利用して収容部材10の中央10cに向かうように押し込む(相対移動させる)ことによって、その収容部材10の収容部11A、11Bの開口部11a側に位置して電線Dの端部Deの外周面Doを挟み込むように圧着接続する挟持部材21A~21Dを、楔バネ14の弾性力に抗してその収容部材10の中央10c側に向かって押し込むことができる。このとき、その挟持部材21A~21Dは、収容部材10の仕切板13の円錐台の仕切面13aに支持されて収容部11A、11Bの内面11iと平行方向に楔バネ14の弾性力により付勢されているので、開口部11aから離隔する方向に押し込まれると、その楔バネ14の弾性力により支持されつつ電線Dの外周面Doから離隔する方向に移動して、その内面21iの圧着状態を解消して電線Dを解放することができ、接続装置1を再利用可能にすることができる。
【0036】
ここで、接続装置1は、収容部材10の収容部11A、11B毎に、挟持セット20(21A~21D)や電線Dの芯線端部Deとの間の電気的導通および機械的係合を補助するために、所定の導電性を有しつつ粘性を有する粘性材料のコンパウンド(不図示、図24の従来技術を参照)が注入されており、その収容部11A、11Bの開口部11aにキャップ18を取り付けて収容部材10内からそのコンパウンドが漏れ出ることを抑制するようになっている。このキャップ18は、所定幅のスリット18sが形成されることにより、電線Dの端部Deが収容部11A、11B内に差し込まれることによって余分なコンパウンドが漏れ出るのを許容するとともに、その粘性によってコンパウンドが漏れ出るのを抑制して所望量を貯留することによって内部に雨水などが侵入することをも制限するようになっている。
【0037】
このように、本実施形態の接続装置1においては、楔バネ14を取り付けた挟持部材21A~21Dの挟持セット20を挟持付勢バネ15と共に収容部材10の収容部11A、11B内に収容させて内装状態に組み立てるだけの簡易な構造で、それら挟持部材21A~21Dのそれぞれが収容部材10と電線Dとの間で楔として効果的に機能して、その電線Dの端部Deを挟持することができる。
【0038】
したがって、差し込むだけの容易かつ短時間の簡易な作業で電線Dの端部De同士を連結することができ、張力の掛かる延長状態を信頼性高く維持することができる接続装置1を提供することができる。
【0039】
ここで、この接続装置1は、収容部材10内に両端側の開口部11aのそれぞれから挟持付勢バネ15を差し込んで仕切板13の仕切面13aの中央の支持孔13rにその一端部を嵌め込んで(樹脂材料などで固着させてもよい)支持固定させた後に、楔バネ14の一端部を端部21pに嵌め込み支持させた状態の挟持部材21A~21Dを、その収容部11A、11B毎に開口部11aから1本ずつ隙間内に差し込んで挟持付勢バネ15周りに位置させつつ楔バネ14の他端部を仕切板13の仕切面13aに押し付けて圧縮状態にして計4本をセットすることにより組み立てることができる(図4を参照)。
【0040】
<第2実施形態>
次に、図10図14は本発明の第2実施形態に係る接続装置を示す図である。ここで、本実施形態は上述実施形態と同様の構成を備えることから、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0041】
図10および図11において、接続装置100は、一対の挟持セット20および解除治具30と共に、収容部材10に代えて、一対の収容部材111A、111Bを備えており、この収容部材111A、111Bは、それぞれ上述実施形態の収容部11A、11Bと概略同一の寸法構造に作製されて同様の機能を備えている。
【0042】
収容部材111A、111Bは、図12に示すように、収容部11A、11Bと同様に、内面11iおよび外面11oを有する円錐台形状に形成されて、先細り側小径部に開口部11aが配置されている。
【0043】
この収容部材111A、111Bは、図11に戻って、上述実施形態における雄ネジ19に代えて、挟持部材21A~21Dの分割側面21sに形成されて電線Dの長さ方向に平行移動する平面形状の切欠面21nにより形成される切欠溝21gに嵌まり込む概略断面三角形状に形成されているガイド部材113を備えている。
【0044】
また、収容部材111A、111Bは、図13に示すように、円盤形状からガイド部材113の断面形状を切り欠いた切欠部115nを外周縁側4箇所に均等配置されている仕切部材115を備えており、その仕切部材115の両面側の周縁部に、そのガイド部材113の中央リブ113rと共に、円錐台形状の大径部111rが全周溶接W(スポット溶接や融着や接着でもよい)などされて組み立て可能な構造に作製されている。
【0045】
これにより、接続装置100は、図14に示すように、収容部材111A、111Bの間に仕切部材115を位置させつつ、その収容部材111A、111B内に、楔バネ14を取り付けた挟持部材21A~21Dと共に、それらの切欠溝21g内や切欠部115n内に位置するように4つのガイド部材113を差し込んで、その収容部材111A、111Bの大径部111rを仕切部材115の外周縁およびガイド部材113の中央リブ113rに溶接Wすることにより組み立てることができる。
【0046】
したがって、接続装置100は、上述実施形態の雄ネジ19と同様に、収容部材111A、111B内の挟持部材21A~21Dの切欠溝21g内にガイド部材113が嵌まり込んで、その挟持部材21A~21Dが平行移動するのを妨げられることなく電線Dの長さ方向に移動することが許容されて、その電線Dの端部Deを挟持する楔として機能させることができる。
【0047】
このように、本実施形態における接続装置100は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、それに加えて、収容部材111A、111B内に挟持部材21A~21Dやガイド部材113などの各種部材を差し込んで仕切部材115に溶接Wするだけの簡易かつ容易な作業工程で組み立てることができ、低コストに作製することができる。
【0048】
<第3実施形態>
次に、図15図17は本発明の第3実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0049】
図15において、接続装置200は、一対の挟持セット20および解除治具30と共に、収容部材111A、111Bに代えて、一対の収容部材211A、211Bを備えており、この収容部材211A、211Bは、それぞれ上述実施形態の収容部材111A、111Bと概略同一の寸法構造を備えて同様に機能するように作製されている。
【0050】
収容部材211A、211Bは、図16に示すように、収容部材111A、111Bと同様に、内面11iおよび外面11oを有する円錐台形状に形成されて、先細り側小径部に開口部11aが配置されている。
【0051】
この収容部材211A、211Bは、図15に戻って、上述実施形態における雄ネジ19やガイド部材113に代えて、そのガイド部材113と同様に機能するように、挟持部材21A~21Dの分割側面21sに形成されて電線Dの長さ方向に平行移動する切欠溝21gに嵌まり込むガイド面213が外周面211oを内側に打ち出すことにより形成されている。
【0052】
この収容部材211A、211Bは、図17に示すように、円盤部材215dの両面側にガイド面213を嵌め込み可能な形状に切り欠いた切欠部215nを外周縁側4箇所に均等配置されている仕切部材215を備えており、その仕切部材215の円盤部材215dの両面側の周縁部に、円錐台形状の大径部211rが溶接Wなどされて組み立て可能な構造に作製されている。
【0053】
これにより、接続装置100は、収容部材211A、211Bの間に仕切部材215を位置させつつ、その収容部材211A、211B内に、楔バネ14を取り付けた挟持部材21A~21Dを差し込みつつ、その切欠溝21g内や切欠部215n内に4つのガイド面213を位置させて、その収容部材211A、211Bの大径部211rを仕切部材215に溶接Wすることにより組み立てることができる。
【0054】
したがって、接続装置100は、上述実施形態におけるガイド部材113を用いることなく、上述実施形態の雄ネジ19と同様に、収容部材211A、211Bのガイド面213を挟持部材21A~21Dの切欠溝21g内に嵌まり込ませて、その挟持部材21A~21Dが平行移動するのを妨げされることなく電線Dの長さ方向に移動することが許容されて、その電線Dの端部Deを挟持する楔として機能させることができる。
【0055】
このように、本実施形態における接続装置200は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、それに加えて、ガイド部材113を省略して、より簡易かつ容易な作業工程で組み立てることができ、より低コストに作製することができる。
【0056】
<第4実施形態>
次に、図18は本発明の第4実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0057】
図18において、接続装置300は、上述第1実施形態の接続装置1の収容部材10の外面側を覆う樹脂製の絶縁カバー301、302を備えており、この絶縁カバー301、302は、それぞれ収容部11A、11Bを覆う相似形状に形成されて開口部11a側から内部に内装した状態で大径部側同士を互いに噛み合わせる係合部301a、302aが形成されている。
【0058】
係合部301aは、周方向に延長されている畝形状に形成されて係合部302aの内側に位置しており、係合部302aは、畝形状の係合部301aを覆うように周方向に連続する湾曲形状に形成されている。このため、係合部301a、302aは、互いに突き合わせる方向に相対移動させるだけで、小さな力では離脱不能に重ねた状態にして係合することができる。
【0059】
また、絶縁カバー301、302は、収容部材10の開口部11a側に、上述実施形態におけるキャップ18と同一の寸法形状を有するキャップ部303が一体に形成されており、そのキャップ部303に連続して開口部11aの周縁から開口面積を拡大するカップ形状部304も一体形成されている。
【0060】
これにより、接続装置300は、絶縁カバー301、302を取り付けて絶縁性を確保することができるとともに、別部品のキャップ18を別途取り付けることなくコンパウンドを保持する同様の機能を備えつつ、雨水などが回り込んで収容部材10内に侵入することを抑制してカップ形状部304の外周縁側に案内し滴下させることができる。
【0061】
なお、この絶縁カバー301、302は、収容部材10に取り付けられる雄ネジ19を避けつつ装着することできるように該当箇所に大径部305に形成されている。
【0062】
このように、本実施形態における接続装置300は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、それに加えて、絶縁カバー301、302を取り付けるだけで、絶縁性を確保して安全性を向上させるとともに、収容部材10内にコンパウンドを適正に貯留することができ、また、雨水などをカップ形状部304の周縁側から滴下させて耐久性を向上させることができる。
【0063】
ここで、本実施形態では、上述実施形態の収容部材10に対応するように絶縁カバー301、302を作製する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、図19に示すように、上述実施形態の収容部材111A、111Bなどを収容可能に作製してもよいことは言うまでもない。
【0064】
<第5実施形態>
次に、図20は本発明の第5実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0065】
図20において、接続装置400は、上述実施形態の4つの挟持部材21A~21Dからなる挟持セット20に代えて、2つの挟持部材421A、421Bを備える挟持セット420を備えているとともに、収容部材111A、111Bに代えて、収容部材411A、411Bを備えている。
【0066】
挟持セット420の挟持部材421A、421Bは、2つ割りされた分割側面421sに直交する切欠面421nが電線Dの長さ方向と平行に延長されて収容部材411A、411Bの内面411iの円筒形状から凹形状に窪むように切り欠かれている切欠部(凹形状部)421gが開口部411aから離隔する側に形成されている。
【0067】
収容部材411A、411Bは、その挟持部材421A、421Bの電線Dの長さ方向に平行移動する平面形状の切欠面421nにより形成される切欠部421gに位置するガイド部材413を備えている。
【0068】
この収容部材411A、411Bは、円盤形状からガイド部材413の断面形状を切り欠いた切欠部415nを外周縁側2箇所に均等配置されている仕切部材415を備えており、その仕切部材415の両面側の周縁部に、そのガイド部材413の中央リブ413rと共に、円錐台形状の大径部411rが溶接Wなどされて組み立て可能な構造に作製されている。
【0069】
これにより、接続装置400は、上述実施形態の接続装置100と同様に組み立てて溶接Wすることにより作製することができ、挟持部材421A、421Bが平行移動するのを妨げられることなく電線Dの長さ方向に移動することが許容されて楔として機能させることができる。
【0070】
このように、本実施形態における接続装置400は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、挟持部材421A、421Bなどの部品点数を減らして、簡易かつ容易な作業工程で組み立てることができ、低コストに作製することができる。
【0071】
ここで、本実施形態では、ガイド部材413を備える収容部材411A、411Bを一例にして説明するが、上述第3実施形態と同様に、その収容部材411A、411Bの外面を窪ませてガイド面を形成することによりガイド部材413を省いて、より低コストに作製するようにしてもよい。
【0072】
<第6実施形態>
次に、図21は本発明の第6実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0073】
図21において、接続装置500は、上述実施形態の4つの挟持部材21A~21Dからなる挟持セット20に代えて、3つの挟持部材521A~521Cを備える挟持セット520を備えているとともに、収容部材111A、111Bに代えて、収容部材511A、511Bを備えている。
【0074】
挟持セット520の挟持部材521A~521Cは、3つ割りされた分割側面521sの角部を切り欠いた切欠面521nが電線Dの長さ方向と平行に延長されて切欠溝(凹形状部)521gが開口部511aから離隔する側に形成されている。
【0075】
収容部材511A、511Bは、その挟持部材521A~521Cの電線Dの長さ方向に平行移動する切欠面421nにより形成される切欠溝521gに嵌まり込むガイド部材513を備えている。
【0076】
この収容部材511A、511Bは、円盤形状からガイド部材513の断面形状を切り欠いた切欠部515nを外周縁側3箇所に均等配置されている仕切部材515を備えており、その仕切部材515の両面側の周縁部に、そのガイド部材513の中央リブ513rと共に、円錐台形状の大径部511rが溶接Wなどされて組み立て可能な構造に作製されている。
【0077】
これにより、接続装置500は、上述実施形態の接続装置100と同様に組み立てて溶接Wすることにより作製することができ、挟持部材521A~521Cが平行移動するのを妨げられることなく電線Dの長さ方向に移動することが許容されて楔として機能させることができる。
【0078】
このように、本実施形態における接続装置500は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、挟持部材521A~521Cなどの部品点数を減らして、簡易かつ容易な作業工程で組み立てることができ、低コストに作製することができる。
【0079】
ここで、本実施形態では、ガイド部材513を備える収容部材511A、511Bを一例にして説明するが、上述第3実施形態と同様に、その収容部材511A、511Bの外面を窪ませてガイド面を形成することによりガイド部材513を省いて、より低コストに作製するようにしてもよい。
【0080】
さらに、上述実施形態では、挟持部材を2部品~4部品にする場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、5部品以上に分割して、より精密に電線Dを挟持する楔として機能するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0081】
<第7実施形態>
次に、図22は本発明の第7実施形態に係る接続装置を示す図である。
【0082】
図22において、接続装置600は、上述第1実施形態における挟持セット20に代えて、挟持セット620を備えており、この挟持セット620の挟持部材621A~621Dは、収容部材10の開口部11a側の内面621iに段差を形成して電線Dの外皮Dcまで差し込み可能な拡大部623が形成されている。
【0083】
この挟持部材621A~621Dは、その拡大部623の内面に電線Dの外皮Dcに食い込む突起624が形成されている。ここで、この拡大部623および突起624は、例えば、図19にも図示するように、他の実施形態の接続装置に適用することもできる。
【0084】
これにより、接続装置600は、収容部材10内の挟持セット620を楔として機能させて、その挟持部材621A~621Dを電線Dの導通芯線の端部Deに圧接させて挟持するとともに、その電線Dの外皮Dcに拡大部623の突起624を食い込ませて引き抜き不能に保持することができる。
【0085】
このように、本実施形態の接続装置600は、上述実施形態と同様の作用効果をえることができ、これに加えて、電線Dの導通芯線を傷つけることなく、外皮Dcを保持して引き抜き抜き不能にして延長状態をより信頼性高く維持することができる。
【0086】
ここで、本実施形態の突起624を備える拡大部623は、一体物の収容部材10に限るものではなく、他の実施形態の収容部材にも適用することができ、例えば、図23に示すように、分割されている収容部材111A、111B内に収容する挟持部材21A~21Dなどにも適用して、その収容部材111A、111Bの開口部111a側に突起724を備える拡大部723を形成して電線Dを引き抜き不能に信頼性高く保持することができるようにしてもよい。
【0087】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0088】
1、100、200、300、400、500、600……接続装置
10、111A、111B、211A、211B、411A、411B、511A、511B……収容部材
11A、11B……収容部
11a、111a、411a、511a……開口部
13、13p……仕切板
14……楔バネ
15……挟持付勢バネ
18……キャップ
19……雄ネジ
20、420、520、620……挟持セット
21A~21D、421A、421B、521A~521C、621A~621D……挟持部材
21g、521g……切欠溝
30……解除治具
113、413、513……ガイド部材
115、215、415、515……仕切部材
213……ガイド面
301、302……絶縁カバー
303……キャップ部
304……カップ形状部
421g……切欠部
C……コンパウンド
D……電線
De……端部
Do……外周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24