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特開2022-149120冷却方法及び半導体装置の製造方法及び処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149120
(43)【公開日】2022-10-06
(54)【発明の名称】冷却方法及び半導体装置の製造方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220929BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
H01L21/31 E
C23C16/44 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051118
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 寛哲
(72)【発明者】
【氏名】上村 大義
(72)【発明者】
【氏名】谷山 智志
(72)【発明者】
【氏名】松永 友樹
(72)【発明者】
【氏名】江尻 靖則
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅和
(72)【発明者】
【氏名】大石 護
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA12
4K030KA26
4K030LA15
5F045AA06
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB10
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB08
5F045EF03
5F045EJ02
5F045EJ10
5F045EM08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】処理後の基板に対する冷却時間の短縮を図る冷却方法、半導体装置の製造方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】縦型基板処理装置1における基板保持具(ボート13)に保持された状態の処理後の基板Wを冷却する方法であって、基板保持具を、基板Wを移載するための基準位置に配置する工程と、冷却ガスノズルから、基準位置に配置された基板保持具に向けてガスを供給し、基板を冷却する第1冷却工程と、ガスの供給を停止する停止工程と、基板保持具が上昇位置に保持される、ウエハマッピング処理後の基板を冷却する第2冷却工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する冷却方法であって、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けてガスを供給して、前記基板を冷却する第1冷却工程と、前記ガスの供給を停止する停止工程と、前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する第2冷却工程と、を有する冷却方法。
【請求項2】
前記停止工程では、前記基板保持具に保持される前記基板の温度測定及び載置状態の確認のうち少なくともどちらか一方を行う様に構成されている請求項1に記載の冷却方法。
【請求項3】
前記基板の温度が予め設定された温度より小さいとき、前記第2冷却工程は省略される様構成されている請求項2に記載の冷却方法。
【請求項4】
基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記基板を冷却する工程は、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けてガスを供給して、前記基板を冷却する第1冷却工程と、前記ガスの供給を停止する停止工程と、前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する第2冷却工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
基板保持具に保持された状態の基板を冷却する冷却部と、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けてガスを供給して、前記基板を冷却させ、前記ガスの供給を停止後、少なくとも前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する様に前記冷却部を制御することが可能に構成される制御部と、を備えた処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板を冷却する冷却方法、半導体装置の製造方法及び処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の製造工程で用いられる縦型基板処理装置には、基板を処理する処理室に隣接して移載室が配設される。処理室で処理された基板は、移載室で基板保持具に保持された状態で、所定の温度に降温される。
【0003】
例えば、特許文献1には、処理された基板が、移載室で基板保持具に保持された状態で冷却されることが記載されている。
【0004】
然し乍ら、周辺の部材からの輻射熱により基板保持具の下部に保持された基板が再加熱されることがある。従って、基板を所定の温度に降温させる為の冷却時間を長くする必要があり、基板の搬送が遅れてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2017/163376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、処理後の基板に対する冷却時間の短縮を図る技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する技術であって、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けて、ガスを供給し、前記基板を冷却する第1冷却工程と、前記ガスの供給を停止する停止工程と、前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する第2冷却工程とを有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、処理済の基板に対する冷却時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る処理装置の概略構成を示す縦断面図である。
図2】本開示の実施形態に係る移載室の概略構成を示す横断面図である。
図3】(A)はボートが基準位置に位置する場合を示す移載室の縦断面図であり、(B)はボートが上昇位置に位置する場合を示す移載室の縦断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る移載室での処理済みウエハに対する冷却工程を説明するフローチャートである。
図5】本開示の実施形態の第1の変形例に係る移載室の概略構成を示す縦断面図であり、(A)はボートが基準位置に位置する場合を示し、(B)はボートが上昇位置に位置する場合を示している。
図6】本開示の実施形態の第2の変形例に係る移載室の概略構成を示す縦断面図であり、(A)はボートが基準位置に位置する場合を示し、(B)はボートが上昇位置に位置する場合を示している。
図7】本開示の実施形態の第3の変形例に係る移載室の概略構成を示す縦断面図であり、(A)はボートが基準位置に位置する場合を示し、(B)はボートが上昇位置に位置する場合を示している。
図8】本開示の実施形態の第4の変形例に係る移載室の概略構成を示す縦断面図であり、(A)はボートが基準位置に位置する場合を示し、(B)はボートが上昇位置に位置する場合を示している。
図9】本開示の実施形態の第5の変形例に係る移載室の概略構成を示す縦断面図である。
図10】本開示の実施形態の第5の変形例に係る移載室での処理済みウエハに対する冷却工程を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本開示の実施形態について説明する。尚、以下の説明に於いて用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。又、複数の図面の相互間に於いても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。又、全図面中、同一又は対応する構成については、同一又は対応する符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0011】
本実施形態に於いて、基板処理装置は、半導体装置(デバイス)の製造方法に於ける製造工程の一工程として熱処理等の基板処理工程を実施する縦型基板処理装置(以下、処理装置と称する)1として構成されている。図1に示される様に、処理装置1は、移載室2と、移載室2の上方に配置された処理炉3を有する。
【0012】
処理炉3は、円筒形状の反応管4と、反応管4の外周に設置された第1加熱手段(過熱器光)としてのヒータ5とを備える。反応管4は、例えば石英やSiC(シリコンカーバイド)により形成される。反応管4の内部には、基板としてのウエハWを処理する処理室6が形成される。反応管4には、温度検出器としての温度検出部7が設置される。
【0013】
反応管4の下端開口部には、円筒形のマニホールド8が、Oリング等のシール部材を介して連結され、反応管4の下端を支持している。マニホールド8は、例えばステンレス等の金属により形成される。マニホールド8の下端開口部は円盤状のシャッタ9又は蓋部11によって開閉される。蓋部11は、例えば金属により円盤状に形成される。シャッタ9及び蓋部11の上面にはOリング等のシール部材が設置されており、これにより反応管4内と外気とが気密にシールされる。
【0014】
蓋部11上には、基板保持具としてのボート13が設置される。ボート13の下部には断熱部12が設けられる。断熱部12は、例えば石英により形成される。断熱部12の上方には、ボート13の基板保持領域が設けられる。ボート13は、天板13aと、底板13cと、天板13aと底板13cとの間に複数本設置された柱13bとで構成される。ボート13は、柱13bに複数段形成された溝にウエハWを垂直に多段に支持する。ボート13は、例えば石英やSiCにより形成される。基板処理の際、ボート13は、処理室6に収納される。尚、断熱部12は断熱領域を形成し、ボート13と断熱部12は別体であってもよい。
【0015】
図3(A)、図3(B)に示される様に、ボート13の基板保持領域は、上部基板保持領域13dと、上部基板保持領域13dと上下に隣合う下部基板保持領域13eの2つのエリアに分割可能となっており、上部基板保持領域13dと下部基板保持領域13eのそれぞれにウエハWが装填され保持される。
【0016】
断熱部12は、蓋部11を貫通する回転軸15に接続される。回転軸15は、蓋部11の下方に設置された回転機構16に接続されている。回転機構16によって回転軸15を回転させることにより、断熱部12及びボート13を回転させることができる。
【0017】
移載室2には、基板移載機17と、ボート13と昇降機構としてのボートエレベータ18とが配置されている。基板移載機17は、例えば5枚のウエハWを取出すことができるアーム(ツイーザ)17aを有している。基板移載機17は、図示しない駆動手段によりツイーザ17aを上下回転動作させることにより、ポッドオープナ19の位置に置かれたポッド21とボート13との間にて、ウエハWを搬送させることが可能な様に構成される。又、基板移載機17はウエハマッピングを行うことが可能に構成されている。ここで、ウエハマッピングとは、ウエハの有無や載置状態をチェックすることである。特に、基板移載機17のツイーザ17a先端の左右にセンサ(投光部、受光部)が設けられているので、ウエハWの円弧がセンサ間を通過することでウエハの有無を検知することが可能である。又、センサを3段階でウエハWに近づけて測定することで、ウエハWの載置状態(姿勢)を検知することが可能である。
【0018】
ボートエレベータ18は、蓋部11を上下に昇降させることにより、反応管4に対してボート13を搬入出させる。又、ボートエレベータ18は、移載室2で、後述する基準位置(第1冷却位置)、上昇位置(第2冷却位置)でボート13を保持できる様、ボート13を昇降させることが可能な様に構成される。移載室2の詳細については後述する。尚、上昇位置とは、ボート13に保持されたウエハWを基板移載機17で取出す場合に、基板移載機17によるウエハWの搬送が開始される際の搬送基準位置となっている。
【0019】
処理装置1は、基板処理に使用されるガスを処理室6に供給するガス供給機構22を備えている。ガス供給機構22が供給するガスは、成膜される膜の種類に応じて適宜換えられる。ガス供給機構22は、原料ガス供給部(原料ガス供給系)、反応ガス供給部(反応ガス供給系)及び不活性ガス供給部(不活性ガス供給系)を含む。
【0020】
原料ガス供給系は、供給管23aを備え、供給管23aには、上流方向から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)24a及び開閉弁であるバルブ25aが設けられている。供給管23aはマニホールド8の側壁を貫通するノズル26aに接続される。ノズル26aは、反応管4内に上下方向に沿って立設し、ボートに保持されるウエハWに向って開口する複数の供給孔が形成されている。ノズル26aの供給孔を通してウエハWに対して原料ガスが供給される。
【0021】
以下、同様の構成にて、反応ガス供給系からは、供給管23a、MFC24a、バルブ25a及びノズル26aを介して、反応ガスがウエハWに対して供給される。不活性ガス供給系からは、供給管23b、MFC24b、バルブ25b及びノズル26aを介して、ウエハWに対して不活性ガスが供給される。
【0022】
マニホールド8には、排気管27が取付けられている。排気管27には、処理室6内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ28及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ29を介して、真空排気装置としての真空ポンプ31が接続されている。この様な構成により、処理室6の圧力を処理に応じた処理圧力とすることができる。
【0023】
次に、図1図3に於いて、本実施形態に係る移載室2の構成について説明する。
【0024】
図2に示される様に、移載室2は、天井、床及び四方を囲う側壁によって平面多角形状に構成され、例えば、平面四角形状に構成される。移載室2の一側面には、第1送風部(第1ガス供給部)としてのクリーンユニット32が設置される。クリーンユニット32によりクリーンエア(清浄雰囲気)としてのガスが移載室2に供給される。又、移載室2の周囲に位置する空間には、ガスを循環させる為の循環路(図示せず)が形成される。移載室2に供給されたガスは、排気部34より排気され、循環路を経由してクリーンユニット32より再び移載室2に供給される。循環路の途中には、ラジエタが設置され、ガスはラジエタを通過することにより冷却される。
【0025】
クリーンユニット32は、上部クリーンユニット32aと下部クリーンユニット32bとが上下に隣合う様に配置される。上部クリーンユニット32aは、移載室2、特にボート13に向けてガスを供給する様に構成される。下部クリーンユニット32bは、移載室2内、特に断熱部12に向けてガスを供給する様に構成される。以下、クリーンユニット32と称した場合は、上部クリーンユニット32aを示す場合、下部クリーンユニット32bを示す場合、又はそれらの両方を示す場合も含む。
【0026】
クリーンユニット32は、上流側から順に、送風部としてのファン(図示せず)と、バッファ室としてのバッファエリア36と、フィルタ部37と、ガス供給口38とを有する。バッファエリア36は、ガス供給口38の全面からガスを均一に吹出す為の拡散空間である。フィルタ部37は、ガスに含まれるパーティクルを取除く様に構成される。ファン、バッファエリア36、フィルタ部37、ガス供給口38は、各クリーンユニット32a,32bにそれぞれ備えられている。
【0027】
クリーンユニット32の対面側の一側面には、排気部34とボートエレベータ18が設置される。クリーンユニット32から移載室2内に供給されたガスは、排気部34より排気され、循環路を経由してクリーンユニット32より再び供給される。これにより、移載室2内の上部領域(ウエハW領域)には、水平方向(ウエハWと平行な方向のガス流れ(サイドフロー)が形成される。
【0028】
図2図3に示される様に、クリーンユニット32が設置される側面には、第2送風部(第2ガス供給部)としての冷却ガスノズル39が設置される。本実施形態では、冷却ガスノズル39は、移載室2のボートエレベータ18とボート13を挾んで対面する位置に設置され、上方(ウエハWの積載方向)に向って延出する。
【0029】
冷却ガスノズル39は、ボート13に向って屈曲され、延出する第1分岐ノズル39aと、第1分岐ノズル39aよりも上流側でボート13に向って延出する第2分岐ノズル39bと、第2分岐ノズル39bよりも上流側でボート13に向って延出する第3分岐ノズル39cを有し、各分岐ノズル39a~39cを介して移載室2、特に基板保持領域に対して冷却ガスが供給される。好ましくは、各分岐ノズル39a~39cは、ボート13の天板13aと上部基板保持領域13dの最上段のウエハWとの間の領域、ボート13の底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間の領域に向ってガスを供給する様に構成されている。
【0030】
冷却ガスノズル39は、移載室2に冷却ガスを供給する為の移載室ガス供給機構41に接続される。移載室ガス供給機構は、供給管23cを備え、供給管23cには、上流側から順に、MFC24c及びバルブ25cが設けられている。尚、冷却ガスノズル39、各分岐ノズル39a~39c、移載室ガス供給機構41は、ボート13に保持された処理後のウエハWを冷却する為の冷却部として機能する。
【0031】
ボートエレベータ18は、図3(A)に示される様な、第1冷却工程が実行される基準位置と、図3(B)に示される様な、第2冷却工程が実行される上昇位置のいずれかの位置でボート13を保持可能となっている。上昇位置は、基準位置よりも上方に位置する。基準位置に於いては、第1分岐ノズル39aから噴出した冷却ガスが天板13aと上部基板保持領域13dの最上段のウエハWとの間に供給され、第3分岐ノズル39cから噴出した冷却ガスが底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間に供給される。又、上昇位置に於いては、第2分岐ノズル39bから噴出した冷却ガスが底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間に供給される。これにより、底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間に冷却ガスの障壁(ガスカーテン)を形成することができる。従って、ボート13の下部に保持されたウエハWを冷却できると共に、ウエハW領域の雰囲気と、断熱部12領域の雰囲気とをガスカーテンにより区切ることができる。
【0032】
図1図3に示される様に、回転機構16、基板移載機17、ボートエレベータ18、ガス供給機構22(MFC24a,24b及びバルブ25a,25b)、APCバルブ29、クリーンユニット32、移載室ガス供給機構41(MFC24c及びバルブ25c)には、これらを制御するコントローラ42が接続される。コントローラ42は、例えばCPUを備えたマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなり、処理装置1の動作を制御する様に構成される。コントローラ42には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置43が接続されている。
【0033】
コントローラ42には記憶媒体としての記憶部44が接続されている。記憶部44には、処理装置1の動作を制御する制御プログラムや、処理条件に応じて処理装置1の各構成部に処理を実行させる為のプログラム(プロセスレシピやクリーニングレシピ等のレシピ)が、読出し可能に格納される。
【0034】
記憶部44は、コントローラ42に内蔵された記憶装置(ハードディスクやフラッシュメモリ)であってもよいし、外部記録装置(USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)であってもよい。又、コンピュータへのプログラムの提供は、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。プログラムは、必要に応じて、入出力装置43からの指示等にて記憶部44から読出されて、読出されたレシピに従った処理をコントローラ42が実行することで、処理装置1は、コントローラ42の制御のもと、所望の処理を実行する。
【0035】
次に、上述の処理装置1を用い、基板上に膜を形成する処理(成膜処理)について説明する。ここでは、ウエハWに対して、原料ガスと、反応ガスを供給することで、ウエハW上に膜を形成する例について説明する。尚、以下の説明に於いて、処理装置1を構成する各部の動作はコントローラ42により制御される。
【0036】
(移載工程)
基板移載機17により、ポッド21からボート13へウエハWを移載する(ウエハチャージ)。この時、クリーンユニット32より移載室2へガスが供給されている。又、クリーンユニット32に加えて、冷却ガスノズル39を介して各分岐ノズル39a~39cから冷却ガスを供給してもよい。
【0037】
(搬入工程)
次に、処理室6下部のウエハ搬入出口を閉塞しているシャッタ9を図示しないシャッタ収納部へ退避させ、処理室6のウエハ搬入出口を開放する。続いて、ボートエレベータ18によって蓋部11を上昇させて、移載室2から処理室6へボート13を搬入する(ボートローディング)。これにより、蓋部11は、封止部材を介してマニホールド8の下端をシールした状態となる。この時、移載工程と同じ条件で、クリーンユニット32から移載室2へのガスの供給が継続される。
【0038】
(基板処理工程)
ボート13が処理室6に搬入されると、排気管27より処理室6の排気を行い、処理室6の圧力を所望の圧力(真空度)とする。又、ヒータ5により処理室6を加熱すると共に、回転機構16を動作させてボート13を回転させる。更にガス供給機構22により処理室6へ原料ガスと、反応ガスを供給する。これにより、ウエハWの表面に膜が形成される。ウエハWの表面上に所望の膜厚の膜が形成されると、ガス供給機構22は処理室6への原料ガス及び反応ガスの供給を停止し、処理室6へ不活性ガスを供給する。これにより、処理室6を不活性ガスで置換すると共に、処理室6の圧力を常圧に復帰させる。この時、移載室2では、移載工程と同様の条件で、クリーンユニット32から移載室2へのガスの供給が継続される。
【0039】
(搬出工程)
基板処理工程が完了すると、ボートエレベータ18によって、蓋部11を下降させてマニホールド8の下端を開口させると共に、ボート13を処理室6から移載室2へと搬出する。そして、処理室6のウエハ搬入出口をシャッタ9で閉塞し、ボート13を基準位置に配置する(ボートアンローディング)。この時、移載工程と同様の条件で、クリーンユニット32、或はクリーンユニット32及び冷却ガスノズル39から移載室2へのガスの供給が継続される。
【0040】
(降温工程)
ボート13の移載室2への搬出が完了すると、ウエハWが予め設定した設定温度になる迄、移載室2でウエハWを降温(冷却)させる降温工程(冷却工程)が実行される。ここで、設定温度とは、ウエハWを搬出可能な温度であり、予め記憶部44に格納されている。設定温度はツイーザ17a又はポッド21の耐熱温度以下の温度であり、例えば100℃である。尚、設定温度は、ツイーザ17a又はポッド21の材質によって、60℃以上100℃以下の範囲に設定されることが多い。以下、図4のフローチャートを参照し、ウエハWの冷却工程の詳細について説明する。
【0041】
STEP:01 処理室6での基板処理が完了すると、コントローラ42はボートエレベータ18を駆動させ、ボート13を基準位置へと降下させる。この時、クリーンユニット32は、所定の流量でガスが供給されている。尚、本実施形態では、処理室6からボート13を降下させて基準位置に移動しているが、ボート13を降下した後、更に移動させて基準位置に配置させる様にしてもよい。又、本工程STEP:01の工程で、冷却ガスノズル39からも、ボート13に向けて所定の流量で冷却ガスを供給する様に構成してもよい。
【0042】
STEP:02 ボート13が基準位置に配置されると、コントローラ42は、MFC24c及びバルブ25cを制御し、各分岐ノズル39a~39cからそれぞれ第1の流量で第1冷却時間だけ冷却ガスが噴射される。基準位置に於いては、第1分岐ノズル39aから噴射された冷却ガスは、ボート13の天板13aと上部基板保持領域13dの最上段のウエハWとの間に流入する。又、第3分岐ノズル39cから噴射された冷却ガスは、ボート13の底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間に流入する。各分岐ノズル39a~39cから流入した冷却ガスにより、ボート13に装填されたウエハWが冷却される。又、ボート13と断熱部12との間にガスカーテンが形成され、ボート13下部のウエハWを冷却できると共に、断熱部12からの輻射熱を遮断できる。
【0043】
ここで、第1の流量とは、例えば75L/minである。又、第1冷却時間は、ボート13に装填されたウエハWの温度が100℃以下となる迄の時間であり、ウエハWの処理温度や第1の流量等に応じて予め設定される。尚、STEP:01とSTEP:02とを併せて、第1冷却工程とも称する。
【0044】
STEP:03 冷却ガスを各分岐ノズル39a~39cから第1冷却時間だけ噴出した後、コントローラ42は、MFC24cとバルブ25cを制御し、冷却ガスの供給を停止する。
【0045】
STEP:04 コントローラ42は、ボートエレベータ18を駆動させ、ボート13を上昇位置に上昇させる。この時、各分岐ノズル39a~39cからの冷却ガスは停止されている。尚、ボート13を基準位置から上昇位置に移動させる工程を移動工程とも称す。
【0046】
STEP:05 冷却ガスの供給を停止した状態で、コントローラ42は、ウエハWのマッピングを実行する。即ち、コントローラ42は、基板移載機17を動作させ、予め基板移載機17に設けられているセンサ(ウエハセンサと称する場合がある)により、ボート13に保持されるウエハWの移載状態を確認する。具体的には、コントローラ42は、基板移載機17を昇降させつつ、センサからの情報により、ウエハWが、飛出し、割れ、載置ズレなどの異常が発生していないかを確認する。更に、基板移載機17に後述する温度測定部としての温度センサを設け、ボート13に保持されているウエハWの温度を測定する様にしてもよい。これら、ボート13に保持されているウエハのWの温度測定及び移載状態の確認は、少なくとも一方が実行される様に構成されているが、両方が実行される様に構成してもよい。又、上述のウエハセンサや温度センサは、対象物(ウエハW)には非接触で測定が可能なセンサであるが、特に取り付け位置は本実施形態に限定することなく、一例である。
【0047】
尚、本実施形態では、STEP:03~STEP:05を併せて、停止工程と称する。又、停止工程に於いて、コントローラ42は、第1冷却工程終了後、予め設定された時間が経過した時点で、例えば、ウエハマッピングを開始する。予め設定した時間の経過前にボート13の上昇が完了した場合には、ボート13を上昇位置で保持する。又、予め設定した時間が経過してもボート13の上昇が完了しなかった場合には、コントローラ42は異常ありとしてアラームを通知する。尚、予め設定した時間の経過前にボート13の上昇が完了した場合、設定時間経過を待つ必要はなく、ボート13をウエハマッピングしてもよい。
【0048】
ウエハマッピング後、コントローラ42は、ウエハWの載置状態に異常があるかどうかを確認し、異常が発生していれば、コントローラ42は異常ありとしてアラームを通知する。この時、異常に応じて次の工程(STEP:06)が終了後、すぐに復旧処理が行える様に、ウエハディスチャージ工程に進まない様に基板処理を停止させる様にしてもよい。
【0049】
STEP:06 コントローラ42は、MFC24c及びバルブ25cを制御し、各分岐ノズル39a~39cからそれぞれ第2の流量で第2冷却時間だけ冷却ガスが噴射される。上昇位置に於いては、第2分岐ノズル39bから噴射された冷却ガスは、ボート13の底板13cと下部基板保持領域13eの最下段のウエハWとの間に流入する。第2分岐ノズル39bから噴射される冷却ガスにより、ボート13に装填されたウエハWが冷却されると共に、ボート13と断熱部12との間にガスカーテンが形成され、断熱部12からの輻射熱を遮断できる。
【0050】
ここで、第2の流量は、第1の流量よりも小さい例えば15L/minである。又、第2冷却時間は、第1冷却時間よりも短く、第1冷却工程では設定温度迄下がりきらなかったウエハWの温度が100℃以下となる迄の時間であり、ウエハWの処理温度や第1の流量、第2の流量等に応じて予め設定される。尚、STEP:06を第2冷却工程とも称す。
【0051】
尚、各分岐ノズル39a~39cは、全て冷却ガスノズル39から分岐しており、冷却ガスノズル39内を流通する冷却ガスの流量は、MFC24c及びバルブ25cにより一括で制御される。即ち、3本の分岐ノズル39a~39cに対して1系統で冷却ガスが供給される。従って、基準位置での第1冷却工程に於いては、第2分岐ノズル39bから第1の流量にて基板保持領域の中途部に冷却ガスが供給される。又、上昇位置での第2冷却工程に於いては、第1分岐ノズル39aから第2の流量にて基板保持領域の中途部に冷却ガスが供給され、第3分岐ノズル39cから第2の流量にて断熱部12の断熱領域に冷却ガスが供給される。
【0052】
(移載工程)
ウエハWが所定の時間冷却されると、基板移載機17により、ボート13からポッド21へウエハWを移載する(ウエハディスチャージング)。この時、上昇位置で下部基板保持領域13eのウエハWが払出され、その後ボート13が基準位置に降下され、上部基板保持領域13dのウエハWが払出される様に構成されていてもよい。
【0053】
尚、モニターウエハ、プロダクトウエハ、ダミーウエハ等、ウエハWの種別毎に移載工程を実行する場合には、その都度基準位置、上昇位置間でボート13を昇降させ、各位置でウエハWが払出される。又、ウエハWの移載工程に於いて、ウエハWの払出し中は、クリーンユニット32からは所定流量での冷却ガスが供給される。又、各分岐ノズル39a~39cからも所定流量で冷却ガスが供給される様にしてもよい。一方で、ボート13の昇降中は、各分岐ノズル39a~39cからの冷却ガスの供給が停止される。
【0054】
上述の様に、本実施形態では、冷却ガスを共有する冷却ガスノズル39を分岐ノズル39a~39cに分岐させ、上部基板保持領域13dで保持されるウエハWを移載する為の基準位置、下部基板保持領域13eで保持されるウエハWを移載する為の上昇位置のそれぞれに於いて、各分岐ノズル39a~39cからボート13の最下段のウエハWと断熱部12との間に冷却ガスを供給する構成となっている。
【0055】
従って、基準位置と上昇位置のいずれの場合にも、断熱領域と基板保持領域との境界に冷却ガスが供給され、ガスカーテンが形成されるので、基板保持領域下部のウエハWを冷却できると共に、断熱領域からの輻射熱を遮断でき、基板保持領域で保持されたウエハWの温度の再上昇を防止することができる。
【0056】
又、分岐ノズル39a~39cを介して、基板保持領域と天板13aとの間の領域、基板保持領域と底板13cとの間の領域、基板保持領域の中途部、即ちボート13の全体に冷却ガスを供給することができるので、第1冷却時間を短縮し、第1冷却工程の時間短縮を図ることができる。
【0057】
又、ウエハW温度の再上昇が防止できるので、ウエハWを基板移載機17により搬送可能となる設定温度にする為の時間を短縮させ、予め設定した設定時間内にウエハWの搬送を開始することができ、ウエハWの搬送が遅れることがない。
【0058】
又、ボート13を基準位置と、基準位置よりも上方の上昇位置との間で昇降可能とし、基準位置では上部基板保持領域13dに保持されたウエハWを基板移載機17で搬送可能とし、上昇位置では下部基板保持領域13eに保持されたウエハWを基板移載機17で搬送可能としている。従って、基板移載機17の構造を変更することなく、ボート13に保持されたウエハWを全て基板移載機17により搬送することができる。
【0059】
又、ボート13を基準位置から上昇位置に移動させた際にウエハマッピングを実行する様構成されている。従って、第1冷却工程後、ボート13が移動する際のウエハWの異常の有無やウエハWの搬送の可否等を判定することができる。
【0060】
又、第2冷却工程で供給される冷却ガスの流量(第2の流量)は、第1冷却工程で供給される冷却ガスの流量(第1の流量)よりも小さく、第2冷却工程での冷却ガスの供給時間(第2冷却時間)は、第1冷却工程での冷却ガスの供給時間(第1冷却時間)よりも短くなっている。従って、冷却ガスの浪費を抑制することができる。尚、冷却ガスとしては、N2 等の不活性ガスが用いられる。
【0061】
又、停止工程に於いて、冷却ガスの停止からウエハマッピングを実行する迄の時間が予め設定され、予め設定された時間が経過した時点でウエハマッピングを開始する様構成されている。従って、予め設定された第1冷却時間で遅滞なくウエハマッピングとウエハWのボート13からの搬送を開始させることで、ボート13に配置されている処理済みのウエハWの配置状態をチェックし、ウエハWの載置状態に異常がないかを検知することができる。尚、冷却ガスの停止後、すぐにウエハマッピングを行ってもよい(設定時間がゼロにしてもよい)。
【0062】
本実施形態は、上述の態様に限定されるものではなく、以下に示す様に変更することができる。
【0063】
図5(A)、図5(B)は、本開示の第1の変形例を示している。第1の変形例では、冷却ガスノズル45は、ボート13に向って屈曲され、延出する第1分岐ノズル45aと、第1分岐ノズル45aよりも上流側でボート13に向って分岐する第3分岐ノズル45cと、第3分岐ノズル45cよりも上流側に設けられた切替えバルブ46aを有している。又、冷却ガスノズル45は切替えバルブ46aよりも上流側で所定の方向に分岐する第2分岐ノズル45bを有している。第2分岐ノズル45bは所定の方向に延出した後、ボート13に向って屈曲され、延出する様構成されると共に、切替えバルブ46bが設けられている。
【0064】
第1の変形例も、本開示に係る実施形態と同様、第1分岐ノズル45aから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間に供給され、第2分岐ノズル45bから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間に供給され、第3分岐ノズル45cから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間に供給される。
【0065】
第1の変形例に於いて、切替えバルブ46aを開とし、切替えバルブ46bを閉とした場合には、第1分岐ノズル45aと第3分岐ノズル45cからのみ冷却ガスが噴射され、第2分岐ノズル45bからは冷却ガスが噴射されない様に構成されている。又、切替えバルブ46aを閉とし、切替えバルブ46bを開とした場合には、第2分岐ノズル45bからのみ冷却ガスが噴射され、第1分岐ノズル45aと第3分岐ノズル45cからは冷却ガスが噴射されない様に構成されている。
【0066】
第1の変形例では、第1冷却工程時に切替えバルブ46aを開、切替えバルブ46bを閉とし、第2冷却工程時に切替えバルブ46aを閉、切替えバルブ46bを開とすることで、底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間に確実に冷却ガスを供給することができると共に、冷却ガスが直接ウエハWに噴射されるのを防止することができる。更に、冷却ガスの消費量を抑制することができる。
【0067】
図6(A)、図6(B)は、本開示の第2の変形例を示している。第2の変形例では、冷却ガスノズルは、第1冷却ガスノズル47と、第1冷却ガスノズル47から分岐する第2冷却ガスノズル49とから構成される。第1冷却ガスノズル47は、ボート13に向って屈曲され、延出する第1分岐ノズル47aと、第1分岐ノズル47aよりも上流側に設けられた切替えバルブ48aを有し、第2冷却ガスノズル49は切替えバルブ48aよりも上流側で第1冷却ガスノズル47から所定の方向に分岐している。
【0068】
又、第2冷却ガスノズル49は、第1分岐ノズル47aよりも上流側でボート13に向って屈曲され延出する第2分岐ノズル49bと、第2分岐ノズル49bよりも上流側で、ボート13に向って分岐する第3分岐ノズル49cと、第3分岐ノズル49cよりも上流側に設けられた切替えバルブ48bとを有している。即ち、第2分岐ノズル49bは、第1分岐ノズル47aと第3分岐ノズル49cの間からボート13に向って延出している。
【0069】
第2の変形例も、本開示に係る実施形態と同様、第1分岐ノズル47aから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間の領域に供給され、第2分岐ノズル49bから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給され、第3分岐ノズル49cから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給される。
【0070】
第2の変形例では、第1冷却工程時には、切替えバルブ48aを開とすると共に、第2冷却ガスノズル49に供給される冷却ガスの流量が第1冷却ガスノズル47に供給される冷却ガスの流量よりも小さくなる様、切替えバルブ48bの開度を調整している。尚、第1冷却工程に於ける冷却ガスの総流量は75slmであり、第1冷却ガスノズル47の冷却ガスと第2冷却ガスノズル49の冷却ガスの流量比は、例えば5:1である。
【0071】
又、第2冷却工程時には、切替えバルブ48aを閉とし、切替えバルブ48bを開とすると共に、冷却ガスの流量を基準位置での流量よりも小さくする。例えば、第2冷却工程時の冷却ガスの総流量は15slmとなる。
【0072】
第1冷却工程時には、第1分岐ノズル47aから天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間に大流量の冷却ガスが供給され、分岐ノズル49b,49cから基板保持領域の中途部及び底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間に小流量の冷却ガスが供給される。又、第2冷却工程時には、第2分岐ノズル49bから底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間に冷却ガスが供給され、第3分岐ノズル49cから断熱部12に冷却ガスが供給される。
【0073】
第2の変形例に於いては、第1冷却工程時には、第2冷却ガスノズル49の冷却ガス流量が第1冷却ガスノズル47の冷却ガス流量よりも小さくなる様切替えバルブ46bの開度を調整すると共に、第2冷却工程時には、第1冷却工程よりも冷却ガスの総流量を小さくしている。従って、第1冷却工程、第2冷却工程のいずれの場合も、底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間には流量が絞られた同程度の流量の冷却ガスが供給されるので、冷却ガスの消費量を抑制することができる。
【0074】
尚、第2の変形例では、開度を調整して冷却ガスの流量を絞る切替えバルブ48bを分岐冷却ガスノズルに設けているが、切替えバルブ48bに替えて所定の流路抵抗を有するオリフィスを設けてもよい。
【0075】
図7(A)、図7(B)は、本開示の第3の変形例を示している。第3の変形例では、冷却ガスノズルは、第1冷却ガスノズル51と、第1冷却ガスノズル51から分岐する第2冷却ガスノズル52とから構成される。第1冷却ガスノズルは、ボート13に向って屈曲され、延出する第1分岐ノズル51aと、第1分岐ノズル51aよりも上流側でボート13に向って分岐する第2分岐ノズル51bと、第2分岐ノズルよりも上流側に設けられた切替えバルブ53aを有し、第2冷却ガスノズル52は切替えバルブ53aよりも上流側で第1冷却ガスノズル51から所定の方向に分岐している。
【0076】
又、第2冷却ガスノズル52は、第1分岐ノズル51aよりも下流側で屈曲され、延出する第3分岐ノズル52cと、第3分岐ノズル52c及び第1分岐ノズル51aよりも上流側で、且つ第2分岐ノズル51bよりも下流側でボート13に向って分岐する第4分岐ノズル52dと、第4分岐ノズル52dよりも上流側に設けられた切替えバルブ53bとを有している。
【0077】
第3の変形例では、第1分岐ノズル51aから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間の領域に供給され、第2分岐ノズル51bから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給される。又、第3分岐ノズル52cから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間の領域に供給され、第4分岐ノズル52dから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給される。
【0078】
第3の変形例では、第1冷却工程時には、切替えバルブ53aを開とすると共に、第2冷却ガスノズル52に供給される冷却ガスの流量が第1冷却ガスノズル51に供給される冷却ガスの流量よりも小さくなる様、切替えバルブ53bの開度を調整している。尚、第1冷却工程に於ける冷却ガスの総流量は75slmであり、第1冷却ガスノズル51の冷却ガスと第2冷却ガスノズル52の冷却ガスの流量比は、例えば5:1である。
【0079】
又、第2冷却工程時には、切替えバルブ53aを閉とし、切替えバルブ53bを開とすると共に、冷却ガスの流量を第1冷却工程での流量よりも小さくする。例えば、第2冷却工程時の冷却ガスの総流量は15slmとなる。即ち、第1冷却工程では、第1分岐ノズル51aと第2分岐ノズル51bから大流量の冷却ガスが噴射されると共に、第3分岐ノズル52cと第4分岐ノズル52dから小流量の冷却ガスが噴射され、第2冷却工程では、第3分岐ノズル52cと第4分岐ノズル52dからのみ小流量の冷却ガスが噴射される。
【0080】
第3の変形例に於いては、第2冷却工程時に、第1冷却工程よりも冷却ガスの総流量を小さくしているので、冷却ガスの消費量を抑制することができる。
【0081】
図8(A)、図8(B)は、本開示の第4の変形例を示している。第4の変形例では、冷却ガスノズル54は、流量調整バルブ55を有し、流量調整バルブ55の下流側で第1冷却ガスノズル56と第2冷却ガスノズル57とに分岐している。第1冷却ガスノズル56は、ボート13に向って屈曲され、延出する第1分岐ノズル56aと、第1分岐ノズル56aよりも上流側でボート13に向って分岐する第2分岐ノズル56bと、第2分岐ノズル56bよりも上流側に設けられた第1電磁バルブ58aとを有している。第2冷却ガスノズル57は、第1分岐ノズル56aよりも下流側でボート13に向って屈曲され、延出する第3分岐ノズル57cと、第3分岐ノズル57cと第1分岐ノズル56aよりも上流側で、且つ第2分岐ノズル51bよりも下流側でボート13に向って分岐する第4分岐ノズル57dと、第4分岐ノズル57dよりも上流側に設けられた第2電磁バルブ58bとを有している。
【0082】
第4の変形例では、第1分岐ノズル56aから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間の領域に供給され、第2分岐ノズル56bから噴射された冷却ガスは、基準位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給される。又、第3分岐ノズル57cから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける天板13aと基板保持領域の最上段のウエハWとの間の領域に供給され、第4分岐ノズル57dから噴射された冷却ガスは、上昇位置に於ける底板13cと基板保持領域の最下段のウエハWとの間の領域に供給される様構成される。
【0083】
又、ボート13の昇降中、基準位置への移動完了、上昇位置への移動完了の際に発せられる信号と同期して、流量調整バルブ55の開度が制御されると共に、電磁バルブ58a,58bの開閉が制御される様構成される。
【0084】
ボート13か基準位置に移動完了した際(第1冷却工程)には、流量調整バルブ55の開度を大きくすると共に、第1電磁バルブ58aを開とし、第2電磁バルブ58bを閉とする。又、ボート13が上昇位置に移動完了した際(第2冷却工程)には、流量調整バルブ55の開度を小さくすると共に、第1電磁バルブ58aを閉とし、第2電磁バルブ58bを開とする。更に、ボート13の昇降中(停止工程)には、流量調整バルブ55を閉とすると共に、各電磁バルブ58a,58bを閉とする。
【0085】
第4の変形例では、第1冷却工程時には、例えば75slmの冷却ガスが第1冷却ガスノズル56に供給され、第1分岐ノズル56aと第2分岐ノズル56bからのみ大流量の冷却ガスが噴射される。又、第2冷却工程時には、例えば15slmの冷却ガスが第2冷却ガスノズル57に供給され、第3分岐ノズル57cと第4分岐ノズル57dからのみ小流量の冷却ガスが噴射される。
【0086】
第4の変形例に於いても、第2冷却工程時に、第1冷却工程よりも冷却ガスの総流量を小さくしているので、冷却ガスの消費量を抑制することができる。
【0087】
図9は、本開示の第5の変形例を示している。第5の変形例では、基板移載機17の先端側に温度センサとしての温度計59が設けられている。温度計59としては、例えば非接触にて温度測定が可能な放射温度計が用いられる。
【0088】
尚、温度計59は、例えばボート13を上昇位置とした状態で、ボート13に装填された全てのウエハWに対する温度測定が可能となっている。例えば、ウエハマッピングの時と同様に基板移載機17を昇降させつつ、測定してもよく、予め基板処理領域の決められた位置に、基板移載機17を移動させて、測定してもよい。
【0089】
以下、図10のフローチャートを参照し、第5の変形例に於けるウエハWの冷却工程の詳細について説明する。尚、図10中、STEP:11~STEP:14は図4中のSTEP:01~STEP:04と同様であり、STEP:06はSTEP:17と同様に冷却工程である為、同じ部分は省略し主に異なる部分について説明する。従って、以下では、STEP:15,16,18,19について説明する。
【0090】
STEP:15 ボート13が基準位置から上昇位置に移動した後、温度計59によるウエハWの温度計測が開始され、基板移載機17は温度計59をボート13に向けた状態で昇降される。温度計59は、ボート13に装填された全てのウエハWからの放射光に基づき、全てのウエハWの温度を非接触で測定する。
【0091】
STEP:16 全てのウエハWに対する温度測定後、コントローラ42(図1参照)は、温度測定を行った全てのウエハWの温度と、予め設定した設定温度をとそれぞれ比較し、全ての測定結果が設定温度、例えば100℃よりも小さいかどうかを判断する。測定した温度が、設定温度よりも大きいと判断された場合には、STEP:17に移行して、STEP:06と同様の第2冷却工程を実行する。尚、第2冷却工程として、上述の第1の変形例乃至第4の変形例で記載されているガス供給を行うこともできるが詳細は省略する。
【0092】
STEP:17 STEP:15に於けるウエハ温度測定後、STEP:16に於いて全てのウエハWの温度の測定結果のうち一つでも設定温度よりも大きいと判断された場合、上述の様に、STEP:06と同様のSTEP:17(第2冷却工程)を実行する。又、後述するSTEP:19にて全てのウエハWの温度の測定結果のうち一つでも設定温度よりも大きいと判断された場合に、STEP:17(第2冷却工程)を実行する。この時、2回目以降の第2冷却工程では、1回目の冷却工程よりもガスの流量及びガスを供給する時間のうち少なくとも一方を変更してもよい。例えば、予め設定された温度(例えば、100℃)からの差に応じて、ガスの流量やガスを供給する時間を変更する様にすればよい。
【0093】
STEP:18 第2冷却工程の終了後、基板移載機17のツイーザ17aを搬送対象のウエハWの近傍に移動させ、搬送対象のウエハWに対して温度計59による温度測定を実行する。尚、第2冷却工程後の温度測定は、搬送対象のウエハWをすべて測定する必要が無く、ボート13下部に設けられているウエハWを測定すればよく、又、ボート13の最も低い位置に装填されているウエハWを測定すればよい。
【0094】
STEP:19 搬送対象のウエハWの温度が設定温度よりも小さかった場合には、基板移載機17がボート13からウエハWの搬送を開始する。又、搬送対象のウエハWが設定温度以上であった場合には、ウエハWの温度測定を継続し、ウエハWの温度が設定温度よりも小さくなった時点で基板移載機17がボート13からウエハWの搬送を開始する。尚、STEP:18、STEP:19は、冷却工程と移載工程とにまたがる移載準備工程とも称す。
【0095】
第5の変形例では、非接触にて温度測定が可能な温度計59を設け、ボート13から移載する前に搬送対象のウエハWに対する温度測定を実行し、ウエハWが設定温度よりも小さいときにウエハWを搬送する構成となっている。従って、第1冷却工程終了後、断熱部12からの輻射熱による再加熱の有無を確認することができる。これにより、再加熱によりウエハWが設定温度以上となって状態で基板移載機17に搬送されるのを防止することができ、ツイーザ17aの焼損を防止することができる。
【0096】
尚、ボート13に装填された全てのウエハWに対して温度測定と共にウエハマッピングを実行する場合、上述の効果に加え、更に、ボート13に対するウエハWの載置状態を確認することができる。
【0097】
本実施形態によれば、上述の様に基準位置から上昇位置にボート13を移動させているが、特に、必要が無ければ、基準位置に於いて、ボート13に向けてガスを供給する第1冷却工程と、該第1冷却工程に於けるガスの供給を停止する停止工程と、少なくともボート13の基板保持領域の下部に保持される処理後のウエハWを冷却する第2冷却工程と、を実行する様にしてもよい。そして、停止工程では、ウエハマッピング及びウエハの温度測定のうちどちらか一方を実行する様にしてもよい。この場合でも上述の本実施の形態に於ける効果を奏することは言うまでもない。
【0098】
尚、本実施形態に係る処理装置1で基板に生成される薄膜の膜種は特に限定されない。例えば、窒化膜(SiN等)、酸化膜(SiO等)、金属を含む膜、CVD、PVD等、色々な膜種の薄膜を形成する処理にも処理装置1を適用できる。又、基板に薄膜を生成する処理は、例えばアニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理等であっても構わない。更に、本実施形態に係る処理装置1は、半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置等、他の処理装置にも適用可能であることは言う迄もない。
【0099】
(付記)
又、本開示は以下の実施の態様を含む。
【0100】
(付記1)本開示の一態様によれば、
基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する方法であって、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けて、ガスを供給して、前記基板を冷却する第1冷却工程と、前記第1冷却工程に於ける前記ガスの供給を停止する停止工程と、前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する第2冷却工程と、を有する方法が提供される。
【0101】
(付記2)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第1冷却工程では、前記基板保持具の天板と、前記基板保持具の前記基板が装填されている基板保持領域と、前記基板保持具の前記基板保持領域の境界に前記ガスを供給する。
【0102】
(付記3)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第1冷却工程では、前記基板保持具の中心部に保持される基板の温度が100℃以下になる迄行われる。
【0103】
(付記4)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記停止工程は、前記基板保持具を基準位置から前記基板の搬送を可能とする位置まで移動する移動工程を更に有する。
【0104】
(付記5)付記4の方法に於いて、好ましくは、
前記移動工程では、更に前記基板保持具に保持される前記基板の温度測定及び移載状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0105】
(付記6)付記4の方法に於いて、好ましくは、
前記移動工程では、更に前記基板保持具の下部に保持されている前記基板の温度測定及び移載状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0106】
(付記7)付記4の方法に於いて、好ましくは、
前記移動工程では、更に少なくとも前記基板保持具の下端に保持される前記基板の温度測定及び移載状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0107】
(付記8)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第2冷却工程で供給されるガスの流量は、前記第1冷却工程で供給される前記ガスの流量より小さい。
【0108】
(付記9)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第2冷却工程でのガスの供給時間は、前記第1冷却工程での前記ガスの供給時間よりも短い。
【0109】
(付記10)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第2冷却工程では、基板保持領域と、前記基板保持具の断熱領域と、前記基板保持領域と前記断熱領域の境界のうち少なくともいずれか1つ以上に前記ガスを供給する様に構成されている。
【0110】
(付記11)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第1冷却工程及び前記第2冷却工程では、前記基板保持具の天板と、前記基板保持具の前記基板が装填されている基板保持領域との境界に前記ガスを供給する様に構成されている。
【0111】
(付記12)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第2冷却工程では、前記基板保持具の前記基板が装填されている基板保持領域と、前記基板保持具の断熱領域との境界に前記ガスを供給する様に構成されている。
【0112】
(付記13)付記5乃至付記7のうちのいずれか一つの方法に於いて、好ましくは、
前記基板の温度が所定の設定温度よりも低い場合、前記第2冷却工程は省略する様に構成されている。
【0113】
(付記14)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記第1冷却工程の前に、前記基板の温度測定及び載置状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0114】
(付記15)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記停止工程では、予め設定された時間が来たら前記基板保持具に保持される前記基板の温度測定及び載置状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0115】
(付記16)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記停止工程では、予め設定された時間が来たら前記基板保持具の下部に保持される前記基板の温度測定及び載置状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0116】
(付記17)付記1の方法に於いて、好ましくは、
前記停止工程では、予め設定された時間が来たら前記基板保持具の下端に保持される前記基板の温度測定及び載置状態の確認のうち少なくともいずれか一つを行う様に構成されている。
【0117】
(付記18)付記15乃至付記17のうちのいずれか一つの方法に於いて、好ましくは、前記基板の温度が所定の温度より低い場合、前記第2冷却工程は省略する様に構成されている。
【0118】
(付記19)本開示の他の態様によれば、
基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する工程を有する半導体装置の製造方法であって、前記基板を冷却する工程は、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けてガスを供給して、前記基板を冷却する第1冷却工程と、前記ガスの供給を停止する停止工程と、前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する第2冷却工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0119】
(付記20)本開示の更に他の態様によれば、
基板保持具に保持された状態の処理後の基板を冷却する冷却部と、所定の基準位置に配置された前記基板保持具に向けてガスを供給して、前記基板を冷却させ、前記ガスの供給を停止後、少なくとも前記基板保持具の下部に保持される前記基板を冷却する様に前記冷却部を制御する制御部と、を備えた処理装置が提供される。
【符号の説明】
【0120】
1 処理装置
2 移載室
13 ボート
17 基板移載機
39 冷却ガスノズル
41 移載室ガス供給機構
42 コントローラ
59 温度計
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10