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特開2022-149540ハードコート用樹脂組成物、硬化物、及び硬化物を備えた物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149540
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】ハードコート用樹脂組成物、硬化物、及び硬化物を備えた物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20220929BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20220929BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20220929BHJP
   C08G 18/81 20060101ALI20220929BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
C08F290/06
C08G18/67 010
C08G18/48
C08G18/81 016
C09D4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051749
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 牧人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千登志
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
4J127
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB01
4J034DC50
4J034DG02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG05
4J034DG14
4J034FA02
4J034FA04
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034HA01
4J034HA04
4J034HA07
4J034HA18
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA02
4J034JA21
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC23
4J034KD02
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4J034QB12
4J034QB14
4J034RA07
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4J038FA161
4J038FA271
4J038FA281
4J038HA446
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4J038KA20
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4J038PC08
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB021
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4J127BB101
4J127BB112
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC152
4J127BD182
4J127BD221
4J127BE511
4J127BE51Y
4J127BF121
4J127BF12X
4J127BF271
4J127BF27X
4J127BG052
4J127BG05Y
4J127BG102
4J127BG10Y
4J127BG122
4J127BG12Y
4J127BG141
4J127BG14X
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CB371
4J127CB372
4J127CC092
4J127CC111
4J127CC112
4J127FA08
(57)【要約】
【課題】高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができるハードコート用樹脂組成物、その硬化物、及び硬化物を備えた物品を提供する。
【解決手段】所定の1官能ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート、及び開始剤を含むハードコート用樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1官能ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート、及び開始剤を含むハードコート用樹脂組成物であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートが、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、ハードコート用樹脂組成物。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
【請求項2】
さらに、エポキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載のハードコート用樹脂組成物。
【請求項3】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、0.1~30.0質量%である、請求項1又は2に記載のハードコート用樹脂組成物。
【請求項4】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が3,000~35,000である、請求項1~3のいずれか1項に記載のハードコート用樹脂組成物。
【請求項5】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度が-55℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のハードコート用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハードコート用樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項7】
ガラス転移温度が50~200℃である、請求項6に記載の硬化物。
【請求項8】
25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が500~5000MPaである、請求項6又は7に記載の硬化物。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1項に記載の硬化物を備えた物品。
【請求項10】
請求項6~8のいずれか1項に記載の硬化物を基材表面の少なくとも一部に備えた部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート用樹脂組成物、その硬化物、及び硬化物を備えた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の分野では、曲げても表示機能をそのまま維持することができ、繰り返し屈曲して使用できるフレキシブルディスプレイが注目されている。フレキシブルディスプレイのカバーウィンドウや筐体には、曲げやすいプラスチックが用いられる。プラスチックは、ガラスなどに比べ表面に傷が付きやすいため、一般に、プラスチックフィルムの表面にはハードコート層が形成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート及び分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート及び/又はエポキシ(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型ハードコート樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-172194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、フレキシブルディスプレイとして、折り畳み可能なフォルダブルディスプレイや、筒状に丸めることができるローラブルディスプレイなどの開発が進んでいる。これに伴い、ハードコートフィルムは、耐擦傷性に加え、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び高密着性も求められる。また、ハードコートフィルムは、プラスチックの最表面に設けられる場合、美的外観など意匠性に優れることも求められる。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の紫外線硬化型ハードコート樹脂組成物は、クラックが発生しやすく折り曲げ耐久性が十分なものではなかった。また、前記紫外線硬化型ハードコート樹脂組成物は、プラスチックとの密着性が十分ではなく、改善の余地があった。さらに、紫外線硬化型ハードコート樹脂組成物に低分子の可塑剤を添加して、硬化物の柔軟性を向上させようとした場合、硬化物を繰り返して折り曲げた際に、硬化物の表面に可塑剤が染み出る現象(ブリードアウトともいう。)が発生し、美観が損なわれる場合がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができるハードコート用樹脂組成物、その硬化物、及び硬化物を備えた物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリエーテル鎖及びウレタン結合を有する所定のウレタンアクリレートを用いることにより、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができることを見出したことに基づく。
【0009】
本発明は、以下の手段を提供する。
[1] 1官能ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート、及び開始剤を含むハードコート用樹脂組成物であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートが、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である、ハードコート用樹脂組成物。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
[2] さらに、エポキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートを含む、[1]に記載のハードコート用樹脂組成物。
[3] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、0.1~30.0質量%である、[1]又は[2]に記載のハードコート用樹脂組成物。
[4] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、数平均分子量が3,000~35,000である、[1]~[3]のいずれかに記載のハードコート用樹脂組成物。
[5] 前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、ガラス転移温度が-55℃以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のハードコート用樹脂組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のハードコート用樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
[7] ガラス転移温度が50~200℃である、[6]に記載の硬化物。
[8] 25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が500~5000MPaである、[6]又は[7]に記載の硬化物。
[9] [6]~[8]のいずれかに記載の硬化物を備えた物品。
[10] [6]~[8]のいずれかに記載の硬化物を基材表面の少なくとも一部に備えた部材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができるハードコート用樹脂組成物、その硬化物、及び硬化物を備えた物品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における用語及び表記についての定義及び意義を以下に示す。
「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の総称である。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
同様に、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称である。
「官能基数」とは、特に断りのない限り、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。「平均官能基数」とは、特に断りのない限り、化学式に基づく式量又は数平均分子量を1単位とする1分子中の平均の(メタ)アクリロイルオキシ基の数を意味する。
「1官能ウレタン(メタ)アクリレート」とは、1分子中の平均官能基数が実質的に1であるウレタン(メタ)アクリレートを意味し、1分子中の平均官能基数が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3であるウレタン(メタ)アクリレートを、1分子中に実質的に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート、すなわち、1官能ウレタン(メタ)アクリレートとみなす。
「等モル反応生成物」とは、反応する化合物のモル比が、実質的に1であることを意味し、該モル比が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3である反応生成物を、等モル反応生成物とみなす。
同様に、反応する基(又は化合物)の「モル数が等しい」とは、反応する基(又は化合物)のモル比が、実質的に1であることを意味し、該モル比が0.7~1.4、好ましくは0.8~1.3であるとき、反応する基(又は化合物)のモル数が等しいものとみなす。
「水酸基価」は、JIS K 1557:2007に準拠した測定により求められる。「水酸基価換算分子量」は、56100/(水酸基価)×(開始剤の活性水素の数)の式から算出した値である。
イソシアネート基含有化合物と水酸基含有化合物との反応における「NCOインデックス」とは、水酸基含有化合物の水酸基に対するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基の当量比を百倍した値である。
「分子量」とは、特に断りのない限り、化学式に基づく式量、又は、分子量分布が存在する化合物の場合は、数平均分子量を意味する。「数平均分子量」は、標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線に基づいて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して求められたポリスチレン換算分子量である。
「ハードコート層」とは、優れた表面硬度、及び耐擦傷性を付与する層を意味する。
【0012】
[ハードコート用樹脂組成物]
本発明のハードコート用樹脂組成物は、1官能ウレタン(メタ)アクリレート、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート(以下、単に「多官能(メタ)アクリレート」ともいう)、及び開始剤を含むハードコート用樹脂組成物であって、
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートが、下記(i)~(iii)の反応生成物から選ばれる1種以上の単量体である。
(i)ポリエーテルモノオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(ii)ポリエーテルモノオール、ジイソシアネート及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
(iii)ポリエーテルポリオール及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物の等モル反応生成物であって、前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である、反応生成物。
【0013】
上記のようなハードコート用樹脂組成物は、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を提供できる。
〔1官能ウレタン(メタ)アクリレート〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、1官能ウレタン(メタ)アクリレートを含み、その(メタ)アクリロイルオキシ基により、光重合又は熱重合させることができる。また、前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、架橋に寄与しない柔軟なグラフト鎖としてポリエーテル鎖を有していることにより、柔軟性に優れた硬化物を得ることができる。さらに、該硬化物は、-20~80℃の広範な温度域での貯蔵弾性率の温度依存性が小さく、0℃以下の低温域でも優れた柔軟性が保持され得る。
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイルオキシ基は、重合性がより良好である観点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
【0014】
本発明における1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、上記(i)~(iii)の反応生成物(以下、「単量体1-1」、「単量体1-2」及び「単量体1-3」とも言う。)から選ばれる1種以上の単量体である。ハードコート用樹脂組成物中の1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
<単量体1-1>
単量体1-1は、(i)の反応生成物であり、ポリエーテルモノオール(i-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
【0016】
単量体1-1としては、式(1)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】
式(1)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する一価の有機基である。
12は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR12は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR12が存在する場合、-OR12-の連鎖はブロックでもよく、ランダムでもよい。R12は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
【0019】
また、(OR12)は、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aに基づく単位は、好ましくは、式(11)で表される単位である。単量体aは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
【化2】
【0021】
式(11)中、R101は、-R103-O-R104で表される一価の基であり、R102は、水素原子又は-R105-O-R106で表される一価の基である。R103、R105は、それぞれ独立に、炭素数1~3の直鎖又は分岐のアルキレン基であり、R104、R106は、それぞれ独立に、炭素数1~18の直鎖又は分岐のアルキル基である。
103、R105のアルキレン基としては、それぞれ独立に、好ましくは、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基又はイソプロピレン基であり、より好ましくは、メチレン基又はエチレン基、さらに好ましくはメチレン基である。
104、R106の炭素数は、それぞれ独立に、好ましくは1~14、より好ましくは1~12、さらに好ましくは2~10である。
104、R106の直鎖のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基が挙げられ、好ましくは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はn-ブチル基である。分岐のアルキル基は、前記直鎖のアルキル基中の水素原子(ただし、末端の炭素に結合する水素原子は除く。)がアルキル基で置換された構造を有する。置換するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。分岐のアルキル基としては、好ましくは2-エチルヘキシル基である。
【0022】
単量体aとしては、好ましくは、式(12)で表される単量体である。
【0023】
【化3】
【0024】
式(12)中のR101及びR102は、式(11)中のR101及びR102と同じである。
【0025】
式(12)で表される単量体としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、へキシルグリシジルエーテルが挙げられ、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の折り曲げ耐久性の観点から、好ましくは、ブチルグリシジルエーテル又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
【0026】
式(1)中、R13は、炭素数1~20のアルキル基である。R13は、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは、メチル基、エチル基又はブチル基、さらに好ましくはブチル基である。
aは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
【0027】
(ポリエーテルモノオール(i-1))
単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)は、活性水素含有基を有し、かつ、活性水素の数が1個以上である開始剤に、アルキレンオキシド及び/又は前記単量体aを開環重合させて得られる、開始剤残基とポリエーテル鎖と開始剤の活性水素の数に対応する水酸基とを有する化合物である。
【0028】
開始剤が有する活性水素含有基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミノ基が挙げられる。前記開始剤が有する活性水素含有基は、好ましくは、水酸基又はカルボキシ基、より好ましくは水酸基、さらに好ましくはアルコール性水酸基である。
【0029】
活性水素の数が1個である開始剤としては、例えば、一価アルコール、一価フェノール、一価カルボン酸、窒素原子に結合した水素原子を1個有するアミン化合物等が挙げられる。前記開始剤は、好ましくは、一価脂肪族アルコール又は一価脂肪族カルボン酸、より好ましくは一価脂肪族アルコールである。また、目的のポリエーテルモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールを開始剤として使用してもよい。
【0030】
開始剤としての一価脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは2~8である。開始剤としての一価脂肪族アルコールの具体例としては、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール等が挙げられる。
開始剤としての一価脂肪族カルボン酸の炭素数は、カルボキシ基の炭素原子を含め、好ましくは2~20、より好ましくは2~8である。
【0031】
アルキレンオキシド及び単量体aが開環重合する場合、両者の合計質量に対する単量体aの質量の割合は、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の硬度及び折り曲げ耐久性の調整の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは10~80質量%である。
【0032】
前記アルキレンオキシドの炭素数は、好ましくは2~8、より好ましくは2~4である。前記アルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシドが挙げられる。
【0033】
ポリエーテルモノオール(i-1)中のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシプロピレン基のみ、又は、オキシプロピレン基とそれ以外の基との組み合わせからなる。オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基は、好ましくはオキシエチレン基である。
ポリエーテルモノオール(i-1)中の全オキシアルキレン基に対するオキシプロピレン基の割合は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~100質量%である。なお、開始剤が目的のポリエーテルモノオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンモノオールである場合、開始剤中のオキシアルキレン基は得られたポリエーテルモノオールの中のオキシアルキレン基とみなす。
【0034】
ポリエーテルモノオール(i-1)において、低水酸基価、すなわち、高分子量のポリオキシアルキレンモノオールは、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
低水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールとしては、水酸基価40mgKOH/g以下のポリオキシアルキレンモノオールが挙げられる。
オキシエチレン基を有する低水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、オキシエチレン基を有する高水酸基価、例えば、水酸基価が50mgKOH/g以上のポリオキシアルキレンモノオールを開始剤とし、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
前記ポリエーテルモノオールにおいて、高水酸基価のポリオキシアルキレンモノオール及び開始剤である高水酸基価のポリオキシアルキレンモノオールは、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用しても製造できる。
【0035】
ポリオキシアルキレンモノオールの製造において、反応系内に投入される開始剤及びアルキレンオキシドには、通常、減圧脱気等により水分を除去した水分の少ないものが使用される。通常、ポリオキシアルキレンモノオールの製造における開始剤の水分量は、少ないほど好ましく、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm以下である。水分量が上記範囲内であると、水から生成するポリオキシアルキレンジオールの生成量が抑制され、結果的に、ポリオキシアルキレンジオールに起因する副生成物の生成量が抑制され、得られるポリオキシアルキレンモノオールの平均水酸基数の上限を1.2以下に調整しやすい。
【0036】
単量体1-1の原料として用いるポリエーテルモノオール(i-1)の水分量は、少ないほど好ましく、ポリエーテルモノオール(i-1)に対して、好ましくは300質量ppm以下、より好ましくは250質量ppm以下、さらに好ましくは50~200質量ppmである。水分量が上記範囲内であると、水分とイソシアネート基含有化合物との副生物の生成が少なく、反応生成物である単量体1-1の安定性が向上する。さらに、ハードコート用樹脂組成物の経時的な外観の変化を抑制しやすく、また、折り曲げ耐久性に優れるハードコート用樹脂組成物の硬化物が得られやすい。
【0037】
ポリエーテルモノオール(i-1)の1分子中の平均の水酸基数は、好ましくは0.80~1.20、より好ましくは0.90~1.10である。
ポリエーテルモノオール(i-1)の水酸基価は、好ましくは1.6~18.1mgKOH/g、より好ましくは2.8~14.0mgKOH/g、さらに好ましくは3.1~11.2mgKOH/gである。
【0038】
単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)は、2種以上のポリエーテルモノオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリエーテルモノオールは、好ましくは、いずれもが上記範疇に含まれるポリオキシアルキレンモノオールである。
【0039】
ポリエーテルモノオール(i-1)としては、例えば、式(1a)で表されるものが挙げられる。
【0040】
【化4】
【0041】
式(1a)中、R12、R13及びaは、式(1)中の同一の記号と同じである。
【0042】
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、好ましくは、脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基に結合したイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート、より好ましくはイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートである。
イソシアネートアルキル基のイソシアネート基を除くアルキレン基の炭素数は、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である。
【0043】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、例えば、式(1b)で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【化5】
【0045】
式(1b)中、R11は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
sは、1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数である。
【0046】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の具体例としては、2-イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、イソシアネートメチルメタクリレート等が挙げられる。市販品としては、例えば、「カレンズ(登録商標;以下、表記省略。)AOI」、「カレンズMOI」(以上、昭和電工株式会社製)が挙げられる。
【0047】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)としては、例えば、式(1c)で表される化合物も挙げられる。
【0048】
【化6】
【0049】
式(1c)中、R11は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
14は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
tは、1~8の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数である。
uは、0~4の整数であり、好ましくは0~2の整数である。
【0050】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)の具体例としては、2,2-(ビスアクリロイルオキシメチル)プロピルイソシアネート及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(商品名「カレンズBEI」、昭和電工株式会社製)が挙げられ、好ましくは1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートである。
【0051】
単量体1-1としては、例えば、ポリエーテルモノオール(i-1)がポリオキシプロピレンモノオールである場合、好ましくは、式(1-1-1)、式(1-1-2)及び式(1-1-3)で表される化合物から選ばれる1種以上である。
【0052】
【化7】
【0053】
式(1-1-1)、式(1-1-2)及び式(1-1-3)中、m、n1及びn2は、それぞれ独立に、好ましくは20~600の整数、より好ましくは35~500の整数、さらに好ましくは65~250の整数である。
Buは、ブチル基である。
【0054】
<単量体1-2>
単量体1-2は、(ii)の反応生成物であり、ポリエーテルモノオール(ii-1)、ジイソシアネート(ii-2)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
【0055】
単量体1-2としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
【0056】
【化8】
【0057】
式(2)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
22は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR22は互いに同じであっても異なってもよい。1分子中に2種以上のR22が存在する場合、-OR22-の連鎖はブロックでもよく、ランダムでもよい。R22は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれ、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
また、(OR22)は、式(1)における(OR12)と同様に、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
23は、炭素数1~20のアルキル基であり、好ましくは、炭素数2~8のアルキル基、より好ましくはブチル基である。
24は、ジイソシアネートから2個のイソシアネート基を除いた2価の基である。ジイソシアネートの例は、後述する。
bは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
【0058】
(ポリエーテルモノオール(ii-1))
ポリエーテルモノオール(ii-1)は、単量体1-1におけるポリエーテルモノオール(i-1)と同様であり、好ましい態様も同じである。
【0059】
ポリエーテルモノオール(ii-1)としては、例えば、式(2a)で表されるものが挙げられる。
【0060】
【化9】
【0061】
式(2a)中、R22、R23及びbは、式(2)中の同一の記号と同じ意味である。
【0062】
(ジイソシアネート(ii-2))
ジイソシアネート(ii-2)は、1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物である。
ジイソシアネート(ii-2)としては、無黄変性芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、及びこれらのジイソシアネートの各種変性体(イソシアネート基を2個有する変性体)が挙げられる。ジイソシアネートは、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
ジイソシアネート(ii-2)としては、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の折り曲げ耐久性がより向上する観点から、好ましくは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネートから選ばれる1種以上である。
【0063】
無黄変性芳香族ジイソシアネートの具体例としては、キシリレンジイソシアネート及びテトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネートが挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート及び2,6-ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0064】
ジイソシアネート(ii-2)としては、例えば、式(2b)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化10】
【0066】
式(2b)中、R24は、式(2)中の同一の記号と同じ意味である。
上記ジイソシアネートとしては、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の折り曲げ耐久性がより向上する観点から、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0067】
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)は、1分子中に1個のイソシアネート基と反応する基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
イソシアネート基と反応する基としては、水酸基及び水素原子が結合した窒素原子を有するアミノ基等が挙げられる。イソシアネート基と反応する基における水酸基の数及び窒素原子に結合した水素原子の数は、好ましくは各1個である。また、イソシアネート基と反応する基としては、好ましくは、脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基に結合した水酸基である。
【0068】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキル基の炭素数が8以下のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0069】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、例えば、式(2c)で表される化合物が挙げられる。
【0070】
【化11】
【0071】
式(2c)中、R21は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
pは、1~4の整数であり、好ましくは1~2の整数である。
【0072】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品としては、ライトエステルHO-250(N)、ライトエステルHOP(N)、ライトエステルHOA(N)、ライトエステルHOP-A(N)、ライトエステルHOB(N)(以上、共栄社化学株式会社製)、4-HBA(大阪有機化学工業株式会社製)が挙げられる。
【0073】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)としては、例えば、式(2d)で表される化合物も挙げられる。
【0074】
【化12】
【0075】
式(2d)中、R21は、水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
25は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
qは、1~8の整数であり、好ましくは1~4の整数、より好ましくは1~2の整数である。
rは、0~4の整数であり、好ましくは0~2の整数である。
【0076】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(ii-3)の具体例としては、2,2-(ビスアクリロイルオキシメチル)プロパン-1-オール及び1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エタン-1-オールが挙げられ、好ましくは1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エタン-1-オールである。
【0077】
<単量体1-3>
単量体1-3は、(iii)の反応生成物であり、ポリエーテルポリオール(iii-1)及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)の等モル反応生成物であって、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
【0078】
単量体1-3としては、式(III)で表される化合物が好ましい。
-NH-C(=O)-Z ・・・(III)
式(III)中、Rは、1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する1価の有機基である。
は、ポリエーテルポリオールにおける水酸基の1個から、水素原子の1個を除いたポリエーテルポリオールの残基である。
【0079】
単量体1-3としては、より好ましくは、式(3)で表される化合物である。
【0080】
【化13】
【0081】
式(3)中、Rは、式(III)中のRと同じである。
32は、好ましくは炭素数2~8のアルキレン基、より好ましくは炭素数2~4のアルキレン基である。1分子中に存在する複数のR32は、互いに同じであっても、異なってもよい。1分子中に2種以上のR32が存在する場合、-OR32-の連鎖は、ブロックでもよく、ランダムでもよい。R32は、好ましくは、エチレン基、プロピレン基、1,2-ジメチルエチレン基及び1-エチルエチレン基から選ばれる1種以上、より好ましくは、エチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上である。
また、(OR32)は、式(1)における(OR12)と同様に、1分子中に1個のエポキシ基及び該エポキシ基のエーテル結合以外のエーテル結合を有する単量体aに基づく単位であることも好ましい。単量体aの好ましい態様は、単量体1-1の場合と同じである。
cは、20~600の整数であり、好ましくは35~500の整数、より好ましくは65~250の整数である。
【0082】
(ポリエーテルポリオール(iii-1))
ポリエーテルポリオール(iii-1)は、活性水素含有基を有し、かつ活性水素の数が2個以上である開始剤に、アルキレンオキシド及び/又は上記単量体aを開環重合させて得られる、開始剤残基とポリエーテル鎖と開始剤の活性水素の数に対応する水酸基を有する化合物である。
【0083】
前記アルキレンオキシドは、好ましくは炭素数2~4のアルキレンオキシドである。炭素数2~4のアルキレンオキシドの具体例として、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド及び2,3-ブチレンオキシドが挙げられる。
また、単量体aは、好ましくは、上記式(12)で表される単量体である。式(12)で表される単量体としては、例えば、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、へキシルグリシジルエーテルが挙げられ、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の折り曲げ耐久性がより向上する観点から、好ましくは、ブチルグリシジルエーテル又は2-エチルヘキシルグリシジルエーテルである。
【0084】
アルキレンオキシド及び単量体aが開環重合する場合、両者の合計質量に対する単量体aの質量の割合は、ハードコート用樹脂組成物の硬化物の硬度及び折り曲げ耐久性の調整の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは10~80質量%である。
【0085】
開始剤が有する活性水素含有基としては、水酸基、カルボキシ基及び窒素原子に結合した水素原子を有するアミノ基等が挙げられる。前記開始剤が有する活性水素含有基は、好ましくは水酸基、より好ましくはアルコール性水酸基である。
【0086】
活性水素の数が2個以上である開始剤としては、水、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸及び窒素原子に結合した水素原子を2個以上有するアミン化合物が挙げられる。前記開始剤は、好ましくは、水又は2価脂肪族アルコール、より好ましくは2価脂肪族アルコールである。また、目的のポリエーテルポリオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオールを開始剤として使用してもよい。
【0087】
開始剤としての2価脂肪族アルコールの炭素数は、好ましくは2~8である。開始剤としての2価脂肪族アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングルコール等のポリプロピレングリコール及び1,4-ブタンジオールが挙げられる。
【0088】
ポリエーテルポリオール(iii-1)中のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシプロピレン基のみ、又は、オキシプロピレン基とそれ以外の基との組み合わせからなる。オキシプロピレン基以外のオキシアルキレン基は、好ましくは、オキシエチレン基及びオキシテトラメチレン基から選ばれる1種以上である。ポリエーテルポリオールの中の全オキシアルキレン基に対するオキシプロピレン基の割合は、好ましくは50~100質量%、より好ましくは80~100質量%である。
なお、開始剤が目的のポリエーテルポリオールよりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオールである場合、開始剤中のオキシアルキレン基は得られたポリエーテルポリオールの中のオキシアルキレン基とみなす。
【0089】
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、低水酸基価の、すなわち高分子量の、ポリオキシアルキレンポリオールは、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、開始剤に炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
低水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールとしては、水酸基価40mgKOH/g以下のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、オキシエチレン基を有する低水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールは、オキシエチレン基を有する高水酸基価の、例えば水酸基価が50mgKOH/g以上の、ポリオキシアルキレンポリオールを開始剤とし、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下に、炭素数3以上のアルキレンオキシド、好ましくは、プロピレンオキシドを開環重合させて製造できる。
ポリエーテルポリオール(iii-1)のうち、高水酸基価のポリオキシアルキレンポリオール及び開始剤である高水酸基価のポリオキシアルキレンポリオールは、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用しても製造できる。
【0090】
ポリエーテルポリオール(iii-1)の1分子中の平均の水酸基数は、好ましくは1.60~2.00、より好ましくは1.70~2.00、さらに好ましくは1.80~1.96である。1分子中の平均の水酸基数が1.60~2.00であるポリエーテルポリオールを、ポリエーテルジオールという場合がある。
ポリエーテルポリオール(iii-1)の水酸基価は、好ましくは1.6~18.1mgKOH/g、より好ましくは2.8~14mgKOH/gである。
【0091】
ポリエーテルポリオール(iii-1)は、2種以上のポリエーテルポリオールの混合物であってもよい。この場合、各々のポリエーテルポリオールは、好ましくは、いずれもが上記範疇に含まれるポリエーテルポリオールである。
【0092】
ポリエーテルポリオール(iii-1)としては、例えば、式(3a)で表されるものが挙げられる。
【0093】
【化14】
【0094】
式(3a)中、R32及びcは、式(3)中の同一の記号と同じ意味である。
【0095】
((メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2))
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、1分子中に1個のイソシアネート基を有し、かつ、1分子中に1個又は2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(iii-2)は、単量体1-1における(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(i-2)と同様であり、好ましい態様も同じである。
【0096】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは0.1~30.0質量%、より好ましくは0.5~20.0質量%、さらに好ましくは1.0~15.0質量%である。前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの含有量が前記範囲内であると、高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができる。
【0097】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、折り曲げ耐久性に優れたハードコート用樹脂組成物の硬化物を得る観点から、好ましくは3,000~35,000であり、より好ましくは3,000~30,000であり、さらに好ましくは4,000~25,000であり、よりさらに好ましくは5,000~20,000である。2種以上の単量体(1官能ウレタン(メタ)アクリレート)が併用される場合は、それぞれの分子量が上記範囲内であることが好ましい。
【0098】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、折り曲げ耐久性に優れたハードコート用樹脂組成物の硬化物を得る観点から、ガラス転移温度が、好ましくは-55℃以下であり、より好ましくは-85~-58℃であり、さらに好ましくは-80~-60℃である。
なお、本発明における1官能ウレタン(メタ)アクリレートのガラス転移温度とは、1官能ウレタン(メタ)アクリレートのホモポリマーの動的粘弾性測定により求められた値である。具体的には実施例に記載の方法により求められる。
【0099】
前記1官能ウレタン(メタ)アクリレートは、折り曲げ耐久性に優れたハードコート用樹脂組成物の硬化物を得る観点から、-20~80℃における貯蔵弾性率が、好ましくは5~150kPa、より好ましくは5~130kPa、さらに好ましくは5~100kPaである。
なお、本発明における1官能ウレタン(メタ)アクリレートの貯蔵弾性率とは、1官能ウレタン(メタ)アクリレートのホモポリマーの動的粘弾性測定により求められた値である。具体的には、実施例に記載の方法により求められる。
【0100】
〔多官能(メタ)アクリレート〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレートを含むことにより、高硬度の硬化物を得ることができる。前記多官能(メタ)アクリレートは、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有すれば特に限定されず、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
【0101】
前記多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、「ビスコート(登録商標;以下、表記省略。)#802」、「ビスコート #295」、「ビスコート #300」(大阪有機化学工業株式会社製)、「NKエステル A-HD-N」、「NKエステル HD-N」、「NKエステル A-NOD-N」、「NKエステル NOD-N」、「NKエステル A-DCP」、「NKエステル DCP」、「NKエステル A-BEP-2.2」、「NKエステル A-TMPT」、「NKエステル TMPT」、「NK-エステル M-DPH-12E」(新中村化学株式会社製)等が挙げられる。
【0102】
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは5~70質量%、より好ましくは10~65質量%、さらに好ましくは20~60質量%である。前記多官能(メタ)アクリレートの含有量が5質量%以上であるとハードコート用樹脂組成物の硬化物の硬度を高めることができ、70質量%以下であると高硬度かつ折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好な硬化物を得ることができる。
【0103】
〔エポキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、硬化物の硬度をより高める観点から、さらにエポキシ基及び(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート(以下、「エポキシ(メタ)アクリレート」ともいう)を含むことが好ましい。
前記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジル化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールS型エポキシ(メタ)アクリレート等のビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート;クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、アミン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、硬化物の硬度をより高める観点から、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレートは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
【0104】
前記エポキシ(メタ)アクリレートの市販品としては、「KAYARAD R-115」(日本化薬株式会社製)、「エポキシエステル3000KM」、「エポキシエステル3000A」(共栄社化学株式会社製)、「BAEM-50」、「MAEA-100」、「BAEM-100」(ケーエスエム株式会社製)、「NKオリゴ EA-1010N」、「NKオリゴ EA-1010LC」、「NKオリゴ EA-1010NT2」、「NKオリゴ EA-1020LC3」(新中村化学工業株式会社製)、「EBECRYL 600」、「EBECRYL 3603」(ダイセル・オルネクス株式会社製)等が挙げられる。
【0105】
前記エポキシ(メタ)アクリレートの含有量は、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは70質量%以下、より好ましくは1~60質量%、さらに好ましくは3~50質量%、よりさらに好ましくは10~50質量%である。前記エポキシ(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であるとハードコート用樹脂組成物の硬化物の硬度をより高めることができる。
【0106】
〔開始剤〕
本発明で用いる開始剤としては、ラジカル重合開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
【0107】
<光ラジカル重合開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン-4-メトキシベンゾフェノン、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、カンファーキノン等が挙げられる。
また、例えば、商品名「イルガキュア 184」、「イルガキュア 127」、「イルガキュア 149」、「イルガキュア 261」、「イルガキュア 369」、「イルガキュア 500」、「イルガキュア 651」、「イルガキュア 754」、「イルガキュア 784」、「イルガキュア 819」、「イルガキュア 907」、「イルガキュア 1116」、「イルガキュア 1173」、「イルガキュア 1664」、「イルガキュア 1700」、「イルガキュア 1800」、「イルガキュア 1850」、「イルガキュア 2959」、「イルガキュア 4043」、「ダロキュア(登録商標;以下、表記省略。) 1173」、「ダロキュア MBF」(以上、BASF社製)等の市販品が好適に用いられる。
【0108】
<熱ラジカル重合開始剤>
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物;ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の有機過酸化物等が挙げられる。熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジブチルパーオキシヘキサン、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,4-ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。
【0109】
前記開始剤の含有量は、適度な重合速度の観点から、前記1官能ウレタン(メタ)アクリレート、前記多官能(メタ)アクリレート、及び前記エポキシ(メタ)アクリレートの合計100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部、より好ましくは0.05~10質量部、さらに好ましくは0.1~8質量部である。
【0110】
〔シリカ〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、硬化物の硬度をより高める観点から、さらにシリカを含むことが好ましい。シリカは、特に限定はなく、コロイダルシリカ等公知のシリカを使用することができる。
コロイダルシリカは、通常の水性分散液の形態、又は有機溶媒に分散させた形態で用いることができる。コロイダルシリカとしては、ハードコート用樹脂組成物中に均一かつ安定に分散させる観点から、有機溶媒に分散させた形態のコロイダルシリカが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、エチレングリコール、キシレン/ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、N, N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等が挙げられる。有機溶媒は、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
【0111】
有機溶媒に分散させた形態のコロイダルシリカとしては市販品を用いることができ、例えば、日産化学工業株式会社から市販されている、メタノール分散シリカゾル、IPA-ST(イソプロピルアルコール分散シリカゾル)、NBA-ST(n-ブタノール分散シリカゾル)、EG-ST(エチレングリコール分散シリカゾル)、XBA-ST(キシレン/ブタノール分散シリカゾル)、ETC-ST(エチルセロソルブ分散シリカゾル)、BTC-ST(ブチルセロソルブ分散シリカゾル)、DBF-ST(ジメチルホルムアミド分散シリカゾル)、DMAC-ST(ジメチルアセトアミド分散シリカゾル)、MEK-ST(メチルエチルケトン分散シリカゾル)、MIBK-ST(メチルイソブチルケトン分散シリカゾル)等が挙げられる。
有機溶媒に分散させた形態のコロイダルシリカは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。
【0112】
シリカの平均粒子径は、好ましくは1~200nm、より好ましくは2~150nm、さらに好ましくは5~100nm、よりさらに好ましくは8~50nmである。シリカの平均粒子径が1nm以上であると硬化物の硬度をより高めることができ、200nm以下であるとハードコート用樹脂組成物の硬化物の透明性を高めることができる。
なお、シリカの平均粒子径とは、平均一次粒子径のことである。
シリカの平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置により測定される等価球形分布における積算(個数基準)50%の値である。
【0113】
シリカの形状は特に限定はなく、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、不定形状等が挙げられる。
【0114】
本発明のハードコート用樹脂組成物がシリカを含む場合、その含有量は、硬化物の硬度を高める観点から、前記ハードコート用樹脂組成物の固形分換算100質量%を基準として、好ましくは1~70質量%、より好ましくは1~50質量%、さらに好ましくは3~30質量%である。
【0115】
〔溶剤〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、溶剤を含有してもよい。溶剤としては、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-ヘプタラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン類;ジオキサン、1,2-ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;フェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤類、2H,3H-テトラフルオロプロパノール等のフッ素系アルコール類、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル等のハイドロフルオロエーテル類;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等のアルコール類;ケトンとアルコールの両方の性能を兼ね備えたダイアセトンアルコールなどが挙げられる。
溶剤としては、塗布作業をしやすい点で、エステル類、エーテル類、アルコール類及びケトン類が好ましく、ケトン類がより好ましく、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンがさらに好ましい。
溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0116】
本発明のハードコート用樹脂組成物が溶剤を含む場合、その含有量は、ハードコート用樹脂組成物全量に対して、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。
【0117】
〔他の成分〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、良好な取り扱い性、硬化物の硬度、折り曲げ耐久性等の観点から、上述の各成分以外に他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤等が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、アクリル系化合物等が挙げられる。
ハードコート用樹脂組成物中のこれらの他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲内の含有量で配合し得る。
【0118】
〔ハードコート用樹脂組成物の製造〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、1官能ウレタン(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、重合開始剤、及び必要に応じてエポキシ(メタ)アクリレート、溶剤、及び他の成分を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の公知の混合装置を使用して均一に混合することにより製造できる。ハードコート用樹脂組成物中の各配合成分は、同時に混合してもよく、逐次添加により混合してもよい。
【0119】
〔ハードコート用樹脂組成物の硬化物〕
本発明の硬化物は、上述した本発明のハードコート用樹脂組成物に光照射又は加熱処理を施すことにより速やかに硬化し得られる。また、基材上に本発明のハードコート用樹脂組成物を塗布し、乾燥後光照射し硬化させてハードコート層を形成し、ハードコートフィルムとしてもよい。
【0120】
ハードコート層の硬化後の厚さは、通常0.1~100μmであり、好ましくは1~20μmである。
【0121】
基材としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィン系ポリマーなどが挙げられる。
【0122】
上記のハードコート用樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、マイクログラビア塗工、マイクロリバースグラビアコーター塗工、ダイコーター塗工、ディップ塗工、スピンコート塗工、スプレー塗工等が挙げられる。
【0123】
ハードコート用樹脂組成物に光を照射して硬化させる場合、光重合開始剤の光吸収能に応じて、光源を適宜設定することができ、例えば、紫外線発光ダイオード(LED)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、メタルハライドランプ、タングステンランプ、アーク灯、エキシマランプ、エキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、レーザと非線形光学結晶とを組み合わせたレーザシステム、高周波誘起紫外線発生装置等を光源として使用できる。積算光量は、例えば、0.01~5J/cm程度とする。 光を照射した後に、さらに加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、より良好に硬化させることができる。通常、加熱温度は40~200℃程度、加熱時間は1分~15時間程度とする。また、室温(15~25℃程度)で1~48時間程度静置することでも、硬化性が良好になり得る。
【0124】
ハードコート用樹脂組成物に加熱処理を施して硬化させる場合、通常、加熱温度は40~250℃程度、加熱時間は5分~24時間程度とする。好ましくは、加熱温度が高い場合は加熱時間を短くし、加熱温度が低い場合は加熱時間を長くする。
【0125】
〔物性〕
本発明のハードコート用樹脂組成物の硬化物は、ガラス転移温度が好ましくは50~200℃、より好ましくは70~180℃、さらに好ましくは80~150℃である。
【0126】
本発明のハードコート用樹脂組成物の硬化物は、25℃における貯蔵弾性率E’(25℃)が好ましくは500~5000MPa、より好ましくは700~4000MPa、さらに好ましくは900~3500MPaである。
なお、前記硬化物のガラス転移温度及び貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により求められた値である。具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
【0127】
本発明のハードコート用樹脂組成物の硬化物は、JIS K5600の鉛筆硬度法による鉛筆硬度が、好ましくはF以上、より好ましくはH以上である。
なお、前記硬化物の鉛筆硬度は、実施例に記載の方法により測定される。
【0128】
〔用途〕
本発明のハードコート用樹脂組成物は、フォルダブルフォン、ローラブルディスプレイ等の電子デバイスにおけるハードコートとして好適に用いることができる。
本発明のハードコート用樹脂組成物の硬化物、該硬化物を備えた物品、及び該硬化物を基材表面の少なくとも一部に備えた部材の用途としては、例えば、フォルダブルディスプレイ、ローラブルディスプレイ、ウェアラブルディスプレイ等のフレキシブルディスプレイのカバーウィンドウや筐体等が挙げられる。
【実施例0129】
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により限定されるものではない。
【0130】
〔原料化合物〕
合成例1及び例1~4で使用した原料化合物の詳細は、以下のとおりである。
・DMC-TBA:亜鉛へキサシアノコバルテート-tert-ブチルアルコール錯体
・AOI:2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート;「カレンズAOI」、昭和電工株式会社社製
・光重合開始剤:2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン;「イルガキュア 1173」、BASF社製
・多官能(メタ)アクリレート:トリペンタエリスリトールアクリレート、モノ及びジペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物;「ビスコート#802」、大阪有機化学工業株式会社製
・エポキシ(メタ)アクリレート:ビスフェノールA系エポキシアクリレート;「KAYARAD R-115」、日本化薬株式会社製
・溶剤1:メチルエチルケトン(MEK)、富士フイルム和光純薬株式会社製
・溶剤2:メチルイソブチルケトン(MIBK)、富士フイルム和光純薬株式会社製
・レベリング剤:アクリル系レベリング剤;「BYK-361N」、ビックケミー社製
・可塑剤:ジイソノニルフタレート(DINP)、東京化成工業株式会社製
【0131】
[合成例1]1官能ウレタンアクリレートの合成
撹拌機及び窒素導入管を備えた耐圧反応器内に、DMC-TBA 0.5g、及び開始剤であるn-ブタノール112gを入れ、窒素雰囲気下、130℃で、プロピレンオキシド(以下、「PO」と略称する。)4887gを一定の速度で投入し、中間体Aを得た。耐圧容器内に、上記中間体Aを1148g、DMC-TBA 0.2gを入れ、窒素雰囲気下、130℃でPO 2325gを一定の速度で5.5時間かけて投入した。
耐圧反応器の内圧低下が止まったことを確認し、ポリエーテルモノオール(水酸基価5.6mgKOH/g、水酸基価換算分子量10,020、平均水酸基数1.08)を得た。
撹拌機及び窒素導入管を備えた反応容器内に、上記ポリエーテルモノオール500.0g、AOI 7.04g(NCOインデックス100)、及び2-エチルヘキサン酸ビスマスの25質量%トルエン溶液0.04gを入れ、70℃で3時間撹拌して、1官能ウレタンアクリレート(数平均分子量16,200、25℃の貯蔵弾性率 80kPa、ガラス転移温度 -69℃)を得た。
【0132】
なお、得られた1官能ウレタンアクリレートの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で測定した。
<測定条件>
・使用機器:「HLC-8120GPC」、東ソー株式会社製
・使用カラム:下記の2種のカラムを順に直列で連結
「TSKgel(登録商標) G7000HXL」、東ソー株式会社製、1本
「TSKgel(登録商標) GMHXL」、東ソー株式会社製、2本
・カラム温度:40℃
・検出器:示差屈折率(RI)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.8mL/分
・試料濃度:0.5質量%
・試料注入量:100μL
・標準試料:ポリスチレン
【0133】
また、1官能ウレタンアクリレートのガラス転移温度、及び貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により、以下のようにして求めた。
1官能ウレタンアクリレート100質量部に、光ラジカル重合開始剤(「イルガキュア 819」、BASF社製)0.3質量部を加えて遊星式撹拌機で混合した。得られた混合液を、窒素ガス雰囲気下、コンベア型UV照射機(株式会社オーク製作所製;水銀キセノンランプ、照度100mW/cm、積算光量3J/cm)を用いて、1官能ウレタンアクリレートの硬化物試料(ホモポリマー;長さ15mm、幅5mm、厚さ2mm)を得た。
硬化物試料について、動的粘弾性測定装置(「EXSTAR TMA/SS6100」、株式会社日立ハイテクサイエンス製;引張モード、温度範囲:-80~130℃、昇温速度:3℃/min、測定周波数:1Hz、歪み:1%)にて、貯蔵弾性率(25℃)、及び損失弾性率を測定し、ピークにおける温度をガラス転移温度とした。
【0134】
〔例1〕
合成例1で得られた1官能ウレタンアクリレート5質量部、多官能(メタ)アクリレート(ビスコート#802)45質量部、エポキシ(メタ)アクリレート(KAYARAD R-115)45質量部、光重合開始剤(イルガキュア 1173)4質量部、溶剤1(MEK)50質量部、溶剤2(MIBK)50質量部、及びレベリング剤(BYK-361N)0.1質量部を加え混合し、例1のハードコート用樹脂組成物を製造した。
【0135】
〔例2~例4〕
表1に示した配合組成によって例1と同様に例2~4のハードコート用樹脂組成物を製造した。
【0136】
[評価]
例1~4で製造した各ハードコート用樹脂組成物を用いて試験体を作製し、下記の各試験による評価を行った。表1に評価結果を示す。例1及び2は実施例であり、例3及び4は比較例である。
〔試験体の作製〕
例1~4の各ハードコート用樹脂組成物を易接着処理済みPETフィルム(「A4300(製品名)」、東洋紡株式会社製、厚さ38μm)上にバーコーターを用いて塗布速度600mm/分にて塗布し、塗膜を形成した。該塗膜を100℃で120秒間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、前記塗膜にコンベヤ型UV照射機(株式会社オーク製作所製;水銀キセノンランプ)を用いて、窒素ガス雰囲気下、照度300mW/cm、積算光量200mJ/cmの条件で紫外線を照射し、塗膜を硬化させて、硬化後膜厚5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。得られたハードコートフィルムを長さ30mm、幅10mmで切り出し試験体とした。
【0137】
〔鉛筆硬度〕
JIS K5600に依拠して、鉛筆引っかき試験機を用いて、上記試験体の鉛筆硬度を測定した。詳しくは、測定する試験体のハードコート層上に、鉛筆を45度の角度で、上から1kgの荷重を掛け5mm程度引っかき、5回中、4回以上傷の付かなかった鉛筆の硬さで表した。
【0138】
〔折り曲げ耐久性(クラック)〕
試験体のハードコート層側を内側にして直径10mmの棒に巻き付け、試験体を5回スライドさせた後、ハードコート層表面を目視観察し、下記評価基準にて評価した。
<評価基準>
A:クラックなし
C:クラックあり
【0139】
〔外観(静置曲げ試験)〕
試験体のハードコート層側を内側にして直径10mmの棒に巻き付け、試験体を80℃で48時間静置した後、試験体のハードコート層表面を目視観察し、下記評価基準にて評価した。
<評価基準:ブリードアウト>
A:ブリードアウトは確認されなかった
C:ブリードアウトが確認された
<評価基準:剥がれ>
A:PETフィルム界面で剥離が生じていなかった
C:PETフィルム界面で剥離が生じていた
【0140】
〔ガラス転移温度・貯蔵弾性率〕
ハードコート用樹脂組成物のガラス転移温度、貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により、以下のようにして求めた。
各例で得られたハードコート用樹脂組成物を100℃で10分間溶剤を乾燥させた。次いで、幅5mm×長さ15mm×厚さ2mmの硬化物試料が得られるようにシリコーン型に流し込んだ後、窒素ガス雰囲気下でコンベア型UV照射機(株式会社オーク製作所製;水銀キセノンランプ、照度100mW/cm、積算光量3J/cm)を用いてハードコート用樹脂組成物の硬化物試料を得た。得られた硬化物試料を、動的粘弾性測定装置(EXSTAR 6100、株式会社日立ハイテクサイエンス製;引張モード、温度範囲:-100~200℃、昇温速度:3℃/min、測定周波数:1Hz、歪み1%)にて、貯蔵弾性率(25℃)、ガラス転移温度(℃)を測定した。ガラス転移温度はtanδのピーク温度とした。
【0141】
【表1】
【0142】
本発明のハードコート用樹脂組成物の硬化物は、硬度が高く、折り曲げ耐久性及び密着性に優れ、外観が良好であることが認められた。