(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022149617
(43)【公開日】2022-10-07
(54)【発明の名称】油中水型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20220929BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20220929BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20220929BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220929BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/34
A61K8/41
A61K8/894
A61K8/06
A61Q17/04
A61K8/92
A61K8/35
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021051847
(22)【出願日】2021-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 朋子
(72)【発明者】
【氏名】下野 浩貴
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB282
4C083AB332
4C083AC012
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC252
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD631
4C083AD632
4C083AD642
4C083BB46
4C083CC05
4C083CC13
4C083DD21
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】高濃度のナイアシンアミドとUVA吸収剤とを含有し、ナイアシンアミドの析出が抑制され、経時安定性及び保湿感に優れる油中水型化粧料の提供。
【解決手段】油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であるナイアシンアミドと、UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤と、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であり、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤と、シリコーン系界面活性剤と、ワックスを含む油剤と、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が20質量%以上である水と、を含有する、油中水型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であるナイアシンアミドと、
UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤と、
油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であり、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤と、
シリコーン系界面活性剤と、
ワックスを含む油剤と、
油中水型化粧料の全質量に対する含有率が20質量%以上である水と、
を含有する、油中水型化粧料。
【請求項2】
IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を含有しないか、又は、IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を油中水型化粧料の全質量に対して3質量%未満含有する、請求項1に記載の油中水型化粧料。
【請求項3】
前記UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して2質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の油中水型化粧料。
【請求項4】
前記UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及び、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項5】
前記IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤が、グリセリン及び1,3-ブチレングリコールから選択される少なくとも1種を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項6】
前記シリコーン系界面活性剤の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して1質量%以上である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項7】
前記シリコーン系界面活性剤が、シリコーン鎖が分岐したポリエーテル変性シリコーン界面活性剤を含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項8】
UV-B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項9】
油中水型化粧料が含有する紫外線吸収剤の合計含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して8質量%以上である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項10】
前記ワックスの含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上である、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【請求項11】
固形化粧料である、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の油中水型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、油中水型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミド(別名:ニコチン酸アミド)は、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一つであり、血行促進、抗炎症、美白、抗シワ等の皮膚に対する幅広い賦活効果を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。医薬品、医薬部外品又は化粧品に適用される油性の組成物に、ナイアシンアミドを含有させるための技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、(A)ニコチン酸アミド3質量%以上;(B)シリコーン系界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリグリセリンエステル界面活性剤、及びグリセリンエステル界面活性剤からなる群より選択される1種以上である、界面活性剤;及び(C)粘土系増粘剤、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、及びアミノ酸系油ゲル化剤からなる群より選択される1種以上である、油溶性増粘剤を含有する油中水型乳化組成物が開示されている。
特許文献2には、(A)ニコチン酸アミド1~10質量%、(B)液状油、(C)油性増粘剤、(D)シリカを含有する油性皮膚外用剤又は油性化粧料が開示されている。
【0004】
紫外線は皮膚の劣化を招くことが知られており、紫外線から皮膚を守る手段の一つとして、紫外線吸収剤を配合した種々の組成物又は化粧料が提案されている。
【0005】
特許文献3には、ワックスにより固化される油中水型固形化粧料において、有機変性シリコーンを含み、連続油相を形成する連続相油と、連続相油に相溶するワックスと、紫外線吸収剤と、水相と、を含み、ワックスを溶解した連続相油に対し、紫外線吸収剤を含む油相滴と水相滴が、それぞれ別個に分散していることを特徴とする油中水型固形化粧料が開示されている。
特許文献4には、(a)有効量のUV防止剤と、(b)約0.1%~約70%の少なくとも約40ml/100gの鉱油吸収力を有する非増粘性油吸収パウダーと、(c)少なくとも組成物全体の約10%の水と、(d)以下を含む油相、(i)油相の少なくとも約50重量%の揮発性シリコーン油、及び(ii)約0.1重量%から非増粘性油吸収パウダーの油吸収力より少ない量までの非揮発性油、を含む油中水型乳化日焼け止め剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2020/138420号
【特許文献2】特開2019-131538号公報
【特許文献3】国際公開第2019/013329号
【特許文献4】特表2004-521959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ナイアシンアミドが有する皮膚に対する幅広い効果(例えば、シワの抑制効果)、及び、真皮まで到達して皮膚にダメージを与えるとされるUV-A領域(波長320nm以上400nm以下)の紫外線に対する防御効果の両方を得る手段として、ナイアシンアミドとUV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下、「UVA吸収剤」とも称する。)とを油中水型化粧料に配合することが挙げられる。また、化粧料には、保湿感を高めるために、保湿剤を含有させることがある。
【0008】
しかし、ナイアシンアミドを含有する油中水型化粧料に、水溶性保湿剤を含有させた場合、水相(内相)に含まれるナイアシンアミドが結晶化して析出してしまうことがある。
さらに、油中水型化粧料においてUVA吸収剤は油相(外相)に含有させる必要があるところ、UVA吸収剤は溶解性及び結晶性が高い成分が多いことから、所期の紫外線吸収効果を得るためには、UVA吸収剤の結晶化を抑制できる油相量であることが必要となる。しかし、油相量を増加させると水相量が相対的に減少し、ナイアシンアミドの高濃度の含有が制限されうる。
ナイアシンアミドの高濃度の含有及び析出抑制のために、油中水型化粧料における水相量を増加させることも考えられるが、水相量の増加により油相量は相対的に減少し、経時させた際に油相の安定性が損なわれることがある。
【0009】
本開示は、上記の事情に鑑みなされた。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、高濃度のナイアシンアミドとUV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤とを含有し、ナイアシンアミドの析出が抑制され、経時安定性及び保湿感に優れる油中水型化粧料を提供することである。
ここで、本開示において、ナイアシンアミドを「高濃度」に含有するとは、ナイアシンアミドを「油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上」含有することを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であるナイアシンアミドと、UV-A領域の紫外線を吸収すする紫外線吸収剤と、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であり、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤と、シリコーン系界面活性剤と、ワックスを含む油剤と、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が20質量%以上である水と、を含有する、油中水型化粧料。
[2] IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を含有しないか、又は、IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を油中水型化粧料の全質量に対して3質量%未満含有する、[1]に記載の油中水型化粧料。
[3] UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して2質量%以上である、[1]又は[2]に記載の油中水型化粧料。
[[4] UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤が、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及び、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及び、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[5] IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤が、グリセリン及び1,3-ブチレングリコールから選択される少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[6] シリコーン系界面活性剤の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して1質量%以上である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[7] シリコーン系界面活性剤が、シリコーン鎖が分岐したポリエーテル変性シリコーン界面活性剤を含む、[1]~[6]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[8] 紫外線吸収剤がUVB吸収剤を含む、[1]~[7]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[9] 油中水型化粧料が含有する紫外線吸収剤の合計含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して8質量%以上である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[10] ワックスの含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上である、[1]~[9]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
[11] 固形化粧料である、[1]~[10]のいずれか1つに記載の油中水型化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一実施形態によれば、高濃度のナイアシンアミドとUV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤とを含有し、ナイアシンアミドの析出が抑制され、経時安定性及び保湿感に優れる油中水型化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の油中水型化粧料(以下、単に「化粧料」と称する場合がある。)の実施形態の一例について説明する。但し、本開示の油中水型化粧料は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示が目的とする範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
【0013】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示では、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、化粧料中の各成分の量は、各成分に該当する物質が化粧料中に複数存在する場合には、特に断らない限り、化粧料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「油相」とは、油中水型化粧料の連続相を意味する。本開示において、油相組成物は、連続相を構成する液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分と、を含む。
本開示において「水相」とは、油中水型化粧料の分散相を意味する。本開示において、水相組成物は、分散相を構成する液状媒体と、その液状媒体に分散又は溶解している成分と、を含む。
【0014】
本開示において、「PEG」はポリエチレングリコールを表し、「PPG」はポリプロピレングリコールを表す。
【0015】
本開示において「経時安定性」とは、油中水型化粧料を経時させた際に、油相に分離等が生じず安定していることを意味する。経時安定性は、少なくとも、油中水型化粧料に設定される保管期間において維持されればよい。
本開示において「保湿感」とは、油中水型化粧料を塗布し終わった後の皮膚において潤いの持続が感じられる感触を意味する。
本開示において「みずみずしさ」とは、油中水型化粧料の塗布直後において、皮膚に水分の存在が感じられる感触を意味する。
【0016】
<油中水型化粧料>
本開示の油中水型化粧料は、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であるナイアシンアミドと、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が3質量%以上であり、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤と、UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(UVA吸収剤)と、シリコーン系界面活性剤と、ワックスを含む油剤と、油中水型化粧料の全質量に対する含有率が20質量%以上である水と、を含有する、油中水型化粧料である。
【0017】
本開示の油中水型化粧料は、高濃度のナイアシンアミドとUVA吸収剤とを含有し、ナイアシンアミドの析出が抑制され、経時安定性及び保湿感に優れる。したがって、本開示の油中水型化粧料を用いることにより、ナイアシンアミドが発揮する皮膚に対する種々の賦活効果及びUV-A領域の紫外線に対する防御効果の双方が得られ、かつ、優れた保湿感も感じることができる。
また、例えば、ナイアシンアミドは真皮及び表皮の両方に作用してシワの発生を抑制できることが知られている(Cosmeceuticals and Cosmetic Practice, 2014, 103-112参照)。したがって、ある実施態様において、本開示の油中水型化粧料は、ナイアシンアミドが表皮及び真皮の両方から皮膚に作用するシワの抑制効果、及び、真皮まで到達して皮膚にダメ-ジを与えるとされるUV-A領域の紫外線に対する防御効果の両方が得られ、かつ、優れた保湿感をも有する化粧料とすることができる。
【0018】
本開示の油中水型化粧料が、このような効果を発揮する理由については、明らかではないが、本発明者らは以下のように推察している。
【0019】
本開示の油中水型化粧料は、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上の含有率にてIOB値が2.4以上の水溶性保湿剤を含有することにより、油中水型化粧料における水相組成物の極性が、極性の高い水溶性化合物であるナイアシンアミドの溶解性が維持される高さに保たれ、ナイアシンアミドの高濃度の含有と優れた保湿感とが両立すると推察される。また、本開示の油中水型化粧料が、油中水型化粧料の全質量に対して20質量%以上の含有率にて水を含有することは、油中水型の内相である水相の量を相対的に増加させ、ナイアシンアミドを高濃度の含有及び析出の抑制に寄与すると推察される。その一方で、水相量の増加は相対的に油相量を減少させるが、本開示の油中水型化粧料は、シリコーン系界面活性剤を含有することにより、相対的に少ない油相量であっても油相の安定性が維持されることから、経時安定性にも優れると推察される。
なお、上記の推察は、本開示の油中水型化粧料を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
【0020】
一方、特許文献1~4には、いずれも、ナイアシンアミドの析出の抑制、経時安定性及び保湿感に関する着目はない。
【0021】
以下、本開示の油中水型化粧料が含有する各成分について、詳細に説明する。
【0022】
〔ナイアシンアミド〕
本開示の油中水型化粧料は、ナイアシンアミド(別名:ニコチン酸アミド)を含有する。ナイアシンアミドは、米ぬかなどの天然物から抽出した抽出物であってもよいし、公知の製法によって合成した合成品であってもよい。ナイアシンアミドとしては、上市された市販品を入手して用いてもよい。具体的には、第17改正日本薬局方に収載されているニコチン酸アミドを用いることができる。
【0023】
本開示の油中水型化粧料は、ナイアシンアミドを油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上含有する。ナイアシンアミドの含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上であることで、ナイアシンアミドの含有により得られる所期の効果(例えば、しわ抑制効果)が高まる。
【0024】
ナイアシンアミドの含有率は、ナイアシンアミドの含有により得られる効果(好ましくは、しわ抑制効果)及びナイアシンアミドの析出抑制の観点から、油中水型化粧料の全質量に対して、3質量%以上であり、3質量%~10質量%が好ましく、4質量%~7質量%がより好ましく、4質量%~6質量%が更に好ましい。
【0025】
〔紫外線吸収剤:UVA吸収剤〕
本開示の油中水型化粧料は、UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(UVA吸収剤)を含有する。
【0026】
本開示において、UV-A領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(UVA吸収剤)とは、UV-A領域(すなわち、波長320nm以上400nm以下)の紫外線を吸収する化合物を意味する。
なお、本開示において、UV-B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(以下、「UVB吸収剤」とも称する)とは、UV-B領域(すなわち、波長280nm以上320nm未満)の紫外線を吸収する化合物を意味する。
UVA吸収剤及びUVB吸収剤は、いずれもが有機化合物(すなわち、有機紫外線吸収剤)であることが好ましい。
本開示において、UV-A領域及びUV-B領域の双方の紫外線を吸収する有機化合物については、UVA吸収剤に含めるものとする。
【0027】
UVA吸収剤としては、医薬部外品又は化粧品の分野に用いる得る有機紫外線吸収剤のうち、波長320nm以上400nm以下に極大吸収を有する有機紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0028】
UVA吸収剤としては、例えば、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、安息香酸エステル系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、イミダゾリン系紫外線吸収剤、及び、4,4-ジアリールブタジエン系紫外線吸収剤のうち、波長320nm以上400nm以下に極大吸収を有する有機紫外線吸収剤が挙げられる。
【0029】
UVA吸収剤としては、具体的には、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(別名:t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、別名:アボベンゾン)等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤;
2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(別名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤;
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾ-ル-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(別名:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸及びその塩、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;
ドロメトリゾール(Drometrizole)トリシロキサン、メチレンビス(ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)等のフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
アントラニル酸メンチル等のアントラニル系紫外線吸収剤;
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート等のイミダゾリン系紫外線吸収剤;及び、
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン等の4,4-ジアリールブタジエン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0030】
UV-A波の吸収能が良好であり、かつ入手が容易であるという観点から、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(極大吸収波長:355nm)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(極大吸収波長:340nm)、及び、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(極大吸収波長:355nm)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0031】
UVA吸収剤は、合成品であってもよいし、市販品を用いてもよい。
市販品の例としては、ユビナール(登録商標)A Plus Glanular(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、BASFジャパン(株))、チノソーブ(登録商標)S(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、BASFジャパン(株))、パルソール Shield(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、DSM社製)、パルソール 1789(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、DSM社製)、HXMT-100ZA(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン被覆酸化チタン、テイカ(株))等が挙げられる。
【0032】
本開示の油中水型化粧料は、UVA吸収剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0033】
〔紫外線吸収剤:UVB吸収剤〕
本開示の油中水型化粧料は、UV-B領域の紫外線を吸収する紫外線吸収剤(UVB吸収剤)を含有することが好ましい。
本開示の油中水型化粧料は、UVA吸収剤とUVB吸収剤とを併用することが好ましい。
【0034】
UVB吸収剤としては、医薬部外品又は化粧品の分野に用いる得る紫外線吸収剤のうち、波長320nm以上400nm以下に極大吸収を有さず、波長280nm以上320nm未満に極大吸収を有する有機紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0035】
UVB吸収剤としては、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、トリアジン誘導体紫外線吸収剤、ベンザルマロナート系紫外線吸収剤、オクトクリレン系紫外線吸収剤、イミダゾ-ルスルホン酸系紫外線吸収剤、及びフェニルベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0036】
UVB吸収剤としては、具体的には、サリチル酸-2-エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル、又はサリチル酸エチレングリコール等のサリチル酸系紫外線吸収剤;
ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(別名:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル)、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;
2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン(別名:エチルヘキシルトリアゾン)、4,4’-[2-[4-(ブチルカルバモイル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン-4,6-ジイルビス(イミノ)]ビス(安息香酸2-エチルヘキシル)(別名:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)等のトリアジン系紫外線吸収剤;
ジメチコジエチルベンザルマロネート、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等のベンザルマロナート系紫外線吸収剤;
2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル(別名:オクトクリレン)等のオクトクリレン系紫外線吸収剤;
2-フェニルベンゾイミダゾ-ル-5-スルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾ-ルテトラスルホン酸二ナトリウム等のイミダゾ-ルスルホン酸誘導体紫外線吸収剤;
パラ-アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記)、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA等のPABA誘導体;
3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等のベンジリデンショウノウ系紫外線吸収剤;及び、
フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等のフェニルベンゾイミダゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0037】
UVB吸収剤としては、溶解性の観点から、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、又はオクトクリレンが好ましい。
【0038】
〔紫外線吸収剤:含有量〕
本開示の油中水型化粧料中のUVA吸収剤の含有率は、UVA吸収剤の種類、紫外線吸収能に応じて決定すればよい。
【0039】
UVA吸収剤の含有率は、油中水型化粧料の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、2.5質量%以上であることが更に好ましい。
【0040】
UVA吸収剤の含有率の上限は、各化合物に定められている化粧料への含有上限に応じて決定すればよい。
【0041】
ある実施形態において、UVA吸収剤の含有率は、紫外線吸収能及びの観点から、油中水型化粧料の全質量に対して、1質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~7質量%であることがより好ましく、2.5質量%~5質量%であることが更に好ましい。
【0042】
本開示の油中水型化粧料は、紫外線遮蔽効果を得る観点から、油中水型化粧料が含有する紫外線吸収剤の合計含有率(すなわち、UVA吸収剤とUVB吸収剤との合計含有率)が、油中水型化粧料の全質量に対して5質量%以上であることが好ましく、5質量%~12質量%であることが好ましく、6質量%~11質量%であることがより好ましく、7質量%~10質量であることが更に好ましい。
【0043】
〔IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤〕
本開示の油中水型化粧は、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤(以下、「特定水溶性保湿剤」と称する。)を、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上の含有率で含有する。特定水溶性保湿剤を、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%以上含有することにより、油中水型化粧料における水相の極性が高まり、ナイアシンアミドの析出が抑制され、かつ油中水型化粧料は保湿感を有することができる。
【0044】
本開示において、「水溶性保湿剤」は、液体であっても固体であってもよい。固体の水溶性保湿剤とは、液温25℃においてpH7.0の水100gに対する溶解度が1g以上であり、かつ、保湿剤として機能する化合物を意味する。液体の水溶性保湿剤とは、液温25℃において、pH7.0の水と1:1(質量比)の状態で混ざり合い、かつ保湿剤として機能する化合物を意味する。
【0045】
特定水溶性保湿剤のIOB値は、ナイアシンアミドの析出抑制及び保湿感の観点から、2.4以上であり、2.4以上6.0以下であることが好ましく、2.5以上5.5以下であることがより好ましい。
【0046】
IOB(Inorganic Organic Balance)値は、無機性値の有機性値に対する比率を表す値である。
IOB値は、有機概念図に基づいて求められる、有機性値(OV:Organic Value)に対する無機性値(IV:Inorganic Value)の割合を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標として周知である。
IOB値は、下記の式(I)で表される。IOB値が大きいほど、極性が高いことを表す。IOB値については、「有機概念図」(甲田善生著・三共出版、1984年)に詳細な解説がある。具体的には、IOB値は、「有機化合物の予測と有機概念図」、藤田(化学の領域11-10)、1957年、p.719~p.725、「有機概念図による乳化処方設計」日本エマルジョン株式会社、矢口、1985年、p.98]の記載に従って求めることができる。
IOB値 = 無機性値(IV)/有機性値(OV) ・・・ (I)
【0047】
本開示において、IOB値の算出に用いる有機性値(OV)及び無機性値(IV)の基準値を以下に示す。
分子内炭素(OV:20、IV:0)
炭素-炭素二重結合(OV:0、IV:2)
炭素-炭素三重結合(OV:0、IV:3)
炭素鎖の分岐(OV:-10、IV:0)
COO(OV:0、IV:60)
-OH(OV:0、IV:100)
-O-(OV:0、IV:20)
【0048】
本開示の油中水型化粧料が含有する水溶性保湿剤のIOB値は、油中水型化粧料に含有される水溶性保湿剤の構造を同定し、上記に従い算出すればよい。
【0049】
特定水溶性保湿剤は、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。油中水型化粧料が2種以上の特定水溶性保湿剤を含有する場合、本開示における水溶性保湿剤のIOB値は、特定水溶性保湿剤の各々が示すIOB値を意味する。
【0050】
特定水溶性保湿剤としては、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の分野に用いることができる水溶性保湿剤から、IOB値が2.4以上の水溶性保湿剤を選択すればよい。
【0051】
特定水溶性保湿剤としては、例えば、グリセリン(IOB値:5.0)、ジグリセリン(IOB値:3.5)、及び1,3-ブチレングリコール(IOB値:2.5)挙げられ、使用感の観点から、グリセリン及び1,3-ブチレングリコールが好ましい。
【0052】
特定水溶性保湿剤の含有率は、良好な保湿感及びベタツキ抑制の観点から、油中水型化粧料の全質量に対して、3質量%以上であり、3質量%~15質量%が好ましく、4質量%~12質量%がより好ましく、5質量%%~10質量%%更に好ましい。
【0053】
ナイアシンアミドと特定水溶性保湿剤との含有比率(ナイアシンアミド:特定水溶性保湿剤)としては、ナイアシンアミドの析出抑制及び保湿感の観点から、質量基準で、10:2~10:50が好ましく、10:4~10:30がより好ましい。
【0054】
〔IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤〕
本開示の油中水型化粧料は、ナイアシンアミドの溶解性の観点から、IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を含有しないか、又は、IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を油中水型化粧料の全質量に対して3質量%未満含有することが好ましい。
IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を含有する場合、油中水型化粧料の全質量に対して、2.5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
本開示の油中水型化粧料は、IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤を含有しないことがより好ましい。
【0055】
水溶性保湿剤のIOB値が2.1以下であるか否かは、既述の方法により算出することができる。
【0056】
IOB値が2.1以下の水溶性保湿剤としては、例えば、ペンチレングリコール、ジプロピレングリール、メントール、及びへキシレングリコールが挙げられる。
【0057】
〔シリコーン系界面活性剤〕
本開示の油中水型化粧料は、シリコーン系界面活性剤を含有する。
シリコーン系界面活性剤としては、医薬品、医薬部外品、又は化粧品の分野において用いられるものであれば特に限定されない。
【0058】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤、ポリグリセリン変性シリコーン系界面活性剤、又はポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0059】
シリコーン系界面活性剤として、具体的には、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤;
メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリエーテル・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤;
ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン等のポリグリセリン変性シリコーン系界面活性剤;及び、
ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン系界面活性剤が挙げられる。
【0060】
上記したシリコ-ン系界面活性剤の中でも、本開示の油中水型化粧料は、油相の均一性の観点から、シリコーン鎖が分岐したポリエーテル変性シリコーン界面活性剤を含有することが好ましい。
【0061】
シリコーン鎖が分岐したポリエーテル変性シリコーン界面活性剤とは、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤の主鎖を構成するシロキサン結合鎖からシロキサン結合鎖が1本又は2本以上分岐した構造を有するポリエーテル変性シリコーン界面活性剤を意味する。
【0062】
シリコーン鎖が分岐したポリエーテル変性シリコ-ン系界面活性剤としては、例えば、PEG-10ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、ポリシリコーン13、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ジシロキサンジメチコン、及びラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが挙げられ、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンが好ましい。
【0063】
シリコーン系界面活性剤は、市販品であってもよいし、又は合成品であってもよい。
市販品としては、限定はされないが、KF-6017(信越化学工業(株))、KF-6019(信越化学工業(株))、KF-6015(信越化学工業(株))、SH3772M(東レ・ダウコ-ニング(株))SH3775M(東レ・ダウコ-ニング(株))BY-11-030(東レ・ダウコ-ニング(株))、KF-6004(信越化学工業(株))、KF-6011(信越化学工業(株))、FZ-2222、FZ-2233、KF-6028(信越化学工業(株))、ABIL EM90(ゴ-ルドシュミット社製)、KF-6048(信越化学工業(株))、KF-6038(信越化学工業(株))、KF-6104、KF6106(信越化学工業(株))、KF-6100(信越化学工業(株))、KF-6105(信越化学工業(株))等が挙げられる。
【0064】
シリコーン界面活性剤は、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0065】
シリコーン系界面活性剤の含有率は、油相の均一性の観点から、油中水型油中水型化粧料の全質量に対して、1質量%以上が好ましく、1.0質量%~5.0質量%がより好ましく、1.5質量%~4.0質量%が更に好ましく、2.0質量%~3.0質量%が特に好ましい。
【0066】
〔ワックスを含む油剤〕
本開示の油中水型化粧料は、油剤を含有する。油剤はワックスを含む。
油剤は、本開示の油中水型化粧料の基剤として含有させることができる。
油剤としては、化粧料の分野で一般に油剤として使用される成分を用いることができる。油剤は、液体であってもよいし、半固体であってもよいし、固体であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
油剤は、化粧料に、粘度又は硬度を付与する観点から選択してもよい。
油剤は、市販品であってもよいし、合成品であってもよい。
油剤は、化粧料に適用可能な油剤であれば、ワックスを含むこと以外において、特に限定されない。
【0067】
(ワックス)
本開示において、ワックスとは、油剤の一態様であり、25℃で固体であり、加熱すると液体となる有機物を総称するものとする。本開示におけるワックスには、後述する「ワックス以外の油剤」に該当する油剤は包含されない。
本開示におけるワックスとしては、化粧料の分野においてワックスとして用いられる油剤を特に限定せずに用いることができる。本開示の油中水型化粧料におけるワックスの含有は、化粧料の固形化に寄与することができる。
【0068】
本開示におけるワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス;ワセリン;及び、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モンタンロウ等の植物系又は動物系ワックスが挙げられる。
【0069】
ワックスは、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
ワックスの含有率は、油中水型化粧料の全質量に対して、例えば、1質量%以上とすることができ、1質量%~8質量%とすることが好ましく、2質量%~6質量%であることがより好ましい。ワックスの含有率を上記の範囲とすることは、例えば、本開示の油中水型化粧料を固形化粧料とする場合に有利である。
【0070】
(ワックス以外の油剤)
ワックス以外の油剤としては、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、シリコーンゲル、高級脂肪酸、高級アルコール、及び、天然動植物油剤に属する油剤のうち、ワックスに該当するもの以外の油剤が挙げられる。
【0071】
炭化水素油としては、流動パラフィン、イソパラフィン、エチレン・プロピレンコポリマー、水添ポリイソブテン、スクワラン等が挙げられる。
【0072】
エステル油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン、ステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10、ポリソルベート60等が挙げられる。
【0073】
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、カプリリルメチコンなどが挙げられる。
【0074】
シリコーンゲルとは、主鎖骨格をなすシリコーン鎖同士がポリエーテル鎖、ポリグリセリン鎖、シリコーン鎖等で架橋しているシリコーン架橋物を指す。架橋に用いた鎖の構造により、ポリエーテル変性シリコーンゲル、ポリグリセリン変性シリコーンゲル、ポリエーテル・アルキル共変性シリコーンゲル、及びポリグリセリン・アルキル共変性シリコーンゲルといった種類がある。
【0075】
シリコーンゲルとして、具体的には、(ジメチコン/(PEG-10/15)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-10/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー、(ポリグリセリル-3/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー、等が挙げられる。
【0076】
高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベへニン酸、等が挙げられる。
【0077】
高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、等が挙げられる。
【0078】
天然動植物油剤としては、ホホバ種子油、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ブドウ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、ローズヒップ油、ダイズ油、卵黄油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、硬化カカオ油、硬化タートル油、硬化ミンク油、牛油、ミンク油、ラノリン(所謂、羊毛脂)、などが挙げられる。
【0079】
ワックス以外の油剤は、油中水型化粧料に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0080】
〔水〕
本開示の油中水型化粧料は、油中水型化粧料の全質量に対して20質量%以上の含有率で水を含有する。
水としては、化粧料に適用し得る水であれば特に制限されない。
【0081】
水の含有率は、ナイアシンアミドの析出抑制及び使用感(例えば、みずみずしさ)の観点から、20質量%以上であり、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
水の含有率の上限は、油中水型化粧料である限りにおいて、特に制限されない。水の含有率は、例えば、70質量%以下とすることができ、50質量%以下であることが好ましい。
【0082】
ナイアシンアミドと水との含有比(ナイアシンアミド:水)としては、質量基準で、ナイアシンアミドの析出抑制の観点から、1:3~1:12が好ましく、1:4~1:10がより好ましく、1:5~1:9が更に好ましい。
【0083】
〔他の成分〕
本開示の油中水型化粧料は、前述した成分以外の、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、化粧品に配合しうる成分であればよく、例えば、感触向上剤、シリコーン系界面活性剤以外の界面活性剤、水溶性有機溶剤、防腐剤(フェノキシエタノール、メチルパラベン等)、pH調整剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体等のシリコーン樹脂、紫外線散乱剤(酸化チタン、酸化亜鉛等)、着色剤、香料、などが挙げられる。
【0084】
〔油相及び水相の比率〕
油中水型化粧料において、油相と水相との比率(油相:水相)は、質量比率として、例えば、65:35~35:65が好ましく、60:40~40:60がより好ましく、55:45~45:55が更に好ましい。
【0085】
〔油中水型化粧料の形態〕
本開示の油中水型化粧料の形態としては特に限定されず、室温(25℃)において、液状、又は固形状(半固形状を含む)のいずれであってもよい。
本開示の油中水型化粧料は、固形化粧料であることが好ましい。
本開示における固形化粧料は、成形可能な硬度を有し、かつ、成形物を容器に収容せずに室温(25℃)下に静置した場合において、成形状態が保持される形態であることが好ましい。
【0086】
〔油中水型化粧料の粘度又は硬度〕
本開示の油中水型化粧料は、容器に応じた粘度又は硬度に調整することができる。
油中水型化粧料が粘度を測定できる形態を有する場合、25℃における粘度は、5000mPa・s以上であることが好ましく、10000mPa・s以上がより好ましく、15000mPa・s以上が更に好ましい。
油中水型化粧料が粘度を測定できない形態を有する場合、油中水型化粧料の25℃における押し込み硬度は、10g以上であることが好ましく、15g以上がより好ましく、20g以上が更に好ましい。
硬すぎて押し込み硬度を測定できない場合には、本開示の油中水型化粧料の硬度としては、針入硬度を測定する。油中水型化粧料の25℃における針入硬度は、30g~150gであることが好ましい。
【0087】
粘度は、例えば、BL型粘度計(M4ローター)を用いて、ローター回転数6回転/分で60秒間撹拌して測定することができる。BL型粘度計としては、例えば、東機産業(株)のVISCOMETER TVB-10を好適に用いることができる。但し、BL型粘度計は、これに限定されない。
押し込み硬度は、例えば、レオメーター((株)レオテック製)を用いて、押し込み硬度(g/cm2)を、測定条件(アダプター:円盤状20mmφ、速度:6cm/min、深さ:20mm)にて測定することができる。
針入硬度は、レオメーター((株)レオテック製)を用いて、針入硬度(g/cm2)を、測定条件(アダプター:3φ棒状アダプター、速度:6cm/min、深さ:15mm)にて測定することができる。
【0088】
[油中水型化粧料の容器]
本開示の油中水型化粧料を収容する容器は、特に限定されない。
容器としては、スティックタイプ、コンパクトタイプ、ジャータイプ、チューブタイプ、ポンプタイプ等の容器が挙げられる。
【0089】
[油中水型化粧料の用途]
油中水型化粧料の用途としては、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料等が挙げられる。ある実施形態において、本開示の油中水型化粧料は、スキンケア化粧料であることが好ましい。
【0090】
[油中水型化粧料の製造方法]
本開示の油中水型化粧料の製造方法は、特に制限されず、公知の油中水型化粧料の製造方法に従って製造することができる。
例えば、UVA吸収剤と、シリコ-ン系界面活性剤と、ワックスを含む油剤と、を含有する油相組成物を調製し、得られた油相組成物と、ナイアシンアミドと、特定水溶性保湿剤と、水と、を含有する水相組成物と、を混合し、乳化することで、油中水型化粧料を製造することができる。
油相組成物及び水相組成物には、必要に応じて、上記以外の任意成分を用いることができる。
【0091】
本開示の油中水型化粧料が製造方法の好適な製造方法の一つは、
UVA吸収剤、シリコ-ン系界面活性剤、ワックスを含む油剤、及び、その他の任意成分を含む油相成分を加熱し、混合して油相組成物を得る工程、
ナイアシンアミド、特定水溶性保湿剤、水、及び、その他の任意成分を含む水相成分を混合して、水相組成物を得る工程、及び、
加熱された油相組成物と、別途加熱した水相組成物とを混合し、乳化する工程、
を含むことが好ましい。
【0092】
各工程における加熱温度は、例えば、80℃~90℃とすることができる。
乳化混合の手段として、公知の手段を用いればよく、例えば、ホモミキサーを用いることができる。
乳化の際の条件は、油中水型化粧料に求められる粘度、乳化粒子(水相)の大きさ等に応じて、せん断速度、処理時間等を調整し、決定されればよい。
得られた油中水型化粧料は、流動性のある状態で、適宜容器に充填し、冷却固化することができる。
【実施例0093】
以下、本開示の油中水型化粧料を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の油中水型化粧料は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
[実施例1~13、比較例1~7]
表1、表2又は表3の油相欄に示される各成分を、80℃で加熱混合し、油相組成物を調製した。
表1、表2又は表3の水相欄に記載の各成分を混合して、水相組成物を調製し、得られた水相組成物を80℃に加熱した。
油相組成物に水相組成物を混合し、80℃に温度を維持しながら、ホモミキサーで、回転数:3000rpm(revolutions per minutes、以下同じ)の条件下、10分間、せん断力の付与及び撹拌を行い、乳化物を得た。得られた乳化物を70℃±10℃で容器に充填した。充填物の上部に凹凸が生じる場合は、加熱装置(ドライアー等)で溶解させ平坦化するプロセスを入れた。容器としては、実施例1~12は、リップスティック容器を用い、実施例13は、ジャー容器を用いた。
以上により、油中水型化粧料を得た。
実施例1~12にて得られた油中水型化粧料は、いずれも固形化粧料である。
実施例13にて得られた油中水型化粧料は、乳液状の化粧料(すなわち、液状化粧料)である。
【0095】
実施例1~13及び比較例1~7に用いた各成分及びその含有率(質量%)は、表1、表2又は表3の組成の欄に示す。なお、表1、表2又は表3中、組成の欄における「-」はその成分を含有しないことを示す。
【0096】
[評価]
(紫外線遮蔽能の測定:PA(Protection Grade of UV-A)値の測定(in vitro))
得られた各油中水型化粧料から作製したサンプルについて、下記の測定方法により、PA値を測定した。PA値は、いずれのサンプルも「20以上」であった。
PA値が「20以上」であることは、実用上許容されるレベルの紫外線防御能を有することを意味する。
-測定方法-
得られた各油中水型化粧料を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)プレートに1.3mg/cm2になるように秤量し、塗布して、サンプルを作製した。サンプルに対して、SPFアナライザーUV-1000S(Labsphere社製)を用いて、PA値を測定した。
【0097】
(ナイアシンアミドの析出抑制)
得られた各油中水型化粧料を、スライドガラス上で、50℃に加熱した後、室温(25℃)まで徐冷した。冷却後の油中水型化粧料について、光学顕微鏡(倍率:1050倍)を用いて、ナイアシナミドの結晶の発生有無を目視で観察し、下記の基準により評価した。評価レベルA又はBが実用上許容されるレベルであり、Aがより好ましい。結果を表1、表2又は表3に示す。
-評価基準-
A;結晶の発生がなかった。
B:微量な結晶が生じた。
C:多量の結晶が生じた。
【0098】
(経時安定性)
得られた各油中水型化粧料を、50℃で1ヶ月間経時させた。
経時前後における油中水型化粧料を目視で観察し、下記の基準により評価した。評価ランク「4」及び「3」は、油中水型化粧料が実用上許容されるレベルの油相の均一性を有することを意味し、「4」がより好ましい。結果を表1、表2又は表3に示す。
-評価基準-
4:製造直後と同等であり変化がなかった。
3:固形化粧料の側面、若しくは、液状化粧料の上部に、少量の油浮きが発生したが、実用上許容できる程度であった。
2:固形化粧料の側面、若しくは、液状化粧料の上部に、実用上許容できない程度の油浮きが発生した。
1:化粧料の全体に油浮きが発生した。
【0099】
(保湿感)
5名の専門評価者に、各油中水型化粧料を指で顔に塗布してもらい、塗布後の保湿感(うるおい感)を、以下の4段階の評価基準で評価してもらった。そして、A:4点、B:3点、C:2点、C:1点として、5名の評価点を平均し、小数点第1位を四捨五入した値に対応する評価ランクを、保湿感の評価結果とした。結果を表1、表2又は表3に示す。評価ランクが「4」及び「3」であれば実用上許容されるレベルであり、「4」がより好ましい。
-評価基準-
4:うるおい感を感じた。
3:少しうるおい感を感じた。
2:うるおい感をあまり感じなかった。
1:うるおいを感じなかった
【0100】
(みずみずしさ)
5名の専門評価者に、各油中水型化粧料を指で顔に塗布してもらい、みずみずしさを、以下の4段階の評価基準で評価してもらった。そして、A:4点、B:3点、C:2点、C:1点として、5名の評価点を平均し、小数点第1位を四捨五入した値に対応する評価ランクを、みずみずしさの評価結果とした。結果を表1、表2又は表3に示す。評価ランクが「4」及び「3」であれば実用上許容されるレベルであり、「4」がより好ましい。
-評価基準-
4:みずみずしさを感じた。
3:少しみずみずしさを感じた。
2:みずみずしさが、あまり感じられなかった。
1:みずみずしさが、感じられなかった。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
表1、表2及び表3中、「%」は「質量%」を示す。
表1、表2及び表3に記載の各成分の詳細は以下の通りである。
【0105】
・ナイアシンアミド〔商品名:ナイアシンアミドPC、DSM社製〕
・グリセリン〔特定水溶性保湿剤、IOB=5.0〕
・DPG:1,3-ブチレングリコール〔特定水溶性保湿剤、IOB=2.5〕
・メントール〔水溶性保湿剤、IOB=1.7〕
・ペンチレングリコール(水溶性保湿剤、IOB=2.0〕
・エチルヘキシルグリセリン・フェノキシエタノール
【0106】
・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル〔UVA吸収剤、商品名:ユビナールA Plus GranuLar、BASFジャパン(株)〕
・ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン〔UVA吸収剤、商品名:チノソーブS、BASFジャパン(株)〕
・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン〔UVA吸収剤〕
・パルミチン酸エチルヘキシル〔UVB吸収剤〕
・パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル〔UVB吸収剤〕
【0107】
・PEG-9 ポリジメチルシロキシエチルジメチコン〔シリコーン系界面活性剤〕
・PEG-10ジメチコン〔シリコーン系界面活性剤〕
・キャンデリラロウ〔ワックス(油剤)〕
・セレシンワックス〔ワックス(油剤)〕
・ジメチコン〔油剤〕
・メチルフェニルポリシロキサン〔油剤〕
・デカメチルテトラシロキサン〔油剤〕
【0108】
・2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール
・ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2
・架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体〔シリコーン樹脂〕
【0109】
表1に示されるように、実施例1~13の油中水型化粧料は、ナイアシンアミドの析出が抑制され、経時安定性及び保湿感に優れていた。さらに、実施例1~13の油中水型化粧料は、みずみずしさにも優れていた。
【0110】
比較例1は、保湿剤を含有せず、保湿感が実用上許容できないレベルであった。
比較例2は、特定水溶性保湿剤の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して3質量%未満であり、保湿感が実用上許容できないレベルであった。
比較例3は、油中水型化粧料の全質量に対して、特定水溶性保湿剤の含有率が3質量%未満であり、かつIOB値が2.1以下の水溶性保湿剤の含有率が3質量%以上であり、ナイアシンアミドが実用上許容できないレベルに析出した。
比較例4は、油中水型化粧料の全質量に対して、特定水溶性保湿剤の含有率が3質量%未満であり、かつIOB値が2.1以下の水溶性保湿剤の含有率が3質量%未満であり、ナイアシンアミドが実用上許容できないレベルに析出し、かつ、保湿感が実用上許容できないレベルであった。
比較例5は、水の含有率が、油中水型化粧料の全質量に対して20質量%未満であり、ナイアシンアミドが実用上許容できないレベルに析出し、かつ、みずみずしさも得られなかった。
比較例6及び比較例7は、シリコーン系界面活性剤を含有せず、経時安定性が実用上許容できないレベルであった。
【0111】
[実施例14]
<塩酸ピリドキシンリポソーム組成物の調製>
下記の成分を、60℃で加熱しながら、10分間攪拌し、溶解して、油相組成物Aを得た。
-油相組成物A-
・水素添加大豆リン脂質 55.0g
・ポリオキシエチレンフィトステロール 11.5g
・コレステロール 15.0g
・オレイン酸 5.0g
・無水エタノール 1005.0g
・テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル 5.0g
【0112】
下記成分を、60℃で加熱しながら、10分間攪拌し、溶解して、水相組成物Aを得た。
-水相組成物A-
・塩酸ピリドキシン 25.0g
・ナイアシンアミド 5.0g
・無水リン酸一水素ナトリウム 2.0g
・水酸化ナトリウム液 106.5g
・精製水 3765.0g
【0113】
下記の成分を、60℃で加熱しながら、10分間攪拌し、溶解して、水相組成物Bを得た。
-水相組成物B-
・パラオキシ安息香酸メチル 20.0g
・精製水 4980.0g
【0114】
上記で得られた水相組成物Aを60℃に保ったままホモミキサー(機種名:オートミクサー40型、(株)プライミクス社)で攪拌し(回転数:1800rpm)、水相組成物Aへ油相組成物Aを添加した。添加後、1800rpmで90分攪拌を継続した。攪拌後、水相組成物Bを添加し、5分間均一攪拌を行い、35℃以下まで冷却した。冷却後、230メッシュろ布でろ過して、塩酸ピリドキシン含有リポソーム組成物を得た。
【0115】
(リポソームの観察)
得られた塩酸ピリドキシン含有リポソーム組成物を、ミリQ水にて10質量%に希釈し、粒径アナライザーFPAR-1000(大塚電子(株))を用いて、分散粒子の粒径を測定したところ、300nmであった。ミリQ水は、メルク社の超純水製造装置であるミリQ水製造装置による得られる超純水である。また、得られたリポソーム形成組成物の透過型電子顕微鏡(TEM)像を観察したところ、単層リポソームが観察された。
【0116】
なお、上記の塩酸ピリドキシンリポソーム組成物の調製に使用した各成分の詳細は、以下のとおりである。
・水素添加大豆リン脂質〔商品名:COATSOME NC-21、日油(株)〕
・ポリオキシエチレンフィトステロール〔商品名:NIKKOL BPS-20、日光ケミカルズ(株)〕
・コレステロール〔商品名:コレステロールJSQI、日本精化(株)〕
・オレイン酸〔商品名:ルナックO-V、花王(株)〕
・無水エタノール〔商品名=トレーサブル99 1級、関東化学(株)〕
・テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル〔商品名:NIKKOL VC-IP、日光ケミカルズ(株)〕
・塩酸ピリドキシン〔商品名:塩酸ピリドキシン、DSM(株)〕
・ナイアシンアミド〔商品名:ナイアシンアミドPC、DSM(株)〕
・無水リン酸一水素ナトリウム〔商品名:無水リン酸一水素ナトリウム(外原規)、太平化学産業(株)〕
・水酸化ナトリウム液〔商品名:食品添加物 4質量%苛性ソーダ、高杉製薬(株)〕
・パラオキシ安息香酸メチル〔商品名:メッキンスーM、上野製薬(株)〕
【0117】
<油中水型化粧料の調製>
実施例1において、水相成分として含有される水(37.0質量%)のうち2質量%を、上記にて調製した塩酸ピリドキシン含有リポソーム組成物2質量%に置き換えた以外は、実施例1と同様にして、表4に示す実施例14の油中水型化粧料を調製した。
表4に示す各成分の含有率「%」は「質量%」である。
【0118】
【0119】
実施例の各油中水型化粧料は、高濃度のナイアシンアミドとUVA吸収剤とを含有し、かつ、保湿感(すなわち、潤い感)とみずみずしさとに優れた使用感が得られることから、好適な使用形態の一例として、日中(例えば、朝)の使用が挙げられる。
また、本開示の油中水型化粧料は、他の化粧料と組み合わせて使用することもできる。組合せ態様の一例としては、本開示の油中水型化粧料である日中用化粧料と、より保湿性が高い夜用化粧料(例えば、クリーム)との組み合わせが挙げられる。このような組合せの具体例として、例えば、実施例の各油中水型化粧料と、以下に示す参考例1の化粧料(クリーム)との組み合わせが挙げられる。
【0120】
[参考例1:クリーム]
下記組成を有するクリームを、常法により調製した(全量100質量%)。
〔組成〕 〔含有量(質量%)〕
・ナイアシンアミド 5.0
・水添ポリイソブテン 10.0
・グリチルリチン酸ジカリウム 1.0
・ワセリン 8.0
・ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 12.0
・ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 4.0
・ジメチコン 6.0
・1,2-ペンタンジオール 3.0
・ジプロピレングリコール 7.0
・濃グリセリン 9.0
・ポリエチレングリコール6000[分子量:6000] 1.0
・ヒアルロン酸ナトリウム 0.5
・ベヘニルアルコール 2.0
・モノステアリン酸ポリグリセリル 3.0
・トコフェロール 0.5
・アスタキサンチン 0.2
・水溶性コラーゲン 1.0
・加水分解コラーゲン溶液(魚由来) 1.0
・N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン 1.0
・クエン酸 0.7
・クエン酸ナトリウム 適量
・フェノキシエタノール 0.3
・精製水 残量